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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067140
(43)【公開日】2022-05-02
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20220422BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220422BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039204
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2022503971の分割
【原出願日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】63/011,322
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊
(72)【発明者】
【氏名】大坂 智彦
(57)【要約】
【課題】ユーザの使い勝手を向上させることが可能な光学素子駆動装置を提供する。
【解決手段】光学素子駆動装置は、カメラ搭載装置に内蔵可能な光学素子駆動装置であって、光学素子を保持可能な可動部と、可動部を収容する筐体と、超音波モータを含み、可動部を筐体に対して駆動する駆動部と、駆動部に入力される入力電圧を昇圧させて超音波モータに供給するインダクタを有する昇圧部と、を備え、超音波モータは、入力電圧により振動する圧電素子と、圧電素子の振動に共振する共振部とを有しており、インダクタは、カバー部により覆われている。
【選択図】図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ搭載装置に内蔵可能な光学素子駆動装置であって、
光学素子を保持可能な可動部と、
前記可動部を収容する筐体と、
超音波モータを含み、前記可動部を前記筐体に対して駆動する駆動部と、
前記駆動部に入力される入力電圧を昇圧させて前記超音波モータに供給するインダクタを有する昇圧部と、を備え、
前記超音波モータは、前記入力電圧により振動する圧電素子と、前記圧電素子の振動に共振する共振部とを有しており、
前記インダクタは、カバー部により覆われている、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記共振部には、前記圧電素子が配置される胴部と、前記胴部から延在する2つの振動子とが設けられる、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記カバー部は箱状に構成される、
請求項1または請求項2に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記インダクタを配置する基板部を備え、
前記基板部は、前記インダクタを配置する昇圧配置部を有しており、
前記カバー部が前記昇圧配置部に対応して配置される、
請求項1~3の何れか1項に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
前記筐体は蓋部材を有する、
請求項1~4の何れか1項に記載の光学素子駆動装置。
【請求項6】
前記昇圧部は、第1インダクタおよび第2インダクタを有し、
前記駆動部は、2つの超音波モータを有し、
前記第1インダクタに接続される配線および前記第2インダクタに接続される配線は、互いに分離して、2つの超音波モータの何れかに接続される、
請求項1~5の何れか1項に記載の光学素子駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の薄型のカメラ搭載装置に搭載されたカメラモジュールが知られている。このようなカメラモジュールは、被写体像の拡大または縮小を行うズーム機能を有するレンズ駆動装置(光学素子駆動装置)を備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被写体からの光が入射される固定レンズと、固定レンズにより屈曲した光が入射される2つの可動レンズと、2つの可動レンズを光軸の方向に移動させるレンズ駆動部とを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-36416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レンズ駆動装置の小型化の観点から、可動レンズの駆動源として圧電素子を含む超音波モータを用いることが検討されている。超音波モータを駆動するためには、比較的大きな駆動電圧が必要となる。レンズ駆動装置における入力電圧は、薄型のカメラ搭載装置においては比較的小さいので、インダクタを用いて当該入力電圧を昇圧させて超音波モータに供給する必要がある。
【0006】
しかしながら、カメラ搭載装置に、レンズ駆動装置とは別にインダクタを配置するスペースが必要となる。また、インダクタは個々のばらつきが大きいので、ユーザがレンズ駆動装置との関係性を考慮して別途調整する必要も生じる。つまり、超音波モータを用いるレンズ駆動装置はユーザにとって使い勝手の悪いものとなるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、ユーザの使い勝手を向上させることが可能な光学素子駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
カメラ搭載装置に内蔵可能な光学素子駆動装置であって、
光学素子を保持可能な可動部と、
前記可動部を収容する筐体と、
超音波モータを含み、前記可動部を前記筐体に対して駆動する駆動部と、
前記駆動部に入力される入力電圧を昇圧させて前記超音波モータに供給するインダクタを有する昇圧部と、を備え、
前記超音波モータは、前記入力電圧により振動する圧電素子と、前記圧電素子の振動に共振する共振部とを有しており、
前記インダクタは、カバー部により覆われている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを簡易的に示す図である。
図2】本実施の形態に係るカメラモジュールを側面視した構成を簡易的に示す図である。
図3】カメラモジュールの筐体部分を示す斜視図である。
図4】カメラモジュールの筐体部分における底壁部側の斜視図である。
図5】筐体とレンズ部との分解斜視図である。
図6】筐体における側壁部と底壁部との分解斜視図である。
図7】筐体をZ方向+側から見た図である。
図8】筐体の内側を、X方向の-側から見た図である。
図9】被ガイド部を示す図である。
図10】レンズ部とフレームとの接続部分を示す図である。
図11】被ガイド部と介在部との分解斜視図である。
図12A】マグネットと位置検出部との位置関係を説明するための図である。
図12B】マグネットと位置検出部との位置関係を説明するための図である。
図12C】マグネットと位置検出部との位置関係を説明するための図である。
図13A】介在部とガイド軸との位置関係の調整を説明するための図である。
図13B】介在部とガイド軸との位置関係の調整を説明するための図である。
図14】第2介在部材を示す図である。
図15】介在部と超音波モータとの配置関係を示す図である。
図16】超音波モータの斜視図である。
図17】超音波モータの分解斜視図である。
図18】共振部と介在部との接触部分の拡大図である。
図19】ガイド部の構成を説明するための図である。
図20】ガイド部の構成を説明するための図である。
図21A】筐体における端子部、基板部および昇圧配置部の部分の拡大図である。
図21B】筐体における基板部および昇圧配置部の部分の拡大図である。
図22】端子部を示す図である。
図23】基板部を示す図である。
図24】筐体における基板部を外した状態を示す図である。
図25】第4壁、第1基板、第2基板およびレンズユニットとの位置関係を示す図である。
図26】基板部の裏側を示す図である。
図27】昇圧部の分解斜視図である。
図28】変形例に係るカメラモジュールを簡易的に示す図である。
図29】変形例に係るカメラモジュールを簡易的に示す図である。
図30】変形例に係るカメラモジュールを簡易的に示す図である。
図31A】カメラモジュールを搭載したスマートフォンを示す図である。
図31B】カメラモジュールを搭載したスマートフォンを示す図である。
図32A】カメラモジュールを搭載した自動車を示す図である。
図32B】カメラモジュールを搭載した自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るカメラモジュール1を簡易的に示す図である。図2は、本実施の形態に係るカメラモジュール1を側面視した構成を簡易的に示す図である。
【0012】
カメラモジュール1は、例えばスマートフォンM(図31A図31B参照)、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラなどの薄型のカメラ搭載装置に搭載される。
【0013】
