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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067170
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】米飯形成装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220425BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175732
(22)【出願日】2020-10-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】514063397
【氏名又は名称】株式会社GTEC
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】清水 正弘
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC08
4B023LE17
4B023LP13
4B023LT27
4B023LT41
4B023LT67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】米飯を所望の形状に形成する過程で米飯の除菌を行う機能を有しながらも、小型で軽量な米飯形成装置を提供する。
【解決手段】透光性を有する材料からなり、シート状となるよう均して投入される米飯の一方の面と摺接し、設置面に対して傾斜する第一面11a及び第一面の傾斜の下方側で米飯の第一面と摺接しない面側に配される第二面11bを有する米飯収容部と、米飯収容部に近設される紫外線LEDと、第一面の傾斜の下方側より下に配され米飯を所望の形状に形成する形成部13と、第一面の傾斜の上方側より上に配され米飯を投入するために開口した部分である投入部161及び形成部より下に配され形成部にて所望の形状に形成された米飯を排出するために開口した部分である排出部162を有し、米飯収容部、紫外線LED及び形成部を収容する筐体16とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向に対して厚さ方向が小さいシート状となるよう均して投入される米飯を所望の形状に形成する米飯形成装置であって、
透光性を有する材料からなり、前記米飯の一方の面と摺接し、前記米飯形成装置の設置面に対して傾斜する第一面、及び、該第一面の傾斜の下方側で前記米飯の前記第一面と摺接しない面側に配される第二面を有する導光部と、
前記導光部に近設される紫外線光源である光源部と、
前記導光部の第一面の傾斜の下方側より下に配され、前記米飯を所望の形状に形成する形成部と、
前記導光部の第一面の傾斜の上方側より上に配され、前記米飯を投入するために開口した部分である投入部、及び、前記形成部より下に配され、該形成部にて所望の形状に形成された米飯を排出するために開口した部分である排出部を有し、前記導光部、前記光源部及び前記形成部を収容する筐体と、
を備え、
前記導光部は、前記光源部から発せられる紫外線により、少なくとも前記第一面及び前記第二面が発光するよう処理されてなる米飯形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の米飯形成装置であって、
前記導光部は2以上の部材からなり、前記部材は隣接する他の前記部材に近設されることを特徴とする米飯形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の米飯形成装置であって、さらに、
前記筐体は、紫外線を透過しない材料からなり、前記投入部を塞ぐための蓋部を有し、
前記光源が点灯している状態において前記蓋部が開かれた場合、前記光源を消灯する制御を行う光源制御部を備える米飯形成装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載の米飯形成装置であって、
前記導光部は、少なくとも第一面及び第二面の一部が半透明であることを特徴とする米飯形成装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一に記載の米飯形成装置であって、
前記導光部は、少なくとも第一面及び第二面の一部に凹凸が設けられることを特徴とする米飯形成装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一に記載の米飯形成装置であって、
前記米飯は酢飯であり、
前記形成部は、前記酢飯をシャリ玉形状に形成する米飯形成装置。
【請求項7】
透光性を有する材料からなり、米飯を収容する米飯収容部と、
前記米飯収容部に近設される紫外線光源である光源部と、
前記米飯を所望の形状に形成する形成部と、
を備え、
前記米飯収容部は、前記光源部から発せられる紫外線により、少なくとも内部が発光するよう処理されてなる米飯形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を所望の形状に形成すると共に、米飯の除菌を行う米飯形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の製造現場において自動化が進んでおり、例えば特許文献1に開示されるような酢飯からシャリ玉を自動的に製造する装置が開発されている。
【0003】
握り寿司は、日本食として海外からの人気も高いものの、「シャリ炊き3年、あわせ5年、握り一生」と言われるほど、製造には高い技術が必要である。このため、握り寿司の製造に必要な技術を習得した「職人」は慢性的に不足しており、また、製造コストも高くなっていた。
