(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067089
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】コンポーネントキャリア構造体を搬送するための、磁気ローラの選択的な駆動および別の磁気ローラの選択的な作動解除
(51)【国際特許分類】
B65G 23/18 20060101AFI20220422BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B65G23/18
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021170638
(22)【出願日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】202011120364.5
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520212406
【氏名又は名称】エーティーアンドエス (チョンチン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ハトレン リ
(72)【発明者】
【氏名】ペリー リウ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ユ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイブ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ソコル リ
【テーマコード(参考)】
3F021
【Fターム(参考)】
3F021AA05
3F021BA02
3F021CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動する、磁気駆動装置、構成体、方法に関する。
【解決手段】コンポーネントキャリア構造体を搬送するために複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するための磁気駆動装置であって、磁気駆動力によって、磁気ローラの選択された少なくとも1つを選択的に駆動するように構成された駆動機構と、磁気ローラの少なくとも1つの他の選択された1つを選択的に作動解除するように構成された作動解除機構とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントキャリア構造体を搬送するための複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するための磁気駆動装置であって、
磁気駆動力によって、前記複数の磁気ローラのうちの少なくとも1つの選択された磁気ローラを選択的に駆動するように構成された駆動機構と、
前記磁気ローラのうちの少なくとも1つの他の選択された磁気ローラを選択的に作動解除するように構成された作動解除機構と
を備える磁気駆動装置。
【請求項2】
前記駆動機構および前記作動解除機構が、同時に動作するように構成される、請求項1に記載の磁気駆動装置。
【請求項3】
前記駆動機構が、非接触方式で、前記少なくとも1つの選択された磁気ローラを作動させるように構成される、請求項1または2に記載の磁気駆動装置。
【請求項4】
前記作動解除機構が、非接触方式で、前記少なくとも1つの他の選択された磁気ローラを作動解除するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項5】
前記作動解除機構が、前記少なくとも1つの駆動された磁気ローラが間に位置する、前記磁気ローラのうちの他の少なくとも2つを選択的に作動解除するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項6】
前記作動解除機構が、前記少なくとも1つの駆動された磁気ローラに最も近く位置する残りの磁気ローラのサブセットのみを選択的に作動解除するように構成される、請求項5に記載の磁気駆動装置。
【請求項7】
前記作動解除機構が、
作動解除されるべき少なくとも1つの磁気ローラの駆動状態を示す情報を磁気的に検出するように構成された少なくとも1つの磁場センサを有し、
前記作動解除機構が、前記少なくとも1つの磁場センサのセンサ信号に基づいて、作動解除されるべき前記少なくとも1つの磁気ローラを磁気的に制御するように構成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁場センサが、前記複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つのすぐ隣に配置されるように構成される、請求項7に記載の磁気駆動装置。
【請求項9】
前記作動解除機構が、少なくとも1つの作動解除用電磁石をそれぞれに応じて制御することによって、作動解除されるべき前記少なくとも1つの磁気ローラを磁気的に制御するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項10】
前記駆動機構が、少なくとも1つの作動用電磁石をそれぞれに応じて制御することによって、駆動されるべき前記少なくとも1つの磁気ローラを磁気的に制御するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの作動用電磁石が、少なくとも2つの作動用電磁石を有することと、
前記少なくとも1つの作動用電磁石が、異なる空間的向きで配置された少なくとも2つの作動用電磁石を有することと、
前記少なくとも1つの作動用電磁石が、同心円に沿って配置された少なくとも3つの作動用電磁石を有することと
のうちの少なくとも1つの特徴を有する、請求項10に記載の磁気駆動装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの作動用電磁石が、3つの作動用電磁石を有することと、
前記少なくとも1つの作動用電磁石が、相互に傾斜したコイル軸線を用いて配置された少なくとも2つの作動用電磁石を有することと
のうちの少なくとも1つの特徴を有する、請求項11に記載の磁気駆動装置。
【請求項13】
前記駆動機構が、他の全ての磁気ローラを特定の時点で動かないままに保ちながら、前記特定の時点で、前記磁気ローラのうちの厳密に1つのみを選択的に駆動するように構成される、請求項1~12のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項14】
コンポーネントキャリア構造体を収容するためのコンテナのコンパートメントに、コンポーネントキャリア構造体を積載するように構成された積載ユニットを備える請求項1~13のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項15】
前記積載ユニットが、前記コンテナの前記コンパートメントに積載されるコンポーネントキャリア構造体を保持するための積載コンベアを有する、請求項14に記載の磁気駆動装置。
【請求項16】
前記積載ユニットが、前記コンテナの前記コンパートメントに積載されるコンポーネントキャリア構造体を保持するための積載ベルトと協働する少なくとも1つの積載ローラを有する、請求項15に記載の磁気駆動装置。
【請求項17】
コンポーネントキャリア構造体を収容するためのコンテナのコンパートメントから、コンポーネントキャリア構造体を荷下ろしするように構成された荷下ろしユニットを備える請求項1~16のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項18】
前記荷下ろしユニットが、前記コンテナの前記コンパートメントから荷下ろしされるべきコンポーネントキャリア構造体を受けるための荷下ろしコンベアを有する、請求項17に記載の磁気駆動装置。
【請求項19】
前記荷下ろしユニットが、前記コンテナの前記コンパートメントから荷下ろしされるべきコンポーネントキャリア構造体を受けるための荷下ろしベルトと協働する少なくとも1つの荷下ろしローラを有する、請求項18に記載の磁気駆動装置。
【請求項20】
前記磁気駆動装置が、複数のコンパートメントであって、各々がそれぞれのコンポーネントキャリア構造体を収容するためのものであり、各々が前記磁気ローラのうちの少なくとも1つを有する、複数のコンパートメントを有するコンテナに対して相対的に動くように構成される、請求項1~19のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項21】
前記磁気ローラのうちの隣接するもの同士の間に配置されるべき少なくとも1つの磁気遮蔽構造体を備える請求項1~20のいずれか1項に記載の磁気駆動装置。
【請求項22】
コンポーネントキャリア構造体を搬送するための構成体であって、
複数の磁気ローラと、
前記複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するための請求項1~21のいずれか1項に記載の磁気駆動装置と
を備える構成体。
【請求項23】
複数のコンパートメントであって、各々がそれぞれのコンポーネントキャリア構造体を収容するためのものであり、各々が前記磁気ローラのうちの少なくとも1つを有する、複数のコンパートメントを有するコンテナを備える請求項22に記載の構成体。
【請求項24】
前記磁気駆動装置が、それぞれのコンパートメントに割り当てられた少なくとも1つの磁気ローラを選択的に駆動し、および、少なくとも1つの隣接するコンパートメントに割り当てられた少なくとも1つの他の磁気ローラを作動解除する場合に、それぞれのコンポーネントキャリア構造体が、前記選択的に駆動された少なくとも1つの磁気ローラが割り当てられる前記コンパートメントの中に移動可能、または前記コンパートメントから外に移動可能であるように前記コンテナが構成される、請求項23に記載の構成体。
