(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066912
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】マイクロメータ用ロータ取付ユニット
(51)【国際特許分類】
G01B 3/18 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
G01B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175519
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 寛明
(72)【発明者】
【氏名】齋 健也
【テーマコード(参考)】
2F061
【Fターム(参考)】
2F061DD26
2F061HH71
2F061JJ71
2F061QQ02
2F061QQ12
2F061QQ14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定誤差の原因となる係合溝部のあそびの発生を避けながら、スピンドルに対してロータを簡便に取付けることができるばかりでなく、スピンドルに対する円滑な軸受け機能を発揮することができるマイクロメータ用ロータ取付ユニットを提供する。
【解決手段】スピンドルSpの外周面に嵌め込んでロータRに固定する切欠きブッシュ110と、スピンドルSpの外周面に形成されて母線方向に延びる係合溝部Gに係合して摺動する係合突部を備えて切欠きブッシュ110と合体してスピンドルSpの外周面を囲繞する補完ブッシュ120と、切欠きブッシュ110と補完ブッシュ120とを囲繞して締結する弾性リング130とで構成されているマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロメータ本体のアンビルに対して進退自在に被計測物を挟持するスピンドルと同期回転して前記マイクロメータ本体に固定したステータとの相対回転角度から被測定物の寸法を検知するロータを前記スピンドルに取り付けるためのマイクロメータ用ロータ取付ユニットであって、
前記スピンドルの外周面に嵌め込んで前記ロータに固定する切欠きブッシュと、
前記スピンドルの外周面に形成されて母線方向に延びる係合溝部に係合して摺動する係合突部を備えて前記切欠きブッシュと合体して前記スピンドルの外周面を囲繞する補完ブッシュと、
前記切欠きブッシュと前記補完ブッシュとを囲繞して締結する弾性リングとで構成されていることを特徴とするマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【請求項2】
前記切欠きブッシュが、前記補完ブッシュと対向配置して当接する合体着座面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【請求項3】
前記切欠きブッシュが、前記ロータを前記スピンドルと同軸状に位置決め固定するロータ嵌合部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【請求項4】
前記補完ブッシュが、前記スピンドルに補完的に当接する内接補完面を備え、
前記係合突部が、前記補完ブッシュの内接補完面に設けられて突条を形成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【請求項5】
前記補完ブッシュの係合突部が、テーパー状誘導面を備えて前記補完ブッシュの前記ロータ側に向かって突出高さを減じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【請求項6】
前記補完ブッシュの内接補完面が、前記係合突部の他に前記スピンドルに対して軸方向に沿って線接触する少なくとも2つのスピンドル支承部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のマイクロメータ用ロータ取付ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメータ本体の軸方向に進退するスピンドルの変位量を該本体に固定されたステータに対する該スピンドルと同期回転するロータの回転角として検出するデジタル式マイクロメータに用いるマイクロメータ用ロータ取付ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なデジタル式マイクロメータは、
図1乃至
図3に示すようにマイクロメータMの本体MBと、この本体MBに設けられた操作スリーブOSの回動操作により本体MBが備えているアンビルAに対して進退するスピンドルSpと、このスピンドルSpの変位量を検出するエンコーダと、このエンコーダの検出値から求めたスピンドルSpの変位量をデジタル表示する表示部Dとから構成されている。
【0003】
エンコーダは、本体に固定されたステータStと、スピンドルSpと同期回転するロータRとを対向配置して構成しており、ステータStに対するロータRの相対回転角度からスピンドルSpのアンビルAに対する変位量、すなわち被測定物の寸法を検知する。
【0004】
ロータRは、いもネジからなる係合キーKとともにブッシュBによって支持されており、スピンドルSpには軸方向に延在する断面V字状の係合溝部Gが形成されており、この係合溝部Gに係合キーKが係合されている。
【0005】
スピンドルSpは、操作スリーブOSの回転操作によって回転しながらアンビルAに対して進退する。この時、スピンドルSpに同期してブッシュBも回転するため、検出されたステータStに対するロータRの相対回転角度が、スピンドルSpの変位量に変換されて表示部Dに表示される。
【0006】