本実施の形態のカメラモジュール1の構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュール1は、カメラ搭載装置で実際に撮影が行われる場合に、例えばX方向が左右方向、Y方向が上下方向、Z方向が前後方向となるように搭載される。被写体からの光は、Z方向-側(マイナス側)から入射し、屈曲してY方向+側(プラス側)へと導光される。カメラモジュール1のZ方向の厚さを薄くすることにより、カメラ搭載装置の薄型化を図ることができる。
【0014】
図1に示すように、カメラモジュール1は、筐体10と、反射駆動部20と、レンズ部30と、撮像部40と、支持軸50(図3参照)と、レンズ駆動部60(図5参照)と、位置検出部70(図10参照)と、駆動制御部100と、端子部130と、基板部140と、昇圧部150(図7参照)とを備える。
【0015】
駆動制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働してレンズ駆動部60を集中制御する。これにより、駆動制御部100は、筐体10に収容されるレンズ部30の後述する第2レンズユニット32および第3レンズユニット33をY方向(光軸の方向)に駆動する。その結果、カメラモジュール1は、無段階光学ズームおよびオートフォーカスを行う。筐体10、支持軸50、レンズ駆動部60、位置検出部70、駆動制御部100、端子部130、基板部140および昇圧部150は、本発明の「光学素子駆動装置」に対応する。
【0016】
また、図2に示すように、カメラモジュール1では、入射光L1が反射駆動部20を介して筐体10に入射される。反射駆動部20は、反射筐体21、ミラー22および反射駆動制御部23を有する。図1および図2に示す例では、反射筐体21は、筐体10のY方向の-側の端部と隣接して配置されている。ミラー22は、反射筐体21内に設けられ、入射光L1を反射光L2として筐体10に向けて反射する。反射駆動制御部23は、CPU、ROM、RAM等を備えており、ミラー22の向きを制御する。
【0017】
また、本実施の形態に係るミラー22は、X方向およびY方向に延びる2つの回転軸(不図示)を有している。反射駆動部20では、反射駆動制御部23の制御の下、当該回転軸を中心にミラー22が回転する。これにより、カメラモジュール1は、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減する振れ補正機能(OIS(Optical Image Stabilization)機能)を有する。
【0018】
筐体10内に入射した反射光L2は、筐体10内に収容されるレンズ部30を介して撮像部40に出力される。
【0019】
撮像部40は、筐体10のY方向の+側の外側面(後述する第2壁112の配置部112B)に配置されており、レンズ部30を介して反射光L2が入射するように構成されている。撮像部40は、撮像素子および基板等(不図示)を有する。
【0020】
撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。撮像素子は、基板に実装され、ボンディングワイヤーを介して基板上の配線に電気的に接続される。撮像素子は、レンズ部30により結像された被写体像を撮像し、被写体像に対応する電気信号を出力する。
【0021】
また、撮像部40の基板には、プリント配線基板(不図示)が電気的に接続され、このプリント配線基板を介して撮像素子への給電および撮像素子で撮像された被写体像の電気信号の出力が行われる。当該電気信号は、カメラ搭載装置に設けられる撮像制御部200に出力される。撮像制御部200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、カメラモジュール1で得られた画像情報を処理する。撮像制御部200は、カメラ搭載装置に搭載されていれば良いが、カメラモジュール1に内蔵されていても良い。
【0022】
図3に示すように、筐体10は、レンズ部30、支持軸50およびレンズ駆動部60(図5も参照)を収容しており、例えば全体として直方体形状を有する。筐体10は、側壁部11と、底壁部12(図4参照)とを有する。
【0023】
側壁部11は、Y方向-側に開口する部分を有する、例えば樹脂製の壁部であり、第1壁111、第2壁112、第3壁113および第4壁114を有する(図7等も参照)。
【0024】
第1壁111は、Y方向に延びて構成され、X方向の両側において一対設けられている。一対の第1壁111のうち、X方向の+側の第1壁111における筐体10の内側面には、後述する超音波モータが配置される配置部111Aが設けられている。配置部111Aは、X方向の+側の第1壁111においてY方向の中央部の両側にそれぞれ設けられている。X方向の+側の第1壁111は、本発明の「側壁」に対応する。
【0025】
また、図4に示すように、X方向の+側の第1壁111には、端子配置部111Cが設けられている。端子配置部111Cには、例えば第1壁111と底壁部12との間に形成された隙間を介して筐体10の内外にわたって配置される端子部130が配置される(図7等参照)。当該端子部130の筐体10の外側に配置された部分は、カメラ搭載装置の所定の配線と接続される。
【0026】
また、第1壁111の底面(Z方向の-側の面)には、底壁部12の位置決め部121が係合する被係合部111Bが形成されている。
【0027】
図3および図4に示すように、第2壁112は、X方向に延びて構成され、一対の第1壁111のY方向の+側の端部を接続するように設けられている。また、第2壁112における天面(Z方向の+側の面)の部分には、支持軸50を支持する支持部112AがX方向の両側にそれぞれ設けられている。第2壁112の外側面には、撮像部40が配置される配置部112Bが設けられている。
【0028】
また、第2壁112の配置部112B内には、ガイド支持部112Cおよび開口部112Dが設けられている。本実施の形態では、ガイド支持部112Cは、後述するガイド軸81,82を支持する孔であり、配置部112B内における開口部112DよりもX方向の+側に設けられている。ガイド支持部112Cは、Z方向に並んで2つ設けられている。開口部112Dは、レンズ部30の第4レンズユニット34が嵌合する開口であり、配置部112B内におけるX方向の中央部に設けられている。
【0029】
図3および図5に示すように、第3壁113は、一対の第1壁111のY方向の-側の端部のそれぞれに設けられている。一対の第3壁113は、第1壁111と第2壁112とで構成される空間を囲うように、それぞれ設けられる。一対の第3壁113の間には、レンズ部30の第1レンズユニット31が入り込める程度の間隔があけられており、各第3壁113のZ方向の-側の端部を架橋する架橋部113Aが設けられている。
【0030】
また、一対の第3壁113の天面(Z方向の+側の面)には、支持軸50を支持する支持部113Bが設けられている。X方向の+側の第3壁113のZ方向の中央部付近には、後述するガイド軸81,82を支持するガイド支持部113Cが設けられている。
【0031】
ガイド支持部113Cは、Z方向の長さが、上述した第2壁112における2つのガイド支持部112Cの配置範囲に対応する長さで構成された長孔である。ガイド支持部113Cは、第2壁112における2つのガイド支持部112Cのそれぞれに支持されたガイド軸81,82を支持可能となっている。
【0032】
図5に示すように、第4壁114は、各第1壁111、第1壁111に対応する第3壁113および第2壁112で構成される空間の底壁を構成しており、X方向において第3壁113に対応する領域に設けられている(図7も参照)。そのため、X方向の両側の第4壁114の間には、間隔があけられている。第4壁114は、本発明の「底壁」に対応する。
【0033】
図4図6に示すように、底壁部12は、筐体10のZ方向の-側の壁を構成する例えば略矩形状の金属板であり、X方向の両側の第4壁114および一対の第1壁111を架橋するように設けられている。つまり、底壁部12は、第4壁114における第1壁111とは反対側において、第4壁114を覆うように配置される。
【0034】
底壁部12は、インサート成形により、一対の第1壁111の底部を含む側壁部11の底面部分と一体化されている。また、第1レンズユニット31に対応する部分に底壁部12の部分が存在しないように、底壁部12のY方向の-側の端部の部分が切り欠かれている。
【0035】
底壁部12のX方向の両側端には、位置決め部121が設けられている。位置決め部121は、底壁部12の両側端から突出して設けられており、上述した第1壁111の被係合部111Bと係合する。これにより、底壁部12のY方向における位置決めを行うことができる。
【0036】
また、底壁部12の位置決め部121は、グランドに接続された部材(例えば筐体10の蓋部材(不図示))と接続されている。そのため、底壁部12は、接地されている。
【0037】
また、図6に示すように、底壁部12におけるX方向およびY方向の側端には、折り曲げ部122が設けられている。折り曲げ部122は、当該側端をZ方向の+側に折り曲げることにより設けられる。
【0038】
また、筐体10の折り曲げ部122に対応する部分には、折り曲げ部122が入り込む溝(不図示)が形成されている。この溝に折り曲げ部122が入り込むことにより、底壁部12が筐体10に固定される。
【0039】
