(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066842
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20220422BHJP
B25J 17/00 20060101ALN20220422BHJP
【FI】
B25J19/00 H
B25J17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175402
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 雅裕
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707AS25
3C707BS15
3C707CY13
3C707CY27
3C707HT02
3C707HT20
3C707LV22
(57)【要約】
【課題】筐体から外部への塵埃の流出を防止し且つ筐体内部への外気の流入を防止することが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】ロボット1は、開口16Kを有する筐体11と、開口16Kを通過可能な状態で筐体11に収容され、上下方向に移動自在に構成された昇降体10と、昇降体10に連結されたアーム4と、筐体11の内部の気体を排出するための排気ファン13と、筐体11の開口16Kと昇降体10との隙間Gに向けて空気を送出可能なノズル部400と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
前記開口を通過可能な状態で前記筐体に収容され、第一方向と前記第一方向とは逆の第二方向とに移動自在に構成された可動体と、
前記可動体に連結されたアームと、
前記筐体の内部の気体を排出するための排気ファンと、
前記筐体の前記開口と前記可動体との隙間に向けて空気を送出可能なノズル部と、を備える産業用ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットであって、
前記第一方向は、前記筐体における前記開口側と反対側の端部から前記可動体が離れる方向であり、
前記可動体が前記第一方向に移動している状態において前記ノズル部から空気を送出させ、前記可動体が前記第二方向に移動している状態において、前記ノズル部からの空気の送出を停止させ且つ前記排気ファンを作動させる制御を行う制御部を備える産業用ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の産業用ロボットであって、
前記ノズル部は、前記筐体の前記開口側の端部上に設けられた、前記可動体が通過可能な第一貫通孔を有する平板部材と、空気送出源に連結された連結部材と、を有し、
前記平板部材は、前記第一貫通孔と前記連結部材とを繋ぐ空気流路を内部に有する産業用ロボット。
【請求項4】
請求項3記載の産業用ロボットであって、
前記平板部材は、前記可動体が通過可能な第二貫通孔を有するサブ平板部材と、前記第二貫通孔に挿入された枠状部材とにより構成され、
前記枠状部材には、前記可動体の可動方向に貫通する孔部が形成され、
前記孔部に前記連結部材が装着され、
前記サブ平板部材と前記枠状部材との間の空間によって前記空気流路が形成されている産業用ロボット。
【請求項5】
請求項4記載の産業用ロボットであって、
前記サブ平板部材の前記第二貫通孔は段付きの構造であり、
前記枠状部材には、内周縁部から前記サブ平板部材側に突出する第一凸部が形成されており、
前記サブ平板部材の内周部には、前記第二貫通孔の縁部から前記枠状部材側に突出し且つ前記枠状部材の前記第一凸部と対面する第二凸部が形成されており、
前記第一凸部と前記第二凸部との隙間により、前記空気流路の出口が形成されている産業用ロボット。
【請求項6】
請求項5記載の産業用ロボットであって、
前記枠状部材には、前記孔部が周方向に等間隔で配置されている産業用ロボット。
【請求項7】
請求項5又は6記載の産業用ロボットであって、
