IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山田 清治の特許一覧

特開2022-66903文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法
<>
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図1
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図2
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図3
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図4
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図5
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図6
  • 特開-文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066903
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/30 20060101AFI20220422BHJP
   A23G 1/50 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A23G1/30
A23G1/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175500
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】520407770
【氏名又は名称】山田 清治
(74)【代理人】
【識別番号】100137822
【弁理士】
【氏名又は名称】香坂 薫
(72)【発明者】
【氏名】山田 清治
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GE10
4B014GG02
4B014GG03
4B014GL10
4B014GL11
4B014GQ04
4B014GQ17
(57)【要約】
【課題】表面に直接文字や絵が装飾されたチョコレートを容易に製造できる技術を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム上に、可食性インクからなる文字や絵を印刷する印刷工程と、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に、チョコレートのペーストを密着させ、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵をチョコレートに転写する転写工程と、樹脂フィルムの印刷面とチョコレートのペーストを密着させた状態で、文字や絵が転写されたチョコレートを冷却して、文字や絵をチョコレートに定着させる冷却工程と、冷却後のチョコレートから樹脂フィルムを取り除く除去工程と、を含む文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム上に、可食性インクからなる文字や絵を印刷する印刷工程と、
文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に、チョコレートのペーストを密着させ、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵をチョコレートに転写する転写工程と、
樹脂フィルムの印刷面とチョコレートのペーストを密着させた状態で、文字や絵が転写されたチョコレートを冷却して、文字や絵をチョコレートに定着させる冷却工程と、
冷却後のチョコレートから樹脂フィルムを取り除く除去工程と、を含む
文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法。
【請求項2】
印刷工程後、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵とチョコレートのペーストの間に、粉糖、でんぷん粉、小麦粉、米粉のうち少なくとも何れか一つを含む粉類が介在するように、文字や絵を構成する可食性インクのインク領域の表面に粉類を付加する準備工程を更に含む、請求項1に記載のチョコレートの製造方法。
【請求項3】
準備工程では、インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布する、請求項2に記載の文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法。
【請求項4】
準備工程では、インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布して、文字や絵が印刷された樹脂フィルムを冷却しながら保管する、請求項2に記載の文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートの表面に文字や絵を装飾することが知られている。例えば、特許文献1には、表面上に絵または文字あるいはその両者が食用色素を用いて描かれていることを特徴とする可食フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59-122087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可食性インクを用いて文字や絵が施された可食シートをチョコレートの表面に張り付けることで、チョコレートの表面に文字や絵を装飾することが知られている。可食シートを用いる場合、可食性インクだけでなく、可食シートをチョコレートに加える必要があり、チョコレート本来の味に変化を与えてしまうことが懸念される。