また、底壁部12の面には、Y方向に並ぶ複数のハーフパンチ123が形成されている。ハーフパンチ123は、底壁部12のX方向にわたって設けられている。本実施の形態では、合計5つのハーフパンチ123が設けられている。
【0040】
このようにハーフパンチ123を設けることにより、筐体10の底壁部分の強度を向上させることができる。
【0041】
図3および図5に示すように、レンズ部30は、反射駆動部20からの反射光L2(図2参照)が通過する領域を含む、一対の第1壁111で挟まれた領域に設けられている。レンズ部30は、Y方向に並んで配置された第1レンズユニット31、第2レンズユニット32、第3レンズユニット33および第4レンズユニット34を有する。レンズ部30は、本発明の「光学部」に対応する。
【0042】
第1レンズユニット31は、反射光L2の入射方向(Y方向の+側に向かう方向)の最上流側に配置され、筐体10における一対の第3壁113の間に固定される。
【0043】
第1レンズユニット31の側面は、例えばZ方向の中央部分が凸になるように湾曲して構成されて構成されている。第3壁113の第1レンズユニット31側の側面は、例えば、第1レンズユニット31の側面に沿う形状を有しており、第1レンズユニット31の湾曲部分が嵌まるように構成されている。これにより、第1レンズユニット31が一対の第3壁113の間に固定される。
【0044】
第2レンズユニット32は、入射方向において第1レンズユニット31よりも下流側に配置されており、本体部32Aおよび被支持部32Bを有する。第3レンズユニット33は、入射方向において第2レンズユニット32よりも下流側に配置されており、本体部33Aおよび被支持部33Bを有する。第2レンズユニット32は、本発明の「第1の可動部」に対応し、第3レンズユニット33は、本発明の「第2の可動部」に対応する。
【0045】
各本体部32A,33Aは、第1レンズユニット31を通過した光が通るレンズを保持する部分である。被支持部32B,33Bは、支持軸50に移動可能に支持される部分であり、各本体部32A,33AのX方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0046】
第2レンズユニット32の本体部32Aに含まれるレンズは、本発明の「第1の光学素子」に対応する。第3レンズユニット33の本体部33Aに含まれるレンズは、本発明の「第2の光学素子」に対応する。
【0047】
第4レンズユニット34は、入射方向の最下流側に配置されており、レンズを含んで構成されている。第4レンズユニット34は、筐体10の第2壁112に隣接する位置において、支持軸50に支持されている。また、図4に示すように、本実施の形態では、第4レンズユニット34のY方向の+側の面には、凸部34Aが設けられている。
【0048】
なお、第1~第4レンズユニット31~34におけるレンズは、光学素子駆動装置の製造時に筐体10に組み付けられても良いし、光学素子駆動装置からカメラモジュール1を製造する際に筐体10に組み付けられても良い。
【0049】
凸部34Aは、第2壁112の開口部112Dに嵌合可能な大きさを有している。この凸部34Aが開口部112Dに嵌合することで、第4レンズユニット34が筐体10に固定される。
【0050】
図3および図5に示すように、支持軸50は、例えばステンレス等で構成されている。支持軸50は、Y方向に延びており、一対の第3壁113の領域のそれぞれに設けられている。各支持軸50は、本実施の形態では互いに等しい長さで構成されており、第3壁113の支持部113Bと第2壁112の各支持部112Aとに支持されている。
【0051】
レンズ駆動部60は、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33のそれぞれに対応して設けられ、上述の駆動制御部100の制御の下、対応する第2レンズユニット32および第3レンズユニット33の何れかを独立して移動させる。レンズ駆動部60は、X方向の+側における、第1壁111、第2壁112および第3壁113に囲まれる第4壁114の領域に配置されている。つまり、図7に示すように、レンズ駆動部60は、筐体10の、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33における光軸Oを挟む両端のうち、一端側に配置されている。
【0052】
本実施の形態では、2つのレンズ駆動部60は、Y方向に並んで設けられている。Y方向の-側のレンズ駆動部60は、第2レンズユニット32をY方向に駆動し、Y方向の+側のレンズ駆動部60は、第3レンズユニット33をY方向に駆動する。つまり、Y方向の-側のレンズ駆動部60は、本発明の「第1の駆動部」に対応し、Y方向の+側のレンズ駆動部60は、本発明の「第2の駆動部」に対応する。
【0053】
各レンズ駆動部60は、本実施の形態では略同一の構成を有しているので、以下の説明では、特に断りがない場合、第2レンズユニット32に対応するレンズ駆動部60のみを説明し、第3レンズユニット33に対応するレンズ駆動部60については説明を省略する。また、各レンズ駆動部60は、本実施の形態ではY方向において対称配置されているので、第3レンズユニット33に対応するレンズ駆動部60におけるY方向の+側および-側の関係が、第2レンズユニット32に対応するレンズ駆動部60におけるY方向の+側および-側の関係と逆になる。
【0054】
レンズ駆動部60は、フレーム61と、接続部62と、介在部63と、超音波モータ64と、ガイド部80とを有する。
【0055】
フレーム61は、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33の被支持部32B,33Bの何れか一方に接続部62を介して接続されている。
【0056】
フレーム61は、ガイド部80が光軸Oの方向(Y方向)への移動をガイドすることにより、光軸Oの方向に移動可能に構成されている。フレーム61が光軸Oの方向に移動することで、接続部62を介してフレーム61に接続される第2レンズユニット32または第3レンズユニット33も支持軸50に沿って移動するようになっている。
【0057】
図8および図9に示すように、フレーム61は、被ガイド部611と、マグネット保持部612とを有する。被ガイド部611は、ガイド部80によりフレーム61におけるY方向の移動をガイドされる部分であり、X方向における、ガイド部80に対応する位置に設けられている。被ガイド部611は、第1部分611Aと、第2部分611Bと、第3部分611Cと、第4部分611Dとを有する。
【0058】
第1部分611Aは、フレーム61の天面(Z方向の+側の面)を構成する部分であり、光軸の方向(Y方向)に延びて構成されている。第1部分611Aは、ガイド部80をZ方向の+側から覆うように設けられる。
【0059】
また、第1部分611AのZ方向の+側の表面には、接続部62(図7参照)が設けられている。図10に示すように、接続部62は、フレーム61のZ方向の+側の表面、および、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33の被支持部32B,33Bの何れかの、Y方向の-側の表面に固定される板状のバネ部材(弾性部材)である。接続部62がバネ部材で構成されることで、製造公差等によってフレーム61と、被支持部32B,33Bとの位置関係がずれても、バネ部材の弾性力によって位置関係のずれを吸収することができる。
【0060】
図8図10に示すように、第2部分611Bは、第1部分611AのY方向の-側の端部(第1部分611Aの一端)からZ方向(所定方向)の-側に延出して、第1ガイド軸81および第2ガイド軸82を支持する部分である。
【0061】
第2部分611Bには、Y方向に貫通する軸孔611Eが形成されている。軸孔611Eは、後述する第1ガイド軸81に対応する位置に設けられており、第1ガイド軸81が通される。
【0062】
また、第2部分611BにおけるZ方向の-側の端部には、軸係合部611Fが形成されている。軸係合部611Fは、後述する第2ガイド軸82と係合可能な位置に設けられており、第2ガイド軸82にZ方向の+側から係合する。
【0063】
第3部分611Cは、第1部分611AのY方向の+側の端部(第1部分611Aの他端)からZ方向の-側に延出して第2ガイド軸82を支持する部分である。より詳細には、第3部分611Cは、Z方向の-側の端部が第2ガイド軸82と所定間隔があく位置まで延出する。
【0064】
第3部分611Cには、Y方向に貫通する軸孔611Gが形成されている。軸孔611Gは、第1ガイド軸81に対応する位置に設けられており、第1ガイド軸81が通される。
【0065】
第4部分611Dは、第1部分611AのX方向の+側の端部から延出する部分である。第4部分611Dは、第1部分611AのY方向全体にわたって設けられており、ガイド部80をX方向の+側から覆うように配置される。
【0066】
また、第4部分611Dとガイド部80(第2ガイド軸82)との間には、吸収部613が設けられている。吸収部613は、バネ部材で構成されており、第4部分611Dと第2ガイド軸82との間に配置されている。吸収部613は、第4部分611Dに対して第2ガイド軸82をX方向の-側に付勢している。これにより、吸収部613は、フレーム61とガイド部80との位置関係のずれを吸収する。