前記平板部材の厚み方向における、前記第一凸部と前記第二凸部との前記隙間の位置は、前記平板部材の厚みの中心位置よりも前記第一方向側にある産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、アームと、アームの基端側が上面側に連結される昇降体、昇降体の少なくとも下端側部分が収容される筐体、筐体に収容されるとともに筐体に対して昇降体を昇降させる昇降機構、及び筐体の内部の気体を排出するための排気ファンを含む本体部と、を備える産業用ロボットが記載されている。この産業用ロボットでは、昇降体が上昇又は下降するときに、筐体の内部空間の気体の全てを排気ファンによって本体部から排出することで、本体部の内部からアーム側の外部への塵埃の流出を防止することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の産業用ロボットのように、本体部の内部の空気の流出を防止する構成では、排気ファンの作動によって、本体部外部の空気が本体部内に流入することになる。しかし、本体部の内部に外気を極力吸い込みたくない状況もある。例えば、腐食ガスが充満している場所にて産業用ロボットが使用される場合には、この腐食ガスによる本体部の内部構造への影響を防ぐ必要がある。特許文献1は、このような課題については考慮していない。
【0005】
本発明の目的は、アームを移動自在に支持する筐体内から外部への塵埃の流出を防止し且つ筐体内部への外気の流入を防止することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の産業用ロボットは、開口を有する筐体と、上記開口を通過可能な状態で上記筐体に収容され、第一方向と上記第一方向とは逆の第二方向とに移動自在に構成された可動体と、上記可動体に連結されたアームと、上記筐体の内部の気体を排出するための排気ファンと、上記筐体の上記開口と上記可動体との隙間に向けて空気を送出可能なノズル部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アームを移動自在に支持する筐体内から外部への塵埃の流出を防止し且つ筐体内部への外気の流入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの斜視図である。
【
図4】
図1に示す本体部における上面部及びノズル部を上側から見た斜視図である。
【
図5】
図4に示す上面部及びノズル部を下側からみた斜視図である。
【
図6】
図5において上面部の図示を省略した斜視図である。
【
図7】
図6に示すサブ平板部材を下側からみた斜視図である。
【
図8】
図6に示す枠状部材を上側からみた斜視図である。
【
図9】
図1に示すロボットにおけるノズル部付近の縦端面図である。
【
図10】
図1に示すロボットにおけるノズル部付近の縦端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図である。以下では、鉛直方向を下方向と記載し、鉛直方向の逆方向を上方向と記載し、上方向と下方向を総称して上下方向と記載し、上下方向に垂直な方向を水平方向と記載する。
図1から
図3では、上下方向を方向Zにて示し、上下方向に直交し且つ互いに直交する2方向を方向Xと方向Yにて示している。
【0011】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型のロボットである。ロボット1は、半導体ウエハが搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム4と、アーム4の基端側が連結される本体部5とを備えている。ロボット1は、クリーンルームの中に配置されている。
【0012】
アーム4は、基端側が本体部5に回動可能に連結される第1アーム部7と、第1アーム部7の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部8と、第2アーム部8の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部9とから構成されている。2個のハンド3は、第3アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。2個のハンド3は、上下方向で重なるように配置されている。また、本体部5と第1アーム部7と第2アーム部8と第3アーム部9とハンド3とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0013】
(本体部の構成)
図2は、
図1に示す本体部5の縦断面図である。
図3は、
図1に示す本体部5の横断面図である。
【0014】
本体部5は、アーム4の基端側が上面側に回動可能に連結される昇降体10と、昇降体10を上下方向に昇降可能に保持する筐体11と、筐体11に収容されるとともに筐体11に対して昇降体10を昇降させる昇降機構12と、筐体11の上面部16に固定されたノズル部400と、筐体11の内部の気体(具体的には空気)を排出するための排気ファン13と、を備えている。本形態の本体部5は、1個の排気ファン13を備えている。