また、可食シートを用いる場合、チョコレートの表面に直接文字や絵を装飾することができないため、チョコレートと文字や絵の一体感が損なわれることが懸念される。可食シートを用いることなく、チョコレートの表面に直接文字や絵を装飾することができれば、チョコレート本来の味を損なうことがない。また、チョコレートと文字や絵の一体感を出しつつ装飾することができる。しかしながら、発明者が知る限りにおいては、例えば写真のように繊細な文字や絵をチョコレートの表面に容易に直接装飾できる技術は、確立されていない。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、表面に直接文字や絵が装飾されたチョコレートを容易に製造できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法は、樹脂フィルム上に、可食性インクからなる、文字や絵を印刷する印刷工程と、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に、チョコレートのペーストを密着させ、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵をチョコレートに転写する転写工程と、樹脂フィルムの印刷面とチョコレートのペーストを密着させた状態で、文字や絵が転写されたチョコレートを冷却して、文字や絵をチョコレートに定着させる冷却工程と、冷却後のチョコレートから樹脂フィルムを取り除く除去工程と、を含む。
【0007】
本発明に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法によれば、印刷工程、転写工程、冷却工程、除去工程といった簡易な工程で、表面に直接文字や絵が装飾されたチョコレートを製造することができる。また、本発明に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法によれば、可食シートを用いることなく、チョコレートの表面に文字や絵を装飾することができるので、チョコレート本来の味を損ない難い。また、チョコレートと文字や絵の一体感を維持して、チョコレートの表面に文字や絵を装飾することができる。また、印刷工程で印刷した文字や絵をチョコレートの表面に転写できることから、写真のように繊細な文字や絵をチョコレートの表面に直接装飾することができる。
【0008】
本発明に係るチョコレートの製造方法は、印刷工程後、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵とチョコレートのペーストの間に、粉糖、でんぷん粉、小麦粉、米粉のうち少なくとも何れか一つを含む粉類が介在するように、文字や絵を構成する可食性インクのインク領域の表面に粉類を付加する準備工程を更に含むものでもよい。
【0009】
準備工程を行い、樹脂フィルムの印刷面に印刷された文字や絵とチョコレートのペーストの間に粉類を介在させることで、可食性インクの水分が調整され、文字や絵がチョコレートの表面に定着しやすくなる。具体的には、文字や絵を構成する可食性インクと粉類が接することで可食性インクの水分が一部粉類に吸収される。その結果、文字や絵を構成する可食性インクが、粉類と接する前と比較して僅かに凝固する。文字や絵を構成する可食性インクは、僅かに凝固した状態でチョコレートのペーストと密着することで、チョコレートのペーストと密着した際に滲みにくくなり、印刷された状態を維持したままチョコレートの表面に定着することが可能となる。
【0010】
また、準備工程では、インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布するようにしてもよい。
【0011】
インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布することで、転写工程において、文字や絵をより確実にチョコレートに転写することができる。その結果、より鮮明に文字や絵が装飾されたチョコレートを製造することが可能となる。
【0012】
また、準備工程では、インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布して、文字や絵が印刷された樹脂フィルムを冷却しながら保管するようにしてもよい。
【0013】
インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布することで、より鮮明に文字や絵が装飾されたチョコレートを製造することができる。また、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの保管が可能となる。
【0014】
また、本発明は、上述した製造方法によって製造された、文字や絵が装飾されたチョコレートとして特定することができる。例えば、本発明は、文字や絵が装飾されたチョコレートであって、チョコレート本体と、チョコレート本体の表面に転写された可食性インクからなる、文字や絵の領域と、チョコレート本体の表面と文字や絵を構成する可食性インクのインク領域との間に介在する、粉糖、でんぷん粉、小麦粉、米粉のうち少なくとも何れか一つを含む粉類の領域と、を備える、文字や絵が装飾されたチョコレートである。
【0015】
本発明によれば、文字や絵が表面に直接装飾されたチョコレートを提供することができる。チョコレート本体の表面とインク領域との間に粉類を介在させることで、可食性インクの水分が調整され、文字や絵がチョコレートの表面に定着しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表面に直接文字や絵が装飾されたチョコレートを容易に製造できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造フローを示す。
図2図2は、樹脂フィルムに文字や絵を印刷する状態説明図を示す。
