(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067213
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20220425BHJP
G01N 29/11 20060101ALI20220425BHJP
G01N 29/48 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/11
G01N29/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175803
(22)【出願日】2020-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人 日本非破壊検査協会 第22回 アコースティック・エミッション総合コンファレンス論文集,IX-1,pp.103-106 2019年10月24日発行 [刊行物等]新潟大学駅南キャンパスときめいと 第22回 アコースティック・エミッション総合コンファレンス 2019年10月24日開催 [刊行物等]公益社団法人 日本材料学会 コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集 第20巻 2020年10月15日発行 [刊行物等]オンライン(zoom)開催(https://zoom.us/j/91661060283?pwd=akQwRHZBNURtMk1SQmlGVlpGT1JpQT09)第20回 コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム 2020年10月15日開催
(71)【出願人】
【識別番号】502257247
【氏名又は名称】一般財団法人東海技術センター
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221615
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 祐子
(72)【発明者】
【氏名】奥出 信博
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 智基
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA10
2G047BC03
2G047BC10
2G047BC18
2G047CA01
2G047CA03
2G047CB03
2G047EA10
2G047EA14
2G047GA14
2G047GF21
2G047GG28
2G047GG41
2G047GG46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンクリート構造物の補修や補強を行うに際して、コンクリート構造物の状態、例えばコンクリート構造物のひび割れ深さなどの損傷状態やその損傷箇所が非破壊状態で極めて簡単に、かつ正確に検出でき、しかも、コンクリート構造物の適切な補修や補強を行うために、損傷状態やその損傷箇所が非破壊状態で検出できるため継続的に観察できる構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法を提供する。
【解決手段】損傷個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と同等のときは、前記損傷個所通過後に観測される弾性波の振幅成分としては、注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分を足し合わせた振幅成分として推定振幅減衰量の値を算出し、補修後の実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の損傷箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物の損傷のない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数における損傷箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物の損傷深さを示す値であるとし、
前記損傷個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と同等のときは、前記損傷個所通過後に観測される前記弾性波の振幅成分としては、注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分を足し合わせた振幅成分として推定振幅減衰量の値を算出し、補修後の実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とする構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法。
【請求項2】
構造物の損傷箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物の損傷のない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数における損傷箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物の損傷深さを示す値であるとし、