このようなロータRの取付け機構においては、係合キーKの締め付けが弱すぎる場合には、係合溝部Gとの間に隙間が生じるため、スピンドルSpの回転が係合キーKに伝達されない「あそび」が生じて測定誤差の原因となる。逆に、係合キーKの締め付けが強すぎる場合には、係合キーKと係合溝部Gとの間の摩擦が大きくなり、スピンドルStの回転操作が円滑に行えない。
【0007】
このような問題を解決する手段として、従来、ロータを支持するロータ支持部材と、係合溝部に係合可能な係合部を有する回転駒と、この回転駒とロータ支持部材との間に設けられた与圧力付与手段とを備えて、回転駒が、ロータ支持部材に、スピンドルの軸と平行に設けられた回転軸の周方向に回転可能に支持され、与圧力付与手段が、回転駒を介して係合部を係合溝部に与圧するロータ部の構成が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開号公報特許第4912765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたロータ部の構成は、構造が複雑で部品点数が多いため製造プロセスが複雑でコスト高になるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、測定誤差の原因となる係合溝部のあそびの発生を避けながら、スピンドルに対してロータを簡便に取付けることができるばかりでなく、スピンドルに対する円滑な軸受け機能を発揮することができるマイクロメータ用ロータ取付ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本請求項1に係る発明は、マイクロメータ本体のアンビルに対して進退自在に被計測物を挟持するスピンドルと同期回転して前記マイクロメータ本体に固定したステータとの相対回転角度から被測定物の寸法を検知するロータを前記スピンドルに取り付けるためのマイクロメータ用ロータ取付ユニットであって、前記スピンドルの外周面に嵌め込んで前記ロータに固定する切欠きブッシュと、前記スピンドルの外周面に形成されて母線方向に延びる係合溝部に係合して摺動する係合突部を備えて前記切欠きブッシュと合体して前記スピンドルの外周面を囲繞する補完ブッシュと、前記切欠きブッシュと前記補完ブッシュとを囲繞して締結する弾性リングとで構成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0012】
本請求項2に係る発明は、前記切欠きブッシュが、前記補完ブッシュと対向配置して当接する合体着座面を備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0013】
本請求項3に係る発明は、前記切欠きブッシュが、前記ロータを前記スピンドルと同軸状に位置決め固定するロータ嵌合部を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項4に係る発明は、前記補完ブッシュが、前記スピンドルに補完的に当接する内接補完面を備え、係合突部が、前記前記補完ブッシュの内接補完面に設けられて突条を形成していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0015】
本請求項5に係る発明は、前記補完ブッシュの係合突部が、テーパー状誘導面を備えて前記補完ブッシュの前記ロータ側に向かって突出高さを減じていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0016】
本請求項6に係る発明は、前記補完ブッシュの内接補完面が、前記係合突部の他に前記スピンドルに対して軸方向に沿って線接触する少なくとも2つのスピンドル支承部を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、マイクロメータ本体のアンビルに対して進退自在に被計測物を挟持するスピンドルと同期回転して前記マイクロメータ本体に固定したステータとの相対回転角度から被測定物の寸法を検知するロータを前記スピンドルに取り付けることにより、ロータをスピンドルに対して同期回転するように組み付けることができるばかりでなく、以下の本発明に固有の構成により、本発明に固有の効果を発揮することができる。
【0018】
本発明の請求項1に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、スピンドルの外周面に嵌め込んでロータに固定する切欠きブッシュと、スピンドルの外周面に形成されて母線方向に延びる係合溝部に係合して摺動する係合突部を備えて切欠きブッシュと合体してスピンドルの外周面を囲繞する補完ブッシュと、切欠きブッシュと補完ブッシュとを囲繞して締結する弾性リングとで構成されていることにより、切欠きブッシュと補完ブッシュとが弾性リングで締結して一体化されているため、測定誤差の原因となる係合溝部のあそびの発生を避けながら、スピンドルに挿通して装着する際に切欠きブッシュと補完ブッシュとが相互に離反することなくスピンドルに対して簡便に取付けられるばかりでなく、スピンドルに対して弾力的な遊嵌状態で装着されるため、スピンドルの回転に伴う進退運動に対する円滑な軸受け機能を発揮することができる。
【0019】
本発明の請求項2に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、切欠きブッシュが、補完ブッシュと対向配置して当接する合体着座面を備えていることにより、切欠きブッシュに補完ブッシュを対向配置させた際に、切欠きブッシュに弾性リングで締結された補完ブッシュが切欠きブッシュに安定して着座するため、切欠きブッシュと補完ブッシュと弾性リングとで構成されるマイクロメータ用ロータ取付ユニットをマイクロメータの製造過程において組み立てた状態で特段の治具等を用いることなく運搬して簡便に取り扱うことができる。
【0020】
