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特開2022-67119成形システム、造形物支持部材、造形物支持部材の製造方法、三次元造形物収容方法、及び収容箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067119
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】成形システム、造形物支持部材、造形物支持部材の製造方法、三次元造形物収容方法、及び収容箱
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20220422BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220422BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220422BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220422BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/40
B33Y50/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032284
(22)【出願日】2022-03-03
(62)【分割の表示】P 2020009982の分割
【原出願日】2020-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】513246861
【氏名又は名称】株式会社Bfull
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】前田 直人
(57)【要約】
【課題】3Dプリンタによって成形された三次元造形物を安定して支持することのできる造形物支持部材を成形できる成形システムを提供する。
【解決手段】造形基体用三次元情報に従って3Dプリンタを作動制御することにより造形基体を成形する造形制御手段を備え、造形制御手段は、造形基体用三次元情報から、フィギュアを成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理して、支持部材用三次元情報を成形する支持部材用三次元情報生成処理と、支持部材用三次元情報に従って3Dプリンタを作動制御することにより、フィギュアを支持する造形物支持部材を成形させる造形物支持部材造形処理とを備えてなる成形システムである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタと、
所定の造形基体用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成された所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形させる造形制御手段と
を備えた三次元造形物を成形する成形システムにおいて、
前記造形制御手段は、
前記造形基体用三次元情報から、前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理して、前記ベース部と、前記複数の支柱部と、を成形する支持部材用三次元情報を生成する支持部材用三次元情報生成処理と、
前記支持部材用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記造形基体から取り出された前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する造形物支持部材を成形させる造形物支持部材造形処理と
を備えてなることを特徴とする成形システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の成形システムにより成形される造形物支持部材であって、
ベース部から一方へ立設された複数の支柱部が、三次元造形物の表面に当接される先端部を夫々備えてなるものであることを特徴とする造形物支持部材。
【請求項3】
3Dプリンタと、
所定の造形基体用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成された所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形させる造形制御手段と
を用いて、前記三次元造形物を支持するための造形物支持部材を製造する製造方法であって、
前記造形基体用三次元情報から、前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理して、前記ベース部と、前記複数の支柱部と、を成形する支持部材用三次元情報を生成する支持部材用三次元情報生成工程と、
前記支持部材用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記造形基体から取り出された前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する造形物支持部材を成形する造形物支持部材造形工程と
を備えていることを特徴とする造形物支持部材の製造方法。
【請求項4】
