(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022066971
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B04C 5/14 20060101AFI20220422BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20220422BHJP
B04C 5/12 20060101ALI20220422BHJP
B03B 5/00 20060101ALI20220422BHJP
B03B 5/28 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B04C5/14
B04C5/04
B04C5/12 Z
B03B5/00 A
B03B5/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175603
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】川上 直哉
(72)【発明者】
【氏名】大原 利隆
【テーマコード(参考)】
4D053
4D071
【Fターム(参考)】
4D053AA03
4D053AB04
4D053BA01
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD04
4D053CC01
4D053CD02
4D053DA10
4D071AA53
4D071AB04
4D071AB05
4D071CA05
4D071DA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被洗浄物の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を備えた小型の洗浄装置を提供する。
【解決手段】液体が流入する流入口と、流入した液体に旋回流を生じさせ、液体の一部を放出する放出口331とを有する容器3と、夾雑物と被洗浄物を含んだ貯留液を放出口331に対面して貯留する貯留槽4と、貯留槽4内に貯留されている貯留液に含まれた被洗浄物を排出する搬出装置5とを備え、容器3は、流入口と放出口331の間に、容器3の内周面によって画定された内部空間の断面積が流入口側よりも放出口331側の方が減少した絞り部32を有するものであり、放出口331は、貯留槽4内に貯留されている貯留液に接続した状態になるものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流入する流入口と、流入した該液体に旋回流を生じさせ、該液体の一部を放出する放出口とを有する容器と、
夾雑物と被洗浄物を含んだ貯留液を前記放出口に対面して貯留する貯留槽と、
前記貯留槽内に貯留されている貯留液に含まれた被洗浄物を排出する排出部とを備え、
前記容器は、前記流入口と前記放出口の間に、該容器の内周面によって画定された内部空間の断面積が該流入口側よりも該放出口側の方が減少した絞り部を有するものであり、
前記放出口は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液に接続した状態になるものであることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記貯留槽内に貯留されている貯留液に液流を発生させる流体を吐出する吐出口を前記放出口よりも下方となる位置に備えていることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記容器は、前記放出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する送出口が接続されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理施設には、汚水から砂を除去するための沈砂池が設けられている。沈砂池では、受け入れた汚水に含まれている砂を池底の集砂ピットに集めた後、集めた砂を汚水とともに揚砂ポンプで移送している。揚砂ポンプで移送される砂と汚水には、し渣や有機物等の夾雑物が混入している。この夾雑物の殆どは、砂よりも比重が小さい。移送された砂は埋め立て処分地などで埋め立てされることがある。しかし、砂に混入している夾雑物が多いとメタンガス等が発生することがあるため、埋め立て処分地で受け入れてもらえないことがある。また、他にも土砂を洗浄して夾雑物である粘土分を除去したいという要求もある。以下、洗浄が必要な砂や土砂等を総称して被洗浄物と称する。このため、夾雑物と被洗浄物が混入した液体から夾雑物を取り除くことで被洗浄物を洗浄する洗浄装置が下水処理施設などに設けられることがある(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1に開示された洗浄装置は、洗浄槽の壁面に設けられた攪拌装置によって汚水を攪拌するものの、主には比重が大きい砂を沈降させることで分離する、いわゆる沈降分離によって夾雑物と砂を分離する構成である。このため、夾雑物を浮上させつつ砂を沈降させるための大量の水を貯留する洗浄槽が必要になり、洗浄装置が大型化してしまうという問題がある。また、水の比重に近いまたは水の比重より大きい夾雑物は砂と分離しにくいという問題もある。これに対し、夾雑物と砂が混入した汚水を洗砂サイクロンによって洗浄する洗浄装置が開発されている(例えば、特許文献2等参照)。特許文献2の洗浄装置では、洗砂サイクロンの上部に堰と環状樋とが設けられている。この洗浄装置では、洗砂サイクロンに流入した汚水に混入している夾雑物を、汚水とともに洗砂サイクロン内に生じた上昇流に引き込んで洗砂サイクロンの上部に送り、環状樋を通して洗浄装置の外部に送り出そうとしている。この特許文献2の洗浄装置によれば、洗砂サイクロンを用ることで、洗浄装置を小型化できる。また、洗砂サイクロンを用いているので、水の比重に近いまたは水の比重より大きい夾雑物も上昇流に引き込んで環状樋を通して洗浄装置の外部に送り出せる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭54-72866号公報
【特許文献2】特開2013-59755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示された洗浄装置は、揚砂ポンプから移送されてきた夾雑物と砂が混入した汚水を洗砂サイクロンに流入させて砂を洗砂サイクロンの下部に沈降させ、その洗砂サイクロン下端の開口に連結された回収コンベアに投入する構成である。このため、回収コンベアに投入される前の砂が洗砂サイクロンの下部に溜り、洗砂サイクロン内の上昇流に引き込まれて洗砂サイクロンの上部に送られやすく、相当程度の量の砂が堰を超えて洗浄装置の外部に流出してしまう虞がある。この対策として、砂が洗浄装置の外部に送り出されない程度に上昇流を弱めようとすると夾雑物が上昇流に引き込まれ難くなり、洗浄効果が低くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、被洗浄物の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を備えた小型の洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決する本発明の洗浄装置は、液体が流入する流入口と、流入した該液体に旋回流を生じさせ、該液体の一部を放出する放出口とを有する容器と、
夾雑物と被洗浄物を含んだ貯留液を前記放出口に対面して貯留する貯留槽と、
前記貯留槽内に貯留されている貯留液に含まれた被洗浄物を排出する排出部とを備え、
前記容器は、前記流入口と前記放出口の間に、該容器の内周面によって画定された内部空間の断面積が該流入口側よりも該放出口側の方が減少した絞り部を有するものであり、
前記放出口は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液に接続した状態になるものであることを特徴とする。
