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  • -皮膚外用剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067065
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】皮膚外用剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20220422BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20220422BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20220422BHJP
   A61K 8/897 20060101ALI20220422BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/67
A61K8/58
A61K8/897
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162971
(22)【出願日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2020175227
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将行
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 志洋
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD631
4C083BB14
4C083BB51
4C083CC12
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD39
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】肌に塗布した後に、タオルへの二次付着がなく、塗布時にべたつきがなく、肌に弾力感が感じられ、色むらが目立ち難い仕上がりが得られ、たるみ改善効果に優れた皮膚外用剤組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)皮膜形成ポリマー 0.001~30質量%、
(B)しわ改善成分 0.01~15質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)皮膜形成ポリマー 0.001~30質量%、
(B)しわ改善成分 0.01~15質量%
を含有する皮膚外用剤組成物。
【請求項2】
成分(A)の皮膜形成ポリマーが、シリコーン構造を有するポリマーであって、下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であり、かつ、下記方法(2)により行われる円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、該ポリマーの膜にクラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径が2mm以上25mm以下のポリマーである、請求項1記載の皮膚外用剤組成物。
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
方法(2):前記ポリマーの30質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液を、200μmのアプリケーターを用いて幅50mm×長さ100mm×厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、40℃に設定した恒温槽中で120分乾燥させて試験片を作製する。該試験片を用いて、JIS K5600-5-1:1999で規定する円筒形マンドレル法に準拠して耐屈曲性試験を行い、該試験片上のポリマー膜にクラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径を求める。
【請求項3】
成分(B)が、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB3及びその誘導体、グアニジン誘導体から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
成分(B)が、レチノール、ニコチン酸アミド及びN-アミジノプロリンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1~3のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)が、0.1~100である請求項1~4のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
さらに、(C)揮発性油を含有する請求項1~5のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
次の成分(A)及び(B):
(A)皮膜形成ポリマー 0.001~30質量%、
(B)しわ改善成分 0.01~15質量%
を含有する組成物を皮膚に適用し、皮膚の形状を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢によって人の皮膚にはしわやしみが多くなる。これは皮膚の老化現象の一部であり、皮膚組織の変化、紫外線を浴びた影響など複数の因子に左右される。
これらに対し、従来、しわ改善成分等を含有する化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、フルクトシルジペプチドと、グアニジン誘導体を含有する化粧料が、しわ改善効果に優れることが記載されている。特許文献2には、ビタミンB3化合物と、リシノール酸を含有する化粧組成物が、皮膚を明るくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-1905号公報
【特許文献2】特表2016-533360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料では、塗布時にべたつきがあり、肌に塗布した後には、タオルへの二次付着があるなど、使用感に劣り、しわ改善効果や色むら抑制効果を十分得ることもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、従来用いられているしわ改善成分とともに、皮膜形成ポリマーを組合わせて用いることにより、肌に塗布した後に、二次付着がなく、塗布時にべたつきがなく、肌に弾力が感じられ、色むらが目立ち難い仕上がりで、目元やフェイスライン、頬等のたるみ改善効果に優れた皮膚外用剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)皮膜形成ポリマー 0.001~30質量%、
(B)しわ改善成分 0.01~15質量%
を含有する皮膚外用剤組成物に関する。
また、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)皮膜形成ポリマー 0.001~30質量%、
(B)しわ改善成分 0.01~15質量%
を含有する組成物を皮膚に適用し、皮膚の形状を制御する方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤組成物は、肌に塗布した後に、二次付着がなく、塗布時にべたつきがなく、肌に弾力感が感じられ、色むらが目立ち難い仕上がりが得られ、しかも、目元やフェイスライン等のたるみ改善効果に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】方法(1)によるポリマーの変形割合(L2/L1)の評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)は、皮膜形成ポリマーであり、通常の皮膚外用剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。
皮膜形成ポリマーの基本骨格としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素等の縮合系ポリマー;ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物、環状オレフィン等のビニル系単量体の付加重合により得られるビニル系ポリマー;シリコーン系ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、肌に塗布した後の二次付着が抑制され、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、シリコーン系ポリマー及びビニル系ポリマーから選ばれる1種以上が好ましく、シリコーン系ポリマーがより好ましい。
【0010】
成分(A)のうち、シリコーン系ポリマーとしては、好ましくは、シリコーン構造を有するポリマーであって、下記方法(1)により測定される変形割合が0.3以上1以下であり、かつ、下記方法(2)により行われる円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、該ポリマーの膜にクラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径が2mm以上25mm以下のものである。