【0067】
図10および図11に示すように、マグネット保持部612は、位置検出用のマグネット部614を保持する部分であり、第4部分611DのZ方向の-側の端部からX方向の-側に延びている。
【0068】
マグネット保持部612のZ方向の-側の端部には凹部612Aが形成されており、凹部内にマグネット部614が保持されている。また、筐体10におけるマグネット部614と対向する部分には、位置検出部70が設けられている。
【0069】
位置検出部70は、例えば、フレーム61のY方向の位置を検出するホール素子であり、所定の基準位置に基づいてマグネット部614の位置を検出する。所定の基準位置は、2つのマグネット614A,614Bのそれぞれに対して共通の位置であり、例えば底壁部12のY方向の+側または-側の端部等、適宜な位置に設定される。
【0070】
マグネット部614において、一方のマグネット614Aは、N極が位置検出部70に対向するように配置され、他方のマグネット614Bは、S極が位置検出部70に対向するように配置されている。つまり、2つのマグネット614A,614Bは、マグネット部614と位置検出部70とが対向する方向(本実施の形態ではZ方向)に沿った方向で、かつ、異なる極が位置検出部70に対向するように、それぞれ着磁されている。
【0071】
マグネット614A,614Bは、互いに接触した状態で配置されている。このため、マグネット部614における位置検出部70との対向面614Cには、異なる極が隣接して配置されている。
【0072】
また、図12A図12Bおよび図12Cに示すように、マグネット部614は、Y方向に対して傾斜させて配置されている。つまり、マグネット部614における異なる極間の境界614Dは、光軸(Y方向)に対して傾斜して延びている。
【0073】
こうすることで、位置検出部70がマグネット部614の対向部分におけるN極の割合と、S極の割合とを、フレーム61のZ方向への移動に応じて変動させることができる。
【0074】
例えば、図12Aに示すように、フレーム61の位置がY方向における最も-側の位置である場合、位置検出部70は、マグネット部614のY方向の+側の端部と対向している。位置検出部70は、当該端部におけるN極であるマグネット614Aの割合が大きい部分と対向している。
【0075】
フレーム61がY方向の+側に移動していくと、マグネット部614もフレーム61とともに移動するので、位置検出部70のマグネット部614における対向部分が変わる。マグネット部614が傾斜しているため、位置検出部70との対向部分におけるS極の割合が徐々に増えてくる。
【0076】
図12Bに示すように、位置検出部70がフレーム61の中央部分と対向する位置までフレーム61が移動した場合、S極(マグネット614B)の割合とN極(マグネット614A)の割合とが略均等となる部分が位置検出部70との対向部分となる。
【0077】
また、図12Cに示すように、位置検出部70がフレーム61のY方向における+側の端部と対向する位置までフレーム61が移動した場合、S極(マグネット614B)の割合が大きい部分が位置検出部70との対向部分となる。
【0078】
これにより、位置検出部70が検出する磁力の強さをフレーム61の位置毎に異ならせることができるので、位置検出部70によりフレーム61のY方向の位置を精度良く検出することができる。
【0079】
また、Y方向の両側のレンズ駆動部60におけるマグネット部614は、Y方向で対向した際に、互いに同一の極が対向するように配置されている。つまり、Y方向の-側のマグネット部614におけるマグネット614Aと、Y方向の+側のマグネット部614におけるマグネット614Aに近い位置で当該マグネット614Aと対向する。また、Y方向の-側のマグネット部614におけるマグネット614Bと、Y方向の+側のマグネット部614におけるマグネット614Bに近い位置で当該マグネット614Bと対向する。
【0080】
こうすることにより、例えば、Y方向の両側のレンズ駆動部60におけるフレーム61が最も近づいても、両フレーム61のマグネット部614が引き付けにくくなるので、フレーム61のY方向の位置がずれることを抑制することができる。
【0081】
また、図10および図11に示すように、マグネット保持部612の上方には、介在部63が設けられている。介在部63は、第1介在部材631と、第2介在部材632とを有する。
【0082】
第1介在部材631は、例えば平板状の金属部材で構成されており、フレーム61の第4部分611DのX方向の+側の表面に接着される。第4部分611DのX方向の+側の表面には、2つの突起部D1,D2が設けられる。
【0083】
2つの突起部D1,D2は、第4部分611Dの表面から突出しており、Y方向に並んで配置されている。本実施の形態では、突起部D1が、第4部分611DにおけるY方向の-側の端部付近に設けられ、突起部D2が、第4部分611DにおけるY方向の+側の端部付近に設けられている。
【0084】
第1介在部材631は、光軸の方向(Y方向)に平行に配置されており、2つの突起部D1,D2と係合する係合孔631A,631Bを有する。
【0085】
係合孔631Aは、第1介在部材631のY方向の中央部付近に配置されており、突起部D1と係合する。係合孔631Aは、突起部D1と係合可能で、かつ、突起部D1が係合した係合孔631Aを中心に介在部63(第1介在部材631)が回転できる程度の大きさに形成されている。
【0086】
係合孔631Bは、第1介在部材631のY方向の+側の端部付近に配置されており、突起部D2と係合する。係合孔631Bは、突起部D2と係合可能で、かつ、係合孔631Bの内縁が突起部D2に対して移動できる程度の間隔を有する大きさに形成されている(図13B参照)。
【0087】
このように係合孔631A,631Bが形成されることにより、図13Aおよび図13Bに示すように、係合孔631A(突起部D1)を中心に介在部63を、係合孔631Bの範囲内において回転させることが可能となる。その結果、介在部63の接触部632Bがガイド軸に平行になるように、介在部63の姿勢を調整することができる。
【0088】
図11に示すように、第2介在部材632は、例えば板状の金属部材で構成されており、例えば第1介在部材631に接着固定されている。第2介在部材632は、本体部632Aと、接触部632Bとを有する。
【0089】
本体部632Aは、光軸の方向(Y方向)に平行な平面を有し、第1介在部材631に接着固定される部分である。本体部632Aには、フレーム61における第4部分611Dの2つの突起部D1,D2が通るための孔A1,A2が形成されている。
【0090】
接触部632Bは、超音波モータ64の振動子が接触する部分であり、本体部632AのZ方向の両側の端部を、レンズ部とは反対側に向けて折り曲げることにより構成されている。これにより、一対の接触部632Bを接続する本体部632Aが、X方向-側から超音波モータ64を覆うように配置され、接触部632Bは、超音波モータ64(共振部641)を挟むように配置される。
【0091】
このように介在部63が構成されることで、超音波モータ64の振動子から接触部632Bに力が作用することにより介在部63に光軸の方向(Y方向)への推力を発生させる。その結果、介在部63からフレーム61へ、光軸の方向(Y方向)に移動させる推力を付与することが可能となる。
【0092】
また、図14に示すように、本体部632Aと接触部632Bとの接続部分632Cには、複数の開口C1,C2,C3,C4が形成されている。複数の開口C1,C2,C3,C4は、当該接続部分のY方向の両側において、Y方向に並んで4つずつ配置されている。
【0093】
4つの開口C1,C2,C3,C4のうち、Y方向における中央側の2つの開口C2,C3は、Y方向における両端側の2つの開口C1,C4よりもY方向の長さが長く、かつ、Z方向の長さが長く構成されている。
【0094】
また、接続部分632Cは、4つの開口C1,C2,C3,C4が形成されることにより、光軸の方向に間隔をあけて並ぶ5つの接続部632Dを構成する。
【0095】
各接続部632DにおけるY方向(光軸の方向)の幅は、本実施の形態では、Y方向の中央から外側に位置する接続部632Dほど、広くなっている。具体的には、Y方向における真ん中の接続部632Dは、5つの接続部632Dの中で最も幅が狭い。Y方向における両端の接続部632Dは、5つの接続部632Dの中で最も幅が広い。真ん中の接続部632Dと、両端の接続部632Dとの間に位置する接続部632Dは、真ん中の接続部632Dよりも幅が広く、かつ、両端の接続部632Dよりも幅が狭い。
【0096】
接続部632D(接続部分632C)は、端の方に位置するほど強度が弱くなるので、本実施の形態では、接続部分632Cにおいて、開口C1,C2,C3,C4の大きさおよび接続部632Dの幅を変えることにより、接続部分632Cの強度を調節する。
【0097】
上記のように構成することで、接触部632Bの各位置における振動子641Bによってかかる押圧力をY方向全体で均等化することができる。その結果、例えばスマートフォン等の携帯端末に搭載された装置において、無段階光学ズーム機能を働かせる際、比較的長い移動範囲で可動部を移動させても安定して介在部63による移動力を発生させることができる。
