(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067074
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】電気外科器具、電気外科デバイス、および電気外科デバイスを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021167566
(22)【出願日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】20202483
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ライテラー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ブロドベック
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミュラー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手術用供給装置に接続できる電気外科器具を提供する。
【解決手段】電気外科器具は、端部開口部(30)の領域において、交流電位を印加できる電極(25)を支持する。電気外科器具のライナは、端部開口部(30)に直接隣接するようにフローチャンバ(31)を制限する。端部開口部(30)と距離をとって、洗浄チャネル(32)と吸引チャネル(34)がフローチャンバ(31)の方に開口している。洗浄流体Fを、洗浄チャネル(32)を介してフローチャンバ(31)に導入でき、吸引チャネル(34)を介して吸引できる。フローチャンバ(31)に流れ込む洗浄流体(F)の大部分は、吸引チャネル(34)を介してフローチャンバ(31)から排出されるため、端部開口部(30)を介してフローチャンバ(31)から出ることができず、導光デバイス(40)の入光面(41)をコンタミから有効に保護できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給装置(12)との接続用に構成された接続デバイス(13)と、
遠位端に端部開口部(30)を有するライナ(17)と、
前記端部開口部(30)に隣接して配置されるか、または前記端部開口部(30)を越えて長手方向(L)に延在する、前記接続デバイス(13)に電気的に接続された少なくとも1つの電極(25)と、
前記ライナ(17)内部に配置される入光面(41)を含む導光デバイス(40)と、
前記接続デバイス(13)に流体的に接続された洗浄チャネル(32)であって、前記ライナ(17)によって制限されたフローチャンバ(31)の方に開口し、かつ遠位側に配置された前記端部開口部(30)と長手方向(L)に距離をとって配置される出口開口部(33)を含み、当該洗浄チャネル(32)を流れる洗浄流体(F)が前記出口開口部(33)から流れ出て、前記フローチャンバ(31)内において前記出口開口部(33)から前記端部開口部(30)の方向に洗浄流体流(SF)を生成する、洗浄チャネル(32)と、
前記接続デバイス(13)に流体的に接続された吸引チャネル(34)であって、前記フローチャンバ(31)の方に開口する入口開口部(35)を含み、前記入口開口部(35)を介して前記洗浄流体流(SF)の前記洗浄流体(F)の少なくとも一部を受け取って前記フローチャンバ(31)から排出する、吸引チャネル(34)とを備える
電気外科器具(11)。
【請求項2】
前記吸引チャネル(34)の前記入口開口部(35)は、長手方向(L)に前記端部開口部(30)と距離をとって配置される
請求項1に記載の電気外科器具。
【請求項3】
前記吸引チャネル(34)の前記入口開口部(35)は、前記洗浄チャネル(32)の前記出口開口部(33)よりも長手方向(L)において前記端部開口部(30)側に配置される、または、前記入口開口部(35)および前記出口開口部(33)は、長手方向(L)において前記端部開口部(30)までの距離が等しい
請求項1または2に記載の電気外科器具。
【請求項4】
前記フローチャンバ(31)および/または前記吸引チャネル(34)は、前記洗浄流体流(SF)が前記端部開口部(30)から出ないように寸法付けられる
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項5】
前記導光デバイス(40)の前記入光面(41)は、前記出口開口部(33)よりも長手方向(L)において前記端部開口部(30)から離れている
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項6】
少なくとも、前記導光デバイス(40)の前記入光面(41)に隣接する前記遠位端部分は、前記洗浄チャネル(32)内部に配置される
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項7】
前記接続デバイス(13)に電気的に接続された少なくとも1つのセンサ(55)は、前記吸引チャネル(34)内に含まれ、前記洗浄チャネル(32)内部の圧力および/または流れパラメータを検出する
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項8】
前記ライナ(17)は、近位端に前記接続デバイス(13)が配置される筐体(16)の一部である
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項9】