方法(1):前記ポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液0.005gを、幅20mm×長さ100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシートの片面に、短辺の一端から長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1の値を変形割合とする。
方法(2):前記ポリマーの30質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。該溶液を、200μmのアプリケーターを用いて幅50mm×長さ100mm×厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、40℃に設定した恒温槽中で120分乾燥させて試験片を作製する。該試験片を用いて、JIS K5600-5-1:1999で規定する円筒形マンドレル法に準拠して耐屈曲性試験を行い、該試験片上のポリマー膜にクラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径を求める。
【0011】
成分(A)のシリコーン系ポリマーが方法(1)により測定される上記変形割合を満たすことにより、例えば、成分(A)であるポリマーを含有する組成物を目元やフェイスライン等肌のたるみの気になる部位に塗布するなどして適用し、次いで該組成物を乾燥させた際に、該ポリマーを含む膜の収縮とともに該膜に密着した皮膚表面が収縮する。この作用により、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御することができる。
【0012】
前記方法(1)による成分(A)のシリコーン系ポリマーの変形割合(L2/L1)の評価方法を、図1を参照して説明する。まず、組成物に使用する成分(A)の10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製する。この溶液0.005gを、図1(a)に示す、幅(W)20mm×長さ(L0)100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシート1の片面に、ポリエチレンシート1の短辺の一端1aから長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲(図1(a)に示す2の部分)に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させる。図1(b)は、前記溶液を塗布したポリエチレンシート1を乾燥した後、その一部が成分(A)であるポリマーの収縮により変形(カール)したポリエチレンシートの模式図である。
乾燥後のポリエチレンシート(図1(b))において、溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1(50mm)、乾燥後に収縮により変形した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1を算出して、この値を変形割合とする。L2はポリエチレンシート1の2本の長辺上で計測した値の平均値とする。L2/L1の値が大きいほど、乾燥による該ポリマーの収縮量が大きいことを示し、L2/L1の上限は1である。
【0013】
皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、成分(A)のシリコーン系ポリマーの前記方法(1)により評価される変形割合L2/L1は、0.3以上であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、より更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは0.85以上、より更に好ましくは0.9以上、より更に好ましくは0.95以上であり、上限は1である。
当該変形割合は、具体的には実施例に記載の方法で評価することができる。
【0014】
また、成分(A)のシリコーン系ポリマーは耐屈曲性に優れ、前記方法(2)により行われる円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、成分(A)であるポリマーの膜にクラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径が2mm以上25mm以下である。これにより、成分(A)のシリコーン系ポリマーを含む組成物により形成される膜はひび割れを起こしにくく、かつ、皮膚形状に追従した状態で収縮しやすくなる。
上記円筒形マンドレルの最小直径が小さいほど耐屈曲性が良好であることを意味する。前記ポリマーを含む膜が収縮する際の該膜と皮膚表面との十分な密着性を得る観点から、当該最小直径は25mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは12mm以下、更に好ましくは8mm以下、より更に好ましくは6mm以下、より更に好ましくは5mm以下である。一方で、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御するために十分な強度及び形状制御効果を付与する観点から、クラックが発生しない円筒形マンドレルの最小直径は、2mm以上、好ましくは3mm以上である。当該円筒形マンドレルの最小直径の具体的範囲は、2~25mm、好ましくは2~20mm、より好ましくは2~12mm、更に好ましくは2~8mm、より更に好ましくは3~6mm、より更に好ましくは3~5mmである。
当該耐屈曲性は、JIS K5600-5-1:1999で規定するタイプ1の折り曲げ試験装置を用いて、具体的には実施例に記載の方法で評価することができる。
【0015】
また、成分(A)のシリコーン系ポリマーの、前記方法(2)により求められるマンドレルの最小直径(mm)に対する、前記方法(1)により求められる変形割合の比率[(変形割合)/(マンドレルの最小直径)]は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.10以上、より更に好ましくは0.15以上であり、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御するために十分な強度及び形状制御効果を付与する観点から、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である。前記比率の具体的範囲は、好ましくは0.01~0.5、より好ましくは0.02~0.5、更に好ましくは0.10~0.5、より更に好ましくは0.15~0.5、より更に好ましくは0.15~0.4である。
【0016】
本発明において、「シリコーン構造」とは、下記一般式(I)で表される構造をいう。
【0017】
【化1】
【0018】
一般式(I)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、pは1以上の整数である。適用した際に皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、R1は好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。
【0019】
成分(A)のシリコーン系ポリマーはシリコーン構造を有していればよく、シリコーン構造のみからなるポリマーでもよいが、前記所定の特性を有するポリマーとする観点では、一部にシリコーン構造を有するポリマーであることが好ましい。
一部にシリコーン構造を有するポリマーである場合、該シリコーン構造はポリマー中、主鎖、側鎖のいずれに存在していてもよく、前記所定の特性を有するポリマーとする観点では、側鎖に存在していることが好ましい。
シリコーン構造がポリマー主鎖に存在する場合、その結合形態にも特に制限はなく、例えば、シリコーン構造がポリマー主鎖の末端に存在していてもよいし、ポリマー主鎖中にシリコーン構造がブロック状又はランダム状に結合した共重合ポリマーであってもよい。また、シリコーン構造を有する化合物によりグラフト変性されたポリマーも用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる成分(A)のシリコーン系ポリマーとしては、シリコーン変性ポリマーが好ましく、その具体例としては、シリコーン変性ポリノルボルネン等のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー;シリコーン変性プルラン;トリアルキルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルシロキシケイ酸、フェニル変性アルキルシロキシケイ酸等のシリコーン構造含有ケイ酸化合物;シリコーンデンドリマーなどが挙げられる。
【0021】
(ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー)
本発明において、ノルボルナン構造とは、下記式で示される構造を意味する。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、ポリマー中の任意の部位に該式で示される構造を有するシリコーン変性ポリマーであればよい。
【0022】
【化2】
【0023】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0024】
【化3】
【0025】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0026】
【化4】
【0027】
式中、R1は前記と同じであり、cは1以上5以下の整数である。
【0028】
【化5】
【0029】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0030】
