IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社システックキョーワの特許一覧

<>
  • 特開-ドアストッパー 図1
  • 特開-ドアストッパー 図2
  • 特開-ドアストッパー 図3
  • 特開-ドアストッパー 図4
  • 特開-ドアストッパー 図5
  • 特開-ドアストッパー 図6
  • 特開-ドアストッパー 図7
  • 特開-ドアストッパー 図8
  • 特開-ドアストッパー 図9
  • 特開-ドアストッパー 図10
  • 特開-ドアストッパー 図11
  • 特開-ドアストッパー 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067001
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】ドアストッパー
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/46 20060101AFI20220422BHJP
   E05C 17/56 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
E05C17/46
E05C17/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175664
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】592062725
【氏名又は名称】株式会社システックキョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】中津 陽介
(57)【要約】
【課題】フラップの揺動に伴って生じる音を抑制することのできるドアストッパーを提供する。
【解決手段】ドアストッパー10の床面側機構部200は、少なくとも一部が磁性体により形成された板状の部材であって、上下方向に揺動可能な状態で保持されているフラップ210と、フラップ210の下方側となる位置に配置され、フラップ210を保持しているベース230と、を備える。ドアストッパー10の扉側機構部100は、扉Dが開方向に移動し、扉側機構部100が床面側機構部200の上方側となる位置に到達した際に、フラップ210を引き寄せる磁石130を備える。床面側機構部200には、フラップ210の動作に伴って生じる音を抑制するための静音部が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けられる床面側機構部と、扉に設けられる扉側機構部と、を有するドアストッパーであって、
前記床面側機構部は、
少なくとも一部が磁性体により形成された板状の部材であって、上下方向に揺動可能な状態で保持されているフラップと、
前記フラップの下方側となる位置に配置され、前記フラップを保持している保持部材と、を備え、
前記扉側機構部は、
前記扉が開方向に移動し、前記扉側機構部が前記床面側機構部の上方側となる位置に到達した際に、前記フラップを引き寄せる磁石を備え、
前記床面側機構部には、
前記フラップの動作に伴って生じる音を抑制するための静音部が設けられているドアストッパー。
【請求項2】
前記フラップ及び前記保持部材のうちの一方には軸が設けられており、
前記フラップ及び前記保持部材のうちの他方には、前記軸を回動自在な状態で保持する軸受け部が設けられている、請求項1に記載のドアストッパー。
【請求項3】
前記静音部には、樹脂により形成された前記軸が含まれる、請求項2に記載のドアストッパー。
【請求項4】
前記静音部には、樹脂により形成された前記軸受け部が含まれる、請求項2又は3に記載のドアストッパー。
【請求項5】
前記保持部材は、前記フラップが下方向に揺動した際に当接する当接部を有しており、
前記静音部には、樹脂により形成された前記当接部が含まれる、請求項1に記載のドアストッパー。
【請求項6】
前記フラップには貫通穴が形成されており、
前記保持部材のうち前記貫通穴と対向する部分には、上方側へと突出する凸部が形成されている、請求項5に記載のドアストッパー。
【請求項7】
前記フラップが前記当接部に当接した状態においては、
前記凸部の上端面と、前記フラップの上面とが、同一の平面上に存在するように構成されている、請求項6に記載のドアストッパー。
【請求項8】
前記保持部材のうち前記フラップと対向する部分であって、且つ前記当接部と隣り合う部分には、下方側へと後退する凹部が形成されており、
前記静音部には前記凹部が含まれる、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のドアストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアストッパーとは、開閉する扉が所定位置を超えて開かれ過ぎてしまうことを防止するための装置である。例えば下記特許文献1及び2のそれぞれに記載されているように、ドアストッパーは、床面に設けられる機構と、扉に設けられる機構とを有している。以下では、ドアストッパーのうち床面に設けられる機構のことを「床面側機構部」とも称し、扉に設けられる機構のことを「扉側機構部」とも称する。
【0003】
床面側機構部はフラップを備える。フラップは、少なくとも一部が磁性体により形成された板状の部材であって、床面において上下方向に揺動可能な状態で保持されている。扉側機構部は磁石を備える。扉が開方向に移動し、扉側機構部が床面側機構部の上方側となる位置に到達した際には、扉側機構部の磁石によって、床面側機構部のフラップが上方側へと引き寄せられる。このとき、扉を更に開こうとすると、上方側に引き寄せられたフラップの一部が扉側機構部に当接し、これにより開方向への扉の移動が妨げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-48053号公報
