(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067008
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 6/42 20060101AFI20220422BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220422BHJP
【FI】
H01M6/42
H01M2/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175672
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】399131116
【氏名又は名称】トライポッド・デザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 聰
【テーマコード(参考)】
5H025
5H040
【Fターム(参考)】
5H025AA02
5H025AA07
5H025CC16
5H025CC35
5H040AA01
5H040AY01
5H040AY06
5H040GG04
5H040NN01
5H040NN03
5H040NN05
(57)【要約】
【課題】
自立した電源で稼働する装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体とを備え、第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、
第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体と
を備え、
第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置。
【請求項2】
第(2k-1)電極及び/又は第(2n-1)電極を構成する物質が、第2k電極及び/又は第2n電極を構成する物質と異なる標準電極電位を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
媒体が水である、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
媒体の電解質濃度が、1.0mol/l以下である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
媒体が含水率3質量%以上の土又は砂である、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置であって、
第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置。
【請求項8】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、
第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法。
【請求項9】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、
第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体と
を備え、
第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上である、装置。
【請求項10】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置であって、
第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2n-1)電極と第2n電極との間に媒体が存在するときに、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置。
【請求項11】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、
第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法。
【請求項12】
第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、
第1電極と第2電極との間に存在する媒体と、
第3電極と第4電極との間に存在する媒体と
を備え、
第2電極が第3電極と接続され、
第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置。
【請求項13】
第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、機能部とを備える装置であって、
第2電極が第3電極と接続され、第1電極と第2電極との間に媒体が存在し、第3電極と第4電極との間に媒体が存在するときに、
第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置。
【請求項14】
第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、
第2電極が第3電極と接続され、第1電極と第2電極との間に媒体が存在し、第3電極と第4電極との間に媒体が存在するときに、
第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立した電源で稼働する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルタ電池やダニエル電池のように、異なる二種類の金属を電極とし、電解液に浸すことで、それぞれの電極において、酸化反応又は還元反応を生じさせ、電子の流れる経路を作り出す装置(つまり、電池)がある。
【0003】
