(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067111
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】情報入力システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20220422BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220422BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/044 120
G06F3/041
G06F3/041 520
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029397
(22)【出願日】2022-02-28
(62)【分割の表示】P 2019222684の分割
【原出願日】2011-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2010260432
(32)【優先日】2010-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】717005246
【氏名又は名称】株式会社インターメディア研究所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健治
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA13
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC19
5E555CA12
5E555CB12
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 タッチパネル搭載型の情報処理装置において、媒体をタッチパネルの上に載置して情報を入力するための情報入力システムを提供する。
【解決手段】 タッチパネルと、タッチパネルを入力手段とする情報処理手段と、タッチパネルに載置される薄板状の媒体と、を備える情報入力システムであって、情報処理手段は、指またはスタイラスペンによる媒体の所定の位置へのタッチ位置から形成されるタッチパターンまたは、タッチ位置およびタッチした順番を含み形成されるタッチパターンから定義されるコード情報を含む媒体情報と、媒体の載置位置、および載置方向の少なくともいずれかと、を取得する、情報入力システムとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルを入力手段とする情報処理手段と、
前記タッチパネルに載置される薄板状の媒体と、を備える情報入力システムであって、
前記情報処理手段は、
指またはスタイラスペンによる前記媒体の所定の位置へのタッチ位置から形成されるタッチパターンまたは、該タッチ位置およびタッチした順番を含み形成されるタッチパターンから定義されるコード情報を含む媒体情報と、該媒体の載置位置、および載置方向の少なくともいずれかと、を取得する、情報入力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチパネル(タッチスクリーン)を用いた情報入力に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルへの入力操作と、タッチパネルに載置したカードの位置、方向およびカード固有の情報(以下、本発明においては「コード情報」とする。)の認識と、の組み合わせにより情報を入力する技術として、以下の先行技術が存在する。
【0003】
特許文献1によれば、タッチパネルへの入力操作については、赤外線遮断方式のタッチパネルを用いる方法が記載されている(段落0144、0210等)。
【0004】
カードの位置、方向およびコード情報の認識については、カードに印刷されたドットパターンを、タッチパネル下部の撮像手段により読み取ることにより、カードの位置、方向およびコード情報を認識する方法が記載されている(段落0113等)。
【0005】
特許文献2によれば、タッチパネルへの入力操作については、静電容量方式のタッチパネルを用いる方法が記載されている(段落0131等)。
【0006】
また、静電容量方式のタッチパネルではカードの上からタッチしてもカードを通して静電容童の変化によりタッチ位置を検出できる、と記載されている(段落0127)。
【0007】
カードの位置、方向およびコード情報の認識については、カードに印刷されたコードパターンを、タッチパネル下部の撮像手段により読み取ることにより、カードの位置、方向およびコード情報を認識する方法が記載されている(段落0078)。
【0008】
なお同文献によれば、コードパターンの認識結果によりタッチパネルによる入力操作を補完することが示唆されている(段落0047、0052)。
【0009】
また、ユーザーがカードの上からタッチして、そのカード上におけるタッチ位置をゲーム等に反映させる構成が、特許文献1(段落0110)および特許文献2(段落0118)には記載されている。
【0010】
上記の他、タッチパネルに載置したカードの位置、方向およびコード情報の認識方法についての先行技術を説明する。
【0011】
特許文献3によれば、カードに導体部が複数個設けられており、静電容量方式のセンサ上に載置した際の静電容量の変化によりカードの位置、方向およびコード情報を認識する方法が記載されている(段落0009、0010)。
【0012】
特許文献4によれば、カードに設けられた複数のRFIDチップを、カードテーブル下面のRFIDリーダーを用いて各々検出することにより、カードの位置、方向およびコード情報を認識する方法が記載されている(段落0040~0044)。
【0013】
特許文献3、特許文献4においては、ユーザーがカードの上からタッチしてタッチパネルへの入力操作をする、との記載はない。
【0014】
特許文献5によれば、タッチパネルに対する接触が、指による接触であるかスタイラスペンによる接触であるかを判別する構成が記載されている(段落0057)。
【0015】
【特許文献1】特許第4019114号
【特許文献2】特開2010-187911号
【特許文献3】特許第4043453号
【特許文献4】特開2008-178499号
【特許文献5】特開2010-61351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記で説明したように、特許文献1、特許文献2の発明は、カードの位置、方向およびコード情報を認識する手段を、タッチパネルとは別に設けることにより課題を達成するものである。
【0017】
したがって、そのような手段を設けないタッチパネル搭載型の情報処理装置(携帯電話機を含む)において、タッチパネルの上にカードを載置して、(1)そのカードと対応した情報をタッチパネルにより入力する、(2)あるいはカードの上からタッチして指の位置とカードの情報との組み合わせによる情報をタッチパネルにより入力する、といった課題は特許文献1、特許文献2の発明では達成し得ない課題である。
【0018】
そこで、本願発明者は上記課題を達成するため、下記に説明する情報入力システム等の発明をした。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本件発明の情報入力システムは、静電容量方式によりユーザーからの操作を受け付けるタッチパネルと、該タッチパネルを入力手段とする情報処理手段と、該タッチパネルに載置される薄板状の媒体と、からなる情報入力システムであって、前記情報処理手段は、所定のキャリブレーション方法により、該媒体に定義されたコード情報、該媒体の載置位置および載置方向からなる媒体情報を認識する第1ステップと、ユーザーが該媒体面を、タッチおよび/または滑動するタッチ操作によりタッチした位置を特定するための、当該タッチパネルの座標系における座標値を認識する第2ステップと、を実行することを特徴とする。
【0020】
上記の特徴によれば、情報処理手段はタッチパネルに載置された媒体の位置、方向およびコード情報を認識することにより、その媒体と対応した情報を入力し、あるいはカードの上からタッチして指の位置とカードの情報との組み合わせによる情報を入力する、ことが可能となる。