【0004】
このような状況において、特許文献1に開示されるような装置は、使用者の技術に左右されず一定の品質でシャリ玉を製造でき、また、人件費の削減により製造コストを抑えることができるため、主に、スーパーやコンビニ等の惣菜を製造する工場、レストラン、回転寿司店等で利用されている。
【0005】
また、梅雨等の高温多湿となる夏季には、O-157やサルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌等の細菌性による食中毒が多く発生し、冬季にも、ノロウイルスをはじめとしたウイルス性の食中毒の発生が年々増加している。そのため近年では一年を通じて食中毒対策が必要不可欠となっており、さらに、現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、例えば除菌機能等、感染症対策が施された商品のニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-245369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シャリ玉を自動的に製造する装置は、その需要が、前述のような大量生産を前提する場に集中していたこともあり、製造速度を高めることが重視され発展してきた。このためシャリ玉を自動的に製造する装置は大型で高重量なものが多く、小規模な飲食店や家庭での使用には適していなかった。
【0008】
また、従来の技術では、単に、シャリ玉の搬送経路に除菌灯を設けて除菌を行っていた。この場合、除菌灯が照射される照射面は除菌されるものの、除菌灯の当たらない面は除菌されないといった問題があった。また、複数の除菌灯を設け、様々な方向から除菌灯を当てることも考えられるが、装置が大型化してしまう。
【0009】
本発明は、従来のこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、米飯を所望の形状に形成する過程で米飯の除菌を行う機能を有しながらも小型で軽量な米飯形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の第1の側面に係る米飯形成装置は、面方向に対して厚さ方向が小さいシート状となるよう均して投入される米飯を所望の形状に形成する米飯形成装置であって、透光性を有する材料からなり、前記米飯の一方の面と摺接し、前記米飯形成装置の設置面に対して傾斜する第一面、及び、該第一面の傾斜の下方側で前記米飯の前記第一面と摺接しない面側に配される第二面を有する導光部と、前記導光部に近設される紫外線光源である光源部と、前記導光部の第一面の傾斜の下方側より下に配され、前記米飯を所望の形状に形成する形成部と、前記導光部の第一面の傾斜の上方側より上に配され、前記米飯を投入するために開口した部分である投入部、及び、前記形成部より下に配され、該形成部にて所望の形状に形成された米飯を排出するために開口した部分である排出部を有し、前記導光部、前記光源部及び前記形成部を収容する筐体と、を備え、前記導光部は、前記光源部から発せられる紫外線により、少なくとも前記第一面及び前記第二面が発光するよう処理されてなるよう構成できる。前記構成によれば、投入部、導光部、形成部及び排出部が米飯形成装置の設置面に対して垂直方向に並んで配されるため、設置面の面積を小さくできる。また、形成部が導光部の第一面の傾斜の下方側より下に配され、投入部を介して投入された米飯は自重により第一面上を摺動して形成部に移動するため、米飯を形成部に移動させるためのアクチュエータを設ける必要がない。さらにまた、導光部は透光性を有する材料からなり、投入されたシート状の米飯の一方の面は第一面から、他方の面は第二面から発せられる紫外線を受けることができるので、光源部を複数箇所に設けることなく米飯全体の除菌を行うことができる。すなわち、米飯を所望の形状に形成する過程で米飯の除菌を行う機能を有しながらも小型で軽量な米飯形成装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の第2の側面に係る米飯形成装置は、前記導光部が2以上の部材からなり、前記部材を隣接する他の前記部材に近設することができる。前記構成によれば、第一面及び第二面の発光を阻害することなく導光部を複数の部材で構成することができる。すなわち、導光部を分解、洗浄に適した態様や、製造しやすい態様となるよう部材の数を適宜変更できる。
【0012】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る米飯形成装置は、前記筐体が紫外線を透過しない材料からなり、前記投入部を塞ぐための蓋部を有し、前記光源が点灯している状態において前記蓋部が開かれた場合、前記光源を消灯する制御を行う光源制御部を備えるよう構成できる。前記構成によれば、使用者に紫外線が当たることを防ぐことができる。
【0013】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る米飯形成装置は、前記導光部の少なくとも第一面及び第二面の一部を半透明にできる。
【0014】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る米飯形成装置は、前記導光部の少なくとも第一面及び第二面の一部に凹凸を設けることができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る米飯形成装置は、前記米飯が酢飯であり、前記形成部は、前記酢飯をシャリ玉形状に形成できる。