電池の電解液として使用される液体は、化学やけどのおそれ、火災又は爆発のおそれ、あるいは有毒なガスの発生等、人体や環境に悪影響を与える可能性があり、電解液の取り扱いは非常に難しいものであった。加えて、製品化をする際において、液漏れを起こさないようにしなければならず、コストが増大するという課題があった。
【0004】
ところで、近年は、可視光、熱、電波、あるいは微生物による有機物の分解処理等の微小なエネルギーを電力に変換するエネルギーハーヴェスティング技術が注目されており、エネルギーハーヴェスティング技術を利用して、自立電源を実用化する研究がなされている。
【0005】
自立電源の場合は、出力する電圧が小さい場合が多く有り、その為、各電圧発生セルを直列に接続して、高電圧を得るが、その各セルは、それぞれ完全に分離している。その為、小型・軽量といったエネルギーハーヴェスティング技術の特徴が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の少なくとも1つの目的は、自立した電源で稼働する装置及び、装置を稼働させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記目的は、[1]~[14]により解決することができる。
[1]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体とを備え、第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置;
[2]第(2k-1)電極及び/又は第(2n-1)電極を構成する物質が、第2k電極及び/又は第2n電極を構成する物質と異なる標準電極電位を有する、前記[1]に記載の装置;
[3]第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上である、前記[1]又は[2]に記載の装置;
[4]媒体が水である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の装置;
[5]媒体の電解質濃度が、1.0mol/l以下である、前記[4]に記載の装置;
[6]媒体が含水率3質量%以上の土又は砂である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の装置;
[7]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置であって、第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置;
[8]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法;
[9]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体とを備え、第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上である、装置;
[10]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置であって、第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極(kは1以上でn未満の整数である)と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2n-1)電極と第2n電極との間に媒体が存在するときに、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置;
[11]第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間に媒体が存在し、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間に媒体が存在するときに、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離のそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法;
[12]第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、第1電極と第2電極との間に存在する媒体と、第3電極と第4電極との間に存在する媒体とを備え、第2電極が第3電極と接続され、第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置;
[13]第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、機能部とを備える装置であって、第2電極が第3電極と接続され、第1電極と第2電極との間に媒体が存在し、第3電極と第4電極との間に媒体が存在するときに、第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部が機能する装置;
[14]第1電極から第4電極までの少なくとも4個の電極と、機能部とを備える装置を機能させる方法であって、第2電極が第3電極と接続され、第1電極と第2電極との間に媒体が存在し、第3電極と第4電極との間に媒体が存在するときに、第1電極と第2電極との間の媒体中の点と、第3電極と第4電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第1電極と第2電極間のインピーダンス、及び、第3電極と第4電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにすることで、機能部を機能させる方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自立した電源で稼働する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本発明は、第1電極から第2n電極までの2n個の電極と、第(2k-1)電極と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間に存在する媒体とを備え、第2k電極が第(2k+1)電極と接続され、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間のインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上である、装置に関する。
