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  • 特開-工作機械のベッド及び工作機械 図1
  • 特開-工作機械のベッド及び工作機械 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006680
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】工作機械のベッド及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B23Q1/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109052
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】舩戸 繁
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA03
3C048BB01
(57)【要約】
【課題】往復移動する移動体を案内するガイドをベッドの上面に備えたものであっても、昇降器具による精度調整を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】複合加工機1のベッド2は、上面に、上サドル3の往復移動を案内する上サドルガイド5A,5Bを備え、床面に設けた複数のジャッキ30,30によりレベル調整可能に支持されると共に、中間ジャッキ40は、上サドル3の往復移動領域の下方に配置されて上端にレベル調整用の六角頭部42を有し、六角頭部42をベッド2の上面から操作可能に配置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に、移動体の往復移動を案内するガイドを備え、床面に設けた複数の昇降器具によりレベル調整可能に支持される工作機械のベッドであって、
前記昇降器具の少なくとも1つは、前記移動体の往復移動領域の下方に配置されて上端にレベル調整用の操作部を有し、前記操作部を前記ベッドの上面から操作可能に配置したことを特徴とする工作機械のベッド。
【請求項2】
前記移動体の往復移動領域の下方に配置される前記昇降器具は、前記ベッドの前後方向の中央に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械のベッド。
【請求項3】
前記ガイドは、前後に一対設けられ、前記操作部は、前記一対のガイドの間に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械のベッド。
【請求項4】
前記移動体は、水平方向に往復移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の工作機械のベッド。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の工作機械のベッドを有し、前記ベッドのガイド上に移動体を往復移動可能に設置してなる工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に設けられるベッド及び当該ベッドを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械のベッドは、レベル調整が可能なジャッキ等の昇降器具によって床面に支持される。この昇降器具は、工作機械の据え付け時に調整できるように、ベッドの四隅や周壁に沿って設けられる。例えば特許文献1には、レベリングブロックをベッドの四隅及び側壁の中央部に配置した位置調整構造が開示されている。
図2は、工作機械の一例である複合加工機1の概略を示している。この複合加工機1では、ベッド2上に、移動体である上サドル3及び下サドル4が、ベッド2上に設けた上サドルガイド5A,5B及び下サドルガイド6A,6Bに沿ってZ軸方向へ往復移動する。上サドル3には、コラム7、中台8、第1刃物台9が設けられ、下サドル4には、第2刃物台10が設けられる。ベッド2の前後には、昇降器具となるジャッキ30,30が設けられて、スクリュー軸31の回転操作によりレベル調整が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-108611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2のように移動体を備える複合加工機1においては、上サドル3から加わる重量によってベッド2が変形するおそれがある。しかし、ジャッキ30,30は、ベッド2の外側に配置されるため、上サドルガイド5A,5Bがベッド2の中央部に位置していると、変形が生じるベッド2の中央部と外側のジャッキ30との距離が遠くなり、精度調整が難しい上、据え付け後に再調整が必要となる場合も生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、往復移動する移動体を案内するガイドをベッドの上面に備えたものであっても、昇降器具による精度調整を容易に行うことができる工作機械のベッド及び工作機械を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち、第1の発明は、上面に、移動体の往復移動を案内するガイドを備え、床面に設けた複数の昇降器具によりレベル調整可能に支持される工作機械のベッドであって、
前記昇降器具の少なくとも1つは、前記移動体の往復移動領域の下方に配置されて上端にレベル調整用の操作部を有し、前記操作部を、前記ベッドの上面から操作可能に配置していることを特徴とする。