前記電気外科器具は、可撓性内視鏡器具または腹腔鏡器具として構成され、前記ライナ(17)は、フレキシブルホース(45)および/または剛性管(46)を含む
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気外科器具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気外科器具(11)と、前記接続デバイス(13)によって前記電気外科器具(11)に接続される供給装置(12)とを備え、
前記導光デバイス(40)と光学的に接続され、前記入光面(41)を介して受けた光の分析を行う光分析部(21)が設けられ、
前記供給装置(12)は、前記電気外科器具(11)の前記少なくとも1つの電極(25)に電位を印加するために、前記少なくとも1つの電極(25)に電気的に接続される電圧源(18)を含み、
前記供給装置(12)は、前記洗浄チャネル(32)に洗浄流体(F)を供給するために、前記洗浄チャネル(32)に流体的に接続される洗浄流体源(19)を含み、
前記供給装置(12)は、前記洗浄流体流(SF)の洗浄流体(F)の少なくとも一部を前記入口開口部(35)および前記吸引チャネル(34)を介して前記フローチャンバ(31)から排出するために、前記電気外科器具(11)の前記吸引チャネル(34)に流体的に接続される吸引部(20)を含む
電気外科デバイス(10)。
【請求項11】
前記供給装置(12)は、前記洗浄流体源(19)によって前記洗浄流体(F)の体積流量を調整し、前記吸引部(20)によって吸引流の体積流量を調整し、前記吸引流の体積流量は、前記洗浄流体の体積流量と少なくとも同じ大きさである
請求項10に記載の電気外科デバイス。
【請求項12】
前記供給装置(12)は、洗浄流体(F)が前記ライナ(17)の前記端部開口部(30)から出ないように、前記吸引部(20)によって吸引流の体積流量および/または吸引力を調整する
請求項10または11に記載の電気外科デバイス。
【請求項13】
前記供給装置(12)は、組織(26)の処置中に生じる煙が前記ライナ(17)の前記端部開口部(30)を介して吸引され得るように、前記吸引部(20)によって吸引流の体積流量および/または吸引力を調整する
請求項10~12のいずれか1項に記載の電気外科デバイス。
【請求項14】
前記電気外科器具(11)の前記少なくとも1つの電極(25)に電位を印加するステップと、
洗浄流体(F)を、前記洗浄チャネル(32)内に供給し、前記出口開口部(33)から前記フローチャンバ(31)内に供給するステップと、
前記入光面(41)を介して光を受け、受けた前記光を前記光分析部(21)に導くステップと、
前記洗浄流体(F)の少なくとも一部を、前記吸引チャネル(34)を介して前記フローチャンバ(31)から排出するステップとを含む
請求項10~13のいずれか1項に記載の電気外科デバイス(10)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気エネルギーおよび洗浄流体を、供給装置によって供給することができる電気外科器具に関する。さらに、供給装置は、器具に電気的に、流体的に、かつ/または光学的に接続することができる、さらなるデバイスまたはユニットを含むことができる。本発明は、また、供給装置に接続される電気外科器具を備える電気外科デバイスと、そのような電気外科デバイスを動作させる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導光デバイスと、少なくとも1つの電極とを備える電気外科器具が記載されている。例えば組織を切断または凝固させる電極によって生体組織を処置することができる。電極と組織との間でのスパーク生成により生じる光は、入光窓によって捕らえることができ、また、導光デバイスを介して光分析部に伝送することができる。光分析に基づいて、少なくとも1つの電極によって処置される組織のタイプを決定することができる。光を捕らえるために、器具上に流動体が形成される。この流動体は、器具の動作中、流体チャネルと、その遠位端の流体出口開口部とによって新しくすることができる。
【0003】
同様の電気外科器具が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2815713号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3517028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導光デバイスの入光面におけるコンタミからの保護が改善された電気外科器具を提供することが、本発明の目的と考えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する電気外科器具と、請求項10の特徴を有する電気外科デバイスと、請求項14の特徴を有する方法とによって解決される。
【0007】
本発明による電気外科器具は、開腹手術用または腹腔鏡用に構成することができる。電気外科器具は、供給装置に接続する接続デバイスを有する。接続デバイスによって、電気外科器具と供給装置との間に電気的、光学的かつ流体的な接続を確立することができる。例えば、接続デバイスは、供給装置と電気外科器具との間に特に解除可能な接続を確立することができる1以上のプラグまたは他の適切な接続要素を含むことができる。これにより、電気的接続、光学的接続および流体的接続は、1以上の共通もしくは個別のプラグまたは他の適切な接続要素によって確立することができる。