【請求項25】
前記磁気駆動装置および前記コンテナが、互いに対して相対的に動かされるように構成される、請求項23または24に記載の構成体。
【請求項26】
コンポーネントキャリア構造体を前記コンテナのコンパートメントに積載するための積載ユニット、および/または、コンポーネントキャリア構造体を一方にある前記コンテナおよび他方にある前記コンテナの前記コンパートメントからコンポーネントキャリア構造体を荷下ろしするための荷下ろしユニットは、互いに対して相対的に動かされるように構成される請求項23~25のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項27】
前記磁気駆動装置が、移動可能であるように構成され、前記コンテナが、動かないままであるように構成される、請求項23~26のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項28】
前記磁気駆動装置が、動かないままであるように構成され、前記コンテナが、移動可能であるように構成される、請求項23~27のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項29】
請求項1~21のいずれか1項に記載の更なる磁気駆動装置を備え、コンテナの少なくとも一部が、前記磁気駆動装置と前記更なる磁気駆動装置との間に配置される、請求項22~28のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項30】
一方にある前記磁気駆動装置、および他方にある前記コンテナが、互いに対して相対的に動かされるように構成される、請求項29に記載の構成体。
【請求項31】
前記磁気駆動装置が、互いに対して相対的に動かされるように構成される、請求項29または30に記載の構成体。
【請求項32】
前記複数のコンパートメントのうちの少なくとも1つが、コンベアによって前記コンポーネントキャリア構造体を動かすための前記コンベアを備える、請求項23~31のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項33】
前記複数のコンパートメントのうちの少なくとも1つが、ベルト上で前記コンポーネントキャリア構造体を動かすための前記コンパートメントに割り当てられた前記磁気ローラのうちの少なくとも1つの上に設置された前記ベルトを備える、請求項32に記載の構成体。
【請求項34】
前記磁気ローラが、磁性材料を備え、または磁性材料で構成される、請求項22~33のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項35】
前記磁気ローラが、永久磁性材料を備え、または永久磁性材料で構成される、請求項34に記載の構成体。
【請求項36】
前記磁気ローラの隣接するもの同士の間に、配置された、または配置される少なくとも1つの磁気遮蔽構造体を備える、請求項22~35のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項37】
少なくとも1つの磁気遮蔽構造体が、前記磁気ローラのうちの隣接するもの同士の間に、配置された前記磁気駆動装置、または配置される前記磁気駆動装置の一部を形成する、請求項22に記載の構成体。
【請求項38】
前記磁気駆動装置が、上方向または下方向に個々に移動可能である、請求項22~36のいずれか1項に記載の構成体。
【請求項39】
コンポーネントキャリア構造体を搬送するための複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動する方法であって、
磁気駆動力によって、前記複数の磁気ローラのうちの少なくとも1つ選択されたものを選択的に駆動する段階と、
特に同時に、前記複数の磁気ローラのうちの少なくとも1つの他の選択されたものを選択的に作動解除する段階と
を備える方法。
【請求項40】
前記方法は、コンテナの複数のコンパートメントの各々において複数のコンポーネントキャリア構造体を取り扱うための前記複数の磁気ローラを駆動または作動解除する段階を備える請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、パネルおよび特に、プリント回路基板もしくは集積回路基板またはこれらのプリフォームのコンポーネントキャリアのアレイから成る群のうちの1つを、前記コンポーネントキャリア構造体として取り扱う段階を備える、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、ベルトと協働する前記複数の磁気ローラおよび磁気ローラのベルトなしアレイ、特にベルトなしマトリックスの少なくとも1つから成る群の1つによって、前記コンポーネントキャリア構造体を搬送する段階を備える請求項39~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法は、前記ベルトなしアレイにおける共通の支持構造体上に複数の磁気駆動装置を設置する段階を備える請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動する、磁気駆動装置、構成体、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1または複数の電子部品を備えるコンポーネントキャリアの製品機能性が向上しているという文脈、およびかかる部品が更に小型化しているという文脈、ならびにプリント回路基板などのコンポーネントキャリアに接続される部品の数が増大しているという文脈において、いくつかの部品を有するますますより強力なアレイ状の部品またはパッケージが用いられ、これらは、複数の接点または接続を有し、これらの接点同士の間の更に小さな間隔を有する。特に、コンポーネントキャリアは、機械的に強固で電気的に信頼できて、厳しい条件下でも動作可能でなくてはならない。
【0003】
プリント回路基板などのコンポーネントキャリアは通常、パネルのレベルで製造され、製造プロセスを完了した後に個別化される場合がある。製造プロセスの間、パネル、アレイ、または他のコンポーネントキャリア構造体は、例えば、異なる製造段階の間を搬送されるために、取り扱われる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
製造中にコンポーネントキャリア構造体を効率的に取り扱うニーズがある場合がある。
【0005】
本発明の例示的な実施形態によれば、コンポーネントキャリア構造体を搬送するための(特に、長手方向に沿って、コンポーネントキャリア構造体を搬送するための)複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するための磁気駆動装置であって、(特に、磁気駆動力により、駆動された少なくとも1つの磁気ローラによって、コンポーネントキャリア構造体を搬送するための)磁気駆動力によって、磁気ローラのうちの少なくとも1つ選択されたものを選択的に(および好ましくは、アクティブに)駆動するように(特に、回転するように)構成された駆動機構と、磁気ローラのうちの少なくとも1つの他の選択された1つを選択的に(および好ましくは、アクティブに)作動解除するように(特に、回転しないように)構成された作動解除機構とを備える、磁気駆動装置が提供される。
【0006】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するための(特に、複数の磁気ローラのそれぞれの他の1つを選択的に作動解除するための)前述の特徴を有する複数の磁気ローラおよび磁気駆動装置を備える構成体が提供される。
【0007】
本発明の更に別の例示的な実施形態によれば、コンポーネントキャリア構造体を搬送するための複数の磁気ローラのうちのそれぞれの1つを選択的に駆動する方法であって、磁気駆動力によって、磁気ローラのうちの少なくとも1つ選択されたものを選択的に駆動する段階と、(例えば、部分的に同時に、または完全に同時に、)磁気ローラのうちの少なくとも1つの他の選択されたものを選択的に作動解除する段階とを含む方法が提供される。
【0008】
本願の文脈では、「コンポーネントキャリア」という用語は、機械的支持および/または電気的接続を提供するために、支持構造体の上および/または中に1または複数の部品を収容することが可能である、任意の支持構造体を特に示してもよい。換言すれば、コンポーネントキャリアは、部品のための機械的保持体および/または電子的保持体として構成されてもよい。特に、コンポーネントキャリアは、プリント回路基板、インターポーザー、IC(集積回路)基板のうちの1つであってもよい。コンポーネントキャリアはまた、コンポーネントキャリアの前述のタイプの異なるものを組み合わせるハイブリッド基板であってもよい。
【0009】
本願の文脈では、「コンポーネントキャリア構造体」という用語は、現在製造されるコンポーネントキャリアのプリフォームを特に示してもよい。特に、コンポーネントキャリア構造体は、個別化される前のバッチプロセスにおいて製造されてもよい、複数の更に一体的に接続された、コンポーネントキャリア、またはコンポーネントキャリアのプリフォームを備えてもよい。特に、コンポーネントキャリア構造体は、(例えば、18インチ×24インチ、またそれよりも大きい寸法を有する)パネル、または(例えば、現在製造される6つのコンポーネントキャリアの)アレイであってもよい。例えば、製造されるコンポーネントキャリアは、プリント回路基板またはIC基板であってもよい。
【0010】
本願の文脈では、「磁気駆動装置」という用語は、磁力の影響下で磁気ローラを動かしてコンポーネントキャリア構造体を連動して移動させるように(特に、回転するように)制御することによって、コンポーネントキャリア構造体を(特に、長手方向に)機械的に動かすためにトリガするように構成された装置を特に示してもよい。この目的のために、磁気駆動装置は、上記磁気ローラを駆動するために磁気ローラに作用する磁気駆動力を生成してもよい。
