IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カレントダイナミックスの特許一覧

<>
  • 特開-推進装置 図1
  • 特開-推進装置 図2
  • 特開-推進装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067023
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】推進装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 11/09 20060101AFI20220422BHJP
   B63H 21/20 20060101ALI20220422BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20220422BHJP
   B63H 11/14 20060101ALI20220422BHJP
   F01D 15/04 20060101ALI20220422BHJP
   F02K 9/46 20060101ALI20220422BHJP
   F02K 9/52 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B63H11/09
B63H21/20
B63H21/32 B
B63H11/14
F01D15/04
F02K9/46
F02K9/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020185429
(22)【出願日】2020-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】514307497
【氏名又は名称】株式会社カレントダイナミックス
(72)【発明者】
【氏名】森 和彦
(57)【要約】
【課題】水素などの可燃性燃料を空気と混合し間欠的に燃焼させ、その発生圧力で推進する燃焼推進装置を、ジェットジェット推進船と組み合わせ、高性能な船舶推進システムとして提供する。
【解決手段】可燃性ガスの燃焼室に導入が必要な空気や水として、ジェット推進船におけるスーパーチャージャーやターボチャージャーの発生する空気流と、ジェット推進やプロペラ推進において発生する水流を使用し、この水と空気を可燃性燃料燃焼室に導入し、間欠的に点火させることによって、それぞれの特長を生かした実用性と環境性能が高く、船に別途圧縮空気や船外水取入れ部を必ずしも必要としない、新しい船舶推進システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関で推進する船舶ジェット推進船あるいはプロペラ推進船において、該船舶の内燃機関に設備されたスーパーチャージャないしターボポンプによって発生する空気流供給部分と、可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる推進装置((以下、「燃焼噴射装置」ともいう)を備え、該空気流供給部分から該燃焼噴射装置に空気を供給することによって間欠的に燃焼し、水を噴射することによって駆動される船舶推進システム。
【請求項2】
内燃機関で推進する船舶ジェット推進船において、発生した水流の一部または全部を使用できるようにした水流供給部と、可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる燃焼噴射装置備え、該水供給部配管からの水供給を行うことによって、該燃焼噴射装置を駆動させる船舶推進システム。
【請求項3】
請求項1および請求項2記載の可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる該燃焼噴射装置と、ジェット推進船舶やプロペラ推進船を単なる空気及び水の供給装置として使用し、船に別途圧縮空気を必ずしも必要としないて航行するシステム。
【請求項4】
請求項1および請求項2記載の、可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる燃焼噴射装置と、内燃機関によるジェット推進システムあるいはプロペラ推進システムを備えた船舶システムであって、船に別途圧縮空気や船外水取入れ部を必ずしも必要とせずに、該ジェット推進船舶やプロペラ推進船を燃焼噴射装置の空気及び水の供給装置として使用するとともに、かつジェット推進船舶やプロペラ推進船自体のもつ推進力を併用し、航行できる複合型船舶推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は推進装置に関し、より詳細には、内燃機関で推進する船舶ジェット推進システムないしプロペラ推進船において、該内燃機関に具備したスーパーチャージャないしターボポンプによって発生する空気流供給部分と、可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる推進装置((以下、「燃焼噴射装置」ともいう)を備え、該空気流供給部分から該燃焼噴射装置に空気を供給することによって駆動される船舶推進システムに関する。
【0002】
