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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066923
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/20 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
A47L13/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175532
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 伴
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA02
3B074AB04
(57)【要約】
【課題】可撓性を有すると共に破損することのない清掃体取付部を備える清掃具を提供する。
【解決手段】清掃具3は硬質素材から成る芯材部3aと、毛状体で覆われた清掃体3bとから構成されており、芯材部3aは手で把持する把持部3cと、この把持部3cと連続し、清掃体3bを取り付ける清掃体取付部3dとから構成されている。清掃体取付部3dは、把持部3cの長手方向に平行する一対の棒状の主条部3gと、この一対の主条部3g間を連結する第1、第2の連結部3h、3iとから構成されている。主条部3gの把持部3c側の基部から先端に向かって、第1の連結部3hの連結片3jと第2の連結部3iの連結片3jとは、交互になるように配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質素材から成る芯材部と、毛状体で覆われた清掃体とから構成されており、前記芯材部は手で把持する把持部と、該把持部と連続し前記清掃体を取り付ける清掃体取付部とから構成される清掃具であって、
前記清掃体取付部は、前記把持部の長手方向に平行する一対の棒状の主条部と、該一対の主条部間を連結する第1、第2の連結部とから構成され、
前記第1の連結部は、前記主条部に対して、一方である上側に等間隔で複数の連結片を立設したものであり、
前記第2の連結部は、前記主条部に対して、他方である下側に等間隔で複数の連結片を立設したものであることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記第1、第2の連結部の前記連結片は、前記一対の主条部から前記主条部の長手方向に直交する方向に沿って延在していることを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記主条部の前記把持部側の基部から先端に向かって、前記第1の連結部の前記連結片と前記第2の連結部の前記連結片とは、交互になるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記第1、第2の連結部の前記連結片は同形状であり、略半円環状又は略半楕円環状をしていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の清掃具。
【請求項5】
前記清掃体は、表面を毛状体で覆われたテープ状の清掃条体から構成されており、該清掃条体を前記清掃体取付部に螺旋状に隙間なく巻き付けて取り付けることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ、毛髪、埃等を捕集する清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、清掃体材が交換可能に装着される清掃具本体と、この清掃具本体の一端部に取付ける柄部とを備える清掃具が開示されている。清掃体材は多数の糸状の繊維材料を植設、固着、溶着することによって形成されており、清掃具本体が略平面状をしているため、清掃具本体に装着した清掃体材も略平面状を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-175144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清掃体材は厚み方向に幅を有している方が、狭い個所を掃除する際に清掃し易く、また高所の狭い個所を掃除する際は、更に撓み易い方が掃除し易い。従って、高所の狭い個所を掃除し易くするために、特許文献1の図2に示すように撓み易い形状であって、清掃体材が厚みを有する方がよい。
