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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066941
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220422BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220422BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G03B15/00 L
G03B15/00 S
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175563
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】518238850
【氏名又は名称】ヴィオニア スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】秋山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】定直 令子
(72)【発明者】
【氏名】キム シン
(72)【発明者】
【氏名】グンナール ラーディガ
(72)【発明者】
【氏名】マデラン パーソン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ルンドゥクヴィスト
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AA03
2H044AA15
2H044AA18
2H044AA19
5C122DA14
5C122EA01
5C122FA18
5C122FB08
5C122GE01
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールを簡単に取り付けることができ、かつ取り付け後にカメラモジュールの光軸がずれることを防止出来るカメラ装置を提供する。
【解決手段】内外に貫通する貫通孔を一壁部104に有するハウジングと、該貫通孔を通して鏡筒部の一端部が前記ハウジングの外側に露出したカメラモジュール10とを備える車両用のカメラ装置において、前記鏡筒部の中間部の外周面に突設され、前記一壁部104の外面と対向する面を有する複数の爪部と、前記鏡筒部の他端部に周設され、前記一壁104の内面と対向するフランジと、前記鏡筒部に同軸上で回転可能に外嵌され、所定の回転位置で前記爪部と係合する環体部材30と、前記一壁部104と前記環体部材30との間に介在し、前記環体部材30を前記爪部に向けて付勢する弾性部材20とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外に貫通する貫通孔(103)を一壁部(104)に有するハウジング(101)と、該貫通孔(103)を通して鏡筒部(3)の一端部が前記ハウジング(101)の外側に露出したカメラモジュール(10)とを備える車両用のカメラ装置(100)において、
前記鏡筒部(3)の中間部の外周面に突設され、前記一壁部(104)の外面と対向する面(41)を有する複数の爪部(4)と、
前記鏡筒部(3)の他端部に周設され、前記一壁部(104)の内面と対向するフランジ(5)と、
前記鏡筒部(3)に同軸上で回転可能に外嵌され、所定の回転位置で前記爪部(4)と係合する環体部材(30)と、
前記一壁部(104)と前記環体部材(30)との間に介在し、前記環体部材(30)を前記爪部(4)に向けて付勢する弾性部材(20)とを備えることを特徴とするカメラ装置(100)。
【請求項2】
前記環体部材(30)は、前記爪部(4)を含む前記鏡筒部(3)の軸断面形状に対応する形状の内孔を有し、
前記内孔は前記爪部(4)を含めた前記鏡筒部(3)の外径よりも大きい径を有し、
前記環体部材(30)の前記内孔の周面(31)には周方向に沿って複数の鍔部(32)が設けられており、
前記鍔部(32)は、前記回転位置で前記爪部(4)に係合することを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置(100)。
【請求項3】
前記環体部材(30)の周方向において、前記鍔部(32)の寸法は前記爪部(4)の寸法より大きく、
各鍔部(32)の両端部には、前記環体部材(30)の軸長方向に突出した突起部(33a,33b)が夫々設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカメラ装置(100)。
【請求項4】
前記突起部(33a,33b)では、前記鍔部(32)の一側の端部に設けられた突起部(33a)の突出高さが、他側の端部に設けられた突起部(33b)よりも高いことを特徴とする請求項3に記載のカメラ装置(100)。
【請求項5】
前記環体部材(30)には、前記弾性部材(20)を嵌合保持するバネ保持部(36)が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラ装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両周辺を撮像するため、車両に搭載されるカメラ装置が広く普及している。斯かるカメラ装置は、制御回路等が収納されたハウジングに、1つ又は複数のカメラモジュールが取り付けられている。
