(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066869
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】有軌道搬送装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220422BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G05D1/02 G
B61B13/00 V
B61B13/00 D
B61B13/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175450
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】荻原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 直人
(72)【発明者】
【氏名】田沼 昇
(72)【発明者】
【氏名】菊地原 要
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英二
【テーマコード(参考)】
3D101
5H301
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BA08
3D101BB06
3D101BB10
3D101BB12
3D101BB16
3D101BB17
3D101BB24
3D101BB25
3D101BC02
3D101BC08
3D101BC10
3D101BC18
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC05
5H301EE02
5H301GG07
5H301GG27
5H301HH18
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で進行方向を直角に変更することができる有軌道搬送装置を提供する。
【解決手段】有軌道搬送装置10は、ガイドレール11に沿って搬送体本体12を自動走行させる。有軌道搬送装置10は、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方、左側、後方、及び、右側にそれぞれ配設された第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、及び、第4接近検出手段34を有し、ガイドレール11の接近状態を検出する接近検出手段30を備えている。制御手段17は、接近検出手段30の検出結果に基づき、駆動手段14及び向き変更手段15を制御して、搬送体本体12の移動及び進行方向を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールを用いた有軌道搬送装置であって、
前記ガイドレールに沿って被搬送物を搬送する搬送体本体と、
前記搬送体本体を移動させる駆動輪と、
前記駆動輪を駆動させる駆動手段と、
前記駆動輪の向きを変更させる向き変更手段と、
前記ガイドレールに沿って前記搬送体本体を案内するための案内手段と、
前記ガイドレールの接近状態を検出する接近検出手段と、
前記接近検出手段の検出結果に基づき、前記駆動手段及び前記向き変更手段を制御して、前記搬送体本体の移動及び進行方向を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする有軌道搬送装置。
【請求項2】
前記接近検出手段は、前記搬送体本体の一進行方向における前方、左側、後方、及び、右側にそれぞれ配設された第1接近検出手段、第2接近検出手段、第3接近検出手段、及び、第4接近検出手段を有し、
前記制御手段は、前記接近検出手段のうちの1つが前記ガイドレールとの接近を検出し、他の3つが前記ガイドレールとの接近を検出しない第1状態から、前記第1の状態で前記ガイドレールとの接近を検出した前記接近検出手段のうちの1つに加えて、前記第1状態における他の3つのうちの1つが前記ガイドレールとの接近を検出する第2状態に変化した場合に、前記第1状態で前記ガイドレールとの接近を検出した前記接近検出手段のうちの1つと対向する他の1つの配設方向に前記搬送体本体を移動させるように、前記向き変更手段により前記駆動輪の進行方向を変化させることを特徴とする請求項1記載の有軌道搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールに沿って移動する有軌道搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生産ライン等では、所定の搬送経路に沿って搬送台車を自動走行させながら製品を組み立てることが行われている。搬送台車を搬送経路に沿って案内する方法としては、例えば、ガイドレールを敷設し、搬送台車に配設したガイドローラーを係合して走行させるものと、磁気テープを貼り付け、搬送台車に配設したセンサで読み取って操舵制御を行うものとがある。このうちガイドレールを用いれば、脱線しにくいので、安定して自動走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドレールを用いる場合、搬送台車の進行方向を変更する時に、ガイドレールを直角に曲げて敷設し、搬送台車の進行方向を直角に変更して自動走行させることが難しいという問題があった。そのため、従来は、進行方向を変更する場合には、ガイドレールを円弧状に曲げて敷設し、搬送台車がカーブを描いて曲がるように自動走行させていた。よって、進行方向の変更にはガイドレールを一定以上の曲率半径で円弧状に敷設しなければならず、そのための無駄なスペースが必要であった。