【0011】
本願の文脈では、「駆動機構」という用語は、結果として搬送されるコンポーネントキャリア構造体を共に搬送する専用の磁気ローラを機械的に動かすため、特に回転させるための磁気駆動力を、制御可能な方法でアクティブに生成する磁気駆動装置のエンティティを特に示してもよい。
【0012】
本願の文脈では、「作動解除機構」という用語は、例えば作動解除の力を生成することによって、専用の磁気ローラが動くことを、制御可能な方法でアクティブに防止する磁気駆動装置の別のエンティティを特に示してもよい。例えば、作動解除機構は、現在アクティブでない磁気ローラが動くこと、特に回転することを不能にされることを確実にしてもよい。
【0013】
本願の文脈では、「磁気ローラ」という用語は、磁気駆動装置によって作用された磁気駆動力の影響下で動くため、特に回転するために制御可能であるように構成される磁性材料を備えてもよい、移動可能、特に回転可能な(特に、円筒状の)物体を特に示してもよい。更に、磁気ローラは、磁気駆動力の影響下で動くこと、特に回転することができるように(例えば、細長いロールとして、または共通のシャフトによって接続されてもよい1または複数のホイールのアレイとして)成形されてもよい。更に、磁気ローラは、磁気ローラが回転すると、コンポーネントキャリア構造体を動かすように構成されてもよい。説明すると、磁気ローラは、磁気ローラが動くとコンポーネントキャリア構造体を動かすために、従動子として機能するように構成されてもよい。ローラのセットの各磁気ローラは、他の磁気ローラから個々に独立して移動可能で制御可能であってもよい。
【0014】
本発明の例示的な実施形態によれば、非常に選択的にまたは制御可能に、(例えば、ラックに格納されている)コンポーネントキャリア構造体を個々に動かすために個々に移動可能である複数の(例えば、平行に配置された)磁気ローラを備えてもよい、磁気ドライブ機構が提供されてもよい。より詳細には、磁気ドライブ機構は、他の磁気ローラが回転しないためにアクティブに制御されてもよい一方で、ある特定の時点、または所定の時点で、(上記時点で駆動されるコンポーネントキャリア構造体と接続されてもよい)1つの磁気ローラをアクティブに回転するように構成されてもよい。この策を取ることによって、例えばラック等のコンテナに格納またはバッファされた個別のコンポーネントキャリア構造体の個別で、適切に制御可能で、正確な動きが、漂遊磁場等に起因する他の磁気ローラの(したがって、他のコンポーネントキャリア構造体の)望ましくない動きのリスクなしに可能にすることができる。このことは、現在アクティブでない磁気ローラを作動解除するようにアクティブに動作する専用の作動解除機構を提供することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、磁気駆動装置、磁気ローラ、複数のコンパートメントを有するコンテナを有する構成体を示す。
【
図2】
図1の磁気駆動装置の作動解除機構の詳細を示す。
【
図3】
図1の磁気駆動装置の駆動機構の詳細を示す。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、構成体の異なる動作状態を示す。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による、構成体の異なる動作状態を示す。
【
図6】本発明の更に別の例示的な実施形態による、コンテナおよび2つの磁気駆動装置を有する構成体を示す。
【
図7】本発明の更に別の例示的な実施形態による、コンポーネントキャリア構造体を動かすための、磁気ローラのベルトなしマトリックスを有する構成体を示す。 図における図示は概略的なものである。異なる図では、類似の素子または同一の素子は、同じ参照符号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
以下において、磁気駆動装置、構成体、および方法の更なる例示的な実施形態を説明する。
【0017】
一実施形態では、駆動機構および作動解除機構は、同時に動作するように構成される。換言すれば、作動解除機構が別の磁気ローラが回転することをアクティブに防止している間、駆動機構は、1つの磁気ローラを回転させることができる。これにより、所定の時点において、現在作動されている磁気ローラと機械的に接続されたコンポーネントキャリア構造体の1つのみが動かされる一方で、1または複数の現在作動解除されている磁気ローラに機械的に接続されている他のコンポーネントキャリア構造体は動かないままでいることができることが確実になる。
【0018】
しかしながら、駆動機構および作動解除機構は、必ずしも同時に動作するように構成されていなくてもよい。1つのシナリオでは、例えば、駆動部における上部作動解除機構がアクティブにならずに、上部ローラを駆動することが可能である。同様に、底部ローラを駆動するために、底部作動解除機構がアクティブになっていなくてもよい。
【0019】
一実施形態では、駆動機構は、非接触方式、すなわち、直接的な物理的接触なしに、現在駆動されている磁気ローラを作動させるように構成される。この構成に応じて、作動解除機構は、非接触方式、すなわち、直接的な物理的接触なしに、現在作動解除されている磁気ローラを作動解除させるように構成されてもよい。特に、駆動機構から、作動された磁気ローラへの動力伝達、および/または作動解除機構から、作動解除された磁気ローラへの動力伝達は、純粋に磁気的な性質のものであってもよい。これにより、制御が簡素化され、摩擦等を防止することによって摩耗が回避される。
【0020】
一実施形態では、間に少なくとも1つの駆動された磁気ローラが位置する、磁気ローラのうちの少なくとも他の2つを選択的に作動解除するように、作動解除機構は構成される。例えば、磁気ローラが直線または軸線に沿って配置され、磁気駆動装置が磁気ローラの配置線または配置軸に沿って動くとき、駆動機構に最も近く位置する磁気ローラを駆動するための駆動機構によって生成された作動用磁力はまた、意図せずに、漂遊磁場を作り出し、漂遊磁場また、意図せずに、隣接する磁気ローラを動かす場合がある。しかしながら、迷磁場が現在作動解除されていなくてはならない隣接する磁気ローラも人工的に動かすことがないことを確実にするように作動解除機構を構成することによって、上記隣接する磁気ローラの望ましくない動きは、有利に抑制され得る。
【0021】
一実施形態では、作動解除機構は、少なくとも1つの駆動された磁気ローラに最も近く位置する残りの磁気ローラのサブセットのみを選択的に作動解除するように構成される。換言すれば、作動解除機構は、現在アクティブに作動された磁気ローラに最も近く位置する2つの(または、より多い数の)他の磁気ローラのみをアクティブに作動解除してもよい。現在回転してはならない、上記空間的に最も近い磁気ローラは、駆動機構によって作り出された漂遊磁場、および/または現在回転させる磁気ローラを駆動させる現在駆動されている磁気ローラによって作り出された漂遊磁場に起因して、意図しない回転が最も生じやすい。磁力はより長い距離では弱くなるので、上記人工漂遊磁場は、更なるリモート磁気ローラに対して、外乱を発生させることはより少なくなる。したがって、磁気駆動装置は、現在駆動されている磁気ローラに最も近く位置する2つのみの(または、事前決定されたより多い数の)磁気ローラの回転をアクティブに作動解除するように構成されてもよい。更なるリモート磁気ローラは、アイドリング状態に維持されてもよく、アイドリング状態において、更なるリモート磁気ローラは、アクティブに駆動されておらず、アクティブに作動解除されてもいないが、1または複数の現在作動されている磁気ローラに対して十分長い距離があることを考慮すると、回転することはない。磁気ローラの残りを(磁気ローラの残りが、アクティブに駆動されておらず、アクティブに作動解除されてもいない)アイドリング状態に保ちながら、少なくとも1つの現在駆動されている磁気ローラに最も近く位置する残りの磁気ローラのサブセットのみをアクティブに作動解除するこの設計ルールによって、制御努力が少量に保たれ、磁気駆動装置が小型に保たれる。
【0022】
一実施形態では、作動解除機構は、作動解除されるローラの駆動状態を示す情報を磁気的に検出するように構成された1または複数の磁場センサを備える。かかる磁場センサはまた、磁場センサのセンサ信号に基づいて、作動解除されるローラを磁気的に制御するように構成されてもよい。説明すると、かかる磁場センサは、磁気ローラが現在作動解除されているべきであるにもかかわらず意図せずに動くときに作り出される磁場を検出してもよい。例えば、かかる磁気測定は、ネガティブフィードバック測定として構成されてもよい。入力における変化によって引き起こされていても、または他の外乱によって引き起こされていても、出力におけるばらつきを低減する傾向にあるように、現在作動解除されている磁気ローラの磁気出力がフィードバックを受けると、ネガティブフィードバックまたはバランスフィードバックが生じてもよい。かかる制御方式は、1または複数の現在作動解除されている磁気ローラが実際には動かないままであることを効率的に確実にすることができる。
【0023】
一実施形態では、磁場センサは、ホール効果センサである。ホール効果センサでは、金属のストリップは、金属のストリップに沿って加えられた電流を有してもよい。検出する磁場があると、金属ストリップにおける電子は、1つの縁部に対して偏向され、ストリップの短い面にわたって、および供給電流に対して垂直に、電圧傾斜を発生させてもよい。ホール効果センサは、高精度、および簡素で小型の構造という利点を有する。
【0024】
