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  • 特開-空気の殺菌・浄化方法及び装置 図1
  • 特開-空気の殺菌・浄化方法及び装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006685
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空気の殺菌・浄化方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/22 20060101AFI20220105BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61L9/22
A61L9/18
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109060
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】393010916
【氏名又は名称】持麾 正
(74)【代理人】
【識別番号】100081455
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100170966
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】持麾 正
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB14
4C180CA06
4C180CA10
4C180EA16X
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空気中の酸素を紫外線照射下にあるN型半導体金属酸化物に接触させて生成される活性酸素種を、基底状態酸素に遷移させて殺菌・浄化を行う際、遷移エネルギーを用いて殺菌・浄化をより容易に且つ高度に行うことが可能な空気の殺菌・浄化方法及び装置を提供する。
【解決手段】接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物に波長180~360nmの近紫外線を照射して、N型半導体金属酸化物の表面励起したところに空気流を接触させて一重項の酸素を生成した後、波長400~650nmの可視光線を照射して、一重項酸素を電磁波の誘導放出で基底状態酸素に遷移させ、その遷移エネルギーを利用して殺菌・浄化を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物に波長180~360nmの近紫外線を照射して、該N型半導体金属酸化物の表面励起したところ空気流を接触させて一重項の酸素を生成した後、
波長400~650nmの可視光線を照射して、一重項酸素を電磁波の誘導放出で基底状態酸素に遷移させ、その遷移エネルギーを利用して殺菌・浄化を行うことを特徴とする空気の殺菌・浄化方法。
【請求項2】
接触電池作用が得られる前記材料に担持された前記N型半導体金属酸化膜は、酸化亜鉛(ZnO)の粉末を導電性塗料に混入し銅板若しくは銅の鍍金に塗布担持したもので、CuとZnOの電位差による接触電池作用によりZnOの電荷を高めて光触媒効果を促し、電子放出を増加させることを特徴とする請求項1に記載の空気の殺菌・浄化方法。
【請求項3】
空気流に接する内面は、接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物により構成され、
前記N型半導体金属酸化物に接触しながら前記空気流を移行せしめ、該空気流の基底状態酸素に波長180~360nmの近紫外線を照射し、該N型半導体金属酸化物の表面励起により生成して順次後方に送られる一重項酸素に波長400~650nmの可視光線を照射することで、一重項酸素を電磁波の誘導放出で基底状態酸素への遷移を行う光線照射手段を具備したことを特徴とする空気の殺菌・浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境保全のための空気の浄化や殺菌、また病院内における院内感染の防止、シックビルシンドロームの予防、空調内の殺菌を行うための空気の殺菌・浄化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気の殺菌を行う方法としては、波長185nmの紫外線を照射して発生させたオゾンを空気中に拡散させる方法と、波長254nmの殺菌灯により紫外線を照射して殺菌を行う方法の何れか、或いはこれらを併用した方法が用いられていた。
【0003】
下記特許文献1では、基底状態酸素雰囲気中にあるN型半導体金属酸化物に波長180~360nmの近紫外線を照射することにより、N型半導体金属酸化物の表面励起により活性酸素種を生成し、光ポンピングにより基底状態酸素を励起させ、一重項酸素の生成を行った後、波長600~650nmの可視光線、および波長1200~1300nmの近赤外線を順次に照射して、活性酸素種である一重項酸素の電磁波の誘導放出による基底状態酸素への遷移エネルギーで殺菌・脱臭・浄化を行う空気の殺菌・脱臭・浄化方法およびその装置が、本発明者により提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-57032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のオゾンを空気中に拡散させる方法では、オゾンが充分に分解されないうちに残留オゾンとして大気中に放出するのを余儀なくされ、人体に大きな影響を及ぼすばかりでなく、取り扱いも困難な問題点があった。
