(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066721
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】グルーピングシステム及びグルーピング方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220422BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220422BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175230
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA06
3C100AA22
3C100AA38
3C100BB13
3C100BB15
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】生産管理を効率化できるグルーピングシステム及びグルーピング方法を提供する。
【解決手段】グルーピングシステム1は、グループ化部25と割り当て部26とを備える。グループ化部25は、各工作機械11において加工された加工済みワークのワークサイズに基づいて、各工作機械11を複数のグループA、B、Cに分類する。割り当て部26は、各品番N1~N9の加工予定ワークのワークサイズに基づいて、各品番N1~N9を複数のグループA、B、Cに割り当てる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工作機械それぞれのテーブルサイズ、又は、前記複数の工作機械それぞれによる加工済みワークのワークサイズに基づいて、前記複数の工作機械を複数のグループに分類するグループ化部と、
複数の加工予定ワークそれぞれのワークサイズに基づいて、前記複数の加工予定ワークそれぞれを前記複数のグループに割り当てる割り当て部と、
を備えるグルーピングシステム。
【請求項2】
前記複数の工作機械それぞれにおいて1つのワークの加工にかかった所要時間と前記複数の加工予定ワークの個数とに基づいて、前記複数のグループそれぞれの生産負荷を取得する生産負荷取得部を更に備え、
前記グループ化部は、前記複数のグループ間における前記生産負荷の差が小さくなるように、前記複数の工作機械を複数のグループに再分類する、
請求項1に記載のグルーピングシステム。
【請求項3】
前記再分類は、前記複数のグループそれぞれに対応するワークサイズ範囲を変更するものである、
請求項2に記載のグルーピングシステム。
【請求項4】
前記複数の工作機械それぞれにおいて1つのワークの加工にかかった平均原単位と前記複数の加工予定ワークの個数とに基づいて、前記複数のグループそれぞれの生産負荷を取得する生産負荷取得部を更に備え、
前記グループ化部は、前記複数のグループ間における前記生産負荷の差が小さくなるように、前記複数の工作機械とは異なる1以上の新たな工作機械を前記複数のグループのうち生産負荷の大きいグループに分類する、
請求項1に記載のグルーピングシステム。
【請求項5】
前記複数の工作機械それぞれにおいて前記加工済みワークが加工されたときの工具の移動軌跡に基づいて、前記工具の加工範囲を収集する収集部と、
収集された前記加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、前記テーブルサイズ又は前記ワークサイズを推定する推定部と、
を備える請求項1乃至4のいずれかに記載のグルーピングシステム。
【請求項6】
複数の工作機械それぞれのテーブルサイズ、及び、前記複数の工作機械それぞれによる加工済みワークのワークサイズのうち少なくとも一方に基づいて、前記複数の工作機械を複数のグループに分類する工程と、
複数の加工予定ワークそれぞれのワークサイズに基づいて、前記複数の加工予定ワークそれぞれを前記複数のグループに割り当てる工程と、
を備えるグルーピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グルーピングシステム及びグルーピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC(Numerical Control)プログラムに従って、ワークを所望の形状に加工するコンピュータ数値制御工作機械(以下、「工作機械」という。)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、1以上の工作機械と、各工作機械に記憶された工具情報及び加工条件などを自動的に収集する制御装置とを備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各工作機械において新たに加工される加工予定ワークが複数種存在する場合、各種の加工予定ワークに適した工作機械を予め確認できれば、生産管理を効率化できる。しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、生産管理の効率化について検討されていない。