一実施形態では、駆動機構は、少なくとも1つの作動用電磁石をそれぞれに応じて制御することによって、駆動されるローラを磁気的に制御するように構成される。それに応じて、作動解除機構は、作動解除用電磁石をそれぞれに応じて制御することによって、作動解除されるローラを磁気的に制御するように構成されてもよい。電磁石は、磁場が電流によって発生する磁石として示されてもよい。電磁石は、コイルになるように巻き付けられたワイヤを備えてもよい。ワイヤを通る電流は、コイルの中心に集中する磁場を作り出す。磁場は、電流が切られると、消える。故に、電磁石は、コイルを備えるような構成であってもよく、コイルに対して、制御可能な振幅および方向の、時間依存の磁場を生成するために、電磁石をトリガするために、電流または電圧が加えられてもよい。したがって、作動用電磁石は、現在作動されている磁気ローラを回転させるために磁場を作り出してもよい。この磁場に応じて、1または複数の作動解除電磁石は、現在作動解除されている磁気ローラが回転することを防止するために磁場を作り出してもよい。特に、1または複数の作動解除電磁石は、漂遊磁場を部分的にまたは全体的に相殺してもよく、漂遊磁場は、作動用電磁石および/または作動された磁気ローラによって生成されてもよく、現在作動解除用電磁石に対して意図せず作用する場合がある。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの作動用電磁石は、少なくとも2つの作動用電磁石、特に厳密に3つの作動用電磁石を備える。複数の作動用電磁石を提供することによって、作動される磁気ローラを作動させる磁場の空間的な力の分布を微調整することが可能になり、および/または(現在作動解除されていなくてはならない)隣接する磁気ローラに作用する浮遊磁場を効率的に抑制することが可能になってもよい。
【0026】
一実施形態では、少なくとも1つの作動用電磁石は、共通の円に沿って配置された引力の中心点を有する少なくとも3つの作動用電磁石を備える。換言すれば、少なくとも3つの作動用電磁石は、同心円に向いた方向に配置されてもよい。特に、上記少なくとも3つ(特に、厳密に3つ)の作動用電磁石は、部分的な円形の角度範囲内に配置された同心円に沿って配置されてもよく、部分的な円形の角度範囲は、10°~60°の間であってもよく、より詳細には、15°~30°の間であってもよい。
【0027】
一実施形態では、駆動機構は、他の磁気ローラ全てを静的に保ちながら、ある特定の時点で、磁気ローラのうちの厳密に1つのみを選択的に駆動するように構成される。故に、所定の時点では、1つの磁気ローラのみが駆動されてもよい。これにより、各々がそれぞれの磁気ローラに割り当てられる、複数のコンポーネントキャリア構造体のうちのどれが現在動かされなくてはならないかを厳密に定義が可能になる。
【0028】
一実施形態では、ローラは、磁性材料、特に永久磁性材料を備え、または、磁性材料、特に永久磁性材料で構成される。永久磁石は、磁化された材料から製造された物体であって、物体自体の永続的な磁場を作り出す物体を示してもよい。かかる永久磁性材料の磁気ローラを構成すると、磁気ローラの純粋に受動的であるので簡易的な動作が可能である。なぜなら、かかる磁気ローラは、駆動機構および作動解除機構を動作させることを別にして、アクティブな制御を必要としないからである。故に、作動機構および作動解除機構のみが、かかる状況下において、制御を必要としてもよい。
【0029】
一実施形態では、磁気駆動装置は、隣接するローラによる望ましくない影響、および/または、駆動機構および/または作動解除機構による現在望ましくない影響からそれぞれの磁気ローラを磁気的に遮蔽するために、ローラの隣接するローラ同士の間に配置された磁気遮蔽構造体を備える。かかる磁気遮蔽構造体は、金属材料、または好ましくは磁性材料から製造されもよく、浮遊磁場等の結果としての、現在作動解除されている磁気ローラの望ましくない動きを防止するために、環境からの磁気的な影響に対して割り当てられた磁気ローラを遮蔽してもよい。
【0030】
一実施形態では、構成体は、複数のコンパートメントであって、各々がそれぞれのコンポーネントキャリア構造体を収容し、各々がローラの少なくとも1つを備えるための複数のコンパートメントを有するバッファコンテナを備える。例えば、かかるコンテナは、異なる鉛直方向の高さでの異なるコンパートメントを有するラックであってもよく、コンパートメントの各々は、(パネルなどの)それぞれのコンポーネントキャリア構造体を収容するように構成されている。各コンパートメントは、対応するコンポーネントキャリア構造体をコンパートメントの中に動かし、またはコンパートメントの中から外に動かすための磁気ローラの1または複数を備えてもよい。更に、上記磁気ローラの各々は、作動された磁気ローラの回転が、割り当てられたベルトまたは他の種類のコンベアの動きをもたらしてもよいように、それぞれのベルト等を用いて接続されてもよい。それぞれのコンポーネントキャリア構造体がそれぞれのベルト上に配置されると、上記コンポーネントキャリア構造体は、作動されると、対応する磁気ローラによって動かされてもよい。
【0031】
一実施形態では、磁気駆動装置が、それぞれのコンパートメントに割り当てられた少なくとも1つのローラを選択的に駆動し、少なくとも1つの隣接するコンパートメントに割り当てられた少なくとも1つのローラを作動解除すると、それぞれのコンポーネントキャリア構造体が、選択的に駆動された少なくとも1つのローラが割り当てられるコンパートメントの中に移動可能、またはコンパートメントの中から外に移動可能であるようにコンテナは構成される。換言すれば、コンパートメントの割り当てられた1つのみを選択的に制御して、対応するコンポーネントキャリア構造体をコンパートメントの中に動かし、またはコンパートメントの中から外に動かすことが可能であってもよい。全ての他のコンパートメントは、磁気駆動装置によって作動解除されてもよく、特に、割り当てられた磁気ローラのうちの少なくとも一部をそれぞれに応じて作動解除することによって、作動解除されてもよい。
【0032】
一実施形態では、磁気駆動装置およびコンテナは、互いに対して相対的に動かされるように構成される。かかる相対運動の間、磁気駆動装置は、選択可能なコンパートメントおよび割り当てられた磁気ローラと空間的にすぐ近くに移されてもよく、それにより、どのコンパートメント、およびどの割り当てられたコンポーネントキャリア構造体が動かされなくてはならず、または動作させられなくてはならないかを定義してもよい。
【0033】
一実施形態では、一方である 、コンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントに積載するための積載ユニット、および/またはコンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントから荷下ろしするための荷下ろしユニットと、他方であるコンテナとは、互いに対して相対的に動かされるように構成される。これにより、単一の積載ユニット/荷下ろしユニットを有する複数のコンテナを取り扱うことが可能になってもよい。
【0034】
一実施形態では、磁気駆動装置は移動可能であるように構成され、コンテナは動かないように構成される。かかる一実施形態では有利である場合がある。なぜなら、磁気駆動装置が、小型で軽量に構成されてもよく、多数のコンパートメントを有する更に大きなコンテナまたはラックを支持するためにアクティブに動かされる必要がある唯一の部品であってもよいからである。
【0035】
他の実施形態では、しかしながら、磁気駆動装置が動かないように構成され、コンテナが移動可能であるように構成されることも可能であってもよい。かかる一実施形態では、以下で説明するように、磁気駆動装置が(その後動かないように保たれることができる、)積載ユニットおよび/または荷下ろしユニットを備えられる場合、特に好ましい場合がある。
【0036】
一実施形態では、磁気駆動装置は、コンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントに積載するように構成された積載ユニットを備える。追加的にまたは代替的に、磁気駆動装置は、コンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントから荷下ろしするように構成された荷下ろしユニットを備えてもよい。故に、例えば、磁気駆動装置が、コンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントに積載するための積載ユニットと、コンポーネントキャリア構造体をコンテナのコンパートメントから荷下ろしするための荷下ろしユニットとを備えることが可能であってもよい。積載ユニットは、コンテナの特定のコンパートメントの、ベルト、または別のタイプのコンベアに積載されるコンポーネントキャリア構造体を保持してもよい積載ベルトなどの積載コンベアを備えてもよい。このことに応じて、荷下ろしユニットは、荷下ろしベルトなどの荷下ろしコンベアを備えてもよく、これらは、特定のコンパートメントから荷下ろしユニットに上記コンポーネントキャリア構造体を荷下ろしするために、コンポーネントキャリア構造体が配置されてもよい。駆動機構、作動解除機構、積載ユニット、および/または荷下ろしユニットは、このように、全体として動かないままであることができる磁気駆動装置を構成してもよく、一方で、コンテナは、磁気駆動装置に対して相対的に動いてもよい。コンテナの特定のコンパートメントは、積載ユニットおよび/または荷下ろしユニットと位置合わせすると、駆動機構は、積載ユニットから上記コンパートメントにコンポーネントキャリア構造体を積載するために、または上記コンパートメントから荷下ろしユニットにコンポーネントキャリア構造体を荷降ろしするために動作させられてもよい。
【0037】
更に別の実施形態では、磁気駆動装置およびコンテナは両方、移動可能になるように構成されてもよい。