本請求項3に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、切欠きブッシュが、ロータをスピンドルと同軸状に位置決め固定するロータ嵌合部を備えていることにより、マイクロメータ製造時に、切欠きブッシュのロータ嵌合部をロータに挿通するだけでロータがスピンドルと同軸状に位置決めされるため、ロータを切欠きブッシュに対して確実かつ簡便に組み付けることができる。
【0021】
本請求項4に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、補完ブッシュが、スピンドルに補完的に当接する内接補完面を備え、係合突部が補完ブッシュの内接補完面に設けられて突条を形成していることにより、係合突部が、その形成している突条の全長にわたりスピンドルの外周面に形成された係合溝部に確実に係合するため、スピンドルの回転に伴う進退運動に対してスピンドルの係合溝部から乗上げることなく安定した軸受け機能を発揮することができる。
【0022】
本請求項5に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、補完ブッシュの係合突部が、テーパー状誘導面を備えて補完ブッシュのロータ側に向かって突出高さを減じていることにより、補完ブッシュのテーパー状誘導面がスピンドルを緩やかに挿入するための挿通孔を創出するため、マイクロメータ製造時にスピンドルを切欠きブッシュと補完ブッシュとで構成される軸受空間に円滑に挿通して組み付けることができる。
【0023】
本請求項6に係る発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットによれば、補完ブッシュの内接補完面が、係合突部の他にスピンドルに対して軸方向に沿って線接触する少なくとも2つのスピンドル支承部を備えていることにより、スピンドルと補完ブッシュとの間の摩擦抵抗が低減されるため、スピンドルを進退させて被計測物を挟持する際に、スピンドルを小さい操作力で円滑に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一般的なデジタル式マイクロメータを示す模式図。
【
図2】一般的なデジタル式マイクロメータのロータ取付構造を示す模式的断面図。
【
図3】一般的なデジタル式マイクロメータのロータ取付構造を示す模式的斜視図。
【
図4】本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを示す模式的斜視図。
【
図5】本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを示す模式的分解図。
【
図6A】本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットの組立て過程を示す説明図。
【
図6B】本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットの組立て過程を示す説明図。
【
図7】本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを構成する補完ブッシュの構成を示す模式的説明図。
【
図8】実施例1及び実施例2に係る模式的A-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、スピンドルの外周面に嵌め込んでロータに固定する切欠きブッシュと、切欠きブッシュと合体してスピンドルの外周面を囲繞する補完ブッシュと、切欠きブッシュと補完ブッシュとを囲繞して締結する弾性リングとで構成されていることにより、測定誤差の原因となるあそびの発生を避けながら、スピンドルに挿通して装着する際に切欠きブッシュと補完ブッシュとが相互に離反することなくスピンドルに対して簡便に取付けられるばかりでなく、スピンドルに対して弾力的な遊嵌状態で装着されるため、スピンドルに対する円滑な軸受け機能を発揮することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0026】
すなわち、本発明の切欠きブッシュの素材としては、POM(ポリアセタール)、PTFE(四フッ化エチレン)若しくはポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料、又は、青銅、黄銅、鋳鉄若しくはスチール焼結等の金属材料を採用することができる。
【0027】
また、本発明の補完ブッシュの素材としては、POM(ポリアセタール)、PTFE(四フッ化エチレン)若しくはポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料、又は、青銅、黄銅、鋳鉄若しくはスチール焼結等の金属材料を採用することができる。
【0028】
本発明の弾性リングとしては、ニトリルゴム、フッ素ゴム、三元系フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム素材からなる弾性リング、特にOリングを採用することができる。また、ゴム製の弾性リングに換えて、ステンレス鋼線製、ピアノ線製等のガータースプリングを採用することができる。
【0029】
なお、本明細書において「線接触」と説明している状態は、厳密に数学的な線接触に限られるものではなく、摩擦抵抗が低減される効果を発揮するのであれば、ごく細い帯状の部位において接触している状態をも含むものである。
【実施例0030】
以下に、本発明の一実施例であるマイクロメータ用ロータ取付ユニット100について、
図4乃至
図9に基づいて説明する。
ここで、
図4は、本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを示す模式的斜視図であり、
図5は、本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを示す模式的分解図であり、