【0003】
特許文献1には、一端に対物レンズを設けた鏡筒部にO-リングを外嵌して、ハウジングに設けられた円筒形状の取付部に嵌め込むことにより、前記鏡筒部の光軸を定めるカメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0104995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1のカメラ装置は、前記鏡筒部を前記取付部に嵌める際、前記鏡筒部を押し入れる必要があるうえに、O-リングごとに、又は、局所的に復元力に差が存在する可能性もあり得るので、前記鏡筒部の光軸が希望通り定められるとは担保できず、軸がずれるおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カメラモジュールをハウジングに簡単に取り付けることができ、かつ取り付け後にカメラモジュールの光軸がずれることを防止出来るカメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカメラ装置は、内外に貫通する貫通孔を一壁に有するハウジングと、該貫通孔を通して鏡筒部の一端部が前記ハウジングの外側に露出したカメラモジュールとを備える車両用のカメラ装置において、前記鏡筒部の中間部の外周面に突設され、前記一壁の外面と対向する面を有する複数の爪部と、前記鏡筒部の他端部に周設され、前記一壁の内面と対向するフランジと、前記鏡筒部に同軸上で回転可能に外嵌され、所定の回転位置で前記爪部と係合する環体部材と、前記一壁と前記環体部材との間に介在し、前記環体部材を前記爪部に向けて付勢する弾性部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラモジュールをハウジングに簡単に取り付けることができ、かつ取り付け後にカメラモジュールの光軸がずれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態のカメラ装置を示す斜視図である。
図2図1の一部分を拡大して示す拡大図である。
図3】カメラモジュールの外見を示す斜視図である。
図4】ハウジングのカメラ保持部からカメラモジュール、バネ部材及び環体部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図5】カメラ保持部の一壁部の内面を示す図である。
図6】環体部材の外見を示す斜視図である。
図7】環体部材の三面図である。
図8】バネ部材の外見を示す斜視図である。
図9】カメラモジュールから環体部材及びバネ部材を分解した状態を示す図である。
図10】カメラモジュールの取り付け方法を説明する説明図である。
図11図10BのXI-XI線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る車両用カメラ装置について、図面に基づいて詳述する。本実施の形態に係るカメラ装置は、車両に搭載され、例えばフロントウインドシールドガラスを介して車両の前方側の映像を撮像する。以下においては、本実施の形態のカメラ装置が2つのカメラモジュールを有する、いわゆるステレオカメラ装置である場合を例に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態のカメラ装置100を示す斜視図である。
本実施の形態のカメラ装置100は、2つのカメラモジュール10と、カメラモジュール10が取り付けられたハウジング101とを備える。
【0012】
ハウジング101は、長い直方体形状の間隔保持部106と、間隔保持部106の両端側に夫々設けられたカメラ保持部102とを含む。各カメラ保持部102にはカメラモジュール10が夫々保持されている。また、間隔保持部106はカメラ保持部102同士間の距離を保ち、間隔保持部106の内側にはカメラモジュール10を制御するECU(Electronic Control Unit)等が収容されている。
【0013】
図2は、図1の一部分を拡大して示す拡大図である。図2は、図1の破線円で囲まれた部分を拡大して示している。
上述の如く、カメラ保持部102にはカメラモジュール10が保持されており、カメラ保持部102の一壁部104には、内外に貫通する貫通孔103(図4参照)が形成されている。カメラモジュール10の一端部が貫通孔103を通して外側に突出しており、バネ部材20(弾性部材)及び環体部材30によってカメラモジュール10がカメラ保持部102に取り付けられている。このような構成は各カメラ保持部102において同じであり、以下においては、一方のカメラ保持部102についてのみ説明する。
【0014】
図3は、カメラモジュール10の外見を示す斜視図である。
カメラモジュール10は、鏡筒部3と、撮像素子を含む回路基板6とを備える。
【0015】
鏡筒部3は略円筒形状を有しており、軸長方向の一端部に対物レンズ21が保持されている。また、軸長方向における鏡筒部3の中間部の外周面には、3つの爪部4が突設されている。図3には2つの爪部4のみが示されている。