【0006】
本開示は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、生産管理を効率化できるグルーピングシステム及びグルーピング方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るグルーピングシステムは、グループ化部と割り当て部とを備える。グループ化部は、複数の工作機械それぞれのテーブルサイズ、又は、前記複数の工作機械それぞれによる加工済みワークのワークサイズに基づいて、複数の工作機械を複数のグループに分類する。割り当て部は、複数の加工予定ワークそれぞれのワークサイズに基づいて、複数の加工予定ワークそれぞれを複数のグループに割り当てる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、生産管理を効率化できるグルーピングシステム及びグルーピング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】グルーピングシステムの構成を示すブロック図である。
【
図5】各品番が割り当てられたグループごとの生産負荷を示す再分類前のグラフである。
【
図6】各品番が割り当てられたグループごとの生産負荷を示す再分類後のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(グルーピングシステム1の構成)
実施形態に係るグルーピングシステム1の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、グルーピングシステム1の構成を示すブロック図である。
【0011】
グルーピングシステム1は、複数の工作機械装置10及び管理装置20を備える。複数の工作機械装置10には、第1乃至第4工作機械装置10a~10dが含まれる。以下の説明では、第1乃至第4工作機械装置10a~10dを纏めて「工作機械装置10」と略称する。グルーピングシステム1が備える工作機械装置10の数は特に制限されず、1以上であればよい。
【0012】
[工作機械装置10]
各工作機械装置10は、工作機械11及びCNC(Computer Numerical Control)制御部12を有する。本実施形態では、工作機械装置11として旋盤が想定されているが、工作機械装置11は、研削盤及びマシニングセンタなどであってもよい。
【0013】
1.工作機械11
工作機械11は、ワーク(被加工物)に切削加工を施すことによって、ワークを所望の形状に加工する。工作機械11は、テーブル13、収容空間14、切削工具15及び主軸16を有する。ワークは、金属製であってもよいし、非金属製であってもよい。
【0014】
テーブル13上には、ワークが載置される。テーブル13は、ワークを保持した状態で移動可能である。本実施形態において、テーブル13は、x軸方向(第1方向の一例)、y軸方向(第2方向の一例)及びz軸方向(第3方向の一例)それぞれに移動可能である。x軸方向は、y軸方向に対して垂直である。x軸方向及びy軸方向は水平方向に平行である。
図1において、x軸方向は工作機械11の左右方向であり、y軸方向は工作機械11の奥行き方向である。x軸方向及びy軸方向によって水平面が規定される。z軸方向は、x軸方向及びy軸方向それぞれに垂直である。
図1において、z軸方向は、鉛直方向である。
【0015】
収容空間14は、テーブル13上に設けられた空間である。収容空間14には、テーブル13上に載置されるワークが収容される。切削工具15は、主軸16に取り付けられた状態で回転駆動する。切削工具15は、ワークの切削加工に用いられる。本実施形態において、主軸16の位置は固定されている。切削工具15は、テーブル13とともに移動するワークに対して相対的に移動する。
【0016】
2.CNC制御部12
CNC制御部12は、NC(Numerical Control)プログラムに従って、工作機械11を制御する。NCプログラムには、Gコード及びOコードが含まれる。Gコードは、工作機械11におけるテーブル13の移動や座標系の設定などを処理するために用いられる。Gコードには、目標座標値(X,Y,Z)と、目標座標値(X,Y,Z)に向かってテーブル13を移動させる際の送り速度(Fコード)とが含まれる。Oコードは、プログラム識別のためのプログラム番号である。
