(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066969
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】函型風力発電装置および全方位函型風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 1/04 20060101AFI20220422BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
F03D1/04 A
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175601
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】303002055
【氏名又は名称】白川 利久
(72)【発明者】
【氏名】白川利久
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB73
3H178BB77
3H178DD02Z
3H178DD12Z
3H178DD28X
3H178DD67X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】地表近くに設置された風力発電装置は地表との摩擦により風速が低下し、発電能力が低いため、安価で発電能力の高い風力発電装置を提供する。
【解決手段】風捕獲函(10)と、前記風捕獲函の下部に接続せる導風管(20)と、前記導風管の下部に敷設されたるタービン(30)と、前記タービンに接続されたる発電機(40)とからなる函型風力発電装置である。風を風捕集函で捕らえて、地表近傍に設置されたタービンに導き、地表近傍に設置された発電機で発電する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風捕獲函(10)と、前記風捕獲函の下部に接続せる導風管(20)と、前記導風管の下部に敷設されたるタービン(30)と、前記タービンに接続されたる発電機(40)とからなることを特徴とする函型風力発電装置。
【請求項2】
請求項1の風捕獲函(10)と導風管(20)を1セットとして前後左右に4セット隣接させ、前記4セットに対してタービン(30)は1基として風を集め、発電機(40)1基で発電することを特徴とする全方位函型風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりを受け、環境に優しい表面由来エネルギーの需要が高まっている。中でも、昼夜・雨天に関係なく高稼働率が期待できる風力発電の活用が望まれている。
風のエネルギーをプロペラで受けて、プロペラの回転力を熱や電気に変換する風力発電装置が主流になっている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10-252639
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1は、地上高さ対風速の模式図である。地上高さ10メートルでの風速を1.0とした時の例である。地表近くでは、地表との摩擦により風速は極端に小さくなる。地上高さ50メートルでの風速は、地上高さ10メートルでの風速の1.5倍程度である。それ以上の高さでは風速はそれ程大きくはならない。
風速を稼ぐために、プロペラ回転軸の高さを50メートルにしても飛躍的には増大しない。鉄塔を高くすれば建設費が高くなる。プロペラの長さを50メートルにしても、プロペラの上部は地表から100メートルになるが風速は飛躍的には増大しないし、下部は地表スレスレになるから風速はかなり小さくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
手段1は函型風力発電装置である。
風捕獲函(10)と、前記風捕獲函の下部に接続せる導風管(20)と、前記導風管の下部に敷設されたるタービン(30)と、前記タービンに接続されたる発電機(40)とからなる。
タービン(30)は、動翼(31)と静翼(32)をタービン胴(33)に内包してなる。
静翼(32)は、タービン胴(33)の壁面方向に流れようとする風を中央部に戻す。
なお、風捕獲函(10)は前傾姿勢で敷設することが望ましい。
【0005】
手段2は全方位函型風力発電装置である。
手段1の風捕獲函(10)と導風管(20)を1セットとして前後左右に4セット隣接させ、前記4セットに対してタービン(30)は1基として風を集め、発電機(40)1基で発電する。
風向きに従って風車の向きを変える動的装置が不要になる。一般に、動的機器が多い程メンテナンスが大変になる。
【発明の効果】
【0006】
風捕獲函は、傘の様に、頑丈な骨組みに安価な帆布や合成繊維や鋳物やプラスチックを張り付けてもよい。安価な帆布や合成繊維や鋳物やプラスチックは、風に耐えられなくなれば吹き飛ばされるが、骨組みは残る。そうすると、残った金の掛かる骨組みに帆布などを張り替えればよい。
或は、安価な鋳物小片やプラスチック小片を多数貼り合わせる。風に耐えられなくなれば、前記小片が撓み落下する。骨組みは残る。
