IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066773
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】空中表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20220422BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175304
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】代工 康宏
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
【Fターム(参考)】
2H042CA14
2H199BA32
2H199BB20
2H199BB27
2H199BB53
2H199BB65
2H199BB68
(57)【要約】
【課題】 小型化が可能な空中表示装置を提供する。
【解決手段】 空中表示装置は、画像を表示する表示素子11と、表示素子11からの光を反射し、表示素子11と反対側の空中に画像を表示させるプリズム素子12とを含む。プリズム素子12は、水平面内に配列された複数の要素プリズム20を含む。要素プリズム20は、6面体からなり、光を屈折する第1及び第2屈折面と、光を反射する第1及び第2反射面とを含む。第1屈折面は、6面体の底面に対応し、水平面内に平行な第1方向に対して傾いている。第2屈折面は、6面体の上面に対応し、第1方向に対して傾いている。第1反射面は、6面体の1つの側面に対応し、法線方向に平行である。第2反射面は、6面体の他の1つの側面に対応し、第1反射面に接し、法線方向に平行である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示素子と、
前記表示素子からの光を反射し、前記表示素子と反対側の空中に画像を表示させるプリズム素子と、
を具備し、
前記プリズム素子は、水平面内に配列された複数の要素プリズムを含み、
前記複数の要素プリズムの各々は、6面体からなり、光を屈折する第1及び第2屈折面と、光を反射する第1及び第2反射面とを含み、
前記第1屈折面は、前記6面体の底面に対応し、前記水平面内に平行な第1方向に対して傾いており、
前記第2屈折面は、前記6面体の上面に対応し、前記第1方向に対して傾いており、
前記第1反射面は、前記6面体の1つの側面に対応し、法線方向に平行であり、
前記第2反射面は、前記6面体の他の1つの側面に対応し、前記第1反射面に接し、前記法線方向に平行である、空中表示装置。
【請求項2】
前記第1屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いており、
前記第2屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いている
請求項1に記載の空中表示装置。
【請求項3】
画像を表示する表示素子と、
前記表示素子からの光を反射し、前記表示素子と反対側の空中に画像を表示させるプリズム素子と、
を具備し、
前記プリズム素子は、
基板と、
前記基板の底面に設けられ、水平面内に配列された複数の要素プリズムと、
前記基板の上面に設けられ、光を屈折する複数の屈折部材と、
を含み、
前記複数の要素プリズムの各々は、6面体からなり、光を屈折する屈折面と、光を反射する第1及び第2反射面とを含み、
前記屈折面は、前記6面体の底面に対応し、前記水平面内に平行な第1方向に対して傾いており、
前記第1反射面は、前記6面体の1つの側面に対応し、法線方向に平行であり、
前記第2反射面は、前記6面体の他の1つの側面に対応し、前記第1反射面に接し、前記法線方向に平行であり、
前記複数の屈折部材は、前記第1方向に並んで配列され、それぞれが前記水平面内において前記第1方向に直交する第2方向に延び、それぞれが三角柱からなる、空中表示装置。
【請求項4】
前記屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いている
請求項3に記載の空中表示装置。
【請求項5】
平面視において、前記第1反射面は、前記第1方向に対して傾いており、
平面視において、前記第2反射面は、前記第1方向に対して傾いている
請求項1乃至4の何れか1項に記載の空中表示装置。
【請求項6】
前記第1反射面は、前記第1方向に対して45度傾いており、
前記第2反射面は、前記第1方向に対して45度傾いている
請求項5に記載の空中表示装置。
【請求項7】
前記第1反射面及び前記第2反射面は、互いに直交するように配置される
請求項1乃至6の何れか1項に記載の空中表示装置。
【請求項8】
前記プリズム素子は、透光性を有する材料で構成される
請求項1乃至7の何れか1項に記載の空中表示装置。
【請求項9】
光を発光する照明素子をさらに具備し、
前記表示素子は、液晶表示素子であり、前記照明素子からの光を透過する