前記一般式(1)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ブチル基、又はペンチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xは前記式(i)で表される基であり、式(i)中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基である。皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、R1は好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より更に好ましくはメチル基である。cは1以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、c=1が好ましい。すなわちXは、好ましくはトリメチルシロキシ基である。
aは1以上3以下の整数であり、例えばa=2の繰り返し単位とa=3の繰り返し単位が混合して存在する重合体であってよい。汎用性の観点から、aは3であることが好ましい。bは0以上2以下の整数であり、同様の観点から、好ましくは0、1又はこれらの組み合わせであり、0がより好ましい。
【0031】
前記一般式(2)中、R1、R2及びbは前記と同じである。dは2以上5以下の整数であり、汎用性の観点から、d=2が好ましい。一般式(2)における環状シリコーン構造は、同様の観点から、R1及びR2がメチル基であり、dが2又は3であることが好ましい。すなわち一般式(2)における環状シリコーン構造は、好ましくは下記式(4)又は(5)で示される構造である。
【0032】
【化6】
【0033】
皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。また、上限は100%であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは70%以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは10~100%、より好ましくは10~95%、更に好ましくは30~90%、より更に好ましくは50~70%である。
【0034】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位に加えて、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【0035】
【化7】
【0036】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0037】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。また上記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む場合、その割合は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の前記一般式(3)で表される繰り返し単位数の具体的範囲は、該ポリマー中の全繰り返し単位数のうち、好ましくは5~90%、より好ましくは10~70%、更に好ましくは30~50%である。
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマー中の上記一般式(1)~(3)で表される繰り返し単位の割合は、1H-NMR測定により求めることができる。
【0038】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、シリコーン変性ポリノルボルネンが好ましく、より好ましくは下記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンである。
【0039】
【化8】
【0040】
式中、e、fは繰り返し単位数であり、それぞれ独立に1以上の整数である。
皮膚のシワ改善効果の観点から、一般式(6)中のeとfの割合は、好ましくはe/f=20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0041】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnは、収縮性と耐屈曲性とを両立する観点及び皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは80万以下、より更に好ましくは60万以下である。ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーの数平均分子量Mnの具体的範囲は、好ましくは5万~200万、より好ましくは10万~150万、更に好ましくは20万~80万、より更に好ましくは20万~60万である。
当該ポリマーの数平均分子量Mnは、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0042】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーは、例えば、ノルボルナン構造を含有するか又はノルボルナン構造を形成し得るシリコーン変性環状オレフィンモノマーを公知の方法で付加重合させて得られる。
例えば、前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有するノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーであれば、下記一般式(1a)又は(2a)で表される環状オレフィンモノマーを付加重合させて得ることができる。さらに、下記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させてもよい。
【0043】
【化9】
【0044】
式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下のアルキル基であり、Xは下記式(i)で表される基である。aは1以上3以下の整数であり、bは0以上2以下の整数である。
【0045】
【化10】
【0046】
式中、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、cは1以上5以下の整数である。
【0047】
【化11】
【0048】
式中、R1、R2及びbは前記と同じであり、dは2以上5以下の整数である。
【0049】
【化12】
【0050】
式中、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン化炭化水素基から選ばれる置換基、又は、オキセタニル基、アルコキシカルボニル基、ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基、又はアルコキシシリル基である。R3~R6から選ばれる2つの基は、互いに結合して脂環構造、芳香環構造、カルボイミド基又は酸無水物基を形成していてもよい。bは前記と同じである。
【0051】
上記一般式(3a)で表される環状オレフィンモノマーを共重合させる場合、その使用量は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、重合に使用する全モノマーを100モル%として、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは30モル%以上である。
【0052】
前記式(6)で表されるシリコーン変性ポリノルボルネンは、下記式(6a)で表されるトリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとを付加重合させて得ることができる。
【0053】
【化13】
【0054】
皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネンと、ノルボルネンとの共重合比は、好ましくは20/80~90/10(mol/mol)、より好ましくは30/70~80/20(mol/mol)であり、更に好ましくは50/50~70/30(mol/mol)である。
【0055】
なお、前記一般式(1)~(3)、及び前記式(6)において示される繰り返し単位は、いずれも原料モノマーである環状オレフィンモノマーの2,3-付加構造単位を示すものであるが、該環状オレフィンモノマーの付加重合による2,7-付加構造単位となっているものが含まれていてもよい。
【0056】
ノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーが好ましく、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第16版,第2巻,2016年,p.2274):NORBORNENE/TRIS(TRIMETHYLSILOXY)SILYLNORBORNENE COPOLYMERで表記される化合物である。
市販のノルボルナン構造含有シリコーン変性ポリマーとしては、信越化学工業社製「NBN-30-ID」(ノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液)等が挙げられる。
【0057】
(シリコーン変性プルラン)
シリコーン変性プルランとしては、側鎖にシリコーン構造を有するプルランが挙げられ、具体的には、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、プルラン中のOH基の水素原子の少なくとも一部が下記一般式(7)で表される基で置換されたシリコーン変性プルランが好ましい。
【0058】