【0038】
一実施形態では、構成体は、前述の特徴を有する更なる磁気駆動装置を備え、コンテナの少なくとも一部が、磁気駆動装置と更なる磁気駆動装置との間に配置される。例えば、第1の磁気駆動装置は、コンテナの1つの側面上で動作してもよく、第2の磁気駆動装置が、コンテナの反対側の他の側面上で動作してもよい。かかる一実施形態では、1つの磁気駆動装置は、(例えば、前述の特徴を有する)積載ユニットを備えられてもよく、更なる磁気駆動装置は、(例えば、前述の特徴を有する)荷下ろしユニットを備えられてもよい。磁気駆動装置とコンテナとの間の相対運動は、積載ユニットからコンテナの特定のコンパートメントにコンポーネントキャリア構造体を積載するために、実行されてもよい。更なる磁気駆動装置とコンテナとの間の相対運動が、コンテナの特定のコンパートメントから荷下ろしユニットにコンポーネントキャリア構造体を荷下ろしするために実行され得ることも可能である。
【0039】
一実施形態では、一方である駆動装置、および他方であるコンテナは、互いに対して相対的に動かされるように構成される。この構成によって、コンポーネントキャリア構造体を積載するためのコンパートメント、および/またはコンポーネントキャリア構造体を荷下ろしするためのコンパートメントを選択することが可能になる。
【0040】
一実施形態では、磁気駆動装置は、互いに対して相対的に動かされるように構成される。この構成によって、第1のコンパートメントでの積載動作、および第2のコンパートメントでの荷下ろし動作を同時に実行することが可能になってもよい。
【0041】
一実施形態では、コンパートメントのうちの少なくとも1つは、コンベアによって特にベルト上でコンポーネントキャリア構造体を動かすための、コンベア、特に上記コンパートメントに割り当てられた磁気ローラのうちの少なくとも1つの上に設置されたベルトを備える。かかるベルトタイプコンベア、または他の種類のコンベアは、パネルなどの割り当てられたコンポーネントキャリア構造体を保持するように構成されてもよい(特に、形状および寸法を有してもよい)。
【0042】
一実施形態では、コンパートメントのうちの少なくとも1つにおいて、上記コンパートメントに割り当てられた少なくとも1つのローラは、直接的な物理的接触を用いて、部品保持構造体を動かすように構成されてもよい。換言すれば、コンポーネントキャリア構造体は、コンパートメントの、ベルトなどのコンベア上に直接配置されてもよい。
【0043】
一実施形態では、方法は、コンテナの複数のコンパートメントの各々において複数のコンポーネントキャリア構造体を取り扱ための磁気ローラを駆動または作動解除する段階を含む。単一の磁気駆動装置または、磁気駆動装置のペアは、現在動作が行われているコンパートメントに対して相対的な、それぞれの磁気駆動装置の単なる動きによって、コンテナの複数のコンパートメントを効率的に動作させるために十分である場合がある。
【0044】
一実施形態では、方法は、ベルトと協働する少なくとも1つの磁気ローラによって、コンポーネントキャリア構造体を搬送する段階を含む(例えば、
図1~
図6を参照)。あるいは、コンポーネントキャリア構造体は、磁気ローラのベルトなしアレイ(特に、マトリックス)によって搬送されてもよい(例えば、
図7を参照)。換言すれば、搬送機構は、磁気ローラおよびベルトから構成される、または磁気ローラのみから構成される1もしくは複数のコンベアを使用してもよい。
【0045】
一実施形態では、方法は、ベルトなしアレイにおける共通の支持構造体上に、磁気駆動装置を設置する段階を含む。ベルトなしマトリックスに対して、支持構造体は、少なくとも2つの駆動装置が同じ高さにあるままであることを確実にするために、有利である。ベルトがあると、駆動装置が1つでも可能であるが、ベルトなしマトリックスについては、少なくとも2つの駆動部が好ましい。
【0046】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造体は、少なくとも1つの電気絶縁層構造体のスタック、および/または少なくとも1つ導電層構造体を備える。例えば、コンポーネントキャリア構造体は、特に、機械的圧力および/または熱エネルギーを加えることによって形成される、前述の電気絶縁層構造体および前述の導電層構造体の積層であってもよい。前述のスタックは、更なる部品のための大きな設置面を提供することができるにもかかわらず、非常に薄く小型であることが可能である板状コンポーネントキャリアを提供してもよい。
【0047】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造体はプレートとして成形される。この形状は、小型の設計に貢献し、小型の設計にもかかわらず、コンポーネントキャリアが上に部品を設置する大きな基礎を提供する。更に、特に、埋め込まれた電子部品に関する例として、裸の状態のダイは、その薄さのおかげで、プリント回路基板などの薄いプレートの中に簡便に埋め込まれ得る。
【0048】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造体から個別化されたコンポーネントキャリアは、プリント回路基板、基板(特に、IC基板)、およびインターポーザーで構成される群の1つとして構成される。
【0049】
本願の文脈では、「プリント回路基板」(PCB)という用語は、いくつかの電気絶縁層構造体を有するいくつかの導電層構造体を、例えば圧力を加えることおよび/または熱エネルギーの供給によって積層することによって形成される板状コンポーネントキャリアを特に示してもよい。PCB技術のために好ましい材料として、導電層構造体は銅で製造され、電気絶縁層構造体は、プリプレグ材料またはFR4材料と呼ばれる、樹脂および/またはガラスファイバを含んでもよい。様々な導電層構造体は、積層を通る貫通孔を形成することによって、所望の方式で互いに接続されてもよく、例えばレーザードリルまたは機械ドリルによって、貫通孔を導電性材料(特に、銅)で充填して、充填することによって貫通孔接続としてビアを形成することによって、接続されてもよい。プリント回路基板に埋め込まれてもよい1または複数の部品を別にして、プリント回路基板は通常、プレート状プリント回路基板の1つの表面、または両方の反対側にある表面上に1または複数の部品を収容するように構成される。部品は、それぞれの主面に接続はんだ付けによって接続されてもよい。PCBの誘電体部分は、強化繊維を有する樹脂(ガラスファイバなど)で構成されていてもよい。
【0050】
本願の文脈では、「基板」という用語は、小さいコンポーネントキャリアを特に示してもよい。基板は、PCBとの関連において、同程度に小さいコンポーネントキャリアであってもよく、コンポーネントキャリアは、その上に1または複数の部品が設置されてもよく、1または複数のチップと更なるPCBとの間の接続媒体として機能してもよい。例えば、基板は、基板の上に設置される部品(特に、電子部品)と実質的に同じサイズを有していてもよい(例えば、チップスケールパッケージ(CSP)の場合)。より詳細には、基板は、電気的接続または電気的ネットワーク、ならびにプリント回路基板(PCB)に相当するコンポーネントキャリアのための保持体でありながら、側方および/または鉛直方向に配置された接続部を大幅により高い密度で有する保持体として理解することができる。側方接続部は、例えば導電路である一方、鉛直方向接続部は、例えば、ドリル孔であってもよい。これらの側方接続部および/または鉛直方向接続部は、基板内に配置され、プリント回路基板または中間プリント回路基板を用いて、収容された部品または(ベアダイなどの)収容されていない部品、特にICチップの、電気的接続、熱的接続、および/または機械的接続を提供するために使用され得る。したがって、「基板」という用語はまた、「IC基板」も含む。基板の誘電体部分は、(強化スフィア、特にガラス球などの)強化粒子を有する樹脂で構成されてもよい。
【0051】
基板またはインターポーザーは、ガラス、シリコン(Si)、またはエポキシ系ビルドアップ材料(エポキシ系ビルドアップフィルムなどの)もしくはポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、もしくはベンゾシクロブテン官能化ポリマー等のポリマー化合物のような写真感光材料もしくはドライエッチング可能な有機材料の層を少なくとも備えてもよく、または、これらで構成されてもよい。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1つの電気絶縁層構造体は、(強化樹脂または非強化樹脂、例えばエポキシ樹脂またはビスマレイミドトリアジン樹脂などの)樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリフェニレン誘導体、ガラス(特に、ガラスファイバ、複層ガラス、ガラス様材料)、(FR-4またはFR-5などの)プリプレグ材料、ポリイミド、ポリアミド、液晶性ポリマー(LCP)、エポキシ系ビルドアップフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン(登録商標))、セラミック、金属酸化物で構成される群のうちの少なくとも1つを備える。また、例えばガラス(複層ガラス)で製造されたウェブ、ファイバ、または球体などの強化構造体が使用されてもよい。プリプレグ、特にFR4は通常、硬質のPCBにとって好ましいが、他の材料、特にエポキシ系ビルドアップフィルムまたは写真感光誘電材料が使用されてもよい。高周波応用形態では、ポリテトラフルオロエチレン、液晶性ポリマー、および/またはシアネートエステル樹脂、低温同時焼成セラミックス(LTCC)、または他の、低誘電材料、超低誘電材料などの高周波材料は、電気絶縁層構造体としてコンポーネントキャリアにおいて実装されてもよい。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの導電層構造体は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、パラジウム、およびタングステンで構成される群のうちの少なくとも1つを備える。銅が通常好ましいが、他の材料、または他の材料のコーティングされたものも可能であり、特に、グラフェンなどの超電導材料を用いてコーティングされたものも可能である。