内燃機関で推進する船舶ジェット推進船において、発生した水流の一部または全部を使用できるようにした水流供給部と、可燃ガスと空気あるいは酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる燃焼噴射装置を備え、該水供給部配管からの水供給を受けることによって、該燃焼噴射装置を駆動させる船舶推進システム。また、内燃機関で推進する船舶ジェット推進船において、該内燃機関に具備したスーパーチャージャないしターボポンプによって発生する空気流供給部分で発生した空気流の一部または全部を使用できるようにした空気供給部と、可燃ガスと空気ないし酸素のパルス的燃焼によってまわりの水を押しのけて噴流として推進させる燃焼噴射装置備え、該空気供給部配管から空気供給を受けることによって、該燃焼噴射装置を駆動させる船舶推進システムに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関で推進する船舶ジェット推進船やプロペラ推進船が開発され、長年にわたって海運を支えてきた。近年、その排出ガス浄化に関心が集まり、コストを低減しつつ環境にやさしい船舶推進システムの開発に関心が集まっている。特許文献1,2にある推進装置では、主として気体である燃料を空気と混合させ、点火することによる高温膨張圧力を使って水を加速し、ジェット噴流として船の推進加速に使用する装置が開発されており、排ガスの低減や強力な噴射による高速での航行が図られている。この方式では、レシプロエンジンに付随する、ピストンとシリンダ部の接触抵抗及び各部の回転抵抗等のようなパワーロスが発生する欠点を除いている。主要な駆動機構に摩擦する箇所が少なく簡素な構造であり、水質汚染や騒音の発生が少なく、しかも、取り扱いが容易な推進装置も知られている。具体的には、特許文献1によればノズルから噴射水を噴射した反作用により推進力を発生させる推進装置であって、船体の喫水線以下に配設される筒状容器でなる燃焼室と、その燃焼室の後端に開口する排出口と、燃焼の前端に配設されて流入のみ可能な逆止弁と、燃焼室が逆止弁を介して注入された流体により規定量まで満たされた後、酸素および燃料を含む可燃ガスを、燃焼室の少なくとも点火位置が覆われるように圧入する可燃ガス圧入弁と、点火位置を覆う可燃ガスに着火可能な点火プラグと、可燃ガス圧入弁および点火プラグを規定のシーケンスで機能させる制御部と、を備えているというものである。
【0004】
更に特許文献2によれば、その推進装置において、点火プラグを使わずに、連続点火するグロープラグを燃焼室内に設置して、より電気制御システムを簡略化した方式が示されている。
【0005】
化石燃料を使用するレシプロエンジンでは、排気による大気汚染だけでなく排出されるオイルによる水中汚染までも引き起こしている。しかも使用する化石燃料は、残り少ない高価なものであるにも関わらず、大量に使用せざるを得ないのが実情である。
【0006】
船体に前記レシプロエンジンを使用する発明として、特許文献3がある。この特許文献3の段落[0002]には、「従来の船体は、空気を燃料と混合した可燃ガスをシリンダ内で燃焼させて駆動力を発生させる」旨の記載がある。
【0007】
一方、スクリューを不要にしながら、推進力を発生する推進装置として、接触抵抗及び回転抵抗を無くしパワーロスを削減するとともに、二酸化炭素の排出量及び残り少ない化石燃料の使用量削減を図った船体用エンジンが知られている。具体的には、中央部にウォーターボトルを配置し、その前方上部に逆止弁を介して爆発室を設け、前方下部に逆止弁を介してインジェクションポートを配し、ウォーターボトルに漏電感知装置を、前記爆発室に混合ガス注入口を有する点火室を付設するというものである(特許文献4)。
【0008】
また、船体を浅瀬でも航行させることができ、しかも故障しにくく、さらに小形化することのできる船体推進機関も知られている。具体的には、液体水素を液体水素噴射管から燃焼室に噴射させるとともに液体酸素を液体酸素噴射管から燃焼室に噴射させ燃焼室で液体水素と液体酸素を接触させて着火して燃焼させる燃焼器と、この燃焼器の液体水素噴射管に液体水素を供給し液体酸素噴射管に液体酸素を供給する推進剤供給系とを備えているというものである(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-107665号公報
【特許文献2】特開2016-103948号公報
【特許文献3】特開2007-69791号公報
【特許文献4】特開2010-52503号公報
【特許文献5】特開平8-150998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に記載するジェット推進では、推進のための可燃性ガスの燃焼に必要とする空気を、船に搭載した圧縮空気タンクあるいは船に搭載したコンプレッサの運転から得る必要があった。そのための必要な設備を搭載しなければならなかった。
【0011】
また、特許文献1、2に記載するジェット推進では、推進のための水を船外から、バルブを通じて得る必要があった。その際、パルス状の燃焼による水の噴射に応じて、燃焼室に高速に水を供給しなければならず、そのために船速に対応した高速で大量の水を船の速度に応じて燃焼室に逆止弁を通して投入する必要があった。特に船速が低い場合は、船外から自然流入する水流速度が遅く、該燃焼推進装置への大量の水供給に時間を要していた。また、高速繰り返し噴射では、流入する大口径逆止弁の応答速度にも改善が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、内燃機関によって駆動されるジェット推進あるいはプロペラ推進船を用い、該内燃機関の回転によってスーパーチャージャあるいはターボチャージャーポンプで発生した空気流の全部ありは一部を使用し、該推進装置に供給する点にある。その場合、内燃機関を単なる空気及び水の供給装置としてもよいし、内燃機関による推進を併用した複合型船舶推進装置であってもよい。
【0013】
本発明においては、内燃機関によって駆動されるジェット推進船において、該推進時に得られる大量のジェット噴流の全部あるいは一部を該燃焼推進装置の推進用水として使用することによって、船速に関わらず大量の水を該燃焼推進装置における高速水流発生用の水として投入することが可能となる。その際、内燃機関の代わりに電動ジェット推進船の作る水流を用いてもよい。