【0017】
CNC制御部12は、切削工具15を用いてワークを切削加工したときの、切削工具15の移動軌跡Mを取得する。移動軌跡Mは、ワークに対して相対的に移動する切削工具15の刃先の三次元相対位置座標を連ねた線である。移動軌跡Mは、一群の三次元相対位置座標データによって示される。
【0018】
図2は、移動軌跡Mの一例を示す模式図である。
図2の模式図で想定される工作機械はマシニングセンタである。移動軌跡Mは、切削工具15の刃先がワークと接触している範囲を示す加工軌跡M1(
図2の実線範囲)と、切削工具15の刃先がワークから離れている範囲を示す非加工軌跡M2(
図2の破線範囲)とを含む。加工軌跡M1において、ワークは切削工具15によって実際に切削加工される。非加工軌跡M2において、ワークは切削工具15によって切削加工されない。非加工軌跡M2は、切削工具15が加工に供されない領域での切削工具15の移動軌跡である。
【0019】
以下の説明では、加工軌跡M1における切削工具15の送り速度を「切削送り速度」といい、非加工軌跡M2における切削工具15の送り速度を「早送り速度」という。本実施形態において、切削送り速度は、早送り速度よりも遅い。移動軌跡Mは、送り速度の違いにより加工軌跡M1と非加工軌跡M2とに識別されてよい。送り速度が所定の閾値以上であれば移動軌跡Mは非加工軌跡M2と判断され、送り速度が所定の閾値より小さければ加工軌跡M1と判断されてよい。
【0020】
CNC制御部12は、ワークを切削加工するたびに、1つのワークの加工にかかった所要時間(以下、「原単位」という。)、移動軌跡M及びNCプログラムを含む制御データを管理装置20に送信する。原単位とは、ワークの搬入から搬出までにおいて工作機械11が自動的に稼働している時間を意味する。
【0021】
[管理装置20]
管理装置20は、
図1に示されるように、収集部21、推定部22、記憶部23、通信部24、グループ化部25、割り当て部26及び生産負荷取得部27を有する。
【0022】
管理装置20の機能は、サーバーにより達成される。サーバーはグルーピングシステム管理者により管理される。サーバーはクラウドサーバーであってよい。クラウドサーバーは専門の事業者により所有・管理され、グルーピングシステム1の利用者によりサーバーとして利用される。
【0023】
管理装置20(具体的には、通信部24)は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して、複数の工作機械装置10及び複数の端末装置30それぞれと相互に無線或いは有線で通信可能である。
【0024】
1.収集部21
収集部21は、各工作機械装置10のCNC制御部12から、原単位、移動軌跡M及びNCプログラムを含む制御データを受信する。
【0025】
収集部21は、制御データを受信すると、制御データに含まれる移動軌跡Mが既知であるか否か判断する。具体的には、収集部21は、NCプログラムのプログラム番号を参照し、当該プログラム番号が後述する記憶部23に記憶されているか否かで判断する。
【0026】
プログラム番号が記憶部23に記憶されている場合、収集部21は、工作機械11において既に加工されたワーク(以下、「加工済みワーク」という。)と同種の加工済みワークに係る移動軌跡が既知であると判断して、移動軌跡Mを含む制御データを廃棄する。プログラム番号が記憶部23に記憶されていない場合、収集部21は、移動軌跡Mが既知でないと判断する。
【0027】
収集部21は、移動軌跡Mが既知でないと判断した場合、次のように、移動軌跡Mに基づいて加工範囲を収集する。
【0028】
まず、収集部21は、NCプログラムを参照して、移動軌跡Mを取得する。
【0029】
次に、収集部21は、移動軌跡Mを参照して、切削工具15が切削送り速度で移動した範囲に対応する加工軌跡M1(
図2の実線を参照)を取得する。
【0030】
次に、収集部21は、加工軌跡M1に基づいて、第1乃至第3加工範囲を収集する。
【0031】
第1加工範囲は、x軸方向における切削工具15の加工範囲である。第1加工範囲は、x軸方向における切削工具15の刃先の位置座標の最大値及び最小値によって表される。第2加工範囲は、y軸方向における切削工具15の加工範囲である。第2加工範囲は、y軸方向における切削工具15の刃先の位置座標の最大値及び最小値によって表される。第3加工範囲は、z軸方向における切削工具15の加工範囲である。第3加工範囲は、z軸方向における切削工具15の位置座標の最大値及び最小値によって表される。
【0032】