【0007】
前記旋回流によって前記容器の中心部分には上昇流が発生し、前記放出口の中心部分には負圧が生じる。このため、前記貯留槽内に貯留されている貯留液が該放出口に接続した状態では、該放出口近傍にある貯留液は、負圧が生じている前記放出口の中心部分から該容器内に吸い込まれる。このとき、貯留液に含まれている被洗浄物も前記容器内に吸い込まれることもあるが、夾雑物や貯留液の液体成分と比較して被洗浄物は比重が大きいので該容器内に吸い込まれた被洗浄物は、前記上昇流からはじき出されて前記貯留槽に再度放出されやすい。反対に、前記貯留槽内にある夾雑物は比重が小さいので該貯留槽内で舞い上がり前記放出口から吸い込まれやすく、前記容器内に吸い込まれた夾雑物は容器内の上昇流に乗って上昇しやすい。これらにより、この貯留液の液体成分や夾雑物とともに被洗浄物が流出することを抑制しつつ、前記貯留槽にある夾雑物を洗浄装置の外部に送り出し、夾雑物が取り除かれた被洗浄物を得ることができる。
【0008】
ここで、前記容器は、液体が流入するサイクロンであってもよい。前記放出口は、前記貯留槽内に配置されたものであってもよい。また、前記放出口は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液に接続した状態では、該放出口が該貯留液に覆われるものであってもよい。また、前記放出口は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液の液面に接続した状態になるものであってもよい。前記放出口が前記貯留槽内に貯留されている貯留液の液面に接続した状態では、該放出口と該液面が僅かに離間し、該放出口から放出された前記液体の一部と該液面によって該放出口の周囲が覆われていてもよく、該液面と該放出口が接していてもよい。さらに、前記放出口は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液の液中に没した状態になるものであってもよい。前記放出口が前記貯留槽内に貯留されている貯留液の液中に没した状態では、該放出口を覆う部分にある貯留液が該放出口に対面していることになる。加えて、前記容器内に流入する液体は、夾雑物と被洗浄物が混入した汚水であってもよい。前記排出部は、被洗浄物を搬送するコンベアであってもよいし、前記貯留槽の底部側部分を開閉可能なゲートまたは弁であってもよい。また、前記排出部は、前記貯留槽の下端に接続されたものであってもよい。なお、夾雑物は貯留液の液体成分より比重が小さいものであってもよく、被洗浄物は該液体成分より比重が大きいものであってもよい。
【0009】
この洗浄装置において、前記貯留槽内に貯留されている貯留液に液流を発生させる流体を吐出する吐出口を前記放出口よりも下方となる位置に備えていてもよい。
【0010】
前記液流により、前記貯留槽の底部側に沈降していく夾雑物や該貯留槽の底部に堆積した夾雑物を舞い上がらせて、前記放出口から前記容器内に吸い込ませることができる。なお、前記液流によって前記貯留槽内に貯留されている貯留液が激しく攪拌された場合、被洗浄物が上方に舞い上がって前記放出口から前記容器内に吸い込まれやすくなるが、この洗浄装置では、上述したように該容器内に吸い込まれた被洗浄物は再度前記貯留槽に放出されやすい。このため、この洗浄装置では、貯留液の液体成分や夾雑物とともに被洗浄物が流出することを抑制しつつ高い洗浄効果を得ることができる。
【0011】
ここで、前記吐出口は、水平方向または上向きに流体を吐出するものであってもよい。また、前記吐出口は、前記排出部に配置されたものであってもよい。加えて、前記吐出口は、前記排出部内に堆積した被洗浄物に向かって流体を吐出するものであってもよい。
【0012】
また、この洗浄装置において、前記容器は、前記放出口の開口面積よりも大きい開口面積を有する送出口が接続されたものであってもよい。
【0013】
前記送出口の開口面積が大きいので、前記放出口から吸い込まれる夾雑物と貯留液の液体成分の多くを該送出口から送り出せる。その結果、前記放出口から夾雑物と貯留液の液体成分を吸い込みやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被洗浄物の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を備えた小型の洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に相当する洗浄装置が配置された沈砂池を示す概略構成図である。
【
図2】(a)は、
図1に示した容器の平面図であり、(b)は、同図(a)におけるA-A断面図である。
【
図3】
図1に示した容器と貯留槽と搬出装置の下側部分とを示す正面図である。
【
図4】
図1に示した容器と貯留槽と搬出装置の下側部分とを示す右側面図である。
【
図5】
図1に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示した洗浄装置の第1変形例を示す、
図3と同様の正面図である。
【
図7】
図1に示した洗浄装置の第2変形例を示す、
図3と同様の正面図である。
【
図8】
図1に示した洗浄装置の第3変形例を示す、
図4と同様の右側面図である。
【
図9】洗浄装置の第2実施形態を示す、
図1と同様の概略構成図である。
【
図10】
図9に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】洗浄装置の第3実施形態を示す、
図3と同様の正面図である。
【
図12】
図11に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の説明では、沈砂池から移送された、夾雑物と砂を含んだ汚水から夾雑物と汚水を取り除くことで砂を洗浄し、洗浄された砂を排出する洗浄装置に本発明を適用した例を用いる。この実施形態における砂は、被洗浄物の一例に相当する。なお、沈砂池は、下水処理施設の上流側に配置され、下水または雨水などの汚水から砂を取り除くためのものである。沈砂池において砂が取り除かれた汚水は、下流にある沈殿池などに送られる。また、夾雑物は、夾雑物除去スクリーン装置などによって汚水と分離されて処理される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に相当する洗浄装置が配置された沈砂池を示す概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の洗浄装置1が配置された沈砂池9は、ポンプ井91と、トラフ92と、集砂ノズル93と、集砂ピット94とを備えた池である。この沈砂池9には、図の右側から汚水が流れ込んでくる。流れ込んだ汚水は図の左側に向かってゆっくりと流れていく。沈砂池9では、汚水が流れていく間に、汚水に含まれている砂が池底に向かって沈降していく。ポンプ井91は、沈砂池9の最も下流側に配置されている。ポンプ井91は、砂が取り除かれた汚水が貯留される部分である。ポンプ井91の内部には、揚水ポンプ911が設けられている。この揚水ポンプ911は、ポンプ井91に貯留された汚水を沈砂池9の外部に送るものである。揚水ポンプ911には揚水管912が接続されている。揚水ポンプ911によって吸引された汚水は、この揚水管912を通して不図示の沈殿池に送られる。なお、
図1には汚水の池水面WL1も示されている。この池水面WL1の位置は、沈砂池9へ流れ込む汚水の量によって、トラフ92の底からの高さが例えば1m以上5m以下の範囲で変化する。
【0019】
トラフ92は、ポンプ井91よりも上流の池底であって池幅方向の中央に形成されている。このトラフ92は、沈砂池9における汚水の流れ方向に沿って延在している。トラフ92の池幅方向両側の池底には、トラフ92に向かうに従って下方に傾斜した池底傾斜面95が形成されている。沈砂池9に流れ込んだ汚水に含まれる砂は、池底に向かって沈降し、池底傾斜面95を滑り落ちて或いは直接トラフ92内に堆積する。
【0020】