【0016】
鏡筒部3の他端部には、フランジ5が周設されている。フランジ5は略矩形であり、鏡筒部3の縁から径方向外側に延設されている。また、フランジ5の縁部にはカメラモジュール10の光軸を定めるための光軸決定突起7が設けられている。
【0017】
光軸決定突起7は、鏡筒部3の軸心と平行な軸心を有する略円柱形状をなしており、フランジ5の一面よりも爪部4側に突出している。また、光軸決定突起7は、爪部4側の端部に、半球部71が形成されている。各光軸決定突起7は、鏡筒部3の周方向において、爪部4同士の間に相当する位置に配置されている。なお、フランジ5の他面側には、回路基板6が設けられている。
【0018】
3つの爪部4は、鏡筒部3の周方向に、等間隔を隔てて配置されている。各爪部4は、図3に示すように、鏡筒部3の外周面から垂直に立ち上がり、フランジ5の前記一面と間隔を挟んで対向する対向面41と、対向面41と反対側に設けられ、鏡筒部3の外周面と斜めに交差する傾斜面42とを有している。
【0019】
図4は、ハウジング101のカメラ保持部102からカメラモジュール10、バネ部材20及び環体部材30を取り外した状態を示す斜視図であり、図5は、カメラ保持部102の一壁部104の内面を示す図である。説明の便宜上、図5は一壁部104のみを部分的に示している。
【0020】
上述の如く、一壁部104には、カメラ保持部102を内外に貫通する貫通孔103が形成されている。図4に示すように、貫通孔103は、爪部4を含めた鏡筒部3の軸断面形状に対応する形状を有している。即ち、貫通孔103は鏡筒部3の外径に対応する円形穴であり、斯かる円形穴の周縁の3箇所に凹部103aが周方向に等間隔にて形成されている。凹部103aは爪部4に対応する形状であり、爪部4の通過を可能とする。図2に示すように、カメラモジュール10の鏡筒部3の一端部が貫通孔103を通して外側に突出される。
【0021】
一壁部104の内面には、図5に示すように、隣り合う凹部103aの間に溝部105が形成されている。溝部105は、貫通孔103の周縁から放射状に延び、溝部105同士がなす角は120度となっている。それぞれの溝部105の中心を通る延長線の交点が貫通孔103の中心と一致する構成となっている。溝部105は、幅方向の両面が溝部105の最深部に向かってテーパとなる形状をなすことで、略V字形状の断面を有している。(図11参照)。
【0022】
図6は、環体部材30の外見を示す斜視図であり、図7は、環体部材30の三面図である。即ち、図7は環体部材30の平面図及び側面図を示す。
【0023】
環体部材30は、略円環形状を有しており、回転可能に鏡筒部3に外嵌される。環体部材30は、軸長方向に所定の厚みを有しており、一側の外径よりも他側の外径が大きい。また、環体部材30は、大径側に、軸心と直交し、バネ部材20と当たる当接面37を有する。環体部材30は、爪部4を含めた鏡筒部3の軸断面に対応する形状の内孔を有している。
【0024】
環体部材30の外周面には、3箇所に凹部35が形成されている。各凹部35は、環体部材30の軸断面視で略矩形であり、環体部材30の周方向に等間隔を隔てて形成されている。
【0025】
また、環体部材30は、鏡筒部3の軸心から爪部4の先端までの寸法、即ち、爪部4を含めた鏡筒部3の外径よりも少し大きい径の円形内孔を有しており、環体部材30の内孔の周面31には周方向に沿って複数の鍔部32が設けられている。例えば、本実施の形態のカメラ装置100においては3つの鍔部32が形成されている。3つの鍔部32は環体部材30の周方向に等間隔を隔てて形成されている。各鍔部32は、環体部材30の周方向において、凹部35同士の間に設けられている。
【0026】
環体部材30の周方向において、鍔部32同士は間隔Lを離れて設けられている。間隔Lは、鏡筒部3の周方向における爪部4の寸法よりも少し大きい。この間隔Lは、爪部4の間隔に対応していればよく、等間隔でも不等間隔でもよい。
【0027】
更に、各鍔部32は、環体部材30の内向きに突出しており、環体部材30の径方向における寸法が一定である。よって、各鍔部32では、突出先の縁が湾曲しており、鏡筒部3の外径に対応している。各鍔部32は環体部材30の一端側に平坦面を有している。環体部材30の周方向における各鍔部32の寸法は、鏡筒部3の周方向における爪部4の寸法以上である。
【0028】
各鍔部32は両端部に突起部33a,33bが設けられている。突起部33a,33bは環体部材30の軸断面視略三角形であり、環体部材30の軸長方向に突設されている。環体部材30の周方向において、各鍔部32の一側の端部に突起部33aが設けられており、他側の端部には突起部33bが設けられている。
【0029】
突起部33a及び突起部33bは、環体部材30の軸長方向における寸法(以下、突出高さと称する)が異なる。突起部33aの突出高さは、突起部33bの突出高さよりも高い。
【0030】
環体部材30の当接面37には、後述の如く、バネ部材20を嵌合保持するバネ保持部36が突設されている(図11参照)。バネ保持部36は、環体部材30の周方向に延びる略長方形の板形状を有しており、環体部材30の周方向に間隔を隔てて複数設けられている。以下では、3つのバネ保持部36が設けられているものとする。
【0031】