【0005】
また、磁気テープを用いる場合には、磁気テープをセンサで読み取ることにより進行方向を変えることも可能であるが、複雑な電気回路が必要であり、制御システムが高価になるという問題があった。なお、特許文献1には、磁気テープを用いた搬送車において、光を用いて進行方向を制御するシステムが記載されているが、本願発明とは構成が異なっている。
【0006】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単な構成で進行方向を直角に変更することができる有軌道搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有軌道搬送装置は、ガイドレールを用いたものであって、ガイドレールに沿って被搬送物を搬送する搬送体本体と、搬送体本体を移動させる駆動輪と、駆動輪を駆動させる駆動手段と、駆動輪の向きを変更させる向き変更手段と、ガイドレールに沿って搬送体本体を案内するための案内手段と、ガイドレールの接近状態を検出する接近検出手段と、接近検出手段の検出結果に基づき、駆動手段及び向き変更手段を制御して、搬送体本体の移動及び進行方向を制御する制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の有軌道搬送装置によれば、ガイドレールの接近状態を検出する接近検出手段を備えるようにしたので、搬送体本体に対してガイドレールがどこに位置しているかを検出することができる。よって、ガイドレールを直角に曲げて敷設した場合に、接近検出手段により、ガイドレールの角部を検出することができ、制御手段により搬送体本体の進行方向を直角に変更して自動走行させることができる。従って、進行方向を変更するためにガイドレールを円弧状にカーブさせる必要がなく、無駄なスペースを削除することができ、省スペース化を図ることができる。また、ガイドレールの接近状態を検出することにより制御するので、簡単な構成で容易に制御することができ、コストを抑えることができる。
【0009】
特に、搬送体本体の一進行方向における前方、左側、後方、及び、右側に第1接近検出手段、第2接近検出手段、第3接近検出手段、及び、第4接近検出手段をそれぞれ配設するようにしたので、これらを組み合わせることにより、ガイドレールの角部を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る有軌道搬送装置を上から見た構成図である。を後方から見た構成図である。
【
図2】
図1に示した有軌道搬送装置を一進行方向における後方から見た構成図である。
【
図3】
図1に示した有軌道搬送装置の動作を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る有軌道搬送装置10を上から見た構成を表すものである。
図2は、有軌道搬送装置10を一進行方向における後方から見た構成を表すものである。
図3は、有軌道搬送装置10の動作を表す図である。この有軌道搬送装置10は、ガイドレール11を用いて搬送経路を案内するものであり、ガイドレール11を直角に曲げて進行方向を直角に変更することができるものである。有軌道搬送装置10は、ガイドレール11に沿って被搬送物を搬送する搬送体本体12と、搬送体本体12を移動させる駆動輪13と、駆動輪13を駆動させる駆動手段14と、駆動輪13の向きを変更させる向き変更手段15とを備えている。
【0013】
ガイドレール11は、例えば、一対のレール11Aを有している。一対のレール11Aは、例えば、床面等の走行面11Bから突出して設けられており、一対のレール11Aの間に凹部を形成することにより軌道を構成している。搬送体本体12は、例えば、上から見た形状が矩形状に構成されており、上面に被搬送物を載置して搬送できるようになっている。駆動輪13は、例えば、搬送体本体12の中央部の底面側に少なくとも1つ配設され、車軸を水平方向として回転可能とされている。なお、
図1では、駆動輪13が2つ配設されている場合を示している。駆動輪13には、モータ等の駆動手段14が接続されている。駆動輪13を複数設ける場合には、例えば、各駆動輪13に対して個別に駆動手段14を配設することが好ましい。また、駆動輪13は、例えば、向き変更手段15により水平方向に旋回可能として搬送体本体12に対して配設されており、進行方向を変更することができるようになっている。
【0014】
搬送体本体12の底面側には、また、駆動輪13の周縁部に少なくとも1つの従動輪16が配設されていることが好ましい。搬送体本体12を支持して、安定して走行させるためである。従動輪16は、例えば、
図1では4つ設けられており、駆動輪13を囲むように設けられていることが好ましい。具体的には、従動輪16は、例えば、搬送体本体12の一進行方向(例えば、