【0098】
図15および図16に示すように、超音波モータ64は、フレーム61を移動させるための駆動力を発生させる駆動源であり、X方向における+側の第1壁111のそれぞれの配置部111A(図3等参照)に固定配置されている。超音波モータ64は、共振部641と、圧電素子642と、第1電極643と、第2電極644とを有する。
【0099】
Y方向の-側の超音波モータ64は、本発明の「第1の超音波モータ」に対応し、Y方向の+側の超音波モータ64は、本発明の「第2の超音波モータ」に対応する。
【0100】
共振部641は、例えば導電性材料で形成され、圧電素子642の振動に共振して、当該振動運動をフレーム61の直線運動に変換する。具体的には、共振部641が、圧電素子642の振動に基づいて、光軸の方向(Y方向)に対して傾斜する傾斜方向に振動して介在部63を押圧することにより、介在部63を介してフレーム61に光軸の方向に移動する推力が発生する。共振部641は、介在部63における、2つの接触部632Bに挟まれるように配置されている。図17に示すように、共振部641は、胴部641Aと、2つの振動子641Bと、突出部641Cと、通電部641Dとを有する。
【0101】
胴部641Aは、例えば略矩形状に構成され、圧電素子642に挟持される部分である。2つの振動子641Bは、胴部641AのZ方向の両端部から、Y方向に延在する。2つの振動子641Bは、対称的な形状を有し、それぞれの自由端部が、介在部63の接触部632Bに接触する。
【0102】
突出部641Cは、胴部641AのZ方向の中央部からY方向の+側に延在する。通電部641Dは、胴部641AのZ方向の中央部から、突出部641Cとは反対側(Y方向の-側)に延在する。
【0103】
圧電素子642は、例えばセラミック材料で例えば板状に形成された振動素子であり、高周波電圧を印加することにより振動を発生する。圧電素子642は、2つ設けられており、共振部641の胴部641AをX方向で挟み込むように、それぞれ配置される。
【0104】
第1電極643は、共振部641および圧電素子642を挟持する挟持部643Aと、電圧が印加される電極部643Bとを有する。圧電素子642等を挟持する挟持部643Aを介して、第1電極643は、圧電素子642に電圧を印加する。第2電極644は、共振部641の通電部641Dに電気的に接続される。第1電極643および第2電極644は、上述した端子部130と筐体10の内側で接触する(図15参照)。
【0105】
共振部641の胴部641Aに、2つの圧電素子642が貼り合わされて、第1電極643に挟持されることにより、これらは互いに電気的に接続される。例えば、給電経路の一方が第1電極643に接続され、他方が第2電極644に接続されることで、圧電素子642に電圧が印加され、振動が発生する。
【0106】
共振部641は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、共振部641は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。異なる挙動とは、介在部63を介してフレーム61をY方向の+側に移動させる挙動と、-側に移動させる挙動である。
【0107】
図18に示すように、共振部641は、介在部63の一対の接触部632Bの何れかと振動子641Bが対向するように配置されているので、2つの振動子641Bが変形した際、各接触部632Bの対向する側から振動子641Bの先端が、Y方向に対して傾斜する方向に接触部632Bを押圧する(矢印A参照)。
【0108】
各接触部632Bが振動子641Bの先端により矢印A方向に押圧されると、各接触部632Bにおいて、振動子641B側に戻ろうとする反力が発生する。言い換えると、介在部63は、各振動子641Bと一対の接触部632Bとの接触に基づいて、一対の接触部632Bの外側から内側に向かう方向への反力を発生させる。
【0109】
振動子641Bの押圧に対する介在部63の反力によって、振動子641Bと接触部632Bとの間に生じる摩擦により、介在部63にY方向への推力が発生する。これに伴い、介在部63と接着されるフレーム61にY方向に移動する推力(矢印B参照)が付与される。その結果、フレーム61と接続される第2レンズユニット32または第3レンズユニット33がY方向に移動する。
【0110】
また、接触部632BがY方向に延びて構成されることにより、接触部632Bは、振動子641Bに押圧されることで、振動子641Bと摺動するよう接触しながらY方向に移動する。そのため、振動子641Bにより、接触部632Bが連続的に押圧されるので、介在部63と接着されるフレーム61を連続的にY方向に移動させることができる。なお、ある共振周波数では、振動子641Bの押圧方向が矢印A方向となって接触部632Bの摺動方向が矢印B方向となるのに対し、他の共振周波数では、振動子641Bの押圧方向が矢印C方向となって接触部632Bの摺動方向が矢印D方向となる。
【0111】
このような駆動動作が、X方向の両側の第1壁111のそれぞれに設けられた超音波モータ64のそれぞれで行われる。つまり、各超音波モータ64は、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33のそれぞれを独立して光軸の方向に駆動する。
【0112】
これらの移動は、図19に示すように、ガイド部80によってガイドされる。ガイド部80は、X方向の+側における、第1壁111、第2壁112および第3壁113に囲まれる第4壁114の領域に配置されている。つまり、ガイド部80は、筐体10の、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33における光軸Oを挟む両端のうち、一端側に配置されている(図7も参照)。
【0113】
ガイド部80は、いずれも光軸の方向(Y方向)に延び、かつ、互いに離間して配置され、2つのフレーム61の両方を光軸の方向に移動可能に支持するよう協働する第1ガイド軸81および第2ガイド軸82を有する。第1ガイド軸81および第2ガイド軸82は、例えばステンレス等で構成され、筐体10における光軸の両端側(X方向の両端側)における第2壁112および第3壁113の各ガイド支持部(図示省略)に支持されている。
【0114】
第1ガイド軸81は、フレーム61における被ガイド部611の第2部分611Bおよび第3部分611Cを支持することでフレーム61の移動をガイドするガイド軸である。
【0115】
第2ガイド軸82は、第1ガイド軸81よりもZ方向の-側(第4壁114側)において第1ガイド軸81と平行に配置され、フレーム61における被ガイド部611の第2部分611Bを支持(係合)することでフレーム61の移動をガイドするガイド軸である。また、第1ガイド軸81および第2ガイド軸82は、上述の支持軸50とX方向における位置が略同じ位置に配置されている(図10参照)。このように、レンズ駆動部60の移動をガイドするガイド軸を、第1ガイド軸81および第2ガイド軸82の2つ設けたことにより、筐体10の強度を向上させることができる。
【0116】
第2ガイド軸82は、第4壁114に設けられた軸受け部114Aに支持されている。軸受け部114Aは、2つのフレーム61の間において、第4壁114からZ方向の+側に突出して設けられ、第2ガイド軸82におけるY方向の中央部付近の範囲に配置されている。第2ガイド軸82は、軸受け部114Aに接着固定されている。また、軸受け部114Aは、X方向(光軸を挟む両端間)において、第2ガイド軸82の中心82Aを含む範囲に配置されている(図10参照)。
【0117】
また、軸受け部114Aは、フレーム61の第2部分611Bと接触可能な位置に設けられている。そのため、フレーム61がY方向の+側に移動すると、フレーム61の第2部分611Bと軸受け部114Aとが接触する(図20参照)。これにより、軸受け部114Aが、フレーム61の移動を規制する。
【0118】
図21Aおよび図21Bに示すように、端子部130は、例えば、X方向の+側の第1壁111と底壁部12との間に形成された隙間を介して筐体10の内外にわたって配置される。端子部130は、外部(カメラ搭載装置)からの配線と接続される外側端子部131と、筐体10内部の基板部140と導通する内側端子部132とを有する。
【0119】
図22に示すように、外側端子部131は、上述の端子配置部111Cに配置される部分であり、複数の外部端子131Aを有する。内側端子部132は、筐体10の内部における、X方向の+側の第4壁114に対応する位置に配置された基板部140に配置される部分であり、複数の導通端子132Aと、駆動端子132Bとを有する。
【0120】
導通端子132Aは、基板部140の入出力端子と、各外部端子131Aとを導通させる端子である。駆動端子132Bは、上述の超音波モータ64の電極と接触して、超音波モータ64を駆動させるための電圧が入出力される端子である。
【0121】
図21Bおよび図23に示すように、基板部140は、例えばカメラモジュール1の駆動電圧が入力されるための配線や、位置検出部70の検出信号を外部に出力するための配線等を有する回路基板である。基板部140は、フレキシブル基板で構成されており、第1基板141と、第2基板142とを有する。第1基板141と第2基板142とは一体に構成されている。第1基板141は、本発明の「第1のフレキシブル基板」に対応し、第2基板142は、本発明の「第2のフレキシブル基板」に対応する。