3Dプリンタを所定の造形基体用三次元情報に従って作動制御することによって、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成された所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形する造形基体造形工程と、
前記造形基体から前記三次元造形物を取り出す分離工程と、
前記分離工程により得た三次元造形物の表面を仕上げる仕上げ工程と
により製造される前記三次元造形物を、所定の収容箱に収容するための三次元造形物収容方法であって、
前記造形基体用三次元情報から前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理することにより生成された支持部材用三次元情報に従って、前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する前記造形物支持部材を成形する造形物支持部材成形工程と、
前記三次元造形物を、前記造形物支持部材造形工程により成形した造形物支持部材により支持させて、前記収容箱に収容する収容工程と
を備えてなることを特徴とする三次元造形物収容方法。
【請求項5】
前記請求項2に記載の造形物支持部材を備えた収容箱であって、
箱本体を備え、
前記造形物支持部材の支柱部の先端部が、前記三次元造形物の表面に当接した状態で、前記箱本体に前記前記造形物支持部材及び前記三次元造形物が収容される
ことを特徴とする収容箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタを用いた三次元造形物を支持する造形物支持部材を成形することのできる成形システム、該成形システムにより成形される造形物支持部材、造形物支持部材の製造方法、造形物支持部材を用いた三次元造形物の収容方法、及び前記三次元造形物が収容される収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形物を成形する装置として、従来から、光硬化性樹脂を積層することによって三次元造形物を成形する3Dプリンタが知られている。3Dプリンタにより三次元造形物を成形する場合には、例えば特許文献1に開示されているように、ベースとサポートとによって支持された三次元造形物を成形し、その後に該ベースとサポートとを取り除き、表面を仕上げる(研磨や塗装など)ことによって所望の三次元造形物を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-47623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の3Dプリンタにあっては、様々な形態の三次元造形物の製造に適用されており、例えば、三次元造形物としてフィギュア製品(人物、動物、空想生物など)の製造に好適に用いられている。こうしたフィギュア製品は、複雑な形態または様々なポージングのものが一般的であることから、局所的に強度や剛性の低い部位を有する場合があり、箱に収容する際や該箱から取り出す際に破損してしまう虞や輸送中に受ける衝撃によって破損してしまう虞があった。そのため、製品を梱包する際には、複数のパーツに分割して箱に収容していた。
【0005】
ところが、このように複数のパーツに分割して梱包すると、製品を受け取った購入者が、各パーツを組み立てねばならなくなる。そのため、組み立て方を示す説明書を同梱する必要があったり、購入者が組み立て時にパーツを破損させてしまったりするという問題があった。
【0006】
また、フィギュア製品は、その外観により購入者の購入意欲を刺激することから、複数のパーツに分かれた状態で届くと、フィギュア製品に対する購入者の満足感を減退させてしまう虞もあった。さらに、フィギュア製品は、輸送に用いられた箱に収容された状態でそのまま観賞用として飾られる場合もあるが、前述のように複数のパーツに分かれて該箱に収容されていると、購入者の求める外観と異なることから、購入者の満足感を得られないという問題もあった。
【0007】
一方、フィギュア製品の収容には、図10に示すように、当該フィギュア製品やそのパーツといった物品101を保護するブリスターパック110a,110bが利用される場合が多い。ブリスターパック110a,110bは、収容される物品101の表面形態に応じて形成された凹凸面111,112を夫々有する一対を成し、該物品101を該凹凸面111,112により挟持することで保護できる。ところが、箱内を視認可能な窓部を備えた収容箱に前記ブリスターパック110a,110bを用いて収容した場合には、該窓部側に位置する一方のブリスターパック110a(又は110b)の凹凸面111(又は112)が該窓部から入った光を反射し、当該収容箱内の物品101の視認性を妨げてしまうことがある。そのため、こうしたブリスターパックを用いた収容では、収容箱に収容した状態で飾った場合に、購入者の満足感を得られ難いという問題があった。また、ブリスターパックの凹凸形状を物品の複雑な凹凸形状に合致させることには限界があり、一対のブリスターパックで物品を挟持した状態でも物品の保持具合が不十分となってしまい、物品のがたつきにより依然として破損の虞があった。
【0008】