図1において矢印Yで示した方向を一進行方向として説明する;以下、一進行方向Yと記す)において、駆動輪13の前方右側、前方左側、後方左側、及び、後方右側に、それぞれ1つずつ設けられることが好ましい。従動輪16は、例えば、向きを自在に変更可能なキャスターにより構成することが好ましい。
【0015】
なお、本実施の形態において、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方右側、前方左側、後方左側、後方右側、又は、前方、左側、後方、右側というのは、搬送体本体12の進行方向のうちの一つを基準としてみた時の前方右側、前方左側、後方左側、後方右側、又は、前方、左側、後方、右側を意味しており、搬送体本体12の実際の進行方向とは関係がないものである。すなわち、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方と、搬送体本体12の実際の進行方向の前方とは異なる場合がある。
【0016】
有軌道搬送装置10は、また、ガイドレール11に沿って搬送体本体12を案内するための案内手段20を備えている。案内手段20は、例えば、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方右側に配設された第1案内手段21と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方左側に配設された第2案内手段22と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける後方左側に配設された第3案内手段23と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける後方右側に配設された第4案内手段24とを有していることが好ましい。第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24は、例えば、一対のレール11Aの間の凹部に挿入されて移動することにより搬送体本体12を案内する第1ガイドローラー21A、第2ガイドローラー22A、第3ガイドローラー23A、及び、第4ガイドローラー24Aをそれぞれ有している。
【0017】
第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24は、例えば、これらの全てがガイドレール11に係合されて走行を案内するのではなく、これらのうちの少なくとも1つが走行に応じて選択的にガイドレール11に係合されて走行を案内するように構成されている。直角に曲げて敷設したガイドレール11に対応して、進行方向を直角に変更することができるようにするためである。例えば、
図1に示した場合について説明すると、一進行方向Yでは、第2案内手段22及び第3案内手段23がガイドレール11に係合され、直角に曲がる角部に突き当たると、第2案内手段22及び第3案内手段23に加えて、第1案内手段21がガイドレール11に係合され、曲がった後は第1案内手段21及び第2案内手段22がガイドレール11に係合される。
【0018】
すなわち、例えば、ガイドレール11に沿って直線状又は曲線状に走行する場合には、第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24のうちの隣り合う2つがガイドレール11に係合され、直角に曲がる角部では、第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24のうちの3つがガイドレール11に係合されるように構成されることが好ましい。安定して走行を案内することができるからである。第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24は、例えば、矩形の4つの角部に位置するように配設されることが好ましく、具体的には、搬送体本体12の4つの角部にそれぞれ配設されることが好ましい。ガイドレール11が直角に曲がる角部において、第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24のうちの3つを容易にガイドレール11に係合させることができるからである。
【0019】
なお、ガイドレール11の角部には、例えば、一方のレール11A(具体的には内側のレール11A)に、搬送体本体12が走行してきた時に案内手段20を係合させるための切り欠き部11Cを設けることが好ましい。切り欠き部11Cは、第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24の位置に合わせて形成することが好ましい。
【0020】
有軌道搬送装置10は、更に、搬送体本体12の走行に応じてガイドレール11の接近状態を検出する接近検出手段30と、接近検出手段30の検出結果に基づき、駆動手段14及び向き変更手段15を制御して、搬送体本体12の移動及び進行方向を制御する制御手段17とを備えている。制御手段17は、例えば、接近検出手段30、駆動手段14、及び、向き変更手段15とそれぞれ接続されている(なお、図面では接続を表す線を省略している)。有軌道搬送装置10は、制御手段17により搬送体本体12の移動及び進行方向を制御して自動走行させることができるようになっている。
【0021】