【0021】
なお、前記情報処理手段は、第2ステップを省き、第1ステップのみを実行するものとしてもよい。
【0022】
前記情報処理手段は、前記第2ステップにおいて、前記タッチパネルの座標系における座標値を、前記媒体情報に基づき前記媒体面におけるタッチ位置を特定するための、前記媒体の座標系における座標値に変換することが好ましい。
【0023】
上記の特徴によれば、タッチパネルに媒体がどのような位置、方向で配置されたとしても、その媒体表面に印刷されたどの部位に指先でのタッチが行われたかを認識することが可能となる。
【0024】
前記情報処理手段は、前記第2ステップの後に、前記媒体の座標系における座標値と対応付けられた操作指示に基づく処理を、当該対応付けを記憶した記憶手段を参照して実行する第3のステップを実行する、ことが好ましい。
【0025】
前記操作指示は、ユーザーが該媒体面を滑動した文字や図形で認識することが好ましい。
【0026】
前記媒体は、該媒体面への前記タッチ操作を誘導するテキストおよび/またはイメージ、もしくは手書き入力領域が印刷されていることが好ましい。
【0027】
前記コード情報は、前記媒体の形状および大きさを定義し、または前記コード情報と関連付けられた前記媒体の形状および大きさを、前記情報処理手段が記憶手段を参照することにより複合することが好ましい。
【0028】
前記所定のキャリブレーション方法は、前記媒体面の所定の少なくとも2つの位置または該媒体面に設けられた少なくとも2つのキャリブレーションマークを、ユーザーが所定の順番でタッチすることにより、前記情報処理手段が、該媒体面の所定の位置またはキャリブレーションマークへのタッチ位置およびタッチした順番を含み形成されるパターンから定義される前記媒体の載置位置および載置方向または、該載置位置、載置方向およびコード情報を認識するキャリブレーション方法である、ことが好ましい。
【0029】
上記の特徴によれば、情報処理手段はタッチパネルに載置された媒体の位置、方向およびコード情報を、特別な装置を用いずにタッチパネル自体の機能を用いて認識することにより、その媒体と対応した情報を入力し、あるいはカードの上からタッチして指の位置とカードの情報との組み合わせによる情報を入力する、ことが可能となる。
【0030】
前記所定のキャリブレーション方法は、前記媒体面の所定の少なくとも3つの位置または該媒体面に設けられた少なくとも3つのキャリブレーションマークを、ユーザーがタッチすることにより、前記情報処理手段が、該媒体面の所定の位置またはキャリブレーションマークへのタッチ位置により形成されるパターンから定義される前記媒体の載置位置・方向または、該載置位置、方向およびコード情報を認識するキャリブレーション方法である、ことが好ましい。
【0031】
上記の特徴によれば、情報処理手段はタッチパネルに載置された媒体の位置、方向およびコード情報を、特別な装置を用いずにタッチパネル自体の機能を用いて認識することにより、その媒体と対応した情報を入力し、あるいはカードの上からタッチして指の位置とカードの情報との組み合わせによる情報を入力する、ことが可能となる。
【0032】
前記情報処理手段は、前記媒体面の所定の位置または前記所定のキャリブレーションマークを、最初にユーザーがタッチした時間を基準とし、次に前記媒体面の所定の位置または前記所定のキャリブレーションマークをタッチするまでの経過時間を計測し、該経過時間、または該経過時間と該媒体面の所定の位置またはキャリブレーションマークへのタッチ位置およびタッチした順番を含み形成されるパターンとの組み合わせにより、前記媒体のコード情報を認識する、ことが好ましい。
【0033】
前記所定のキャリブレーション方法は、前記媒体面にユーザーがテキストおよび/またはイメージを描画することにより、前記情報処理手段が、前記テキストおよび/または前記イメージから定義される前記媒体の載置位置・方向または、該載置位置、方向およびコード情報を認識するキャリブレーション方法である、ことが好ましい。
【0034】
前記所定のキャリブレーション方法は前記媒体のユーザー認証を兼ねる、ことが好ましい。
【0035】
前記キャリブレーションマークは、媒体面に印刷された数字、文字、記号、アイコン等のテキストおよび/またはイメージによりユーザーに示される、ことが好ましい。
【0036】
前記媒体面の所定の位置は、前記媒体の角部近傍の位置または前記媒体の外縁部近傍の位置である、ことが好ましい。
【0037】
前記媒体面の所定の位置は、媒体面に設けられた孔部および/または切り欠き部によりユーザーに示される位置である、ことが好ましい。
【0038】
前記媒体の載置面には、滑り止めまたは粘着剤が設けられている、ことが好ましい。
【0039】
前記媒体の形状はカード状またはコイン状である、ことが好ましい。
【0040】
前記情報処理手段の第1ステップは、さらに、前記コード情報と対応付けられたアプリケーションおよび/またはコンテンツを起動させ、前記媒体面をタッチおよび/または滑動するタッチ操作で該アプリケーションおよび/またはコンテンツの実行を制御することが好ましい。
【0041】
前記情報入力システムは、さらに、情報処理装置を備え、前記コード情報と対応付けられたアプリケーションおよび/またはコンテンツを該情報処理装置において起動させ、前記媒体面をタッチおよび/または滑動するタッチ操作で該アプリケーションおよび/またはコンテンツの実行を制御することが好ましい。
【0042】
前記情報処理手段は、前記所定のキャリブレーション方法に代えて、前記媒体の所定位置に設けられ、該コード情報が記録されたRFIDと、該RFIDに記録された情報を読み取るRFIDリーダーと、前記コード情報を認識する、ことが好ましい。
【0043】
前記情報入力システムは、タッチパネルの操作面の画像を撮像する光学読み取り手段と、該撮像画像を解析する解析手段と、を備え、前記情報処理手段は、前記所定のキャリブレーション方法に代えて、該タッチパネルに載置した前記媒体の輪郭による形状・大きさ・載置位置の認識し、および/または該媒体面上に印刷された画像を該解析手段に解析させることにより、前記コード情報を認識する、ことが好ましい。
【0044】
前記媒体には、所定のアルゴリズムに基づいて前記コード情報が定義された、所定の波長光で読み取ることができるドットパターンが印刷されており、前記情報処理手段は、前記光学読み取り手段に該所定の波長光のみを撮像させて該ドットパターンを読み取らせ、前記解析手段に該ドットパターンを解析させて、前記コード情報を認識する、ことが好ましい。
【0045】
前記媒体は、前記タッチパネルに対面する面または媒体内部の所定位置に導電体を備え、前記情報処理手段は、該導電体の個数と配置位置、または各導電体の静電容量の大きさの違いを感知することにより、前記媒体情報を認識する、ことが好ましい。
【0046】
前記導電体は、ドット状の導電体と該ドット状の導電体を接続する線状の導電体により形成されている、ことが好ましい。
【0047】
前記媒体は、ユーザーの指先によりタッチされるタッチ層と、該タッチに面接した前記導電体部と電気的に接続された導電体と、を有する、ことが好ましい。
【0048】
前記導電体は、前記タッチパネル表面上または該タッチパネル表面に載置された前記媒体面上をタッチしたユーザーの指先と異なる静電容量特性を有し、前記情報処理手段はそれらを判別する、ことが好ましい。
【0049】
前記情報処理手段は、前記所定のキャリブレーション方法に代えて、請求項18記載の前記RFIDおよびRFIDリーダーにより前記媒体のコード情報を認識し、請求項21記載の前記導電体の配置位置により前記媒体の載置位置および載置方向を認識する、ことが好ましい。
【0050】
本件発明の情報入力システムは、静電容量方式によりユーザーからの操作を受け付けるタッチパネルと、該タッチパネルを入力手段とする情報処理手段と、該タッチパネルに載置される薄板状の媒体と、からなる情報入力システムであって、前記情報処理手段は、所定のキャリブレーション方法により、該媒体に定義されたコード情報、該媒体の載置位置および載置方向からなる媒体情報を認識する処理、を実行することを特徴とする。
【0051】