前記損傷個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と異なるときは、前記注入材の物性を考慮して前記損傷個所通過後に観測される前記弾性波の振幅成分を注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分とを足し合わせた振幅成分とすると共に、前記注入材の物性に応じた補正係数を算出し、前記足し合わせた振幅成分と前記補正係数を用いて推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とする構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法。
【請求項3】
構造物のひび割れ箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物のひび割れのない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数におけるひび割れ箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物のひび割れ深さを示す値であるとし、
前記ひび割れ個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と同等のときは、前記ひび割れ通過後に観測される前記弾性波の振幅成分としては、注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分を足し合わせた振幅成分として推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とするひび割れ箇所への注入材充填深さ検出方法。
【請求項4】
構造物のひび割れ箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物のひび割れのない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意のひび割れ深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数におけるひび割れ箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物のひび割れ深さを示す値であるとし、
前記ひび割れ個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と異なるときは、前記注入材の物性を考慮して前記ひび割れ通過後に観測される前記弾性波の振幅成分を注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深のひび割れ個所での振幅成分とを足し合わせた振幅成分とすると共に、前記注入材の物性に応じた補正係数を算出し、前記足し合わせた振幅成分と前記補正係数を用いて推定振幅減衰量の値を算出して推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とするひび割れ箇所への注入材充填深さ検出方法。
【請求項5】
前記弾性波の発信が鋼球打撃によって行われ、前記鋼球と構造物との接触時間の違いを利用すべく鋼球の球径を変更して異なる周波数の弾性波を発信させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の構造物の損傷深さ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート構造物の損傷箇所への注入材充填深さ検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物のひび割れ注入工法は従来より知られている。すなわち、コンクリートのひび割れに注入材を充填することにより、劣化因子の遮断や、躯体の一体性を確保するために用いられる一般的なコンクリート構造物のひび割れ補修工法である。
【0003】
しかしながら、注入材が適切に充填されたことを確認するための検査方法は未だ確立していない。
本発明では、表面波を利用して注入材の充填深さを定量的に評価する非破壊手法について創案したものである。
【0004】
ここで、本発明では、ひび割れを模擬したスリットを有するコンクリート供試体を作製し、表面波の振幅の減衰挙動に注目した基礎的な実験を試みた。その結果、表面波がスリットを通過する際の振幅の減衰率は、表面波の振幅分布関数を用いて良好に説明できることを示した。さらに、注入材が充填されたケースにおいても同じく振幅分布関数を用いることで、注入材の充墳深さを定量的に評価できることを見出した。
【0005】
コンクリート構造物の延命化が求められる昨今、コンクリート構造物について適切な補修・補強を行い維持管理していくことが必要不可欠といえる。ひび割れ注入工法は、主として、コンクリートの比較的初期の変状に対し適用される補修工法であり、ひび割れにエポキシ樹脂等の注入材を充填することにより、外部からの劣化因子の遮断の他、コンクリートの一体性を確保することを目的として適用される。
【0006】
しかしながら、注入材の充填深さなどが適切であるか否かを確認するための技術は成熟しておらず、施工管理基準も体系的には定まっていない。そのため、現状では、実績注入量の記録を施工管理として置き換える場合がほとんどである。
【0007】
また、ひび割れの延長や深さを基に、あらかじめ注入量を概略的に推定する手段もとられるが、この設計注入量と実績注入量とがはなはだ乖離するケースがしばしば見られ、当該あらかじめ注入量を概略的に推定する手段は、結果として本質的な施工管理の実施には至っていないものである。