請求項1乃至8の何れか1項に記載の空中表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中に画像を表示する空中表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像や動画を空中像として表示可能な空中表示装置が研究され、新しいヒューマンマシンインターフェースとして期待されている。空中表示装置は、例えば、2面コーナーリフレクタがアレイ状に配列された2面コーナーリフレクタアレイを用いて、表示素子の表示面から出射された光を反射し、空中に画像などを表示する。2面コーナーリフレクタアレイによる表示方法は、収差が無く、面対称の位置に画像などが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-67933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小型化が可能な空中表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によると、画像を表示する表示素子と、前記表示素子からの光を反射し、前記表示素子と反対側の空中に画像を表示させるプリズム素子とを具備し、前記プリズム素子は、水平面内に配列された複数の要素プリズムを含み、前記複数の要素プリズムの各々は、6面体からなり、光を屈折する第1及び第2屈折面と、光を反射する第1及び第2反射面とを含み、前記第1屈折面は、前記6面体の底面に対応し、前記水平面内に平行な第1方向に対して傾いており、前記第2屈折面は、前記6面体の上面に対応し、前記第1方向に対して傾いており、前記第1反射面は、前記6面体の1つの側面に対応し、法線方向に平行であり、前記第2反射面は、前記6面体の他の1つの側面に対応し、前記第1反射面に接し、前記法線方向に平行である空中表示装置が提供される。
【0006】
本発明の第2態様によると、前記第1屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いており、前記第2屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いている第1態様に係る空中表示装置が提供される。
【0007】
本発明の第3態様によると、画像を表示する表示素子と、前記表示素子からの光を反射し、前記表示素子と反対側の空中に画像を表示させるプリズム素子とを具備し、前記プリズム素子は、基板と、前記基板の底面に設けられ、水平面内に配列された複数の要素プリズムと、前記基板の上面に設けられ、光を屈折する複数の屈折部材とを含み、前記複数の要素プリズムの各々は、6面体からなり、光を屈折する屈折面と、光を反射する第1及び第2反射面とを含み、前記屈折面は、前記6面体の底面に対応し、前記水平面内に平行な第1方向に対して傾いており、前記第1反射面は、前記6面体の1つの側面に対応し、法線方向に平行であり、前記第2反射面は、前記6面体の他の1つの側面に対応し、前記第1反射面に接し、前記法線方向に平行であり、前記複数の屈折部材は、前記第1方向に並んで配列され、それぞれが前記水平面内において前記第1方向に直交する第2方向に延び、それぞれが三角柱からなる空中表示装置が提供される。
【0008】
本発明の第4態様によると、前記屈折面は、前記第1方向に対して45度傾いている第3態様に係る空中表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第5態様によると、平面視において、前記第1反射面は、前記第1方向に対して傾いており、平面視において、前記第2反射面は、前記第1方向に対して傾いている第1乃至第4態様の何れかに係る空中表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第6態様によると、前記第1反射面は、前記第1方向に対して45度傾いており、前記第2反射面は、前記第1方向に対して45度傾いている第5態様に係る空中表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第7態様によると、前記第1反射面及び前記第2反射面は、互いに直交するように配置される第1乃至第6態様の何れかに係る空中表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第8態様によると、前記プリズム素子は、透光性を有する材料で構成される第1乃至第7態様の何れかに係る空中表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第9態様に係る空中表示装置は、第1乃至8態様において、光を発光する照明素子をさらに具備し、前記表示素子は、液晶表示素子であり、前記照明素子からの光を透過する第1乃至第8態様の何れかに係る空中表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型化が可能な空中表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る空中表示装置の斜視図である。