なお、「昇降器具」とは、ジャッキやレベリングブロック等、床面に設置されてベッドを支持し、所定の操作によって昇降動作してベッドのレベル調整を可能とする器具を指す。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記移動体の往復移動領域の下方に配置される前記昇降器具は、前記ベッドの前後方向の中央に配置されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記ガイドは、前後に一対設けられ、前記操作部は、前記一対のガイドの間に位置していることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記移動体は、水平方向に往復移動することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、工作機械であって、請求項1乃至4の何れかに記載の工作機械のベッドを有し、前記ベッドのガイド上に移動体を往復移動可能に設置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体の往復移動領域の下方に配置される昇降器具の操作部がベッドの上面から操作可能に配置されているので、当該操作部をベッドの上面から操作することで、移動体の重量によるベッドの変形を抑制できる。よって、往復移動する移動体を案内するガイドをベッドの上面に備えたものであっても、昇降器具による精度調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】複合加工機の概略図である。
図2】従来の複合加工機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、工作機械の一例である複合加工機を示す概略図である。図1では左側(Y軸+方向)を前方として説明する。
複合加工機1は、ベッド2上に、前後に位置する2組の上サドル3と下サドル4とを備えている。この上下サドル3,4は、ベッド2上に設けられた一対の平行な上サドルガイド5A,5Bと下サドルガイド6A,6Bとによって、それぞれZ軸方向へ水平に往復移動可能となっている。
上サドル3上には、コラム7が、前後移動可能に設置され、コラム7の前面には、中台8がX軸方向へ上下移動可能に設置されている。中台8の前面には、工具主軸を備えた第1刃物台9が、前後方向を軸として旋回可能に設置されている。
下サドル4上には、第2刃物台10が、X-Y方向の傾斜面に沿って往復移動可能に設置されている。
【0010】
ベッド2は、上面部21と、下面部22と、前面部23と、後面部24と、図示しない側面部とを有している。上面部21と下面部22との間で前後方向の中間部には、補強用のリブ25が、前面部23及び後面部24と平行に設けられている。このリブ25は、前側の上サドルガイド5Aよりやや後方に配置されている。
ベッド2の前後で床面上には、ジャッキ30が設けられている。ジャッキ30は、下面部22に螺合するスクリュー軸31を備えている。前面部23と後面部24とには、スクリュー軸31の上端が突出する凹部32がそれぞれ形成されている。凹部32内でスクリュー軸31の上端には、六角頭部33が設けられて、その下方にロックナット34が螺合している。
よって、前後の凹部32内で六角頭部33を工具によって回転操作することで、ベッド2の下面部22の前後の高さ調整を行うことができる。
【0011】
そして、ベッド2の内部で床面上には、中間ジャッキ40が設けられている。中間ジャッキ40は、リブ25の後方で下面部22に螺合するスクリュー軸41を備えている。このスクリュー軸41は、上方へ長く延びて上面部21を貫通し、上端をベッド2の上面で上サドルガイド5A,5Bの間(上サドル3の往復移動領域)に突出させている。この上端に六角頭部42が設けられて、その下方にロックナット43が螺合している。ジャッキ30と中間ジャッキ40とは、Z軸方向に所定間隔をおいて複数設置されている。
【0012】
以上の如く構成された複合加工機1においては、ベッド2のレベル調整を行う場合、前後のジャッキ30,30では前述のようにベッド2の前後から凹部32内に工具を差し入れてスクリュー軸31を回転操作すれば、前後の上下高さの精度調整が可能となる。
そして、ベッド2の前後方向の中央部でレベル調整を行う場合、上サドル3を中間ジャッキ40の上方から左右何れかへ移動させると、ベッド2上に六角頭部42が露出する。よって、ベッド2の上方から六角頭部42を回転操作すれば、中央部の上下高さの精度調整が可能となる。よって、上サドル3を介して上サドルガイド5A,5Bに加わる重量による上面部21のたわみを抑制することができる。この精度調整は機械の据え付け後も容易に行える。
【0013】
このように、上記形態のベッド2及び複合加工機1によれば、中間ジャッキ40(昇降器具)は、上サドル3(移動体)の往復移動領域の下方に配置されて上端にレベル調整用の六角頭部42(操作部)を有し、六角頭部42をベッド2の上面から操作可能に配置しているので、六角頭部42をベッド2の上面から操作することで、上サドル3の重量によるベッド2の変形を抑制できる。よって、往復移動する上サドル3を案内する上サドルガイド5A,5B(ガイド)をベッド2の上面に備えたものであっても、中間ジャッキ40による精度調整を容易に行うことができる。
【0014】
上記形態では、中間ジャッキを前側の上サドルガイド寄りに配置しているが、後側の上サドルガイド寄りに配置してもよいし、前後の上サドルガイドの中間位置に配置してもよい。中間ジャッキを前後に2つ以上配置してもよい。
また、中間ジャッキは、下サドルガイドの間にも1又は2つ以上配置することができる。
昇降器具となるジャッキ及び中間ジャッキの具体的な構成は上記形態に限らない。特に中間ジャッキは、ベッドの上面から操作可能であれば、操作部の形態は適宜変更可能である。例えば、操作部の上面に六角穴を設けて操作部をベッドの上面から突出させない構造としたり、ベッドに設けた穴の下方に操作部を配置してベッドの上面から突出させない構造としたりしてもよい。
工作機械も複合加工機に限らず、旋盤等であっても差し支えない。
【符号の説明】
【0015】
1・・複合加工機、2・・ベッド、3・・上サドル、4・・下サドル、5A,5B・・上サドルガイド、6A,6B・・下サドルガイド、7・・コラム、9・・第1刃物台、10・・第2刃物台、21・・上面部、22・・下面部、23・・前面部、24・・後面部、25・・リブ、30・・ジャッキ、31,41・・スクリュー軸、32・・凹部、33,42・・六角頭部、40・・中間ジャッキ。
図1
図2