本件発明のプログラムは、静電容量方式のタッチパネルを入力手段として備える情報処理手段に実行させるプログラムであって、当該タッチパネルには薄板状の媒体が載置されるものとし、所定のキャリブレーション方法により、該媒体に定義されたコード情報、該媒体の載置位置および載置方向からなる媒体情報を認識する第1ステップと、ユーザーが該媒体面を、タッチおよび/または滑動するタッチ操作によりタッチした位置を特定するための、当該タッチパネルの座標系における座標値を認識する第2ステップと、を情報処理手段に実行させることを特徴とする。
【0052】
本件発明のプログラムは、静電容量方式のタッチパネルを入力手段として備える情報処理手段に実行させるプログラムであって、当該タッチパネルには薄板状の媒体が載置されるものとし、所定のキャリブレーション方法により、該媒体に定義されたコード情報、該媒体の載置位置および載置方向からなる媒体情報を認識する処理を、情報処理手段に実行させることを特徴とする。
【0053】
本件発明の媒体は、情報処理手段が入力手段として備える、静電容量方式のタッチパネルに載置される媒体であって、前記タッチパネルにおける前記媒体の載置位置、載置方向、およびコード情報を前記情報処理手段が認識するためにユーザーが行うべき操作を指示するイメージおよび/またはテキストが印刷されている、ことを特徴とする。
【0054】
前記媒体は、アルミ箔または導電紙であることが好ましい。
【0055】
前記媒体は、カーボンが含有されていることが好ましい。
【0056】
前記媒体は、導電糸を織って形成されていることが好ましい。
【0057】
本件発明の情報入力システムは、静電容量方式によりユーザーからの操作を受け付けるタッチパネルと、該タッチパネルを入力手段とする情報処理手段と、該タッチパネルに載置される薄板状の媒体と、からなる情報入力システムであって、前記薄板状の媒体は、一部又は全部が導電体であり、ユーザーの指先によりタッチされるタッチ層と、前記タッチパネルに面した前記導電体部が一体として形成され、前記情報処理手段は、前記タッチパネルの接面に形成された導電体の形状、配置または静電容量の大きさの違いを感知することにより、前記媒体情報を認識することを特徴とする。
【0058】
上記の特徴によれば、ユーザーによるキャリブレーションを行わなくても媒体情報を認識することが可能となるため、利便性を高めることができる。
【0059】
前記情報入力システムは、さらに、情報処理装置を備え、前記媒体情報と対応付けられたアプリケーションおよび/またはコンテンツを該情報処理装置において起動させ、前記媒体面をタッチおよび/または滑動するタッチ操作で該アプリケーションおよび/またはコンテンツの実行を制御すること、が好ましい。
【0060】
前記媒体のタッチ層は面状に導電体を形成し、前記タッチパネルの接面に複数点に導電体が点状に配置されることが好ましい。
【0061】
前記媒体は、第1の特性を有する導電体で形成され、前記タッチパネルに面接した領域に第2の特性を有する導電体が点状に配置されることが好ましい。
【0062】
前記ユーザーの指先に代えて、スタイラスペンによりタッチされることが好ましい。
【0063】
本件発明の媒体は、情報処理手段が入力手段として備える、静電容量方式のタッチパネルに載置される媒体であって、ユーザーの指先により前記媒体にタッチして操作を指示するイメージおよび/またはテキストが印刷されており、前記媒体は、一部又は全部が導電体であり、前記ユーザーの指先によりタッチされるタッチ層と、前記タッチパネルに面接した前記導電体部が一体として形成され、前記情報処理手段は、前記導電体の形状、配置または静電容量の大きさの違いを感知することにより、前記媒体情報および、前記タッチパネルにおける該媒体の載置位置、載置方向を認識し、該媒体情報と対応付けられたアプリケーションおよび/またはコンテンツを該情報処理装置において起動させ、該媒体面をタッチおよび/または滑動するタッチ操作で該アプリケーションおよび/またはコンテンツの実行を制御することが好ましい。
【0064】
前記導電体は、アルミ箔または導電紙であることが好ましい。
【0065】
前記導電体は、カーボンが含有されていることが好ましい。
【0066】
前記導電体は、導電糸を織って形成されていることが好ましい。
【0067】
前記媒体の載置面には、滑り止めまたは粘着剤が設けられていることが好ましい。
【0068】
前記媒体の形状はカード状またはコイン状であることが好ましい。
【0069】
前記媒体のタッチ層は面状に導電体を形成し、前記タッチパネルの接面に複数点に導電体が点状に配置されることが好ましい。
【0070】
前記媒体は、第1の特性を有する導電体で形成され、前記タッチパネルに面接した領域に第2の特性を有する導電体が点状に配置されることが好ましい。
【0071】
前記ユーザーの指先に代えて、スタイラスペンによりタッチされることが好ましい。
【発明の効果】
【0072】
本件発明によれば、タッチパネル搭載型の情報処理装置(携帯電話機を含む)において、タッチパネルの上にカードを載置して、カードの位置、方向およびコード情報をタッチパネルにより入力し、さらにカードの上からタッチして指の位置とカードの情報との組み合わせによる情報をタッチパネルにより入力する、といった先行技術からは発揮し得ない効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図2】タッチパネル101の構造を示す図(その1)である。
【
図3】タッチパネル101の構造を示す図(その2)である。
【
図4】タッチパネル101の構造を示す図(その3)である。
【
図5】タッチパネル101の構造を示す図(その4)である。
【
図6】媒体201の実施例を示す図(その1)である。
【
図7】媒体201の実施例を示す図(その2)である。
【
図8】媒体201の実施例を示す図(その3)である。
【
図9】第1のキャリブレーション方法を示す図である。
【
図10】第2のキャリブレーション方法を示す図(その1)である。
【
図11】第2のキャリブレーション方法を示す図(その2)である。
【
図12】第2のキャリブレーション方法を示す図(その3)である。
【
図13】第3のキャリブレーション方法を示す図(その1)である。
【
図14】第3のキャリブレーション方法を示す図(その2)である。
【
図15】第3のキャリブレーション方法を示す図(その3)である。
【
図16】第4のキャリブレーション方法を示す図(その1)である。
【
図17】第4のキャリブレーション方法を示す図(その2)である。
【
図18】第4のキャリブレーション方法を示す図(その3)である。
【
図19】第5のキャリブレーション方法を示す図(その1)である。
【
図20】第5のキャリブレーション方法を示す図(その2)である。
【
図21】第5のキャリブレーション方法を示す図(その3)である。
【
図22】第6のキャリブレーション方法を示す図である。
【
図23】タッチパネル座標系から媒体座標系への変換方法を示す図である。
【
図24】タッチパネル101にカメラ103を設ける実施例を示す図である。
【
図25】媒体201にキャリブレーションマーク401を印刷する実施例を示す図である。
【
図26】媒体201に貫通孔402を設ける実施例を示す図である。
【
図27】媒体201に切り欠き部403を設ける実施例を示す図である。
【
図28】媒体201に導電体203を設ける実施例を示す図(その1)である。
【
図29】媒体201に導電体203を設ける実施例を示す図(その2)である。
【
図30】媒体201に導電体203を設ける実施例を示す図(その3)である。
【
図31】媒体201に導電体203を設ける実施例を示す図(その4)である。
【
図32】媒体201に導電体203を設ける実施例を示す図(その5)である。
【
図33】媒体201に導電体203をドットパターンとして印刷する実施例を示す図である。
【
図34】一部が導電体である媒体について説明する図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【
図35】全部が導電体である媒体について説明する図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【