【特許文献2】特開2017-66819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床面側機構部のフラップは、扉が所定位置まで開かれた際には、磁石によって上方側へと揺動し、扉側機構部に当たることとなる。また、扉が上記所定位置から閉じられ始めた際には、フラップは重力によって下方側へと揺動し、下方側の部材に当たることとなる。いずれの場合においても、揺動するフラップが他の部材に当たることで音が発生する。また、フラップが揺動自在に保持されている部分(例えば軸受け部分)においても、フラップの動作に伴って音が発生することがある。このような音の発生は、使用者に不快な思いをさせてしまうことがあるので好ましくない。
【0006】
本発明の課題は、フラップの揺動に伴って生じる音を抑制することのできるドアストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、床面に設けられる床面側機構部と、扉に設けられる扉側機構部と、を有するドアストッパーであって、床面側機構部は、少なくとも一部が磁性体により形成された板状の部材であって、上下方向に揺動可能な状態で保持されているフラップと、フラップの下方側となる位置に配置され、フラップを保持している保持部材と、を備え、扉側機構部は、扉が開方向に移動し、扉側機構部が床面側機構部の上方側となる位置に到達した際に、フラップを引き寄せる磁石を備え、床面側機構部には、フラップの動作に伴って生じる音を抑制するための静音部が設けられているものである。
【0008】
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において更に以下の構成を有する。フラップ及び保持部材のうちの一方には軸が設けられており、フラップ及び保持部材のうちの他方には、軸を回動自在な状態で保持する軸受け部が設けられている。
【0009】
請求項3に係る発明では、請求項2に係る発明において更に以下の構成を有する。静音部には、樹脂により形成された軸が含まれる。
【0010】
請求項4に係る発明では、請求項2又は3に係る発明において更に以下の構成を有する。静音部には、樹脂により形成された軸受け部が含まれる。
【0011】
請求項5に係る発明では、請求項1に係る発明において更に以下の構成を有する。保持部材は、フラップが下方向に揺動した際に当接する当接部を有しており、静音部には、樹脂により形成された当接部が含まれる。
【0012】
請求項6に係る発明では、請求項5に係る発明において更に以下の構成を有する。フラップには貫通穴が形成されており、保持部材のうち貫通穴と対向する部分には、上方側へと突出する凸部が形成されている。
【0013】
請求項7に係る発明では、請求項6に係る発明において更に以下の構成を有する。フラップが当接部に当接した状態においては、凸部の上端面と、フラップの上面とが、同一の平面上に存在するように構成されている。
【0014】
請求項8に係る発明では、請求項5乃至7のいずれか1項に係る発明において更に以下の構成を有する。保持部材のうちフラップと対向する部分であって、且つ当接部と隣り合う部分には、下方側へと後退する凹部が形成されており、静音部には凹部が含まれる。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1)
静音部が設けられることにより、フラップの動作に伴って生じる音を従来よりも抑制することが可能となる。
【0016】
(請求項2)
フラップ及び保持部材のうちの一方には軸を設け、他方には軸受け部を設けることにより、比較的簡易な構成で、フラップを上下方向に揺動可能な状態で保持することが可能となる。
【0017】
(請求項3)
軸を樹脂により形成することで、例えば、金属のプレス成型により軸を形成した場合に比べて、高い寸法精度で軸を形成することができる。軸と軸受け部との間におけるガタツキが抑制されるので、フラップの揺動に伴って生じる音を抑制することが可能となる。
【0018】
(請求項4)
軸受け部を樹脂により形成することで、例えば、金属のプレス成型により軸受け部を形成した場合に比べて、高い寸法精度で軸受け部を形成することができる。軸と軸受け部との間におけるガタツキが抑制されるので、フラップの揺動に伴って生じる音を抑制することが可能となる。
【0019】
(請求項5)
当接部を樹脂により形成することで、フラップが下方側に揺動し当接部に当たった際に生じる音を抑制することが可能となる。
【0020】
(請求項6)
フラップに貫通穴を形成することで、例えば、扉側機構部の一部を当該貫通穴に係合させ、開かれた状態の扉を保持することが可能となる。尚、請求項5に係る発明のように、当接部を樹脂により形成した場合には、金属によるプレス成型の場合に比べて、保持部材のうち当接部やその周囲の形状の自由度が高くなる。そこで、保持部材のうち貫通穴と対向する部分に凸部を形成し、フラップが下方側に揺動した際に、凸部が貫通穴に嵌まり込む構成とすることができる。床面に配置されたフラップの貫通穴が目立たなくなるので、床面側機構部の意匠性を高めることができる。
【0021】
(請求項7)
フラップが下方側へと揺動し、当接部に当接した状態においては、凸部の上端面と、フラップの上面とが、同一の平面上に存在することとなる。このため、フラップの貫通穴をより目立たなくすることが可能となる。
【0022】
(請求項8)
