(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066722
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】工作機械システムと工作機械候補の選択方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220422BHJP
G05B 19/4063 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/4063 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175231
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA43
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB19
3C100CC02
3C269AB02
3C269AB05
3C269AB31
3C269BB07
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF39
3C269KK08
3C269MN07
3C269MN16
3C269QB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワークを加工可能な工作機械候補を選択することのできる工作機械システム及び工作機械候補の選択方法を提供する。
【解決手段】工作機械システム1は、複数の工作機械11と、収集部22と、記憶部21と、推定部23と、受け付け部33と、処理部25とを備える。各工作機械11は、収容空間14と切削工具15とを有する。収集部22は、各工作機械においてワークが加工されたときの切削工具15の加工範囲を示す加工範囲情報を収集する。記憶部21は、各工作機械11の属性情報を記憶する。推定部23は、加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、収容空間14のサイズを推定する。受け付け部33は、複数の工作機械11のいずれかにおいて新たに加工される加工予定ワークの指定情報を受け付ける。処理部25は、収容空間14のサイズと加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、各工作機械11の中から加工可能な1以上の工作機械候補を選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを収容するための収容空間と前記ワークを加工するための工具とをそれぞれ有する複数の工作機械と、
前記複数の工作機械それぞれにおいて加工済みワークが加工されたときの前記工具の加工範囲を示す加工範囲情報を収集する収集部と、
前記複数の工作機械それぞれの属性情報を記憶する記憶部と、
前記加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、前記収容空間のサイズを推定する推定部と、
前記複数の工作機械のいずれかにおいて新たに加工される加工予定ワークの指定情報を受け付ける受け付け部と、
前記収容空間のサイズと前記受け付け部が受け付けた前記指定情報から得られる前記加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、前記複数の工作機械の中から前記加工予定ワークを加工可能な1以上の工作機械候補を選択する処理部と、
を備える工作機械システム。
【請求項2】
前記属性情報は前記複数の工作機械それぞれの稼働率を含み、
前記処理部は、前記工作機械候補を複数選択した場合、前記工作機械候補の前記稼働率に基づいて、前記複数の工作機械候補に優先度を付与する、
請求項1に記載の工作機械システム。
【請求項3】
前記属性情報は、更に、前記複数の工作機械それぞれの設置場所情報を含み、
前記処理部は、前記工作機械候補を複数選択した場合、前記加工予定ワークの生産地及び販売予定地の少なくとも一方と前記工作機械候補の前記設置場所情報とに基づいて、前記複数の工作機械候補に優先度を付与する、
請求項1又は2に記載の工作機械システム。
【請求項4】
前記属性情報は、更に、前記複数の工作機械それぞれの設備種類情報を含み、
前記処理部は、前記工作機械候補を複数選択した場合、前記工作機械候補の前記設備種類情報と前記加工予定ワークの加工種類とに基づいて、前記複数の工作機械候補に優先度を付与する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の工作機械システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記加工済みワークのワークサイズと前記加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、前記複数の工作機械候補に優先度を付与する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の工作機械システム。
【請求項6】
ワークを収容するための収容空間と前記ワークを加工するための工具とをそれぞれ有する複数の工作機械それぞれにおいて加工済みワークが加工されたときの前記工具の加工範囲を示す加工範囲情報を収集する工程と、
前記加工範囲情報の最大値及び最小値に基づいて、前記収容空間のサイズを推定する工程と、