本発明は、前述した問題を解決し得るもの及び方法であり、3Dプリンタによって成形された三次元造形物を安定して支持することのできる造形物支持部材を成形できる成形システム、該成形システムにより成形される造形物支持部材、該造形物支持部材の製造方法、三次元造形物を所定の収容箱に収容する三次元造形物収容方法、および造形物支持部材により三次元造形物を収容する収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一発明は、3Dプリンタと、所定の造形基体用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成された所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形させる造形制御手段とを備えた三次元造形物を成形する成形システムにおいて、前記造形制御手段は、前記造形基体用三次元情報から、前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理して、前記ベース部と、前記複数の支柱部と、を成形する支持部材用三次元情報を生成する支持部材用三次元情報生成処理と、前記支持部材用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記造形基体から取り出された前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する造形物支持部材を成形させる造形物支持部材造形処理とを備えてなることを特徴とする成形システムである。
【0010】
かかる構成にあっては、造形基体と略同じ形態のベース部と支柱部とを備えた造形支持部材を3Dプリンタにより成形できる。ここで、3Dプリンタにより成形される造形基体は、該3Dプリンタの機能上、該造形基体のベース部と支柱部とにより三次元造形物を保持した状態で成形されたものであり、該ベース部と支柱部とが該三次元造形物の形状に応じて安定して保持し得るに足る十分な強度と剛性とを有する。こうしたことから、本発明の成形システムで成形される造形支持部材によれば、三次元造形物を安定して支持することができる。
【0011】
また、本発明の構成によれば、三次元造形物を支持する造形物支持部材を成形するために、新たな情報(プログラムなど)を生成する必要が無いことから、該造形物支持部材の製造にかかるコストと時間とを軽減できる。前述したように、フィギュア製品の収容には、各フィギュア製品に応じた形態のブリスターパックが利用されるが、本発明によれば、こうしたブリスターパックの使用割合を低減または不要とできることから、該ブリスターパックに要するコストを削減できる。さらに、ブリスターパックの使用割合を低減または不要とできれば、該ブリスターパックの凹凸面による光反射を抑制できることから、収容箱に収容された状態で、該収容箱の外部から視認し易くなるため、購入者の満足感を向上することができる。
【0012】
また、本発明の成形システムにより成形される造形物支持部材によれば、三次元造形物を支持した状態で輸送や保管用の収容箱に収容することによって、輸送中や保管中に該三次元造形物が破損してしまうことを抑制できる。さらに、三次元造形物を収容箱に収容する作業の際に、該三次元造形物が破損することも抑制できる。
【0013】
また、本発明の成形システムにより成形される造形物支持部材によれば、前述したように三次元造形物を安定して保持できることから、輸送や保管用の収容箱に収容する際に、複数のパーツに分割すること無く収容可能、又は複数のパーツに分割する場合にも分割数を抑制できる。これにより、三次元造形物の完成形態または該完成形態に略近い形態で購入者に届けることができるから、該購入者に届けられた際に、該購入者の満足感を十分に高めることができる。そして、購入者による三元造形物の組み立て作業が不要または該作業が低減されることから、該組み立て作業の際に破損を生ずることを抑制できるという利点もある。さらに、前記収容箱に収容した状態で飾る場合にも、購入者を十分に満足させることができる。
【0014】
本発明の第二発明は、前記成形システムにより成形される造形物支持部材であって、ベース部から一方へ立設された複数の支柱部が、三次元造形物の表面に当接される先端部を夫々備えてなるものであることを特徴とする造形物支持部材である。
【0015】
かかる構成にあっては、前記支柱部の先端部が前記三次元造形物の表面に当接することによって該三次元造形物を安定して支持することができる。
【0016】
ここで、支柱部は、三次元造形物の前記ベース部に対向する面に先端部が当接するものと、該ベース部に対向しない面に先端部が当接するものとを含む構成が提案される。かかる構成によれば、複数の支柱部により、三次元造形物を一層安定して支持することができる。尚、三次元造形物の、ベース部に対向する面は、換言すると、該ベース部側から視認容易な面と言えると共に、ベース部に対向しない面は、該ベース部側から視認困難または視認不能な面と言える。
【0017】
また、前記造形物支持部材は、隣り合う支柱部に差し渡された筋交い部を備えてなる構成が提案される。かかる構成によれば、各支柱部の強度と剛性とが向上するから、一層安定して三次元造形物を支持できる。なお、筋交い部は、例えば基杆部と基杆部よりも上側に形成された折曲杆部とからなる支柱部において、基杆部のみに設けられていることが望ましい。これにより、折曲杆部の可撓性を阻害することなく支柱部の強度と剛性を確保できる。なお、前記折曲杆部に近い基杆部の上端部にも筋交い部を配設しない場合には、より一層、支柱部全体の可撓性が富むことになる。
【0018】