【化14】
【0059】
式中、Z1は単結合又は2価の有機基である。R2、X、aは前記と同じであり、同様の観点から、Xは好ましくはトリメチルシロキシ基、aは好ましくは3である。
【0060】
一般式(7)において、同様の観点から、Z1は2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(8)又は(9)で表される2価の基がより好ましく、下記一般式(9)で表される2価の基がより好ましい。
【0061】
【化15】
【0062】
式中、R11は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示される。同様の観点から、これらの中でもエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基が好ましく、トリメチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
【0063】
市販のシリコーン変性プルランとしては、信越化学工業社製「TSPL-30-ID」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのイソドデカン溶液)、「TSPL-30-D5」(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランのシクロペンタシロキサン溶液)等が挙げられる。
【0064】
(シリコーン構造含有ケイ酸化合物)
本発明に用いられるシリコーン構造含有ケイ酸化合物としては、末端にシリコーン構造を有するシリケート化合物が挙げられ、例えば、トリアルキルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルシロキシケイ酸、フェニル変性アルキルシロキシケイ酸等が挙げられる。
トリアルキルシロキシケイ酸におけるアルキル基は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上4以下であり、更に好ましくはメチル基である。トリアルキルシロキシケイ酸の具体例としてはトリメチルシロキシケイ酸が挙げられる。
フッ素変性アルキルシロキシケイ酸としては、トリアルキルシロキシケイ酸中のアルキル基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換された化合物が挙げられる。その具体例としては、トリフルオロプロピルジメチルシロキシケイ酸、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
フェニル変性アルキルシロキシケイ酸としては、例えば、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、フェニルプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸等が挙げられる。
【0065】
シリコーン構造含有ケイ酸化合物の中でも、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点からは、トリアルキルシロキシケイ酸及びフッ素変性アルキルシロキシケイ酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0066】
市販のシリコーン構造含有ケイ酸化合物としては、信越化学工業社製「KF-7312J」、「KF-7312K」、「KF-7312T」、「KF-7312L」、「X-21-5249」、「X-21-5250」、「KF-9021」、「X-21-5595」、「X-21-5616」、「KF-9021L」、「X-21-5249L」、「X-21-5250L」等のトリメチルシロキシケイ酸(溶液)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「XS66-B8226」(トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸のシクロペンタシロキサン溶液)、「XS66-B8636」(トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸のジメチコン溶液)、「SilShine151」(フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸)等を用いることができる。
【0067】
(シリコーンデンドリマー)
シリコーンデンドリマーとしては、例えば、シロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系ポリマーが挙げられる。シロキサンデンドリマー構造は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、具体的には下記一般式(10)で表される基であることが好ましい。
【0068】
【化16】
【0069】
式中、R1は前記と同じである。Z2は単結合又は2価の有機基である。X1はi=1とした場合の下記一般式(11)で表される基であり、iは該基の階層を示す1以上10以下の整数である。
【0070】
【化17】
【0071】
式中、R1は前記と同じであり、R12は炭素数1以上10以下のアルキル基である。Z3は炭素数2以上10以下のアルキレン基である。Xi+1は水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、アリール基又は一般式(11)で表される基であり、aiは0以上3以下の整数である。
【0072】
一般式(10)において、Z2は単結合又は2価の有機基であり、汎用性の観点から、2価の有機基であることが好ましく、下記一般式(12)、(13)又は(14)で表される2価の基がより好ましい。
【0073】
【化18】
【0074】
式中、R13は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示され、汎用性の観点から、エチレン基、トリメチレン基、又はプロピレン基が好ましい。R14は炭素数1以上10以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示され、同様の観点から、メチル基が好ましい。R15は炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示され、同様の観点から、エチレン基が好ましい。qは0以上4以下の整数であり、rは0又は1である。
【0075】
上記のシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系ポリマー(以下、単に「ビニル系ポリマー」ともいう)としては、下記一般式(15)で表される単量体由来の繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0076】
【化19】
【0077】
式中、R1及びX1は前記と同じである。Yはビニル結合を含む基であり、例えば、ビニル基、2-アクリロイルオキシエチル基、3-アクリロイルオキシプロピル基、2-メタクリロイルオキシエチル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2-プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、アリル基、5-ヘキセニル基が挙げられる。これらのうち、汎用性の観点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基又はビニル基、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0078】
当該ビニル系ポリマーは、前記一般式(15)で表される単量体以外のビニル系単量体に由来する繰り返し単位を更に含んでもよい。当該ビニル系単量体としては、ビニル結合を含む基を有しかつ前記一般式(15)で表される単量体以外の単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有(メタ)アクリレート、脂肪酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレン又はその誘導体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、汎用性の観点から、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
【0079】
ビニル系ポリマー中の、前記一般式(15)で表される単量体由来の繰り返し単位の含有量は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、該ビニル系ポリマー中の全繰り返し単位に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、上限は100質量%である。
【0080】
前記ビニル系ポリマーは、アクリル系ポリマーであることがより好ましい。すなわち、好ましいシリコーンデンドリマーとしては、シロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するアクリル系ポリマー(以下、「アクリルシリコーンデンドリマー」ともいう)である。アクリルシリコーンデンドリマーは、前記一般式(15)において、Yが(メタ)アクロイル基である単量体由来の繰り返し単位を有するポリマーであり、一般式(15)で表される単量体以外の(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を更に含んでもよい。
【0081】