また殺菌灯により紫外線を照射する方法では、酸素の遷移エネルギーを利用するものではないため、紫外線が照射されない部位は殺菌や浄化ができないという問題点があった。
【0006】
一方、特許文献1の殺菌・脱臭・浄化方法及び装置では、オゾンを空気中に拡散させる必要がない上、空気を殺菌・浄化するため殺菌や浄化ができない部位が生じることもなく、環境保全のための空気の浄化や殺菌、或いは病院内における院内感染の防止、シックビルシンドロームの予防、空調内での殺菌を行うなど、各種の目的で好適に使用されているが、殺菌・浄化の能力の増強、構造や処理の簡素化など、更なる改善が望まれていた。
【0007】
本発明は従来の空気の殺菌・浄化をする方法及び装置における問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、空気中の酸素を紫外線照射下にあるN型半導体金属酸化物に接触させ、生成される活性酸素種を基底状態酸素に遷移させて、その遷移エネルギーを用いて殺菌・浄化をより容易に且つ高度に行うことができる空気の殺菌・浄化方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる空気の殺菌・浄化方法は前記した目的を達成せんとするもので、接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物に波長180~360nmの近紫外線を照射して、該N型半導体金属酸化物の表面励起したところ空気流を接触させて一重項の酸素を生成した後、波長400~650nmの可視光線を照射して、一重項酸素を電磁波の誘導放出で基底状態酸素に遷移させ、その遷移エネルギーを利用して殺菌・浄化を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明では、接触電池作用が得られる前記材料に担持された前記N型半導体金属酸化膜は、酸化亜鉛(ZnO)の粉末を導電性塗料に混入し銅板若しくは銅の鍍金に塗布担持したもので、CuとZnOの電位差による接触電池作用によりZnOの電荷を高めて光触媒効果を促し、電子放出を増加させることを特徴とするのが好適である。
【0010】
また本発明に係わる空気の殺菌・浄化装置は、空気流に接する内面は、接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物により構成され、前記N型半導体金属酸化物に接触しながら前記空気流を移行せしめ、該空気流の基底状態酸素に波長180~360nmの近紫外線を照射し、該N型半導体金属酸化物の表面励起により生成して順次後方に送られる一重項酸素に波長400~650nmの可視光線を照射することで、一重項酸素を電磁波の誘導放出で基底状態酸素への遷移を行う光線照射手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空気の殺菌・浄化方法およびその装置においては、通過する空気流中の酸素は、波長180~360nmの紫外線を照射されると基底状態酸素原子を生成する。
2 +hν(180~200nm)→2O(3p)
hν:紫外線
O(3p):基底状態酸素原子
そして、この基底状態酸素原子に空気中の酸素分子が反応してオゾンを生成する。
O(3p)+O2 →O3
3 :オゾン
【0012】
このO3に波長250~300nmの紫外線を照射すると、O3 は分解して一重項酸素原子と一重項酸素分子とが生成される。
3 +hν(250nm~300nm)→ 1D+1Δg
1D :一重項酸素原子
1Δg:一重項酸素分子
【0013】
一方、N型半導体金属酸化物に波長180~360nmの紫外線を照射すると電子を放出し、その電子は基底状態酸素に電子授与され、酸素は励起されてラジカル化し、活性酸素アニオンを生成する。
hν(180~360nm)+M→e-
M ;N型半導体金属酸化物
e- :電子
2+2e- →O- +O- → O-
O- :活性酸素アニオン
【0014】
励起された一重項酸素原子、分子は、次に波長400~650nmの可視光線が照射されると、適宜活性酸素アニオンなどとともに、基底状態酸素分子に遷移する。
Δg+hν(400~650nm)→2Σg
Σg :基底状態酸素分子
一重項酸素は22.5Kcal/molの高いエネルギーの励起状態にあるので強力な殺菌作用を呈し、通過する空気流に対しての殺菌・浄化が速やかに行われるものである。
【0015】
従って、本発明の空気の殺菌・浄化方法及び装置によれば、空気中の酸素を紫外線照射下にあるN型半導体金属酸化物に接触させて生成される活性酸素種を、基底状態酸素に遷移させて殺菌・浄化を行う際、遷移エネルギーを用いて殺菌・浄化をより容易に且つ高度に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る殺菌・浄化装置の構成を示した断面図である。