【0008】
電気外科器具は、さらに、遠位端に端部開口部を有するライナを備える。一実施形態において、ライナは、例えば開腹手術用の構成の、筐体または筐体の一部によって形成することができる。筐体の一部は、ハンドルとして機能することができるか、またはハンドルを含むことができる。さらに、手動作動用の1以上の操作要素を筐体上に設けることができる。
【0009】
また、例えば、内視鏡と組み合わせた腹腔鏡での使用または可撓性内視鏡での使用のための電気外科器具において、フレキシブルホース、剛性管、またはフレキシブルホース部分と剛性管部分との組合せによってライナを形成することが可能である。したがって、ライナは、構成に応じて少なくとも部分的に剛性または可撓性を有するようにすることができる。例えば、ライナは、プラスチックおよび/または金属合金からなり得る。
【0010】
接続デバイスは、ライナの近位端に配置することができる。接続デバイスは、1以上のラインおよび/または1以上のプラグもしくは同様の接続要素を含むことができる。
【0011】
器具は、その遠位端に少なくとも1つの電極を有する。少なくとも1つの電極は、接続デバイスに電気的に接続されるため、接続デバイスを介して供給装置に接続することができる。少なくとも1つの電極は、実施形態に応じて、ライナの端部開口部に隣接して配置されるか、または端部開口部を越えて長手方向に延在し、少なくとも1つの電極は、端部開口部を通って延在することができる。長手方向とは、器具がライナの端部開口部に少なくとも隣接して延在する方向、および/または少なくとも1つの電極がライナの遠位端に隣接して延在する方向である。一実施形態では、端部開口部が延在する平面は、長手方向に直交するように方向付けることができる。
【0012】
電気外科器具は、モノポーラ器具、バイポーラ器具または多極器具として構成することができる。モノポーラ器具としての構成では、器具上には単一の電極で十分である。対向電極として表すことができる追加の電極を、電気外科器具とは別に構成することができ、また、供給装置に接続することができる。電気外科器具がバイポーラ器具として構成される場合、少なくとも2つの電極が存在し、それらの電極間には、動作中、電圧が印加され得る。
【0013】
電気外科器具は、さらに、接続デバイスに光学的に接続される導光デバイスを有する。導光デバイスは、その遠位端に、ライナ内部に配置され、かつ実質的に端部開口部および/または少なくとも1つの電極の方を向いた入光面を含む。入光面は、少なくとも1つの電極でのスパーク生成中に生じる光が入光面を通って入射することができ、そして、導光デバイスを介して接続デバイスに向けて光学的にさらに伝送され得るように配置され、方向付けられる。捕らえた光は、さらに、接続デバイスを介して供給装置に伝送することができ、供給装置内で、例えば光分析部内で、分析することができる。一実施形態において、光分析部が電気外科器具の一部である場合、導光デバイスを光分析部に直接接続し、接続デバイスとの光学的接続を省略することができる。
【0014】
電気外科器具は、さらに、接続デバイスに流体的に接続され、かつ好ましくはライナ内部に延在する洗浄チャネルを備える。洗浄チャネルは、ライナによって制限されたフローチャンバの方に開口している出口開口部を遠位端に有する。出口開口部は、長手方向に端部開口部と距離をとって配置される。長手方向の反対側において、ライナの端部開口部は、フローチャンバの方に開口している。したがって、長手方向に見ると、フローチャンバは、出口開口部と端部開口部との間に配置されている。出口開口部から流れ出る洗浄流体は、フローチャンバ内に洗浄流体流を生成する。洗浄流体流は、少なくとも実質的に、出口開口部から離れて端部開口部に向けて方向付けられることが好ましい。フローチャンバ内の洗浄流体流によって、入光面を汚染し得るであろうコンタミの侵入が回避または少なくとも低減される。
【0015】
電気外科器具は、さらに、接続デバイスに流体的に接続され、かつ好ましくはライナ内部に配置される吸引チャネルを備える。吸引チャネルは、フローチャンバの方に開口する入口開口部を有する。入口開口部および吸引チャネルを介して、洗浄流体の少なくとも一部をフローチャンバから排出することができる。吸引チャネルは、洗浄流体が端部開口部を介してフローチャンバから出る前に、洗浄流体のほぼすべてをフローチャンバから排出することができるように寸法付けることが好ましい。
【0016】
したがって、例えば、端部開口部から出て、処置される生体組織に衝突する洗浄流体の量を調整することができる。洗浄流体が端部開口部から出る前に、フローチャンバに入る洗浄流体の大部分またはフローチャンバに入る洗浄流体のすべてを吸引チャネルを介して排出することができる。これは、導光デバイスの光学部品、特に入光開口部のコンタミを著しく低減することができ、これにより、実際に処置される生体組織の分析が改善されることを示している。洗浄流体の体積流量は、従来の器具と比較して著しく増加させることができ、1l/minより大きいことが好ましく、例えば最大8l/minの量にすることができる。
【0017】
それぞれ1つの入口開口部を有する複数の吸引チャネルを設けることが可能である。さらに、または代替として、それぞれ1つの出口開口部を有する複数の洗浄チャネルを設けることも可能である。
【0018】
一実施形態において、洗浄チャネルの出口開口部または洗浄チャネルの出口開口部に隣接する部分は、主流方向が長手方向と平行に、または長手方向に対して鋭角に傾いてフローチャンバへ入るように方向付けられる。主流方向は、出口開口部の平面に直交するように方向付けられる中心軸によって定義することができる。