【0054】
スタックに埋め込こまれ得、および/またはスタックに表面設置され得る、少なくとも1つの部品は、非導電性インレイ、導電性インレイ(金属インレイ、好ましくは銅またはアルミニウムを含む金属インレイ)、伝熱ユニット(例えば、ヒートパイプ)、導光素子(例えば、光導波路、導光体接続)、光学素子(例えば、レンズ)、電子部品またはそれらの組み合わせで構成される群から選択され得る。例えば、部品は、能動電子部品、受動電子部品、電子チップ記憶装置(例えば、DRAMまたは別のデータメモリ)、フィルタ、集積回路、信号処理部品、電力管理部品、光エレクトロニクスインタフェース素子、発光ダイオード、フォトカプラ、電圧変換器(例えば、DC/DCコンバータまたはAC/DCコンバータ)、暗号部品、送信器および/または受信器、電気機械トランスデューサ、センサ、アクチュエータ、微小電気機械システム(MEMS)、マイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、バッテリー、スイッチ、カメラ、アンテナ、論理チップ、およびエネルギーハーベスティングユニットであり得る。しかしながら、他の部品は、コンポーネントキャリアに埋め込まれてもよい。例えば、磁性素子は、部品として使用され得る。かかる磁性素子は、(強磁性素子、反強磁性素子、マルチフェロイック素子、または例えばフェライトコアなどのフェリ磁性素子などの)永久磁性素子であってもよく、常磁性素子であってもよい。しかしながら、部品はまた、例えばボードインボード構成である、基板、インターポーザー、または更なるコンポーネントキャリアであってもよい。
【0055】
一実施形態では、コンポーネントキャリア構造体は、積層タイプコンポーネントキャリア構造体である。かかる一実施形態では、コンポーネントキャリア構造体は、押圧および/または熱を加えることによって積層され共に接続される多層構造体の複合体である。
【0056】
コンポーネントキャリア構造体の内部層構造を処理した後、1または複数の更なる電気絶縁層構造体および/または導電層構造体を対照的にまたは非対称的に有する、処理された層構造体1つまたは両方の反対側にある主面を(特にラミネーションによって)被覆することが可能である。換言すれば、ビルドアップは、所望の数の層が得られるまで継続されてもよい。
【0057】
電気絶縁層構造体および導電層構造体のスタックの作成を完了した後、得られた層構造体またはコンポーネントキャリアの表面処理を進めることが可能である。
【0058】
特に、電気絶縁ソルダーレジストは、表面処理の観点から、層スタックまたはコンポーネントキャリアの1つまたは両方の反対側にある主面に付加されてもよい。例えば、主面全体上のソルダーレジストなど形成することが可能であり、およびソルダーレジストの層をその後パターン付けして、コンポーネントキャリアを電子周辺部に電気的に結合するために使用してもよい1または複数の導電面部を露出することが可能である。ソルダーレジストで被覆されたままであるコンポーネントキャリアの表面部は、酸化または腐食、特に銅を含む表面部に対して効率的に保護してもよい。
【0059】
表面処理の観点から、コンポーネントキャリアの導電面部を露出するために、表面仕上げを選択的に付加することも可能である。かかる表面仕上げは、コンポーネントキャリアの表面上の(特に銅を含む、または銅で構成される、電極端子、導電トラック、その他などの)露出された導電層構造体上の導電性被覆材料であってもよい。かかる露出された導電層構造体が保護されないままにされると、露出された導電性コンポーネントキャリア材料(特に、銅)が酸化する場合があり、酸化によりコンポーネントキャリアの信頼性が低下する。その後、表面仕上げは、例えば、表面設置された部品とコンポーネントキャリアとの間のインタフェースとして形成されてもよい。表面仕上げは、露出された導電層構造体(特に、銅回路)を保護する機能を有し、例えばはんだ付けによって、1または複数の部品との結合処理を可能にする。表面仕上げのための適切な材料に対する例は、プリフラックス(Organic Solderability Preservative:OSP)、無電解ニッケル/置換金法(Electroless Nickel Immersion Gold:ENIG)、金(特に、硬質金)、スズ化学品、ニッケル金、ニッケルパラジウム、無電解ニッケル/無電解パラジウム/置換金法(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold:ENIPIG)などである。
【0060】
上で定義した態様、および本発明の更なる態様は、以下で説明する実施形態の例から明らかであり、実施形態の例を参照して説明する。
【0061】
図を参照して、例示的な実施形態を更に詳細に説明する前に、これらの考慮点に基づいて本発明の例示的な実施形態が開発された、いくつかの基本的な考慮点を要約する。
【0062】
本発明の例示的な実施形態によれば、磁気駆動装置であって、非接触方式で動作してもよく、(ベルトなどの)複数のコンベアを支持するように構成されてもよく、複数のコンベアの各々が、割り当てられたコンポーネントキャリア構造体を取り扱って収容することが可能である、磁気駆動装置が提供される。例えば、かかるコンポーネントキャリア構造体は、プリント回路基板(PCB)の複数の更に一体的に接続されたプリフォームを備えるパネルであってもよい。
【0063】
より詳細には、本発明の例示的な実施形態は、複数のコンベアユニットの各個別ユニットを駆動するために、1または複数の電磁石を使用する磁気駆動装置を提供する。かかる磁気駆動装置は、単一の駆動ユニットを用いて、複数のコンベアを駆動するように構成されてもよい。有利には、駆動ユニットとの機械的接点は、必ずしも必要でなくてもよい。特に、2つのコンベアを定位置に保持または固定し、中間にある別のコンベアのみ、または上記コンベア同士の間にある別のコンベアのみ駆動することが可能であってもよい。有利には、隣接するコンベア同士の間の望ましくない磁気干渉を防止するために、磁気遮蔽構造体を実装することが可能であってもよい。特に、前述のユニットに基づくコンベアバッファ機構を築くことが可能であってもよい。フォーク機構も、かかるバッファ機構において、実装されてもよい。本発明の例示的な実施形態による磁気駆動装置は、非接触方式で動作してもよく、この動作により、製造プロセスに異物が混入するリスクを低減することができる。有利には、単一の磁気駆動装置は、後続の動作状態において、多くの磁気ローラを駆動してもよい。故に、コンベア移送バッファ機構は、動力化の観点から低減された労力で、低減された空間占有量率で提供され得る。
【0064】
特に、本発明の例示的な実施形態は、例えばPCBタイプのコンポーネントキャリア構造体を移送するために、磁気ローラおよび対応するコンベアを実装してもよい。一実施形態は、複数のコンベアを非接触方式で駆動するが各コンベアを個々に駆動するために、駆動機構に対する電磁石と、ならびに作動解除機構と、磁気ローラのための磁石とを組み合わせてもよい。有利には、コンポーネントキャリア構造体を移送するための選択されたコンベアスロットの動きを可能にすることを、1または複数の選択された磁気ローラのみが可能にすることが可能であってもよい。
【0065】
より詳細には、本発明の例示的な実施形態は、(ラックなどの)PCBバッファ機構における磁気駆動ローラを選択的に駆動するために、1または複数の磁気駆動装置を使用してもよい。特に、例示的な実施形態は、コンポーネントキャリア構造体または別の種類の製品を変位させるために、単一の磁気ロールまたは磁気ローラを駆動することを可能にしてもよい。特に、複数のコンベアに機能を提供するように構成され得る、非接触磁石駆動部が提供されてもよい。かかる磁気駆動装置は、コンベア同士の間のパネルバッファ機構を築くための基礎として使用されてもよい。好ましくは、単一の駆動モジュールは、複数のコンベアを駆動するのに十分であってもよい。磁気駆動部とのいかなる直接的な物理的接触を回避すると、製造装置に異分子が混入するリスクを抑制、または最小化することさえもことが可能であり得る。有利には、フォーク等を使用する必要なしに、コンポーネントキャリア構造体およびコンベアを直接接続することが可能であってもよい。好ましくは、複数のスロットを駆動することが可能である、非接触磁気駆動部が提供されてもよい。より詳細には、かかる磁気駆動装置は、他のスロットに影響することなく、個別スロットを駆動するように構成されてもよい。コンポーネントキャリア構造体の円滑な移送を更に確実にしながら、全てのスロットに対して単一の駆動モジュールのみを提供することが十分であってもよい。
【0066】
図1には、磁気駆動装置100と、磁気ローラ102と、複数のコンパートメント124またはトレイを有するコンテナ122とを使用して、
図1による水平方向に沿ってそれぞれのコンポーネントキャリア構造体126搬送するための、本発明の例示的な実施形態による構成体120を示している。磁気駆動装置100は、割り当てられたコンパートメント124に収容されると、それぞれのコンポーネントキャリア構造体126に対して輸送力を加えるように配置され構成される。
図2は、動かないままであるように割り当てられた磁気ローラ102を作動解除するための構成にある作動解除機構106を示す、
図1の磁気駆動装置100の詳細を示す。
図3は、回転するように割り当てられた磁気ローラ102を作動させるための構成にある駆動機構104を示す、