集砂ノズル93は、トラフ92の上流端に配置されている。集砂ノズル93には、上述した不図示の沈殿池から汲み上げられた汚水が供給される。集砂ノズル93に供給された汚水は集砂ノズル93の先端から沈砂池9の下流側に向かって吐出される。トラフ92の下流端は集砂ピット94に接続されている。トラフ92内に堆積した砂は、集砂ノズル93から吐出される水の流れによって集砂ピット94に集められる。
【0021】
集砂ピット94は、ポンプ井91とトラフ92の間に形成されている。集砂ピット94に集められた砂は、揚砂ポンプ941によって洗浄装置1に送られる。揚砂ポンプ941は、集砂ピット94の内部であって、集砂ピット94の底近傍に配置されている。この揚砂ポンプ941には、揚砂管942が接続されている。揚砂ポンプ941は、集砂ピット94の内部に集められた砂を汚水とともに吸引し、砂が混入した汚水を揚砂管942を通して容器3内に移送する。この揚砂ポンプ941によって移送する砂や汚水には、し渣や有機物等の夾雑物が混入している。この夾雑物の殆どは、砂よりも比重が小さい。以下、この揚砂ポンプ941によって容器3内に移送される、夾雑物と砂が混入した汚水を、混入水と称する。そして、この混入水は、液体の一例に相当する。なお、揚砂ポンプ941によって容器3内に移送される混入水に含まれる砂の割合は、集砂ピット94の内部に集められた砂の量等によって変動するが、平均すると5%程度である。また、揚砂ポンプ941によって容器3内に移送される混入水は、約2.0m3/分である。容器3内に流入する混入水の量は、揚砂ポンプ941の能力によって定まる。このため、揚砂ポンプ941は、容器3や貯留槽4の大きさに応じて適宜選択される。ただし、後述する貯留槽4から吸い上げられる夾雑物および液体成分の量と、容器3の下端部分に設けられた放出口331から放出される後述する濃縮水とがバランスするためには容器3内に流入する混入水の量が2.0m3/分以上になる揚砂ポンプ941を用いることが好ましい。一方、むやみに能力の高い揚砂ポンプ941を用いても、揚砂ポンプ941の価格および消費電力が高くなるだけなので、揚砂ポンプ941は、容器3内に流入する混入水の量が4m3/分以下になるものを用いることが好ましい。
【0022】
洗浄装置1は、容器3と、貯留槽4と、搬出装置5と、送出管6とを備えている。容器3と貯留槽4と搬出装置5は、地上であって沈砂池9の近傍に配置されている。本実施形態の洗浄装置1は、混入水から砂を分離する砂分離装置の一例にも相当する。容器3の下側部分は貯留槽4の槽内に配置され、容器3の上側部分は貯留槽4よりも上部に突出している。容器3は、所謂液体サイクロンであり、流入した混入水から、汚水と夾雑物をある程度取り除いて送出管6に送り出すものである。また、容器3は、ある程度の汚水と夾雑物が取り除かれることで砂の濃度が高まった濃縮水を貯留槽4内に放出する。この放出される濃縮水は、液体の一部の一例に相当する。容器3内から直接送出管6に送出される汚水と夾雑物は、後述する貯留槽4内から吸い上げられる夾雑物および液体成分とともに送出管6を通して沈砂池9に戻される。以下、容器3内から直接送出管6に送出される汚水と夾雑物および貯留槽4内から吸い上げられて送出管6に送出される夾雑物および液体成分を総称して送出水と称する。また、以下、貯留槽4内に貯留されている砂と夾雑物と液体成分を総称して貯留液と称する。送出管6は、容器3の容器蓋312に接続された一端部分61と、容器3よりも上方で水平に延びた水平部分と、水平部分から折れ曲がって下方に延びた垂直部分とを有している。そして、その垂直部分の下端である他端6aは容器3よりも下方であって貯留槽4の外部である沈砂池9の上流側部分に配置されている。他端6aを沈砂池9の集砂ピット94よりも上流側に配置することで、万一送出管6を通して洗浄装置1から砂が送出されてしまったとしても、沈砂池9において下流側に流れる間に砂は池底に沈降するので、再度容器3内に移送することができる。なお、送出管6の他端6a側を沈砂池9の池水面WL1よりも下方まで延在させて他端6aが水中に没するようにしてもよい。さらに、他端6aを沈砂池9の池底近傍に配置してもよい。容器3と貯留槽4については後に詳述する。
【0023】
搬出装置5は、貯留槽4の下端に接続され、斜め上方に向かって延在している。この搬出装置5は、排出部の一例に相当する。搬出装置5は、スクリューコンベア51と投下口52とを有する。スクリューコンベア51は、搬出装置5内に配置されている。スクリューコンベア51の軸方向は、搬出装置5の延在方向に一致している。搬出装置5の上端部分には、モータ53と駆動伝達機構54が固定されている。このモータ53を駆動することで、駆動伝達機構54を介してスクリューコンベア51が回転する。なお、駆動伝達機構54は、モータ53の駆動軸とスクリューコンベア51それぞれに固定されたスプロケットと、各スプロケットに巻き掛けられたチェーンとから構成されているが、歯車などの他の伝動用機械要素で構成されていてもよい。また、駆動伝達機構54を設けずに、モータ53とスクリューコンベア51を直接連結してもよい。貯留槽4内に放出された濃縮水に含まれていた砂は、貯留槽4内を沈降して貯留槽4に接続された搬出装置5内に流れ込み、スクリューコンベア51が回転することで、水切りされながら斜め上方に搬送される。投下口52は、スクリューコンベア51の上端近傍に配置されている。スクリューコンベア51によって水切りされた砂は、投下口52から下方に向けて投下される。すなわち、搬出装置5は、貯留槽4内に貯留されている貯留液に含まれている砂を貯留槽4の外部に排出するものである。なお、スクリューコンベア51の代わりに、ベルトコンベアなどの他の搬出機構を用いてもよい。その場合、ベルトコンベアなどの他の搬出機構が、排出部の一例に相当する。
【0024】
図2(a)は、
図1に示した容器の平面図であり、
図2(b)は、同図(a)におけるA-A断面図である。
図2(a)および
図2(b)には、送出管6の一端部分61と揚砂管942の一部も示されている。
【0025】
図2(b)に示すように、容器3は、液体導入部31と、絞り部32と、放出部33と、液体流入管34とを備えている。液体導入部31は、容器3の上側部分に設けられている。絞り部32は、その上端が液体導入部31の下端に結合している。また、絞り部32の下端には、放出部33の上端が結合されている。容器3の内周面3aは、液体導入部31の内周面31aと絞り部32の内周面32aと放出部33の内周面33aによって構成されている。この容器3の内周面3aによって内部空間X1が画定されている。すなわち、これらの液体導入部31、絞り部32、および放出部33によって、内部空間X1を有する中空状のタンクが構成されている。
【0026】
液体導入部31は、内周面31aが円筒状をした円筒部311と、円筒部311の上端を閉塞する容器蓋312とを備えている。円筒部311は、板厚3.2mmの鋼板を内径500mmの円筒状に加工したものである。また、容器蓋312は、板厚6.0mmの鋼板を外径が586mmで内径が216mmの環状に加工したものである。容器蓋312には、不図示の点検扉が設けれらており、その点検扉から容器3内への空気の流入および容器3内からの空気の流出が可能になっている。なお、円筒部311および容器蓋312の形状、材質、および厚みは、内部空間X1の大きさ等に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
円筒部311の上側部分には、液体流入管34が連結されている。
図1に示した揚砂ポンプ941と液体流入管34とは揚砂管942を介して接続されている。揚砂管942と液体流入管34とは、接続端に設けられたフランジどうしがボルトで締結されることで着脱可能に結合されている。液体流入管34は内径100mmの管である。
図2(b)に示すように、この液体流入管34と円筒部311との連結部には、流入口341が形成されている。
図2(a)および
図2(b)に右向きの直線の矢印で示すように、揚砂ポンプ941が吸い上げた混入水は、円筒部311の内周面31aの接線方向から流入口341を通って内部空間X1に導入される。これにより、内部空間X1には混入水の旋回流が形成される。