【0016】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る米飯形成装置は、透光性を有する材料からなり、米飯を収容する米飯収容部と、前記米飯収容部に近設される紫外線光源である光源部と、前記米飯を所望の形状に形成する形成部とを備え、前記米飯収容部は、前記光源部から発せられる紫外線により、少なくとも内部が発光するよう構成できる。前記構成によれば、米飯収容部内が紫外線で除菌された除菌空間となるので、収容される米飯全体を除菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した第一実施例に係る米飯形成装置の正面、平面及び右側面を表す斜視図である。
図2】本発明に係る第一部材の正面、平面及び右側面を表す斜視図である。
図3】本発明に係る第二部材の正面、平面及び右側面を表す斜視図である。
図4】平面視における米飯形成装置の内部構造を示す模式図である。
図5】右側面視における米飯形成装置の内部構造を示す模式図である。
図6】右側面視における米飯形成装置の内部構造を示す模式図である。
図7】本発明を適用した第一実施例に係る米飯形成装置1の使用方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(米飯形成装置1)
【0019】
本発明の一実施の形態に係る米飯形成装置1は、図1図5に示すように、米飯収容部11(特許請求の範囲における「導光部」の一例に対応する。)、紫外線LED12(特許請求の範囲における「光源部」の一例に対応する。)、形成部13、制御部14(特許請求の範囲における「光源制御部」の一例に対応する。)及び電力供給部15と、これらを収容する筐体16とからなり、シート状となるよう均して投入された米飯BH(炊飯した米)をシャリ玉形状に形成することができる。また、米飯形成装置1の大きさは、縦約339mm、横約180mm、高さ約400mmであり、重量は約6kgであるため、一般的な机やテーブルの上に設置可能である。各部材の詳細については、以下で説明する。
【0020】
なお、米飯形成装置1に投入する食品は米飯BHに限定されず、例えば酢飯(酢と塩や砂糖等を混ぜ合わせた米飯)のように、調味料や食材と混ぜ合わせた米飯であってもよい。また、形成する形状もシャリ玉形状に限定されず、例えば、巻き寿司のような略円筒形状や、おにぎりのような略三角形状であってもよい。また、「シート状」の文言は、面内で高低差や凸凹が完全に生じていない状態のみを指しているのではなく、少なくとも面方向に対して厚さ方向が小さくなっていればよいので、面内で高低差や凸凹が生じている状態を含むものである。すなわち、「シート状となるよう均して投入」の文言も、面内で高低差や凸凹が完全に生じていない状態にしてから投入するという意味ではなく、例えば、炊飯器等で米を炊いた場合、釜の内部形状に沿ってブロック状になっている米飯を、少なくとも面方向に対して厚さ方向が小さくなる程度に広げ、投入するという意味である。
(米飯収容部11)
【0021】
米飯収容部11は、図1図5に示すように第一部材111と第二部材112とで構成される略中空四角錐台形状の部材であって、第一部材111及び第二部材112は、透光性を有する半透明の樹脂からなる。
【0022】
第一部材111は、筐体16の底面(つまり、米飯形成装置1の設置面)に対して約30度で傾斜する第一面11aと、第一面11aと隣接する第三面11cと、第一面11a及び第三面11cと隣接する第四面11dとを有する。また、第二部材112は、第一面11aの傾斜の下方側に筐体16の底面に対して略垂直に配され第一面11aから形成部13(詳細は後述する。)の位置まで延伸する第二面11bを有する。第二部材112は紫外線LED12が近設され、第二面11bは第三面11cに近設される。
【0023】
この構成により、第二部材112は紫外線LED12から発せられる紫外線を導光することで表面が発光し、第一部材111は第二部材112の第三面11cの表面から発せられる紫外線を導光することで表面が発光する。つまり、シート状となるよう均して投入された米飯BHにおいて、少なくとも、一方の面は第一面11aから、他方の面は第二面11bから発せられる紫外線を受けることができるので、「投入された米飯BHが形成部に移動する工程」において、米飯BHをひっくり返したり、撹拌したりするような機能を設けることなく、米飯BH全体を除菌することができる。また、第二面11bは形成部13の位置まで延伸する態様であるため、「米飯BHがシャリ玉形状に形成される工程」においても、米飯BHを除菌することができる。さらにまた、1つの紫外線LED12のみで米飯収容部11全体を発光させることができるので、複数の光源やその制御部を設けるためのスペースを確保することなく、米飯収容部11内を紫外線で除菌された除菌空間にできる。さらにまた、米飯収容部11に投入された米飯BHは自重により第一面11a上を摺動し、第一面11aの傾斜の下方端、第二面11b及び2つの第三面11cからなる開口部分より形成部13に移動するため、米飯を形成部に送り出すための機能を設ける必要がない。
【0024】
すなわち、本発明の一実施の形態に係る米飯形成装置1における米飯収容部11は、動力を用いない単純な構造でありながら、「米飯BH全体を除菌する機能」及び「米飯を形成部に送り出す機能」を同時に備える部材であり、米飯形成装置1の小型化及び軽量化に寄与する。
【0025】