次に、収集部21は、第1乃至第3加工範囲それぞれの最大値及び最小値と、原単位と、移動軌跡Mと、NCプログラムのプログラム番号とを対応付けて記憶部23に記憶させる。
【0033】
2.推定部22
推定部22は、記憶部23が記憶している第1乃至第3加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、加工済みワークのワークサイズを推定する。具体的には、推定部22は、第1加工範囲の最大値及び最小値の差分値を、x軸グループ化部25ワークサイズとして推定する。推定部22は、第2加工範囲の最大値及び最小値の差分値を、y軸グループ化部25ワークサイズとして推定する。推定部22は、第3加工範囲の最大値及び最小値の差分値を、z軸グループ化部25ワークサイズとして推定する。ただし、最大値及び最小値の差分値からワークサイズを推定する際、差分値をそのままワークサイズとしてもよいが、例えば、差分値の一の位を切り捨てた値をワークサイズとするなどしてもよい。
【0034】
なお、本実施形態において推定部22によって推定される加工済みワークの「ワークサイズ」とは、加工済みワークを加工する前のワークサイズSbを意味する。本発明では、推定されるワークサイズは、加工した後のワークサイズSaであってもよい。その場合、ワークサイズSaは、第1乃至第3加工範囲の最大値及び最小値の差分値から切削工具15の直径の値を差し引いた値と推定してよい。
【0035】
推定部22は、加工済みワークのワークサイズSb(具体的には、x軸、y軸及びz軸方向それぞれにおけるワークサイズ)を、第1乃至第3加工範囲それぞれの最大値及び最小値と、原単位と、移動軌跡Mと、NCプログラムのプログラム番号とに対応付けて記憶部23に記憶させる。
【0036】
3.端末装置30
ここで、端末装置30は、スマートフォンなどのスマートデバイス、或いはパーソナルコンピュータ等の情報処理機器である。端末装置30は、記憶部31、表示部32、入力部33及びクエリ生成部34を有する。
【0037】
記憶部31は、今後新たに加工される予定の複数のワーク(以下、「加工予定ワーク」という。)それぞれの品番と個数とを対応付けて記憶している。加工予定ワークの品番は、加工予定ワークに特有の識別番号である。品番が異なれば、加工予定ワークのサイズ、形状などが異なる。記憶部31は、加工予定ワークの品番とワークサイズとを対応付けて記憶している。
【0038】
表示部32は、利用者が目視するディスプレイである。表示部32は、加工予定ワークの個数を品番ごとに一覧表示する。
【0039】
入力部33は、利用者の操作を受け付ける。入力部33は、例えばキーボードやマウスである。利用者は、入力部33を用いて、表示部32に表示された品番の中から、各工作機械11に加工を振り分けたい品番を複数選択する。また、利用者は、入力部33を用いて、各品番を割り当てるグループ数を入力する。グループ数は、2以上の正の整数である。
【0040】
入力部33は、各工作機械11に振り分けられる複数の品番と、各品番が割り当てられるグループ数とを受け付け、それらをクエリ生成部34に送信する。
【0041】
クエリ生成部34は、入力部33が受け付けたグループ数を示す「第1要求クエリ」を管理装置20に送信する。
【0042】
また、クエリ生成部34は、記憶部31を参照して、入力部33が受け付けた各品番と各品番に対応付けられたワークサイズとを含む「第2要求クエリ」を管理装置20に送信する。
【0043】
4.グループ化部25
グループ化部25は、通信部24を介してクエリ生成部34から第1要求クエリを受信すると、記憶部23を参照して、各工作機械11において加工された加工済みワークのワークサイズSbを取得する。グループ化部25は、加工済みワークのワークサイズSbに基づいて、第1要求クエリによって示される数のグループに各工作機械11を分類する。この際、グループ化部25は、各グループに同数の工作機械11が分類されるように各グループのワークサイズ範囲を決めてもよいし、各グループのワークサイズ範囲を予め決められた既定値に設定してもよい。
【0044】
グループ化部25は、各工作機械11が分類された各グループを示す「分類情報」を割り当て部26に送信する。
【0045】
また、グループ化部25は、生産負荷取得部27から後述する再割り当て指示を受信した場合、グループ間における生産負荷の差が小さくなるように、各工作機械11を複数のグループに再分類する。本実施形態において、グループ化部25は、グループ間における生産負荷の差が小さくなるように、各グループに対応するワークサイズ範囲を変更する。
【0046】