図2】本実施形態に係る殺菌・浄化装置を設置した生ゴミ集積室を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の空気の殺菌・浄化装置の一例と共に空気の殺菌・浄化方法について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る殺菌・浄化装置の構成を示した断面図である。
この実施形態の空気の殺菌・浄化装置は、汚染された空気1aを吸引する空気吸引口2aと、殺菌・浄化処理が施された空気1bを放出する空気放出口2bとがケーシング9に設けられ、空気吸引口2aと空気放出口2bとの間を連続する蛇行ダクト3がケーシング9内部に設けられている。
【0018】
モーターによって駆動される軸流ファン7が空気放出口2bに取付けられており、軸流ファン7により空気1aが空気吸引口2aから吸引され、空気流として蛇行ダクト3に沿って流動し、空気1bとして空気放出口2bから放出されるように構成されており、蛇行ダクト3内の空気吸引口2a側となる上流側から空気放出口2b側となる下流側までの間には、蛇行ダクト3の内面と蛇行ダクト3内を流動する空気流とを所定の光で照射するためのランプ4,5,6が配設されている。
【0019】
蛇行ダクト3は、複数の上向流路3aと下向流路3bとが垂壁3cを挟んで隣接するとともに上下で折り返して連続しており、空気流が空気吸引口2aから空気放出口2bまで繰り返し上下に蛇行して流れるように設けられている。
【0020】
空気流に接する蛇行ダクト3の内面やケーシング9内面には、光触媒層3dが設けられている。本実施形態では蛇行ダクト3及びケーシング9の全内面が光触媒層3dからなる。
光触媒層3dは、接触電池作用が得られる材料に担持されたN型半導体金属酸化物により構成されている。
【0021】
具体的には、光触媒層3dは、例えば導電性塗料に酸化亜鉛(ZnO)の粉末を混合し、銅板若しくは銅の鍍金に塗布担持させたものなどを用いることができる。担持させる方法としては例としてスパッタリング法を採用することで実現するこができる。
このような光触媒層3dでは、CuとZnOの電位差による接触電池作用が得られ、ZnOの電荷を高めて光触媒効果を促し、電子放出を増加させることが可能である。
【0022】
蛇行ダクト3の内面を構成する銅板若しくは銅の鍍金は、ケーシング9や蛇行ダクト3自体であってもよく、これらとは別に形成されて内面に配置したものであってもよい。銅板は変形不能な板であっても変形可能な膜や積層物であってもよい。
【0023】
このような蛇行ダクト3には、空気吸引口2a側となる上流側から空気放出口2b側となる下流側までの間に複数のエリアが設けられ、各エリア毎に所定の波長の光を照射するためのランプ4,5,6が設置されている。
上流側の2つのエリアには、N型半導体金属酸化物に接触しながら移行する空気流の基底状態酸素に、波長180~360nmの近紫外線を照射する紫外線ランプ4,5が配置されている。
本実施形態では、最上流のエリアに波長182nmの紫外線を照射する紫外線ランプ4が垂壁3cの上端に装着されている。また次のエリアには波長254nmの紫外線を照射する紫外線ランプ5が垂壁3cの上端及び量側面に複数装着されている。
【0024】
さらに下流側のエリアには、N型半導体金属酸化物の表面励起により生成して順次後方に送られる活性酸素種に波長400~650nmの可視光線を照射するハロゲンランプ6が配置されている。
本実施形態では、最も下流のエリアに波長400~650nmの可視光線を照射するハロゲンランプ6が、流路の中央に突出して装着されている。蛇行ダクト3の最も下流のエリアでは、流路の断面積が他のエリアよりも大きく設けられている。そのため内部を流れる空気流の流速を低下させ、ハロゲンランプ6からの可視光が十分に照射することが可能となっている。
【0025】
本実施形態の殺菌・浄化装置では、ケーシング9の蛇行ダクト3の下部に、これらの各ランプ4,5,6を点灯させるための安定器10と、グロープラグ11と、配線集結用の端子ボックス12と、が設置されている。
【0026】
このような殺菌・浄化装置を用いた空気の殺菌・浄化方法では、まず軸流ファン7を回転させると、細菌、真菌等の菌やウイルス、有害物質等により汚染された空気1aが、空気吸引口2aより蛇行ダクト3に連続して吸引される。
蛇行ダクト3内では、酸化亜鉛が混合された導電性塗料が銅板上に塗布された光触媒板3dに接触しながら空気流が下流側に順次流れる。
【0027】
吸入された空気流は、最初に最上流側で紫外線ランプ4により波長182nmの紫外線の照射を受ける。これにより通過する空気流中の酸素は、基底状態酸素原子を生成する。
この基底状態酸素原子に空気中の酸素分子が反応してオゾンが生成される。
【0028】
次に、この空気流及び蛇行ダクト9の内面が紫外線ランプ5により波長254nmの紫外線の照射を受ける。これにより酸化亜鉛塗布した光触媒層3dから電子が放出され、放出された電子がオゾンを分解し、一重項酸素原子と一重項酸素分子とに遷移し、酸素アニオンとなる。