【0015】
筐体11の外形は、略角柱状となっている。筐体11は、筐体11の底面を構成する底面部15と、筐体11の上面を構成する上面部16と、筐体11の側面を構成する側面部17とを備えている。底面部15は、矩形の平板状に形成されており、底面部15の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。上面部16は、略半円板状に形成されており、上面部16の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。側面部17は、薄肉の略角筒状に形成されている。
【0016】
筐体11の内部には、空間(以下、この空間を「内部空間S」とする。)が形成されている。筐体11は、昇降機構12の一部を構成する後述のネジ軸25を保持するための保持部材18と、一端側が昇降体10に固定され他端側が筐体11に固定される配線や配管を支持する支持機構19(
図3参照)とを備えている。
図3に示すように、保持部材18は、側面部17の内周側に配置されている。保持部材18は、側面部17の内周面に固定されている。保持部材18には、昇降体10を上下方向へ案内するための2本のガイドレール20が固定されている。ガイドレール20は、ガイドレール20の長手方向と上下方向とが一致するように配置されている。2本のガイドレール20は、水平方向において一定の間隔をあけた状態で配置されている。支持機構19は、たとえば、ケーブルベヤ(登録商標)である。支持機構19は、側面部17の内周側に配置されている。
【0017】
図2に示すように、底面部15には、排気ファン13から排出される気体が通過する排気穴15aが形成されている。本形態では、1個の排気穴15aが底面部15に形成されている。排気穴15aは、上下方向で底面部15を貫通している。すなわち、排気穴15aは、筐体11を貫通している。排気穴15aの下側は、ロボット1が配置されるクリーンルームの外部に通じている。
【0018】
排気ファン13は、筐体11の内部に配置されている。また、排気ファン13は、底面部15の上面側に取り付けられている。本形態の排気穴15aは、段付き穴となっており、排気ファン13の下端部は、排気穴15aの上端部の中に配置されている。排気ファン13および排気穴15aは、昇降体10の真下に配置されている。排気ファン13は、下側に向かって筐体11の内部の気体を排出する。すなわち、排気ファン13は、筐体11の内部の気体が排気穴15aを通過してクリーンルームの外部に排出されるように、下側に向かって筐体11の内部の気体を排出する。
【0019】
上面部16には、昇降体10を昇降させるための開口16Kが形成されている。開口16Kは、上下方向で上面部16を貫通している。上面部16の上面には、略半円板状のノズル部400が固定されている。ノズル部400は、その厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。ノズル部400には、昇降体10を昇降させるための開口40Kが形成されている。開口40Kは、上下方向でノズル部400を貫通している。開口16Kと開口40Kの中には、昇降体10の一部が配置されている。
【0020】
図2に示すように、昇降機構12は、モータ23とボールネジ24とを備えている。ボールネジ24は、モータ23の動力で回転するネジ軸25と、ネジ軸25に係合するナット26とを備えている。モータ23は、筐体11の内部の下端側に固定されている。ネジ軸25は、ネジ軸25の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。ネジ軸25は、保持部材18に回転可能に保持されている。モータ23の出力軸には、プーリ27が取り付けられている。ネジ軸25の下端には、プーリ28が取り付けられている。プーリ27とプーリ28とには、ベルト29が架け渡されている。ナット26は、昇降体10に取り付けられており、モータ23が回転すると、昇降体10が筐体11に対して昇降する。
【0021】
昇降体10は、上下方向に長いブロック状に形成されている。
図3に示すように、昇降体10は、ガイドレール20に係合する2個のガイドブロック31を備えている。ガイドブロック31は、昇降体10の本体フレームに固定されている。昇降体10の下端には、底面部が形成されており、昇降体10の下端は、たとえば、この底面部によって封鎖されている。
【0022】