また、各バネ保持部36は、当接面37の内側縁部であって、環体部材30の軸長方向において鍔部32と整合する位置に設けられている。例えば、バネ保持部36は鍔部32と一体形成されている。
更に、各バネ保持部36は、突出端に近い程、厚みが薄くなっている。なお、各バネ保持部36では、突出端の外側に面取り処理が施されている。
本実施の形態では、3つのバネ保持部36が環体部材30の周方向に隔てて設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。バネ保持部36は、バネ部材20を所定の位置に配置する位置決め機能と、バネ部材20を保持する仮保持機能を有していればよく、その数には限定されない。例えば、バネ保持部36は2つであっても良く、4つ以上であっても良い。また、全周に亘って連続する円環状のバネ保持部36が1つであっても良い。
【0032】
図8は、バネ部材20の外見を示す斜視図である。
バネ部材20は、ステインレス等の金属製であり、円筒形状を有している。バネ部材20は、いわゆるウェイブスプリングであり、両端部に円環部201,203を有しており、円環部201及び円環部203の間には、バネ層202が介在している。円環部201,203は、バネ保持部36に外嵌可能な内径を有しており、環体部材30の前記他端部の外径と略等しい外径を有している。バネ層202は、波状に湾曲した細幅板が、バネ部材20の伸縮方向に複数層に亘って重なることによって形成されている。バネ部材20は伸縮方向に圧縮及び伸長する。また、バネ部材20は、圧縮後伸張する際、即ち、復元の際、バネ層202の復元力が円環部201,203の全域的に均一に伝わる。バネ部材20は、それ自体公知のものであり、詳しい説明は省略する。
【0033】
以下、本実施の形態のカメラ装置100における、カメラモジュール10の取り付け方法について説明する。
【0034】
図9は、カメラモジュール10から環体部材30及びバネ部材20を分解した状態を示す図であり、図10は、カメラモジュール10の取り付け方法を説明する説明図である。図10Aは、カメラモジュール10の取り付けの過程を示しており、図10Bは、カメラモジュール10の取り付け完了後を示している。
【0035】
先ず、作業者は、貫通孔103を下向きにした状態で、カメラ保持部102の内側から貫通孔103に鏡筒部3の一端部を通してカメラ保持部102の外側に突出させる。
【0036】
この際、作業者は、フランジ5の光軸決定突起7の位置を、一壁部104の溝部105の位置と整合させる。即ち、3つの光軸決定突起7の半球部71の先端面を、夫々対応する溝部105内のテーパ面と当接させる。作業者が3つの半球部71の全てを対応する溝部105と係合させ、対向する溝部105と光軸決定突起7との間に重力により互いに引き合う方向に力が発生し、カメラモジュール10の光軸が正確に定められる。これによって、カメラモジュール10は光軸の定めが完了する。
【0037】
次に、作業者は、バネ部材20の内側にバネ保持部36を圧入させて嵌めこむ。これによって、バネ部材20と環体部材30とが同一軸心上に位置し、バネ部材20はバネ保持部36と嵌合し、保持される。
以下では、説明の便宜上、バネ部材20が円環部201側からバネ保持部36に嵌め込まれているとする。即ち、バネ部材20の円環部201が環体部材30の当接面37に当接した状態でバネ部材20が環体部材30と一体化されている。
【0038】
次いで、作業者は、環体部材30の凹部35を摘まんで、バネ部材20及び環体部材30の軸心を鏡筒部3の軸心に合わせながら、バネ部材20及び環体部材30を鏡筒部3に嵌める(図9の矢印参照)。この際、作業者は、図10Aに示すように、環体部材30の鍔部32と鍔部32との間隔の位置を鏡筒部3の爪部4の位置に合わせる。
【0039】
バネ部材20の円環部203がカメラ保持部102の一壁部104に当たると、作業者は、環体部材30の鍔部32の位置が鏡筒部3の爪部4を超えるまで環体部材30を押し付ける。この際、バネ部材20は、軸長方向に圧縮される。
【0040】
上述の如く、環体部材30内孔は、爪部4を含めた鏡筒部3の外径、即ち、鏡筒部3の軸心から爪部4の先端までの寸法よりも少し大きい径を有しており、鍔部32同士間の間隔Lは、鏡筒部3の周方向における爪部4の寸法よりも少し大きい。よって、環体部材30の鍔部32が鏡筒部3の爪部4を超える際、環体部材30が鏡筒部3と干渉することはない。
【0041】
鍔部32の位置が鏡筒部3の爪部4を超えたら、作業者は環体部材30を突起部33a及び突起部33bのうち突出高さが低い側に回す。上述の如く、本実施の形態のカメラ装置100では、突起部33aよりも突起部33bが突出高さが低いので、作業者は環体部材30を前記小径側から見て反時計回りに回す(図10Aの矢印参照)。
【0042】
環体部材30の回転の際、突出高さが低い突起部33bは爪部4の対向面41側を通るものの、突出高さが高い突起部33aは爪部4に引っ掛かる。よって、それ以上の環体部材30の回転が制限される。この際、環体部材30の軸長方向において、各爪部4及び各鍔部32が整合する位置にある。
即ち、環体部材30は、一の回転位置で爪部4が通り、前記一の回転位置以外の他の回転位置で爪部4と鍔部32とが干渉するように構成されている。
【0043】