【0012】
本発明の装置は、2n個の電極を備える。nは2以上の任意の整数であれば、特に限定されない。kは1以上でn未満の整数のいずれかの値を取り得る。つまり、kは1以上でn-1以下の整数のいずれかの値を取り得る。例えば、n=3であれば、装置は、第1電極から第6電極までを備え、kは1~2までの値を取り得る。n=4であれば、装置は、第1電極から第8電極までを備え、kは1~3までの値を取り得る。
【0013】
第(2k-1)電極と第2k電極、及び、第(2n-1)電極と第2n電極により電極の対が構成される。第(2k-1)電極と第2k電極との間、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間には、媒体12が存在する。つまり、第1電極と第2電極との間、第3電極と第4電極との間、・・・第(2k-3)電極と第(2k-2)電極との間、第(2k-1)電極と第2k電極との間、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間、・・・、第(2n-1)電極と第2n電極との間のそれぞれに媒体121~12nが存在する。
【0014】
また、第2k電極は第(2k+1)電極と接続されている。つまり、第2電極は第3電極と接続され、第4電極は第5電極と接続され、・・・第(2k-2)電極は第(2k-1)電極と接続され、第2k電極は第(2k+1)電極と接続され、・・・、第(2n-2)電極は第(2n-1)電極と接続されている。つまり、隣接する電極の対のうち、偶数番号の電極が、それよりも数が1多い奇数番号の電極と接続している。また、第1電極及び第2n電極は、機能部と接続していてもよい。なお、第(2k-1)電極は第2k電極とは導電性を有する導体等では接続されていない。
【0015】
なお、媒体12はアクリル容器等の容器に収納されていてもよい。媒体12を収納する容器等の素材は特に限定されない。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
図2は、n=2の場合に構成される装置である。
図2に示すように、装置は、第1電極1と、第2電極2と、第3電極3と、第4電極4と、機能部11と、媒体12とから構成される。第2電極2は第3電極3に電気的に接続されている。つまり、第1電極1と第2電極2の電極の対は、第3電極3と第4電極4の電極の対と直列に接続されている。また、第1電極1及び第4電極は、それぞれ機能部11に電気的に接続されている。「電気的に接続」とは、例えば、導電性を有する導線等により通電可能に接続されることをいう。第1電極1と第2電極2の間には媒体12aが存在し、第3電極3と第4電極の間には媒体12bが存在する。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、装置の構成を示す図である。
図3は、n=3の場合に構成される装置である。
図3に示すように、装置は、例えば、第1電極1と、第2電極2と、第3電極3と、第4電極4と、第5電極5と、第6電極6と、機能部11と、媒体12とから構成される装置であってもよい。
【0018】
この場合、第2電極2は第3電極3に電気的に接続され、第4電極4は第5電極5に電気的に接続されている。また、第1電極1及び第6電極6は、機能部11に、それぞれ電気的に接続されている。第1電極1と第2電極2の電極の対は、第3電極3と第4電極4の電極の対、及び、第5電極5と第6電極6の電極の対と直列に接続されている。第1電極1と第2電極2の間には媒体12aが存在し、第3電極3と第4電極の間には媒体12bが存在し、さらに第5電極5と第6電極6の間には媒体12cが存在している。
【0019】
このように、第1電極1と第2電極2の電極の対に直列接続された電極の対の数は、1以上の整数となる。第1電極1と第2電極2の電極の対に直列接続された電極の対(以下、第1電極1及び第2電極2の対に直列接続された電極の対を「直列接続された電極の対」という)の数が多いほど、機能部11に印加される電圧も高くなる。
【0020】
第1電極1及び第2電極2は、一部又は全部が、媒体12と接触しているが、第1電極1及び第2電極2は、それぞれ互いに非接触である。同様に、第(2k-1)電極及び第2k電極、並びに、第(2n-1)電極及び第2n電極(つまり、直列接続された電極の対のそれぞれの電極)は、一部又は全部が、媒体12と接触しているが、直列接続された電極の対のそれぞれの電極は、それぞれ互いに非接触である。「非接触」とは、例えば、一の電極と他の電極とが直接接触していない状態をいう。
【0021】
第1電極1と第2電極2との間には、媒体12が存在するが、
図2(a)に示すように、第1電極1と第2電極2との間に存在する第一媒体12aは、第3電極3と第4電極4との間に存在する第二媒体12bと、物理的に連続しており、一体として形成されていてもよい。また、
図2(b)に示すように、第1電極1と第2電極2との間に存在する第一媒体12aは、第3電極3と第4電極4との間に存在する第二媒体12bと接触しておらず、物理的に不連続で、別体として形成されていてもよい。
【0022】
直列接続された電極の対が複数ある場合も同様で、第(2k-1)電極及び第2k電極との間に存在する媒体12と、第(2k-1)電極及び第2k電極による電極の対とは異なる電極の対(例えば、第(2k-1)電極及び第2k電極による電極の対に隣接する電極の対)の間に存在する媒体12は、物理的に連続しており、一体として形成されていてもよく、物理的に不連続で別体として形成されていてもよい。第(2n-1)電極及び第2n電極との間に存在する媒体12と、それとは異なる電極の対の間に存在する媒体12も、物理的に連続しており、一体として形成されていてもよく、物理的に不連続で別体として形成されていてもよい。