昇降体10の上端側の内部には、第1アーム部7および第2アーム部8を回動させて第1アーム部7と第2アーム部8とからなるアーム4の一部を伸縮させる駆動機構(図示省略)の一部が配置されている。たとえば、昇降体10の上端側の内部には、モータと、このモータの動力を減速して第1アーム部7に伝達するための減速機とが配置されている。減速機は、昇降体10と第1アーム部7との連結部(すなわち、関節部)を構成しており、第1アーム部7の基端側の下面は、減速機の出力軸に固定されている。
【0023】
昇降体10が下限位置まで下降しているとき(
図2に示す状態のとき)には、昇降体10の全体が筐体11の内部に配置されている。また、昇降体10が上限位置まで上昇しているときには、昇降体10の下端側部分が筐体11の内部に配置されている。すなわち、筐体11に対して昇降する昇降体10の少なくとも下端側部分は、筐体11に収容されている。また、昇降体10が下限位置まで下降しているときにも、昇降体10の上端部は、上面部16の開口16K及びノズル部400の開口40Kの中に配置されており、開口16K及び開口40Kの縁と、昇降体10の外周面との間には、常時、隙間G(
図9、
図10参照)が形成されている。排気穴15aの大きさは、昇降体10の昇降時に、排気ファン13から排出される気体が通過可能な大きさとなっている。
【0024】
(ノズル部材の構成)
図4は、本体部5における上面部16及びノズル部400を上側から見た斜視図である。
図5は、
図4に示す上面部16及びノズル部400を下側からみた斜視図である。
図6は、
図5において上面部16の図示を省略した斜視図である。
【0025】
図6に示すように、ノズル部400は、厚み方向が上下方向と一致し且つ上下方向に貫通する開口40Kを有する平板状の平板部材40と、平板部材40に固定された図示の例では4つの継手43と、を備える。各継手43には図示省略の配管が連結されている。この配管は、クリーンルームの外部に設置された圧縮空気を送出するポンプ等の空気送出源に接続されている。この配管には、電磁弁が設けられており、空気送出源から継手43へ空気を供給する状態と、空気送出源から継手43への空気の供給を停止する状態とを切替可能となっている。電磁弁と配管は、筐体11に収容されている。
【0026】
平板部材40は、厚み方向が上下方向と一致し且つ上下方向に貫通する貫通孔41Kを有するサブ平板部材41と、貫通孔41Kに挿入された状態でサブ平板部材41と固定された略八角形状の枠状部材42と、から構成されている。
【0027】
図7は、サブ平板部材41を下側からみた斜視図である。
図8は、枠状部材42を上側からみた斜視図である。
図9及び
図10は、ロボット1におけるノズル部400付近の縦端面図である。
図9と
図10は、断面の切断位置が方向Yにおいて異なっている。
【0028】
図7に示すように、サブ平板部材41の貫通孔41Kは、下側から上側に向かって狭くなる段付き構造となっている。具体的には、貫通孔41Kは、最も上側に位置する上段開口部411と、上段開口部411よりも径が大きく且つ最も下側に位置する下段開口部412と、上段開口部411と下段開口部412の間の中段開口部413と、から構成されている。中段開口部413の径は、上段開口部411より大きく、下段開口部412より小さい。上段開口部411と中段開口部413の間は上下方向に垂直な枠状の平面部414となっている。中段開口部413と下段開口部412の間は上下方向に垂直な枠状の平面部415となっている。
図7及び
図9に示すように、平面部414における上段開口部411側の縁部には、下方向に突出する枠状の第二凸部414aが形成されている。
【0029】
図8に示すように、枠状部材42の上面421には、枠状部材42の開口423側の端部から上側に突出する枠状の凸部422が形成されている。枠状部材42の上面421における凸部422よりも外側には、継手43が装着される継手装着用孔421aが4つ形成されている。
図10に示すように、継手装着用孔421aは、枠状部材42を上下方向(厚み方向)に貫通している。4つの継手装着用孔421aは、枠状部材42の周方向において等間隔で並んで形成されている。4つの継手装着用孔421aの各々には、
図6及び
図10に示すように継手43が装着されている。
図8及び
図9に示すように、凸部422の上面422aには、枠状部材42の開口423側の縁部から上側に突出する第一凸部424が形成されている。
【0030】
図7に示したサブ平板部材41の平面部415と、
図8に示した枠状部材42の上面421とが突き合わされた状態で、