【0019】
吸引チャネルの入口開口部は、長手方向に端部開口部と距離をとって配置されることが好ましい。これは、吸引チャネルの入口開口部が、洗浄チャネルの出口開口部よりも長手方向において端部開口部側に配置される場合、有利である。あるいは、入口開口部および出口開口部は、長手方向において端部開口部までの距離を等しくすることができる。この構成では、入口開口部と出口開口部とを共通平面内に配置することが可能である。
【0020】
既に説明したように、これは、洗浄流体流の洗浄流体が端部開口部を通ってフローチャンバから出ないように電気外科器具が寸法付けられるか、または動作する場合、有利になり得る。例えば、これは、洗浄チャネルを通る洗浄流体の体積流量を、最大でも、吸引チャネルを通る流れの体積流量と同じ大きさにすることで達成できる。さらに、フローチャンバの形状、ならびに/または洗浄チャネルの出口開口部の配置および向き、ならびに/または吸引チャネルの入口開口部の配置および向き、ならびに/またはフローチャンバ内の洗浄流体流の流れ方向は、吸引チャネルへの洗浄流体の流入が簡単になるように選択することができる。例えば、フローチャンバは、端部開口部に向かって先細りにすることができる。さらに、または代替として、出口開口部および入口開口部は、洗浄流体流が出口開口部から入口開口部へ向かう流れ方向成分を有するように配置し、方向付けることができる。
【0021】
これはまた、導光デバイスの入光面が、洗浄チャネルの出口開口部よりも長手方向において端部開口部からの距離が大きい場合、有利である。そうすることで、入光面の保護をさらに改善することができる。
【0022】
一実施形態において、入光面または導光デバイスの入光面に隣接する遠位端部分は、特に洗浄流体が出口開口部を通って出る前に洗浄流体の流れに取り囲まれるように洗浄チャネル内部に配置することができ、かつ/または出口開口部に直接隣接して配置することができる。また、この手段によって、入光面のコンタミに対する保護効果が改善される。
【0023】
これは、接続デバイスに電気的に接続された少なくとも1つのセンサが吸引チャネルの隣に設けられる場合、有利になり得る。少なくとも1つのセンサによって、吸引チャネル内部の流れまたは流体のパラメータを、例えば、圧力、体積流量、流速もしくは別の物理パラメータ、または挙げたパラメータのうちの複数の任意の組合せとして検出することができる。
【0024】
本発明による電気外科デバイスは、上記実施形態のうちの1つに対応する電気外科器具を備える。接続デバイスによって、電気外科器具は供給装置に接続される。光分析部は、導光デバイスまたは入光面に光学的に接続され、捕らえた光の分析、特にスペクトル分析を行う。光分析部は、電気外科器具または供給装置の一部にすることができるか、またはそれらとは別に構成することができる。光分析部は、電気外科器具の一部でない場合、光が接続デバイスを介して光分析部に伝送され得るように接続デバイスに光学的に接続される。
【0025】
供給装置は、電気外科器具の少なくとも1つの電極に電気的に接続される電圧源を有する。そうすることで、電位、特に高周波交流電位を少なくとも1つの電極に印加することができる。
【0026】
さらに、供給装置は、洗浄チャネルに流体的に接続される洗浄流体源と、吸引チャネルに流体的に接続される吸引部とを含む。洗浄流体は、洗浄流体源によって洗浄流体チャネルに供給することができ、そのため、洗浄流体流を生成することができる。洗浄流体の一部または洗浄流体のすべてをフローチャンバから少なくとも排出するために、吸引部によって、吸引チャネルを通る吸引流を生成することができる。
【0027】
これにより、洗浄流体の体積流量および吸引チャネルの体積流量を用途に適応させることができ、吸引流の体積流量は、洗浄流体の体積流量と少なくとも同じ大きさであり、好ましくは、洗浄流体の体積流量より大きい。吸引流の体積流量および/または吸引部の吸引力は、洗浄流体がライナの端部開口部を通って全く出ない、または少量しか出ないように調整されることが好ましい。
【0028】
また、吸引力および/または吸引流の体積流量は、電気外科器具による組織の処置中に生じる煙または他のガスが端部開口部、入口開口部および吸引チャネルを介して抽出されるように、吸引部によって調整することができる。
【0029】
電気外科デバイスの動作中、少なくとも1つの電極に電位が印加される。洗浄流体が洗浄チャネルを介してフローチャンバに導入され、少なくともその一部が、入口開口部および吸引チャネルを介してフローチャンバから排出される。組織の処置中、例えば組織の切断または凝固中に、光を発する少なくとも1つの電極においてスパークが生じる。光スペクトルは、処置された組織のタイプに特有である。光は、入光面を介して入射することができ、さらに、処置された組織のタイプに関する評価が光分析部で可能になるように、導光デバイスによって光分析部に導かれ得る。分析の結果は、外科医に光学的に、聴覚的に、かつ/または触覚的に示すことができる。
【0030】
本発明のすべての実施形態において、洗浄流体は、気体または液体にすることができる。例えば、二酸化炭素、空気、アルゴン、またはそれらの任意の組合せを洗浄流体として使用することができる。特に、アルゴンは、器具の内視鏡用途に適しており、二酸化炭素および/または空気は、器具の開腹手術用途に適している。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項、明細書および図面から導かれる。以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、電気外科器具と供給装置とを備える電気外科デバイスのブロック図である。