【0028】
絞り部32は、流入口341と放出部33の間に配置されている。この絞り部32では、内部空間X1の断面積が放出部33に向かうに従って減少する。換言すれば、絞り部32は、円筒部311から離れるにつれて漸次縮径する逆円錐状の内周面32aを有している。この絞り部32は、板厚3.2mmの鋼板を円錐状に加工したものであり、上端は内径500mm、下端は内径100mmに形成されている。なお、絞り部32の材質や厚みは、内部空間X1の大きさや絞り量等に応じて適宜選択すればよい。また、絞り部32は、円筒部311から離れるにつれて段階的に内部空間X1の断面積が減少するように形成されていてもよい。すなわち、絞り部32は、内部空間X1の断面積が流入口341側よりも放出口331側の方が小さいものであればよい。絞り部32の下端の断面積は、放出口331の開口面積と等しい。この実施形態では、絞り部32の下端の断面積、すなわち放出口331の開口面積(断面積)を流入口341の開口面積(断面積)と一致させているが、放出口331の開口面積は、流入口341の開口面積以上であってもよく、流入口341の開口面積以下であってもよい。ただし、放出口331の開口面積を小さくしすぎると、容器3における圧力損失が増大するので、放出口331の開口面積は、流入口341の開口面積以上であることが好ましい。加えて、放出口331の開口面積は、小さくしすぎても大きくしすぎても後述する貯留槽4から容器3への吸込み作用が低下するため、流入口341の開口面積の50%以上150%以下にすることが望ましい。絞り部32の上端には、容器3の外側に向かって突出した容器フランジ321が形成されている。
【0029】
放出部33は、絞り部32の、液体導入部31が結合された側とは反対側に結合している。すなわち、放出部33は、絞り部32の下端に結合している。放出部33は、下端にフランジ332が形成された円筒状をしている。この放出部33の下端の開口が放出口331になる。なお、放出部33は省略してもよい。省略した場合、絞り部32の下端の開口部が放出口になる。フランジ332は、外径が200mmの環状をしている。
【0030】
送出管6は、内径200mmの管である。送出管6の一端部分61は、溶接によって容器蓋312に水密状態で結合している。なお、一端部分61は、内部空間X1内に突出していてもよい。この一端部分61下端が、送出管6の一端になり、その一端の開口が送出口611になる。従って、一端部分61および送出口611は、容器3に接続されている。送出口611は、容器3の、平面視における中央部分に配置されている。送出水は、送出口611から容器3の外部に送り出される。この送出口611から送り出された送出水は、送出管6を通して沈砂池9に戻される。
図2(a)および
図2(b)には、送出水の流れる方向が左向きの直線の矢印で示されている。送出口611の開口面積は、放出口331の開口面積以上であることが好ましい。こうすることで、送出口611から送り出される送出水の量を増加させ、容器3における圧力損失を低減することができる。また、送出口611の開口面積は、流入口341の開口面積以上の面積にすることが好ましい。こうすることで、流入口341から流入する混入水よりも多くの量の流動体を送出口611から送り出すことができる。この実施形態における送出口611の開口面積は、放出口331および流入口341の開口面積の4倍である。
【0031】
図3は、
図1に示した容器と貯留槽と搬出装置の下側部分とを示す正面図である。また、
図4は、
図1に示した容器と貯留槽と搬出装置の下側部分とを示す右側面図である。
【0032】
図3に示すように、貯留槽4は、容器3よりも外側に配置されて放出口331よりも上方に延在した側壁41と、側壁41の上端を閉塞する槽蓋42と、貯留槽を支える脚43とを備えている。この実施形態では、側壁41は、放出口331よりも下方から、絞り部32と液体導入部31との結合部分の高さまで延在している。槽蓋42の平面視における中央部には、容器3の液体導入部31の外周と同一径の孔が形成されている。容器3は、絞り部32の上端部分がその孔に挿入された状態で、容器フランジ321が槽蓋42に溶接されることで貯留槽4に結合している。槽蓋42には、脱臭管421が設けられている。脚43は、平面視で貯留槽4の四隅にそれぞれ配置されている。
図3では、脚43は中間部か省略されて上端部分と下端部分のみが示されている。この脚43の下端部分が接地されることで、貯留槽4は地上に配置されている。なお、搬出装置5の延在方向の中間部分にも搬出装置5を支持する支持部材が設けられているが、その支持部材は図示省略している。
【0033】
貯留槽4は、上側部分が平面視で略正方形の角筒に形成されている。
図4に示すように、貯留槽4の下側部分には、槽傾斜面41aが形成されている。この槽傾斜面41aの下端は、搬出装置5に接続されている。また、
図3に示すように、貯留槽4の下端は、搬出装置5の傾斜角度と同じ角度で斜め上方に向かって切り欠かれた形状をしている。容器3の放出口331から放出された濃縮水に含まれていた砂は、槽傾斜面41aを滑り落ちて或いは直接貯留槽4の下端に接続された搬出装置5の下側部分に堆積する。上述したように、搬出装置5に堆積した砂は、スクリューコンベア51によって洗浄装置1の外部に搬出される。搬出装置5の下端には、点検時などに貯留槽4内および搬出装置5内に残っている液体や砂を排出するための排出管55が連結されている。この排出管55には点検時など液体や砂を排出するときに開放され通常は閉塞された不図示の弁が設けられている。
図3および
図4には、放出口331から放出された貯留液によって、放出口331に対面した高さ位置に形成された槽液面WL2も示されている。
【0034】
次に、この洗浄装置1の駆動方法と作用について説明する。
図5は、
図1に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【0035】
沈砂池9および洗浄装置1の動作は、不図示の制御装置によって集中制御されている。なお、沈砂池9と洗浄装置1それぞれに制御装置を設け、互いに情報または指令を送受信可能な構成にしてもよい。
図1に示した沈砂池9の底面に堆積した砂がある程度の量になった所定の時期に、沈砂池9は、集砂ノズル93から汚水を吐出させてトラフ92に堆積した砂を集砂ピット94に集める集砂動作を行う。その集砂動作の後、洗浄装置1は洗浄動作を開始する。ここで所定の時期は、例えば月に一回など定期的でもよく、沈砂池9に流入した汚水の合計流量または沈砂池9から排出された汚水の合計流量が一定量になったときでもよい。なお、集砂ピット94に砂を集めている途中で洗浄動作を開始してもよい。本実施形態の洗浄装置1は、砂分離装置も兼ねているので、洗浄動作において砂の排出も行われる。
【0036】
洗浄動作では、まず搬出装置5の駆動を開始する(ステップS10)。搬出装置5を駆動している間、搬出装置5の下側部分に堆積している砂は搬出装置5の搬出経路に沿って斜め上方に搬送されていく。スクリューコンベア51によって搬送されている砂は、搬出経路のうち槽液面WL2よりも高い後半部分で水切りされながら搬送される。そして、搬出装置5の搬出経路の上端部分に達した砂は、投下口52から下方に向けて投下されることで排出される。搬出装置5の駆動を開始したら、次に揚砂ポンプ941の駆動が開始される。この駆動開始により、容器3内への混入水の流入が開始される(ステップS11)。混入水は円筒部311の内周面31aの接線方向から流入するので、内部空間X1において、容器3の内周面3a近傍には混入水の旋回流が形成される。混入水に含まれている砂は、夾雑物や汚水よりも比重が大きいため遠心力により容器3の内周面3aに押し付けられつつ、その内周面3aに沿って旋回しながら徐々に下方に落下していく。一方、容器3の径方向の中心部分には、混入水から砂が取り除かれた夾雑物および汚水が集まり上昇流が発生する。この上昇流により、中心部分に集まった夾雑物および汚水は容器3の上端にある送出口611から送出される。送出された夾雑物および汚水は、送出管6を通って送出管6の他端6aから沈砂池9内に放出される。この送出管6の他端6aは、送出管6の一端に形成された送出口611よりも下方に配置されているので、送出管6内が液体で満たされるとサイフォンの原理により送出口611から内部空間X1にある混入水等を吸い上げて沈砂池9に流れ出そうとする力が生じる。これにより、送出水の量が増加し、後述する放出口331における吸込み作用がより高まる。