【0122】
第1基板141は、X方向の+側の第4壁114に対応する位置に配置される基板であり、Y方向に延びて構成される。第1基板141は、端子部130の内側端子部132と導通する入出力端子141Aと、位置検出部70(ホール素子)に接続される検出端子141Bとを有する。
【0123】
入出力端子141Aは、端子部130の内側端子部132に対応する位置に設けられる。検出端子141Bは、2つのレンズ駆動部60のそれぞれの位置検出部70に対応して、Y方向の+側の端部と、Y方向の-側の端部とに1つずつ設けられる。
【0124】
また、図24および図25に示すように、X方向の+側の第4壁114における第1基板141に対応する部分には、基板配置部114Bが設けられている。基板配置部114Bは、第1基板141のY方向の両端部に対応する位置において、第4壁114の表面に対してZ方向の-側に凹んだ位置にそれぞれ設けられる。
【0125】
具体的には、基板配置部114Bは、第4壁114の表面に対する凹み量が、第1基板141および第2基板142の厚みより大きくなるような位置に設けられる。言い換えると、第4壁114の表面は、第1基板141および第2基板142より突出した位置に位置する。
【0126】
また、第4壁114における、2つの基板配置部114Bの間の部分は切り欠かれて構成されており、当該部分に対応する第1基板141は、底壁部12と対面して配置されている。
【0127】
また、第4壁114における第2基板142に対応する部分も切り欠かれて構成されている。具体的には、X方向の+側の第4壁114においては、第1基板141と、後述する第1延出部144Aとの接続部分に対応する部分が切り欠かれている。また、X方向の-側の第4壁114においては、後述する昇圧配置部143、第2延出部144Bおよび接地部144Cに対応する部分が切り欠かれている。そのため、第2基板142が設けられる部分は、第4壁114が存在しないので、第2基板142は、底壁部12と対面して配置されている。
【0128】
図21Bおよび図23に示すように、第2基板142は、昇圧部150とレンズ駆動部60とを導通させるための配線を有する基板であり、昇圧配置部143と、基板接続部144とを有する。
【0129】
昇圧配置部143は、昇圧部150を配置するための基板であり、X方向の-側の第4壁114における、Y方向の略中央部に対応する位置に配置される。昇圧配置部143には、後述するが2つのインダクタ150A,150BがY方向に並んで配置される(図27参照)。
【0130】
基板接続部144は、第1基板141と昇圧配置部143とを接続するための基板であり、第1延出部144Aと、第2延出部144Bと、接地部144Cとを有する。
【0131】
第1延出部144Aは、X方向の+側における第1基板141のY方向の+側の端部から、X方向に延びて構成されている。第1延出部144Aは、X方向の+側の第4壁114に対応する部分からX方向の-側の第4壁114に対応する部分にわたって設けられる。また、第1延出部144Aは、レンズ部30における第3レンズユニット33の移動範囲に対応する位置に配置されている。
【0132】
また、図25に示すように、第1基板141が、上記したように基板配置部114Bに設けられているので、第1延出部144Aは、第4壁114の表面よりもZ方向の-側の位置、つまり、レンズ部30から離れた位置に設けられる。その結果、基板部140が第4壁114の表面に配置される構成と比較して、第2基板142の第1延出部144Aがレンズ部30と干渉しにくくすることができる。
【0133】
また、第2基板142がフレキシブル基板で構成されることで、第2基板142を比較的薄く構成することができるので、第2基板142がレンズ部30とさらに干渉しにくくすることができる。
【0134】
また、第3レンズユニット33の本体部33Aの底面は、第2レンズユニット32の本体部32Aの底面よりもZ方向の+側に位置しており、第2基板142の第1延出部144Aの表面よりもZ方向の+側に位置する。第2基板142の第1延出部144Aは、上記したように、第3レンズユニット33の移動範囲に対応する位置に配置されているので、第3レンズユニット33と干渉しない位置に配置されていることとなる。
【0135】
これにより、第2基板142の第1延出部144Aがレンズ部30の移動範囲に設けられても、第1延出部144Aとレンズ部30が干渉することを抑制することができる。
【0136】
図21Bおよび図23に示すように、第2延出部144Bは、X方向の-側の第4壁114に対応する位置に設けられ、第1延出部144AのX方向の-側の端部からY方向の-側に延びて昇圧配置部143と接続される。また、撮像部40(撮像素子)が筐体10における第2壁112に設けられているので、第2延出部144Bは、撮像部40から離れる側に延びている。
【0137】
また、接地部144Cは、第2基板142における底壁部12を介して接地される部分である。接地部144Cは、第1延出部144Aにおける、X方向の-側の第4壁114に対応する部分に設けられており、当該部分における、第1延出部144AのY方向の+側の端面からY方向の+側に突出して設けられる。
【0138】
また、図24に示すように、底壁部12における接地部144Cに対応する部分12Aは、金めっき処理が施されている。また、後述するが、接地部144Cの裏面には、銅めっき処理が施されている。そして、図25に示すように、接地部144Cと底壁部12とは、はんだ等の接合部材144Dによって接合される。
【0139】
これにより、接地部144Cと底壁部12とが導通し、上述したように底壁部12が接地されていることから、接地部144Cが接地される。また、底壁部12に金めっき処理が施されることにより、接地部144Cと底壁部12とを導通しやすくすることができる。
【0140】
また、図26に示すように、第2基板142の裏面(Z方向の-側の面)には、配線部145およびシールド部146が設けられている。配線部145は、第1入力配線145A、第1出力配線145B、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dを有する。
【0141】
第1入力配線145A、第1出力配線145B、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dは、第2基板142の形状に沿うように設けられている。
【0142】
第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bは、後述するY方向の-側のインダクタ150Aに対応する配線であり、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dは、後述するY方向の+側のインダクタ150Bに対応する配線である。
【0143】
そのため、第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bは、インダクタ150A,150Bの位置関係の都合上、昇圧配置部143においてY方向の-側に第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dよりも長くなるように構成される。
【0144】
第1入力配線145Aおよび第2入力配線145Cは、インダクタ150A,150Bへの入力電圧が入力される配線である。
【0145】
第1出力配線145Bおよび第2出力配線145Dは、上記入力電圧を、インダクタ150A,150Bによって昇圧した出力電圧を超音波モータ64に出力する配線である。
【0146】
第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bは、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dに囲まれるように位置している。具体的には、第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bは、第1延出部144Aにおける、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145DよりもY方向の-側の領域に配置されている。また、第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bは、第2延出部144Bにおける、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145DよりもX方向の-側の領域に配置されている。
【0147】
第1出力配線145Bは、第2基板142におけるY方向の-側またはX方向の+側の縁に沿って配置されている。第1入力配線145Aは、第1出力配線145Bよりも第2基板142の内側に配置されている。
【0148】
第2出力配線145Dは、第2基板142におけるY方向の+側またはX方向の-側の縁に沿って配置されている。第2入力配線145Cは、第2出力配線145Dよりも第2基板142の内側に配置されている。