また、前記支柱部の先端部が略球形である構成が提案される。かかる構成によれば、比較的複雑形状な表面形態の三次元造形物であっても安定して支持することができる。また、支柱部によって三次元造形物の表面を傷つけてしまうことも抑制できる。
【0019】
本発明の第三発明は、3Dプリンタと、所定の造形基体用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成して形成される所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形させる造形制御手段とを用いて、前記三次元造形物を支持するための造形物支持部材を製造する製造方法であって、前記造形基体用三次元情報から、前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理して、前記ベース部と、前記複数の支柱部と、を成形する支持部材用三次元情報を生成する支持部材用三次元情報生成工程と、前記支持部材用三次元情報に従って前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記造形基体から取り出された前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する造形物支持部材を成形する造形物支持部材造形工程とを備えていることを特徴とする造形物支持部材の製造方法である。
【0020】
かかる製造方法にあっては、前述した第一発明と同様の造形支持部材を安定して製造することができる。そして、本発明の製造方法で成形される造形支持部材によれば、三次元造形物を安定して支持することができる。このように第三発明の製造方法は、前述した第一発明と同様の作用効果を奏すると共に、該第一発明と同様の作用効果を奏し得る造形支持部材を安定して成形することができる。
【0021】
本発明の第四発明は、3Dプリンタを所定の造形基体用三次元情報に従って作動制御することによって、ベース部と、該ベース部から一方に立設された複数の支柱部と、各支柱部の先端に連成して形成された所望の三次元造形物とを具備する造形基体を成形する造形基体造形工程と、前記造形基体から前記三次元造形物を取り出す分離工程と、前記分離工程により得た三次元造形物の表面を仕上げる仕上げ工程とにより製造される前記三次元造形物を、所定の収容箱に収容するための三次元造形物収容方法であって、前記造形基体用三次元情報から前記三次元造形物を成形する三次元造形物用三次元情報を無効処理することにより生成された支持部材用三次元情報に従って、前記3Dプリンタを作動制御することにより、前記ベース部と、該ベース部から一方に立設され、前記三次元造形物の表面の複数部位に先端部が夫々当接される複数の支柱部と、を具備する前記造形物支持部材を成形する造形物支持部材成形工程と、前記三次元造形物を、前記造形物支持部材造形工程により成形した造形物支持部材により支持させて、前記収容箱に収容する収容工程とを備えてなることを特徴とする三次元造形物収容方法である。
【0022】
かかる方法にあっては、造形基体と略同じ形態のベース部と支柱部とを備えた造形支持部材を成形し、該造形基体から取り外した三次元造形物を該造形支持部材により支持させて収容箱に収容することから、該三次元造形物を安定して保持できる。詳述すると、造形基体のベース部と支柱部とは、前述したように該造形基体の三次元造形物を安定して保持し得るに足る十分な強度と剛性とを有することから、造形支持部材にあっても同様の強度と剛性とを有し、収容箱内で三次元造形物を安定して保持できる。このように三次元造形物を収容箱に収容して保持できることによって、輸送中や保管中に該三次元造形物が破損してしまうことを抑制できる。さらに、収容箱に収容する際または該収容箱から取り出す際に、誤って三次元造形物を破損してしまうことも抑制することができる。
【0023】
また、本発明の方法によれば、前記ブリスターパックの使用割合を低減または不要とできることから、該ブリスターパックに要するコストを削減できる。そして、ブリスターパックの使用割合を低減または不要とできれば、該ブリスターパックの凹凸面による光反射を抑制できることから、収容箱に収容された状態で、該収容箱の外部から視認し易くなるため、購入者の満足感を向上することができる。
【0024】
また、本発明の方法によれば、収容箱に収容する際に、三次元造形物を複数のパーツに分割すること無く収容可能、又は複数のパーツに分割する場合にも分割数を抑制できる。これにより、前述した第一発明と同様に、三次元造形物の完成形態または該完成形態に略近い形態で購入者に届けることができるから、該購入者の満足感を十分に高めることができる。そして、収容箱に収容した状態で飾る際にも、購入者を十分に満足させることができる。
【0025】
また、本発明の方法によれば、前述した第一発明と同様に、造形物支持部材を成形するための新たな情報を生成する必要が無いことから、造形物支持部材の製造コストと時間とを軽減できる。
【0026】
本発明の第五発明は、前記造形物支持部材を備えた収容箱であって、箱本体を備え、前記造形物支持部材の支柱部の先端部が、前記三次元造形物の表面に当接した状態で、前記箱本体に前記前記造形物支持部材及び前記三次元造形物が収容されることを特徴とする収容箱である。
【0027】
かかる構成によれば、前記三次元造形物を前記収容箱に収容した状態で輸送したり保管したりする際に、前記造形物支持部材により当該三次元造形物が支持されることから、輸送中や保管中に該三次元造形物が破損することを抑制できる。
【0028】