推定された前記収容空間のサイズと前記複数の工作機械のいずれかにおいて新たに加工される加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、前記複数の工作機械の中から前記加工予定ワークを加工可能な1以上の工作機械候補を選択する工程と、
を備える工作機械候補の選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械システムと工作機械候補の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC(Numerical Control)プログラムに従って、ワークを所望の形状に加工するコンピュータ数値制御工作機械(以下、「工作機械」という。)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の工作機械と、各工作機械に記憶された工具情報及び加工条件などを自動的に収集する制御装置とを備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、工作機械の情報を自動的に収集するシステムでは、ワークが配置される収容空間のサイズは収集情報に含まれないため不明である。そのため、新たに加工される加工予定ワークを加工可能な工作機械候補をシステム内の複数の工作機械の中から選択することは容易ではない。
【0006】
本開示は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、加工予定ワークを加工可能な工作機械候補を選択することのできる工作機械システム及び工作機械候補の選択方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る工作機械システムは、複数の工作機械と、収集部と、記憶部と、推定部と、受け付け部と、処理部とを備える。複数の工作機械は、ワークを収容するための収容空間とワークを加工するための工具とをそれぞれ有する。収集部は、複数の工作機械それぞれにおいて加工済みワークが加工されたときの工具の加工範囲を示す加工範囲情報を収集する。記憶部は、複数の工作機械それぞれの属性情報を記憶する。推定部は、加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、収容空間のサイズを推定する。受け付け部は、複数の工作機械のいずれかにおいて新たに加工される加工予定ワークの指定情報を受け付ける。処理部は、収容空間のサイズと受け付け部が受け付けた指定情報から得られる加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、複数の工作機械の中から加工予定ワークを加工可能な1以上の工作機械候補を選択する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、加工予定ワークの加工に適した工作機械候補を検索可能な工作機械システム及び工作機械候補の選択方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】工作機械システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】管理装置の記憶部に記憶される情報を示す模式図である。
【
図3】工作機械候補の選択方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(工作機械システム1の構成)
本実施形態に係る工作機械システム1の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、工作機械システム1の構成を示すブロック図である。
【0011】
工作機械システム1は、複数の工作機械装置10と、管理装置20と、端末装置30とを備える。複数の工作機械装置10には、第1乃至第4工作機械装置10a~10dが含まれる。ただし、工作機械システム1が備える工作機械装置10の数は特に制限されず、1以上であればよい。以下の説明では、第1乃至第4工作機械装置10a~10dを纏めて「工作機械装置10」と略称する。
【0012】
[工作機械装置10]
各工作機械装置10は、工作機械11及びCNC(Computer Numerical Control)制御部12を有する。
【0013】
1.工作機械11
工作機械11は、ワーク(被加工物)に切削加工を施すことによって、ワークを所望の形状に加工する。ワークは、金属製であってもよいし、非金属製であってもよい。本実施形態では、工作機械11として旋盤を想定しているが、工作機械11はフライス盤及びマシニングセンタなどであってよい。
【0014】
工作機械11は、テーブル13、収容空間14、切削工具15及び主軸16を有する。
【0015】
テーブル13上には、ワークが載置される。テーブル13は、ワークを保持した状態で移動可能である。本実施形態において、テーブル13は、x軸方向(第1方向の一例)、y軸方向(第2方向の一例)及びz軸方向(第3方向の一例)のそれぞれに移動可能である。x軸方向は、y軸方向に対して垂直である。x軸方向及びy軸方向は水平方向に平行である。
図1において、x軸方向は工作機械11の左右方向であり、y軸方向は工作機械11の奥行き方向である。x軸方向及びy軸方向によって水平面が規定される。z軸方向は、x軸方向及びy軸方向それぞれに垂直である。
図1において、z軸方向は、鉛直方向である。
【0016】
収容空間14は、テーブル13上に設けられた空間である。収容空間14には、テーブル13上に載置されたワークが収容される。一般に、収容空間14のサイズは、工作機械11の有効作業範囲を示す「テーブルサイズ」と呼ばれる。テーブルサイズは、工作機械11の加工作業面のサイズであってもよい。本開示では、収容空間14のサイズを示す情報のことを収容空間14の「サイズ情報」と称する。