【
図2】
図2は、電気外科器具の実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、電気外科器具の一実施形態における電気外科器具の遠位端に隣接する端部部分の概略断面図である。
【
図4】
図4は、電気外科器具の一実施形態における電気外科器具の遠位端に隣接する端部部分の概略断面図である。
【
図5】
図5は、変更形態における電気外科器具の遠位端に隣接する端部部分の図である。
【
図6】
図6は、電気外科器具のさらなる実施形態における電気外科器具の遠位端に隣接する端部部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、電気外科デバイス10をブロック図で示す。電気外科デバイス10は、電気外科器具11と供給装置12とを備える。電気外科デバイス10は、電気外科器具11と供給装置12との間に電気的かつ流体的な接続と、ここで示す実施形態ではさらに光学的な接続とを確立する接続デバイス13を有する。この目的のために、接続デバイスは、供給装置12と好ましくは解除可能な接続を確立できる少なくとも1つの接続要素14を含むことができる。少なくとも1つの接続要素14は、例えば、接続デバイス13のプラグにすることができる。
【0034】
その実施形態において、接続デバイス13は、さらに複数のライン15を含み、ライン15は、流体ラインと、少なくとも1つの電気ラインと、選択肢として少なくとも1つの光学ラインとを含む。ライン15は、少なくとも1つの接続要素14から電気外科器具11のライナ17内に延在する。
図1~
図4による実施形態において、ライナ17は、筐体16によって形成される。
【0035】
図示した実施形態の変更形態では、さらに、複数の個別の接続要素14、例えば流体ライン15を接続する接続要素14と、少なくとも1つの電気ラインを接続する接続要素14と、選択肢として光学ライン15を接続する接続要素14とが存在し得る。
【0036】
供給装置12は、電気外科器具11の動作に必要な流体を供給し、動作用の電気エネルギーを供給し、流体を排出する。この目的のために、実施形態において、供給装置12は、電圧、特に高周波交流電圧を供給することができる電圧源18を含む。供給装置12は、さらに、電気外科器具に洗浄流体を供給する洗浄流体源19と、吸引部20とを有する。吸引部20によって、流体を電気外科器具11の遠位端部分から排出することができる。
【0037】
さらに、電気外科デバイス10は、この実施形態において電気外科器具11の筐体16の外部に配置される光分析部21を備える。光分析部21は、
図1に示すように供給装置12の一部にすることができる。その代替として、光分析部21はまた、別個のユニットとして供給装置12の外部に配置することもできる。
【0038】
電気外科器具11は、接続デバイス13に電気的に接続される少なくとも1つの電極25を有する。電位、特に高周波交流電位を、電圧源18によって接続デバイス13を介して電極25に印加することができる。
図1は、電極25を1つのみ含むモノポーラ器具の形態の電気外科器具11の実施形態を示す。電気外科器具11による生体組織26の処置中に電流回路を閉じるために、処置される生体組織26を介した閉電流回路が得られるよう別個の対向電極27が供給装置12、特に電圧源18に電気的に接続される。この目的のために、対向電極27は、患者に取り付けることができる。
【0039】
図1に示した実施形態の変更形態では、電気外科器具11は、また、別個の対向電極27を省略することができるように少なくとも2つの電極25を有するバイポーラ器具または多極器具として構成することができる。その場合、電流回路は、電気外科器具11の少なくとも2つの電極25と、処置される生体組織26とを介して閉じることができる。
【0040】
図1~
図4に示す実施形態において、電気外科器具11には、外科医が電気外科器具11を保持するか、またはガイドするのに用いるハンドル28が設けられる。実施形態のように、ハンドル28は、筐体16の一部によって形成することができるか、または筐体16に取り付けることができる。ハンドル28の付近には、さらに、例えば供給装置12を制御するために、少なくとも1つの操作要素29を筐体16上に設けることができる。少なくとも1つの操作要素29によって、例えば、所望の電位を電極25に印加することができ、洗浄流体源19による洗浄流体の供給を制御することができ、かつ/または吸引部20による吸引を制御することができる。
【0041】
ライナ17、例によれば筐体16は、その遠位端に端部開口部30を有する。
図1~
図4による実施形態において、少なくとも1つの電極25は、長手方向Lに筐体16またはライナ17の遠位端を越えて延在し、端部開口部30を貫通して延在することができる。長手方向Lは、特に、電極25がその遠位端を起点として延在する方向、および/または、ライナ17もしくは筐体16の長手軸が延在する方向によって定義される。実施形態では、長手方向Lは、端部開口部30が延在する平面に直交するように方向付けられる。
【0042】
図2に示すように、筐体16は、複数の組立部品からなり得る。その代替として、筐体16はまた、一体構造にすることもできる。
【0043】