プロペラの様な可動部分が少なくなるから故障が少ないし。修理も容易である。
前後左右計4セットにすると、原則として、風は1方向からくるから、風さえ吹けば発電する。なお、タービン(30)や発電機(40)は各々1基でよい。1方向からの許容風速を前提として容量を決めればよい。
許容風速以上の風に対しては、函底部の1時的取り外しで対処する。究極的には、4セット全て吹き飛ぶことは覚悟して、後で新品の4セットを再建する。この場合、タービン(30)や発電機(40)は覆いを掛けて保護しておけばよい。
風エネルギーは無料だから、装置は効率が悪くても安物でよい。壊れたら新品に取り換えればよい。熟練工でなくとも交換又は近辺に新設できるような簡便な装置である。地方創生に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
無料で・エネルギー密度が低く・広く存在する風エネルギーから電力を得るために、壊れやすくとも簡便な安物の風力発電装置が提供できた。
【実施例0008】
実施例1は手段1の函型風力発電装置である。
図2は手段1の函型風力発電装置の概観図である。
風捕獲函(10)は、函上部覆いと、函横部覆いと、函底部とにより形成されている。風捕獲函(10)に入ってきた風は函底部に衝突し、函上部覆いと、函横部覆いにより妨害されて下方の風収集筒(21)に向かわざるを得なくなる。風収集筒(21)に集まった風は、導風管(20)を通りタービン(30)に向かう。
なお、風捕獲函(10)は風上に向かって前傾姿勢で敷設することが望ましい。風は風捕獲函(10)に入り、前傾姿勢の函底部に沿って下方に流れ、風収集筒(21)に滑らかに流れていく。
風捕獲函(10)の函上部覆いや函横部覆いや函底部は帆布でもよい。麻や綿やナイロンやポリエステルの様な合成繊維がある。帆桁やマストで形状を整える。
タービン(30)は、動翼(31)と静翼(32)をタービン胴(33)に内包してなる。導風管(20)からの風が動翼(31)を回転させる。静翼(32)はタービン胴(33)に固定されていて、タービン胴(33)壁面方向に流れようとする向きの風を中央部に戻す。
タービン胴(33)の形状は末広がりである。動翼(31)を回転させると圧力が低下するから次第に風圧が低下する。圧力の低下を補うために下流側の動翼(31)の長さを長くする。その結果、タービン胴(33)の形状は末広がりが適切である。
タービン(30)の製造を簡素化するために、動翼(31)と静翼(32)とタービン胴(33)を1段として分割して多段に接続してもよい。
タービン(30)で仕事を終えた風は、吐出空気として大気中に放出される。タービン(30)後端周辺に風除け囲い壁を設置すれば外気風の影響が少なくなり、吐出空気が大気中に放出される。風上側だけでもよい。
発電機(40)の回転軸は、タービン(30)の動翼(31)が固定されている回転軸に接続されている。動翼(31)の回転力が発電機(40)に伝わり、電気が発生する。発電機(40)は地表に固定する。
タービン(30)や発電機(40)に水没の恐れが出たら移設する。或は、発電機(40)を地表から1メートル位の高さの架台(または地盤改良を高くして)に搭載する。
風捕獲函(10)は、地表に固定された支持柱によって支持されている。
図2左側に、風捕獲函(10)は函型とした。
図2の右側に樋を立てた形状の樋型風捕獲函を図示した。しなやかな材質(例えばピアノ線、カーボンファイバ、グラスファイバ)で創られた多数の弓状節を高さ方向に敷設し、この弓状節にナイロンの様な撥水性帆を張る。各弓状節の端は、硬い材質(ステンレス製中空棒)の垂直支持棒に固定する。函底部と函横部覆いを一体化することになる。
実施例2は手段2の全方位函型風力発電装置である。
図3は手段2の全方位函型風力発電装置の概観図である。
手段1の風捕獲函(10)と導風管(20)を1セットとして左右に2セット隣接させた。前後2セットとの位置関係は右下に示した。
風捕獲函(10)の下部に接続した風収集筒(21)と導風管(20)との間に、風漏洩防止器(50)を介在させた。
風漏洩防止器(50)は、末広がり筒(51)の下端に球落下防止格子(53)を固着させ、末広がり筒の上端と前記球落下防止格子の間に中空球栓(52)を搭載してなる。前記中空球の直径は、上記末広がり筒の上端内直径よりも小さく、上記末広がり筒の下端内直径よりも大きくした。
図で、風が右から左に吹く場合、右側の風漏洩防止器(50)の中の中空球栓(52)は球落下防止格子(53)に留まる。風は、末広がり筒(51)と中空球栓(52)の間をすり抜けて導風管(20)に向かう。導風管(20)に入った風は、左側の風漏洩防止器(50)の末広がり筒(51)の中空球栓(52)を上に噴き上げるが末広がり筒(51)上端よりも大きいから上端を塞ぐ。風は漏洩できない。導風管(20)に入った風はタービン(30)に向かうしかない。
図では風が右から左に吹く場合を示したが、左から右に吹く場合は上記説明と逆になる。いずれにしろ、導風管(20)に入った風はタービン(30)に向かうしかない。
風が手前から吹く場合、後ろから吹く場合でも前後2セットにより導風管(20)に入った風はタービン(30)に向かうしかない。
図3では、函底部をセット毎に別々にして左右の風捕獲函(10)と導風管(20)を独立させたが、函底部を共用してもよい。