図36】導電糸を織って形成された媒体について示す平面図であり、(a)が媒体の一部を導電糸で織って形成した場合、(b)が媒体の全部を導電糸で織って形成した場合について示すものである。
【
図37】点状の導電体を設けた媒体について説明する図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【
図38】第1の導電体と第2の導電体を有する媒体について説明する図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【
図39】コード情報の定義方法の一例について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0075】
<ハードウェアの構成>
本件発明の情報入力システムは、タッチパネル101、タッチパネルに載置する媒体201、情報処理手段301、からなる。ハードウェアの具体的な構成を以下に述べる。
【0076】
発明者が意図する最良の実施形態は、
図1に示すような本発明を構成するハードウェアを全て一体としたタブレットコンピュータである。
【0077】
断面
図2に示す通り、タッチパネル101下部には表示手段102が設けられ、さらに図示しない情報処理手段301が設けられている。この実施例では後述する情報処理はタブレットコンピュータ内の情報処理手段301が全て実行する。その他、タッチパネルの代表的な構造を
図3乃至5に示す。
【0078】
なお、タッチパネル101、表示手段102、情報処理手段301、の一部または全部が独立した装置となる構成となっていてもよい。図示しないが、タッチパネル101は、PCやAV機器、携帯電話、情報端末、ゲーム機、教育機器、ショッピング端末、広告端末、工作機械、印刷機械などのインターフェイスデバイスやシンクライアント端末として様々な利用形態が考えられる。
【0079】
また、情報処理手段301は、図示しない記憶手段に格納された情報を必要に応じて取得する。記憶手段は情報処理手段301と同一の装置内に設けられたものと、装置外に設けられたものの双方を指す。
【0080】
<概要>
タッチパネル101には媒体201が載置され、本発明はユーザーが指先でこの媒体201をタッチして、各種の情報入力を行う。
【0081】
媒体201は
図6の例では矩形のカード形状であるが、形状はコイン形状(
図7参照)など、矩形以外のものでもよい。材質は紙に限らず合成樹脂等であってもよい。
【0082】
その他の具体的な製品としては、シール、シート、メモ用紙、しおり等が挙げられる。媒体201の具体的形状は当業者の設計事項であるから詳細は省略する。
【0083】
ユーザーが媒体201にタッチするのは必ずしも「指先」でなくてもよい。また、ユーザーがスタイラスペン(図示しない)を手に持ってタッチするものとしてもよい。このことは当業者の設計事項であるから詳細は省略する。
【0084】
<キャリブレーション方法>
本発明の最も特徴的な構成である、タッチパネル101に媒体201を載置した際、媒体201の位置、方向およびコード情報(媒体情報)を情報処理手段301に認識させる方法を説明する。
【0085】
コード情報とは、複数の媒体201を識別するためのIDとしての役割を持つほか、媒体201の形状、媒体201の大きさを定義することができる。
【0086】
本件発明においては、タッチパネル101に載置された媒体201を、ユーザーがタッチすることにより、媒体の位置、方向およびコード情報を情報処理手段301に認識させる。
【0087】
この操作を本件発明では「キャリブレーション」と呼称する。キャリブレーションには複数の方法があり、どのキャリブレーション方法を採用するかは任意である。
【0088】
キャリブレーション方法は媒体面に設けられた、複数のキャリブレーションマーク401やテキストや、写真、イメージ(グラフィック)の所定の位置(
図8参照)により指示された媒体201上の位置をユーザーにタッチさせる点において共通する。もちろん、可視化的にタッチ位置を指定しなくても、予め定めた媒体のコーナーや縁の所定の位置でもよい。
【0089】
そして、タッチする順番を予め定める方法と、順番を定めない方法と、がある。第1乃至第3のキャリブレーション方法は、タッチする順番を予め定める方法であり、第4、第5のキャリブレーション方法はタッチする順番を定めない方法である。
【0090】
また、第6のキャリブレーション方法として、ユーザーによるタッチ操作ではなく、媒体面を指でなぞる動作により媒体201の位置、方向およびコード情報を情報処理手段301に認識させる方法がある。
【0091】
<タッチする順番を定めるキャリブレーション方法>
タッチする順番を予め定めるキャリブレーション方法を説明する。
【0092】
<第1のキャリブレーション>
第1のキャリブレーション方法について説明する。
【0093】
図9に示すように、ユーザーは媒体201に印刷された2つのキャリブレーションマーク401が指示する位置・順番に従い媒体をタッチする。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい(
図8参照)。
【0094】
すると、タッチパネル座標系における座標の値(座標値)が2つ入力される。
【0095】
媒体201の位置は、1番目に入力された座標値を代表点として特定される。なお、2番目に入力された座標値を代表点としてもよい。
【0096】
媒体201の方向は、1番目に入力された座標および2番目に入力された座標を結ぶ線分の方向により特定される。例えば、1番目から2番目の点を結ぶ方向や、1番目から2番目の点を結ぶ方向から、任意の方向で媒体201の方向を定義することができる。
【0097】
コード情報は、1番目に入力された座標および2番目に入力された座標を結ぶ線分の長さと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定される。また、1番目から2番目の点をタッチするまでの時間間隔をコード情報としてもよい。さらに、線分の長さから求められるコード情報と組み合わせてもよい。
【0098】
<第2のキャリブレーション>
第2のキャリブレーション方法について説明する。
【0099】
図10に示すように、ユーザーは媒体201に印刷された3つのキャリブレーションマーク401が指示する位置・順番に従い媒体201をタッチする。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい。
【0100】
すると、タッチパネル座標系における座標の値(座標値)が3つ入力される。
【0101】
媒体201の位置は、1番目に入力された座標値を代表点として特定される。なお、2番目または3番目に入力された座標値を代表点としてもよい。
【0102】
媒体201の方向は、1番目に入力された座標および2番目に入力された座標を結ぶ線分の方向により特定される。例えば、1番目から2番目の点を結ぶ方向や、1番目から2番目の点を結ぶ方向から、任意の方向で媒体201の方向を定義することができる。もちろん、他の、2つの点の組み合わせで媒体201の方向を特定されてもよい。
【0103】
コード情報は、1番目と2番目の点の座標を基準に、3番目の点が相対的にどこに配置されるかによって特定される(
図11参照)。なお、1番目または2番目の点の座標を原点として、3番目の相対座標を求め(
図12参照)、その相対座標と対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。さらに、入力された3つの座標を結ぶことによりできる三角形の形状もしくは大きさ、またはその組み合わせと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。また、3点のタッチの時間間隔をコード情報としてもよい。さらに、タッチした座標から求められるコード情報と組み合わせてもよい。
【0104】
<第3のキャリブレーション>
第3のキャリブレーション方法について説明する。
【0105】
図13に示すように、ユーザーは媒体201に印刷された4つのキャリブレーションマーク401が指示する位置・順番に従い媒体201をタッチする。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい。
【0106】