【0008】
なお、充填確認の手段として、注入部のコア採取を行い、ひび割れが適切に充填されていることを目視で確認する場合も考えられる。
しかしながらこの方法では補修した部位を破壊するため、優位性のある効果的な手段とはいえない。
【0009】
これらのことから、ひび割れ注入工法の施工管理においては、注入材の充填状態を非破壊かつ定量的に評価できる効率的な手法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記従来の要請に鑑みて創案されたものであり、従来検討してきた面的な評価を、部位ごとの充填状況を定性的に把握するためのスクリーニングに用いることとし、表面波による手法を用いつつ、注入材の定量的な充填評価工法を創案するに至ったのである。
【0012】
すなわち、表面波を利用して注入材の充填深さを定量的に評価する非破壊手法について創案したものであり、例えば、ひび割れを模擬したスリットを有するコンクリート供試体を作製し、表面波の振幅の減衰挙動に着目した基礎的な実験を試み、その結果、表面波がスリットを通過する際の振幅の減衰率は、表面波の振幅分布関数を用いて良好に説明できることを示した。
【0013】
そして、注入材が充填されたケースにおいても、同じく振幅分布関数を用いることで、注入材の充填深さを定量的に評価できる構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法を提供できることを創案し、該構造物損傷箇所への注入材充填深さ検出方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
構造物の損傷箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物の損傷のない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数における損傷箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物の損傷深さを示す値であるとし、
前記損傷個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と同等のときは、前記損傷個所通過後に観測される前記弾性波の振幅成分としては、注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分を足し合わせた振幅成分として推定振幅減衰量の値を算出し、補修後の実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とし、
または、
構造物の損傷箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物の損傷のない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数における損傷箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物の損傷深さを示す値であるとし、
前記損傷個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と異なるときは、前記注入材の物性を考慮して前記損傷個所通過後に観測される前記弾性波の振幅成分を注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分とを足し合わせた振幅成分とすると共に、前記注入材の物性に応じた補正係数を算出し、前記足し合わせた振幅成分と前記補正係数を用いて推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とし、
または、
構造物のひび割れ箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物のひび割れのない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意の損傷深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数におけるひび割れ箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物のひび割れ深さを示す値であるとし、
前記ひび割れ個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と同等のときは、前記ひび割れ通過後に観測される前記弾性波の振幅成分としては、注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深の損傷個所での振幅成分を足し合わせた振幅成分として推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とし、
または、
構造物のひび割れ箇所を挟んで第1の受信センサと第2の受信センサを配置し、前記2つのセンサを結ぶ延長線上の位置で、周波数の異なる弾性波を複数発信させ、前記第1の受信センサと第2の受信センサで受信し、受信した複数弾性波の波形振幅値を計測し実測の振幅減衰量の値を算出してなり、
一方、前記構造物のひび割れのない箇所で発信した弾性波から算出したVP、 VS、 VRの値に基づくレイリー波の深度方向における振幅分布関数の式から任意のひび割れ深さを定めたうえで複数弾性波の複数周波数におけるひび割れ箇所通過の際の理論上の推定振幅減衰量の値を算出し、