【0149】
つまり、第1入力配線145Aおよび第2入力配線145Cは、第2基板142において互いに隣り合う位置に配置されている。
【0150】
これにより、インダクタ150A,150Bによって昇圧された出力電圧に対応する第1出力配線145Bと第2出力配線145Dとを離すことができるので、当該出力電圧に対する磁気的なノイズの影響を低減することができる。
【0151】
シールド部146は、配線部145をノイズからシールドするための部分であり、第1シールド146Aおよび第2シールド146Bを有する。
【0152】
第1シールド146Aは、配線部145を取り囲むように、第1延出部144Aおよび第2延出部144Bの縁部分と、接地部144Cの部分に、例えば銅めっき処理を施すことにより設けられる。
【0153】
また、上記したように接地部144Cが接地されているので、接地部144Cを介して第1シールド146Aが接地される。これにより、配線部145が第2基板142の外側からのノイズの影響を受けることを低減することができる。
【0154】
第2シールド146Bは、昇圧配置部143における第1シールド146Aのうち、2つのインダクタ150A,150Bの境界143Aに対応する位置から、第1入力配線145Aと、第2入力配線145Cとの間において、第1入力配線145Aおよび第2入力配線145Cに沿うように設けられている。
【0155】
これにより、第1入力配線145Aおよび第1出力配線145Bの領域と、第2入力配線145Cおよび第2出力配線145Dの領域とが、第2シールド146Bによって分離される。第2シールド146Bは、本発明の「分離部」に対応する。
【0156】
その結果、2つのインダクタ150A,150Bにおけるクロストークの影響を低減することができる。
【0157】
また、第2シールド146Bに対応する部分には、複数のスルーホール146Cが設けられている。このスルーホール146Cを介して第2シールド146Bは、第2基板142の表面と接続される。
【0158】
また、第2基板142の表面には、銅めっき処理が施されている。これにより、第2基板142の表面と、第2シールド146Bとが導通するので、第2基板142の表面も接地されることとなる。
【0159】
これにより、第2基板142の表面側からのノイズが配線部145に伝搬することを抑制することができる。
【0160】
図27に示すように、昇圧部150は、2つのインダクタ150A,150Bと、カバー部151とを有する。インダクタ150A,150Bは、例えばコイル素子であり、昇圧配置部143上にY方向に並んで配置されている。Y方向の-側のインダクタ150Aは、Y方向の-側のレンズ駆動部60に対応し、Y方向の+側のインダクタ150Bは、Y方向の+側のレンズ駆動部60に対応する。
【0161】
インダクタ150A,150Bは、上記の配線部145によって、第1基板141および端子部130と導通する。インダクタ150A,150Bは、配線部145を介して入力された入力電圧を昇圧し、昇圧した出力電圧を、配線部145を介して超音波モータ64に供給する。
【0162】
ところで、インダクタを筐体内に有さない構成の場合、カメラ搭載装置に、インダクタを配置するスペースを設ける必要が生じる。また、インダクタは個々のばらつきが大きいので、カメラモジュールとは別にインダクタを設ける構成であると、カメラモジュールの納品時において用いたインダクタと、カメラ搭載装置に搭載されるインダクタとの特性が異なる場合が起こり得る。そのため、ユーザがカメラモジュールとの関係性を考慮して、別途調整を行う必要が生じる。
【0163】
これらのことから、超音波モータを用いるカメラモジュールにおけるインダクタを設けない構成は、ユーザにとって使い勝手が悪いものとなる。
【0164】
それに対し、本実施の形態では、インダクタ150A,150Bが筐体10内に設けられているので、カメラ搭載装置にインダクタを配置するスペースを設ける必要もなく、また、ユーザがカメラモジュール1との関係性を考慮して、別途調整を行う必要もなくなる。その結果、本実施の形態では、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0165】
カバー部151は、例えば鉄(SPCC等)であり、昇圧配置部143の領域に対応した箱状に構成されている。カバー部151は、2つのインダクタ150A,150Bを覆うように設けられる。
【0166】
カバー部151が設けられることで、インダクタ150A,150Bから発生する磁界が、他の素子等に影響を与えることを抑制することができる。
【0167】
以上のように構成された本実施の形態によれば、インダクタ150A,150Bを筐体10内に設けたので、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0168】
また、レンズ駆動部60が設けられていないX方向の-側の領域に昇圧部150を設けたので、筐体10における空いたスペースを有効に使うことができる。
【0169】
また、基板部140がフレキシブル基板で構成されるので、基板部140全体を薄く構成することができる。そのため、レンズ部30が位置する領域に基板接続部144が存在することによる影響を低減することができる。
【0170】
また、基板接続部144が第3レンズユニット33と干渉しないので、レンズ部30が位置する領域に基板接続部144が存在することによる影響をさらに低減することができる。
【0171】
また、第4壁114の表面が第2基板142よりも突出した位置に位置するので、レンズ部30を第2基板142に干渉しないようにするためにZ方向の+側にずらした位置に配置する必要がなくなる。その結果、筐体10を小型化することができる。
【0172】
また、第2基板142が第2延出部144Bを有することで、昇圧部150を撮像部40から離すことができる。そのため、インダクタ150A,150Bの磁界の影響を撮像部40の撮像素子が受けることを低減することができる。
【0173】
なお、上記実施の形態では、2つのインダクタ150A,150Bのそれぞれのばらつきについては言及されていなかったが、例えば、図28に示すように、インダクタのばらつきデータを記憶する記憶部90を備えていても良い。
【0174】
記憶部90は、例えば不揮発性メモリ等であり、例えば、第2壁や第4壁の空いたスペース等、筐体10の任意の位置に設けられる。
【0175】
駆動制御部100は、記憶部90に記憶されたばらつきデータに基づいてレンズ駆動部60を駆動する。
【0176】
こうすることで、2つのインダクタ150A,150Bのばらつきを考慮した駆動制御を行うことができる。
【0177】
また、図29に示すように、記憶部は、位置検出部70に、記憶部を内蔵したデジタルホール素子が用いられる場合、位置検出部70に内蔵された記憶部71であっても良い。
【0178】
また、上記実施の形態では、駆動制御部100が筐体10(光学素子駆動装置)の外部に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図30に示すように、筐体10の内部に設けられていても良い。また、この場合、駆動制御部100における記憶部101に2つのインダクタ150A,150Bのばらつきデータを記憶させても良い。
【0179】
また、上記実施の形態では、昇圧部150が2つのインダクタ150A,150Bを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、昇圧部がインダクタを1つ以上有する構成であっても良いし、超音波モータの数に合わせてインダクタを有する構成でも良い。
【0180】
また、上記実施の形態では、レンズ駆動部60および昇圧部150等を含む装置を光学素子駆動装置としていたが、本発明はこれに限定されず、例えば図2に示す反射駆動部20を構成する装置を光学素子駆動装置としても良い。
【0181】
この場合、光学素子(可動部)は、ミラー22であり、反射筐体21内に、超音波モータおよび昇圧部が設けられる。ミラーは、超音波モータの駆動によって回転する。そして、昇圧部が入力電圧を昇圧させて超音波モータに供給する。
【0182】
このような構成であっても、レンズ駆動部等を含む装置と同様に、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0183】
また、上記実施の形態では、反射駆動部にミラーが設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えばプリズムであっても良い。
【0184】
また、上記実施の形態では、昇圧部150がカバー部151を有していたが、本発明はこれに限定されず、カバー部を有していなくても良い。
【0185】
また、上記実施の形態では、第2基板142が第2延出部144Bを有していたが、本発明はこれに限定されず、第2延出部を有していなくても良い。
【0186】
また、上記実施の形態では、第1延出部144Aが第3レンズユニット33の移動範囲に対応する位置に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、何れかのレンズユニットと干渉しない限り、どの位置に設けられていても良い。
【0187】