接近検出手段30は、例えば、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方に配設された第1接近検出手段31と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける左側に配設された第2接近検出手段32と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける後方に配設された第3接近検出手段33と、搬送体本体12の一進行方向Yにおける右側に配設された第4接近検出手段34とを有していることが好ましい。これら第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、及び、第4接近検出手段34は、例えば、近接センサにより構成することが好ましい。
【0022】
第1接近検出手段31は、例えば、第1案内手段21又は搬送体本体12の底面側に配設され、第1案内手段21と第2案内手段22とがガイドレール11に係合した時に、外側のレール11Aの上に位置するように設けられることが好ましい。第2接近検出手段32は、例えば、第2案内手段22又は搬送体本体12の底面側に配設され、第2案内手段22と第3案内手段23とがガイドレール11に係合した時に、外側のレール11Aの上に位置するように設けられることが好ましい。第3接近検出手段33は、例えば、第3案内手段23又は搬送体本体12の底面側に配設され、第3案内手段23と第4案内手段24とがガイドレール11に係合した時に、外側のレール11Aの上に位置するように設けられることが好ましい。第4接近検出手段34は、例えば、第4案内手段24又は搬送体本体12の底面側に配設され、第4案内手段24と第1案内手段21とがガイドレール11に係合した時に、外側のレール11Aの上に位置するように設けられることが好ましい。
【0023】
これにより、第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、及び、第4接近検出手段34は、レール11Aの上に位置する場合には、レール11Aとの接近を検出してONを出力し、それ以外の場合には、レール11Aとの接近を検出せずにOFFを出力するように構成することができる。よって、第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、及び、第4接近検出手段34の出力を合わせることにより、搬送体本体12に対してガイドレール11がどこに位置しているかを検出することができるようになっている。
【0024】
例えば、第1接近検出手段31がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方にガイドレール11が位置し、第2接近検出手段32がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける左側にガイドレール11が位置し、第3接近検出手段33がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける後方にガイドレール11が位置し、第4接近検出手段34がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける右側にガイドレール11が位置することが分かる。
【0025】
また、例えば、第1接近検出手段31及び第2接近検出手段32がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方と左側にガイドレール11が位置し、第2接近検出手段32及び第3接近検出手段33がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける左側と後方にガイドレール11が位置し、第3接近検出手段33及び第4接近検出手段34がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける後方と右側にガイドレール11が位置し、第4接近検出手段34及び第1接近検出手段31がON、他がOFFの場合には、搬送体本体12の一進行方向Yにおける右側と前方にガイドレール11が位置することが分かる。すなわち、これらの場合には、搬送体本体12はガイドレール11が直角に曲がる角部に位置していることが分かる。
【0026】
制御手段17は、例えば、接近検出手段33のうちの1つがガイドレール11との接近を検出し、他の3つがガイドレール11との接近を検出しない第1状態から、第1状態でガイドレール11との接近を検出した接近検出手段33のうちの1つに加えて、第1状態における他の3つのうちの1つがガイドレール11との接近を検出する第2状態に変化した場合に、第1状態でガイドレール11との接近を検出した接近検出手段30のうちの1つと対向する他の1つの配設方向に搬送体本体12を移動させるように、向き変更手段15により駆動輪13の進行方向を変化させるように構成されていることが好ましい。
【0027】