図2A図2Aは、プリズム素子の斜視図である。
図2B図2Bは、プリズム素子の一部領域の平面図である。
図2C図2Cは、プリズム素子の側面図である。
図3A図3Aは、1個の要素プリズムの斜視図である。
図3B図3Bは、要素プリズムの平面図である。
図3C図3Cは、要素プリズムの側面図である。
図4図4は、空中表示装置のブロック図である。
図5図5は、空中表示装置の動作を説明する模式図である。
図6A図6Aは、要素プリズムの動作を説明する模式図である。
図6B図6Bは、要素プリズムの動作を説明する模式図である。
図6C図6Cは、要素プリズムの動作を説明する模式図である。
図7A図7Aは、第1実施例に係るプリズム素子の斜視図である。
図7B図7Bは、第1実施例に係るプリズム素子の側面図である。
図7C図7Cは、第1実施例に係るプリズム素子の一部領域の底面図である。
図8A図8Aは、第2実施例に係るプリズム素子の斜視図である。
図8B図8Bは、第2実施例に係るプリズム素子の側面図である。
図9図9は、第2実施例に係るプリズム素子の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[1] 空中表示装置1の構成
図1は、実施形態に係る空中表示装置1の斜視図である。図1のX方向は、空中表示装置1のある1辺に沿った方向であり、Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、Z方向は、XY平面に直交する方向(法線方向ともいう)である。
【0018】
空中表示装置1は、照明素子10、表示素子11、及びプリズム素子12を備える。照明素子10、表示素子11、及びプリズム素子12は、この順にZ方向に沿って配置され、また、それぞれの主面が平行になるように配置される。図1では、空中表示装置1を構成する複数の素子が浮いているように示されているが、これらの素子(照明素子10、表示素子11、及びプリズム素子12)は、図示しない支持部材によって、図面の位置に固定される。
【0019】
照明素子10は、照明光を発光し、この照明光を表示素子11に向けて出射する。照明素子10は、面光源からなる。照明素子10は、例えば、サイドライト型(エッジライト型)のバックライトで構成される。照明素子10は、光源部10A、及び導光板10Bを備える。光源部10Aは、導光板10Bの側面に配置され、導光板10Bの側面に向けて照明光を発光する。導光板10Bは、光源部10Aからの照明光を表示素子11に向けて出射する。光源部10Aは、例えば、白色光を発光する複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。
【0020】
表示素子11は、透過型の表示素子である。表示素子11は、例えば液晶表示素子で構成される。表示素子11の駆動モードについては特に限定されず、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、又はホモジニアスモードなどを用いることができる。表示素子11は、照明素子10から出射された照明光を受ける。表示素子11は、照明光を透過して光変調を行う。そして、表示素子11は、その表示面に所望の画像及び/又は動画を表示する。
【0021】
プリズム素子12は、表示素子11を透過した表示光を受ける。プリズム素子12は、表示光を屈折及び反射することで、表示素子11と反対側の空中に空中像を表示する。プリズム素子12で反射された表示光は、プリズム素子12の表示素子11と反対側にいる観察者に視認される。
【0022】
[2] プリズム素子12の具体的な構成
次に、プリズム素子12の具体的な構成について説明する。図2Aは、プリズム素子12の斜視図である。図2Bは、プリズム素子12の一部領域の平面図である。図2Cは、プリズム素子12の側面図であり、プリズム素子12をY方向に向かって見た図である。
【0023】
プリズム素子12は、X方向及びY方向に沿って配列された複数の要素プリズム20を備える。複数の要素プリズム20は、互いに間隔を空けて配置され、千鳥状に配列される。要素プリズム20は、透光性を有し、例えばアクリル樹脂で構成される。
【0024】
図3Aは、1個の要素プリズム20の斜視図である。図3Bは、要素プリズム20の平面図であり、要素プリズム20をXY平面で見た図である。図3Cは、要素プリズム20の側面図であり、要素プリズム20をXZ平面で見た図である。
【0025】
各要素プリズム20は、6面体からなる。要素プリズム20は、2個の屈折面20A、20B、及び2個の反射面20C、20Dを含む。屈折面20Aは、6面体の底面に対応し、屈折面20Bは、6面体の上面に対応し、反射面20C、20Dは、6面体の側面に対応する。反射面20C、20Dは、Z方向(法線方向)に平行である。反射面20Cと反射面20Dとは、互いに接し、例えば90度の角度をなして配置される。図3Bに示すように、6面体の4個の側面は、例えば90度の角度をなして配置される。平面視において、反射面20Cは、X方向に対して角度θ1をなすように斜めに配置される。角度θ1は、例えば45度である。同様に、平面視において、反射面20Dは、Y方向に対して角度θ1をなすように斜めに配置される。なお、角度θ1は、45度に限定されず、30度以上60度以下の範囲で設定可能である。