【0037】
内部空間X1において、内周面3aに沿って旋回しながら徐々に下方に落下した砂は、ある程度の夾雑物および汚水とともに放出口331から濃縮水として放出され始める(ステップS12)。濃縮水は、旋回流の遠心力によって放出口331から放出口331の接線方向に向かって放出される。
図3および
図4には、濃縮水の放出方向が曲線の矢印で示されている。濃縮水の放出が開始されたときに貯留槽4内が空の状態であった場合、貯留槽4内の槽液面WL2は徐々に上昇していく。また、貯留槽4内に貯留された貯留液に含まれる砂は、自重により貯留槽4の底部に向かって沈降し、搬出装置5の下側部分に堆積していく。なお、堆積した砂の量が増加すると、搬出装置5の下側部分に入りきらない砂が貯留槽4内の下側部分にも堆積していく。貯留液に含まれる夾雑物のうち比重が小さいものは、貯留液の上澄み液である汚水の中を浮遊し、比重が大きいものは汚水の中をゆっくり沈降していく。
【0038】
槽液面WL2が上昇し、
図3および
図4に示すように、槽液面WL2が放出口331に対面する高さ位置に達すると(ステップS13でYES)、放出口331に対面した部分にある貯留液の上澄み液である汚水が、浮遊している夾雑物とともに放出口331に吸い込まれていく(ステップS14)。この放出口331に吸い込まれる汚水は液体成分の一例に相当する。以下、放出口331に吸い込まれる夾雑物と汚水とをあわせて、夾雑物含有液体成分と称する。
図4には、円で囲った拡大図において、放出口331から放出されている濃縮水の様子がクロスハッチングを付して示されている。この拡大図では、容器3、槽液面WL2および濃縮水を実線で示している。この拡大図に示すように、濃縮水は、旋回流の運動エネルギーによって、放出口331の外周側に向かって放出される。槽液面WL2が放出口331と僅かに離間して対面する高さ位置では、放出口331は、放出している濃縮液が貯留液に連なることで槽液面WL2に接続した状態になる。この状態では、放出口331は、放出している濃縮水と槽液面WL2によって覆われている。放出口331の径方向の中心部分には、容器3内に発生している上昇流によって負圧が生じている。この負圧により、放出口331の径方向の中心部分の近傍にある貯留液の上澄み液とその近傍に浮遊している夾雑物は、夾雑物含有液体成分として放出口331に吸い込まれていく。換言すれば、上述の負圧によって放出口331から容器3内に夾雑物含有液体成分を吸い込んでいる状態が、放出口331が貯留液に接続した状態の一態様であるといえる。
図3および
図4には、夾雑物含有液体成分の吸込み方向が直線の矢印で示されている。この夾雑物含有液体成分が放出口331に吸い込まれる際に、放出口331の周囲の空気も放出口331に吸い込まれている。すなわち、放出口331には、放出される濃縮水の量以上の量の夾雑物含有液体成分および空気が吸い込まれる。本実施形態では、放出口331よりも大きい開口面積を有する送出口611が形成されているので、送出口611から大量の流動体を送り出すことが可能に構成されている。その結果、放出口331から夾雑物含有液体成分および空気を吸い込みやすくなっている。また、放出される濃縮水の量以上の量の夾雑物含有液体成分および空気を放出口331から吸い込んでも、送出口611から送り出すことができる。放出口331から夾雑物含有液体成分と空気を吸い込んでいる状態では、放出口331から貯留槽4内に放出される濃縮水の液量と、放出口331から内部空間X1に吸い込んでいる夾雑物含有液体成分の量とがほぼ一致したバランス状態が形成されている。放出口331に吸い込まれる空気の体積は、夾雑物含有液体成分の体積の1/5以下である。この実施形態では、放出口331の周囲に水平方向に向かって拡がるフランジ332が形成されているので、放出口331よりも上方にある空気は放出口331に吸い込まれにくくなっている。また、放出口331近傍の槽液面WL2の波うちがフランジ332によって抑制されている。これらにより、空気が放出口331に吸い込まれにくく、空気に対して夾雑物含有液体成分が放出口331に吸い込まれる比率が高められている。さらに、放出口331から放出される濃縮水は、フランジ332によって整然と放出されやすくなる。その結果、放出口331から放出された濃縮水に含まれていた砂が、放出口331の径方向の中心部分から吸い込まれる夾雑物含有液体成分に混じってしまうことが抑制されている。なお、槽液面WL2が放出口331に対面する高さ位置では、槽液面WL2と放出口331との平均距離は0mm以上20mm以下である。ここで、上述したように濃縮水は放出口331から放出口331の外周側に向かって放出されるので、濃縮水に含まれている砂が、放出口331の中心部分から吸い込まれてしまう可能性は低い。加えて、砂は比重が大きく貯留槽4の下方に早期に沈降しやすい。このため、容器3内に強い上昇流が形成されて放出口331に生じている吸込み力が強くても、容器3内に吸い込まれる砂の量は極僅かな量に限定される。その極僅かな量の砂も、夾雑物含有液体成分と比較して比重が大きいので殆どが容器3内で上昇流から外周側に向かってはじきだされて旋回流にのみこまれ、再度放出口331から貯留槽4内に放出される。上述したように放出口331からは空気も吸い込まれているので、容器3内の中央部分に生じている上昇流は、吸い込まれた空気が混ざった比重が小さい流動体の流れになっている。従って、上昇流を主に構成している流動体と砂との比重差がより大きくなり、比重の大きい砂はより外周側に向かってはじき出されやすい。また、貯留槽4内に貯留されている貯留液は、放出された濃縮水によって攪拌される。この攪拌によって、貯留液に含まれている夾雑物のうち貯留液の液体成分よりも比重が大きいものも貯留液中を舞い上がって浮遊しやすくなっている。
【0039】
なお、容器3内に流入する混入水の量が2.0m3/分よりも少ない場合、放出口331に吸い込まれる夾雑物含有液体成分の量が放出口331から放出される濃縮水よりも少なくなり、放出口331を超えて槽液面WL2が上昇することがある。しかし、槽液面WL2が放出口331に達すると放出口331が貯留液で閉塞されるため、放出口331から放出される濃縮水の量は減少する。すなわち、絞り部32における内部空間X1の断面積の減少による抵抗と放出口331に加わる貯留液の水圧が相まって、放出口331から濃縮水が放出されにくくなる。そして、槽液面WL2が上昇するにつれ、放出口331に加わる貯留液の水圧が高まるため、放出口331から放出される濃縮水の量は減少し、送出口611から送出される送出水の量は増加する。また、上述したように送出管6内を液体が満たすとサイフォンの原理により送出口611から沈砂池9に流れ出ようとする作用が送出水に生じるので、送出口611から送出される送出水の量はさらに増加する。これらにより放出口331に吸い込まれる夾雑物含有液体成分の量が増加して槽液面WL2は放出口331に対面する位置まで低下する。すなわち、槽液面WL2が低下している期間は、放出口331から放出される濃縮水の量以上の量の夾雑物含有液体成分が吸い込まれている。このように、容器3内に流入する混入水を減らした場合、また安価な揚砂ポンプ941が使用でき、揚砂ポンプ941で使用される電力量を削減できる。なお、槽液面WL2が放出口331を超えて上方にある状態では、放出口331は、前記貯留槽内に貯留されている貯留液の液中に没した状態になるがこの状態においても、貯留液は、放出口331に対面して貯留されている。すなわち、放出口331が貯留槽4内に貯留されている貯留液の液中に没した状態では、放出口331を覆う部分にある貯留液が放出口331に対面していることになる。なお、容器3内に流入する混入水の量や容器3内の旋回流の強さによっては、放出口331に加わる上述の貯留液の水圧や上述のサイフォンの原理による作用が生じても、槽液面WL2が放出口331よりも上方で停滞することがある。