保持部材に凹部を形成することで、保持部材は、比較的狭い当接部においてのみフラップに当接し、他の部分、すなわち凹部においてはフラップに当接しなくなる。保持部材とフラップとが互いに当接する面積が小さくなるので、フラップの動作に伴って生じる音を更に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係るドアストッパーが、扉及び床面に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るドアストッパーが、扉及び床面に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図3図3は、床面側機構部の外観を示す斜視図である。
図4図4は、床面側機構部の外観を示す斜視図である。
図5図5は、床面側機構部の構成を示す分解組立図である。
図6図6は、図1のVI-VI断面を示す図であって、扉側機構部の内部構成を示す断面図である。
図7図7は、扉側機構部の構成を示す分解組立図である。
図8図8は、扉が開閉される際のドアストッパーの動作を説明するための図である。
図9図9は、扉が開閉される際のドアストッパーの動作を説明するための図である。
図10図10は、扉が開閉される際のドアストッパーの動作を説明するための図である。
図11図11は、扉が所定位置まで開かれたときの状態を説明するための図である。
図12図12は、扉が所定位置から閉じられ始めたときの状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0025】
本実施形態に係るドアストッパー10は、開き戸である扉に設けられるものであり、当該扉が所定位置を超えて開かれ過ぎてしまうことを防止するための装置である。図1には、ドアストッパー10が設けられた扉Dが図示されている。
【0026】
同図に示されるように、ドアストッパー10は、扉Dに設けられる扉側機構部100と、床面Fに設けられる床面側機構部200と、を有している。「床面F」とは、扉Dが開閉時に旋回し移動する範囲、の直下にある床面のことである。
【0027】
扉側機構部100は、扉Dの下端部近傍となる位置であって、且つ、不図示のヒンジ側とは反対側の端部近傍となる位置に設けられている。このため、扉側機構部100は、扉Dの開閉時において、扉Dと共に旋回し移動することとなる。扉Dが開かれる際において扉側機構部100が移動する方向のことを、以下では「開方向」とも称する。扉Dが閉じられる際において扉側機構部100が移動する方向のことを、以下では「閉方向」とも称する。図1に示されるように、扉側機構部100は、扉Dのうち開方向側の表面に取り付けられている。
【0028】
床面側機構部200は、床面Fのうち、扉Dの開閉時において扉側機構部100が通過する軌道の直下となる位置に設けられている。図1には、扉Dが開かれている途中の状態であって、扉側機構部100が、床面側機構部200の直上となる位置に到達する直前の状態が示されている。
【0029】
図1の状態から、更に扉Dが開かれると、図2のように、扉側機構部100が、床面側機構部200の直上となる位置にまで到達した状態となる。後に詳しく説明するように、図2の状態においては、扉側機構部100の一部が床面側機構部200の一部と当接し、これ以上扉Dが開かれなくなる。先に述べたように、ドアストッパー10は、扉Dが所定位置を超えて開かれ過ぎてしまうことを防止するための装置であるが、床面側機構部200の設けられている位置が、上記の「所定位置」ということになる。
【0030】
図3乃至5を参照しながら、先ず床面側機構部200の構成について説明する。床面側機構部200は、フラップ210と、ベース230と、ベースカバー220と、を備えている。
【0031】
フラップ210は、その全体が板状に形成された部材であって、フラップ板211と軸部材213とを組み合わせることにより構成されている。フラップ板211は、例えば冷間圧延鋼板(SPCC)のような磁性体材料により形成された板状部材である。フラップ板211の主面の形状は略長方形である。フラップ板211の主面には、これを垂直に貫くように、矩形の貫通穴212が形成されている。
【0032】
軸部材213は、例えばポリアセタール(POM)のような樹脂材料により形成された部材である。軸部材213には凹部213A(図8を参照)が形成されている。先に述べたフラップ板211は、当該凹部に挿通された状態で、軸部材213によって保持されている。軸部材213のうち、フラップ板211が保持されている方とは反対側の端部には、一対の軸214が、両外側に突出するように形成されている。軸214は略円柱形状の軸である。軸214は、後述のベース230に設けられた軸受け部231によって、回動自在な状態で保持されている。このため、フラップ板211と軸部材213とが一体となったフラップ210は、軸214を中心に上下方向に揺動可能な状態で、ベース230によって保持されている。
【0033】
図3には、扉Dが上記の所定位置まで開かれていない状態、すなわち、扉側機構部100が床面側機構部200の直上には到達していないときにおける、床面側機構部200の状態が示されている。当該状態においては、フラップ210の位置は、その可動範囲のうち最も下方側となる位置となっている。このとき、フラップ210の主面は、床面Fに対し平行となっている。
【0034】
図4には、扉Dが上記の所定位置まで開かれた状態、すなわち、扉側機構部100が床面側機構部200の直上に到達したときにおける、床面側機構部200の状態が示されている。当該状態においては、フラップ210のフラップ板211が、扉側機構部100が備える磁石130により上方側へと引き寄せられている。このため、フラップ210の位置は、その可動範囲のうち最も上方側となる位置となっている。このとき、フラップ210の主面は、床面Fに対して傾斜している。
