(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067194
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
B60N2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175772
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鍛代 光智
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スクリューを回転させる駆動源となるモータの配置に関して自由度を高め得る構成を提供する。
【解決手段】別体として配置されるモータ50とギヤボックス60とが、モータ50の出力軸51とギヤボックス60の入力軸61とを利用して連結部材70により連結され、ギヤボックス60の入力軸61が、ギヤボックス60から出力される回転力をスクリューに伝達する伝達軸に対して直交するように配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されるロアレールと、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレールと、
スライド方向に沿うように配設されるスクリューと、
前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせる駆動源となるモータと、
入力される回転力を減速して出力するギヤボックスと、
別体として配置される前記モータと前記ギヤボックスとを前記モータの出力軸と前記ギヤボックスの入力軸とを利用して連結する連結部材と、
前記ギヤボックスから出力される回転力を前記スクリューに伝達するための伝達軸と、
を備え、
前記ギヤボックスの入力軸は、前記伝達軸に対して直交するように配置されることを特徴とするシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートを前後にスライドさせるシートスライド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のシートを前後にスライドさせるシートスライド装置として、例えば、下記特許文献1に開示される車両用シートスライド装置が知られている。この車両用シートスライド装置は、スライド時にモータが伝達機構を介してスクリュシャフトを回転させるように構成されており、伝達機構は、モータの出力軸に直結された駆動減速ギヤ機構と、スクリュシャフトに直結された左右一対の方向変換ギヤ機構と、駆動減速ギヤ機構の出力ギヤを貫通して配置され出力ギヤと一体回転するように連結されると共に両端が方向変換ギヤ機構の入力ギヤに連結された伝達シャフトと、を有するように構成されている。駆動減速ギヤ機構及び両方向変換ギヤ機構が、アッパーレールに固定されるリインフォースブラケットによって支持されることで、伝達シャフトの軸ずれの発生及び回転異音の発生の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した車両用シートスライド装置のように、駆動減速ギヤ機構がモータの出力軸に直結されるような一体型の構成では、伝達シャフトに対する駆動減速ギヤ機構の位置が決まることでモータの位置も決まってしまう。すなわち、モータの配置に関して自由度が無く、モータの配置スペースが限定されるためにモータを避けるようにシートフレーム等を構成する必要があり、モータ近傍でのシートフレーム等の設計に関して制約を受けてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、アッパーレールをロアレールに対してスライドさせる駆動源となるモータの配置に関して自由度を高め得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1のシートスライド装置(10)は、
車体に固定されるロアレール(20)と、
シートに固定されるとともに前記ロアレールに対しスライド可能に設けられるアッパーレール(30)と、
スライド方向に沿うように配設されるスクリュー(40)と、
前記アッパーレールを前記ロアレールに対してスライドさせる駆動源となるモータ(50)と、
入力される回転力を減速して出力するギヤボックス(60)と、
別体として配置される前記モータと前記ギヤボックスとを前記モータの出力軸(51)と前記ギヤボックスの入力軸(61)とを利用して連結する連結部材(70)と、
前記ギヤボックスから出力される回転力を前記スクリューに伝達するための伝達軸(81)と、
を備え、
前記ギヤボックスの入力軸は、前記伝達軸に対して直交するように配置されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、別体として配置されるモータとギヤボックスとが、モータの出力軸とギヤボックスの入力軸とを利用して連結部材により連結され、ギヤボックスの入力軸が、ギヤボックスから出力される回転力をスクリューに伝達するための伝達軸に対して直交するように配置される。
【0008】
これにより、伝達軸の位置を変えることができない場合でも、伝達軸に対するギヤボックスの組み付けに応じてギヤボックスの入力軸が延出する方向を伝達軸周りに回転するように変えることができる。さらに、ギヤボックスとモータとの距離も連結部材の長さに応じて変えることができるので、伝達軸に対するモータの位置を任意に設定することができる。すなわち、アッパーレールをロアレールに対してスライドさせる駆動源となるモータの配置に関して自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシートスライド装置にシートフレームを組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1のシートスライド装置等の平面図である。
【
図3】