市販のシリコーンデンドリマーとしては、東レ・ダウコーニング社製「FA 4001 CM Silicone Acrylate」(アクリレート-ポリトリメチルシロキシメタクリレート共重合体のシクロペンタシロキサン溶液)、「FA 4002 ID Silicone Acrylate」(アクリレート-ポリトリメチルシロキシメタクリレート共重合体のイソドデカン溶液)等のアクリルシリコーンデンドリマーが挙げられる。
【0082】
成分(A)のシリコーン系ポリマーとしては、上記ポリマーの中でも、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点からは、シリコーン変性ポリノルボルネン、シリコーン変性プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、トリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸、及びアクリルシリコーンデンドリマーからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネン、シリコーン変性プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、及びトリフルオロプロピルジメチル/トリメチルシロキシケイ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点からは、シリコーン変性ポリノルボルネン及びシリコーン変性プルランからなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、シリコーン変性ポリノルボルネンがより更に好ましい。
【0083】
成分(A)のうち、ビニル系ポリマーを構成するビニル系単量体としては、アニオン性基又はカチオン性基を有するものが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシ基(-COOM)、スルホン酸基(-SO3M)、リン酸基(-OPO32)等の解離して水素イオンが放出されることにより酸性を呈する基、又はそれらの解離したイオン形(-COO-、-SO3-、-OPO3 2-、-OPO3 -M)等が挙げられる。前記化学式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。
アニオン性基を有するビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
カチオン性基としては、1級、2級、又は3級アミノ基のプロトン酸塩、及び第4級アンモニウム基等が挙げられる。
カチオン性基を有するビニル系単量体としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0084】
成分(A)のビニル系ポリマーは、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、好ましくはアニオン性基を有するビニル系単量体由来の繰り返し単位を含むビニル系ポリマーであり、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のビニル系単量体由来の繰り返し単位を含むビニル系ポリマーであり、更に好ましくは、ポリメタクリル酸及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である。
成分(A)のビニル系ポリマーは、アニオン性基を有するビニル系単量体由来の繰り返し単位に加えて、他の単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体であってもよいが、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、アニオン性基を有するビニル系単量体の単独重合体であることが好ましい。
【0085】
成分(A)のビニル系ポリマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは10,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは50,000以上であり、そして、好ましくは700,000以下、より好ましくは500,000以下、更に好ましくは300,000以下である。重量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
成分(A)のビニル系ポリマーは、合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
成分(A)のビニル系ポリマーを合成により得る場合には、例えば、重合開始剤等の存在下、前述のアニオン性基を有するビニル系単量体及び必要に応じて他の単量体の公知の方法の付加重合により得ることができる。
成分(A)のビニル系ポリマーの市販品としては、Alfa Aesar社製のポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0086】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に制御する観点から、全組成中に0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、30質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.001~30質量%であり、0.01~20質量%が好ましく、0.05~15質量%がより好ましく、0.1~5質量%が更に好ましい。
【0087】
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)は、しわ改善成分であり、通常の皮膚外用剤に用いられるものであればいずれでも良い。
具体的には、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB3及びその誘導体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
ビタミンA及びその誘導体としては、例えば、ビタミンA(レチノール)、レチナール、レチノイン酸、ビタミンA酢酸エステル、ビタミンAパルミチン酸エステル、ビタミンAプロピオン酸エステル、アスタキサンチン等が挙げられ、これらに限定されずビタミンA誘導体全般を含む。また、これらのビタミンA及びその誘導体の混合物、例えば、水産動物や植物から得られるこれらを含む動植物油も使用することが可能である。例えば、ビタミンA油、カロットエキス、カロット油等が挙げられる。
【0088】
ビタミンB3及びその誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸、ニコチニルアルコールのほか、ニコチン酸トコフェロール、ヘキサニコチン酸イノシトール、ニコチン酸ミリスチル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N-オキシド及びナイアシンアミドN-オキシドを含む、ニコチン酸エステル;ニコチン尿酸、ニコチニルヒドロキサム酸等のニコチン酸アミド誘導体;カルボン酸、サリチル酸、酢酸、グリコール酸、パルミチン酸等のニコチニルアルコールエステル;更に、2-クロロニコチン酸アミド、6-アミノニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、n-メチルニコチンアミド、n,n-ジエチルニコチンアミド、n-(ヒドロキシメチル)-ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、n-ベンジルニコチンアミド、n-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、イソニコチン酸メチル、チオニコチンアミド、ニアラミド、1-(3-ピリジルメチル)尿素、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びナイアプラジン等が挙げられる。
また、ビタミンB3の塩も用いることができる。塩としては、有機塩又は無機塩、例えばアニオン性無機種を有する無機塩(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、好ましくは塩化物)、有機カルボン酸塩(モノ-、ジ-及びトリ-C1~C18カルボン酸塩、例えば、酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩が挙げられ、好ましくは酢酸塩などのモノカルボン酸塩)が挙げられる。
さらに、ビタミンB3及びその誘導体は、実質的に純物質として、又は、天然(例えば、植物)原料から得られた抽出物として含まれていてもよい。
【0089】
グアニジン誘導体としては、一般式(16)、(17)、(18)で表されるグアニジン誘導体又はその酸付加塩が挙げられる。
【0090】
【化20】
【0091】
〔式(16)中、X及びYは同一又は異なって、炭素数2~8のアルキレン基を示し、Dは単結合、-CO-又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基を示し、Eは水素原子、低級アルキル基、アラルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、xは1~6の数を示し、yは0~6の数を示し、R21は水素原子、低級アルキル基又は-(XO)x-(YO)y-D-Eを示す。ただし、R1がメチル基の場合、-(XO)x-(YO)y-D-Eはヒドロキシエチル基ではない。式(17)中、R21は前記と同じ意味を示し、zは1~10の数を示し、Gは水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基を示す〕