図1の磁気駆動装置100の別の詳細を示す。
【0067】
図示する構成体120は、プリント回路基板、IC基板、または他のコンポーネントキャリアを製造するためのパネルなどの複数のコンポーネントキャリア構造体126を搬送するように構成される。
図1に示すように、構成体120は、複数の磁気ローラ102を備え、複数の磁気ローラ102の各々が、それぞれの磁気ローラ102が回転すると、割り当てられたコンポーネントキャリア構造体126を水平方向に沿って搬送するように構成される。様々な磁気ローラ102は、磁性材料で製造された、円筒体、または管状体であってもよく、直線的な鉛直方向の列に沿って配置される。
【0068】
図1の左側に示すように、構成体120は、複数のコンパートメント124を有するバッファコンテナ122であって、複数のコンパートメント124の各々が、それぞれのコンポーネントキャリア構造体126を収容するためのものであり、磁気ローラ102のうちの1つを備える、バッファコンテナ122を備える。コンテナ122は、異なる鉛直方向の高さで複数のコンパートメント124またはトレイを有するラックであって、各コンパートメント124が、パネルタイプコンポーネントキャリア構造体126を保持する、コンベアまたはベルト128を有する、ラックとして具現化される。全ての磁気ローラ102を動かないように保ちながら、磁気ローラ102のうちの1つを回転させることによって、回転する磁気ローラ102と接続されているベルト128のみが、ベルト128上のコンポーネントキャリア構造体126を搬送して、割り当てられたコンパートメント124の中に入れて、またはコンテナ122の割り当てられたコンパートメント124の中から外に出すために動く。換言すれば、コンパートメント124の各々は、対応する磁気ローラ102が回転すると、ベルト128上に設置または支持されたコンポーネントキャリア構造体126と共にベルト128を動かすために、割り当てられた磁気ローラ102上に設置されたコンベアまたはベルト128を備える。
【0069】
前述の機能は、複数の磁気ローラ102のうちのそれぞれの1つを選択的に駆動するように構成された磁気駆動装置100によって、提供される。磁気駆動装置100の構造は、
図1の右側にある詳細に示しており、磁気駆動装置100の機能は、
図2および
図3も参照して説明する。磁気駆動装置100は、磁気駆動力(矢印190を参照)によって、磁気ローラ102のうちの選択された1つを選択的に駆動するように構成された、中央に配置された駆動機構104を備える。作動される磁気ローラ102の特定の1つを選択することは、作動される磁気ローラ102に対して駆動機構104を単に動かすことで行われ得る。
図1の右側において、作動された磁気ローラ102は、中央のものであり、
図3の右側に示す磁気ローラ102に対応する。図示するように、駆動機構104は、他の磁気ローラ102全てを静的に保ちながら、ある特定の時点で、磁気ローラ102のうちの厳密に1つのみを選択的に駆動するように構成される。より詳細には、駆動機構104は、3つの作動用電磁石110をそれぞれに応じて制御することによって、駆動されるローラ102を磁気的に制御するように構成される。単一の作動用電磁石110が十分であってもよいが、2つ、または好ましくは3つの作動用電磁石110の提供が、より強い磁気作動力得るため、または磁場特性のより良好で精密な制御のためには好ましい場合がある。有利には、複数の作動用電磁石110は、(
図1および
図3に示すような)異なる向き、例えば様々な作動用電磁石110のコイル軸線の異なる向きで配置されてもよい。有利には、3つの作動用電磁石110は、同心円に沿って配置されてもよい。その配置に応じて、作動用電磁石110の異なる向きは、好ましくは、割り当てられたローラ102の断面と平行である円の同じ中心に向いていてもよい。上記3つの作動用電磁石110は、同心円に沿って配置されてもよく、同心円の部分的な円形の角度範囲内に配置されてもよく、この角度範囲は、好ましくは、15°~30°であってもよい。これによって、作動される磁気ローラ102に作用する磁気作動力を厳密に調整することが可能になってもよい。複数の作動用電磁石110はまた、扇状に配置されてもよい。
【0070】
説明すると、作動用電磁石110は、作動される磁気ローラ102の回転をトリガするように制御されてもよい。好ましくは、駆動機構104は、作動された磁気ローラ102の回転をトリガするために適切である磁場を単に生成することで、磁気ローラ102を非接触方式で作動するように構成される。この構成によって、摩耗が防止され、構成体120の部品の寿命が延ばされ、有利には、製造プロセスに異物が混入することが回避される。
【0071】
更に、磁気駆動装置100は、現在作動されている磁気ローラ102に直接隣接して配置される2つの磁気ローラ102を選択的に作動解除するように構成される作動解除機構106を備える。換言すれば、作動解除機構106は、駆動された磁気ローラ102が間に位置する、他の2つを選択的に作動解除するように、すなわち、
図1の右側にある、一番上の磁気ローラ102および一番下の磁気ローラ102を選択的に作動解除するように構成される。作動解除される磁気ローラ102の特定のものを選択することは、作動解除される磁気ローラ102に対して作動解除機構106を単に動かすことで行われ得る。
図1の右側において、作動解除された磁気ローラ102は、上の1つおよび下の1つであり、そのうちの1つを
図2の右側に示している。好ましくは、作動解除機構106は、非接触方式で、作動解除にとって適切、例えば、例えば、駆動機構104および/または現在回転する磁気ローラ102によって作り出された迷磁場を補償することにとって適切である磁場を単に生成することによって、作動解除機構106に空間的に近くに位置する磁気ローラ102のみを選択的に作動解除するように構成される。磁気作動機構および磁気作動解除機構の非接触である性質によって、摩耗が防止され、構成体の部品の寿命が延ばされ、有利には、異物が取り扱いプロセスに混入することが回避される。
【0072】
図3において最も分かりやすいように、作動解除機構106は、2つの対称的に配置された磁場センサ108であって、磁場センサ108の各々が、磁気駆動装置100のそれぞれの周辺の位置に配置され、作動解除される、空間的に割り当てられた磁気ローラ102の駆動状態を示す情報を磁気的に検出するように構成される、磁場センサ108を備える。磁場センサ108は、磁気ローラ102のうちのそれぞれの1つのすぐ隣に配置される。好ましくは、磁場センサ108は、ホール効果センサとして具現化される。説明すると、磁場センサ108は、作動解除される磁気ローラ102が動くか否かを検出してもよい。作動解除機構106は、割り当てられた磁場センサ108のそれぞれのセンサ信号に基づいて、作動解除される磁気ローラ102を磁気的に制御するように構成される。より詳細には、作動解除機構106は、それぞれの作動解除用電磁石112をそれぞれに応じて制御することによって、作動解除されるそれぞれの磁気ローラ102を磁気的に制御するように構成される。説明すると、作動解除用電磁石112の各々は、作動解除される割り当てられた磁気ローラ102が回転していないことを確実にするように制御されてもよい(その理由は、作動解除される磁気ローラ102が動くと、間違ったパネルがラックの中から動かされるからである)。例えば、作動解除機構106は、磁場センサ108に感知された磁場特性が少なくとも1つの事前定義された作動解除基準を満たすまで、作動解除用電磁石112を通って流れる電流を制御してもよい。例えば、ネガティブフィードバック調整ロジックは、作動解除機構106において実装されてもよい。この策を取ることによって、作動解除されるローラ102を意図せず動かす望ましくない漂遊磁場は、作動解除用電磁石112によって作り出される補償磁場を加えることによって、低減されてもよく、相殺さえもされてもよい。
【0073】
図1の右側に示す3つの磁気ローラ102を別にして、全ての他の磁気ローラ102または残りの磁気ローラ102は、制御されていない状態またはアイドリング状態のままであってもよい。このことによって、磁気駆動装置100の、制御努力が軽度に保たれ、寸法が小さく保たれる。上記残りの磁気ローラ102は、磁気的に駆動される中央磁気ローラ102から更に遠くに位置するので、浮遊磁場および/または他の磁性体に起因する望まない回転がより生じにくくなる。
【0074】
有利には、駆動機構104および作動解除機構106は、同時に動作するように構成される。したがって、駆動機構104および作動解除機構106は、互いに独立して動作し得る。
【0075】
現在作動解除される磁気ローラ102の位置において、駆動機構104および/または回転する磁気ローラ102によって作り出される望ましくない漂遊磁場を抑制または遮蔽するために、(例えば、鉄または他の磁性金属で製造された)1または複数の磁気遮蔽構造体114は、隣接するローラ102、および互いの周囲のものを磁気的に遮蔽するために、ローラ102隣接するもの同士の間に配置されてもよい。磁気遮蔽構造体114は、磁気駆動装置100の一部を形成してもよく(すなわち、磁気ローラ102に対して相対的に、磁気駆動装置100の他の部品と共に動いてもよく)、または(磁気駆動装置100が磁気遮蔽構造体114に対して相対的に移動可能でもあるように、)各2つの隣接する磁気ローラ102の間に空間的に固定されて配置されてもよい。
【0076】
ベルト128の構成体(各々がそれぞれのコンポーネントキャリア構造体126を保持することが可能)、および様々なコンパートメント124に割り当てられた磁気ローラ102(磁気ローラ102が駆動機構104によって動かされると、各々が割り当てられたベルト128を動かすことが可能)を有するコンテナ122は、磁気駆動装置100が、それぞれのコンパートメント124に割り当てられた選択された磁気ローラ102を選択的に駆動して、隣接するコンパートメント124に割り当てられた2つの隣接する磁気ローラ102を作動解除すると、選択的に駆動された磁気ローラ102が割り当てられたコンパートメント124の中に、またはコンパートメント124の中から外に、それぞれのコンポーネントキャリア構造体126が移動可能であるように構成される。
