(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067028
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】シャフトの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 3/02 20060101AFI20220422BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20220422BHJP
B23K 20/12 20060101ALI20220422BHJP
B21D 51/16 20060101ALI20220422BHJP
B21D 5/12 20060101ALN20220422BHJP
【FI】
F16C3/02
B23K20/00 310L
B23K20/12 G
B21D51/16 Z
B21D5/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196259
(22)【出願日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2020175133
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144614
【氏名又は名称】株式会社三條機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】刈谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】関根 隆尋
(72)【発明者】
【氏名】服部 文彦
(72)【発明者】
【氏名】五井 一志
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 亮
【テーマコード(参考)】
3J033
4E063
4E167
【Fターム(参考)】
3J033AA01
3J033AC01
3J033BA02
3J033BA20
3J033BC02
4E063AA01
4E063BB06
4E063KA03
4E063MA21
4E167AA02
4E167BA05
4E167BA09
4E167BF00
4E167CA10
4E167CA14
4E167CB01
4E167CC04
4E167DC06
(57)【要約】
【課題】パイプ部材の素材の選択の幅を広げることができると共に、量産性も向上させることができるシャフトの製造方法を提供する。
【解決手段】円筒部材2の端部に連結部材3が設けられたシャフト1を製造する方法であって、金属板材の端面を研磨する研磨工程と、金属板材を円筒状若しくは円弧状に曲げる曲げ工程と、円筒状に曲げられた状態で向かい合う金属板材の研磨済み端面同士を突き合わせるか、若しくは円弧状に曲げられた複数の金属板材を円筒状に配置してその研磨済み端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより円筒部材2を形成する拡散接合工程と、拡散接合工程後の円筒部材2を冷却する冷却工程と、連結部材3を円筒部材2の端部に接合する連結部材接合工程とを行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部材の端部に連結部材が設けられたシャフトを製造する方法であって、
金属板材の端面を研磨する研磨工程と、
前記金属板材を円筒状若しくは円弧状に曲げる曲げ工程と、
円筒状に曲げられた状態で向かい合う前記金属板材の研磨済み端面同士を突き合わせるか、若しくは円弧状に曲げられた複数の前記金属板材を円筒状に配置してその研磨済み端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより前記円筒部材を形成する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の前記円筒部材を冷却する冷却工程と、
前記連結部材を前記円筒部材の端部に接合する連結部材接合工程とを含むことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のシャフトの製造方法において、前記研磨工程は、前記金属板材の端面の表面粗さRaが2μm以下となるように研磨することを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記円筒部材と前記連結部材との連結部の外面を仕上げ加工する外仕上げ工程を含むことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記円筒部材の前記突き合わせ部の内面を仕上げ加工する内仕上げ工程を含むことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記連結部材接合工程は、摩擦圧接または焼き嵌めにより行うことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のシャフトの製造方法において、前記連結部材接合工程は、前記冷却工程中に行うことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記曲げ工程において、前記金属板材を半円筒状に曲げ、前記拡散接合工程において、一対の前記半円筒状の金属板材の研磨済み端面同士を突き合わせて拡散接合することを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項8】