【0017】
切削工具15は、主軸16に取り付けられた状態で回転駆動する。切削工具15は、ワークの切削加工に用いられる。本実施形態において、主軸16の位置は固定されている。切削工具15は、テーブル13とともに移動するワークに対して相対的に移動する。
【0018】
2.CNC制御部12
CNC制御部12は、NC(Numerical Control)プログラムに従って、工作機械11を制御する。NCプログラムには、Gコード及びOコードが含まれる。Gコードは、工作機械11におけるテーブル13の移動や座標系の設定などを処理するために用いられる。Gコードには、目標座標値(X,Y,Z)と、目標座標値(X,Y,Z)に向かってテーブル13を移動させる際の送り速度(Fコード)とが含まれる。Oコードは、プログラムを識別のためのプログラム番号である。
【0019】
CNC制御部12は、切削工具15を用いてワークに切削加工を施工したときの、テーブル13のx軸方向におけるストローク(以下、「x軸ストローク」という。)とy軸方向におけるストローク(以下、「y軸ストローク」という。)とz軸方向におけるストローク(以下、「z軸ストローク」という。)とを取得する。
【0020】
x軸ストロークは、x軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、x軸方向における最大値及び最小値によって規定される。y軸ストロークは、y軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、y軸方向における最大値及び最小値によって規定される。z軸ストロークは、z軸方向におけるテーブル13の移動範囲を示しており、z軸方向における最大値及び最小値によって規定される。x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークは、各軸方向におけるテーブル13の移動軌跡、又は、テーブル13の座標によって表される。
【0021】
本開示では、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれのことを「加工範囲」と称し、切削工具15の加工範囲を示す情報のことを切削工具15の「加工範囲情報」と称する。以下の説明では、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークを纏めて「加工範囲」と総称する場合がある。
【0022】
CNC制御部12は、ワークを切削加工するたびに、加工時のx軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークを含む制御データを管理装置20に送信する。
【0023】
[管理装置20]
管理装置20は、
図1に示されるように、記憶部21、収集部22、推定部23、通信部24及び処理部25を有する。
【0024】
管理装置20の機能は、サーバーにより達成される。サーバーはシステム管理者により管理される。サーバーはクラウドサーバーであってよい。クラウドサーバーは専門の事業者により所有・管理され、システム1の利用者によりサーバーとして利用される。
【0025】
管理装置20(具体的には、通信部24)は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して、複数の工作機械装置10及び複数の端末装置30それぞれと相互に無線或いは有線で通信可能である。
【0026】
1.記憶部21
【0027】
記憶部21は、
図2に示すように、各工作機械11について、属性情報I、切削工具15の加工範囲情報、及び収容空間14のサイズ情報を記憶する。
【0028】
属性情報Iには、稼働率、設置場所及び設備種類の情報が含まれる。稼働率とは、各加工装置10の稼働状況を表す指標である。稼働率は、例えば、生産量と生産能力との比から求められる。稼働率は、通信部24が受信した制御データの受信時間を稼働時間として処理部25が演算した比率であってもよい。設置場所とは、各工作機械11が設置された場所(例えば、国名及び工場名など)を示す。設備種類とは、各工作機械11の種類(例えば、マシニングセンタ、NC旋盤、NCフライス盤など)を示す。各工作機械11の属性情報Iは、システム管理者が記憶部21に記憶させてもよいし、各CNC制御部12から受信する制御データに含まれていて、その情報を記憶部21が抽出して記憶してもよい。
【0029】
加工範囲情報は、収集部22によって記憶部21に記憶される。
【0030】
収容空間14のサイズは、推定部23によって推定され、収容空間14のサイズ情報は、推定部23によって記憶部21に記憶される。
【0031】
2.収集部22
【0032】
収集部22は、加工の都度、各工作機械装置10のCNC制御部12から発信される制御データを受信する。収集部22は、制御データに含まれる加工範囲情報を記憶部21に記憶させる。
【0033】
加工範囲情報によって示される加工範囲が、記憶部21に記憶されている加工範囲内に収まっていない場合、収集部22は、制御データに含まれる加工範囲情報に基づいて、記憶部21に記憶されている加工範囲情報を更新(拡大)させる。
【0034】
2.推定部23
推定部23は、各工作機械11の加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、収容空間14のサイズを推定する。
【0035】