【0092】
【化21】
【0093】
アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選ばれる複素環式基を示し、R22及びR23は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基又はアミジノ基を示す)
一般式(18)中、
【0094】
【化22】
【0095】
で示される複素環式基としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンが好ましい。
【0096】
また、R22及びR23で示されるアルキル基としては、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0097】
ヒドロキシアルキル基としては、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基がより好ましい。具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられ、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基が好ましい。
【0098】
また、カルボキシアルキル基としては、炭素数2~7のカルボキシアルキル基が好ましく、炭素数2~5のカルボキシアルキル基がより好ましい。具体的には、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基等が挙げられ、カルボキシメチル基及びカルボキシエチル基が好ましい。
【0099】
また、グアニジン誘導体(18)には、不斉炭素原子が存在するので立体異性が存在するが、本発明においてはこれらの立体異性体及びその混合物のいずれも使用できる。
【0100】
グアニジン誘導体(18)の具体例としては、N-アミジノ-プロリン、N-アミジノ-4-ヒドロキシ-プロリン、2-ヒドロキシメチル-1-ピロリジンカルボキサミジン、3-ヒドロキシ-1-ピロリジンカルボキサミジン、N-アミジノ-アジリジン-2-カルボン酸、N-アミジノ-2-ピペリジンカルボン酸、N-アミジノ-3-ピペリジンカルボン酸、N-アミジノ-4-ピペリジンカルボン酸、N-アミジノ-4-ピペリジンプロピオン酸、N-アミジノピロリジン、N-アミジノピペリジン、N-アミジノ-2-メチルピペリジン、N-アミジノ-3-メチルピペリジン、N-アミジノ-4-メチルピペリジン、N-アミジノ-2-メチルモルホリン、N-アミジノ-3-メチルモルホリン、N-アミジノ-N′-メチルピペラジン、N-アミジノ-N′-ヒドロキシエチルピペラジン、N,N′-ジアミジノ-ピペラジン等が挙げられる。
【0101】
また、グアニジン誘導体の塩を形成するための酸としては、有機酸又は無機酸のいずれでも良く、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、安息香酸、ソルビン酸、ニコチン酸、ウロカニン酸、ピロリドンカルボン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、o、m又はp-ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ酸;グリシン、アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、シスチン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ピペコリン酸、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、アルギニン、アミノ安息香酸等のアミノ酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の低級アルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸;フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸;過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等の無機酸が挙げられる。
【0102】
グアニジン誘導体としては、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジン、N-アミジノ-プロリン、コハク酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジンが、特に好ましい。
【0103】
グアニジン誘導体(16)、(17)又はそれらの塩は、例えば特開平8-92054号公報に記載の方法により、グアニジン誘導体(18)又はその塩は、例えば特開平8-109120号公報に記載の方法に従って製造することができる。
【0104】
成分(B)としては、肌の保湿を高め、しわを改善する観点から、レチノール、ニコチン酸アミド及びN-アミジノプロリンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0105】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌の保湿を高め、しわを改善する観点から、全組成中に0.01質量%以上であり、0.02質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.06質量%以上が更に好ましく、15質量%以下であり、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、9質量%以下が更に好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.01~15質量%であり、0.02~12質量%が好ましく、0.04~10質量%がより好ましく、0.06~9質量%が更に好ましい。
【0106】
本発明において、成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)は、二次付着が抑制され、塗布時にべたつきを抑え、肌に弾力が向上し、色むらが目立ち難い仕上がりで、目元やフェイスラインのたるみ改善効果に優れた観点から、0.1以上であるのが好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、0.7以上がより更に好ましく、100以下が好ましく、80以下がより好ましく、60以下が更に好ましく、45以下がより更に好ましい。また、成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)は、0.1~100が好ましく、0.3~80がより好ましく、0.5~60が更に好ましく、0.7~45がより更に好ましい。
【0107】
<成分(C)>
本発明の皮膚外用剤組成物は、さらに、(C)揮発性油を用いることができ、二次付着や色むらを抑制し、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善し、肌のたるみを改善することができる。揮発性とは、引火点が35℃以上90℃未満のものである。
揮発性油としては、通常の皮膚外用剤組成物に用いられるものであればいずれでも良く、揮発性シリコーン油及び揮発性炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、揮発性シリコーン油がより好ましい。
揮発性シリコーン油としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(ジメチルポリシロキサン(0.65cs))、オクタメチルトリシロキサン(ジメチルポリシロキサン(1cs))、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐鎖状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
これらのうち、使用感に優れ、仕上がりのむらづきを抑える観点から、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐鎖状シロキサンが好ましく、ヘキサメチルジシロキサン(ジメチルポリシロキサン(0.65cs))、オクタメチルトリシロキサン(ジメチルポリシロキサン(1cs))、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、メチルトリメチコンを1種又は2種以上を含むものがより好ましく、少なくともヘキサメチルジシロキサン(ジメチルポリシロキサン(0.65cs))、オクタメチルトリシロキサン(ジメチルポリシロキサン(1cs))、メチルトリメチコンを1種又は2種以上含むものが更に好ましく、少なくともヘキサメチルジシロキサン(ジメチルポリシロキサン(0.65cs))、オクタメチルトリシロキサン(ジメチルポリシロキサン(1cs))を1種又は2種以上含むものがより更に好ましい。
【0108】
揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、使用感に優れ、仕上がりのむらづきを抑える観点から、イソパラフィン系炭化水素油が好ましく、炭素数8~16のイソパラフィン系炭化水素油がより好ましく、炭素数10~16のイソパラフィン系炭化水素油が更に好ましく、少なくともイソドデカンを含むものがより更に好ましい。
【0109】
成分(C)の揮発性油としては、イソドデカン及び25℃における動粘度が2cSt以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。なお当該動粘度は、例えばウベローデ粘度計を用いて測定できる。