前記実測の振幅減衰量の値と前記推定振幅減衰量の値を比較し、双方の値の差が最小となるときの値が構造物のひび割れ深さを示す値であるとし、
前記ひび割れ個所に注入材が充填されたときで該注入材の物性が構造物と異なるときは、前記注入材の物性を考慮して前記ひび割れ通過後に観測される前記弾性波の振幅成分を注入材充填部分の振幅成分と該充填部分以深のひび割れ個所での振幅成分とを足し合わせた振幅成分とすると共に、前記注入材の物性に応じた補正係数を算出し、前記足し合わせた振幅成分と前記補正係数を用いて推定振幅減衰量の値を算出して推定振幅減衰量の値を算出し、補修後実測の減衰量と補修後推定減衰量とを比較することで充填深さを推定する、
ことを特徴とし、
または、
前記弾性波の発信が鋼球打撃によって行われ、前記鋼球と構造物との接触時間の違いを利用すべく鋼球の球径を変更して異なる周波数の弾性波を発信させる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンクリート構造物の補修や補強を行うに際して、コンクリート構造物の状態、例えばコンクリート構造物のひび割れ深さなどの損傷状態やその損傷箇所が非破壊状態で極めて簡単に、かつ正確に検出でき、しかも、コンクリート構造物の適切な補修や補強を行うために、損傷状態やその損傷箇所が非破壊状態で検出できるため継続的に観察できるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明者らは、ひび割れ注入工法における注入材の充填評価手法として、表面波の速度分布を利用する手法について創案した。
この手法は、補修の前後で表面波の速度分布を二次元画像として可視化し、それらを比較することで充填状況を把握しようとするものである。これにより、本手法が充填評価において有効なツールになり得る。
【0017】
以下本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
まず、構造物のひび割れ深さを非接触の方法、すなわち弾性波の減衰率を利用しての検出方法につき説明する。
【0018】
図1において、発信センサ1は、例えば、20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzなど所定の周波数の弾性波を発信する装置である。
【0019】
次に、受信センサ2は、圧電素子等を利用した弾性波検出のための受信装置である。また、弾性波発生装置3は、所定の周波数及び波形の電圧信号を発生させる装置である。さらに、波形記録装置4は、信号の増幅及び周波数のフィルタリング機能を有し、前記受信センサ2で検出した電圧値の経時変化を記録する装置である。
【0020】
本発明では、発信された弾性波の表面波を受信し、これを計測する。ここで、弾性波がコンクリート表面を伝播する際、P波、S波のような実体波の他に、エネルギーの大きい表面波が伝播する。表面波には、レイリー波とラブ波が存在し、レイリー波は波の進行方向に対し逆方向の楕円軌道を描きながら進行する波である。レイリー波の上下振動の波動エネルギーの割合は、P波、S波を含めた全エネルギーの約70%を占め、また減衰しにくいという特徴を持つ。ラブ波は伝播媒体が層を成し、上層の音響インピーダンスが下層よりも小さい場合にのみ存在する水平方向の波である。
【0021】
したがって、コンクリート表面で観測される上下振動のエネルギーには、主としてレイリー波が寄与するものと考えられる。レイリー波では、波動のエネルギーは殆ど媒質の表面から1波長以内の深度範囲に分布することから、レイリー波は周波数が低いほど波長が長く、表面からより深いところの物性の影響を受けることになる。
【0022】
(計測とデータ解析)
まず、所定の周波数を有する弾性波を発信する。例えば、20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzの周波数を有する弾性波を発信する。尚、弾性波の発信については弾性波発信装置3による発信に限定されない。鋼球の打撃による発信でも構わない。
次に、発信周波数毎に第1の受信センサ2及び第2の受信センサ2の波形を記録する。
【0023】
(振幅の減衰に関する推定値の算出)
本発明では、レイリー波の深度方向における振幅分布関数の式、すなわち以下に示す数式1が使用される。
[数式1]
L:入力波長
V
P:P波速度
V
S:S波速度
【0024】
(V
Pの算出方法)
レイリー波の深度方向における振幅分布関数の式、すなわち数式1を使用するに際しては、V
P(P波速度)を算出する必要がある。
そのため、対象であるコンクリート構造物5において、ひび割れのない部分で前記20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzなど所定の周波数の弾性波の発信を行い、第1の受信センサ2、及び第2の受信センサ2で受信した波形を検出する。そして、検出された波形において、初動の時間差Δt
Pを算出する。
[数式2]
a:第1の受信センサ1と第2の受信センサ2間の距離
これによって、V
Pが算出できる(
図2参照)。
【0025】
(V
Rの算出方法)
次に、ひび割れのない部分において受信センサ1、2で検出された波形において、最初の卓越振幅の時間差Δt
Rを算出する(
図3参照)。これによりV
Rが算出出来る。
[数式3]
a:受信センサ1、2の距離
【0026】
(V
Sの算出方法)
さらに、V
S(S波速度)を算出する。
[数式4]
V
PとV
Rの関係から、νを求め、次いでV
S(S波速度)が求められる。
[数式5]
f:発生させる弾性波の周波数
[数式6]
上記により、未知のパラメータがなくなって、振幅分布を得ることができる(