円筒部材の端部に連結部材が設けられたシャフトを製造する方法であって、
金属板材を円筒状若しくは円弧状に曲げる曲げ工程と、
円筒状に曲げられた状態で向かい合う前記金属板材の端面同士を突き合わせるか、若しくは円弧状に曲げられた複数の前記金属板材を円筒状に配置してその端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより前記円筒部材を形成する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の前記円筒部材を冷却する冷却工程と、
前記連結部材を前記円筒部材の端部に摩擦圧接または焼き嵌めにより接合する連結部材接合工程とを含み、
前記連結部材接合工程は、前記冷却工程中に行うことを特徴とするシャフトの製造方法。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記シャフトはEV用モーターのシャフトであることを特徴とするシャフトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モーター等のシャフトとして、既製のパイプ部材の両端に、ギアやスプラインが設けられた連結部材が摩擦圧接により接合された中空シャフトが用いられることがある(特許文献1参照)。例えば電気自動車(EV)用モーターのシャフトなどのように、軽量化の要請が強い場合に、この中空シャフトが採用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既製のパイプ部材を用いる場合には、メーカが予め用意してある既製品の中から選択しなければならず、選択できる素材に制限があった。
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、パイプ部材の素材の選択の幅を広げることができると共に、量産性も向上させることができる、これまでにないシャフトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
円筒部材2の端部に連結部材3が設けられたシャフト1を製造する方法であって、
金属板材の端面を研磨する研磨工程と、
前記金属板材を円筒状若しくは円弧状に曲げる曲げ工程と、
円筒状に曲げられた状態で向かい合う前記金属板材の研磨済み端面同士を突き合わせるか、若しくは円弧状に曲げられた複数の前記金属板材を円筒状に配置してその研磨済み端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより前記円筒部材2を形成する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の前記円筒部材2を冷却する冷却工程と、
前記連結部材3を前記円筒部材2の端部に接合する連結部材接合工程とを含むことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載のシャフトの製造方法において、前記研磨工程は、前記金属板材の端面の表面粗さRaが2μm以下となるように研磨することを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0009】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記円筒部材2と前記連結部材3との連結部の外面を仕上げ加工する外仕上げ工程を含むことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0010】
また、請求項1~3いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記円筒部材2の前記突き合わせ部の内面を仕上げ加工する内仕上げ工程を含むことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0011】
また、請求項1~4いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記連結部材接合工程は、摩擦圧接または焼き嵌めにより行うことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0012】
また、請求項5記載のシャフトの製造方法において、前記連結部材接合工程は、前記冷却工程中に行うことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0013】
また、請求項1~6いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記曲げ工程において、前記金属板材を半円筒状に曲げ、前記拡散接合工程において、一対の前記半円筒状の金属板材の研磨済み端面同士を突き合わせて拡散接合することを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0014】
また、円筒部材2の端部に連結部材3が設けられたシャフト1を製造する方法であって、