【0110】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、二次付着や色むらを抑制し、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善し、肌のたるみを改善することが観点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、25質量%以上がより更に好ましく、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、43質量%以下がより更に好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.01~70質量%が好ましく、1~60質量%がより好ましく、10~50質量%が更に好ましく、25~43質量%がより更に好ましい。
【0111】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)及び(C)の合計量の質量割合((A)+(C))/(B)は、二次付着や色むらを抑制し、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善し、肌のたるみを改善する観点から、1以上であるのが好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、700以下が好ましく、600以下がより好ましく、530以下が更に好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)及び(C)の合計量の質量割合((A)+(C))/(B)は、1~700が好ましく、2~600がより好ましく、3~530が更に好ましい。
【0112】
<成分(D)>
本発明の皮膚外用剤組成物は、さらに、(D)界面活性剤を含有することができる。なかでも、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、通常の皮膚外用剤に用いられるものであれば制限されないが、二次付着や色むらを抑制し、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善する観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
【0113】
これらのうち、油中水型乳化化粧料とする場合には、水並びに水溶性成分の油中への分散・溶解性を高める観点から、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを1種又は2種以上含むことが好ましく、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを含むことがより好ましい。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、DC5200や、信越化学工業社製のKF-6011、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF6017、KF-6004等の市販品を用いることができる。
また、水中油型乳化化粧料とする場合には、水中への分散性を高め、乳化安定性を向上させる観点から、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0114】
油中水型乳化化粧料の場合、非イオン界面活性剤は、水並びに水溶性成分の油中への分散・溶解性を高める観点から、HLB値が1以上、7以下であるのが好ましく、HLB値が2以上、6以下がより好ましい。
水中油型乳化化粧料の場合、非イオン界面活性剤は、水中への分散性を高め、乳化安定性を向上させる点から、HLB値が9以上、19以下であるのが好ましく、HLB値が12以上、18以下がより好ましい。
【0115】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0116】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの重量(g)
【0117】
油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料、いずれの場合にも、非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、揮発性油に溶解し、べたつきを抑える観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましく、3質量%以下がより更に好ましい。
【0118】
本発明において、成分(D)に対する成分(A)及び(B)の合計量の質量割合((A)+(B))/(D)は、二次付着や色むらを抑制し、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善し、肌のたるみを改善する観点から、0.02以上であるのが好ましく、0.04以上がより好ましく、0.07以上が更に好ましく、0.1以上がより更に好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、4以下がより更に好ましい。また、成分(D)に対する成分(A)及び(B)の合計量の質量割合((A)+(B))/(D)は、0.02~20が好ましく、0.04~10がより好ましく、0.07~6が更に好ましく、0.1~4がより更に好ましい。
<その他成分>
【0119】
本発明の皮膚外用剤組成物は、更に、粉体を含有することができ、有機粉体、無機粉体等のいずれでも良い。
有機粉体としては、例えば、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルベンゾグアナミン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂;ジメチルシリコーンを架橋したシリコーンエラストマーやポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーン樹脂;アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、(メタクリル酸ラウリル/ジメタクリル酸エチレングリコール)コポリマー等の、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の重合体又は共重合体のパウダー等の架橋型あるいは非架橋型の有機粉体が挙げられる。
【0120】
無機粉体としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、金雲母、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、エポキシ処理アルミニウム、アルミニウム末、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、無水ケイ酸アルミニウム、パイロフェライト質クレー、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ゼオライト、ハイジライト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、γ-酸化鉄)、黄土、黒酸化チタン、低次酸化チタン、チタン酸鉄、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムコバルト、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化鉄・二酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、チタン・二酸化チタン焼結物、チタン酸コバルト、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、オキシ塩化ビスマス、カラミン、ロジン酸ナトリウム処理酸化マグネシウム、弗素アパタイト、ハイドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)等が挙げられ、またこれらの2種以上の複合化粉体が挙げられる。さらに、アクリル樹脂被覆アルミニウム末、酸化チタン被覆ナイロン末等の有機-無機複合化粉体などが挙げられる。
【0121】
また、天然繊維の粉体として、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー等が挙げられる。
真珠光沢顔料として、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆ガラスフレーク、魚鱗箔等が挙げられる。
【0122】
これらの粉体は、そのまま用いられるほか、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、アルコキシシラン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N-アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理が好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0123】
粉体は、1種又は2種以上を組合せて用いることができ、含有量は、肌にメイクアップ効果を与える観点から、全組成中に0.01質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上がより更に好ましく、40量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、25質量%以下がより更に好ましい。また、粉体の含有量は、全組成中に0.01~40質量%であるのが好ましく、1~35質量がより好ましく、5~30質量%が更に好ましく、10~25質量%がより更に好ましい。