【0005】
清掃体材に厚みをだす方法として、糸状の繊維材料の長さを長くすればよいが、糸状の繊維材料を長くすると、繊維材料の根元側に入り込んだ塵埃等が取り除き難いという問題が発生する。
【0006】
更に、図2の示す撓み易い形状で長期間、清掃具を使用すると清掃具本体の可撓性張出部が湾曲した形状でくせができてしまったり、又は可撓性張出部に亀裂が入り、更には薄板状である可撓性張出部が折れてしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、可撓性を有すると共に破損することのない清掃体取付部を備え、清掃体が厚みを有する清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る清掃具は、硬質素材から成る芯材部と、毛状体で覆われた清掃体とから構成されており、前記芯材部は手で把持する把持部と、該把持部と連続し前記清掃体を取り付ける清掃体取付部とから構成される清掃具であって、前記清掃体取付部は、前記把持部の長手方向に平行する一対の棒状の主条部と、該一対の主条部間を連結する第1、第2の連結部とから構成され、前記第1の連結部は、前記主条部に対して、一方である上側に等間隔で複数の連結片を立設したものであり、前記第2の連結部は、前記主条部に対して、他方である下側に等間隔で複数の連結片を立設したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る清掃具は、清掃体取付部が可撓性を有すると共に破損することがなく、更に清掃体が厚みを有するので、狭い清掃個所等に対して効率的に掃除することが可能であると共に、清掃体の毛状体が短くて済み、付着した塵埃を清掃体から除去することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】清掃具及び清掃具収納ケースの分解斜視図である。
図2】清掃具収納ケースを開放した状態の斜視図である。
図3】清掃具収納ケースを閉止して清掃具を収納した状態の斜視図である。
図4】清掃体を取り除いた状態の清掃具の斜視図である。
図5】清掃具に清掃体を取り付ける状態を説明した斜視図である。
図6】清掃体取付部を透過した状態の清掃具の平面図である。
図7】清掃体取付部を透過した状態の清掃具の側面図である。
図8】床面に清掃体を押し付けた状態の清掃具の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。図1は実施例の清掃具収納ケース及び清掃具収納ケースに収納される清掃具の分解斜視図、図2は清掃具収納ケースの開放状態の斜視図、図3は清掃具収納ケースを閉止し、清掃具を収納した状態の斜視図である。
【0012】
清掃具収納ケース1は合わせて閉止すると、有底の角筒状となる第1半部1aと第2半部1bとから成り、例えば合成樹脂による射出成型等で一体として製造される。清掃具収納ケース1は角筒状以外に、楕円筒状等の適宜の筒形状を採用でき、第1半部1aと第2半部1bの長手方向の一方の端辺同士は、薄肉厚のヒンジ部1cにより開閉自在に連結されている。
【0013】
第1半部1aと第2半部1bの長手方向の他方の端辺同士には、互いに嵌め込んで閉止状態を保持する一対のロック機構が形成されている。このロック機構は、一端側に設けた鉤状の係止片1dと、他端側に設け、係止片1dと係止する凹状の被係止部1eとから形成されている。係止片1dは第1半部1a及び第2半部1bの何れに設けてもよく、同様に被係止部1eも第2半部1b及び第1半部1aの何れに設けてもよい。
【0014】
第1半部1aと第2半部1bの長手方向の中央であって、一対の係止片1d又は被係止部1eの中間には、それぞれ指掛け用の凹状の段差形状をした指掛け部1fが設けられている。
【0015】
また、第1半部1a及び第2半部1bの長手方向の端辺と直交する短手方向の一方の端部の近傍であって、後述する開口部近傍の内側面には、立毛布帛材2を嵌め込んで固定するための矩形状の枠部1gがそれぞれ形成されている。枠部1gの開口部側の角部は、嵌め込むべき立毛布帛材2の方向を合わせるために隅切りされている。
【0016】
第1半部1a及び第2半部1bの短手方向の他方の端部には、それぞれ壁部1hが立設しており、第1半部1a及び第2半部1bを閉止した際に、壁部1h同士の先端が接することで、後述する閉鎖部が形成される。
【0017】