また、本発明の構成によれば、前記ブリスターパックの使用割合を低減または不要とできることから、該ブリスターパックの凹凸面による光反射が抑制され、収容された三次元造形物を外部から視認し易くなる。これにより、収容箱に収容したままの状態でも、購入者の満足感を向上させることができる。さらに、ブリスターパックの使用割合を低減または不要とできれば、該ブリスターパックに要するコストを削減できるという利点も生ずる。
【0029】
また、本発明の構成によれば、三次元造形物を造形物支持部材により安定した支持できることから、該三次元造形物を複数のパーツに分割すること無く収容可能、又は複数のパーツに分割する場合にも分割数を抑制できる。これにより、三次元造形物の完成形態または該完成形態に略近い形態で購入者に届けることができるから、該購入者の満足感を十分に高めることができる。そして、収容箱に収容した状態で飾る際にも、購入者を十分に満足させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の第一発明にかかる成形システムによれば、三次元造形物を安定して支持できる造形物支持部材を成形することができる。そして、三次元造形物の輸送や保管にかかるコストを削減できると共に、該三次元造形物を購入者に届けた際に該購入者の満足感を向上できるという利点も有する。
【0031】
本発明の第二発明にかかる造形物支持部材によれば、三次元造形物を安定して支持できる。これにより、いわゆる梱包材として使用することも可能となり、三次元造形物を輸送または保管する際に、該三次元造形物に破損が生ずることを抑制できる。
【0032】
本発明の第三発明にかかる造形物支持部材の製造方法によれば、前述した第一発明と同様の効果を奏する。
【0033】
本発明の第四発明にかかる三次元造形物収容方法によれば、収容箱内で該三次元造形物を安定して保持できるから、輸送中や保管中に該三次元造形物が破損することを抑制できる。
【0034】
本発明の第五発明にかかる収容箱によれば、三次元造形物を安定して収容できることから、輸送中や保管中に該三次元造形物が破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施例にかかる造形物支持部材によってフィギュアが支持された状態を示す斜視図である。
図2】実施例にかかる造形物支持部材によってフィギュアが支持された状態を示す横断面図である。
図3】実施例にかかる造形物支持部材によって支持されたフィギュアが収容箱に収容された状態を示す斜視図である。
図4】実施例にかかる成形システムのブロック図である。
図5】実施例にかかる造形基体の成形工程を示すフローチャートである。
図6】実施例にかかる造形物支持部材の成形工程を示すフローチャートである。
図7】(A)実施例にかかる造形基体の横断面図と、(B)フィギュアを取り出した状態を示す横断面図である。
図8】他の実施例にかかる造形物支持部材によってフィギュアが支持された状態を示す横断面図である。
図9】他の実施例にかかる支持部材によってフィギュアが支持された状態を示す横断面図である。
図10】従来のブリスターパックによって物品が支持された状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の成形システム、造形物支持部材、造形物支持部材の製造方法、三次元造形物収容方法、及び収容箱を具体化した実施例を詳細に説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0037】
図1に示すように、三次元造形物であるフィギュア1は、円板状の台座部3と該台座部3上に設けられた本体部2とが一体的に形成されたものである。前記フィギュア1を支持する造形物支持部材20は、該フィギュア1を後方から支持するものであり、該フィギュア1を支持した状態で後述する収容箱30の箱本体31の内部に収容される(図3)。
【0038】
前記造形物支持部材20は、平板形状のベース部21と、ベース部21の前面から前方に立設された複数の支柱部22,23と、隣合う支柱部22,23に差し渡された複数の筋交い部25とを備えてなる。ここで、筋交い部25が設けられていることにより、各支柱部22,23の強度と剛性とを向上できる。
【0039】
図2に示すように、直立支柱部である支柱部22は、ベース部21から前方へ直立状に設けられたものであり、主杆部22aと該主杆部22aの先端に設けられた球形状の先端部22bとから構成される。一方、折曲支柱部である支柱部23は、ベース部21から前方へ立設された基杆部23aと、該基杆部23aの先端から折曲された折曲杆部23bと、該折曲杆部23bの先端に設けられた球形状の先端部23cとから構成されている。尚、ベース部21から支柱部22が立設された前方が、本発明にかかる一方に相当する。
【0040】
こうした造形物支持部材20は、各支柱部22,23の先端部22b,23cが前記フィギュア1の表面に当接されることによって、該フィギュア1を支持する。ここで、造形物支持部材20は、フィギュア1の本体部2を支持する支柱部22,23と、該フィギュア1の台座部3を支持する支柱部22,23とを備えてなる。
【0041】