金属板材を円筒状若しくは円弧状に曲げる曲げ工程と、
円筒状に曲げられた状態で向かい合う前記金属板材の端面同士を突き合わせるか、若しくは円弧状に曲げられた複数の前記金属板材を円筒状に配置してその端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより前記円筒部材2を形成する拡散接合工程と、
前記拡散接合工程後の前記円筒部材2を冷却する冷却工程と、
前記連結部材3を前記円筒部材2の端部に摩擦圧接または焼き嵌めにより接合する連結部材接合工程とを含み、
前記連結部材接合工程は、前記冷却工程中に行うことを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1~8いずれか1項に記載のシャフトの製造方法において、前記シャフト1はEV用モーターのシャフト1であることを特徴とするシャフトの製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のようにするから、パイプ部材の素材の選択の幅を広げることができ、更に量産性も向上させることができる、これまでにないシャフトの製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】シャフトの一部を切り欠いた概略説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
金属板材を円筒状に曲げ、向かい合う端部同士を突き合わせて拡散接合することで、シャフト1の胴部となる円筒部材2を作製する。そして、この円筒部材2の端部に、ギアやスプライン等が形成された連結部材3を摩擦圧接や焼き嵌め等により接合して、例えばEV用モーター等の回転体のシャフト1を得る。
【0020】
この際、金属板材を円筒状に曲げて拡散接合することで円筒部材2を製造するから、素材選択の幅が広く、種々の用途に適した素材の中空シャフトを形成することが可能となる。即ち、拡散接合によれば、炭素量が多い鋼材(高炭素鋼)や合金成分含有量の多い合金鋼(高合金鋼)でも焼割れを発生させることなく円筒部材を形成することができる。この点、例えば円筒状に曲げた金属板材を溶接接合する場合には、溶接時に焼割れが生じ易く、選択できる素材は低炭素鋼や低合金鋼に限られる。
【0021】
また、金属板材を円弧状に曲げ、この円弧状に曲げられた金属板材を複数円筒状に配置して向かい合う端部同士を突き合わせて拡散接合することでも、上記同様に円筒部材を作製できる。
【0022】
更に、拡散溶接は、大掛かりな設備(鍛造機等)の必要もなく、加熱装置を備えた真空炉等、比較的汎用性の高い設備で実現できる。
【0023】
また、本発明は、拡散接合の前に研磨工程により、接合面となる金属板材の端部を研磨することで、拡散接合がより短時間で効率的に行え、それだけ量産性を向上させることができる。
【0024】
従って、本発明によれば、例えば既製のパイプ部材では選択できない高強度な合金鋼を金属板材に採用することで、EV用モーター用途に最適な高強度で軽量なシャフト1の製造等が可能となる。
【0025】
また、例えば、拡散接合後の円筒部材2の冷却時に、摩擦圧接や焼き嵌めにより連結部材3を接合することもでき、この場合には、拡散接合時の熱を利用すると共に、拡散接合設備(真空室)内で拡散接合後、連結部材接合前の加熱の工程を省いて連結部材3の接合を行うことが可能となり、極めて効率的な中空シャフトの製造が可能となる。
【実施例0026】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、円筒部材2の端部に連結部材3が設けられた中空シャフト1を製造する方法である。
【0028】
具体的には、母材から金属板材を切り出す裁断工程と、金属板材の端面を研磨する研磨工程と、前記金属板材を円筒状に曲げる曲げ工程と、円筒状に曲げられた状態で向かい合う前記金属板材の研磨済みの端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部を加熱して拡散接合することにより前記円筒部材2を形成する拡散接合工程と、前記拡散接合工程後の前記円筒部材2を冷却する冷却工程と、前記連結部材3を前記円筒部材2の端部に接合する連結部材接合工程と、外仕上げ工程とを含む。
【0029】
本実施例のシャフト1は、
図1に図示したように、金属製の円筒部材2の両端部に、ギアやスプライン等の係合部が設けられた金属製の連結部材3が接合されたもので、例えば
図2に図示したような、EV用モーターのシャフト1として用いられるものである。
図2中、符号4はローター、5はステータ、6は筺体、7は軸受である。
【0030】
円筒部材2は金属板材を円筒状に曲げて対向端部を拡散接合して形成される。金属板材としては、所定の大きさに裁断された鋼板や非鉄金属板(例えば高張力鋼板、ステンレス鋼板またはチタン合金板等)を採用できる。
【0031】
各工程を具体的に説明する。
【0032】
裁断工程では、母材Aから所定の大きさの金属板材Bを裁断する(
図3(a))。
【0033】
研磨工程では、金属板材Bの曲げ工程時に円筒状に曲げた際に向かい合う端部を研磨する。具体的には、両端部を夫々表面粗さRaが2μm以下となるように研磨する。この研磨により接合面における原子の拡散が良好に行われることになり、拡散接合が短時間で強固に行われることになる。
【0034】