筐体16の端部開口部30に隣接する遠位端部分16aは、
図3および
図4に拡大概略断面図で示される。筐体16は、遠位端に設けられた端部開口部30に直接隣接するようにフローチャンバ31を制限する。筐体16またはライナ17内部に延在することが好ましい洗浄チャネル32は、フローチャンバ31に直接隣接する出口開口部33を有する。このように、洗浄チャネル32は、出口開口部33でフローチャンバ31の方に開口している。出口開口部33から出る洗浄流体Fは、フローチャンバ31内に洗浄流体流SFを生成する。
【0044】
出口開口部33、および/または洗浄チャネル32の出口開口部33に隣接する部分は、例によれば、長手方向Lに対して鋭角をなすように方向付けられる。出口開口部32に隣接する洗浄流体流SFの主流方向は、例によれば、洗浄チャネル32の出口開口部33に隣接する部分の長手方向中心軸に対応し、その長手方向中心軸は、長手方向Lに対して、例えば最大30°、最大20°または最大10°の角度をなすように方向付けることができる。他の実施形態において、主流方向はまた、長手方向Lと平行に方向付けることもできる。
【0045】
さらに、電気外科器具11は、入口開口部35を介してフローチャンバ31の方に直接開口する吸引チャネル34を有する。流体、特に洗浄流体Fは、吸引チャネル34を介してフローチャンバ31から排出することができる。さらに、生体組織26の処置中に生じる煙Rを吸引チャネル34を介して吸引によって抽出することができる。そのような煙Rは、端部開口部30を介してフローチャンバ31に吸引することができ、また、入口開口部35を介して吸引チャネル34に入れることができる。
【0046】
実施形態では、電極25は、長手方向に対して直交方向に見ると、洗浄チャネル32の出口開口部33と、吸引チャネル34の入口開口部35との間に配置されている。
【0047】
電気外科器具11の動作状態において、吸引チャネル34は吸引部20に流体的に接続され、洗浄チャネル32は洗浄流体源19に流体的に接続される。さらに、電気的接続が電圧源18と電極25との間に確立される。
【0048】
電気外科器具は、また、フローチャンバ31または少なくとも1つの電極25に面する入光面41を有する導光デバイス40を含む。導光デバイス40は、例えば、ガラスファイバなどの光ファイバによって形成することができる。入光面41は、光ファイバの面によって形成することができる。その代替として、光ファイバを、入光面41に設けられた光学部品、例えばレンズと結合させることができる。
【0049】
入光面41は、生体組織26の処置中のスパーク生成により発する光を受けることができるように方向付けられる。この光は、さらに、評価、特にスペクトル分析のために導光デバイス40を介して光分析部21に導かれる。そうすることで、処置された組織のタイプを推定することができる。
【0050】
入光面41は、コンタミに敏感である。フローチャンバ31内に供給された洗浄流体Fによって、入光面41のコンタミを回避するか、または少なくとも緩和することができる。例えば、組織粒子、煙粒子、組織液などが入光面41に到達する可能性があり、そこに集まる場合がある。このことは、洗浄流体Fが少なくとも実質的にフローチャンバ31内に残り、端部開口部30から出ない、または少量しか出なければ、コンタミからの入光面41の保護を改善できることを示している。洗浄流体Fが組織26に衝突することによって、コンタミ粒子が端部開口部30を通って入光面41に飛ばされる可能性がある。洗浄流体Fの生体組織26に衝突する量が減るために、入光面41におけるそのようなコンタミの危険性は減る。
【0051】
この理由により、電気外科器具11の本発明の構成において、フローチャンバ31は、洗浄流体Fがライナ17または筐体16から出る前に吸引チャネル34を介して排出され得るようにライナ17または筐体16の内部に形成される。これは、洗浄チャネル32を介してフローチャンバ31内に供給される洗浄流体Fのほぼすべてが吸引チャネル34を介して排出される場合、有利である。説明したように、さらに煙Rを、吸引チャネル34を介して処置部位から遠ざかるように搬送することもできる。
【0052】
入光面41の保護のために、洗浄流体Fは、特に、出口開口部33でフローチャンバ31内に出て行く前に、入光面41、特に導光デバイス40の入光面41に隣接する部分を取り囲む。この目的のために、導光デバイス40の入光面41に隣接する遠位端部分は、例えば
図3および
図4に示すように、洗浄チャネル32に直接隣接して、または洗浄チャネル32内部に配置される。そのため、これは、入光面41が出口開口部33よりも長手方向Lにおいて端部開口部30までの距離が大きい場合、有利である。
【0053】
これはまた、出口開口部33と、遠位側に配置された端部開口部30との長手方向Lの距離が、吸引チャネル34の入口開口部35と端部開口部30との長手方向の距離と少なくとも同じ大きさである場合、好ましい。この配置によって、フローチャンバ31からの洗浄流体Fの吸引による抽出が簡単になるか、または向上する。
【0054】
電気外科器具11の動作中、洗浄チャネル32を介して洗浄流体源19によってフローチャンバ31に供給される質量流量または体積流量は、最大でも、吸引部20によって調整される吸引チャネル34内への流れの質量流量または体積流量と同じ大きさである。吸引チャネル34内への流れの質量流量または体積流量は、洗浄チャネル32内への質量流量または体積流量より大きいことが好ましい。
【0055】