図3図3は、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に粉糖を塗布する状態説明図を示す。
図4図4は、文字や絵の表面に付加された粉糖を覆うようにカカオバターを塗布する状態説明図を示す。
図5図5は、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に、チョコレートのペーストを密着させる状態説明図を示す。
図6図6は、冷却後のチョコレートから樹脂フィルムが取り除かれた状態説明図を示す。
図7図7は、実施形態に係る表面に文字や絵が装飾されたチョコレートの断面のイメージ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、表面に文字や絵が装飾されたチョコレートを製造する例について、図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0019】
<実施形態>
<製造方法>
図1は、実施形態に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造フローを示す。実施形態に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造フローは、印刷工程(S01)、準備工程(S02)、転写工程(S03)、冷却工程(S04)、除去工程(S05)を含む。
【0020】
印刷工程(S01)では、樹脂フィルム4上に、可食性インク5からなる、文字や絵が印刷される。樹脂フィルム4には、OPP(Oriented Polypropylene:オリエンテッドポリプロピレン)フィルムを用いることができる。樹脂フィルム4は、OPPフィルムに限定されず、可食性インク5で文字や絵を印刷することができ、かつ、耐水性を有することで印刷された可食性インク5を転写できるものであればよい。可食性インク5には、食品衛生法で許可されている食品添加物のみを原料として食品添加物製造業の許可を受けた工場にて製造されたものを用いることができる。印刷は、可食性インク5を使用可能な所謂フードプリンタ3によるインクジェット印刷とすることができる。印刷方法は、インクジェット印刷に限定されず、可食性インク5を用いて樹脂フィルム4に印刷できればよく、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷等でもよい。文字や絵は、フードプリンタ3に接続されたコンピュータ2を用いて自由に選択することができる。文字や絵は、コンピュータ2で作成・編集されたテキストやイラスト、写真等を題材とすることができる。
【0021】
ここで、印刷工程(S01)前に、樹脂フィルム4の表面の油分を除去する浄化工程を行うようにしてもよい。樹脂フィルム4の表面に手指の油を含め油分が付着してしまうと、可食性インク5からなる文字や絵が滲んでしまい、印刷の品質が低下することが懸念される。浄化工程を行うことで印刷の品質を向上することができる。その結果、可食性インク5からなる文字や絵をチョコレート1の表面により鮮明に転写することが可能となる。油分の除去は、例えば、アルコールで拭き取るようにすればよい。
【0022】
図2は、樹脂フィルムに文字や絵を印刷する状態説明図を示す。図2に示す例では、コンピュータ2(PC:Personal Computer)のメモリ(図視せず)に記憶された家族写真51(文字や絵の題材の一例)が選択され、選択された家族写真51が、コンピュータ3に接続されたフードプリンタ3によって、左右反転されて、樹脂フィルム4に印刷されている。図2では、コンピュータ2を用いて印刷しているが、タブレットやスマートフォン等を用いて、印刷するようにしてもよい。また、文字や絵の題材は、写真に代えて、コンピュータ2等で作成・編集したテキストやイラスト等でもよい。
【0023】
準備工程(S02)では、印刷工程(S01)後、樹脂フィルム4の印刷面に印刷された、可食性インク5からなる文字や絵とチョコレート1のペースト8の間に、粉糖7(本発明の粉類の一例)が介在するように、可食性インク5からなる文字や絵の表面に粉糖7が付加される。粉糖7に代えて、でんぷん粉、小麦粉、米粉を用いてもよい。可食性インク5からなる文字や絵の領域は、インク領域とも言う。
【0024】
図3は、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に粉糖を塗布する状態説明図を示す。図3に示す例では、可食性インク5からなる文字や絵とチョコレート1のペースト8の間に、粉糖7が介在するように、篩81を用いて、可食性インク5からなる文字や絵(本実施形態では家族写真)を覆うように粉糖7が撒かれている。篩81は、例えば、目のサイズが20メッシュ~100メッシュ、好ましくは40~60メッシュのものを用いるとよい。なお、樹脂フィルム4の印刷面のうち、可食性インク5からなる文字や絵以外の領域(インク領域以外の領域)に付着した粉糖7は、除去した方がよい。可食性インク5からなる文字や絵以外の領域(インク領域以外の領域)に付着した粉糖7は、樹脂フィルム4を反転させ、又は、反転させて振動を加えることで除去することができる。
【0025】
また、準備工程(S02)では、可食性インク5からなる文字や絵(インク領域)の表面に付加された粉糖7を覆うようにカカオバター6が塗布される。図4は、文字や絵の表面に付加された粉糖を覆うようにカカオバターを塗布する状態説明図を示す。図4に示す例では、カカオバタースプレー61により、可食性インク5からなる文字や絵(インク領域)の表面に付加された粉糖7を覆うように、換言すると可食性インク5からなる文字や絵(家族写真)が印刷された樹脂フィルム4の印刷面にカカオバター6が塗布されている。
【0026】
転写工程(S03)では、可食性インク5からなる文字や絵が印刷された樹脂フィルム4の印刷面に、チョコレート1のペースト8を密着させ、樹脂フィルム4の印刷面に印刷された、可食性インク5からなる文字や絵がチョコレート1に転写される。チョコレート1のペースト8は、既存の製造方法によって、別途作られる。