【0023】
各電極の形状は特に限定されないが、例えば、円柱状や角柱状であることが好ましい。各電極の大きさも、特に限定されない。
【0024】
図1に示すように、第1電極1及び第2電極2の対に直列接続された電極の対Aの電極間に存在する媒体12
k(kは1以上でn未満の整数である)と、直列接続された電極の対Aに隣接する電極の対Bの電極間に存在する媒体12
k+1との2点間のインピーダンスが(つまり2つの離接する電極の対の電極と電極の間に存在する媒体間のインピーダンスが)、電極の対Aの電極と電極との間の媒体12
kのインピーダンスの5倍以上であるように構成され、且つ、電極対Bの電極と電極との間の媒体12
k+1のインピーダンスの5倍以上であるように構成される。このような構成とする方法としては、媒体の種類に応じて、電極の対における電極間の距離を適宜調整する方法、または、隣接する2つの電極の対間の距離を適宜調整する方法があげられる。
【0025】
つまり、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の媒体12k+1のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上であるように構成される。第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスは、第(2k-1)電極と第2k電極間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1のインピーダンスのそれぞれに対し、50倍以上であることが好ましく、250倍以上であることがより好ましく、500倍以上であることがさらに好ましく、1000倍以上であることが特に好ましい。第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスが、これらのインピーダンスの5倍以上であることで、機能部11を機能させるために必要な電圧を印加することができる。
【0026】
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスが、第(2k-1)電極と第2k電極間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の媒体12k+1のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上となるようにするためには、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との距離と、第(2k-1)電極と第2k電極間の距離、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離を調整することにより達成することができる。例えば、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との距離が、第(2k-1)電極と第2k電極間の距離、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離の5倍以上とする方法があげられる。
【0027】
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との距離は、第(2k-1)電極と第2k電極間の距離、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の距離の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、15倍以上であることがさらに好ましく、30倍以上であることが特に好ましい。
【0028】
その他、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスを、第(2k-1)電極と第2k電極間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極間の媒体12k+1のインピーダンスのそれぞれに対し、5倍以上とする方法としては、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12kと、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1とを、固体、気体、液体のいずれかの絶縁体を利用して、電気的に絶縁する方法があげられる。具体的には、複数の絶縁性の容器を用いて、第(2k-1)電極、第2k電極及び媒体12kを配置する容器と、第(2k+1)電極、第(2k+2)電極及び媒体12k+1を配置する容器を異なるものとする方法があげられる。
【0029】
ここで、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体中12kの点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスとは、媒体12kの任意の点と、媒体12k+1の任意の点との2点間におけるインピーダンスであり、例えば、第(2k-1)電極と第2k電極の中間にあたる点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極の中間にあたる点との2点間におけるインピーダンスがあげられる。
【0030】
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスは、10kΩ以上であることが好ましく、50kΩ以上であることがより好ましく、100kΩ以上であることがさらに好ましく、200kΩ以上であることが特に好ましい。また、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12k中の点と、第(2k+1)電極と第(2k+2)電極との間の媒体12k+1中の点との間におけるインピーダンスは、50,000kΩ以下であることが好ましく、15,000kΩ以下であることがより好ましく、5,000kΩ以下であることがさらに好ましく、1,500kΩ以下であることが特に好ましい。