図1では、回転する磁気ローラ102のみに割り当てられたベルト128を、矢印150を用いて示している。したがって、上記ベルト128上のコンポーネントキャリア構造体126は、コンテナ122の中から外に荷下ろしされ得る。
【0077】
磁気駆動装置100による回転のために1つの特定の磁気ローラ102を選択するために、磁気駆動装置100およびコンテナ122は、
図1の鉛直方向に沿って、互いに対して相対的に動かされるように構成される。より詳細には、磁気駆動装置100は、移動可能であるように構成されてもよく、コンテナ122は、動かないように構成されてもよい。故に、磁気駆動装置100は、コンパートメント選択の観点から、唯一アクティブに動かされる部分であってもよい。このことは、
図1の矢印152で示している。その結果、磁気駆動装置100は、上方向または下方向に鉛直方向に動かされて、磁気駆動装置100によってコンテナ122の所望のコンパートメント124にアクセスしてもよい。
【0078】
図2および
図3では、磁気ローラを、参照符号102を用いて、改めて示している。図示するように、各磁気ローラ102は、交互に入れ替わる、S極部191およびN極部192のアレイとして構成されてもよい。S極部191およびN極部192はそれぞれ、それぞれの磁気ローラ102を構成する円筒の角部に対応してもよい。S極部191およびN極部192は、磁気ローラ102の周囲に沿って相互に入れ替わるように接続されてもよい。説明すると、S極部191およびN極部192の各々は、一切れのケーキのように成形されてもよい。結果として、磁気ローラ102は、周辺でS極部191およびN極部192が連続して相互に入れ替わるものとして形成される。
【0079】
更に、電磁石110、112のそれぞれのS極を参照符号154で示す一方、それぞれのN極を参照符号156で示す。改めて
図2を参照すると、現在作動解除される磁気ローラ102の位置で磁場を検出し、コントローラ160に対応するフィードバック信号を送信する、ホール効果センサの1つを示している。ホール効果センサの読み取りから受信した信号に基づいて、コントローラ160は、作動解除用電磁石112を制御して、作動解除された磁気ローラ102が回転しないことを確実にするように構成されてもよい。この制御は、ネガティブフィードバック制御ロジックの観点から実行されてもよい。
【0080】
ここで
図3を参照すると、磁気遮蔽は、示す回転する磁気ローラ102が近くに位置する磁気ローラ102を回転および/または振動させることを防止するために、磁気遮蔽構造体114によって実現されてもよい。コントローラ160は、個別の作動用電磁石110に信号を送信して、磁気ローラ102を回転させる。対応する機能は、サーボモータに類似してもよい。
【0081】
図4および
図5は、本発明の別の例示的な実施形態による、構成体120の異なる動作状態を示す。
【0082】
図4および
図5の実施形態では、磁気駆動装置100は、(磁気駆動装置100が設置されてもよい支持体162によって示すように)動かないままであり、コンテナ122は、(矢印164で示すように)鉛直方向、すなわち上方または下方に動かされる。示すように、
図4および
図5による磁気駆動装置100は、
図1~
図3を参照して説明した素子に加えて、コンポーネントキャリア構造体126をコンテナ122のコンパートメント124に積載する積載ユニット166を備える。更に、磁気駆動装置100は、コンテナ122のコンパートメント124からコンポーネントキャリア構造体126を荷下ろしする荷下ろしユニット168を備える。積載ユニット166は、コンテナ122の特定のコンパートメント124のベルト128に積載されるコンポーネントキャリア構造体126を保持するために、積載ベルト170と協働する積載ローラ174として具現化されてもよい積載コンベアを備えてもよい。このことに応じて、荷下ろしユニット168は、上記コンポーネントキャリア構造体126を特定のコンパートメント124から荷下ろしユニット168に荷下ろしするために、コンポーネントキャリア構造体126が配置されてもよい荷下ろしベルト172と協働する荷下ろしローラ176として具現化してもよい荷下ろしコンベアを備えてもよい。磁気駆動装置100の、駆動機構104、作動解除機構106、積載ユニット166、および荷下ろしユニット168は、動かないままであり得る一方で、コンテナ122が、鉛直方向、および磁気駆動装置100に対して相対的に動いてもよい。このことに応じて、一方である(コンポーネントキャリア構造体126をコンテナ122のコンパートメント124に積載するために使用される)積載ユニット166、および(コンポーネントキャリア構造体126をコンテナ122のコンパートメント124から荷下ろしするために使用される)荷下ろしユニット168と、他方であるコンテナ122とは、互いに対して相対的に動かされるように構成される。コンテナ122の特定のコンパートメント124(
図4の一番上のコンパートメント124、および
図5のもう1つ下のコンパートメント124を参照)が、水平方向において、積載ユニット166および荷下ろしユニット168と位置合わせすると、駆動機構104は、
図4および
図5に示すように、コンポーネントキャリア構造体126を積載ユニット166から上記コンパートメント124に積載するために動作させられてもよい。
図4および
図5には示していないが、コンポーネントキャリア構造体126を上記コンパートメント124から荷下ろしユニット168に荷降ろしすることがそれぞれに応じて可能であってもよい。
【0083】
故に、
図4および
図5は、バッファ系(より詳細には、バッファ動作タイプの)に対する磁気駆動装置100の実装形態を示す。
図4および
図5によれば、磁気駆動装置100の位置は固定されている一方で、バッファタイプコンテナ122は、上下に動くことができ、異なる有効なスロットが磁気駆動装置100によって機能を提供されることを可能にする。
【0084】
図6は、本発明の更に別の例示的な実施形態による、2つの個別に制御可能な磁気駆動装置100を有する構成体120を示す。
【0085】
故に、
図1~
図5の実施形態と対照的に、2つの個別に動作可能な磁気駆動装置100が、
図6の実施形態で提供される。
図4および
図5の実施形態と対照的に、磁気駆動装置100は、それぞれ個別に移動可能である一方で、
図6によれば、コンテナ122は動かないままである。
【0086】
したがって、
図6による構成体120は、更なる磁気駆動装置100を備える一方で、コンテナ122は、磁気駆動装置100と更なる磁気駆動装置100との間に空間に部分的に配置される。更に、一方である磁気駆動装置100、および他方であるコンテナ122は、互いに対して相対的に動かされるように構成される。また、磁気駆動装置100も、互いに対して相対的に動かされるように構成される。上方向または下方向に磁気駆動装置100の各々が個別に動くことが可能であることを、矢印178、180によって
図6に示している。
【0087】
図6に示すように、
図6の左側に示す磁気駆動装置100は、
図4および
図5を参照して説明するように、積載ユニット166を備えられるが、荷下ろしユニットを備えない。
図6の右側に示す更なる磁気駆動装置100は、
図4および
図5を参照して説明するように、荷下ろしユニット168を備えられるが、積載ユニットを備えない。故に、左側にある磁気駆動装置100は、選択可能なコンパートメント124にコンポーネントキャリア構造体126を積載するために動作可能である。このことに加え、右側にある磁気駆動装置100は、コンポーネントキャリア構造体126を選択可能なコンパートメント124から荷下ろしするために動作可能である。ある特定の時点で、第1のコンパートメント124は、左側にある磁気駆動装置100を使用して積載されてもよく、その間に同時に第2のコンパートメント124は、右側にある更なる磁気駆動装置100を使用して荷下ろしされてもよい。
【0088】
したがって、
図6による構成体120はまた、(シャトル動作タイプとして具現化されてもよい)バッファ系として実装されてもよい。シャトル上に設置されたそれぞれの駆動部は、上下に動いて、異なる有効なスロットを可能にしてもよい。
【0089】
図7は、本発明の更に別の例示的な実施形態による構成体120の側面図を示す。
図7による構成体120では、2つの磁気駆動装置100は、共通の支持構造体184上に設置される。示す実施形態では、コンポーネントキャリア構造体126または別の製品は、ベルトを有さない複数の協働する磁気ローラ102によって、動かされてもよい。説明すると、図示するベルトなしの実施形態は、コンポーネントキャリア構造体126を動かすために、駆動ローラマトリックスを実装する。
【0090】
「備える(含む)」という用語は、他の素子または段階を除外せず、「a」または「an」は複数性を除外しないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連して説明した素子は、組み合わせられてもよい。
【0091】
また、特許請求の範囲における参照符号は特許請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならないことも留意されたい。
【0092】
本発明の実装形態は、図に示して前述した好ましい実施形態に限定されない。その代わりに、本質的に異なる実施形態の場合でさえも、示す解決策、および本発明による原則を使用する、多数の変形形態が可能である。
【外国語明細書】