【0026】
図3Cに示すように、屈折面20Aは、X方向に対して角度θ2をなすように斜めに配置され、また、反射面20Cと反射面20Dとが接する線に向かって要素プリズム20のサイズが大きくなるように斜めに配置される。屈折面20Bは、X方向に対して角度θ3をなすように斜めに配置され、また、反射面20Cと反射面20Dとが接する線に向かって要素プリズム20のサイズが大きくなるように斜めに配置される。角度θ2及び角度θ3は、例えば45度である。角度θ2及び角度θ3は、同じに設定される。なお、角度θ2及び角度θ3は、45度に限定されず、30度以上60度以下の範囲で設定可能である。
【0027】
屈折面20A、20Bはそれぞれ、界面で光を屈折させる機能を有する。反射面20C、20Dはそれぞれ、界面で光を反射する機能を有する。
【0028】
なお、隣接する要素プリズム20間に反射膜を設け、この反射膜によって隣接する要素プリズム20が接するように構成してもよい。これにより、複数の要素プリズム20を一体で固定できる。
【0029】
また、要素プリズム20の側面に部分的に微細な凹凸を形成し、この凹凸によって隣接する要素プリズム20が部分的に接するように構成してもよい。この場合も、複数の要素プリズム20を一体で固定できる。
【0030】
[3] 空中表示装置1のブロック構成
図4は、空中表示装置1のブロック図である。空中表示装置1は、照明素子10、表示素子11、プリズム素子12、表示駆動回路14、電圧発生回路15、及び制御回路16を備える。
【0031】
表示駆動回路14は、表示素子11に信号を供給し、表示素子11を駆動する。そして、表示駆動回路14は、表示素子11に画像及び/又は動画を表示させる。
【0032】
電圧発生回路15は、照明素子10及び表示駆動回路14が動作するのに必要な複数種類の電圧を発生し、これらの電圧を照明素子10及び表示駆動回路14に供給する。
【0033】
制御回路16は、空中表示装置1全体の動作を制御する。すなわち、制御回路16は、照明素子10、表示駆動回路14、及び電圧発生回路15を制御する。そして、制御回路16は、所望の表示位置に空中像13を表示させる。
【0034】
[4] 動作
上記のように構成された空中表示装置1の動作について説明する。図5は、空中表示装置1の動作を説明する模式図である。
【0035】
照明素子10は、照明光を表示素子11に向けて出射する。表示素子11は、照明素子10から出射された照明光を透過するとともに、画像及び/又は動画を表示する。プリズム素子12は、表示素子11から出射された表示光を屈折及び反射することで、空中に空中像13を表示する。図5において、照明素子10上の黒丸は照明光の出射位置を表し、空中像13内の黒丸は表示光の結像位置を表している。
【0036】
図6A図6Cは、要素プリズム20の動作を説明する模式図である。図6Aは、要素プリズム20の斜視図である。図6Bは、要素プリズム20の平面図であり、要素プリズム20をXY平面で見た図である。図6Cは、要素プリズム20の側面図であり、要素プリズム20をXZ平面で見た図である。
【0037】
表示素子11から出射された光は、要素プリズム20の屈折面20Aに入射し、屈折面20Aで屈折する。この時、“入射角>屈折角”の関係を有する。続いて、屈折面20Aを透過した光は、反射面20C及び反射面20Dで2回反射される。続いて、反射面20C及び反射面20Dで反射された光は、屈折面20Bに入射し、屈折面20Bで屈折する。この時、“入射角<屈折角”の関係を有する。屈折面20Bを透過した光は、空中像13を結像する。
【0038】
図6A図6Cにおいて、下側の黒丸は光源を表し、上側の黒丸は光の結像位置を表している。図6A図6Cにおいて、白い四角は光が屈折する位置を表し、白丸は光が反射する位置を表している。空中像13は、要素プリズム20に対して光源と対称な位置に結像する。
【0039】
[5] プリズム素子12の実施例
次に、プリズム素子12の実施例について説明する。図7Aは、第1実施例に係るプリズム素子12の斜視図である。図7Bは、第1実施例に係るプリズム素子12の側面図であり、プリズム素子12をY方向に向かって見た図である。図7Cは、第1実施例に係るプリズム素子12の一部領域の底面図である。
【0040】
プリズム素子12は、複数の要素プリズム20、基板21、及び複数の屈折部材22を備える。複数の要素プリズム20、基板21、及び複数の屈折部材22は、透光性を有し、例えばアクリル樹脂で構成される。
【0041】
基板21は、XY平面に広がる板状の部材である。基板21の平面形状は、四角形である。
【0042】
基板21の底面には、複数の要素プリズム20が設けられる。各要素プリズム20は、6面体からなる。要素プリズム20は、上面が水平に形成されている以外は、図3A図3Cで説明した要素プリズムと同じ構成である。すなわち、要素プリズム20は、前述した屈折面20B、及び反射面20C、20Dを含む。要素プリズム20の上面は、基板21の底面に接する。複数の要素プリズム20の配列も、図2Aで説明した要素プリズムと同じである。