図4参照)。
【0027】
(レイリー波の波長と振幅分布)
以下の数式7によりレイリー波の波長と振幅分布との関係図(
図5参照)を導き出す。
[数式7]
【0028】
波長はレイリー波の速度を2500m/sとした際の値を示す。
20kHz(λ=0.125m) 40kHz(λ=0.0625m) 60kHz(λ=0.0417m) 80kHz(λ=0.0312m)
図5から理解できるように、レイリー波の波長が短くなるに従い、浅い振幅分布となる。
この性質を利用し、コンクリート構造物におけるひび割れ深さが評価できるものとなる。
ここで、例えば、0.05mのひび割れの場合のひび割れ通過後の振幅成分を
図6、
図7に示す。
【0029】
(ひび割れ通過後の振幅成分「例:0.05mのひび割れ」の場合)
尚、ひび割れ通過後として示す
図6、
図7は、振幅成分のイメージであり、振幅分布を示しているわけではない。
20kHz(λ=0.125m) 40kHz(λ=0.0625m) 60kHz(λ=0.0417m) 80kHz(λ=0.0312m)
【0030】
波長はレイリー波の速度を2500m/sとした際の値を示したものである。
そして、ひび割れ通過前の値の積分値とひび割れ通過後の値の積分値により、ひび割れ通過による減衰量Aが求められる(積分値の割合で評価:
図8参照))。
尚、前述のように、ひび割れ通過後として示す
図8は、振幅成分のイメージであり、振幅分布を示しているわけではない。
【0031】
ここで、ひび割れ(深さd=0.05m) 20kHz(λ=0.125m)のレイリー波に関する振幅分布を
図8に示す。
[数式8]
[数式9]
[数式10]
【0032】
(推定曲線「波長と減衰量」)
[数式11]
与える周波数(波長)に対する、減衰量により、ひび割れ深さが判断可能となったのである(
図9参照)
【0033】
(全体の流れ)
尚、全体の流れを簡単に説明する。
計測&データ解析について
(1)ひび割れの無い部分において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量を得ると同時にVP、 VS、 VRを得る。
(2)対象とするひび割れ部において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量により補正を施した補修前計測減衰量を得る。
(3)(2)の補修前計測減衰量と補修前推定減衰量とを比較することにより、ひび割れ深さが検出できる。
【0034】
コンクリート構造物ひび割れの計測減衰量算出の概略を説明する。
(V
Pの算出)
ひび割れのない部分で受信センサ1、2で検出された波形において、初動の時間差Δt
Pを算出する。
a:受信センサ1、2の距離
【0035】
(V
Rの算出)
ひび割れのない部分で受信センサ1、2で検出された波形において、最初の卓越振幅の時間差Δt
Rを算出する。
a:受信センサ1、2の距離
【0036】
振幅の減衰量
受信センサ1において、最初の卓越振幅の時刻t
1を基として、Δt
Rよりt
2を算出する。発信周波数f におけるt
1、t
2のウェーブレット係数X
1、 X
2の比A’を算出。
さらに、ひび割れの無い部分において、得られたA
0(f)により補正したものを減衰量A(f)とする。
【0037】
次に、実験によって、本発明による検出方法の妥当性を検証する。
図10乃至
図12にその検証方法及び検証結果を示す。
図10に示すように、ひび割れの幅0.3mmで、ひび割れ深さが1cm、5cm及び10cmのコンクリート構造物供試体を3つ用意した(
図11参照)。そして、本発明により検出したそれぞれのひび割れ深さの曲線を表示し、さらに実測し検証した各々のひび割れ深さにおける減衰量の点を付加した図を
図12に示す。
【0038】
すると、前記検出した各々のひび割れ深さでの減衰量を示す曲線と実際に各々のひび割れ深さが明らかなコンクリート供試体で実測した減衰量とがほぼ一致することが判明した(
図12参照)。
【0039】
上記のように、本件発明者らは、ひび割れを模擬したスリットを有するコンクリート供試体を作製し、基礎的な計測を行った。
すなわち、ひび割れを通過する際の表面波の振幅の減衰率に着目し、新たなひび割れ深さの推定方法を発明した。
【0040】
この方法は、前記のごとく、ひび割れを通過する際の表面波の振幅の減衰率が、(ひび割れ深さ/検出波形から得られた波長)と相関があることを利用した方法である。
【0041】
次いで、本件発明者らは、表面波の振幅の減衰率を、表面波の深度方向における振幅分布関数を用いて算出すると共に、これに基づき、注入材の充填状態を推定する手法を発明した。
【0042】
(充填ケースにおける振幅の減衰量)
以上では、ひび割れに注入材が充填されていない場合において、レイリー波の振幅の減衰量は、表面波の振幅分布関数のz方向の積分値に対する、ひび割れ以深の積分値の割合として良好に説明できることを示した。
【0043】
この考えに基づけば、ひび割れに注入材が充填された場合においては、ひび割れ通過後に観測されるレイリー波は、ひび割れ以深の振幅成分に加え、注入材の充填部の振幅成分も寄与するものと考えられる。つまり、レイリー波の振幅の減衰量は、表面波の振幅分布関数のz方向の積分値に対する、ひび割れ以深および注入材の充填深度に対する積分値(和)の割合として説明できると考えられる(
図13)。
[数式12]
[数式13]
[数式14]
[数式15]
【0044】
例として、5cmのひび割れにおいて表面から1cm、2cm、3cm、4cm、5cmの注入材(母材と同じ物性)を充填した場合の、波長と減衰量との関係、すなわち充填深度を求めるための推定曲線を