またN型半導体金属酸化物に波長254nmの紫外線を照射して放出された電子が、空気流中の基底状態酸素に電子授与され、酸素が励起されてラジカル化し、活性酸素アニオンを生成する。
【0029】
次に、励起された一重項酸素原子、分子がハロゲンランプ6により波長400~650nmの可視光線の照射を受ける。これにより一重項酸素原子、分子が基底状態酸素へと移行する。この一重項酸素が22.5Kcal/molの高いエネルギーの励起状態にあるので、移行の際、周囲の空気流に対して強力な殺菌・浄化作用を呈することができる。
例えば、空気流に存在する細菌や真菌等を殺菌することができ、また電子が欠乏して不安定状態の有害物質等は酸素を授与することで安定物質にして無害化できる。さらにウイルス等は、タンパク質が炭素、水素、酸素、窒素からなるため、この酸素が紫外線を受けて内部に活性酸素種を生成することで不活化できる。
【0030】
このとき本実施形態では、光触媒層3dが接触電池作用を得られる材料にN型半導体金属酸化物を担持させたものであり、特に酸化亜鉛(ZnO)の粉末を導電性塗料に混入して銅板若しくは銅の鍍金に塗布担持させたものであるので、Cu-ZnOの電位差を利用して接触電池作用によりZnOの電位を高めることができる。
そのため近赤外線のような波長の大きい光を照射することなく一重項酸素を基底状態酸素に移行させることが可能で、照射する光を少なくして殺菌・浄化装置や方法を簡素化したり強力に殺菌・浄化したりすることができる。
そして、このようにして蘇生され、殺菌・浄化処理された空気1bを、軸流ファン7より放出して殺菌及び浄化処理を継続する。
【0031】
以上のような本実施形態の殺菌・浄化装置を用いた空気の殺菌及び浄化方法によれば、蛇行ダクト3内やケーシング9内に流入して流動する空気流は、これらの内面のN型半導体金属酸化物に接触しながら流動する。
その際、接触電池作用が得られる材料にN型半導体金属酸化物が担持されているので、表面励起によって生じる活性酸素種と光触媒作用の光ポンピングにより、基底状態酸素の励起による一重項酸素の生成が相乗的に高めることができる。
【0032】
そして、この一重項酸素に対して可視光線の照射によって電磁波の誘導放出をせしめることで、基底状態酸素への遷移の際の強力なエネルギーによって瞬発的な殺菌・浄化を実現できる。
しかも空気流中の残留オゾンが放出されることがないので、人体への影響を与えるようなこともない。
【0033】
そのため院内感染などの予防や、ビル内、交通機関、居住空間の無菌化を達成することができる。さらには厨房や食品工場等の食品加工場所や医療機関などの無菌空間が要求される場所への空気供給装置や方法として有効に活用することができる。
【実施例0034】
次に、図1のような実施形態の殺菌・浄化装置を、図2に示すような閉空間からなる試験場所に設置し、殺菌・浄化装置20の作動前後の空中浮遊菌数及び落下菌数を測定した。
測定場所は、横浜金沢ハイテクセンタービル地階生ゴミ集積室(神奈川県横浜市金沢区福浦1-1-1)で、大きさは3.90m×2.07m×2.05m、容積約16mであった。生ゴミ集積室の平面図を図2に示す。
【0035】
測定では、図2に示すように出入口21側の床に殺菌・浄化装置20を設置し、棚22,23の入口側の測定箇所Aと奥側の測定箇所Bにおいて、殺菌・浄化装置20の作動前の状態と、30分間作動させた後の状態とで、細菌と真菌とについて空中浮遊菌数及び落下菌数を測定した。
【0036】
空中浮遊菌数は、エアーサンプラーとしてAir Sampler BSC(Biotest社製)を用い、空気吸引量を160Lとして、エアーサンプラー法により測定した。
培養は、細菌用培地としてAgar Strips TC(Biotest社製)を用い、真菌用培地としてAgar Strips YM(Biotest社製)を用いた。細菌の培養条件を30℃で3日間とし、真菌の培養条件を25℃で7日間とした。
【0037】
一方、細菌及び真菌の落下菌数は、測定箇所A、Bにそれぞれ測定用培地を2枚づつ蓋を解放して、30分間載置し、その後蓋を閉じて培養した。
培養は、細菌用培地として、標準寒天培地(栄研化学株式会社製)を用いた。真菌用培地としては、ポテトデキストロース寒天培地(栄研化学株式会社製)にクロラムフェニコールを100ppm添加したものを用いた。細菌の培養条件を30℃で3日間とし、真菌の培養条件を25℃で7日間とした。
【0038】
空中浮遊菌数及び落下菌数の測定結果を表1に示す。なお落下菌数は2枚の培地の平均値とした。
【0039】
【表1】
【0040】
表1の結果から明らかなように、細菌の空中浮遊菌数及び落下菌数の何れについても、測定箇所A、Bのそれぞれで、殺菌・浄化装置20の作動前に対して30分作動後に、大幅に減少しており、十分な殺菌効果を確認できた。
【符号の説明】
【0041】
1a 汚染された空気
1b 殺菌・浄化処理が施された空気
2a 空気吸引口
2b 空気放出口
3 蛇行ダクト
3a 上向流路
3b 下向流路
3c 垂壁
3d 光触媒層
4 波長182nmの紫外線ランプ
5 波長254nmの紫外線ランプ
6 波長400~650nmの可視光線ハロゲンランプ
7 軸流ファン
9 ケーシング
10 安定器
11 グロープラグ
12 端子ボックス
20 殺菌・浄化装置
21 出入口
22,23 棚

図1
図2