具体的には、グループ化部25は、生産負荷の小さいグループのワークサイズ範囲を拡大するとともに、生産負荷の大きいグループのワークサイズ範囲を縮小する。その結果、グループ化部25によって各グループに分類される工作機械11の数、及び、割り当て部26によって各グループに割り当てられる各品番の数のうち少なくとも一方が変わることによって、グループ間における生産負荷の差が小さくなる。
【0047】
本実施形態において、生産負荷は、ある工程(1台以上の工作機械11を有するグループ)において、加工対象のワークに目標とする加工を施すのに要する時間を意味する。工作機械aにおいて1個のワークbに加工cを施すのに必要な時間がd(hour/個)であり、加工予定ワークの予定生産個数がe(個)であるとすると、工作機械aの生産負荷は、dとeの積(hour)となる。
【0048】
グループ化部25は、各工作機械11を再分類した場合、「分類情報」を割り当て部26に再送信する。
【0049】
5.割り当て部26
割り当て部26は、通信部24を介してクエリ生成部34から第2要求クエリを受信するとともに、グループ化部25から分類情報を受信する。
【0050】
割り当て部26は、第2要求クエリに含まれる各品番に対応付けられたワークサイズに基づいて、分類情報によって示される各グループに各品番を割り当てる。割り当て部26は、各品番に対応付けられたワークサイズが各グループのワークサイズ範囲に入るように、各グループに各品番を割り当てる。
【0051】
割り当て部26は、各グループに分類された工作機械11と、各グループに割り当てられた各品番と、各品番に係る加工予定ワークの個数とを示す「割り当て情報」を生産負荷取得部27に送信する。
【0052】
6.生産負荷取得部27
生産負荷取得部27は、割り当て部26から割り当て情報を受信すると、記憶部23を参照して、グループごとに、各工作機械11において加工された加工済みワークの原単位の算術平均値(以下、「平均原単位」という。)を求める。
【0053】
また、生産負荷取得部27は、割り当て情報を参照して、グループごとに加工予定ワークの合計個数を求める。
【0054】
そして、生産負荷取得部27は、各グループについて加工予定ワークの合計個数に平均原単位を乗じることによって、グループごとの生産負荷(hour)を取得する。
【0055】
生産負荷取得部27は、グループ間における生産負荷の差を算出して、生産負荷の差の最大値が所定値より大きいか否かを判定する。所定値は、生産負荷の差に起因して生じる各工作機械11の稼働率の差が許容される範囲で設定される。
【0056】
生産負荷の差の最大値が所定値より大きい場合、生産負荷の差を小さくすべきことを示す再割り当て指示を割り当て部26に送信する。再割り当て指示には、グループごとの生産負荷が含まれる。
【0057】
一方、生産負荷の差の最大値が所定値より大きくない場合、生産負荷取得部27は、各工作機械11及び各品番が割り当てられたグループごとの生産負荷を端末装置30の表示部32に表示させる。
【0058】
利用者は、グループごとの生産負荷が平準化されていることを表示部32上で確認して、各品番の加工予定ワークに適した工作機械11を予め確認することができる。よって、どの品番の加工予定ワークをどの工作機械11に割り振るべきか容易に決定することができるため、生産管理の効率化を図ることができる。
【0059】
[グルーピング方法]
次に、グルーピングシステム1において実行されるグルーピング方法について、図面を参照しながら具体例とともに説明する。
【0060】
図3は、グルーピング方法を示すフローチャートである。
図4は、表示部32における表示例である。
図5は、各工作機械11及び各品番が割り当てられたグループごとの生産負荷を示す再分類前のグラフである。
図6は、各工作機械11及び各品番が割り当てられたグループごとの生産負荷を示す再分類後のグラフである。
【0061】
ステップS1において、収集部21は、各工作機械11において加工済みワークが加工されたときの切削工具15の移動軌跡Mに基づいて、切削工具15の第1乃至第3加工範囲を収集する。
【0062】
ステップS2において、推定部22は、収集された第1乃至第3加工範囲それぞれの最大値及び最小値に基づいて、各工作機械11において加工された加工済みワークのワークサイズを推定する。
【0063】
ステップS3において、表示部32は、加工予定ワークの個数を品番ごとに一覧表示する。ここでは、
図4に示すように、品番N1~N9の加工予定ワークが100個ずつ加工される予定である。
【0064】
ステップS4において、入力部33は、各工作機械11に振り分けられる複数の品番と、各品番を割り当てるグループ数とを受け付ける。利用者は入力部33を操作して、各工作機械11に振り分けられる複数の品番と、各品番を割り当てるグループ数とを、端末装置30に入力する。ここでは、