図6Aは、本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットの組立て過程を示す説明図であり、
図6Bは、本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットの組立て過程を示す説明図であり、
図7は、本発明のマイクロメータ用ロータ取付ユニットを構成する補完ブッシュの構成を示す模式的説明図であり、
図8は、実施例1及び実施例2に係る模式的A-A断面図であり、
図9は、実施例1に係る
図8の部分拡大図である。
【0031】
本実施例に係るマイクロメータ用ロータ取付ユニット100は、切欠きブッシュ110
と補完ブッシュ120と弾性リング130から構成されている。
【0032】
切欠きブッシュ110は、スピンドルSpを抱持する抱持面111と、スピンドルSpの長軸に平行な平坦面からなる一対の合体着座面112と、切欠きブッシュ110の外形を規定している本体外周面113と、弾性リング130が装着されて係合する弾性リング装着溝部114と、ロータRに嵌合して位置決めするロータ嵌合部115と、ロータRを嵌合した際にロータRが切欠きブッシュ110に当接するロータ当接面116とを備えている。
【0033】
補完ブッシュ120は、
図7等に示すように、スピンドルSpを抱持する抱持補完面121と、スピンドルSpの長軸に平行な平坦面からなる内接補完面122と、補完ブッシュ120の外形を規定している一対の外周補完面123と、弾性リング130が装着されて係合する弾性リング装着部124と、外周補完面123から外方に突出して弾性リング装着部124を挟んで軸方向に並んでいる一対の弾性リング固定突起125と、スピンドルSpの係合溝部Gに係合する係合突部126と、この係合突部126のアンビルA側の端部を斜めの平坦面としているテーパー状誘導面127とを備えている。また、抱持補完面121と係合突条部126との境界部において抱持補完面121がスピンドルSpから離れるように外方に膨らんでいる逃げ部128とを備えていてもよい。
【0034】
弾性リング130は、円形断面の環状の弾性部材から構成されている。
【0035】
次に、本実施例であるマイクロメータ用ロータ取付ユニット100を用いてロータRをスピンドルSpに組み付ける手順を説明する。
【0036】
図5に示すように、ロータRをスピンドルSpに組み付ける前の状態では、マイクロメータ用ロータ取付ユニット100は、切欠きブッシュ110と補完ブッシュ120と弾性リング130に分かれている。
【0037】
まず、
図6Aに示すように、切欠きブッシュ110に補完ブッシュ120を係合させる。この時、補完ブッシュ120は切欠きブッシュ110の切り欠き部にちょうど収納される形状寸法関係となっており、切欠きブッシュ110の合体着座面112に補完ブッシュ120の内接補完面122が当接して位置決めされる。
【0038】
また、切欠きブッシュ110の抱持面111と補完ブッシュ120の抱持補完面121とが面一となって円筒状の内側面を形成して、スピンドルSpを両側から囲繞する構成となっている。
【0039】
さらに、切欠きブッシュ110の弾性リング装着溝部114と補完ブッシュ120の外周補完面123とが面一となって円柱状の外側面を形成する寸法形状となっている。
【0040】
次に、切欠きブッシュ110の弾性リング装着溝部114と補完ブッシュ120の外周補完面123とが面一となって形成した円柱状の側面に、弾性リング130を外側からかけ渡して装着し、切欠きブッシュ110と補完ブッシュ120とを囲繞させる。
【0041】
この際、弾性リング130は、補完ブッシュ120が備えている一対の弾性リング固定突起125の間に位置するように装着する。
【0042】
弾性リング130は弾性部材から構成されており、その内径が切欠きブッシュ110と補完ブッシュ120とが形成している円柱状の外側面の外径よりも小さく設定されているため、切欠きブッシュ110と補完ブッシュ120とが弾性リング130の締結力により位置決め固定されて、マイクロメータ用ロータ取付ユニット100を構成する。
【0043】
次に、切欠きブッシュ110のロータ嵌合部115をドーナツ板状のロータRの中央に設けられている円孔に嵌合させてロータRをロータ当接面116に当接させて接着固定し、マイクロメータ用ロータ取付ユニット100をロータRと一体化させる。
【0044】
そして、ロータRと一体化したマイクロメータ用ロータ取付ユニット100のロータRが接着されている側からテーパー状誘導面127に沿ってスピンドルSpを挿入して、スピンドルSpの係合溝部Gに補完ブッシュ120の係合突部126を係合させて、
図4及び
図8に示すようにロータRをスピンドルSpに組み付ける。
【0045】
スピンドルSpを挿入する際には、切欠きブッシュ110の抱持面111と補完ブッシュ120の抱持補完面121とで形成されている挿通孔が、弾性リング130の弾性変形により極く小さい寸法だけ拡がってスピンドルSpを受け入れる。そして、スピンドルSpの係合溝部Gに補完ブッシュ120の係合突部126が係合した際には、挿通孔の大きさが元に戻り、切欠きブッシュ110の抱持面111と補完ブッシュ120の抱持補完面121とが、スピンドルSpに密着して抱持することとなる。
【0046】
ここで、
図9に示すように、係合溝部Gの開口幅と突条を形成している係合突部126の最大幅とが、略同一になっており、かつ、V字状の係合溝部Gの傾斜角度よりも、突条を形成している係合突部126の山形の傾斜角度が若干大きくなっているため、係合突部126が係合溝部Gの両縁部分で線接触することとなり、
図9においては接点Cが係合溝部Gの両縁部分に位置して2点支持状態として表されている。
【0047】
なお、
図9では逃げ部128を備えていない構成を示しているが、係合突部126が係合溝部Gの両縁部分で線接触する限りにおいて、
図7に示すように逃げ部128を備えていても構わない。