【0031】
第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間の媒体12nのインピーダンスは、0.01kΩ以上であることが好ましく、0.1kΩ以上であることがより好ましく、0.3kΩ以上であることがさらに好ましく、0.5kΩ以上であることが特に好ましい。また、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12kのインピーダンス、及び、第(2n-1)電極と第2n電極との間の媒体12nのインピーダンスは、150kΩ以下であることが好ましく、50kΩ以下であることがより好ましく、15kΩ以下であることがさらに好ましく、5kΩ以上であることが特に好ましい。なお、第(2k-1)電極と第2k電極との間の媒体12kのインピーダンスは、各電極間の媒体12ごとに異なる値であってもよく、同一の値であってもよい。
【0032】
各電極の形状が円柱又は角柱である場合に、第1電極1及び第2電極2を含め、対となる各電極は、電極の長さ方向が略平行となるように配置されることが好ましい。対となる電極の好ましい最短距離は、電極間に存在する媒体12により異なる。
【0033】
媒体12が純水又は電解質の濃度が1.0mol/L以下であるときは、対となる電極間の最短距離は、0.1cm以上であることが好ましく、0.3cm以上であることがより好ましく、1.0cm以上であることがさらに好ましい。また媒体12が、含水率3質量%の土又は砂である場合、対となる電極間の最短距離は、15cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましく、5cm以下であることがさらに好ましい。該最短距離を所定の範囲とすることで、対となる電極間に存在する媒体12のインピーダンスを上記の範囲とすることが可能となる。
【0034】
図2(a)に示すように、媒体12が物理的に連続して一体として形成されている場合であって、媒体12が純水又は電解質の濃度が1.0mol/L以下であるときは、直列接続された電極の対と、該電極の対と隣接する電極の対との間の最短距離は、5cm以上であることが好ましく、15cm以上であることがより好ましく、30cm以上であることがさらに好ましい。また、この場合に、直列接続された電極の対と、該電極の対と隣接する電極の対との間の最短距離は、1,000m以下であることが好ましく、100m以下であることがより好ましく、10m以下であることがさらに好ましい。該最短距離を所定の範囲とすることで、2つの隣接する電極の対における、それぞれの電極の対に対応する媒体12間のインピーダンスを、上記の範囲とすることが可能となる。
【0035】
媒体12が、含水率3質量%以上の土又は砂である場合、対となる電極間の最短距離は、0.1cm以上であることが好ましく、0.3cm以上であることがより好ましく、1.0cm以上であることがさらに好ましい。また媒体12が、含水率3質量%の土又は砂である場合、対となる電極間の最短距離は、10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましく、3cm以下であることがさらに好ましい。該最短距離を所定の範囲とすることで、対となる電極間に存在する媒体12のインピーダンスを上記の範囲とすることが可能となる。
【0036】
図2(a)に示すように、媒体12が物理的に連続して一体として形成されている場合であって、媒体12が、含水率3質量%以上の土又は砂であるとき、直列接続された電極の対と、該電極の対と隣接する電極の対との間の最短距離は、5cm以上であることが好ましく、15cm以上であることがより好ましく、30cm以上であることがさらに好ましい。また、この場合、直列接続された電極の対と、該電極の対と隣接する電極の対との間の最短距離は、1,000m以下であることが好ましく、100m以下であることがより好ましく、10m以下であることがさらに好ましい。該最短距離を所定の範囲とすることで、2つの隣接する電極の対における、それぞれの電極の対に対応する媒体12間のインピーダンスを、上記の範囲とすることが可能となる。
【0037】
対となる各電極は、いずれも導電性を有する。ここで、各電極には、例えば、金属、導電性ポリマー、カーボン等が材料として用いられる。各電極に用いられる金属としては、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、白金、スズ、チタン、ステンレス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又は、その他上述の金属夫々の酸化物などから適宜選択して用いることができる。また、一の金属に、この金属とは異なる他の金属や、他の導電性を有する材料が被膜されていてもよい。
【0038】
対となる電極は、標準電極電位が異なるものを用いることが好ましい。第(2k-1)電極及び第2k電極において異なる物質を用い、且つ、第(2n-1)電極及び第2n電極において異なる物質を用いた場合に、標準電極電位が低い物質を用いた方を第(2k-1)電極、第(2n-1)電極とし、標準電極電位が高い物質を用いた方を第2k電極、第2n電極とすることができる。一方で、第(2k-1)電極及び第2k電極において異なる物質を用い、且つ、第(2n-1)電極及び第2n電極において異なる物質を用いた場合に、標準電極電位が高い物質を用いた方を第(2k-1)電極、第(2n-1)電極とし、標準電極電位が低い物質を用いた方を第2k電極、第2n電極とすることができる。
【0039】