図5に示すように、品番N1~N9が3つのグループA、B、Cに割り当てられる。
【0065】
ステップS5において、グループ化部25は、各工作機械11において加工された加工済みワークのワークサイズに基づいて、各工作機械11を複数のグループに分類する。
【0066】
ここでは、品番N1~N9を3つのグループに割り当てる必要があるため、
図5に示すように、各工作機械11は3つのグループA、B、Cに分類される。グループA(0≦x≦x1、0≦y≦y1)には2つの工作機械11が分類され、グループB(x1<x≦x2、y1<y≦y2)には1つの工作機械11が分類され、グループC(x2<x≦x3、y2<y≦y3)には1つの工作機械11が分類されている。なお、
図5では、x軸方向及びy軸方向における加工済みワークのワークサイズに基づいてグループ分けした例が図示されている。
【0067】
ステップS6において、割り当て部26は、各品番N1~N9の各加工予定ワークのワークサイズに基づいて、各品番N1~N9をグループA、B、Cのいずれかに割り当てる。ここでは、
図5に示すように、品番N1~N3がグループAに割り当てられ、品番N4~N6がグループBに割り当てられ、品番N7~N9がグループCに割り当てられる。
【0068】
ステップS7において、生産負荷取得部27は、グループA、B、Cごとに平均原単位と加工予定ワークの合計個数とを求め、両者を掛け合わせることによってグループA、B、Cごとの生産負荷を取得する。
図5のバーP1、P2、P3は、それぞれグループA、B、Cが受ける生産負荷を示す。
【0069】
ステップS8において、生産負荷取得部27は、グループA、B、C間における生産負荷の差を算出して、生産負荷の差の最大値が所定値より大きいか否かを判定する。ここでは、
図5に示すように、グループAの生産負荷P1が最も小さく、グループBの生産負荷P2が最も大きいため、生産負荷の差の最大値は、グループA-B間の生産負荷の差(P2-P1)である。
【0070】
ステップS8において生産負荷の差の最大値が所定値より大きくないと判定された場合、ステップS9において、生産負荷取得部27は、
図5のグラフを端末装置30の表示部32に表示させて処理は終了する。
【0071】
ステップS8において、生産負荷の差の最大値が所定値より大きいと判定された場合、ステップS10において、グループ化部25は、グループ間における生産負荷の差が小さくなるように、各工作機械11を各グループに再分類する。ここでは、
図6に示すように、グループ化部25は、各グループのワークサイズ範囲を変更して、グループAをx軸方向に広げたグループA’(0≦x≦x1’、0≦y≦y1)と、グループBをx軸方向に狭めたグループB’(x1<x≦x2’、y1<y≦y2)とを規定している。これによって、グループAに分類されていた2つの工作機械11のうちの1つがグループB’に移管されている。
【0072】
ステップS10の後、処理はステップS6に戻り、割り当て部26は、各品番N1~N9の各加工予定ワークのワークサイズに基づいて、各品番N1~N9をグループA’,B’及びCのいずれかに割り当てる。ここでは、
図6に示すように、各グループのワークサイズ範囲が変更されたため、品番N1~N4がグループA’に割り当てられ、品番N5~N6がグループB’に割り当てられ、品番N7~N9がグループCに割り当てられる。
【0073】
ステップS6の後、処理はステップS7に進み、生産負荷取得部27は、グループA’,B’及びCそれぞれの生産負荷を取得する。
図6のバーP1’、P2’、P3は、それぞれグループA’、B’、Cが受ける生産負荷を示す。生産負荷P1’、P2’、P3は、同等である。
【0074】
ステップS7の後、処理はステップS8からステップS9に進み、生産負荷取得部27は、
図6のグラフを端末装置30の表示部32に表示させて処理は終了する。
【0075】
(実施形態の変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0076】
(変形例1)
上記実施形態では、工作機械の一例として、ワークに切削加工を施す工作機械11の一つであるNC旋盤について説明したが、これに限られない。工作機械としては、ワークに溶接加工を施す溶接機械などを用いることができる。なお、工作機械として溶接機械を用いる場合、移動軌跡Mは、ワークに対して相対的に移動する溶接トーチ(工具の一例)の先端の三次元相対位置座標を連ねた線によって示される。
【0077】
(変形例2)