図6に示すように、平面部415と枠状部材42とがネジやボルトによって固定されている。この固定状態では、サブ平板部材41の上段開口部411と枠状部材42の開口423とによって、平板部材40の開口40Kが構成されている。また、
図9に示すように、枠状部材42の第一凸部424とサブ平板部材41の第二凸部414aとが、僅かな隙間Spaを空けた状態で対面している。この隙間Spaは、平板部材40の開口40Kに露出しており、この開口40Kを移動可能な昇降体10の外周を取り囲むように形成されている。隙間Spaの上下方向の位置は、平板部材40の厚み方向の中心位置よりも上側となっている。また、この固定状態では、サブ平板部材41の内周部(貫通孔41Kの内面)と枠状部材42とで囲まれる空間SPが平板部材40の内部に形成されている。空間SPは、枠状部材42に形成された4つの継手装着用孔421aと、上記の隙間Spaとを除くと、密閉された空間となっている。
【0031】
枠状部材42に形成された4つの継手装着用孔421aは、空間SPと連通するように、空間SPと重なる位置に形成されている。上記の空気送出源が作動すると、配管及び継手43を介して、空間SPに空気が供給される。空間SPに供給された空気は、上記の隙間Spaから平板部材40の開口40Kに向けて送出される。このように、空間SPは、継手43から供給される空気を開口40Kに送出する空気流路を構成している。隙間Spaは、この空気流路の出口を構成している。継手43は、この空気流路の入り口を構成している。
図5に示したように、上面部16の開口16Kは、継手43が露出するように構成されている。
【0032】
筐体11の内部には、図示していないが、ハンド3の制御、アーム4の制御、モータ23の制御による昇降体10の上昇及び下降の制御、排気ファン13の制御、上述した配管の電磁弁の制御等を行う制御部(具体的には、プロセッサ)が収容されている。この制御部は、昇降体10を上昇させる制御を行う場合には、排気ファン13を停止し、且つ、電磁弁を開けてノズル部400の隙間Spaから空気を送出させる。一方、制御部は、昇降体10を下降させる制御を行う場合には、電磁弁を閉じ且つ排気ファン13を作動させる。
【0033】
(本形態の主な効果)
本形態では、昇降体10が上昇するときにノズル部400の隙間Spaから空気が送出される。このため、筐体11の開口16K及びノズル部400の開口40Kの縁と昇降体10の外周面との間の隙間Gから、筐体11の内部空間Sの気体が排出されるのを防止することができる。また、昇降体10が上昇するときに、隙間Gを介して、ノズル部400からの空気が筐体11に流入することで、筐体11の内部を正圧にすることができ、筐体11に外気が侵入するのを防ぐことができる。この結果、筐体11の内気の流出防止と、筐体11への外気の侵入防止とを実現できる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0035】
上述した形態において、平板部材40は、サブ平板部材41と枠状部材42の2部材で構成されている。しかし、平板部材40は、単一の部材によって構成されていてもよい。平板部材40を複数の部材の突合せによって構成する場合には、単一の部材によって平板部材40を構成する場合よりも、製造コストを下げることができる。
【0036】
上述した形態において、本体部5は、昇降体10を水平方向に移動可能に構成されたものであってもよい。
【0037】
上述した形態において、排気ファン13および排気穴15aは、昇降体10の真下からずれた位置に配置されていても良い。また、排気穴15aは、側面部17に形成されていても良い。また、上述した形態において、本体部5は、2個以上の排気ファン13を備えていても良い。この場合には、排気ファン13の数に応じて、排気ファン13の個数と同数の排気穴15aが形成される。また、上述した形態において、昇降体10が下限位置まで下降しているときに、昇降体10の上端部が筐体11の上端より上側へ突出していても良い。
【0038】
上述した形態において、第3アーム部9の先端側に1個のハンド3が取り付けられていても良い。また、上述した形態において、アーム4は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、液晶用のガラス基板等の他の搬送対象物を搬送するロボットであっても良い。
【0039】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0040】
(1)
開口(開口16K)を有する筐体(筐体11)と、
上記開口を通過可能な状態で上記筐体に収容され、第一方向(上方向)と上記第一方向とは逆の第二方向(下方向)とに移動自在に構成された可動体(昇降体10)と、