【0035】
このように、フラップ210は、その一部であるフラップ板211が磁性体により形成された板状の部材であって、床面側機構部200において、上下方向に揺動可能な状態で保持されている。尚、フラップ210の一部ではなく全体が磁性体により形成されているような態様としてもよい。つまり、フラップ210のうち磁性体により形成された部分は、少なくとも一部であればよい。
【0036】
ベース230は、床面側機構部200のうち床面Fに対し直接固定される部分であって、上記のようにフラップ210を揺動可能な状態で保持する部分である。このようなベース230は、フラップ210の下方側となる位置に配置され、フラップ210を保持している部材、ということもできる。ベース230は、本実施形態における「保持部材」に該当する。ベース230は、上面視において略円形をなすように形成されており、例えばポリアセタール(POM)のような樹脂材料により形成されている。
【0037】
ベース230には、図5に示すように、軸受け部231と、固定穴232と、凸部233と、当接部234と、が形成されている。
【0038】
軸受け部231は、先に述べたように、フラップ210の軸214を回動自在な状態で保持する部分である。このような軸受け部231は、例えば、軸214を内側に収容するような凹部として形成することができる。本実施形態に係る扉側機構部100では、軸214及び軸受け部231からなる比較的簡易な構成により、フラップ210が上下方向に揺動可能な状態で保持されている。尚、本実施形態では、軸214がフラップ210の方に設けられており、軸214を支持する軸受け部231がベース230の方に設けられている。このような態様に替えて、軸がベース230の方に設けられており、当該軸を支持する軸受け部がフラップ210の方に設けられている態様としてもよい。いずれの構成においても、フラップ210は、上下方向に揺動可能な状態でベース230により支持されることなる。
【0039】
固定穴232は、ベース230を上下方向に貫くように形成された貫通穴である。固定穴232は、フラップ210が配置される中央部分を間に挟むように2カ所形成されている。それぞれの固定穴232には止めネジ240が上方から挿通される。これにより、ベース230を含む床面側機構部200の全体が床面Fに対して固定される。
【0040】
凸部233は、ベース230のうちフラップ210と対向する面から、上方側に向かって突出するように形成された部分である。当該面のうち凸部233が形成されているのは、フラップ板211の貫通穴212と対向する部分である。上面視における凸部233の形状は、貫通穴212の形状と概ね等しい。図3に示されるように、フラップ210の位置が、その可動範囲のうち最も下方側となる位置となっている状態においては、凸部233は貫通穴212の内側へと挿通されている。これにより、床面Fに配置されたフラップ210の貫通穴212が目立たなくなっており、床面側機構部200の意匠性が高められている。
【0041】
また、図3に示される状態においては、凸部233の上端面と、フラップ210の上面(具体的には、フラップ板211の上面)とが、同一の平面上に存在するように、床面側機構部200の各部の寸法が調整されている。このような構成によれば、図3の状態においては貫通穴212の部分が更に目立たなくなるので、床面側機構部200の意匠性が更に高められる。
【0042】
図5に示されるように、ベース230のうちフラップ210と対向する面には、上記の凸部233に加えて、当接部234も形成されている。当接部234は、凸部233と同様に、上方側に向かって突出するように形成されている。ただし、その突出量は、凸部233の突出量よりも小さい。当接部234は、凸部233を間に挟むように2カ所形成されている。
【0043】
当接部234は、図3のようにフラップ210の位置が最も下方側となっているときにおいて、フラップ210の下面(具体的には、フラップ板211の下面)が当接する部分となっている。このような構成においては、下方側に移動したフラップ210は、ベース230の上面のうち対向する部分の全体に対して当接するのではなく、当接部234に対してのみ当接することとなる。
【0044】
フラップ210が下方側に移動して当接部234に当接した状態においては、先に述べたように、凸部233の上端面と、フラップ210の上面とが、同一の平面上に存在することとなる。換言すれば、このような各面の位置関係が実現されるように、凸部233の突出量や当接部234の突出量、及びフラップ板211の厚さ等が調整されている。
【0045】
尚、本実施形態では上記のように、ベース230において当接部234が上方側に向かって突出している構成となっている。このような構成は、換言すれば、ベース230のうちフラップ210と対向する部分であって、且つ、フラップ210が当接する当接部234と隣り合う部分に、下方側へと後退する凹部235が形成された構成、と表現することもできる。
【0046】
ベースカバー220は、ベース230の全体上方側から覆うことで、床面側機構部200の意匠性を高めるための部材である。ベースカバー220には、図5に示すように、これを上下方向に貫くように略矩形の貫通穴221が形成されている。先に述べたフラップ210は、この貫通穴221を通じて、上下方向に揺動することが可能となっている。
【0047】
続いて、図6及び図7を参照しながら、扉側機構部100の構成について説明する。扉側機構部100は、ケース110と、カバー120と、磁石130と、回転体150と、板ばね140と、を備えている。