【0040】
揚砂ポンプ941の駆動開始から第1所定時間経過したら(ステップS15でYES)、揚砂ポンプ941の駆動を停止する(ステップS16)。この第1所定時間は、集砂ピット94に集められた砂の多くを揚砂ポンプ941で吸い上げることができる時間であり、揚砂ポンプ941の能力や集砂ピット94に集めることができる砂の量などに応じて適宜設定された時間である。揚砂ポンプ941を停止することで、容器3内への混入水の流入、貯留槽4内への濃縮水の放出、夾雑物含有液体成分の吸込み、および送出水の送出も停止する。以上説明したステップS11からステップS16が流入工程の一例に相当する。また、ステップS14からステップS16が放出吸込工程の一例に相当する。
【0041】
揚砂ポンプ941の駆動が停止してから第2所定時間経過したら(ステップS17でYES)、搬出装置5の駆動を停止する(ステップS18)。以上説明したステップS10からステップS18は排出工程の一例に相当する。この第2所定時間は、放出口331から放出された濃縮液に含まれていた砂が搬出装置5の下側部分に沈降する時間と搬出装置5の下側部分から投下口52まで砂を搬送する時間の合計時間である。なお、第2所定時間が経過したか否か判断することに代えて、搬出装置5の下側部分の砂の有無を検出する砂有無センサを搬出装置5に設け、その部分の砂が無くなったか否かを判断してもよい。以上で洗浄装置1の動作を修了する。搬出装置5の駆動中、槽液面WL2は、放出口331とほぼ一致する位置にあるので、搬出経路が短くても、水切りしつつ砂を搬送することができる。搬出経路は斜め上方に向かって延在しているので、搬出経路を短くすることで搬出装置5の横幅と高さが短くなる。その結果、洗浄装置1を小型化できる。この実施形態の洗浄装置1によれば、容器3において流入した混入水から汚水と夾雑物を砂と分離し、夾雑物と汚水を送出口611から送り出すだけでなく、夾雑物と汚水を送出口611から送り出しながら貯留槽4内に貯留されている貯留液から夾雑物と液体成分を吸い上げて送出口611から送り出しているので貯留槽4内に夾雑物のないきれいな砂を残すことができる。また、容器3内にある砂は、送出口611に達することが阻止されるので、その砂が送出口611から送り出されてしまうことも防止できる。これらにより、砂の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を得ることができる。
【0042】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。以下の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付すことがあり、重複する説明は省略することがある。
【0043】
図6は、
図1に示した洗浄装置の第1変形例を示す、
図3と同様の正面図である。
【0044】
図6に示すように、この第1変形例の洗浄装置1は、貯留槽4に洗浄水供給管45が接続されている点が
図1に示した洗浄装置1と異なる。洗浄水供給管45は、貯留槽4の側壁41を水密状態で貫通している。洗浄水供給管45の先端には吐出口451が形成されている。吐出口451は、貯留槽4内であって貯留槽4の下端部分に配置されている。また、吐出口451は、放出口331よりも下方に配置されている。この吐出口451は、貯留槽4内に貯留されている貯留液に液流を発生させるためのものである。洗浄水供給管45には、弁452が設けられている。弁452を開放することで吐出口451から浄水が吐出される。これによって貯留槽4内に、約0.2m
3/分の浄水が注入される。この浄水は、流体の一例に相当する。この第1変形例では、送出口611から約2.2m
3/分の送出水が送り出される。弁452は、この第1変形例では手動弁であるが、電動弁であってもよい。吐出口451は、貯留槽4の下端部分において堆積している砂に向かって浄水を吐出する。このように構成することで、貯留液に液流を発生させるだけでなく、堆積している砂と夾雑物を舞い上がらせて砂の中に埋もれた夾雑物を浮上させることができる。これにより、夾雑物が放出口331に吸い込まれやすくなるので高い洗浄効果を得ることができる。送出口611から吐出する浄水の量を増加させた場合または吐出圧力を高めた場合、放出口331近傍まで砂も舞い上がって放出口331に吸い込まれやすくなる。しかし、この洗浄装置1では、容器3内に吸い込まれた砂は、殆どが容器3内で上昇流から外周側に向かってはじきだされて旋回流にのみこまれ、放出口331から貯留槽4内に再度放出される。このため、この洗浄装置1では、送出口611から吐出する浄水の量を増加させ又は吐出圧力を高めることで、砂が送出管6から送り出されて沈砂池9に流出してしまうことを抑制しつつ高い洗浄効果を得ることができる。なお、吐出口451を水中に没する位置に配置した場合と比較して洗浄効果は低下するものの、吐出口451を貯留槽4の上端部分に設けて、槽液面WL2よりも上方から浄水を注入してもよい。また、吐出口451は複数であってもよく、放出口331よりも下方と上方それぞれに吐出口451を設けてもよい。特に、放出口331から容器3内に夾雑物含有液体成分を吸い込む能力に余力があり空気を多く放出口331から吸い込んでいる場合は、吐出口451の数を増やすか、吐出口451から吐出する浄水の量を増加させて、貯留槽4への浄水の供給量を増加させることが好ましい。こうすることで、より多くの夾雑物を舞い上がらせることができるとともに、放出口331から容器3内に吸い込まれる夾雑物含有液体成分の量を増加させて洗浄装置1の洗浄能力を高めることができる。
【0045】
貯留槽4内への浄水の注入は、
図5に示したステップS11(揚砂ポンプ941の駆動開始)からステップS16(揚砂ポンプ941の駆動停止)の間、すなわち流入工程の間実行される。ただし、ステップS11よりも前に注入を開始しておき、あらかじめ槽液面WL2を放出口331に対面させておいてもよい。この場合、濃縮水の放出と同時に夾雑物含有液体成分の吸込みが開始される。ステップS14以降、槽液面WL2の高さ位置と放出口331の高さ位置はほぼ一致した位置になる。貯留槽4内への浄水の注入は、ステップS11よりも後、例えばステップS14(夾雑物含有液体成分の吸込み開示)からステップS16(揚砂ポンプ941の駆動停止)の間、すなわち放出吸込工程の間実行してもよい。この貯留槽4内へ浄水を注入する工程が注入工程の一例に相当する。浄水を注入することで、洗浄装置1における洗浄効果を高めることができる。
【0046】
また、不図示のファインバブル水発生装置を設けて、浄水の代わりにファインバブル水を貯留槽4内に注入してもよい。なお、ファインバブル水とは、100μm以下の微細気泡を含有した微細気泡含有液である。ファインバブル水は、直径が1μmよりも大きく100μm以下の気泡であるマイクロバブルを含有した液体であってもよく、直径が1μm以下の気泡であるウルトラファインバブルを含有した液体であってもよい。さらに、ファインバブル水は、マイクロバブルとウルトラファインバブルの両方を含有した液体であってもよい。ファインバブル水を用いることで洗浄装置1における洗浄効果をより高めることができる。このファインバブル水は、流体の一例に相当する。
【0047】
図7は、
図1に示した洗浄装置の第2変形例を示す、
図3と同様の正面図である。第2変形例の説明では、
図6に示した第1変形例との相違点を中心に説明する。
【0048】
図7に示すように、この第2変形例の洗浄装置1は、搬出装置5に洗浄水供給管45が接続されている点が