これまでに説明した電気外科器具11の実施形態は、特に開腹手術用に構成されている。特に、腹腔鏡治療、可撓性内視鏡を用いた治療、または最小侵襲性外科治療にも適した電気外科器具の変更形態を
図5に示す。
【0056】
図5は、電気外科器具のライナ17の遠位端部分17aの概略断面図を示す。この実施形態では、ライナ17は、フレキシブルホース45または剛性管46によって形成される。ライナ17は、また、少なくとも一部分はフレキシブルホース45、および少なくとも一部分は剛性管46として構成することもできる。この実施形態では、ライナ17は、少なくとも遠位端部分17aに中空円筒形状を有する。
【0057】
ライナ17内部には、少なくとも1つの電極25と導電体48とに電気的に接続される電極支持部47が配置される。導電体48は、ライナ17内部に延在し、接続デバイス13に電気的に接続される。この実施形態では、電極支持部47は、内ホース49または内管50の内部に配置される。ライナ17に適応するように、フレキシブル内ホース49または剛性内管50を選択することができる。
【0058】
洗浄チャネル32は、例えばライナ17の長手軸に沿って延在する内ホース49または内管50を貫通して延在する。この実施形態では、導光デバイス40および入光面41は、洗浄チャネル32内部に配置される。洗浄チャネル32の遠位端領域において、例えば洗浄チャネル32を同軸で取り囲むことができる電極支持部47が、洗浄チャネル32に隣接して配置される。電極支持部47と洗浄チャネル32との間に、例えば障壁要素51の一部である熱障壁を設けることができる。例によれば、障壁要素51の第1部分は、洗浄チャネル32の遠位端部分を同軸に取り囲み、出口開口部33を形成する。障壁要素51は、洗浄チャネル32まで同軸に延在するこの第1部分に隣接して、フローチャンバ31内部に配置されるカップ状第2部分を有する。
【0059】
少なくとも1つの電極25は、電極支持部47を起点とし、障壁要素51を貫通して障壁要素51のカップ状第2部分内部に延在する。少なくとも1つの電極25は、好ましくはその遠位端が障壁要素51の第2部分内部にあるように終端する。障壁要素51の遠位端は、例によれば、内ホース49または内管50の遠位端と同じレベルにある。内ホース49もしくは内管50の遠位端および/または障壁要素51の遠位端は、例によれば、ライナ17内部の遠位側に配置された端部開口部30と長手方向Lに距離をとって配置される。
【0060】
吸引チャネル34は、例によれば、片側の内ホース49または内管50と、ライナ17(ホース45または管46)との径方向距離によって形成される。内ホース49または内管50と、ライナ17との相対位置を定めるために、吸引チャネル34内に複数のスペーサ52を周方向に分布させて配置することが好ましい。内ホース49または内管50は、互いに対して少なくとも部分的に同軸に、および/または少なくとも部分的に非同軸に配置することができる。吸引チャネル34を通る流れは、スペーサ52を通過することができる。吸引チャネル34を通る流れの流量特性に影響を及ぼすために、スペーサ52のうちの1以上またはすべての寸法、形状、位置および/または表面特性を選択することができる。例えば、吸引チャネル34を通る体積流量を特に調整するか、または止めることができる。
【0061】
また、
図5による実施形態では、吸引チャネル34の入口開口部35と、洗浄チャネル32の出口開口部33とは、ライナ17内部において、長手方向Lにライナ17の端部開口部30と距離をとって配置される。
図5から明らかなように、出口開口部33と端部開口部30との距離は、入口開口部35と端部開口部30との距離より大きい。
【0062】
電気外科器具11または電気外科デバイス10の上記実施形態は、生体組織26の処置中、以下のように動作する。
【0063】
電気外科器具11は、接続デバイス13によって供給装置12に接続される。必要に応じて、対向電極27が患者に取り付けられ、これも供給装置12に接続される。説明したように、別個の対向電極27は、バイポーラ電気外科器具11には必要ない。
【0064】
外科医は、電気外科器具11の動作、例えば、生体組織26を処置する、例えば切断またはシールするために、少なくとも1つの操作要素29によって、少なくとも1つの電極25への交流電位の印加を制御する。これにより、電極25においてスパークが生じ、その光が入光面41に入り、さらに導光デバイス40を介して光分析部21に導かれる。光分析部21は、電気外科器具11によって実際に処置される組織26のタイプを決定するために、特にスペクトル分析によって、受けた光を分析する。
【0065】
この処置中、洗浄流体Fが洗浄流体源19によって洗浄チャネル32に導入され、洗浄チャネル32を流れて出口開口部33を介してフローチャンバ31に入る。出口開口部33に隣接して、フローチャンバ31内に洗浄流体流SFが生じる。この実施形態において、フローチャンバ31に流れ込む洗浄流体Fの大部分、特に少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも90%、さらに好ましくはすべてが吸引チャネル34を介してフローチャンバ31から排出される。洗浄流体Fのせいぜい少量しか、端部開口部30を通ってフローチャンバ31から出る可能性はない。洗浄流体Fが端部開口部30を通って出ないことが好ましい。フローチャンバ31からの洗浄流体Fの吸引による抽出は、所望の効果を得るために、対応して大きい体積流量または部分真空、ひいてはそれぞれ大きい吸引力を調整する吸引部20によって行われる。組織26の処置中に生じる煙Rも、端部開口部30および入口開口部35を通って吸引チャネル34に吸引されることによって散らされ、排出される。