なお、接近検出手段30のうちの1つと対向する他の1つの配設方向というのは、第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、又は、第4接近検出手段34が配設されている方向である搬送体本体12の一進行方向における前方、左側、後方、又は、右側を意味している。具体的には、例えば、接近検出手段30のうちの1が第1接近検出手段31の場合には、その1つと対向する他の1の配設方向は、第1接近検出手段31と対向する第3接近検出手段33の配設方向である搬送体本体12の一進行方向における後方となる。接近検出手段30のうちの1が第2接近検出手段32の場合には、その1つと対向する他の1の配設方向は、第2接近検出手段32と対向する第4接近検出手段34の配設方向である搬送体本体12の一進行方向における右側となる。接近検出手段30のうちの1が第3接近検出手段33の場合には、その1つと対向する他の1の配設方向は、第3接近検出手段33と対向する第1接近検出手段31の配設方向である搬送体本体12の一進行方向における前方となる。接近検出手段30のうちの1が第4接近検出手段34の場合には、その1つと対向する他の1の配設方向は、第4接近検出手段34と対向する第2接近検出手段32の配設方向である搬送体本体12の一進行方向における左側となる。
【0028】
制御手段17は、具体的には、例えば、表1に示した制御条件と制御切替に基づき、駆動手段14及び向き変更手段15を制御するように構成されている。なお、表1では、搬送体本体12の実際の進行方向、及び、接近検出手段30のうちガイドレール11の接近を検出してONとなっているものの配設方向を、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方、左側、後方、又は、右側で表している。駆動輪13の向きは、搬送体本体12の一進行方向Yに平行な向きを平行、垂直な向きを垂直とし、駆動輪13の回転方向は、平行とした時は、正転が一進行方向Yにおける前方に進む方向であり、垂直とした時は、正し転が一進行方向Yにおける右側に進む方向である。
【0029】
【0030】
例えば、表1に示したように、搬送体本体12が一進行方向Yにおける前方に走行している時に、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方に配設された第1接近検出手段31及び左側に配設された第2接近検出手段32がガイドレール11の接近を検出した場合には、駆動輪12の向きを一進行方向Yに対して平行から垂直に回転させ、搬送体本体12の実際の進行方向を一進行方向Yにおける右側に変更する。また、搬送体本体12が一進行方向Yにおける前方に走行している時に、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方に配設された第1接近検出手段31及び右側に配設された第4接近検出手段34がガイドレール11の接近を検出した場合には、駆動輪12の向きを一進行方向Yに対して平行から垂直に回転させ、搬送体本体12の実際の進行方向を一進行方向Yにおける左側に変更する。以上、搬送体本体12の実際の進行方向が一進行方向Yにおける前方である場合について説明したが、一進行方向Yにおける後方の場合、右側の場合、又は、左側の場合についても、同様にして制御することができる。
【0031】
この有軌道搬送装置10は、例えば、次のようにして自動走行する。本実施の形態では、例えば、
図3に示したように、コの字状にガイドレール11を直角に曲げて敷設し、搬送体本体12を太矢印で示したように右回りに走行させる場合について具体的に説明する。なお、
図3では、分かりやすくするために、ガイドレール11にグレーを付して表している。
【0032】
まず、例えば、制御手段17は、向き変更手段15により駆動輪13の向きを一進行方向Yに対して平行とし、駆動手段14により駆動輪13を正転させる。搬送体本体12は、ガイドレール11の左下から一進行方向Yにおける前方に向かい、第2案内手段22及び第3案内手段23をガイドレール11に係合させて走行する。この時、接近検出手段30のうちの1つ、第2接近検出手段32がガイドレール11との接近を検出し、ONを出力する。また、接近検出手段30の他の3つはガイドレール11との接近を検出せず、OFFを出力する(第1状態)。
【0033】
次いで、例えば、搬送体本体12がガイドレール11に沿って走行し、ガイドレール11が一進行方向Yから右側に直角に曲げられた角部(一進行方向Yにおける前方から右側に曲がる角部)に到達すると、第1案内手段21が切り欠き部11Cを通ってガイドレール11に係合される。すなわち、案内手段20のうち第1案内手段21、第2案内手段22及び第3案内手段23がガイドレール11に係合された状態となる。この時、接近検出手段30は、第1状態でガイドレール11との接近を検出した第2接近検出手段32に加えて、他の3つのうちの1つ、第1接近検出手段31がガイドレール11との接近を検出する(第2状態)。
【0034】
これにより、制御手段17は、例えば、駆動手段14により駆動輪13の駆動を停止する。また、制御手段17は、例えば、表1に示したように、第1状態でガイドレール11との接近を検出した第2接近検出手段32と対向する第4接近検出手段34の配設方向、すなわち、一進行方向Yにおける右側に搬送体本体12を移動させるように、向き変更手段15により駆動輪13の向きを一進行方向Yに対して垂直に変化させる。
【0035】