標準電極電位が低い物質を用いた方を第(2k-1)電極及び第(2n-1)電極とし、標準電極電位が高い物質を用いた方を第2k電極及び第2n電極とした場合の電子の移動について説明をする。第(2k-1)電極及び第(2n-1)電極では、電極を構成する金属が媒体12の水中に陽イオンとして溶出して、自由電子が発生する。一方で、第2k電極及び第2n電極では、媒体12中の陽イオンが、電極から媒体12へ放出された電子と反応し、電気的に中和される。第(2k-1)電極にて発生した自由電子は、第(2n-2)電極へ移動し、第(2k-1)電極にて発生した自由電子は第(2k-2)電極へ移動する。結果として、第2n電極、第(2n-1)電極、第2k電極、第(2k-1)電極を介して、第1電極1へ向かって電子が移動する。すなわち、第1電極1側からより大きな番号を有する電極側へ向かって電流が流れる。
【0040】
電極の対において標準電極電位の低い方の電極(負極)に用いられる物質としては、例えば、Zn、Pb、Cd、Mg、炭素系材料、導電性高分子(ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、PEDOT等)、金属(Li、Sn、Si、Al、Zr、Mg、Ti等)及びこれらの合金、金属酸化物(酸化チタン、リチウム―チタン酸化物、ケイ素酸化物等)等があげられる。電極の対において標準電極電位の低い方の電極に用いられる物質の標準電極電位は、-200mV以下であることが好ましく、-500mV以下であることがより好ましく、-700mV以下であることがさらに好ましい。また、標準電極電位の低い方の電極に用いられる物質の標準電極電位は、-3.5V以上であることが好ましく、-2.5V以上であることがより好ましく、-1.5V以上であることがさらに好ましい。
【0041】
一方、電極の対において標準電極電位の高い方の電極(正極)に用いられる物質としては、例えば、酸化マンガン、酸化銀、酸素、オゾン、酸化鉛、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とそれ以外の金属(Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Alなど)、炭素系材料などがあげられる。電極の対において標準電極電位の高い方の電極に用いられる物質の標準電極電位は、-300mV以上であることが好ましく、0mV以上であることがより好ましく、+500mV以上であることがさらに好ましい。また、電極の対において標準電極電位の高い方の電極に用いられる物質の標準電極電位は、3.5V以下であることが好ましく、2.5V以下であることが好ましく、1.5V以下であることがさらに好ましい。
【0042】
電極の対のそれぞれの電極間の標準電極電位の差は、200mV以上であることが好ましく、500mV以上であることがより好ましく、700mV以上であることがさらに好ましい。
【0043】
機能部11は、例えば、通電することで所定の機能を実行するものであれば、その機能については特に限定されない。機能部11は、例えば、電極にて発生した電気を蓄電する蓄電部、回路を制御するマイコン等の制御部、又は他の装置と無線による通信が可能な通信部としての機能を有する。また、機能部11として、例えば、白熱電球や発光ダイオードなどの光源、熱を発する発熱体、音を発する発音体、又は、信号を発する発信体等のいずれかの機能を有していてもよい。機能部11は、これらのうちの1の機能を有していてもよく、これらのうちの複数の機能を有していてもよい。
【0044】
媒体12は、気体、液体、及び固体のうちいずれの形態であってもよい。媒体12としては、導電性を有しないものを用いることが好ましい。気体としては、本装置を構成する際に気体であれば特に限定されないが、例えば、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、メタン等が挙げられる。媒体12として気体を用いる場合は、単一の種類の気体のみを用いてもよいが、これらの気体の複数種類を混合したものを用いてもよい。
【0045】
媒体12として用いられる液体も、本装置を構成する際に液体であれば特に限定されないが、例えば、水だけでなく、極性の高い有機溶剤や極性の低い有機溶剤、或いは、非極性の有機溶剤を用いることができる。また、媒体12として用いられる液体は、水と極性の高い有機溶剤との混合物や、異なる2種以上の有機溶剤の混合物や、エマルションなども用いることができる。水は純水だけでなく、電解質を含むものを用いることができる。
【0046】
媒体12として水を用いる場合、水の電解質濃度は、1mol/L以下であってもよく、0.1mol/L以下であってもよく、0.01mol/L以下であってもよく、さらには、0.001mol/L以下であってもよく、0mol/Lであってもよい。
【0047】
極性の高い有機溶剤としては、例えば、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、蟻酸や酢酸などの低級カルボン酸、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。また、極性の低い有機溶剤としては、ヘキサノールやオクタノールなどの高級アルコール、ヘキサン酸やオクタン酸などの高級カルボン酸などを用いることができる。非極性の有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物があげられる。媒体12として液体を用いる場合は、単一の種類の液体のみを用いてもよいが、これらの液体の複数種類を混合したものを用いてもよい。
【0048】
媒体12として用いられる固体も、本装置を構成する際に固体であれば特に限定されないが、例えば、木材、プラスチック、金属、セラミックス、コンクリートなどであってもよい。なお、媒体12として用いられる固体としては、これらの他、例えば、砂や土などの粉体状又は粒状の固体を用いることができ、さらに、複数の石や岩を重ねたものを用いることもできる。砂や土、石や岩を重ねたものを媒体12として用いた場合、媒体12中に微細な空隙が発生するが、このような空隙があったとしても、媒体12が物理的に接触していればよい。
【0049】