すると、タッチパネル座標系における座標の値(座標値)が4つ入力される。
【0107】
媒体201の位置は、1番目に入力された座標値を代表点として特定される。ただし、2番目または3番目、もしくは4番目に入力された座標値を代表点としてもよい。
【0108】
媒体201の方向は、1番目に入力された座標および2番目に入力された座標を結ぶ線分の方向により特定される。例えば、1番目から2番目の点を結ぶ方向や、1番目から2番目の点を結ぶ方向から、任意の方向で媒体201の方向を定義することができる。もちろん、他の、2つの点の組み合わせで媒体201の方向を特定されてもよい。
【0109】
コード情報は、1番目と2番目の点の座標を基準に、3番目と4番目の点が相対的にどこに配置されるかによって特定される(
図14参照)。なお、1番目または2番目の座標を原点として、3番目と4番目の点の相対座標を求め(
図15参照)、その相対座標と対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。さらに、入力された4つの座標を結ぶことによりできる四角形の形状もしくは大きさ、またはその組み合わせと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。また、4点のタッチの時間間隔をコード情報としてもよい。さらに、タッチした座標から求められるコード情報と組み合わせてもよい。
【0110】
なお、4点を超えるタッチ指示によるキャリブレーションにおいても同様に処理することにより、さらに多くのコード情報が特定されることは、言うまでもない。
【0111】
<タッチする順番を定めないキャリブレーション方法>
<第4のキャリブレーション方法>
第4のキャリブレーション方法について説明する。
【0112】
図16に示すように、ユーザーは媒体201に印刷された3つのキャリブレーションマーク401が指示する位置に従い媒体をタッチする。媒体201をタッチする順番は任意である。または同時にタッチしてもよい。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい。
【0113】
すると、タッチパネル座標系における座標の値(座標値)が3つ入力される。
【0114】
媒体201の位置は、入力された3つの座標を結ぶことによりできる三角形を構成する3つの頂点が、全て特定できるように三角形の形状が形成されることにより、そのいずれかが代表点として特定される。なお、正三角形は、いずれの頂点が代表点であるか特定できない。
【0115】
媒体201の方向は、代表点を第1基準点、他のいずれかの頂点を第2基準点とし、第1基準点から第2基準点を結ぶ方向により特定される。また、第1基準点から第2基準点を結ぶ方向から、任意の方向で媒体201の方向を定義することができる。
【0116】
コード情報は、第1基準点と第2基準点の座標を基準に、他の点が相対的にどこに配置されるかによって特定される(
図17参照)。なお、第1基準点の座標を原点として、他の点の相対座標を求め(
図18参照)、その相対座標と対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。さらに、入力された3つの座標を結ぶことによりできる三角形の形状もしくは大きさ、またはその組み合わせと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定してもよい。また、3点のタッチの時間間隔をコード情報としてもよい。さらに、タッチした座標から求められるコード情報と組み合わせてもよい。
【0117】
<第5のキャリブレーション方法>
第5のキャリブレーション方法について説明する。
【0118】
図19に示すように、ユーザーは媒体201に印刷された4つのキャリブレーションマーク401が指示する位置に従い媒体をタッチする。媒体201をタッチする順番は任意である。または同時にタッチしてもよい。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい。
【0119】
すると、タッチパネル座標系における座標の値(座標値)が4つ入力される。
【0120】
媒体201の位置は、入力された4つの座標を結ぶことによりできる四角形を構成する4つの頂点が、全て特定できるように四角形の形状が形成されることにより、そのいずれかが代表点として特定される。なお、正四角形や長方形、平行四辺形などの線対象または点対称の四角形は、いずれの頂点が代表点であるか特定できない。
【0121】
媒体201の方向は、代表点を第1基準点、他のいずれかの頂点を第2基準点とし、第1基準点から第2基準点を結ぶ方向により特定される。また、第1基準点から第2基準点を結ぶ方向から、任意の方向で媒体201の方向を定義することができる。
【0122】
コード情報は、第1基準点と第2基準点の座標を基準に、他の2点が相対的にどこに配置されるかによって特定される(
図20参照)。なお、第1基準点の座標を原点として、他の2点の相対座標を求め(
図21参照)、その相対座標と対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定されてもよい。さらに、入力された4つの座標を結ぶことによりできる四角形の形状もしくは大きさ、またはその組み合わせと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定してもよい。また、4点のタッチの時間間隔をコード情報としてもよい。さらに、タッチした座標から求められるコード情報と組み合わせてもよい。
【0123】
なお、4点を超えるタッチ指示によるキャリブレーションにおいても同様に処理することにより、さらに多くのコード情報が特定されることは、言うまでもない。
【0124】
<第6のキャリブレーション方法>
第6のキャリブレーション方法について説明する。
【0125】
図22に示すように、ユーザーは媒体201の矢印のイメージにしたがい、指で媒体201をなぞる。すると、ユーザーが指でなぞって描画したイメージが入力される。もちろん、始点をタッチした後、なぞならないで、始点からの任意の位置をタッチして媒体の方向を入力してもよい。
【0126】
媒体201の位置は、ユーザーが媒体201に最初に触れてなぞり始めた位置の座標値を代表点として特定される。なお、ユーザーが媒体201をなぞり終えた位置の座標値を代表点としてもよいし、ユーザーが媒体201をなぞった軌跡上の所定の座標値を代表点としてもよい。
【0127】
媒体201の方向は、ユーザーが指を動かした方向により特定される。
図22では矢印により示す方向に指を動かすことにより、媒体201矢印の方向を向いているものとして認識される。したがって、媒体201の矢印の始点にはキャリブレーションマーク401を設けて始点をユーザーに示す必要がある。この始点を示すキャリブレーションマーク401は、手書き入力領域内に設けられてもよい。
【0128】
媒体201のコード情報は、手書き入力領域に入力されたイメージと対応付けられたコード情報を、記憶手段に格納されたコード情報テーブルを参照することにより特定される。
【0129】
媒体201の位置および方向を特定するためのイメージ入力操作と媒体201のコード情報を入力するためのイメージ入力操作は、それぞれ別のイメージを入力するものとするのが好ましい。
【0130】
<タッチパネル座標系から媒体座標系への変換方法>
タッチパネル座標系における座標値を媒体座標系の座標値へと変換する方法を、
図23を用いて説明する。
【0131】
前述のキャリブレーション時に代表点として入力されたタッチパネル座標系における座標値を(Xs,Ys)とする。
【0132】
また、そのキャリブレーション時に代表点として入力されたタッチパネル座標系における座標値を、媒体座標系で表現した座標値を(xs,ys)とする。
【0133】
一方、タッチパネルの座標系におけるY方向と、媒体の座標系におけるy方向とのなす角度をθとする。
【0134】
この場合において、ユーザーの指先でのタッチ位置が、タッチパネル座標系で表現すると(Xt,Yt)であるとする。
【0135】
この場合、媒体座標系におけるタッチ位置(xt,yt)は、以下の式で表される。
なお、αはタッチパネル座標系における単位長さに対する、媒体座標系の単位長さの比である。