なお、米飯収容部11の態様は前述のものに限定されない。例えば、米飯収容部11は第一面11a及び第二面11bを有していれば、第一部材111及び第二部材112の2つの部材で構成する必要はなく、1つの部材や、3つ以上の部材で構成するようにしてもよい。また、米飯収容部11は必ずしも樹脂からなる必要はなく、例えば、ガラス等の透光性を有するものであればよい。さらにまた、米飯収容部11は必ずしも半透明である必要はなく、導光する紫外線により米飯収容部11が発光するよう処理されていればよい。該処理には、例えば、レーザー加工機やプロッターを用いて米飯収容部11の表面に凹凸を設ける方法がある。この方法であれば、米飯BHと第一面11aとの接触面積が小さくなり、米飯BHが第一面11a上でより摺動しやすくなるという効果も生じる。さらにまた、前記処理は少なくとも第一面11a及び第二面11bに施してあればよく、必ずしも米飯収容部11の全体に施す必要はない。つまり、第一面11a及び第二面11bは半透明でその他の部分は透明な態様であってもよいし、第一面11a及び第二面11bの表面は凹凸でその他の部分の表面は平らな態様であってもよい。さらにまた、第二部材112は、必ずしも、図1図5に示すような形成部13の位置まで延伸する態様である必要はなく、例えば、図6に示すように高さ方向の大きさが第一面11aと略同じで形成部13の位置まで延伸しない態様としてもよい。このように、第二部材112は、シート状となるよう均して投入された米飯BHの、第一面11aと摺接する面と対向する面が紫外線を受けることができる態様であれば適宜変更してもよい。
(紫外線LED12)
【0026】
紫外線LED12は、電力供給部15から供給された電力を用いて紫外線を発する5mm×5mmの矩形状のチップ型LEDであって、図1図5に示すように第二部材112に近設され、点灯及び消灯は制御部14で制御される。紫外線LED12が点灯すると、第二部材112は紫外線LED12から発せられる紫外線を導光することで表面が発光し、第一部材111は第二部材112の第三面11cの表面から発せられる紫外線を導光することで表面が発光する。紫外線は、DNAやRNAという生物の核を攻撃するので、大腸菌や腸チフス菌、赤痢菌、O-157、サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、枯草菌、結核菌等を殺菌できる。特に、大腸菌やブドウ球菌については、1000時間使用後の15ワット殺菌灯器具により紫外線を60秒照射すると、99.999%以上が殺菌されたという試験結果もある。また、紫外線は、細菌の他に、コロナウイルス、ノロウイルス、その他のウイルス、ダニ等にも効果がある。
【0027】
なお、紫外線LED12の態様は前述のものに限定されない。例えば、紫外線LED12は矩形状のチップ型LEDに限定されず、複数の発光部が一定間隔で並設されるテープ型LEDであってもよい。さらにいえば、特許請求の範囲における「光源部」は紫外線光源であればよく、LEDに限定されない。
(形成部13)
【0028】
形成部13は、図1図5に示すように、第一面11aの傾斜の下方側よりも下に配され、それぞれ一対の、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133とからなる。一対の第一ローラ131は、その間隔が米飯収容部11の開口部分より狭くなるよう配され、一対の第二ローラ132は、その間隔が一対の第一ローラ131の間隔より狭くなるよう配され、一対の第三ローラ133は、溝部133aを有し、その間隔が一対の第二ローラ132の間隔より狭くなるよう配されている。また、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133は電力供給部15から供給された電力を用いて回転し、回転速度及びトルクは制御部14で制御される。
【0029】
以上の構成により、米飯収容部11から移動した米飯BHをシャリ玉形状に形成することができる。具体的には、米飯収容部11から移動した米飯BHを、間隔が徐々に狭まるよう配された第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133によって、1つのシャリ玉に適した量となるよう調整しながら移動させ、第三ローラ133の溝部133aで形状を整え、排出部162から排出する。
【0030】
なお、形成部13の態様は前述のものに限定されない。例えば、ローラの数や間隔、大きさ等は適宜変更してもよい。さらにいえば、形成部13はローラを用いたものに限定されず、例えば、巻き寿司のような略円筒形状や、おにぎりのような略三角形状等、形成したい形状に合わせて適宜変更してもよい。また、ローラの回転速度やトルクを調整することでシャリの硬さや、製造速度を調整することができるので、例えば、筐体16に操作部を設け、回転速度やトルクを調整できるようにしてもよい。
(制御部14)
【0031】
制御部14は、紫外線LED12の点灯及び消灯の制御と、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の回転速度及びトルクの制御を行う部材である。具体的に制御部14は、筐体16に設けられた動作スイッチ164(図示していない。)から動作開始の信号を受けると、紫外線LED12を点灯させ、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133を予め設定された回転速度及びトルクで回転させ、動作スイッチ164から動作終了の信号を受けると、紫外線LED12を消灯させ、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の回転を停止させる。
【0032】