具体的には、推定部23は、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINの差分のうち最大の差分を収容空間14のサイズとして推定する。従って、本実施形態では、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークのうち最も長いストロークが、収容空間14のサイズとされる。
【0036】
ただし、最大値MAX及び最小値MINの差分から収容空間14のサイズを推定する際、差分をそのまま収容空間14のサイズとしてもよいが、例えば、差分の一の位を切り捨てた値を収容空間14のサイズとするなどしてもよい。
【0037】
推定部23は、推定した収容空間14のサイズを記憶部21に記憶させる。
【0038】
3.端末装置30
ここで、端末装置30は、スマートフォンなどのスマートデバイス、或いはパーソナルコンピュータ等の情報処理機器である。端末装置30は、記憶部31、表示部32、受け付け部33及びクエリ生成部34を有する。
【0039】
記憶部31は、ワーク情報を記憶している。記憶部31は、複数のワークそれぞれの品番、ワークサイズ、加工種類、生産地及び販売予定地の情報を対応付けてワーク情報として記憶している。ワークの品番は、ワークに特有の識別番号である。通常、品番が異なればワークサイズも異なる。ワークの加工種類は、ワークに施す必要のある加工の種類(例えば、面削り加工、溝削り加工、穴開け加工など)を示す。各ワークの品番、ワークサイズ、加工種類、生産地及び販売予定地は、例えば、システム管理者が記憶部31に記憶させることができる。
【0040】
表示部32は、利用者が目視するディスプレイである。表示部32は、複数のワークそれぞれの品番を一覧表示する。
【0041】
受け付け部33は、利用者の操作を受け付ける。受け付け部33は、例えばキーボードやマウスである。受け付け部33は、複数の工作機械11のいずれかにおいて新たに加工されるワーク(以下、「加工予定ワーク」という。)の品番を示す指定情報を利用者から受け付ける。例えば、利用者が受け付け部33を用いて表示部32に表示された品番の中から加工予定ワークの品番を選択すると、受け付け部33は選択された品番を指定情報として受け付ける。受け付け部33は、利用者から受け付けた指定情報をクエリ生成部34に送信する。
【0042】
クエリ生成部34は、指定情報によって示される加工予定ワークの品番を取得する。クエリ生成部34は、記憶部31が記憶しているワーク情報を参照して、加工予定ワークの品番に対応付けて記憶されているワークサイズ、加工種類、生産地及び販売予定地の各情報を取得する。クエリ生成部34は、加工予定ワークの品番、ワークサイズ、加工種類、生産地及び販売予定地の各情報を示す要求クエリを管理装置20に送信する。
【0043】
4.処理部25
処理部25は、通信部24を介してクエリ生成部34から要求クエリを受信すると、記憶部21が記憶している収容空間14のサイズ情報を参照して、収容空間14のサイズと加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、複数の工作機械11の中から加工予定ワークを加工可能な工作機械11(以下、「工作機械候補」という。)を選択する。
【0044】
具体的には、処理部25は、収容空間14のサイズが加工予定ワークのワークサイズ以上である工作機械を工作機械候補として選択する。処理部25は、1以上の工作機械候補を選択すればよく、工作機械候補の数は特に制限されない。
【0045】
処理部25は、工作機械候補を複数選択した場合、記憶部21の属性情報Iを参照して各工作機械候補の稼働率、設置場所及び設備種類の各情報を取得するとともに、要求クエリを参照して加工予定ワークの加工種類、生産地及び販売予定地の各情報を取得する。
【0046】
処理部25は、各工作機械候補の稼働率に基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。具体的には、処理部25は、稼働率が低いほど工作機械候補の優先度を高くする。
【0047】
処理部25は、加工予定ワークの生産地及び販売予定地の各情報と工作機械候補の設置場所情報とに基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。具体的には、処理部25は、加工予定ワークの生産地が工作機械候補の設置場所に近いほど工作機械候補の優先度を高くし、加工予定ワークの販売予定地が工作機械候補の設置場所に近いほど工作機械候補の優先度を高くする。ただし、処理部25は、加工予定ワークの生産地及び販売予定地の各情報のうち一方のみを用いて各工作機械候補に優先度を付与してもよい。
【0048】
処理部25は、各工作機械候補の設備種類情報と加工予定ワークの加工種類情報とに基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。具体的には、処理部25は、加工予定ワークの加工種類によって示される加工を実行可能な設備種類の優先度を高くする。
【0049】
そして、処理部25は、上述した各種優先度のうち少なくとも1つを用いて複数の工作機械候補の優先順位を決定する。
【0050】
処理部25は、選択した1以上の工作機械候補を端末装置30の表示部32に表示させる。処理部25は、工作機械候補を複数選択した場合、各工作機械の優先順位を表示部32に表示させる。
【0051】
端末装置30の利用者は、表示部32に表示された工作機械候補を確認することによって、複数の工作機械の中から加工予定ワークを加工可能な工作機械を選択することができる。また、端末装置30の利用者は、表示部32に複数の工作機械候補が表示されている場合には、各工作機械候補の優先順位を確認することによって、複数の工作機械の中から加工予定ワークの加工に適した工作機械を選択することができる。