媒体12は、水分を含むことが好ましい。土や砂などの媒体12の含水率は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、土や砂などの媒体12の含水率は、100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。ここで、含水率とは、土に含まれる水分の質量を、水分と土や砂などの固形分との質量の和で除したものをいい、例えば、水を含んだ土の質量を測定し、100℃以上で3分間以上乾燥し、乾燥後の質量を測定することで、土に含まれる水分の質量を求め、これを乾燥前の水を含んだ土の質量で除することで含水率を算出することができる。
【0050】
本発明の装置は、例えば、川、池、海、ダム等の水を媒体とすることで、形成することが可能となる。さらに、本発明の装置は、例えば、砂や土を媒体とすることで、形成することが可能となる。
【0051】
第1電極から第2n電極(nは2以上の一の整数である)までの2n個の電極と、機能部とを備え、第2k電極(kは1以上でn未満の整数である)が第(2k+1)電極と接続された装置を、水や上記した含水率を有する砂、土などの媒体12に配置することで、本発明にかかる装置を形成することができる。例えば、n=2の場合に、第1電極と第2電極との間に存在する媒体を第一媒体12aと定義し、第3電極と第4電極との間に存在する媒体を第二媒体12bと定義した場合に、第一媒体12aと第二媒体12bとの間のインピーダンスが、第1電極1と第2電極2との間に存在する第一媒体12aのインピーダンスの5倍以上であるように配置し、第一媒体12aと第二媒体12bとの間のインピーダンスが、第3電極3と第4電極4との間に存在する第二媒体12のインピーダンスの5倍以上であるように配置することで、機能部を機能させることが可能となる。
【0052】
また、前記装置において、第1電極1及び第2電極2に直列接続された複数の電極の対と、機能部とを有する装置を、水や上記した含水率を有する砂、土などの媒体12に配置することで、本発明にかかる装置を形成することができる。
【0053】
[実施例]
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
試験は、常温、常圧で行った。
図2(b)に示す、第1電極1、第2電極2、第3電極3、第4電極4、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1及び第3電極3として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2及び第4電極4として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水道水を用いた。水道水を注入する容器としては、縦10cm、横10cmで、深さ20cmの透明のアクリルケースを利用した。
【0055】
第1電極1と第2電極2を、一のアクリルケース内で、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。同様に、第3電極3と第4電極4を、他のアクリルケース内で、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。なお、媒体である水道水は、高さ10cmまで満たした。その結果、LED電球は、少なくとも24時間以上、継続して点灯した。
【0056】
(実施例2)
試験は、常温、常圧で行った。
図3に示す、第1電極1、第2電極2、第3電極3、第4電極4、第5電極5、第6電極6、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1、第3電極3及び第5電極5として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2、第4電極4及び第6電極6として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水道水を用いた。水道水を注入する容器としては、縦10cm、横10cmで、深さ20cmの透明のアクリルケースを利用した。
【0057】
第1電極1と第2電極2を、一のアクリルケース内で、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。同様に、第3電極3と第4電極4を、他のアクリルケース内で、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。さらに、第5電極5と第6電極6を、上記2つのアクリルケースとは異なるアクリルケース内で、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。なお、媒体である水道水は、高さ10cmまで満たした。その結果、LED電球は、少なくとも24時間以上、継続して点灯した。
【0058】
(比較例1)
試験は、常温、常圧で行った。第1電極1、第2電極2、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水道水を用いた。水道水を注入する容器としては、縦10cm、横10cmで、深さ20cmの透明のアクリルケースを利用した。
【0059】
LED電球の一方の端子を第1電極1に接続し、LED電球の他方の端子を第2電極2に接続した。第1電極1と第2電極2を、アクリルケース内で長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が8cmとなるように配置した。媒体である水は、高さ10cmまで満たした。しかし、LED電球は点灯しなかった。
【0060】
(実施例3)
試験は、常温、常圧で行った。
図2(a)に示す、第1電極1、第2電極2、第3電極3、第4電極4、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1及び第3電極3として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2及び第4電極4として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水分を含んだ土(含水率3%以上)を用いた。土を充填する容器としては、内径が縦83mm、横855mmで、深さ20cmの木製の箱を利用した。