【0048】
ケース110は、扉側機構部100のうち扉Dに対し直接固定される部分であって、後述の磁石130や回転体150等をその内側に保持する部分である。図7に示されるように、ケース110には固定穴114が形成されている。固定穴114は、ケース110を、扉Dに向かう方向に貫くように形成された貫通穴である。固定穴114は、後述の回転体150が配置される部分を間に挟むように2カ所形成されている。それぞれの固定穴114には、止めネジ170が扉D側に向かって挿通される。これにより、ケース110を含む扉側機構部100の全体が扉Dに対して固定される。
【0049】
ケース110には、一対の保持壁115、116が形成されている。保持壁115、116は、いずれも略平板状の壁であって、それぞれが、扉Dの表面及び床面Fのいずれに対しても垂直となるように設けられている。保持壁115、116は互いに離間しており、両者の間には空間117が形成されている。空間117は、後述の板ばね140及び回転体150を保持するための空間である。
【0050】
カバー120は、ケース110の略全体を外側から覆うことで、扉側機構部100の意匠性を高めるための部材である。カバー120は略直方体状の容器として形成されているのであるが、6面のうち扉D側の部分、及び床面F側の部分は開放されている。
【0051】
磁石130は、扉Dが開方向に移動し、扉側機構部100が床面側機構部200の上方側となる位置に到達した際に、フラップ210を上方側に引き寄せるための永久磁石である。磁石130は、ケース110のうち下端部の近傍となる位置において保持されている。尚、図6に示されるのは図1のVI-VI断面であるが、磁石130が保持されているのは、図6の断面よりも紙面手前側となる位置である。磁石130は、ケース110によって直接保持されてもよいのであるが、例えば樹脂製のホルダー内に収容された状態で、当該ホルダーと共にケース110によって保持されていてもよい。
【0052】
扉側機構部100が床面側機構部200の上方側となる位置に到達すると、図9に示されるように、磁石130によってフラップ210が上方側に引き寄せられる。このとき、フラップ210は、その先端をケース110の底面111に当接させた状態となる。この状態におけるフラップ210の位置は、フラップ210の可動範囲のうち上端となる位置であるから、当該位置のことを以下では「上端位置」とも称する。磁石130は、フラップ210を所定の上端位置まで引き寄せるためのもの、ということもできる。
【0053】
フラップ210が上端位置まで引き寄せられた後、扉Dが閉じられて、扉側機構部100が床面側機構部200の上方側となる位置から離れると、フラップ210には磁石130からの力が働かなくなる。このため、図8に示されるように、フラップ210は重力によって上端位置から下方側へと移動し、先に述べた当接部234に当接した状態となる。
【0054】
図6及び図7に戻って説明を続ける。回転体150は、ケース110のうち、保持壁115と保持壁116との間の空間117において、回転自在な状態で保持される部材である。回転体150は、保持壁115、116のそれぞれに向かって突出するように形成された一対の回転軸151を有している。回転軸151は略円柱形状の軸である。一方の回転軸151は、保持壁115に設けられた不図示の溝内に挿通されており、その中心軸周りにおいて回転自在な状態で保持されている。同様に、他方の回転軸151は、保持壁116に設けられた不図示の溝内に挿通されており、その中心軸周りにおいて回転自在な状態で保持されている。それぞれの回転軸151の中心軸は互いに一致しており、当該中心軸の伸びる方向は、保持壁115、116のそれぞれに対し垂直な方向である。
【0055】
回転体150には、第1爪部152と、第2爪部153と、被付勢部154と、が形成されている。これらはいずれも、図6のように回転軸151の中心軸に沿って見た場合においては、当該中心軸から遠ざかる方向に向かって突出するように形成された突起となっている。
【0056】
第1爪部152及び第2爪部153は、いずれも、概ね下方側に向かって突出するように形成されている。第1爪部152は、第2爪部153よりも扉D寄りとなる位置に形成されている。
【0057】
被付勢部154は、概ね上方側に向かって突出するように形成されている。被付勢部154の先端には、次に説明する板ばね140の屈曲部142が当接している。このため、被付勢部154には、常に、板ばね140からの弾性力が下方側に向かって加えられた状態となっている。
【0058】
板ばね140は、ケース110と一体に形成された樹脂製の板ばねであって、ケース110のうち、回転体150よりも上方側となる位置に設けられている。板ばね140は、直線部141と、屈曲部142とを有している。
【0059】
直線部141は、上下方向に沿って直線状に伸びるように形成された部分である。図6に示されるように、直線部141は、その大部分を扉Dの表面に当接させた状態で保持されている。直線部141の一部は、ケース110と一体に繋がった状態となっており、これにより板ばね140が保持されている。尚、板ばね140が金属により形成されており、当該板ばね140がケース110内に取り付けられているような態様としてもよい。
【0060】
屈曲部142は、板ばね140の一部を屈曲させることに形成された部分であって、直線部141の下端部から、概ね扉Dとは反対側の方向へと伸びるように形成された部分である。屈曲部142は、回転体150に設けられた被付勢部154の方へと突出するように、その全体が緩やかに屈曲している。板ばね140は、屈曲部142を自然な状態から上方側へと弾性変形させた状態で、屈曲部142を被付勢部154の先端に当接させている。このため、先に述べたように、被付勢部154には、板ばね140からの弾性力が下方側に向かって加えられた状態となっている。