詳述すると、造形物支持部材20は、フィギュア1の後方に配されて該フィギュア1を支持するものであり、該フィギュア1の、ベース部21に対向する後部に先端部22b,23cが夫々当接される複数の支柱部22,23と、該ベース部21に対向しない側部に先端部23cが夫々当接される複数の支柱部23とを備えてなる。ここで、本実施例にあっては、前記支柱部22は、先端部22bがフィギュア1の後部(ベース部21に対向する面)に当接されるように、前記ベース部21の所定部位に設けられる。一方、前記支柱部23は、先端部23cがフィギュア1の後部(ベース部21に対向する面)に当接されるように前記ベース部21に設けられるものと、先端部23cがフィギュア1の側部(ベース部21に対向しない面)に当接されるように該ベース部21に設けられるものとがある。ここで、支柱部23は、前述したように基杆部23aと折曲杆部23bとにより折曲された形態を成すことから、先端部23cを、フィギュア1の側部と、該側部や後部の凹凸部とに当接できる。このように支柱部23がフィギュア1の側部を支持することから、該フィギュア1を側方へ移動不能に支持できる。
尚、フィギュア1の後部は、ベース部21に対向する部位であり、換言すれば、該ベース部21側から視認容易な面により構成される。一方、フィギュア1の後部を除く側部や前面部(又は、凹凸部の凹内面)は、ベース部21に対向しない部位であり、換言すれば、ベース部21側から視認不能または視認困難な面により構成される。
【0042】
また、造形物支持部材20は、前記フィギュア1を収容する収容箱30を構成するものであり、該収容箱30は、該造形物支持部材20と箱本体31とを備えたものである。そして、図3に示すように、造形物支持部材20が各支柱部22,23によりフィギュア1を支持した状態で、収容箱30の箱本体31の内部に収容されることにより、該フィギュア1を該箱本体31の内部に保持する。ここで、収容箱30の箱本体31は、直方体形状からなり、一側面部に箱内を視認可能な窓部32が設けられると共に、他の側面部に前記造形物支持部材20とフィギュア1とを入出可能な開閉口部(図示せず)が設けられている。そして、窓部32は、箱本体31の内部を視認可能な透明なフィルム(図示せず)により閉鎖されている。さらに、箱本体31は、その内部に、前記開閉口部から収容した前記造形物支持部材20を移動不能とする緩衝材が取り付けられている(図示せず)。この緩衝材は、造形物支持部材20を収容した状態で移動不能とすると共に、前記開閉口部から比較的容易に入出可能とするように設けられている。
【0043】
こうした収容箱30は、造形物支持部材20によりフィギュア1を支持して、該フィギュア1の前面部が箱本体31の窓部32に臨むように該箱本体31に収容されることにより、該フィギュア1を箱本体31の内部で移動不能に安定して保持することができる。この収容箱30によれば、ブリスターパックが無くても箱本体31の内部に収容された状態で安定して保持できる。そのため、収容箱30に収容した状態では、ブリスターパックの凹凸面による光の乱反射が発生しないため、フィギュア1を、窓部32を介してはっきりと視認でき、該フィギュア1を収容した状態における外観に優れる。また、ブリスターパックが不要なため、該ブリスターパックに要するコストを低減できる。
【0044】
次に、前記フィギュア1と造形物支持部材20とを成形する成形システム40、および該成形システム40によりフィギュア1と造形物支持部材20とを成形する工程について説明する。
【0045】
成形システム40は、図4に示すように、CPU、RAM、ROMを含むPCによって構成された制御部41と、キーボードやマウス等を備えた入力部42と、各種情報を表示するディスプレイを備えた表示部43と、PCから出力された情報を元に三次元造形物を成形する3Dプリンタ44と、を備えている。そして、制御部41には、三次元造形物用三次元情報に基づいて、3Dプリンタで造形基体を成形する公知のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0046】
先ず、前記成形システム40によるフィギュア1の成形工程を図5のフローチャートに従って説明する。
フィギュア1の成形工程としては、S100で、三次元造形物用三次元情報を前記制御部41に入力する工程を行う。ここで、三次元造形物用三次元情報は、前記フィギュア1の三次元情報を含み、前記アプリケーションソフトにより3Dプリンタで造形するために必要な情報である。この入力工程では、制御部41に三次元造形物用三次元情報が入力されると、前記表示部43でフィギュア1の外形が立体的に表示される。さらに、入力部42を操作することによって、フィギュア1の細部の確認及び修正が可能となっている。こうして入力された三次元造形用三次元情報は、制御部41に記憶される。
【0047】
続くS105では、前記S100で入力された三次元造形物用三次元情報に基づいて、フィギュア1を含む造形基体10を造形するために必要な造形基体用三次元情報を生成する工程を行う。この工程では、前記アプリケーションソフトにより前記造形基体用三次元情報を生成する処理が実行される。ここで、造形基体10は、図7(A)に示すように、フィギュア1、ベース部11、複数の支柱部12,13、および複数の筋交い部15から構成されており、3Dプリンタにより光硬化樹脂を積層することにより造形されるものである。そして、これらベース部11、複数の支柱部12,13、および複数の筋交い部15は、3Dプリンタによりフィギュア1を造形するために必須の構造である。
【0048】