【0066】
実施形態のすべてにおいて、吸引チャネル34内に少なくとも1つのセンサ55を配置することができる。少なくとも1つのセンサ55は、電気センサ信号が接続デバイス13を介して供給装置12に伝送され得るように接続デバイス13に電気的に接続されることが好ましい。少なくとも1つのセンサ55は、圧力、流速、体積流量などのような、吸引チャネル34内部の流れのパラメータを検出する。異なるパラメータの測定には、複数の異なるセンサ55を設けることができる。この実施形態では、閉ループにおける少なくとも1つの流れパラメータの所望値に基づいて吸引部20を制御する可能性がある。
【0067】
図6において、電気外科器具11の別の変更形態における遠位端部分16aが示される。電気外科器具11は、
図3および
図4による実施形態と同様に構成される。以下に
図3および
図4の実施形態との違いを説明するが、それ以外は上記の説明が参照される。
【0068】
図3および
図4による第1実施形態と異なり、筐体16は、調整デバイス56によって変更可能な断面を有する領域57が端部開口部30に直接隣接する、遠位端部分16aを有する。筐体16の端部部分16aの領域57は、例えば、調整デバイス56の影響下で弾性変形することができる可撓性材料または弾性材料からなり得る。これにより、端部開口部30の流れ断面と、領域57内部の流れ断面とを調整デバイス56によって調整することができる。調整デバイス56は、例によれば、例えば指58によって、手動で作動させることができる。
【0069】
領域57を取り囲む、長手方向Lに可動的に支持される調整リング59は、調整デバイス56の一部である。領域57は、一定でない外径および/または一定でない外周を有する。領域57に対する調整リング59の位置は、この位置での領域57の外周を画定する。そうすることで、領域57の内断面、ひいては流れ断面と、端部開口部30の断面とが画定される。言い換えれば、遠位端部分16aの領域57は、長手方向Lにおける調整リング59と領域57との相対位置に応じて、長手方向Lに対して径方向に見てより大きくなるか、またはより小さくなる。
【0070】
この実施形態では、調整リング59は、筐体16上において長手方向Lに可動的に支持されるキャリア60上に配置される。例えば、キャリア60は、円筒状の支持部61上において長手方向Lに可動的に配置することができる。支持部61は、筐体16および/または筐体16に接続された追加の構成要素によって、少なくとも部分的に形成することができる。キャリア60の少なくとも一部は、長手方向Lを中心として周方向に支持部61を部分的にまたは完全に取り囲むことができる。
【0071】
長手方向のキャリア60の動き、ひいては長手方向Lの調整リング59の動きを制限するために、遠位端の方向に、停止部62を支持部61上に設けることができる。この実施形態では、キャリア60およびリング59の遠位方向の動きを制限する単一の停止部62が設けられる。さらに、または代替として、必要に応じて、近位方向の動きを制限するさらなる停止部を設けることができる。
図6に示す実施形態では、領域57が筐体16の変形不能部分、特に非弾性部分の位置で移行し、その結果、調整リング59はせいぜい筐体16の変形不能部分までしか動かすことができないことから、近位方向の動きが制限される。
【0072】
本発明は、手術用供給装置12に接続することができる電気外科器具11に関する。電気外科器具11は、遠位端に端部開口部30を有し、端部開口部30の領域において、交流電位を印加することができる少なくとも1つの電極25を支持する。電気外科器具11のライナ17は、端部開口部30に直接隣接するようにフローチャンバ31をライナ17内部に制限する。端部開口部30と距離をとって、洗浄チャネル32が出口開口部33を介してフローチャンバ31の方に開口し、吸引チャネル34が入口開口部35を介してフローチャンバ31の方に開口している。洗浄流体Fを、洗浄チャネル32を介してフローチャンバ31に導入することができ、吸引チャネル34を介して吸引によって抽出することができる。フローチャンバ31に流れ込む洗浄流体Fの大部分は、吸引チャネル34を介してフローチャンバ31から排出されるため、端部開口部30を介してフローチャンバ31から出ることができない。そうすることで、ライナ17内部に配置された導光デバイス40の入光面41をコンタミから有効に保護することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 電気外科デバイス
11 電気外科器具
12 供給装置
13 接続デバイス
14 接続要素
15 ライン
16 筐体
16a 筐体の遠位端部分
17 ライナ
17a ライナの遠位端部分
18 電圧源
19 洗浄流体源
20 吸引部
21 光分析部
25 電極
26 生体組織
27 対向電極
28 ハンドル
29 操作要素
30 端部開口部
31 フローチャンバ
32 洗浄チャネル
33 出口開口部
34 吸引チャネル
35 入口開口部
40 導光デバイス
41 入光面
45 ホース
46 管
47 電極支持部
48 導電体
49 内ホース
50 内管
51 障壁要素
52 スペーサ
55 センサ
56 調整デバイス
57 筐体の遠位端部分の領域
58 指
59 調整リング
60 キャリア
61 支持部
62 停止部
F 洗浄流体
L 長手方向
R 煙
SF 洗浄流体流
【外国語明細書】