続いて、曲げ工程において、端部が研磨された金属板材Bを鍛造成型やベンディングロール機等を用いて円筒状に丸める(
図3(b))。高強度材料から成る板材や板厚が大きい板材の場合は、温間(300℃~800℃程度)または熱間(1000℃~1300℃程度)に加熱しながら丸める。なお、研磨工程と曲げ工程の順序は逆でも良い。
【0035】
続いて、拡散接合工程において、金属板材を真空炉(拡散接合炉C)に入れ、円筒状に丸められた金属板材の研磨済みの端面同士を突き合わせ、内側に金属板材の内面に沿った外周面を有する棒状の治具、外側に金属板材の外面に沿った内周面を有する筒状の治具を配し、内外から突き合わせ部を挟み込んで所定の圧力(5~10MPa程度)で押圧した状態で900℃~1000℃程度に加熱し、所定時間(数十分~数時間)保持する(
図3(c))。なお、加熱保持時には、真空炉内は10
-6Paから10
-3Pa程度の真空雰囲気を維持する。
【0036】
拡散接合を用いることで、溶接を用いた接合に比べ、全周にわたり均質な強度および性状が得られる。
【0037】
続いて、冷却工程では、前記加熱を停止し、前記拡散接合工程後の前記円筒部材2を真空炉内で自然冷却する。
【0038】
続いて、連結部材接合工程において、ギア部やスプライン部が形成された連結部材3を摩擦圧接または焼き嵌めにより接合する(
図3(d))。
【0039】
摩擦圧接は、一般的な摩擦圧接機を用いて行う。また、焼き嵌めは例えば150℃~180℃の温度で行う。
【0040】
続いて、外仕上げ工程において、円筒部材2と連結部材3との連結部の外面側の凹凸等を除去するために切削・研磨等の仕上げ加工を行う(
図3(e))。
【0041】
なお、連結部材3は、素材を冷間または熱間鍛造により外側ほど段階的に径小となるように中空加工した後、外面に機械加工(切削加工、ギア加工、スプライン転造など)によりギア部やスプライン部を形成したものを用いる。また、円筒部材2との摩擦圧接面は切削加工により形成される。
【0042】
以上の工程によりシャフト1を形成できるが、必要に応じて内仕上げ工程を含めても良い。内仕上げ工程は、拡散接合工程後、連結部材接合工程の前に行うもので、円筒部材2の突き合わせ部の内面側の凹凸等を除去するための切削・研磨等の仕上げ加工である。
【0043】
また、必要に応じて、連結部材接合工程は、冷却工程中に行うようにしても良い。
【0044】
具体的には、拡散接合後の円筒部材2の冷却過程で、所定温度に至ったら、摩擦圧接や焼き嵌めを行って連結部材3を円筒部材2の端部に接合しても良い。例えば、酸化防止のため、200℃程度まで円筒部材2を真空炉内に留め置き、200℃程度になったら真空炉から出し、焼き嵌め等を行う。この場合には、拡散接合時の熱を利用して連結部材3を接合できることになる。その後、室温まで自然冷却する。
【0045】
なお、拡散接合工程、冷却工程および連結部材接合工程を、同一の真空炉内で行うようにしても良い。即ち、拡散接合後、円筒部材2を真空炉から取り出さず、所定温度になったら連結部材3を接合し、冷却完了後に接合された円筒部材2および連結部材3を取り出すようにしても良い。
【0046】
本実施例は上述のようにするから、素材選択の幅が広く、種々の用途に適した素材でシャフト1を形成することが可能となる。即ち、拡散接合によれば、高炭素鋼や高合金鋼でも焼割れを発生させることなく円筒部材を形成することができる。
【0047】
更に、拡散溶接は、大掛かりな設備の必要もなく、加熱装置を備えた真空炉等、比較的汎用性の高い設備で実現できる。
【0048】
また、拡散接合の前に研磨工程により、接合面となる金属板材の端部を研磨することで、拡散接合がより短時間で効率的に行え、それだけ量産性を向上させることができる。
【0049】
従って、既製のパイプ部材では選択できない高強度な合金鋼を金属板材に採用することで、EV用モーター用途に最適な高強度で軽量なシャフト1の製造等が可能となる。
【0050】
よって、本実施例は、パイプ部材の素材の選択の幅を広げることができ、更に量産性も向上させることができるシャフトの製造方法となる。
本実施例は、実施例1では一枚の金属板材を円筒状に丸めて拡散接合することで円筒部材2を得ていたのに対し、複数の金属板材を、(夫々円筒部材の一部を構成するように)円弧状に曲げ、これらを円筒状に配置して拡散接合することで円筒部材2を得るものである。
本実施例の拡散接合工程においては、円筒状となるように向かい合わせに配置した2つの半円筒状の金属板材を、上下から治具で挟持押圧することで、突き合わせ端面同士を所定時間加圧加熱保持する。上下から挟持押圧する治具としては、上下一対に設けられ、夫々の半円筒状の金属板材の外周面(凸湾曲面)に沿った凹湾曲面を有するものを用いる。
また、2つの半円筒状の金属板材を用いることで、突き合わせ端面を仕上げ加工する際、水平面とするだけで平行な端面同士を突き合わせられることになり(端面の角度の計算が不要となり)、研磨加工等が容易且つコスト安となる。また、拡散接合時の加圧のためのベクトルは鉛直方向(突き合わせ端面と直交する方向)でよく、加圧(およびその保持)をそれだけ容易に行えることになる(治具の構造を簡素化できる。)。
なお、本実施例では半円筒状に曲げた二枚の(略同一形状の)金属板材で円筒部材2を形成しているが、円弧状に曲げた3つ以上の(略同一形状の)金属板材から円筒部材2を形成しても良い。