また、上記実施の形態では、接合部材144D(はんだ)によって、接地部144Cと底壁部12とが導電接続されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば導電樹脂で構成された接着剤等によって、接地部と底壁部とが導電接続されていても良い。
【0188】
また、上記実施の形態では、第4壁114の第2基板142に対応する部分が切り欠かれて構成されていたが、本発明はこれに限定されず、レンズユニットと干渉しない限り、当該部分が切り欠かれて構成されていなくても良い。
【0189】
また、上記実施の形態では、基板部140がフレキシブル基板で構成されていたが、本発明はこれに限定されず、フレキシブル基板以外の基板で構成されていても良い。
【0190】
また、上記実施の形態では、昇圧部150がレンズ駆動部60とは反対側の第4壁114の領域に配置されていたが、本発明はこれに限定されず、レンズ駆動部と同じ側の第4壁の領域に配置されていても良い。
【0191】
また、上記実施の形態では、第1基板141と第2基板142とが一体に構成されていたが、本発明はこれに限定されず、第1基板と第2基板とが別体で構成されていても良い。
【0192】
また、上記実施の形態では、位置検出部70が各フレーム61に1つずつ設けられていたが、本発明はこれに限定されない。光軸の方向(Y方向)に並んで配置された複数の位置検出部70を有する構成であっても良い。
【0193】
また、上記実施の形態では、2つのガイド軸を有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば3つ以上のガイド軸を有する構成であっても良いし、1つのガイド軸を有する構成であっても良い。
【0194】
また、上記実施の形態では、支持軸50がX方向の両側に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、支持軸50がX方向の片側のみに設けられていても良い。
【0195】
また、上記実施の形態では、筐体10における側壁部11と底壁部12とがインサート成形されたものであったが、本発明はこれに限定されず、底壁部を側壁部11に接着固定するようなものであっても良い。
【0196】
また、上記実施の形態では、第2レンズユニット32および第3レンズユニット33で構成される2つの可動レンズを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の可動レンズを有する構成であっても良いし、1つの可動レンズを有する構成であっても良い。
【0197】
また、上記実施の形態では、4つのレンズユニットを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、可動レンズを少なくとも1つ有する構成である限り、レンズユニットが何個設けられていても良い。また、可動レンズを1つ有する構成である場合、レンズ駆動部も1つとなる。
【0198】
また、上記実施の形態では、介在部63が板状の金属部材を折り曲げて構成されたものであったが、本発明はこれに限定されず、介在部を構成する本体部と接触部とが別部材で構成されたものでも良い。
【0199】
また、上記実施の形態では、フレーム61と介在部63とが別部材で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、フレーム61と介在部63とが一体に構成されていても良い。すなわち、レンズ駆動部が、共振部の共振に従って光軸の方向に移動して、光軸の方向の移動を伝達するように各レンズユニットのそれぞれに接続する移動部を有していても良い。
【0200】
また、上記実施の形態では、フレーム61とレンズユニットとを接続する接続部62がバネ部材で構成されていたが、本発明はこれに限定されず、弾性を有する部材である限り、どのような部材で構成されていても良い。
【0201】
また、上記実施の形態では、フレーム61の第3部分611Cが、第2ガイド軸82と間隔をあけて配置されていたが、本発明はこれに限定されず、第3部分が第2ガイド軸も支持する構成であっても良い。
【0202】
また、上記実施の形態では、底壁部が折り曲げ部やハーフパンチを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、折り曲げ部やハーフパンチを有さない構成であっても良い。
【0203】
また、上記実施の形態では、共振部641が2つの振動子641Bを有する構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば1つの振動子を有する構成であっても良い。
【0204】
また、上記実施の形態では、駆動制御部、反射駆動制御部および撮像制御部が別々に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、駆動制御部、反射駆動制御部および撮像制御部の少なくとも2つが1つの制御部で構成されていても良い。
【0205】
また、上記実施の形態では、軸受け部114Aを設けていたが、本発明はこれに限定されず、軸受け部を設けなくても良い。
【0206】
また、上記実施の形態では、吸収部613を設けていたが、本発明はこれに限定されず、吸収部を設けなくても良い。
【0207】
また、例えば、上記実施の形態では、カメラモジュール1を備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、ドローン、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、例えば自動車やドローンを含む。
【0208】
図32A図32Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図32Aは自動車Vの正面図であり、図32Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュール1を搭載する。図32Aおよび図32Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用などとして使用される。
【0209】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記実施の形態で説明した各部の形状、サイズ、個数および材料はあくまで一例であり、適宜変更して実施することができる。
【0210】
2020年4月17日出願の米国仮出願第63/011,322号に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明に係る光学素子駆動装置は、ユーザの使い勝手を向上させることが可能な光学素子駆動装置として有用である。
【符号の説明】
【0212】
1 カメラモジュール
10 筐体
11 側壁部
12 底壁部
20 反射駆動部
21 反射筐体
22 ミラー
23 反射駆動制御部
30 レンズ部
31 第1レンズユニット
32 第2レンズユニット
32A 本体部
32B 被支持部
33 第3レンズユニット
33A 本体部
33B 被支持部
34 第4レンズユニット
34A 凸部
40 撮像部
50 支持軸
60 レンズ駆動部
61 フレーム
62 接続部
63 介在部
64 超音波モータ
70 位置検出部
80 ガイド部
81 第1ガイド軸
82 第2ガイド軸
100 駆動制御部
111 第1壁
111A 配置部
111B 被係合部
111C 端子配置部
112 第2壁
112A 支持部
112B 配置部
112C ガイド支持部
112D 開口部
113 第3壁
113A 架橋部
113B 支持部
113C ガイド支持部
114 第4壁
114A 軸受け部
114B 基板配置部
121 位置決め部
122 折り曲げ部
123 ハーフパンチ
130 端子部
131 外側端子部
131A 外部端子
132 内側端子部
132A 導通端子
132B 駆動端子
140 基板部
141 第1基板
141A 入出力端子
141B 検出端子
142 第2基板
143 昇圧配置部
144 基板接続部
144A 第1延出部
144B 第2延出部
144C 接地部
144D 接合部材
145 配線部
145A 第1入力配線
145B 第1出力配線
145C 第2入力配線
145D 第2出力配線
146 シールド部
146A 第1シールド
146B 第2シールド
146C スルーホール
150 昇圧部
150A インダクタ
150B インダクタ
151 カバー部
200 撮像制御部
611 被ガイド部
611A 第1部分
611B 第2部分
611C 第3部分
611D 第4部分
612 マグネット保持部
613 吸収部
614 マグネット部
614A マグネット
614B マグネット
614C 対向面
614D 境界
631 第1介在部材
631A 係合孔
631B 係合孔
632 第2介在部材
632A 本体部
632B 接触部
632C 接続部分
632D 接続部
641 共振部
641A 胴部
641B 振動子
641C 突出部
641D 通電部
642 圧電素子
643 第1電極
643A 挟持部
643B 電極部
644 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32A
図32B