上記実施形態では、第1乃至第3加工範囲それぞれの最大値及び最小値に基づいて、x軸方向、y軸方向及びz軸方向それぞれにおけるワークサイズを推定することとしたが、これに限られない。
【0078】
例えば、第1乃至第3加工範囲のうち1つ又は2つの加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のうち1つ又は2つの方向におけるワークサイズを推定してもよい。この場合には、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のうち、少なくとも最大値及び最小値の差分値が最大の方向におけるワークサイズを推定することが好ましい。
【0079】
(変形例3)
上記実施形態において、収集部21は、移動軌跡Mのうち加工軌跡M1のみに基づいて第1乃至第3加工範囲を収集することとしたが、移動軌跡Mのうち加工軌跡M1及び非加工軌跡M2の両方に基づいて第1乃至第3加工範囲を収集してもよい。
【0080】
(変形例4)
上記実施形態において、推定部22によって推定される加工済みワークの「ワークサイズ」は、加工済みワークを加工する前のワークサイズS
bであることとしたが、加工済みワークを加工した後のワークサイズS
aであってもよい。ワークサイズS
aは、
図2で示されるように、第1乃至第3加工範囲の最大値及び最小値の差分値から切削工具15の直径の値を差し引いた値と推定してよい。切削工具15の直径は、NCプログラムから取得できる。
【0081】
(変形例5)
上記実施形態において、推定部22は、加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、加工済みワークのワークサイズを推定することとしたが、加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、各工作機械11が有するテーブル13のテーブルサイズを推定してもよい。この場合、グループ化部25は、各工作機械11のテーブルサイズに基づいて、各工作機械11を複数のグループに分類すればよい。この際、グループ化部25は、各グループに同数の工作機械11が分類されるように各グループのテーブルサイズ範囲を決めてもよいし、各グループのテーブルサイズ範囲を予め決められた既定値に設定してもよい。
【0082】
(変形例6)
上記実施形態において、グループ化部25は、推定部22によって推定されたワークサイズの推定値に基づいて、各工作機械11を複数のグループに分類することとしたが、これに限られない。例えば、ワークサイズの実測値又はカタログ値が記憶部23に記憶されている場合、グループ化部25は、ワークサイズの実測値又はカタログ値に基づいて、各工作機械11を複数のグループに分類してもよい。また、上記変形例5で説明したテーブルサイズの実測値又はカタログ値が記憶部23に記憶されている場合、グループ化部25は、テーブルサイズの実測値又はカタログ値に基づいて、各工作機械11を複数のグループに分類してもよい。
【0083】
(変形例7)
上記実施形態において、グループ化部25は、
図5に示したように、x軸方向及びy軸方向におけるワークサイズに基づいてグループ分けすることとしたが、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のうち少なくとも1つの方向におけるワークサイズに基づいてグループ分けすればよい。
【0084】
(変形例8)
上記実施形態では、グループ間における生産負荷の差の最大値が所定値より大きいと生産負荷取得部27が判定した場合、グループ化部25は、グループ間における生産負荷の差が小さくなるように、各工作機械11を複数のグループに再分類することとしたが、これに限られない。例えば、グループ化部25は、各工作機械11とは異なる1以上の新たな工作機械を生産負荷の大きいグループに追加で分類してもよい。この場合には、グループ間における生産負荷の差が小さくできるだけでなく、既存の工作機械11をグループ間でやり繰りする場合に比べて、生産負荷の平均値自体を低減させることができる。
【0085】
(変形例9)
上記実施形態において、原単位は、1つのワークの加工に要する時間であることとしたが、これに限られない。原単位は、1つのワークの加工に要する費用であってもよい。
【0086】
1 グルーピングシステム
10a~10c 第1乃至第3工作機械装置
11 工作機械
12 CNC制御部
13 テーブル
14 収容空間
15 切削工具
20 管理装置
21 収集部
22 推定部
23 記憶部
24 通信部
25 グループ化部
26 割り当て部
27 生産負荷取得部
30 端末装置
31 記憶部
32 表示部
33 入力部
34 クエリ生成部