【0136】
【0137】
このような演算処理を行うことにより、タッチパネル101上に媒体201がどのような位置、方向で配置されたとしても、その媒体201表面に印刷されたどの部位に指先でのタッチが行われたかを認識することが可能となる。
【0138】
<情報処理手段およびアプリケーション>
以下に、情報入力システムの構成要素の1つである情報処理手段301に実行させるアプリケーション(プログラム)について説明する。情報処理手段301においては以下の処理が実行される。
【0139】
<アプリケーションの起動>
アプリケーションの起動方法については、オペレーティングシステムが通常備える起動方法によりアプリケーションを起動する。
【0140】
なお、ユーザーがタッチパネル101に媒体201を載置し、後述のキャリブレーションを実行することにより、コード情報テーブルにおいてコード情報と対応付けられたアプリケーションが自動的に起動するものとしてもよい。
【0141】
<キャリブレーション・ステップ>
アプリケーションの起動後、情報処理手段301はキャリブレーション・ステップを実行する。このステップでは前述したキャリブレーション方法により、タッチパネル101に載置した媒体201の位置、方向およびコード情報を認識する。
【0142】
<媒体へのタッチ操作を受け付けるステップ>
キャリブレーションが完了すると、タッチパネル座標系における座標値は、前述の変換方法により、媒体座標系の座標値への変換が可能となり、ユーザーは媒体201をタッチする操作が可能となる。
【0143】
ユーザーが指先で媒体201の印刷面をタッチすると、タッチパネル座標系における座標値が入力され、媒体座標系の座標値に変換される。
【0144】
<座標値と対応した処理の実行>
情報処理手段301は記憶手段に格納されたテーブルを参照して、媒体座標系における座標値と対応付けられた処理を実行する。
【0145】
具体例を挙げると
図6の媒体座標系における「購入」と印刷された領域の座標をユーザーがタッチ操作により入力したときは、情報処理手段301はユーザーが選択した商品を購入する手続を開始する、そのような処理を実行する。
【0146】
なおユーザーの操作は媒体201を単純にタッチするだけでなく、媒体201上の手書き入力領域を指でなぞって(滑動して)、複数の座標値を入力する操作も含めることができる。したがって、テキストやイメージを認識して、それらと対応する処理を実行するものとしてもよい。
【0147】
<タッチパネル>
以下に、情報入力システムの構成要素の1つであるタッチパネル101について説明する。
【0148】
本発明に用いるタッチパネル101は静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル101の下部に表示手段102が設置されるかは問わない。
【0149】
<タッチパネルにカメラを設ける>
キャリブレーションを補助するため、タッチパネル101には
図24に示すようにカメラ103(光学読み取り手段)を設けてもよい。
【0150】
カメラ103はタッチパネル101の入力面全体を撮影して画像データを取得する。画像データはカメラ103内外の解析手段104に送信される。
【0151】
カメラ103は可視光を撮影する可視光カメラ103-A(図示はしない)であってもよいし、不可視光を撮影する不可視光カメラ103-B(図示はしない)であってもよい。不可視光カメラ103-Bは、媒体201に印刷された不可視のバーコード等を撮影するのに用いる。
【0152】
解析手段104は画像データを解析し、媒体201の位置、形状、大きさを認識する。また、媒体201に印刷されたバーコード等を解析してコード情報を認識する。この点については後述する。解析手段104は解析結果を情報処理手段301に送信する。
【0153】
なお、解析手段104に代えて情報処理手段301が画像データの解析を行ってもよい。
【0154】
<媒体>
以下に、情報入力システムの構成要素の1つである媒体201について説明する。
【0155】
<キャリブレーションマークの印刷>
媒体201の平面(ユーザーが接触する面)
図25を参照すると、媒体201にはキャリブレーションマーク401が印刷されている。キャリブレーションマーク401は、前述のキャリブレーション方法を実行するためにユーザーにタッチ位置を指示するマークである。なお、キャリブレーションマーク401の代わりの他の所定の方法で指示される位置でもよい。
【0156】
図25によればキャリブレーションマーク401はイメージにより表わされているが、テキストや、写真、イメージ(グラフィック)の所定の位置により表してもよい(
図8参照)。もちろん、可視化的にタッチ位置を指定しなくても、予め定めた媒体のコーナーや縁の所定の位置でもよい。
【0157】
また、キャリブレーションマーク401の印刷された位置そのものをタッチ位置とするか、あるいは矢印等のイメージをキャリブレーションマーク401として、キャリブレーションマーク401の示す位置をタッチ位置とするかは当業者が任意に選択して設計してよい。
【0158】
なお、キャリブレーションマーク401の一部または全部を印刷しない構成、または不可視とする構成としてもよい。この場合、キャリブレーション用のタッチ位置を知っている者だけが正しいキャリブレーションを行って媒体201を使用することができるようになる。すなわちキャリブレーションがユーザー認証の役割を持つこととなる。
【0159】
<媒体に孔をあける>
図26に媒体201に孔をあける実施例を示す。
図26では媒体201には貫通孔402が設けられている。
【0160】
貫通孔402はキャリブレーションマーク401に代えてユーザーにキャリブレーション用のタッチ位置を示すものである。ユーザーは現行のタッチパネルにおいて、貫通孔402を介して、媒体を介さないでタッチパネル101に直接タッチし、確実にタッチパネルにタッチしたことを認識できる。
【0161】
また、
図26にしめす貫通孔402aと貫通孔402bとでは孔の大きさは異なっており、ユーザーは孔の大きさでタッチする順番を理解できる。さらにユーザーがタッチパネル101に触れる面積を変えることにより、静電容量の大きさを異ならしめる。この場合、貫通項にタッチする順番をキャリブレーションマークやイメージで所定の位置を表すことや、各貫通孔の静電容量の大きさの違いを情報処理手段301は認識して、多数のコード情報を特定できたり、その他の操作指示など、様々な処理を実行することができる。
【0162】
なお、貫通孔402を設けた上でキャリブレーションマーク401を設け、これらの座標値のよりコード情報を認識させる構成としてもよい。
【0163】
<媒体に切り欠き>
図27に媒体201に切り欠き部を設ける実施例を示す。
図27では媒体201には切り欠き部403が設けられている。
【0164】
切り欠き部403はキャリブレーションマーク401に代えてユーザーにキャリブレーション用のタッチ位置を示すものである。ユーザーは貫通孔403を介してタッチパネル101に直接タッチするのと、同様な様々な処理を実行することができる。
【0165】
なお、切り欠き部403を設けた上でキャリブレーションマーク401、または貫通孔402を設け、これらの座標値のよりコード情報を認識させる構成としてもよい。
【0166】
<媒体裏面に滑り止めまたは粘着剤>
タッチパネル101に載置した媒体201がずれるのを防ぐため、媒体裏面(タッチパネル101と接触する面)には滑り止め加工または粘着加工を施すとよい。なお、媒体を載置面で滑らして、使用する場合は必要としない。
【0167】
<媒体にRFIDを設ける>
本件発明では媒体201の表面または内部にRFID202を設け、タッチパネル101にはRFIDリーダー105を設けることにより、キャリブレーションを補助することができる。
【0168】
RFID202はコード情報を記憶するものとし、キャリブレーションによらずに媒体201のコード情報を簡易に入力することができるようになる。
【0169】
媒体にRFIDを設ける構成については特許文献4に詳細な記載があるため、本明細書での詳細な説明は省略する。
【0170】
<媒体にバーコード等を印刷する>
本件発明では媒体201にバーコード等を印刷し、タッチパネル101にはカメラ103を設ける実施例について詳細に説明する。