また、図1では連結体であるヒンジ部1cを、第1半部1aと第2半部1bの長手方向に沿うように配置しているが、ヒンジ部1cに代えて、第1半部1aと第2半部1bの壁部1hの先端同士を連結するようにヒンジ部を配置してもよい。更には、これらのように、第1半部1aと第2半部1bとを連結体を介して連結する構造ではなく、連結体を設けずに第1半部1aと第2半部1bとを分離できる構造にしても支障はない。
【0018】
また、第1半部1aと第2半部1bの壁部1hの先端同士を連結する構造、又は第1半部1aと第2半部1bとを分離可能とする構造を採用した場合には、ロック機構は第1半部1aと第2半部1bの長手方向の両端辺に形成することになる。
【0019】
立毛布帛材2は、1方向を向いている立毛材により、強い方向性を有する布帛体であり、この立毛材は立毛布帛材2の表面及び裏面の両面に配置されている。立毛材は立毛布帛材2の表面だけに配置するようにしてもよい。
【0020】
1方向に対して強い摩擦力が生ずる立毛材は、例えば20°から70°の角度で一方向に向いている素材が採用され、素材はポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート等のフィラメント繊維等が用いられる。また、立毛材の単糸繊度は5~40デニールのものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
図2に示す矩形状の立毛布帛材2は、内側方向に向けて上述の角度で立毛されており、立毛布帛材2の接触体は、清掃具収納ケース1の内側から外側への移動のみに対して、強い摩擦力が生ずることになる。
【0022】
また、立毛布帛材2の一辺の両端には、切欠部2aが設けられており、これらの切欠部2aと、第1半部1a及び第2半部1bの開口部1i近傍の内側面に沿って設けた枠部1gの隅切り個所とを合致させて、それぞれ嵌め込むことで、立毛布帛材2を清掃具収納ケース1に取り付ける。
【0023】
このように枠部1gの内側形状と立毛布帛材2とは、略一致する形状をしており、これらの形状は清掃具収納ケース1に対して、清掃具3を挿脱する方向と直交する方向を中心線とした場合に、この中心線を境界とした左右の形が非対称であればよい。つまり、立毛布帛材2の切欠部2a及び枠部1gの隅切り個所が1組だけの形状や、隅切りに代えて凹部、凸部を設ける形状にしてもよい。
【0024】
このような形状を採用することで、取付方向を間違えることなく枠部1gに取り付けられた立毛布帛材2は、清掃具3を清掃具収納ケース1から抜き出す方向に移動させた場合にのみ、強い摩擦力が生ずるように配置されることになる。
【0025】
図2に示す状態から、図3に示すように第1半部1aと第2半部1bとをヒンジ部を介して閉止すると、清掃具収納ケース1は角筒形状となる。角筒形状の一方の端部は、清掃具3を挿脱するための開口部1iとされ、角筒形状の他方の端部は、1対の壁部1hから成る閉鎖部1jとされる。
【0026】
この角筒形状とした清掃具収納ケース1内に、図1に示す芯材部3aと、この芯材部3aに取り付けた清掃体3bとから成る清掃具3の清掃体3bを収納する。清掃具3は図3に示す状態で保管を行うことになり、塵埃Dが表面に付着した清掃体3bは外部に露出することなく、清掃具収納ケース1内に完全に収納される。
【0027】
なお、清掃体3bの横断面の大きさは、角筒状とした清掃具収納ケース1の開口部1iと略同一寸法とされている。角筒状の清掃具収納ケース1における閉鎖部1jから立毛布帛材2に至る長さは、清掃体3bの長手方向の長さよりも大きくなるように形成されている。
【0028】
図4は清掃体を取り除いた状態の清掃具3の斜視図であり、図5は清掃具3に清掃体を取り付ける状態を説明した斜視図である。また、図6は清掃体取付部を透過した状態の清掃具の平面図であり、図7は清掃体取付部を透過した状態の清掃具の側面図である。
【0029】
清掃具3は硬質素材である合成樹脂材等から成る芯材部3aと、繊維毛等の毛状体で覆われた清掃体3bとから構成されており、芯材部3aは手で把持する把持部3cと、この把持部3cと連続し、清掃体3bを取り付ける清掃体取付部3dとから構成されている。把持部3cの後端には、保管時にフック等に係止可能な係止孔部3eが形成されている。
【0030】
清掃体3bは、表面を前述の繊維毛等の毛状体で覆われたテープ状の清掃条体3fから構成されている。この1本の清掃条体3fを図5に示すように清掃体取付部3dに螺旋状に隙間なく巻き付けて取り付けることで、図1に示す清掃体3bを成形している。なお、清掃体3bは袋状であってもよく、取り付けた際に清掃体取付部3d全体を覆う形状のものを適宜に採用することができる。