【0014】
請求項1、2に記載の発明は、図1の船舶推進システム100では、水上オートバイを含むジェット推進船101において、その船の内燃機関に具備されたスーパーチャージャないしターボチャージャーによって作られる圧縮された大量の空気を、燃料ガス103と混合し間欠的に燃焼させることによって高温高圧の気体を発生し、燃焼管301の水を押すことによって、水噴出管105,106から噴出することが出来ることを示している。なお、該燃焼推進装置は1隻に1台搭載であってもよいし、複数台搭載してもよいのは言うまでもない。図1では該燃焼推進装置が2台搭載されている例を示す。また該ジェット推進船自体は、単独で水排出管107を具備し、内部の内燃機関駆動のインペラー回転によって、水を船外に排出することによって推進することも可能である。該ジェット推進船からの水と空気流をジェット推進船燃焼管301に供給することによって、該燃焼推進装置だけのジェット水流によっても推進することが出来る。バルブ等制御部104は、該可燃ガス圧入弁の圧入量および間欠圧入させるタイミングを制御する制御部である。また、不図示の電磁バルブが水供給部と推進管の間と、ジェット推進船の水供給部と水噴出管104,105の噴出口とに取り付けられている。図2は本システムの構成各部分の接続関係を示した例である。図3は燃焼推進装置の燃焼部を示したもので、燃焼部300はその実施例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 本発明の実施例1に係る船舶推進システム(以下、「本システム」ともいう)の概略を示す図である。
【0016】
図2】 本発明の実施例1に係る船舶推進システム(以下、「本システム」ともいう)の装置配置と相互関係を示す概略図である。
【0017】
以下、図1図3を参照して実施例に係る該燃焼推進システム(本システム)について説明する。図1は、本システムの概略を示す図である。図2は舶推進システム(以下、「本システム」ともいう)の装置配置と相互関係を示す概略図である。図3は燃焼推進装置の燃焼部を示したものである。バルブ等制御部104は、該可燃ガス圧入弁(5)の圧入量および間欠圧入させるタイミングを制御する制御部である。また、図3に示す燃焼部301に取り付けられたポート302,303、304に取り付けられた各バルブに接続されて、ジェット推進船の水供給部と推進管の間と、ジェット推進船の水供給部と水噴出管104,105の噴出口と反対側に取り付けられている。更に図2は装置配置と相互関係を示すための概略図である。本図は、該燃焼推進装置を2台船舶に搭載した際の実施例を示している。該船舶推進システム200において、201はジェット推進船であり、この図では水上オートバイの場合を例示している。このジェット推進船201には内燃機関202が搭載する。内燃機関202にはエンジン吸気を圧縮してエンジンシリンダに供給する目的でスーパーチャージャないしターボチャージャー205が設置され、発生した加圧された空気の一部ないし全部を該燃焼推進装置の燃焼部に不図示の電磁バルブを介して空気供給配管部208,209によって供給する。
【0018】
ジェット推進船201は水排出管212を通して水を船外に噴出して推進するが、その再発生する圧力を伴う水を、水排出管212から該燃焼推進装置の燃焼部に不図示のバルブを介して水供給配管部208,209を通して該燃焼推進装置の燃焼部301に供給する。
【0019】
船体に設置された燃料ガス容器203には水素ガス、LPG、天然ガスあるいはアルコールなど可燃性液体燃料が貯蔵され、燃焼ガス配管部210,211を通し、空気供給配管部208,209からの空気と、水排出管212からの水とを、図3に実施例を示す燃焼部300に適切なタイミングで供給する。水排出管212からの水はポート304から、空気供給配管部208,209からの空気はポート302から、燃焼ガスは配管部210,211を通し303にそれぞれバルブを通して投入されたのち、燃焼部において点火部305によって点火され、燃焼部内部300から押し出された水は燃焼噴射装置の水噴出管212から排出され船の推進力となる。図3に示す各ポートの位置や形状は実施例に過ぎず、本推進システム全体の大きさや必要出力等に応じ、変形されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0020】
100 船舶推進システム、101 ジェット推進船、102 スーパーチャージャ、103 燃料ガス容器、104、バルブ等制御部、105 106 燃焼噴射装置の水噴出管、107 ジェット推進船の水噴出管、200 船舶推進システム、201 ジェット推進船、202 ジェット推進船内燃機関、203 203a 204 燃料ガス(水素、天然ガス、LPG等可燃ガス)容器、205 スーパーチャージャないしターボチャージャ、206、207 水供給配管部、208 209 空気供給配管部、210、211 燃料ガス供給配管部、212 ジェット推進船の水噴出管、213、214 燃焼噴射装置の水噴出管、215 バルブ等制御部、216 ジェット推進船による噴出水、217、218 燃焼噴射装置による噴出水、300 燃焼部、301 燃焼管、302 燃焼投入部、303 空気投入部、304 水投入部、305 点火電気投入部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図2】本発明の実施例1に係る船舶推進システム(以下、「本システム」という)の装置配置と相互関係を示す概略図である。
図3】本発明の実施例1に係る船舶推進システム(以下、「本システム」という)における燃焼推進装置の燃焼部を示したものである。