斯かる、鍔部32の突起部33aと爪部4との干渉を合図として作業者は環体部材30から手を放す。これによって、バネ部材20の復元力が働き、バネ部材20は円環部201を介して環体部材30を鏡筒部3の爪部4側に押し付ける。この際、環体部材30は突起部33aに案内されて軸長方向に移動して、各爪部4の対向面41が鍔部32の前記平坦面と当接し、各爪部4は突起部33a及び突起部33bの間に位置する。これによって、図10Bに示すように、爪部4が鍔部32と係合する。
【0044】
図11は、図10BのXI-XI線による断面図である。図11においては、便宜上、カメラモジュール10の輪郭のみを示している。
バネ部材20が環体部材30を鏡筒部3の爪部4側に押し付けるので、バネ部材20の復元力は環体部材30を介してカメラモジュール10にも伝わる。即ち、図11に示すように、バネ部材20はカメラ保持部102の一壁部104と、環体部材30との間に介在し、一壁部104から遠ざかる方向に、環体部材30を介してカメラモジュール10を付勢している。これによって、カメラモジュール10の他端側のフランジ5が一壁部104に押し付けられる。
【0045】
このように、カメラモジュール10は、フランジ5と爪部4との間で一壁部104を挟持することによって、カメラ保持部102に固定される。
【0046】
本実施の形態のカメラ装置100は、上述したように、カメラモジュール10の光軸を定めた後、バネ部材20及び環体部材30を用いてカメラモジュール10をカメラ保持部102に取り付ける。バネ部材20の復元力によってフランジ5が一壁部104に押し付けられ、フランジ5とバネ部材20とが一壁部104を挟持し合うことにより、カメラモジュール10がカメラ保持部102に固定される。
【0047】
この際、バネ部材20の復元力が、重力の代わりに、3つの光軸決定突起7の半球部71の先端面を溝部105内の前記テーパ面と強制的に当接させるので、対向する溝部105と光軸決定突起7とが互いに引き合う状態が組み立て後も維持でき、カメラモジュール10の光軸が適切に保たれる。
【0048】
また、斯かる取り付け作業の際、バネ部材20及び環体部材30が鏡筒部3と干渉しないように構成されている。よって、取り付け作業の途中に、カメラモジュール10に外力が加わることを未然に防止でき、光軸のズレが生じない。従って、取り付けの前、的確に定められたカメラモジュール10の光軸を確実に維持できる。
【0049】
また、本実施の形態のカメラ装置100は、上述したように、鍔部32が両側に突起部33a及び突起部33bを有し、爪部4が鍔部32と係合した場合、突起部33a及び突起部33bの間に爪部4が位置する。よって、爪部4の周方向への移動が制限され、爪部4と鍔部32との係合が解除されることを防止できる。
【0050】
また、本実施の形態のカメラ装置100は、上述したように、鍔部32において突起部33aの突出高さが突起部33bの突出高さよりも高いので、環体部材30の回転操作の際、鍔部32の突起部33aが爪部4に引っ掛かり、環体部材30の回転が制限される。これによって、作業者が環体部材30の回転作業の終了時点を把握し易くなり、作業性を高めることができる。
【0051】
以上においては、鏡筒部3に3つの爪部4が設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、4つ以上の爪部4が設けられた構成であっても良い。斯かる場合には、爪部4の数に合わせて鍔部32の数も夫々4つ以上に変更すれば良い。また、爪部4は2つであっても良い。
【0052】
また、以上においては、鍔部32において、突起部33aの突出高さが突起部33bの突出高さよりも高い場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。突起部33bの突出高さが突起部33aの突出高さよりも高くなるように構成しても良い。但し、斯かる場合は、カメラモジュール10をカメラ保持部102に取り付ける際、環体部材30を前記小径側から見て時計回りに回転させれば良い。
【0053】
また、以上においては、バネ部材20がいわゆるウェイブスプリングである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、バネ部材20がコイルスプリング、Oーリング、スプリングワッシャ等であっても良い。
【0054】
更に、以上においては、本実施の形態のカメラ装置100がステレオカメラ装置である場合、即ち2つのカメラモジュール10を備える場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。カメラ装置100が、単眼カメラ装置、即ち1つのカメラモジュール10を備える場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
3 鏡筒部
4 爪部
5 フランジ
10 カメラモジュール
20 バネ部材
30 環体部材
32 鍔部
33a 突起部
33b 突起部
36 バネ保持部
41 対向面
100 カメラ装置
101 ハウジング
102 カメラ保持部
103 貫通孔
104 一壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11