【0171】
バーコード等とは、バーコード、QRコード(登録商標)、ドットパターン(特許第3706385号に記載)等の、所定のアルゴリズムに基づいて情報が定義可能なイメージを意味する。
【0172】
バーコード等は可視インクを用いて印刷するほか、不可視インクを用いて印刷してもよい。不可視インクを用いる場合、前述の不可視光カメラ103-Bにより撮影する必要がある。
【0173】
<媒体に導電体を設ける>
以下、キャリブレーションを補助するために媒体201に導電体203を設けた構成について説明する。
【0174】
ここで、導電体203の材質は指と同等の静電的な導電性のものである必要がある。具体的にはスポンジ、ゴム、その他に導電性繊維を用いたものが既に公知である。
【0175】
<導電体を設けた媒体その1>
媒体201の裏面(タッチパネル101と接する面)
図28によれば、媒体201の所定の4箇所(図中では左下隅、右下隅、左上隅、右上隅)に導電体203が設けられる。
【0176】
導電体203は破線により示すように、媒体201の外周に設けた導線205により電気的に接続されている。
【0177】
なお、各導電体203は体積を変えることにより静電容量の大きさを異ならせてもよい。この場合、各導電体203の静電容量の大きさの違いを情報処理手段301は認識して、各々異なった処理を実行することができる。
【0178】
媒体201の平面(ユーザがタッチして操作する面)
図29によれば、媒体201の所定の4箇所(図中では左下隅、右下隅、左上隅、右上隅)、すなわち導体部203の上部にキャリブレーションマーク401が設けられる。
【0179】
媒体201の断面
図30を参照すると、導体部203は導線205により電気的に接続されている。導線を媒体の表面に設けるか、内部に設けるかは当業者が適宜選択する。
【0180】
このような構成とすることにより、ユーザーはキャリブレーションマーク401のどれか1つにタッチすると、導電体203、導線205を介してタッチパネルへの4点のマルチタッチ入力が可能となる。
【0181】
この場合、情報処理手段301は前述のキャリブレーション方法のように媒体201を指で複数回タッチしてキャリブレーションすることなく、1度のタッチ操作で媒体201の位置、向き、およびコード情報を認識することができる。
【0182】
加えて、媒体201の位置が動いても、動く度に再度キャリブレーションできるため、カードを動かす操作による情報入力が可能となる。
【0183】
また、導電体203が、1カ所に配置された場合は、導電体203の静電容量の大きさ、ドット状に2カ所に配置された場合は、第1のキャリブレーションと同様に、配置された2点間の距離、ドット状に3カ所以上に配置された場合は、第2~5のキャリブレーションと同様、これらを頂点とする1つの閉多角形の形状により、媒体201のコード情報または、コード情報および媒体201の向きを定義することができる。
【0184】
<導電体を設けた媒体その2>
媒体201の裏面(タッチパネル101と接する面)
図31によれば、媒体201の所定の4箇所(図中では左下隅、右下隅、左上隅、右上隅)に導電体203が設けられる。
【0185】
なお、各導電体203は体積を変えることにより静電容量の大きさを異ならせてもよい。この場合、各導電体203の静電容量の大きさの違いを情報処理手段301は認識して、各々異なった処理を実行することができる。
【0186】
4つの導電体203は破線により示すように、格子状に設けた導線205により電気的に接続されている。導線205に代えて媒体201に金属箔206を設けることにより、4つの導電体203を電気的に接続してもよい。
【0187】
媒体201の断面
図32を参照すると、導体部203は導線205により電気的に接続されている。導線を媒体の表面に設けるか、内部に設けるかは当業者が適宜選択する。
【0188】
このような構成とすることにより、ユーザーは媒体201のどこか任意の位置をタッチすると、導電体203、導線205を介してタッチパネルへの4点のマルチタッチ入力が可能となる。
【0189】
この場合、情報処理手段301は前述のキャリブレーション方法のように媒体201を指で複数回タッチしてキャリブレーションすることなく、1度のタッチ操作で媒体201の位置、向き、およびコード情報を認識することができる。また、媒体201の位置が動いても、動く度に再度キャリブレーションできるため、カードを動かす操作による情報入力が可能となる。
【0190】
また、導電体203が、1カ所に配置された場合は、導電体203の静電容量の大きさ、ドット状に2カ所に配置された場合は、配置された2点間の距離、ドット状に3カ所以上に配置された場合は、これらを頂点とする1つの閉多角形の形状により、媒体201の
コード情報または、コード情報および媒体201の向きを定義することができる。
【0191】
<導電体をドットパターンとして印刷した媒体>
図33は導電体203をコード値および/または座標値が定義されたドットパターンとして、媒体201に設けた構成を示す図である。ドットパターンを用いた情報入出力の方法については特許文献1に詳細が記載されている。
【0192】
<指先によるタッチとの判別>
媒体201に導電体203を設ける構成において、タッチパネル101へのタッチ入力が、ユーザーの指先によるものか導電体203を介するものであるかの判別はユーザーの指先と導電体203との静電容量の大きさを情報処理手段301が認識することにより可能である。判別方法については特許文献5に詳細が記載されているので本明細書での説明は省略する。
【0193】
<実施例毎の組み合わせ>
上記説明した各実施例は適宜組み合わせて実施できるものである。例えば情報処理装置301がRFID202により媒体201のコード情報を認識し、導電体203により媒体201の位置と向きを認識する構成としてもよい。
【0194】
<導電体で形成された媒体>
図34~35は、導電性の材料、すなわち導電体で媒体を形成する構成について説明する図である。
【0195】
図28~33では、媒体自体は紙や合成樹脂等で形成し、その表面または内部に導電体を埋め込むことにより、導電体を設けた媒体を形成していた。
【0196】
本実施例では、導電体自体で媒体を形成したものである。すなわち、ユーザーの指先によりタッチされるタッチ層と導電体とが一体として形成されている。
【0197】
図34は、一部を導電体で形成した媒体を示す図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。同図(a)では、三角形を二つ重ね合わせた形状の内側が導電体で形成されており、外側は紙や樹脂等の通常の媒体材料で形成されている。
【0198】
ユーザーがタッチパネルに媒体を載置すると、情報処理手段は、導電体からの微弱電流により、導電体の形状および/または静電容量の大きさを認識する。これにより、導電体の形状と静電容量の大きさを媒体情報とすることが可能になる。また、導電体の形状を認識することが可能なため、導電体の形状を予め記憶手段に記憶させておけば、認識した導電体の形状と、記憶手段に記憶された導電体の形状との違いにより、媒体の位置および向きを認識することができる。そのため、ユーザーによるキャリブレーションが不要となるため、ユーザーにとってより操作が簡単で利便性の高い情報入力システムを提供することができる。
【0199】
図35は、媒体全部を導電体で形成した図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【0200】
ユーザーがタッチパネルに媒体を載置すると、情報処理手段は、導電体からの微弱電流により、導電体の形状および/または静電容量の大きさを認識する。これにより、導電体の形状と静電容量の大きさを媒体情報とすることが可能になる。また、導電体の形状、すなわち媒体の形状を認識することが可能なため、媒体の形状を予め記憶手段に記憶させておけば、微弱電流により認識した媒体の形状と、記憶手段に記憶された媒体の形状との違いにより、媒体の位置および向きを認識することができる。そのため、ユーザーによるキャリブレーションが不要となるため、ユーザーにとってより操作が簡単で利便性の高い情報入力システムを提供することができる。また、媒体全部が導電体であるため、媒体の一部を導電体とする場合に比べ、導電体の形状の認識が容易になり、プログラムの簡略化、操作処理の迅速化を図ることができる。