図6に示した洗浄装置1と異なる。洗浄水供給管45は、搬出装置5の搬出方向における上流側の壁を水密状態で貫通している。吐出口451は、搬出装置5内であって搬出装置5の下端部分に配置されている。また、吐出口451は、放出口331よりも下方に配置されている。吐出口451は上方に向かって浄水を吐出する。この第2変形例では、吐出口451が、搬出装置5内に堆積した砂の下方から上方に向かって浄水を吐出するので多くの砂と夾雑物を舞い上がらせることができる。なお、上述したように、浄水の代わりに吐出口451からファインバブル水を吐出してもよ。また、浄水の代わりに吐出口451から気体を吐出してもよい。この場合、気体が流体の一例に相当する。また、搬出装置5に設けられた吐出口451に加えて、貯留槽4の下端部分または上端部分にも吐出口451を設けてもよい。
【0049】
図8は、
図1に示した洗浄装置の第3変形例を示す、
図4と同様の右側面図である。第3変形例の説明では、
図6に示した第1変形例との相違点を中心に説明する。
【0050】
図8に示すように、この第3変形例の洗浄装置1は、排出管55に洗浄水供給管45が接続されている点が
図6に示した洗浄装置1と異なる。洗浄水供給管45は、排出管55に設けられた弁よりもスクリューコンベア51側において排出管55に連結している。洗浄水供給管45は、排出管55に設けられた弁が閉塞された状態で浄水を排出管55に供給する。排出管55は、砂が堆積している搬出装置5内のスクリューコンベア51の下端部分において搬出装置5の側方から連結されている。このため、供給された浄水は、排出管55と搬出装置5との連結部から排出装置5内に向かって側方から吐出される。つまり、この第3変形例では、排出管55と搬出装置5の連結部が吐出口451になる。
図8では、理解しやすいように、吐出口451を搬出装置5内に少し突出させて示している。吐出口451は、放出口331よりも下方に配置されている。この第3変形例では、吐出口451が、搬出装置5内に堆積した砂の側方から、その砂に向かって水平方向に浄水を吐出するので多くの砂と夾雑物を舞い上がらせることができる。なお、この第3変形例でも、浄水の代わりに吐出口451からファインバブル水を吐出してもよ。また、浄水の代わりに吐出口451から気体を吐出してもよい。また、排出管55と搬出装置5の連結部の吐出口451に加えて、貯留槽4の下端部分または上端部分にも吐出口451を設けてもよい。
【0051】
次に第2実施形態について説明する。
図9は、洗浄装置の第2実施形態を示す、
図1と同様の概略構成図である。
【0052】
図9に示すように、この第2実施形態の沈砂池9では、トラフ92、集砂ノズル93、集砂ピット94、池底傾斜面95、揚砂ポンプ941、揚砂管942が存在しない代わりにグラブバケット式揚砂装置96が設けられている点と、容器3内に処理水を流入させる点とが
図1に示した洗浄装置1および沈砂池9とは異なる。沈砂池9には、グラブバケット式揚砂装置96が設置されている。グラブバケット式揚砂装置96は、レール961と移動式ウインチ962とグラブバケット963とを備えている。レール961は、沈砂池9の地上部分に建てられた支柱9611に支持されている。このレール961は、沈砂池9の長手方向全長にわたって掛け渡されている。移動式ウインチ962は、レール961に沿って移動可能に構成されている。グラブバケット963は、移動式ウインチ962に吊り下げられている。このグラブバケット963は、沈砂池9の底に堆積した砂をつかんで移動式ウインチ962によって地上まで持ち上げる。この砂には夾雑物が混入している。地上まで持ち上げられた砂は、槽蓋42が開放された貯留槽4内に投入される。容器3の液体流入管34には、後述する処理水を供給する処理水管97が接続されている。
【0053】
図10は、
図9に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
図9に示した沈砂池9の底面に堆積した砂がある程度の量になった所定の時期に、グラブバケット式揚砂装置96を動作させて、沈砂池の底に堆積した、夾雑物が混入した砂を貯留槽4内に投入する。その投入の後、槽蓋42を閉じてから洗浄装置1は洗浄動作を開始する。なお、容器3を
図3や
図4に示した位置に配置する設置器具を設けて容器3を設置した場合は、槽蓋42を閉じるタイミングはいつでも構わない。またその場合、槽蓋42を省略してもよい。洗浄動作では、まず容器3内への処理水の供給を開始する。処理水は、下水処理施設で処理された水であり、ポンプによって処理水管97に圧送されることで容器3内に供給される。なお、処理水の代わりに沈殿池などから処理完了前の汚水を供給してもよく、水道水や天然水を供給してもよい。要するに沈砂池以外で得た水を供給してもよい。この第2実施形態では、容器3内に供給される処理水等が液体の一例に相当する。この容器3内への処理水の供給が開始されることで、容器3内への処理水の流入が開始される(ステップS21)。処理水は円筒部311の内周面31aの接線方向から流入するので、内部空間X1において、容器3の内周面3a近傍には処理水の旋回流が形成される。この旋回流によって、流入した処理水は内周面3aに沿って旋回しながら徐々に下方に移動していく。一方、容器3の径方向の中心部分には、上昇流が発生する。この上昇流により、流入した処理水のうちのある程度の量の処理水は、容器3の上端にある送出口611からそのまま送出される。
図9に示すように、送出された処理水は、送出管6を通って送出管6の他端6aから沈砂池9に向かって放出される。
【0055】
内部空間X1において、内周面3aに沿って旋回しながら徐々に下方に移動した処理水の一部は、放出口331に達して放出口331から放出され始める(ステップS22)。処理水の一部は、旋回流の遠心力によって放出口331から放出口331の接線方向に向かって放出される。貯留槽4内には、夾雑物が混入した砂が堆積しているので、放出された処理水の一部はその上に降り注ぎ、貯留槽4内に槽液面WL2を形成する。処理水の一部が放出されることで槽液面WL2は徐々に上昇していく。この第2実施形態では、もともと貯留槽4内に投入されていた夾雑物が混入した砂と貯留槽4内に放出された処理水の一部が貯留液になる。槽液面WL2が上昇し、槽液面WL2が放出口331に対面する高さ位置に達すると(ステップS23でYES)、放出口331に対面した部分にある貯留液の上澄み液が、放出口331の中心部分から吸い込まれていく(ステップS24)。また、貯留槽4内に貯留されている貯留液は、放出された処理水によって攪拌されるので、堆積していた夾雑物が舞い上がってきて、貯留液の上澄み液とともに放出口331に吸い込まれる。この放出口331に吸い込まれる上澄み液は液体成分の一例に相当する。また、放出口331に吸い込まれる夾雑物と上澄み液とが、夾雑物含有液体成分になる。夾雑物含有液体成分が放出口331に吸い込まれる際に、放出口331の周囲の空気も放出口331に吸い込まれる。すなわち、放出される処理水の一部の量以上の量の夾雑物含有液体成分と空気が放出口331から吸い込まれる。放出口331から夾雑物含有液体成分と空気を吸い込んでいる状態では、放出口331から貯留槽4内に放出される処理水の液量と、放出口331から内部空間X1に吸い込んでいる夾雑物含有液体成分の量とがほぼ一致したバランス状態が形成されている。ここで、貯留液に含まれる砂は貯留液が攪拌されることである程度舞い上がるが、処理水と比較して比重が大きいので槽液面WL2付近まで舞い上がることは少ない。このため、放出口331に生じている吸込み力が強くても、容器3内に吸い込まれる砂は少量である。また、吸い込まれたとしても、夾雑物含有液体成分と比較して砂は比重が大きいので殆どが容器3内で上昇流から外周側に向かってはじきだされて旋回流にのみこまれ、再度放出口331から貯留槽4内に放出される。
【0056】
なお、先の実施形態と同様に、容器3内に流入する処理水の量が2.0m3/分よりも少ない場合、放出口331を超えて槽液面WL2が上昇することがある。しかし、一旦上昇した槽液面WL2は、放出口331に加わる水圧やサイフォンの原理による効果により放出口331に対面する位置まで低下する。
【0057】