【0061】
扉Dが閉じられる際における、ドアストッパー10の各部の動作について説明する。図8には、扉Dが開かれている途中の状態が示されている。当該状態においては、扉側機構部100は開方向に移動しているのであるが、床面側機構部200の直上となる位置にはまだ到達していない。フラップ210には磁石130からの力が働かないので、フラップ210は、可動範囲のうち下端となる位置のままとなっている。
【0062】
また、図8の状態においては、回転体150の被付勢部154が、屈曲部142のうち比較的直線部141寄りとなる位置に対して当接している。この状態においては、板ばね140から被付勢部154に加えられる力は、回転体150を、図8における時計回り方向に回転させるように働く。ただし、回転体150は、第2爪部153をケース110の一部に当接させているので、図8の状態から、更に回転体150が時計回り方向に回転してしまうことはない。
【0063】
つまり、図8の状態における回転体150は、回転軸151の周りにおいて回転し得る範囲のうち、最も時計回り方向側の端部となる位置まで回転し切った状態となっている。このとき、第1爪部152の下端は、ケース110の底面111よりも更に下方側となる位置まで下降している。一方、第2爪部153の下端は、ケース110の底面111と概ね同じ高さの位置となっている。
【0064】
図9には、図8の状態から更に扉Dが開かれて、扉側機構部100が床面側機構部200の直上となる位置の近傍まで到達した状態が示されている。扉側機構部100が当該位置にまで到達すると、フラップ210は、磁石130からの力によって引き寄せられて上方側へと揺動し、先に述べた上端位置まで到達している。つまり、フラップ210の先端がケース110の底面111に当接した状態となっている。フラップ210が上端位置に到達した後も、扉Dは引き続き開方向へと移動する。このため、フラップ210の先端は、ケース110の底面111に当接した状態のまま、相対的に扉D側へとスライドすることとなる。
【0065】
フラップ210の先端が上記のようにスライドして行く途中において、図9に示されるように、フラップ210の先端が回転体150の第1爪部152に当接した状態となる。
【0066】
この状態から、更に扉Dが開方向へと移動すると、第1爪部152は、フラップ210の先端により扉Dの方向に向かう力を受けることとなる。これにより、回転体150は、図9における反時計回り方向に回転する。図10には、このように回転体150が反時計回り方向に回転した後の状態が示されている。
【0067】
尚、回転体150が反時計回り方向に回転し始めた直後の時点においては、回転体150には、板ばね140によって時計回り方向の力が加えられている。このため、扉Dの開方向への移動は、板ばね140からの力に抗しながら行われることとなる。
【0068】
その後、回転体150が反時計回り方向に回転し、回転体150の被付勢部154が、屈曲部142における特定の位置を超えて先端部側へと移動した後は、板ばね140から被付勢部154に加えられる力の方向が反転する。つまり、板ばね140からの力は、回転体150を、図10における反時計回り方向に回転させるように働くようになる。従って、フラップ210の先端で第1爪部152が押されることにより反時計回り方向に回転していた回転体150は、扉Dがある程度開かれた後は、板ばね140からの力によって自動的に反時計回り方向に回転するようになる。最終的には、第1爪部152がケース110の一部に当接することにより、回転体150の回転が停止する。
【0069】
ケース110の底面111のうち、扉D側の端部近傍となる位置からは、下方側に向かって突出するように停止壁113が形成されている。底面111に沿ってスライドしていたフラップ210の先端は、最終的にはこの停止壁113に当たった状態となる。フラップ210の先端が停止壁113に当接することで、扉Dはそれ以上開方向には移動しなくなる。このため、扉Dは、図10に示される位置を超えて開かれ過ぎてしまうことは無い。つまり、図10に示される扉Dの位置が、先に述べた「所定位置」ということになる。尚、図6に示されるように、底面111のうちフラップ210の先端が当接してスライドする範囲の両側(紙面奥行き方向に沿った両側)には、一対の補強壁112が下方側に向かって突出するように形成されている。補強壁112は、停止壁113にフラップ210の先端が当接した際の衝撃に備えて、停止壁113を補強する目的で設けられている。
【0070】
図10の状態においては、回転体150は、回転軸151の周りにおいて回転し得る範囲のうち、最も反時計回り方向側の端部となる位置まで回転し切った状態となっている。この状態において、第2爪部153は、図8図9に示されるときよりも下方側へと移動している。第2爪部153の下端は、ケース110の底面111よりも更に下方側となる位置まで下降しており、フラップ210の貫通穴212の内側へと入り込んでいる。
【0071】
図11には、図10のうち回転体150及びその近傍の構成が拡大して示されている。図11に示される「H1」は、上端位置まで引き寄せられた状態のフラップ210のうち、貫通穴212の上端の高さ位置を示している。また、図11に示される「H2」は、上記のように下方側に移動した第2爪部153の下端、の高さ位置を示している。
【0072】