また、制御部14は、動作スイッチ164からの動作開始の信号により紫外線LED12と第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133とが前記動作をしている状況において、筐体16に設けられた蓋部163が開かれると紫外線LED12、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の前記動作を停止させ、蓋部163が閉じられると紫外線LED12、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の前記動作を再開させる制御を行う。これにより、使用者に紫外線が当たることを防ぎ、また、使用者がローラに巻き込まれる事故を防ぐことができる。
【0033】
なお、形成部13の態様は前述のものに限定されない。例えば、紫外線LED12と第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133との動作の開始及び終了を動作スイッチ164の操作する態様に限定されず、紫外線LED12用の動作スイッチと第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133用の動作スイッチとを設け、個別に操作する態様にしてもよい。
(筐体16)
【0034】
筐体16は、米飯収容部11、紫外線LED12、形成部13、制御部14及び電力供給部15を収容する部材であり、図1図5に示すように投入部161、排出部162、蓋部163、動作スイッチ164及び持手165を備えている。また、筐体16は紫外線を透過しない材料(例えば、不透明の樹脂)からなり、使用者に紫外線が当たることを防ぐことができる。
【0035】
なお、形成部13の態様は前述のものに限定されず、例えば、排出部163から排出された米飯BHが、次に排出される米飯BHの邪魔にならないよう、排出された米飯BHを移動させる部材を備えていてもよい。具体的には、米飯BHの排出先にターンテーブルを設け、米飯BHの排出した場合に該ターンテーブルが一定の角度回転するよう制御部14で制御するようにしたり、米飯BHの排出先にベルトコンベアを設け、米飯BHの排出した場合に該ベルトコンベアが一定の距離進むよう制御部14で制御するようにしたりしてもよい。さらにまた、筐体16は、その内側の面に紫外線を反射させる処理を施し、米飯収容部11及び紫外線LED12から発せられる紫外線を筐体16内部で反射させる態様としてもよい。これにより、より多くの方向から米飯BHに紫外線を当てることができる。さらにいえば、紫外線を反射させる処理を施す面の全部又は一部をアーチ状にすることで、さらに多くの方向から米飯BHに紫外線を当てることも可能である。
(米飯形成装置1の使用方法)
【0036】
米飯形成装置1の使用方法について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
まず、ステップST101で、筐体16の蓋部163を開き、投入部161からシート状となるよう均した米飯BHを米飯収容部11に投入し、蓋部163を閉じる。
【0038】
次に、ステップST102で、動作スイッチ164を操作し、紫外線LED12、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の動作を開始させる。これにより、米飯収容部11に投入された米飯BHは、紫外線LED12の発する紫外線により除菌されながら、自重により第一面11a上を摺動して形成部13に移動し、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133によってシャリ玉形状に形成され、排出部162から排出される。
【0039】
また、米飯収容部11に投入された米飯BHが少なくなった場合は、ステップST103に進み、筐体16の蓋部163を開き、投入部161からシート状となるよう均した米飯BHを米飯収容部11に追加で投入し、蓋部163を閉じる。このように米飯BHを米飯収容部11に追加で投入するとき、紫外線LED12、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133は自動的に動作を停止するので、使用者は、米飯形成装置1を安全に使用することができる。
【0040】
米飯形成装置1の使用をやめるときは、ステップST104に進み、動作スイッチ164を操作し、紫外線LED12、第一ローラ131、第二ローラ132及び第三ローラ133の動作を停止させる。
【0041】
このように、米飯形成装置1は米飯の投入と、動作スイッチ164の操作のみで米飯BHをシャリ玉形状に形成することができる。
【0042】
以上説明したように、本発明の一実施の形態に係る米飯形成装置1は、紫外線光源を用いて米飯BHの除菌を行う機能を有しながらも、小型且つ軽量であり、従来品と比べて小規模な飲食店や家庭においても好適に使用できる。特に米飯収容部11は、動力を用いない単純な構造でありながら、「米飯BH全体を除菌する機能」及び「米飯を形成部に送り出す機能」を同時に備える部材であり、米飯形成装置1の小型化及び軽量化に寄与している。
【符号の説明】
【0043】
1…米飯形成装置
11…米飯収容部;11a…第一面;11b…第二面;11c…第三面;11d…第四面
111…第一部材
112…第二部材
12…紫外線LED
13…形成部
131…第一ローラ
132…第二ローラ
133…第三ローラ;133a…溝部
14…制御部
15…電力供給部
16…筐体
161…投入部;162…排出部;163…蓋部;164…動作スイッチ;165…持手
BH…米飯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7