【0061】
第1電極1と第2電極2を、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。同様に、第3電極3と第4電極4を、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。第1電極1と第2電極2の対と、第3電極3と第4電極4の対の最短距離が、35cmとなるように配置した。なお、媒体である土は、高さ10cmまで充填した。その結果、LED電球は、少なくとも24時間以上、継続して点灯した。
【0062】
実施例3の装置において、機能部11のLED電球の代わりに、ポテンショスタット(Bio-Logic Sciences Instruments製、SP-200)を接続し、ポテンショスタットにより0.1mAの負荷電流を流したところ、第1電極1と第4電極間の電圧は2.6Vであった。
【0063】
ところで、ポテンショスタットを用いて、電極間距離が2cm、35cmである場合の上記土のインピーダンスをそれぞれ測定したところ(炭素電極と炭素電極の距離を2cm又は35cmとして測定)、電極間距離が2cmの場合は、0.74kΩであり、電極間距離が35cmの場合は、222kΩであった。つまり、第1電極1と第2電極2の対、及び、第3電極3と第4電極4の対の間における媒体のインピーダンスは、第1電極1と第2電極2間の媒体のインピーダンス、及び、第3電極3と第4電極4間の媒体のインピーダンスの300倍(=222/0.74)であることが分かった。
【0064】
(実施例4)
第1電極1と第2電極2の対と、第3電極3と第4電極4の対の最短距離が、70cmとなるように配置したこと以外は、実施例3と同様にして、装置を構成した。その結果、LED電球は、少なくとも24時間以上、継続して点灯した。
【0065】
実施例4の装置において、機能部11のLED電球の代わりに、ポテンショスタット(Bio-Logic Sciences Instruments製、SP-200)を接続し、ポテンショスタットにより0.1mAの負荷電流を流したところ、第1電極1と第4電極間の電圧は2.9Vであった。
【0066】
ところで、ポテンショスタットを用いて、電極間距離が70cmである場合の上記土のインピーダンスをそれぞれ測定したところ(炭素電極と炭素電極の距離を70cmとして測定)、1130kΩであった。つまり、第1電極1と第2電極2の対、及び、第3電極3と第4電極4の対の間における媒体のインピーダンスは、第1電極1と第2電極2間の媒体のインピーダンス、及び、第3電極3と第4電極4間の媒体のインピーダンスの約1527倍(=1130/0.74)であることが分かった。
【0067】
(比較例2)
第1電極1と第2電極2の最短距離が10cmとなるように配置し、第3電極3と第4電極4の最短距離が10cmとなるように配置したこと以外は、実施例3と同様にして、装置を構成した。しかし、LED電球は点灯しなかった。
【0068】
(実施例5)
試験は、常温、常圧で行った。
図3に示す、第1電極1、第2電極2、第3電極3、第4電極4、第5電極5、第6電極6、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1、第3電極3及び第5電極5として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2、第4電極4及び第6電極6として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水分を含んだ土(含水率3%以上)を用いた。土を充填する容器としては、内径が縦83mm、横855mmで、深さ20cmの木製の箱を利用した。
【0069】
第1電極1と第2電極2を、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。同様に、第3電極3と第4電極4を、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。第5電極5と第6電極6を、長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。第1電極1と第2電極2の対と、第3電極3と第4電極4の対の最短距離が、35cmとなるように、第3電極3と第4電極4の対と、第5電極5と第6電極6の対の最短距離が、35cmとなるように配置した。つまり、第3電極3と第4電極4の対が、他の電極の対の中央にくるように配置した。なお、媒体である土は、高さ10cmまで充填した。その結果、LED電球は、少なくとも24時間以上、継続して点灯した。
【0070】
(比較例3)
試験は、常温、常圧で行った。第1電極1、第2電極2、機能部11及び媒体12を備える装置を用いた。第1電極1として、マグネシウム製(純度99.9%以上)の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用い、第2電極2として、炭素製の棒状部材(径8cm、長さ25cm)を用いた。機能部11としては、LED電球を用いた。媒体12としては、水分を含んだ土(含水率3%以上)を用いた。土を充填する容器としては、内径が縦83mm、横855mmで、深さ20cmの木製の箱を利用した。
【0071】
LED電球の一方の端子を第1電極1に接続し、LED電球の他方の端子を第2電極2に接続した。第1電極1と第2電極2を、木製の箱内で長さ方向が互いに平行で、且つ、水平面に垂直で、最短距離が2cmとなるように配置した。媒体である土は、高さ10cmまで充填した。しかし、LED電球は点灯しなかった。
【符号の説明】
【0072】
1 第1電極、2 第2電極、3 第3電極、4 第4電極、5 第5電極、
6 第6電極、11 機能部、12 媒体