【0043】
基板21の上面には、複数の屈折部材22が設けられる。複数の屈折部材22は、X方向に並んで配置される。各屈折部材22は、Y方向に延びる三角柱からなる。屈折部材22は、屈折面22Aを有する。屈折面22Aは、X方向に対して斜めに配置され、X方向に向かって屈折部材22のサイズが大きくなるように斜めに形成される。屈折面22Bは、例えばX方向に対して45度斜めに形成される。屈折部材22の屈折面22Aは、前述した要素プリズム20の上面に対応する屈折面20Bと同じ機能を有する。
【0044】
上記のように構成された第1実施例に係るプリズム素子12は、実施形態で説明したプリズム素子と同じ動作を実現できる。
【0045】
図8Aは、第2実施例に係るプリズム素子12の斜視図である。図8Bは、第2実施例に係るプリズム素子12の側面図であり、プリズム素子12をY方向に向かって見た図である。
【0046】
プリズム素子12は、複数の要素プリズム20、第1基板21、複数の第1屈折部材22、第2基板23、及び複数の第2屈折部材24を備える。複数の要素プリズム20、第1基板21、複数の第1屈折部材22、第2基板23、及び複数の第2屈折部材24は、透光性を有し、例えばアクリル樹脂で構成される。第1基板21、及び複数の第1屈折部材22の構成は、第1実施例と同じである。
【0047】
複数の要素プリズム20は、四角柱からなる。各要素プリズム20は、光を2回反射する機能を有する。要素プリズム20は、前述した実施形態と同様に、反射面20C、20Dを含む。複数の要素プリズム20の配列も、図2Aで説明した要素プリズム20と同じである。
【0048】
第2基板23は、XY平面に広がる板状の部材である。第2基板23の平面形状は、四角形である。要素プリズム20の底面は、第2基板23の上面に接する。
【0049】
第2基板23の底面には、複数の第2屈折部材24が設けられる。複数の第2屈折部材24は、X方向に並んで配置される。各第2屈折部材24は、Y方向に延びる三角柱からなる。第2屈折部材24は、屈折面24Aを有する。屈折面24Aは、X方向に対して斜めに配置され、X方向に向かって第2屈折部材24のサイズが大きくなるように斜めに形成される。屈折面24Bは、例えばX方向に対して45度斜めに形成される。第2屈折部材24の屈折面24Aは、前述した要素プリズム20の底面に対応する屈折面20Aと同じ機能を有する。
【0050】
上記のように構成された第2実施例に係るプリズム素子12は、実施形態で説明したプリズム素子と同じ動作を実現できる。
【0051】
次に、第2実施例に係るプリズム素子12の製造方法の一例について説明する。図9は、第2実施例に係るプリズム素子12の製造方法を説明する図である。
【0052】
図9(a)に示すように、複数の要素プリズム20、第1基板21、及び複数の第1屈折部材22を一体で形成して、第1光学素子12Aを形成する。続いて、図9(b)に示すように、第2基板23、及び複数の第2屈折部材24を一体で形成し、第2光学素子12Bを形成する。
【0053】
続いて、第2基板23の上面に、透明な接着剤25を塗布する。続いて、接着剤25を介して、第1光学素子12Aと第2光学素子12Bとを貼り合わせる。このようにして、図8Bに示すプリズム素子12が形成される。
【0054】
[6] 実施形態の効果
以上詳述したように実施形態では、空中表示装置1は、照明素子10、表示素子11、及びプリズム素子12を備える。照明素子10、表示素子11、及びプリズム素子12は、この順に法線方向に沿って配置され、また、それぞれの主面が平行になるように配置される。照明素子10及び表示素子11は、表示光をプリズム素子12に法線方向に入射させる。プリズム素子12は、表示素子11からの表示光を屈折及び反射し、表示素子11と反対側の空間に画像及び/又は動画を表示させる。
【0055】
従って実施形態によれば、プリズム素子12に対して、照明素子10及び表示素子11を斜めに配置する必要がない。これにより、空中像の表示品質を維持しつつ、法線方向に小型化が可能な空中表示装置1を実現できる。また、水平方向においても小型化が可能な空中表示装置1を実現できる。
【0056】
上記実施形態では、表示素子として液晶表示素子を例に挙げて説明しているが、液晶表示素子以外の表示素子、例えば自発光型である有機EL(electroluminescence)表示素子などを用いてもよい。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0058】
1…空中表示装置、10…照明素子、10A…光源部、10B…導光板、11…表示素子、12…プリズム素子、13…空中像、14…表示駆動回路、15…電圧発生回路、16…制御回路、20…要素プリズム、21…基板、22…屈折部材、23…基板、24…屈折部材、25…接着剤。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9