処理水の供給開始から第3所定時間経過したら(ステップS25でYES)、処理水の供給を停止する(ステップS26)。この第3所定時間は、貯留槽4にある砂に混入している夾雑物を貯留液の液体成分とともに吸い上げることが可能な時間であり、実験結果などに基づいてあらかじめ設定された時間であってもよく、貯留槽4内に投入された砂の量や夾雑物の混入具合に応じてオペレータが入力した時間であってもよい。処理水の供給を停止することで、容器3内への処理水の流入、貯留槽4内への処理水の一部の放出、夾雑物含有液体成分の吸込み、および送出水の送出も停止する。以上説明したステップS21からステップS26が流入工程の一例に相当する。また、ステップS24からステップS26が放出吸込工程の一例に相当する。処理水の供給を停止したら、搬出装置5の駆動を開始する(ステップS27)。搬出装置5の駆動を開始してから第4所定時間が経過したら(ステップS28でYES)、搬出装置5の駆動を停止する(ステップS29)。この第4所定時間は、搬出装置5の下側部分に堆積した全ての砂を投下口52まで搬送して排出できる時間であり、想定される砂の堆積量を考慮してあらかじめ設定された時間であってもよく、貯留槽4内に投入された砂の量に応じてオペレータが入力した時間であってもよい。なお、第4所定時間が経過したか否か判断することに代えて、搬出装置5の下側部分の砂の有無を検出する砂有無センサを搬出装置5に設け、その部分の砂が無くなったか否かを判断してもよい。以上説明したステップS27からステップS29は排出工程の一例に相当する。なお、処理水の供給停止(ステップS26)前に搬出装置5の駆動を開始しても構わないが、洗浄前の夾雑物が混入した砂が投下口52から排出されてしまう虞があるので、この第2実施形態では処理水の供給停止後(洗浄完了後)に搬出装置5を駆動することが好ましい。この第2実施形態においても、貯留槽4に貯留されている貯留液から夾雑物と液体成分を吸い上げているので貯留槽4に夾雑物のないきれいな砂を残すことができる。また、砂は、送出口611に達することが阻止されるので、砂が送出口611から送り出されてしまうことも防止できる。これらにより、砂の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を得ることができる。
【0058】
次に第3実施形態について説明する。
図11は、洗浄装置の第3実施形態を示す、
図3と同様の正面図である。この第3実施形態の説明では、
図6に示した洗浄装置1との相違点を中心に説明する。
【0059】
図11に示すように、この第3実施形態の洗浄装置1は、貯留槽4底部の構造と、搬出装置5の代わりにベルトゲート7が設けられている点が
図6に示した洗浄装置1とは異なる。このベルトゲート7は、排出部の一例に相当する。貯留槽4底部には開口4aが形成されている。
図11では、この開口4aは、実線で示されたベルトゲート7によって閉塞されている。貯留槽4の開口4aは、図の右側から左側に向けて、3°上側に傾斜した姿勢で開口している。ベルトゲート7は、開口4aと同様に3°上側に傾斜した姿勢で、貯留槽4の下端部分に配置されている。ただし、開口4aおよびベルトゲート7は、水平に配置されていてもよい。開口4aがベルトゲート7によって閉塞された状態では、貯留槽4内に貯留された貯留液は、開口4aからの排出が阻止されている。以下、
図11に示す、開口4aがベルトゲート7によって閉塞された状態を、閉塞状態と称する。ベルトゲート7は、
図11の紙面と直交する方向に延在した複数のローラ71と、これら複数のローラ71に巻き掛けられたベルト72を有している。複数のローラ71のうち、
図11における左右両端に配置されたローラ71は駆動用であり、これら駆動用のローラ71を駆動することによって、ベルトゲート7は、閉塞状態の位置から左側に移動する。以下、ベルトゲート7が、閉塞状態の位置から移動する方向を開放方向と称する。なお、ベルトゲート7は公知であるため、詳細な説明は省略し、図面においてもベルトゲート7を簡略化して示し駆動装置やフレーム等は省略している。ベルトゲート7が閉鎖状態の位置から開放方向に移動することで、
図11に一点鎖線で示すように、開口4aが全て開放された状態になる。ベルトゲート7が開放方向に移動することで、ベルトゲート7の上に堆積した砂は貯留液の液体成分とともに貯留槽4の開口4aから貯留槽4の外部に排出される。ベルトゲート7が開放方向に移動することで、砂の濃度が極めて高い貯留液が貯留槽4の外部に排出されることになる。以下、開口4aが全て開放されたベルトゲート7の状態を開放状態と称する。ベルトゲート7は、一点鎖線で示した開放状態から、駆動用のローラ71の駆動によって右側に移動する。以下、ベルトゲート7が、開放状態の位置から移動する方向を閉塞方向と称する。すなわち、ベルトゲート7は、洗浄装置1を閉塞状態と開放状態の間で状態変化させるものであり、開放状態に変化させることで貯留槽4内にある、砂の濃度が極めて高い貯留液を貯留槽4の外部に排出するものである。
【0060】
また、この第3実施形態では、洗浄水供給管45は、貯留槽4の側壁41を水密状態で貫通している。そして、吐出口451は、放出口331よりも下方であって、貯留槽4の下端部分に水平方向に向かって浄水を吐出するように配置されている。すなわち、吐出口451は、貯留槽4の底部を閉塞するベルトゲート7に堆積した砂に向かって浄水を吐出する。
【0061】
図12は、
図11に示した洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【0062】
洗浄動作では、まず揚砂ポンプ941の駆動が開始される。この駆動開始により、容器3内への混入水の流入が開始される(ステップS31)。このステップS31からS36は、搬出装置5が駆動されていない点を除いて、
図5に示したステップS11からS16と同様であるため説明を省略する。なお、ステップS31からステップS36が流入工程の一例に相当する。また、ステップS34からステップS36が放出吸込工程の一例に相当する。さらに、この第3実施形態では、
図6に示した洗浄装置1と同様、ステップS31からステップS36の間、すなわち流入工程の間、吐出口451から浄水を吐出することで、貯留槽4内へ浄水を注入している。吐出口451が、搬出装置5内に堆積した砂の側方から、その砂に向かって水平方向に浄水を吐出するので多くの砂と夾雑物を舞い上がらせることができる。また、貯留槽4内に貯留されている貯留液に液流を発生させることができる。この貯留槽4内へ浄水を注入する工程が注入工程の一例に相当する。浄水を注入することで、洗浄装置1における洗浄効果を高めることができる。なお、この第3変形例でも、浄水の代わりに吐出口451からファインバブル水を吐出してもよい。また、浄水の代わりに吐出口451から気体を吐出してもよい。
【0063】
ステップS36で、揚砂ポンプ941の駆動が停止したら、ベルトゲート7を開放方向に移動させて開放状態にする(ステップS37)。ベルトゲート7の移動によって、ベルトゲート7の上に堆積していた砂は、貯留槽4の外部に排出される。このステップS37が排出工程の一例に相当する。なお、貯留槽4を開放状態にする前には、トラックを貯留槽4の下に待機させておく。貯留槽4から排出された砂は、トラックの荷台或いはその荷台に設けられた容器内に落下してトラックによって運ばれる。貯留槽4内の砂が排出されたら、ベルトゲート7を閉塞方向に移動させて閉塞状態にし(ステップS38)、洗浄動作を終了する。この第3実施形態の洗浄装置1でも、
図6に示した洗浄装置1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、沈砂池9に洗浄装置1を設置する例を用いて説明したが、洗浄装置1は沈砂池以外に設置してもよい。また、洗浄装置1を用いて砂を洗浄する例を用いて説明したが、洗浄装置1は土砂等の他の被洗浄物を洗浄するものであってもよい。さらに、スクリューコンベア51およびベルトゲート7以外の排出機構を排出部として用いてもよい。
【0065】
以上説明した実施形態や変形例によれば、砂の流出を抑制しつつ高い洗浄効果を備えた小型の洗浄装置を得ることができる。
【0066】
なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 洗浄装置
3 容器
4 貯留槽
5 搬出装置
32 絞り部
331 放出口
341 流入口
X1 内部空間