【0052】
(工作機械候補の選択方法)
次に、工作機械システム1において実行される工作機械候補の選択方法について、図面を参照しながら説明する。
図3は、工作機械候補の選択方法を説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップS1において、収集部22は、各工作機械11の加工範囲情報を収集する。
【0054】
ステップS2において、推定部23は、各工作機械11の加工範囲情報によって示される加工範囲の最大値及び最小値に基づいて、収容空間14のサイズを推定する。
【0055】
ステップS3において、処理部25は、収容空間14のサイズと加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、複数の工作機械11の中から加工予定ワークを加工可能な工作機械候補を選択する。
【0056】
ステップS4において、処理部25は、工作機械候補が複数選択されたか否かを判定する。
【0057】
ステップS4において、工作機械候補が複数選択されていないと判定された場合、ステップS5において、処理部25は、選択された1つの工作機械候補を表示部32に表示させて処理を終了する。
【0058】
ステップS4において、工作機械候補が複数選択されたと判定された場合、ステップS6において、処理部25は、各工作機械候補の稼働率に基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。
【0059】
ステップS7において、処理部25は、加工予定ワークの生産地及び販売予定地の各情報と工作機械候補の設置場所情報とに基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。
【0060】
ステップS8において、処理部25は、各工作機械候補の設備種類情報と加工予定ワークの加工種類情報とに基づいて、各工作機械候補に優先度を付与する。
【0061】
ステップS9において、処理部25は、各種の優先度のうち少なくとも1つを用いて複数の工作機械候補の優先順位を決定する。
【0062】
ステップS10において、処理部25は、選択された複数の工作機械候補とそれらの優先順位とを表示部32に表示させて処理を終了する。
【0063】
(変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0064】
(変形例1)
上記実施形態において、推定部23は、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークそれぞれの最大値MAX及び最小値MINの差分のうち最大の差分を収容空間14のサイズとして推定することとしたが、これに限られない。
【0065】
例えば、推定部23は、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークのうち1つのストロークの最大値MAX及び最小値MINの差分を収容空間14のサイズとして推定してもよい。一般的には、x軸ストローク、y軸ストローク及びz軸ストロークのうちx軸ストロークが最も大きいため、x軸方向のサイズが適合していれば、y,z軸方向のサイズも適合する。よって、多くの場合において、x軸ストロークの最大値MAX及び最小値MINの差分を収容空間14のサイズとして推定することができる。
【0066】
(変形例2)
上記実施形態では、x軸方向及びy軸方向が水平方向に平行であり、z軸方向は鉛直方向であることとしたが、これに限られない。x,y,z軸方向は、互いに直交している限り、水平方向や鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
【0067】
(変形例3)
上記実施形態において、受け付け部33は、加工予定ワークの品番を利用者から受け付けることとしたが、加工予定ワークのワークサイズを直接受け付けてもよい。この場合、記憶部31は、各ワークのワークサイズを記憶している必要はない。
【0068】
(変形例4)
上記実施形態において、処理部25は、工作機械候補を複数選択した場合、各工作機械候補の稼働率、設置場所及び設備種類や加工予定ワークの加工種類、生産地及び販売予定地を適宜用いて工作機械候補に優先度を付与することとしたが、これに限られない。
【0069】
処理部25は、加工済みワークのワークサイズと加工予定ワークのワークサイズとに基づいて、各工作機械候補に優先度を付与してもよい。加工済みワークのワークサイズは、各工作機械11における加工時の切削工具15の移動軌跡に基づいて推定することができる。具体的には、切削工具15の移動軌跡から、x軸方向、y軸方向及びz軸方向それぞれにおける刃先の位置座標の最大値及び最小値の差分を求め、求めた差分が加工予定ワークのワークサイズとして推定される。ただし、加工済みワークのワークサイズは、x軸方向、y軸方向及びz軸方向のうち1つ又は2つの方向における刃先の位置座標の最大値及び最小値の差分を加工予定ワークのワークサイズとして推定してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 工作機械システム
10a~10c 第1乃至第3工作機械装置
11 工作機械
12 CNC制御部
13 テーブル
14 収容空間
15 切削工具
20 管理装置
21 記憶部
22 収集部
23 推定部
24 通信部
25 処理部
30 端末装置
31 記憶部
32 表示部
33 受け付け部
34 クエリ生成部
I 工作機械の属性情報