【0124】
本発明において、水の含有量は、色むらを抑制し、べたつきのない使用感を得る観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0125】
本発明の皮膚外用剤組成物は、前記の成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0126】
本発明の皮膚外用剤組成物は、通常の方法により製造することができる、油性組成物、乳化組成物等のいずれの形態にも適用することができる。乳化組成物とするのが好ましく、油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料がより好ましく、油中水型乳化化粧料がさらに好ましい。製剤としては、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状、シート状等として適用することができる。
本発明の皮膚外用剤組成物は、化粧品、医薬部外品、医薬品用途として用いることができ、ローション、乳液、クリーム、美容液、分散液、ジェル、軟膏、パック、ムース、エアゾール、パップ剤、洗浄料等のスキンケア化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料などとして適用することができる。
【0127】
本発明においては、前記成分(A)及び(B)を含有する組成物を皮膚に適用することにより、皮膚の形状を制御することができる。
皮膚への適用方法は制限されず、塗布、噴霧などのいずれでも良い。
また、皮膚の形状を制御するとは、皮膚の表面を外側から覆い形づくることで、皮膚の外的形状を見た目の自然さを損なわずに立体的に改善することである。例えば、目元やフェイスライン等のたるみを改善することができる。
【実施例0128】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0129】
(数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mw)
ポリマーの数平均分子量Mnは及び重量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件で測定した。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー社製)
カラム:K-806L(Shodex製)、2本直列
検出器:RI
溶離液:1mmol/L-ファーミンDM20(花王社製)/CHCl3
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
【0130】
(変形割合)
各組成物に使用する成分(A)のポリマーの10質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製した。この溶液0.005gを、図1(a)に示す、幅(W)20mm×長さ(L0)100mm×厚さ0.03mmのポリエチレンシート1(エンシュー化成工業社製「LLフィルム」)の片面に、ポリエチレンシート1の短辺の一端1aから長さ方向に向けて幅20mm×長さ50mmの範囲(図1(a)に示す2の部分)に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で10分乾燥させた。乾燥後のポリエチレンシート(図1(b))において、前記溶液を塗布した部分のポリエチレンシートの長さをL1(50mm)、乾燥後に収縮により変形(カール)した部分のポリエチレンシートの長さをL2とし、L2/L1を算出して、この値をポリマーの変形割合とした。L2はポリエチレンシート1の2本の長辺上で計測した値の平均値とした。
【0131】
(耐屈曲性)
各組成物に使用する成分(A)のポリマーの30質量%ヘキサメチルジシロキサン溶液を調製した。この溶液を、200μmのアプリケーターを用いて幅50mm×長さ100mm×厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー100T60」)に塗布し、40℃に設定した恒温槽中で120分乾燥させてポリマー膜付きフィルム(試験片)を作製した。
得られた試験片を用いて、JIS K5600-5-1:1999で規定する円筒形マンドレル法に準拠して耐屈曲性試験を行った。タイプ1の折り曲げ試験装置(エリクセン社製屈曲試験機、Model 266)を使用し、試験片のポリマー膜側の面が外側になるようにして、直径32mm、25mm、20mm、16mm、12mm、10mm、8mm、6mm、4mm、3mm、及び2mmの円筒マンドレルを用いて直径の大きい円筒形マンドレルから順次耐屈曲性試験を行った。ポリマー膜にクラックが発生した時点で試験を終了し、クラックが発生しなかった円筒形マンドレルの最小直径(mm)を耐屈曲性の値とした。この値が小さいほど耐屈曲性に優れることを意味する。
【0132】
(タオルへの二次付着性のなさ)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布して4時間経過後、綿製のタオルで肌を抑えたときのタオルへの二次付着性のなさを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:タオルに付着しない。
4:タオルにほとんど付着しない。
3:タオルにやや付着する。
2:タオルに付着する。
1:タオルにかなり付着する。
【0133】
(べたつきのなさ)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布した直後において、べたつきのなさを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:べたつきを感じない。
4:あまりべたつきを感じない。
3:ややべたつきを感じる。
2:べたつきを感じる。
1:かなりべたつきを感じる。
【0134】
(肌の弾力感)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布した直後において、肌の弾力感を、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:肌の弾力感をかなり感じる。
4:肌の弾力感を感じる。
3:肌の弾力感をやや感じる。
2:肌の弾力感をあまり感じない。
1:肌の弾力感を感じない。
【0135】
(色むらが目立ち難い仕上がり)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布した直後において、仕上がりの色むらが目立ち難さを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:色むらが目立たない。
4:色むらがあまり目立たない。
3:色むらがやや目立つ。
2:色むらが目立つ。
1:色むらがかなり目立つ。
【0136】
(目元のたるみ改善効果)
専門パネラー5名により、各組成物を肌に塗布した直後において、目元のたるみ改善効果を、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
5:目元のたるみがかなり改善した。
4:目元のたるみが改善した。
3:目元のたるみがやや改善した。
2:目元のたるみがあまり改善しない。
1:目元のたるみが改善しない。
【0137】
実施例1~19、比較例1~2
表1及び表2に示す組成の皮膚外用剤組成物(油中水型乳化ファンデーション)を製造し、タオルへの二次付着性のなさ、べたつきのなさ、肌の弾力感、色むらが目立ち難い仕上がり、目元のたるみ改善効果を評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0138】
(製造方法)
成分(A)、(B)、その他成分を混合した溶液をディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、皮膚外用剤組成物を得た。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
表中、*1は下記のとおりである。
*1:信越化学工業社製「NBN-30-ID」(下記式(6)においてe/f=60/40(mol/mol)、Mn=36万のノルボルネン/トリス(トリメチルシロキシ)シリルノルボルネン)コポリマーのイソドデカン溶液、有効分濃度:30質量%)を50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固形分を使用した。
【0142】
【化23】
【0143】
実施例20
実施例1~19と同様にして、表3に示す組成の皮膚外用剤組成物(油中水型乳化ファンデーション)を製造した。
得られた皮膚外用剤組成物は、タオルへの二次付着がなく、塗布したときにべたつかず、肌の弾力感が感じられ、色むらが目立ち難い仕上がりが得られ、目元のたるみ改善効果にも優れている。
【0144】
【表3】
【0145】
実施例21~22
実施例1~19と同様にして、表4に示す組成の皮膚外用剤組成物(水中油型乳化化粧料(リキッドタイプのファンデーション))を製造した。
得られた皮膚外用剤組成物はいずれも、タオルへの二次付着がなく、塗布したときにべたつかず、肌の弾力感が感じられ、色むらが目立ち難い仕上がりが得られ、目元のたるみ改善効果にも優れている。
【0146】
【表4】
【符号の説明】
【0147】
1 ポリエチレンシート
1a ポリエチレンシート1の短辺の一端
2 ポリマー溶液を塗布した部分
図1