【0027】
図5は、文字や絵が印刷された樹脂フィルムの印刷面に、チョコレートのペーストを密着させる状態説明図を示す。図5に示す例では、別途作られたチョコレート1のペースト8が、絞り袋81を用いて、可食性インク5からなる文字や絵(家族写真)が印刷された樹脂フィルム4の印刷面に、可食性インク5からなる文字や絵(家族写真)を覆うように楕円状に絞り出されている。図5では、楕円状にチョコレート1のペースト8が絞り出されているが、チョコレート1のペースト8の形状は、最終的なチョコレート1の形状に応じて適宜調整することができる。
【0028】
冷却工程(S04)では、樹脂フィルム4の印刷面とチョコレート1のペースト8を密着させた状態で、文字や絵が転写されたチョコレート1が冷却され、文字や絵がチョコレート1に定着させられる。冷却温度や冷却時間は、チョコレート1の種類、チョコレート1のサイズ等に応じて決められる。例えば、チョコレート1のペースト8の場合、冷却温度は、例えば、10~20℃とすることができる。冷却時間は、例えば、5~15分とすることができる。
【0029】
除去工程(S05)では、冷却後のチョコレート1から樹脂フィルム4が取り除かれる。図6は、冷却後のチョコレートから樹脂フィルムが取り除かれた状態説明図を示す。図6に示す例では、樹脂フィルム4が取り除かれ、完成した、表面に可食性インク5からなる文字や絵(家族写真)が装飾された楕円状のチョコレート1が示されている。以上により、表面に文字や絵が装飾されたチョコレート1が完成する。
【0030】
ここで、図7は、実施形態に係る表面に文字や絵が装飾されたチョコレートの断面のイメージ図を示す。完成した実施形態に係るチョコレート1は、チョコレート1のペースト8が凝固したチョコレート本体82と、チョコレート本体82の表面に転写された可食性インク5からなる文字や絵(インク領域)と、チョコレート本体82の表面と、可食性インク5からなる文字や絵(インク領域)との間に介在する、粉糖7の領域と、を備える。
【0031】
<効果>
実施形態に係る文字や絵が装飾されたチョコレートの製造方法によれば、印刷工程(S01)、準備工程(S02)、転写工程(S03)、冷却工程(S04)、除去工程(S05)といった簡易な工程で、表面に直接、可食性インク5からなる文字や絵が装飾されたチョコレート1を製造することができる。印刷工程(S01)で印刷した写真(家族写真)を題材とした可食性インク5からなる文字や絵(家族写真)をチョコレート1の表面に転写できる。すなわち、写真のように繊細な文字や絵をチョコレート1の表面に直接装飾することができる。また、実施形態に係る、可食性インク5からなる文字や絵が装飾されたチョコレート1の製造方法によれば、可食シートを用いることなく、チョコレート1の表面に可食性インク5からなる文字や絵を装飾することができるので、チョコレート1本来の味を損ない難い。また、チョコレート1と可食性インク5からなる文字や絵の一体感を維持して、チョコレート1の表面に可食性インク5からなる文字や絵を装飾することができる。
【0032】
また、準備工程(S02)を行うことで、可食性インク5の水分が調整され、可食性インク5からなる文字や絵がチョコレート1の表面に定着しやすくなる。詳細には、可食性インク5からなる文字や絵と粉糖7が接することで可食性インク5の水分が一部粉糖7に吸収される。その結果、文字や絵を構成する可食性インク5が、粉糖7と接する前と比較して僅かに凝固する。文字や絵を構成する可食性インク5は、僅かに凝固した状態でチョコレート1のペースト8と密着することで、チョコレート1のペースト8と密着した際に滲みにくくなり、印刷された状態を維持したままチョコレート1の表面に定着することが可能となる。その結果、より鮮明に可食性インク5からなる文字や絵が装飾されたチョコレート1を製造することが可能となる。
【0033】
更に、準備工程(S02)において、可食性インク5からなる文字や絵が印刷された樹脂フィルム4の印刷面にカカオバター6を塗布することで、転写工程(S03)において、可食性インク5からなる文字や絵をより確実にチョコレート1に転写することができる。その結果、より鮮明に可食性インク5からなる文字や絵が装飾されたチョコレート1を製造することが可能となる。
【0034】
<変形例>
ここで、準備工程(S02)では、インク領域の表面に付加された粉類を覆うようにカカオバターを塗布して、可食性インク5からなる文字や絵が印刷された樹脂フィルム4を冷却しながら保管するようにしてもよい。冷却温度は、カカオバター6の融点(32~36℃)以下とすることができる。但し、カカオバター6は、25℃を上回ると溶け始める性質を有する。したがって、冷却温度は、15~18℃とすることが好ましい。
【0035】
可食性インク5からなる文字や絵(インク領域)の表面に付加された粉糖7を覆うようにカカオバター6を塗布することで、より鮮明に文字や絵が装飾されたチョコレート1を製造することができる。また、可食性インク5からなる文字や絵が印刷された樹脂フィルム4の保管が可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態及びその他の実施形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更を加えることができる。また、上述の実施形態及びその他の実施形態は、可能な限り組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1・・・チョコレート
2・・・コンピュータ
3・・・フードプリンタ
4・・・樹脂フィルム
5・・・可食性インク
6・・・カカオバター
7・・・粉類
8・・・ペースト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7