造形基体10のベース部11は、フィギュア1の後方に配設される平板形状のものであり、前記造形物支持部材20のベース部21と同じ形態を成す。各支柱部12,13は、ベース部11から前方に夫々立設されて、一端がフィギュア1に連成され且つ他端がベース部11に連成される。そして、支柱部12は、ベース部11から直立状に立設されて先端部がフィギュア1の後部に連成されたものであり、前記造形物支持部材20の支柱部22と略同じ形態を成す。また、支柱部13は、ベース部11から立設された主杆部13aと該主杆部13aの先端から折曲された折曲杆部13bとから構成されて該折曲杆部13bの先端部がフィギュア1に連成されたものであり、前記造形物支持部材20の支柱部23と略同じ形態を成す。そして、各支柱部13は、フィギュア1の後部または側部に連成されている。また、筋交い部15は、隣合う支柱部12,13に差し渡されたものであり、前記造形物支持部材20の筋交い部25と同じ形態を成す。
【0049】
尚、S105で生成された造形基体用三次元情報は、制御部41に記憶される。
【0050】
続くS110では、前記S105で生成した造形基体用三次元情報に基づいて、制御部41から3Dプリンタ44に造形基体10を成形するためのコマンドが出力され、該3Dプリンタ44が当該コマンドに従って作動することにより当該造形基体10を成形する。ここで、制御部41から3Dプリンタへのコマンドの出力は、前記アプリケーションソフトが造形基体用三次元情報に基づいて実行する処理であり、該制御部41は、このコマンド出力により3Dプリンタを作動制御する。尚、3Dプリンタは、従来から公知のように、所定の光硬化樹脂が積層されることにより所望の造形物(本実施例における造形基体10)を成形する。
【0051】
前記S110で造形基体10が成形された後に、S115の分離工程を実行し、造形基体10からフィギュア1を取り出す。すなわち、図7(B)に示すように、造形基体10の、フィギュア1と各支柱部12,13とが連成された部位を夫々切断することにより、ベース部11と各支柱部12,13と筋交い部15とが一体化された部材と、該フィギュア1とを分離させる。
【0052】
このS115の後に、フィギュア1の表面を研磨や塗装によって仕上げる仕上げ工程(S120)を実行する。これにより、所望のフィギュア1を得る。
【0053】
フィギュア1を複数製造する場合には、前記したS105で記憶された造形基体用三次元情報を用いてS110~S120を繰り返す。これにより、所定数のフィギュア1を製造できる。
【0054】
尚、フィギュア1の成形工程にあって、前記S100からS110により3Dプリンタで造形基体10を成形させる処理を備えた制御部41が、本発明にかかる造形制御手段に相当する。また、前記S105及びS110が、本発明にかかる造形基体造形工程に相当する。また、S115が、本発明にかかる分離工程に相当し、S120が、本発明にかかる仕上げ工程に相当する。
【0055】
次に、前記成形システム40による造形物支持部材20の成形工程を図6のフローチャートに従って説明する。制御部41には、この成形工程を実行するためのプログラムが記憶されており、該プログラムに従って3Dプリンタ44を作動制御することより前記造形部支持部材20を成形する。すなわち、後述するS200~S210は、このプログラムにより夫々実行される処理である。
【0056】
S200では、前記フィギュア1の成形工程のS105で記憶された造形基体用三次元情報を読み込む処理を実行する。ここで、造形基体用三次元情報は、前述したように、フィギュア1、ベース部11、複数の支柱部12,13、および複数の筋交い部15から構成される造形基体10を成形するための情報である。
【0057】
続くS205では、前記S200で読み込んだ造形基体用三次元情報からフィギュア1の情報を消去(無効処理)して、造形物支持部材20を成形するための支持部材用三次元情報を生成する処理を実行する。ここで、フィギュア1の情報は、前記S100で入力された三次元造形物用三次元情報であり、該S100で記憶されている。S205では、この三次元造形物用三次元情報を読み込んで、前記造形基体用三次元情報から当該三次元造形物用三次元情報を消去する。こうして生成された支持部材用三次元情報は、造形基体10のベース部11と支柱部12,13と筋交い部15とを成形するための情報を含むものである。さらに、本実施例にあっては、S205で、支持部材三次元情報に、各支柱部に球形状の先端部を生成するための情報が加えられる。また、このS205では、支持部材用三次元情報を記憶する。
【0058】
続くS210では、前記S205で生成した支持部材三次元情報に基づいて、制御部41から3Dプリンタ44に造形物支持部材20を成形するためのコマンドを出力する処理を実行する。これにより、3Dプリンタは、当該コマンドに従って駆動して、造形物支持部材20を成形する。このように制御部41は、前記コマンドを出力することにより3Dプリンタを作動制御して、該3Dプリンタで前記造形物支持部材20を成形させる。
尚、本実施例にあっては、造形物支持部材20の成形には、透明な光硬化性樹脂を用いる。これにより、造形物支持部材20がフィギュア1を支持した状態で、該造形物支持部材20を目立たなくできる。
【0059】
こうして成形される造形物支持部材20は、前述したように造形基体用三次元情報からフィギュア1の情報を消去した支持部材用三次元情報により成形されたものであることから、前記造形基体10のベース部11と同じ形態のベース部21と、該造形基体10の支柱部12,13と略同じ形態の支柱部22,23と、該造形基体10の筋交い部15と同じ形態の筋交い部25とを備えた構成となる。