【0031】
清掃体取付部3dは、把持部3cの長手方向に平行する一対の棒状の主条部3gと、この一対の主条部3g間を連結する第1、第2の連結部3h、3iとから構成されている。
【0032】
第1の連結部3hは主条部3gに対して、一方である上側に等間隔で複数の連結片3jを立設したものであり、第2の連結部3iは主条部3gに対して、他方である下側に等間隔で複数の連結片3jを立設したものである。第1、第2の連結部3h、3iの連結片3jは、一対の主条部3gから主条部3gの長手方向に直交する方向に沿って延在している。
【0033】
また、第1、第2の連結部3h、3iの連結片3jは同形状であり、略半円環状をしている。第1、第2の連結部3h、3iは半楕円環状、半円盤状、半楕円盤状等の外形が湾曲した形状を適宜に用いることができる。
【0034】
主条部3gの把持部3c側の基部から先端に向かって、第1の連結部3hの連結片3jと第2の連結部3iの連結片3jとは、交互になるように配置されている。つまり、第1の連結部3hの連結片3j間の空隙個所の主条部3gに第2の連結部3iの連結片3jが配置され、第2の連結部3iの連結片3j間の空隙個所に主条部3gに第1の連結部3hの連結片3jが配置されている。
【0035】
このように、第1の連結部3hの連結片3j間に空隙個所を、及び第2の連結部3hの連結片3j間に空隙個所を設けることで、清掃体取付部3dは第1の連結部3h及び第2の連結部3iの立設方向に柔軟に湾曲可能となる。
【0036】
また、主条部3gに第1の連結部3hと第2の連結部3iとを交互に配置することで、清掃体取付部3dを湾曲させた際に、主条部3gの伸長する個所を連結片3jにより補強することができる。従って、清掃体取付部3dの湾曲を繰り返しても、主条部3gに亀裂が入ったり、折れたりすることはない。
【0037】
また、連結片3jは略半円環状であるため、毛状体が短い清掃体3bを清掃体取付部3dに取り付けたとしても、清掃体3b全体は厚みを有することになる。従って、清掃体3bの毛状体は短くて済み、毛状体に対して深く塵埃Dが絡みつくことがなくなるので、立毛布帛材2の摩擦力で十分に清掃体3b表面に付着した塵埃Dを除去することが可能である。
【0038】
清掃具3を使用して掃除を行う場合には、清掃具3の把持部3cを手で把持して、清掃具収納ケース1から清掃具3を外部に引き出す。清掃具3の清掃体3bを完全に清掃具収納ケース1内に収納した状態から、清掃具3の把持部3cを手で把持して、清掃具収納ケース1の開口部1iから清掃具3を外部に向けて引き出すと、清掃具3の清掃体3bの根元の外周面から清掃具収納ケース1の立毛布帛材2に接触し、清掃体3bと立毛布帛材2との間には強い摩擦力が発生する。
【0039】
この摩擦力によって、清掃体3bの表面に付着している塵埃Dは、立毛布帛材2側に剥ぎ取られて、清浄な状態の清掃体3bのみが清掃具収納ケース1の外部に露出してゆく。清掃具3を清掃具収納ケース1から外部に完全に引き出すと、清掃体3b全体が清浄な状態となる。立毛布帛材2側に剥ぎ取られた塵埃Dは清掃具収納ケース1内に残留し、清掃具収納ケース1から外部に飛び散ることはない。
【0040】
図8は清掃対象物、例えば床面Fに清掃体3bを押し付けた状態の清掃具3の側方断面図である。清掃体取付部3dを床面等に押し付けると、第1の連結部3hの連結片3jの頂部同士が接するまで、清掃体取付部3dを湾曲させることが可能である。
【0041】
清掃体取付部3dを湾曲させながら、床面Fに沿って清掃体3bを摺動させることで、効率的に床面Fの塵埃Dを集めたり、清掃体3bの表面に塵埃Dを付着させることができる。
【0042】
更には、第1、第2の連結部3h、3iの半円環内の空隙により、上方からの圧力に対して変形し易くなり、狭い個所を掃除する際に、清掃体取付部3dを変形させながら、清掃体3bを挿入させることが可能である。
【0043】
このように、本実施例の清掃具3は、清掃体取付部3dが可撓性を有すると共に破損することのなく、更に清掃体3bが厚みを有するので、狭い清掃個所等に対して効率的に掃除することが可能であると共に、清掃体3bの毛状体が短くて済み、付着した塵埃Dを清掃体3bから除去することが容易である。
【符号の説明】
【0044】
3 清掃具
3a 芯材部
3b 清掃体
3c 把持部
3d 清掃体取付部
3f 清掃条体
3g 主条部
3h 第1の連結部
3i 第2の連結部
3j 連結片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8