【0201】
なお、導電性材料としては、カーボンや金属(銅、ニッケル、スズ、アルミ等)がある。導電性材料を用いた導電体としては、アルミ箔、その他の金属箔、導電紙、導電糸等が挙げられる。導電紙とは、導電性を付与した紙であり、クリーン紙の中に後述の導電糸を練り込んだ導電性クリーンペーパー、クラフト紙にカーボンを練り込んだ導電性クラフト紙等がある。導電糸(導電性繊維)とは、電気の流れやすい金属やカーボン等の物質を混入して作られた、金属のように電気を通す特殊な糸である。具体的には、導電性カーボン、あるいは白色系金属酸化物を練り込んで作られるクラカーボ(登録商標)等がある。
【0202】
図36は、一部または全部が導電体である媒体において、導電体が導電糸である構成について説明する図である。(a)は媒体の一部を導電糸で構成した場合、(b)は媒体全部を導電糸で構成する場合について説明したものである。
【0203】
このように、導電糸を用いる場合は、導電糸を細かく織ることにより、媒体を形成する。
【0204】
図37~39は、導電体を用いた媒体の、さらに他の実施例を示す図である。
【0205】
図37は、一部が導電体である媒体の、さらに他の実施例を示す図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【0206】
同図の媒体では、ユーザーがタッチして操作するタッチ面には、一面全体に導電体が形成されている。一方、媒体の裏面(タッチパネル101と接する面)は、複数(同図では3個)の導電体が点状に配置されている。タッチ面の導電体と裏面の導電体とは、一体に形成されている。
【0207】
ユーザーがタッチパネルに媒体を載置すると、情報処理手段は、点状に3つ配置された導電体からの微弱電流を受け取る。すると、微弱電流を受け取った位置の、タッチパネル座標系における座標の値が3つ入力される。この3点を結ぶ線、すなわち3点を結んで形成される三角形の形状から、媒体の向きが決定される。また、3点のうち、特定の点を媒体の位置とする。さらに、3点を結んで形成される三角形の形状をコード情報とすることにより、コード情報が特定される。
【0208】
この後、ユーザーは媒体に対してタッチ操作を行い、情報処理手段は、ユーザーのタッチ操作に基づいた処理を実行する。これらの処理については、上述したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0209】
このような構成とすることにより、ユーザーによるキャリブレーションを行わなくても、媒体の位置、媒体の方向、コード情報が特定される。これにより、ユーザーによるキャリブレーションが不要となり、ユーザーにとってより操作が簡単で利便性の高い情報入力システムを提供することができる。
【0210】
図38は、全部が導電体である媒体の、さらに他の実施例を示す図であり、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【0211】
同図の媒体は、導電率が低い、すなわち静電容量の小さい第1の導電体(第1の特性を有する導電体)で形成されている。第1の導電体の一例としては、上述の導電紙が挙げられる。媒体の裏面(タッチパネル101と接する面)には、導電率が高い、すなわち静電容量の大きい第2の導電体(第2の特性を有する導電体)が、複数個(同図では3個)点状に配置されている。
【0212】
ユーザーがタッチパネルに媒体を載置すると、情報処理手段は、媒体からの微弱電流を受け取る。微弱電流は、第1の導電体からの微弱電流と第2の導電体からの微弱電流の2種類が流れており、第2の導電体からの微弱電流の方が大きい。情報処理手段は、第1の導電体と第2の導電体の静電容量の大きさを感知し、第2の導電体からの微弱電流を認識する。すると、微弱電流を受け取った位置の、タッチパネル座標系における座標の値が3つ入力される。この3点を結ぶ線、すなわち3点を結んで形成される三角形の形状から、媒体の向きが決定される。また、3点のうち、特定の点を媒体の位置とする。さらに、3点を結んで形成される三角形の形状をコード情報とすることにより、コード情報が特定される。
【0213】
この後、ユーザーは媒体に対してタッチ操作を行い、情報処理手段は、ユーザーのタッチ操作に基づいた処理を実行する。これらの処理については、上述したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0214】
このような構成とすることにより、ユーザーによるキャリブレーションを行わなくても、媒体の位置、媒体の方向、コード情報が特定される。これにより、ユーザーによるキャリブレーションが不要となり、ユーザーにとってより操作が簡単で利便性の高い情報入力システムを提供することができる。
【0215】
図39は、
図37の導電体、および
図38の第2の導電体(以下「導電体・第2の導電体」)の位置と、コード情報との関係を示す説明図である。
【0216】
3個の導電体・第2の導電体を結んで形成される三角形の形状により、コード情報を定義することができる。同図(a)は、底辺の長さを一定として、頂点の位置を変化させることによってコード情報を変化させている。例えば、頂点が最も上部にある場合をコード1として、それより所定距離垂直下方向に頂点をずらす毎に、コード2、コード3・・・コードnとなる。同図(b)は、底辺の長さを(a)よりも短くして、その長さを一定として、頂点の位置を変化させることによってコード情報を変化させている。例えば、頂点が最も上部にある場合をコード1-1として、それより所定距離垂直下方向に頂点をずらす毎に、コード1-2、コード1-3・・・コード1-nとなる。つまり、頂点の位置が同じであっても、底辺の長さが異なれば、コード情報が異なる。
【0217】
また、頂点の位置を一定として、底辺の長さを変化させることでコード情報を変化させることもできる。
【0218】
さらに、三角形の形状が一定であっても、導電体・第2の導電体の形を変化させることによって、コード情報を変化させてもよい。例えば、導電体・第2の導電体の大きさを変化させることによってコード情報を変化させることができる。また、導電体・第2の導電体の形状を四角形にしたり円形にしたりして変化させることによってコード情報を変化させることができる。
【0219】
なお、本実施例においては、導電体・第2の導電体の数は3個に限定されない。媒体の位置、向きおよびコード情報を特定できるものであれば、任意の個数でよいことはもちろんである。
【0220】
以上、媒体を形成する材料、導電体の形状、導電性の強さ、導電体を点状にして配置する方法等によって、媒体の向きや位置を認識できることについて説明した。
【0221】
本発明では、さらに、0から9までの数字を媒体に設け、その数字をユーザーがタッチすることにより、パスワードが入力できるようにしてもよい。
【0222】
また、
図37~39の実施例において、
図10等で説明した、ユーザーのタッチを行ってもよい。これにより、導電体・第2の導電体の位置に加えて、ユーザーのタッチの順番もコード情報とすることができる。つまり、導電体・第2の導電体の位置とユーザーのタッチの順番の組み合わせをコード情報とすることにより、より多くのコード情報を定義することができる。これにより、多くのコンテンツやアプリケーションを提供することが可能となり、柔軟性、多様性に富んだ情報入力システムを提供することができる。
【0223】
その他、上記説明した各実施例は適宜組み合わせて実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0224】
本発明はPCやAV機器、携帯電話、情報端末、ゲーム機、教育機器、ショッピング端末、広告端末、工作機械、印刷機械などのインターフェイスデバイスやシンクライアント端末として様々な産業上の利用可能性が考えられる。
【符号の説明】
【0225】
101 タッチパネル
102 表示手段
103 カメラ
103-A 可視光カメラ
103-B 不可視光カメラ
104 解析手段
105 RFIDリーダー
201 媒体
202 RFID
203 導電体
301 情報処理手段
401 キャリブレーションマーク
402 貫通孔
403 切り欠き部