先に述べたように、図10及び図11の状態においては、第2爪部153は貫通穴212の内側へと入り込んでいる。このため、H2は、H1よりも低い位置となっている。この状態から、扉Dが閉じられ始めると、扉Dは閉方向、すなわち図11における右側へと移動し始める。このため、貫通穴212の内側へと入り込んでいる第2爪部153は、フラップ210のうち、貫通穴212の縁212A(図11を参照)の部分に当接し、その後は図11における時計回り方向へと回転しようとする。
【0073】
しかしながら、図11の状態においては、回転体150の被付勢部154は板ばね140から力を受けている。図11において矢印で示されるように、当該力は、回転体150を反時計回り方向に回転させる方向に働いている。従って、扉Dに対し閉方向に加えられる力が、上記の板ばね140からの力よりも小さいうちは、回転体150は時計回り方向には回転せず、図11の状態が維持される。
【0074】
このように、フラップ210が上端位置まで引き寄せられた後には、回転体150の第2爪部153は、下方側へと移動してフラップ210の貫通穴212の内側へと入り込み、フラップ210と係合することで、扉Dを開かれた状態で維持する機能を発揮する。図11のように、貫通穴212に入り込んだ状態となっているときにおける第2爪部153の位置のことを、以下では「係合位置」とも称する。
【0075】
第2爪部153とフラップ210との係合によって扉Dが保持された状態は、扉Dに対し閉方向に加えられる力が比較的小さくなっている限りにおいて継続される。扉Dに対し閉方向に加えられる力が大きくなり、当該力が板ばね140からの力よりも大きくなると、上記の「扉Dが保持された状態」は解除され、扉Dは閉方向へと移動して閉じられる。従って、図10図11における扉Dは、「仮保持」された状態ということもできる。
【0076】
扉Dに対し閉方向の力が加えられ、上記の仮保持が解除された際の動作について説明する。扉Dが図11の状態から閉方向へと移動し始めた直後の時点においては、これまで説明したように、回転体150には板ばね140から反時計回り方向の力が加えられている。回転体150は、板ばね140から受ける反時計回り方向の力に抗しながら、時計回り方向へと回転し始める。
【0077】
その後、回転体150が更に時計回り方向に回転し、回転体150の被付勢部154が、屈曲部142における特定の位置を超えて直線部141側へと移動した後は、板ばね140から被付勢部154に加えられる力の方向が再び反転する。つまり、板ばね140からの力は、回転体150を、図11における時計回り方向に回転させるように働くようになる。
【0078】
回転体150にこのような力が加えられ始めた以降は、回転体150は、貫通穴212の縁から更なる力を受ける前に、板ばね140からの力によって素早く時計回り方向へと回転する。係合位置にあった第2爪部153は、上方側へと移動して、貫通穴212から抜け切った状態となる。このときの回転体150は、第2爪部153をケース110の一部に当接させることによってそれ以上回転しなくなる。図12には、回転体150の回転がこのように停止した時点における、扉側機構部100の状態が示されている。同図には、回転体150が板ばね140から受けている力が矢印によって示されている。
【0079】
図12に示される「H1」は、上端位置まで引き寄せられた状態のフラップ210のうち、貫通穴212の上端の高さ位置を示している。このH1は、図11に示されるH1と同じ位置である。
【0080】
図12に示される「H2」は、上記のように上方側に移動した第2爪部153の下端、の高さ位置を示している。このH2は、図11に示されるH2よりも高い位置となっており、図11図12に示されるH1よりも高い位置となっている。このように、図12の状態においては、第2爪部153が貫通穴212から上方側に抜け切っており、第2爪部153とフラップ210との係合が解除されている。このため、図12の状態から更に扉Dが閉じられて、扉側機構部100が閉方向側(図12における右側)へと移動しても、貫通穴212の縁212Aが第2爪部153に当たることはない。つまり、扉Dの閉方向への移動が妨げられることはない。図12における第2爪部153の位置は、第2爪部153とフラップ210との係合が解除される位置であるから、当該位置のことを以下では「解除位置」とも称する。
【0081】
このように、本実施形態では、第2爪部153が上端位置まで引き寄せられた状態のフラップ210と係合している状態(図11の状態)から、扉Dが閉方向に移動すると、第2爪部153が、当該上端位置まで引き寄せられた状態のフラップ210とは係合しない位置、である解除位置まで上昇するように、ドアストッパー10が構成されている。
【0082】
尚、ドアストッパー10において、上記のように扉Dを所定位置で仮保持しておく機能が不要な場合には、回転体150及び板ばね140を扉側機構部100から省略してもよい。この場合、ドアストッパー10は、扉Dが所定位置を超えて開かれ過ぎてしまうことを防止する機能、のみを有することとなる。
【0083】
ところで、床面側機構部200のフラップ210は、扉Dが所定位置まで開かれた際には、磁石130によって上方側へと揺動し、扉側機構部100が有するケース110の底面111に当たることとなる。また、扉Dが上記所定位置から閉じられ始めた際には、フラップ210は重力によって下方側へと揺動し、ベース230に当たることとなる。いずれの場合においても、揺動するフラップ210が他の部材に当たることで音が発生する。従来の床面側機構部においては、フラップの全体、及びベースの全体が金属により形成されていたので、特に、フラップが重力によって下方側へと揺動する際には大きな音が発生してしまっていた。
【0084】