この造形物支持部材20を複数製造する場合には、前記S205で記憶された支持部材用三次元情報を用いてS210を繰り返し実行する。これにより、所定数の造形物支持部材20を製造できる。
【0060】
尚、造形物支持部材20の成形工程にあって、S200およびS205が、本発明にかかる支持部材用三次元情報生成処理に相当すると共に、本発明にかかる支持部材用三次元情報生成行程に相当する。また、S210が、本発明にかかる造形物支持部材造形処理に相当すると共に、本発明にかかる造形物支持部材造形工程に相当する。また、造形物支持部材20の成形工程(S200~S210)が、本発明にかかる造形物支持部材成形工程に相当する。
【0061】
このようにフィギュア1の成形工程(図5)と造形物支持部材20の成形工程(図6)とにより夫々成形されたフィギュア1と造形物支持部材20とは、前記収容箱30の箱本体31に収容される。
【0062】
すなわち、前述したように、造形物支持部材20は、フィギュア1の後方に配されて、各支柱部22,23の先端部22b,23cが該フィギュア1の後部と側部とに夫々当接されることにより、該フィギュア1を支持する(図1,2)。そして、フィギュア1と造形物支持部材20とを、該造形物支持部材20によりフィギュア1を支持した状態で、箱本体31の内部に収容される(図3)。こうしてフィギュア1が収容箱30に収容され、該収容された状態で該フィギュア1が安定して保持される。さらに、フィギュア1は、その前面部を箱本体31の窓部32に臨むように収容されることにより、該窓部32を介して外部から視認できる。
【0063】
ここで、収容箱30は、前述した従来構成のようにブリスターパックを使用しないことから、該プリスターパックの凹凸面による光の乱反射が発生しない。そのため、窓部32を介して外部からフィギュア1をはっきりと視認することができる。さらに、本実施例にあっては、前述したように、造形物支持部材20が透明であることから、窓部32から視た際に該造形物支持部材20が目立たず、フィギュア1の外観を際立たせることができる。
尚、フィギュア1を造形物支持部材20により支持して収容箱30の箱本体31に収容することが、本発明にかかる収容工程に相当する。
【0064】
また、造形物支持部材20は、前述したように、ベース部21と支柱部22,23と筋交い部25とが造形基体10と略同じ形態をなす構成であるから、フィギュア1の比較的強度や剛性の弱い部位(例えば、図1中に示すフィギュア1の脚部)を支持する支柱部22,23を有する。このようにフィギュア1が支持されることにより、輸送中や保管中に前記強度や剛性の弱い部位で破損してしまうことを防止できる。そのため、前記収容箱30に、フィギュア1を複数パーツに分離すること無く収容可能であり、該収容箱30に収容されたままでも、窓部32を介してフィギュア1を観賞することができる。そして、購入者に届けられた際に、該購入者は収容箱30からフィギュア1を取り出すこと無く楽しむことができる。したがって、本実施例の構成によれば、購入者の満足感を十分に満たすことができる。
【0065】
前述した実施例以外の別例として、例えば図8に示すように、造形物支持部材20は、フィギュア1の後部に窪んだ凹部51の内面に、支柱部23の先端部23cを当接させる支柱部23を備えた構成とすることができる。こうした別例の造形物支持部材20によれば、前記凹部51を有するフィギュア1を一層安定して支持できる。ここで、前記凹部51に当接される支柱部23は、前記S105により生成される造形基体用三次元情報に含まれる情報に基づいて成形されることから、当該支柱部23を備えた造形物支持部材20の成形は、該S105において当該情報を生成することにより実現できる。
尚、フィギュア1の後部に設けられた凹部51は、該フィギュア1の意匠の一部として形成されるものであっても良いし、前記造形物支持部材20により該フィギュア1を一層安定して支持するために該意匠と関係無く形成されるものであっても良い。
【0066】
また、前述の実施例では、造形物支持部材20が、各支柱部22,23によりフィギュア1の後部と側部とを支持する構成であるが、これに限らず、図9に示すように、フィギュア1の前面部を支持する支柱部23を備えた構成とすることもできる。さらには、フィギュア1の上部や下部を支持する支柱部23を備えた構成とすることもできる。こうしたフィギュア1の前面部、上部、および下部を支持する造形物支持部材20は、各部に設けられた凹部に当接されて支持する支柱部23を含むものであっても良い。また、適用可能な樹脂は、実施例に記載された樹脂に限定されず、他の種類の樹脂であっても良い。また、樹脂を適宜選定することにより、支柱部23等の可撓性を好ましいものとするようにしても良い。また、支柱部23の太さ(断面積)も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 フィギュア(三次元造形物)
2 本体部
3 台座
10 造形基体
11 ベース部
12,13 支柱部
15 筋交い部
20 造形物支持部材
21 ベース部
22,23 支柱部
22b,23c 先端部
25 筋交い部
30 収容箱
31 箱本体
40 成形システム
41 制御部
42 入力部
43 表示部
44 3Dプリンタ
51 凹部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10