上記可動体に連結されたアーム(アーム4)と、
上記筐体の内部の気体を排出するための排気ファン(排気ファン13)と、
上記筐体の上記開口と上記可動体との隙間(隙間G)に向けて空気を送出可能なノズル部(ノズル部400)と、を備える産業用ロボット(ロボット1)。
【0041】
(1)によれば、例えば、可動体におけるアーム側と反対側の端部が開口に近づく動作(上昇動作)のときに、ノズル部から空気を隙間に送出することで、筐体の内気が外部に流出するのを防ぎつつ、筐体の内部を正圧にして筐体に外気が侵入するのを防ぐことができる。
【0042】
(2)
(1)記載の産業用ロボットであって、
上記第一方向は、上記筐体における上記開口側と反対側の端部から上記可動体が離れる方向であり、
上記可動体が上記第一方向に移動している状態において上記ノズル部から空気を送出させ、上記可動体が上記第二方向に移動している状態において、上記ノズル部からの空気の送出を停止させ且つ上記排気ファンを作動させる制御を行う制御部を備える産業用ロボット。
【0043】
(2)によれば、可動体が第一方向に移動する動作(上昇動作)のときに、筐体の内気が外部に流出するのを防ぎつつ、筐体に外気が侵入するのを防ぐことができる。また、可動体が第二方向に移動する動作(下降動作)のときに、筐体の内気が筐体の開口から押し出されるのを防ぐことができる。
【0044】
(3)
(1)又は(2)記載の産業用ロボットであって、
上記ノズル部は、上記筐体の上記開口側の端部上に設けられた、上記可動体が通過可能な第一貫通孔(開口40K)を有する平板部材(平板部材40)と、空気送出源に連結された連結部材(継手43)と、を有し、
上記平板部材は、上記第一貫通孔と上記連結部材とを繋ぐ空気流路(空間SP)を内部に有する産業用ロボット。
【0045】
(3)によれば、既存の産業用ロボットの筐体に平板部材と連結部材を含むノズル部と、連結部材と空気送出源を繋ぐ配管と、を追加するだけでよい。このため、上述した効果を、製造コストを大きく増やすことなく実現できる。
【0046】
(4)
(3)記載の産業用ロボットであって、
上記平板部材は、上記可動体が通過可能な第二貫通孔(貫通孔41K)を有するサブ平板部材(サブ平板部材41)と、上記第二貫通孔に挿入された枠状部材(枠状部材42)とにより構成され、
上記枠状部材には、上記可動体の可動方向に貫通する孔部(継手装着用孔421a)が形成され、
上記孔部に上記連結部材が装着され、
上記サブ平板部材と上記枠状部材との間の空間(空間SP)によって上記空気流路が形成されている産業用ロボット。
【0047】
(4)によれば、空気流路を容易に形成できる。このため、製造コストを下げることができる。
【0048】
(5)
(4)記載の産業用ロボットであって、
上記サブ平板部材の上記第二貫通孔は段付きの構造であり、
上記枠状部材には、内周縁部から上記サブ平板部材側に突出する第一凸部(第一凸部424)が形成されており、
上記サブ平板部材の内周部には、上記第二貫通孔の縁部から上記枠状部材側に突出し且つ上記枠状部材の上記第一凸部と対面する第二凸部(第二凸部414a)が形成されており、
上記第一凸部と上記第二凸部との隙間(隙間Spa)により、上記空気流路の出口が形成されている産業用ロボット。
【0049】
(5)によれば、可動体と平板部材との隙間を取り囲んで空気流路の出口が設けられる。このため、筐体の内気が外部に流出するのを防ぎつつ、筐体に外気が侵入するのを防ぐ効果を高めることができる。
【0050】
(6)
(5)記載の産業用ロボットであって、
上記枠状部材には、上記孔部が周方向に等間隔で配置されている産業用ロボット。
【0051】
(6)によれば、空気流路の出口の位置によらずに一定量の空気を送出可能となり、空気の送出によって可動体の動きが妨げられるのを防ぐことができる。
【0052】
(7)
(5)又は(6)記載の産業用ロボットであって、
上記平板部材の厚み方向(上下方向)における、上記第一凸部と上記第二凸部との上記隙間の位置は、上記平板部材の厚みの中心位置よりも上記第一方向側にある産業用ロボット。
【0053】
(7)によれば、筐体の内気が外部に流出するのを防ぎつつ、筐体に外気が侵入するのを防ぐ効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ロボット(産業用ロボット)
4 アーム
5 本体部
10 昇降体
11 筐体
12 昇降機構
13 排気ファン
15 底面部
15a 排気穴
16 上面部
16K 開口
400 ノズル部
G 隙間