また、フラップが揺動自在に保持されている部分においても、フラップの動作に伴って音が発生することがある。「フラップが揺動自在に保持されている部分」とは、本実施形態では軸214のことである。以上のような音の発生は、使用者に不快な思いをさせてしまうことがあるので好ましくない。
【0085】
そこで、本実施形態では、床面側機構部200に、フラップ210の動作に伴って生じる音を抑制するための静音部を設けている。
【0086】
図5を参照しながら既に説明したように、フラップ210の軸214は、樹脂により形成された軸部材213の一部として形成されている。また、軸214を回動自在な状態で保持する軸受け部231は、樹脂により形成されたベース230の一部として形成されている。
【0087】
軸部材213、及びベース230は、上記のようにいずれも樹脂により形成されている。このため、例えば射出成型により、軸部材213等の各部の形状を精度よく形成することができる。具体的には、フラップ210の軸部材213に形成された軸214のそれぞれを、円柱形状に精度よく形成することができる。また、保持部材であるベース230に形成された軸受け部231のそれぞれを、円弧状の内面を有する凹部として精度よく形成することができる。
【0088】
従来の床面側機構部においては、軸を含む部材、及び軸受け部を含む部材のそれぞれが、金属のプレス加工によって形成されていた。このような構成においては、軸及び軸受けの精度を十分に確保することが難しい。このため、軸と軸受けの嵌合部分においてガタツキが生じやすく、フラップが動作する際には、当該ガタツキに起因する音が発生していた。
【0089】
これに対し、本実施形態に係る床面側機構部200では、軸214及び軸受け部231のいずれもが樹脂により高い精度で形成されているので、従来のようなガタツキの発生を抑えることが可能となっている。その結果として、当該ガタツキに起因する音の発生も抑制することが可能となっている。つまり、軸214及び軸受け部231のそれぞれは、本実施形態における静音部の一つに該当する。このように、床面側機構部200に設けられた静音部には、樹脂により形成された軸214、及び、樹脂により形成された軸受け部231、のそれぞれが含まれる。
【0090】
尚、軸がベース230の方に設けられており、当該軸を支持する軸受け部がフラップ210の方に設けられている態様としてもよい。いずれの場合であっても、静音部として機能させるためには、フラップ210及びベース230うちの一方には軸が設けられており、他方には、軸を回動自在な状態で保持する軸受け部が設けられている構成とした上で、これらの軸及び軸受け部のうち少なくとも一方を、樹脂により形成すればよい。
【0091】
本実施形態では、ベース230の全体が樹脂により形成されているので、ベース230の各部における形状の自由度が高くなっている。このため、ベース230に、先に述べた凸部233を容易に形成することができる。このように、ベース230を樹脂により形成すれば、静音部を設けることとで音の発生が抑制されることに加え、凸部233を形成することで床面側機構部200の意匠性が高められる、という効果をも得ることができる。
【0092】
図5を参照しながら既に説明したように、フラップ210が重力により下方側に揺動した際には、フラップ210は、ベース230の上面のうち対向する部分の全体に対して当接するのではなく、当接部234に対してのみ当接することとなる。ベース230は、当接部234を含む全体が樹脂により形成されている。下方側に揺動したフラップ210は、樹脂により形成された当接部234に対してのみ当接するので、従来のような金属同士の当接に伴う大きな音の発生が抑制される。つまり、当接部234は、本実施形態における静音部の一つに該当する。このように、床面側機構部200に設けられた静音部には、樹脂により形成された当接部234が含まれる。
【0093】
図5を参照しながら既に説明したように、ベース230のうちフラップ210と対向する部分であって、且つ、フラップ210が当接する当接部234と隣り合う部分には、下方側へと後退する凹部235が形成されている。このような構成においては、保持部材であるベース230は、比較的狭い当接部234においてのみフラップ210に当接し、他の部分、すなわち凹部235においてはフラップ210に当接しなくなる。ベース230に凹部235を形成することで、ベース230とフラップ210とが互いに当接する部分の面積が小さくなるので、フラップ210の動作に伴って生じる音を更に抑制することが可能となる。つまり、当接部234と隣り合うように形成された凹部235は、本実施形態における静音部の一つに該当する。このように、床面側機構部200に設けられた静音部には、ベース230の凹部235が含まれる。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る床面側機構部200では、静音部として複数の機構が採用されている。このような態様に替えて、以上に説明した複数の静音部のうち、一部のみが採用された態様としてもよい。例えば、軸受け部231を含むベース230の全体を樹脂で形成しながら、軸214を含むフラップ210の全体を金属で形成することとしてもよい。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0096】
D 扉
F 床面
10 ドアストッパー
100 扉側機構部
130 磁石
200 床面側機構部
210 フラップ
212 貫通穴
214 軸
230 ベース(保持部材)
231 軸受け部
233 凸部
234 当接部
235 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12