図1のシートスライド装置等の側面図である。
【
図4】連結部材を介したモータとギヤボックスとの連結状態を説明するための分解斜視図である。
【
図5】連結部材を介して連結されたモータ及びギヤボックスが支持部材に組み付けられた状態を説明する説明図である。
【
図6】
図5に対して伝達軸を基準にモータとギヤボックスとの配置関係を変えた状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るシートスライド装置の一実施形態について図を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、シートスライド装置10は、車体(車両フロア)に固定されるロアレール20と、車両用シートのシートフレームSに固定されるアッパーレール30とを左右一対備え、それぞれのアッパーレール30の内部には、スライド方向に沿うように配置されたスクリュー40が回動可能に支持されている。また、シートスライド装置10は、アッパーレール30をロアレール20に対してスライドさせる駆動源となるモータ50と、入力される回転力を減速して出力するギヤボックス60と、モータ50の出力軸51とギヤボックス60の入力軸61とを連結する連結部材70と、ギヤボックス60から出力される回転力を左右のスクリュー40にそれぞれ伝達する伝達軸81及び左右一対のレール側ギヤボックス82と、を備えている。本実施形態では、連結部材70は、鉄などの金属材料によって略角柱状に形成されている。
【0011】
シートスライド装置10は、左右のアッパーレール30にそれぞれ支持されるスクリュー40が伝達軸81及び左右一対のレール側ギヤボックス82とから伝達される回転力によって回転し、このスクリュー40に噛合するナット部材(図示略)がロアレール20に固定されることで、左右のアッパーレール30がロアレール20に対してスライド(相対移動)するように構成されている。
【0012】
また、シートスライド装置10は、所定の操作に応じてモータ50が駆動制御されることで、出力軸51から連結部材70を介してギヤボックス60に回転力が伝達され、この回転力がギヤボックス60にて減速されて出力軸62から伝達軸81にそれぞれ伝達されるように構成されている。
【0013】
次に、連結部材70を介して連結されるモータ50及びギヤボックス60等の配置構成について、
図4~
図6等を参照して説明する。
ギヤボックス60は、出力軸62を伝達軸81が一体回転可能に貫通した状態で、アッパーレール30に固定される支持部材90の一側片部91に組み付けられている。入力軸61は、出力軸62に対して直交するように構成されているため、入力軸61は、伝達軸81に対して直交するように配置される。また、
図4及び
図5からわかるように、モータ50は、連結部材70によって出力軸51とギヤボックス60の入力軸61とが同軸的に連結された状態で、支持部材90の他側片部92に組み付けられている。
【0014】
このように連結部材70によって分離されたギヤボックス60とモータ50とをそれぞれ支持部材90に組み付ける構成では、ギヤボックス60の入力軸61が伝達軸81に直交しているため、支持部材90を設計的に変更することを前提に、設計上、伝達軸81に対するギヤボックス60の組み付けに応じて、ギヤボックス60の入力軸61が延出する方向(
図5の矢印F参照)を伝達軸(出力軸62)周りに回転するように変えることができる。同様に、連結部材70の長さLに応じて、ギヤボックス60とモータ50との距離を変えることができる。
【0015】
例えば、
図6に示すように、上述した連結部材70及び支持部材90に代えて、長さ(
図6の符号La参照)が連結部材70の長さLと異なる連結部材70a及び支持部材90aを採用することで、ギヤボックス60における入力軸61の延出方向(
図6の符号Fa参照)やギヤボックス60とモータ50との距離を変えることができる。すなわち、入力軸61の延出方向や連結部材70の長さに応じて、モータ50が配置される位置を自由に変えることができる。
【0016】
以上説明したように、本実施形態に係るシートスライド装置10では、別体として配置されるモータ50とギヤボックス60とが、モータ50の出力軸51とギヤボックス60の入力軸61とを利用して連結部材70により連結され、ギヤボックス60の入力軸61が、ギヤボックス60から出力される回転力をスクリュー40に伝達するための伝達軸81に対して直交するように配置される。
【0017】
これにより、伝達軸81の位置を変えることができない場合でも、伝達軸81に対するギヤボックス60の組み付けに応じてギヤボックス60の入力軸61が延出する方向を伝達軸81周りに回転するように変えることができる。さらに、ギヤボックス60とモータ50との距離も連結部材70の長さLに応じて変えることができるので、伝達軸81に対するモータ50の位置を任意に設定することができる。すなわち、アッパーレール30をロアレール20に対してスライドさせる駆動源となるモータ50の配置に関して自由度を高めることができる。
【0018】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)モータ50は、出力側にて支持部材90の他側片部92に組み付けられることに限らず、反出力側や中間部位にて他側片部92に組み付けられてもよい。
【0019】
(2)ギヤボックス60は、入力軸61から離れた反入力側にて支持部材90の一側片部91に組み付けられることに限らず、入力側や中間部位にて一側片部91に組み付けられてもよい。
【0020】
(3)連結部材70は、鉄などの金属材料によって略角柱状に形成されることに限らず、例えば、高速回転に対応可能なケーブルによって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0021】
10…シートスライド装置
20…ロアレール
30…アッパーレール
40…スクリュー
50…モータ
51…出力軸
60…ギヤボックス
61…入力軸
70…連結部材
81…伝達軸