続いて、制御手段17は、例えば、駆動手段14により駆動輪13の駆動を正転させる。搬送体本体12は、ガイドレール11の左上角部から一進行方向Yにおける右側に向かい、第1案内手段21及び第2案内手段22をガイドレール11に係合させて走行する。なお、第3案内手段23は、切り欠き部11Cを通ってガイドレール11から外れる。この時、接近検出手段30のうちの1つ、第1接近検出手段31がガイドレール11との接近を検出し、ONを出力する。また、接近検出手段30の他の3つはガイドレール11との接近を検出せず、OFFを出力する(第1状態)。
【0036】
次に、例えば、搬送体本体12がガイドレール11に沿って走行し、ガイドレール11が一進行方向Yに対して垂直方向から右側に直角に曲げられた角部(一進行方向Yにおける右側から後方に曲がる角部)に到達すると、第4案内手段24が切り欠き部11Cを通ってガイドレール11に係合される。すなわち、案内手段20のうち第1案内手段21、第2案内手段22及び第4案内手段24がガイドレール11に係合された状態となる。この時、接近検出手段30は、第1状態でガイドレール11との接近を検出した第1接近検出手段31に加えて、他の3つのうちの1つ、第4接近検出手段34がガイドレール11との接近を検出する(第2状態)。
【0037】
これにより、制御手段17は、例えば、駆動手段14により駆動輪13の駆動を停止する。また、制御手段17は、例えば、表1に示したように、第1状態でガイドレール11との接近を検出した第1接近検出手段31と対向する第3接近検出手段33の配設方向、すなわち、一進行方向Yにおける後方に搬送体本体12を移動させるように、向き変更手段15により駆動輪13の向きを一進行方向Yに対して平行に戻す。
【0038】
その後、制御手段17は、例えば、駆動手段14により駆動輪13の駆動を逆転させる。搬送体本体12は、ガイドレール11の右上角部から一進行方向Yにおける後方に向かい、第1案内手段21及び第4案内手段24をガイドレール11に係合させて走行する。なお、第2案内手段22は、切り欠き部11Cを通ってガイドレール11から外れる。この時、接近検出手段30のうちの1つ、第4接近検出手段34がガイドレール11との接近を検出し、ONを出力する。また、接近検出手段30の他の3つはガイドレール11との接近を検出せず、OFFを出力する(第1状態)。
【0039】
このように、直角に曲げて敷設したガイドレール11に沿って、搬送体本体12を自動走行させることができる。なお、ガイドレール11のコの字状の向きが異なる場合、又は、左回りに走行させる場合についても、例えば、表1に示したように制御することにより、ガイドレール11に沿って搬送体本体12の進行方向を直角に曲げて自動走行させることができる。
【0040】
このように本実施の形態によれば、ガイドレール11の接近状態を検出する接近検出手段30を備えるようにしたので、搬送体本体12に対してガイドレール11がどこに位置しているかを検出することができる。よって、ガイドレール11を直角に曲げて敷設した場合に、接近検出手段30により、ガイドレール11の角部を検出することができ、制御手段17により搬送体本体12の進行方向を直角に変更して自動走行させることができる。従って、進行方向を変更するためにガイドレール11を円弧状にカーブさせる必要がなく、無駄なスペースを削除することができ、省スペース化を図ることができる。また、ガイドレール11の接近状態を検出することにより制御するので、簡単な構成で容易に制御することができ、コストを抑えることができる。
【0041】
特に、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方、左側、後方、及び、右側に第1接近検出手段31、第2接近検出手段32、第3接近検出手段33、及び、第4接近検出手段34をそれぞれ配設するようにしたので、これらを組み合わせることにより、ガイドレール11の角部を容易に検出することができる。
【0042】
また、案内手段20が、搬送体本体12の一進行方向Yにおける前方右側、前方左側、後方左側、及び、後方右側にそれぞれ配設された第1案内手段21、第2案内手段22、第3案内手段23、及び、第4案内手段24を有するようにすれば、直角に曲げて敷設されたガイドレール11に沿って、容易にかつ安定して搬送体本体12の進行方向を直角に変えることができる。
【0043】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、各構成要素の具体的な構造や形状は異なっていてもよく、また、上述した構成要素を全て備えていなくてもよく、他の構成要素を備えていてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、搬送体本体の一進行方向Yについて具体的に図示して説明したが、図示した方向に限定されるものではなく、他の進行方向としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…有軌道搬送装置、11…ガイドレール、11A…レール、11B…走行面、11C…切り欠き部、12…搬送体本体、13…駆動輪、14…駆動手段、15…向き変更手段、16…従動輪、17…制御手段、20…案内手段、21…第1案内手段、21A…第1ガイドローラー、22…第2案内手段、22A…第2ガイドローラー、23…第3案内手段、23A…第3ガイドローラー、24…第4案内手段、24A…第4ガイドローラー、30…接近検出手段、31…第1接近検出手段、32…第2接近検出手段、33…第3接近検出手段、34…第4接近検出手段、