図14に示す。ひび割れ深さの判断が可能であったのと同様に、与える周波数(波長)に対する減衰量により、今度は充填深度が判断可能となったのである。
【0045】
(数値解析による妥当性の検証)
当該着想に関する妥当性の検証を実験的に試みたいが、コンクリート(母材)と全く同じ物性の注入材を実際に充填することは容易ではない。そこで、Wave3000(Cyberlogic社製)を用いた波動伝播シミュレーションにより数値解析を行うことで手法の妥当性を検証することとした。本ソフトウェアは、三次元の弾性波波動方程式について近似解を計算する。有限差分法を基本とし、解析は以下の弾性波波動方程式に従う。
[数式16]
【0046】
ここで、ρは密度、λとμはそれぞれLameの第一定数および第二定数、ηはせん断粘性係数、φは体積粘性係数、tは時間である。wは三次元の列ベクトルであり、その構成要素は位置(x,y,z)における変位の各成分であり、下式で表すことができる。
[数式17]
【0047】
シミュレーションモデルを
図15に示す。スリット幅は2mm、深さは5cmとした。注入材はコンクリートと同じ物性のものとし、充填深度0cm(未充填)、1cm、2cm、3cm、4cmと5つのパターンについて解析した。また解析メッシュの最小単位は0.5mmとし、反射の影響を除外する目的でx,y,zの全ての端面の境界はInfiniteとした。すなわち、弾性波は反射等せず当該物性が無限に存在する条件とした。
【0048】
ただし、スリット開口面をInfiniteとしてしまうと適切な解析結果が得られないことから、空気層を設けることとした。スリットに対する各センサの距離は、
図16に示すとおりとした。
【0049】
本シミュレーションでは、これまで述べてきたとおり、発信センサから所定の周波数を有する弾性波を発信した。周波数は20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzとした。受信センサ1および受信センサ2では、実験で得られるのと同様に、時間に対する変位が波形として得ることができる。なお、シミュレーションモデルにおいて使用した各物性値を表1に示す。
[表1]
【0050】
各水準のシミュレーションにおいて、受信センサで得られた波形に対し、既述の振幅の減衰量の算出より得られた減衰量の結果を
図17に示す。理論曲線とシミュレーション結果とが良好に一致しており、手法の妥当性が示された。
【0051】
(全体の流れ)
尚、全体の流れを簡単に説明する。
計測&データ解析について
(1)ひび割れの無い部分において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量を得ると同時にVP、 VS、 VRを得る。
(2)対象とするひび割れ部において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量により補正を施した補修後計測減衰量を得る。
(3)(2)の補修後計測減衰量と補修後推定減衰量とを比較することにより、注入材の充填深さが検出できる。
【0052】
(注入材の物性が母材と異なる場合の補正方法)
以上の検証では、注入材を母材と同じコンクリートと扱った。しかしながら実際のひび割れ補修に用いられる注入材は、母材のコンクリートと類似の物性のものとは限らず、むしろエポキシ系樹脂など有機系材料が用いられることが多い。母材のコンクリートと物性が異なる材料が注入材として用いられた場合には、上記手法を単に適用するだけでは誤差が大きくなり、充填評価における精度が低下する可能性がある。
【0053】
したがって、物性が異なる場合にも精度の高い評価が可能となるよう、その手段について以下に例示するとともに、当該手段の妥当性についても実験的に検証した。
【0054】
図18に示すように、注入材の充填深度に相当する積分値に、当該注入材の物性に応じた補正係数U(f)を乗じることにより理論曲線の推定式を改変する。
これにより、母材の物性と注入材の物性との違いを表現でき物性値が互いに異なる場合においても精度の高い評価が可能とする。
[数式18]
【0055】
(エポキシ樹脂の補正係数)
例として、既述のWave3000(Cyberlogic社製)を用いた波動伝播シミュレーションにより、エポキシ樹脂の補正係数を算出した。スリット幅は2mm、深さは400mm、つまり底面までスリットを有する。注入材はエポキシ樹脂とし、このエポキシ樹脂がスリットを全て満たしたモデルとした。また解析メッシュの最小単位は0.5mmとし、反射の影響を除外する目的でx,y,zの全ての端面の境界はInfiniteとした。
【0056】
すなわち,弾性波は反射等せず当該物性が無限に存在する条件とした。ただし、スリット開口面をInfiniteとしてしまうと適切な解析結果が得られないことから、空気層を設けることとした。スリットに対する各センサの距離は、これまでと同様に
図16に示すとおりとした。
【0057】
本シミュレーションでは、これまで述べてきたとおり、発信センサから所定の周波数を有する弾性波を発信した。周波数は20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzとした。受信センサ1および受信センサ2では、実験で得られるのと同様に、時間に対する変位が波形として得ることができる。なお、シミュレーションモデルにおいて使用した各物性値を表2に示す。
【表2】
【0058】
各水準のシミュレーションにおいて、受信センサで得られた波形に対し、既述の振幅の減衰量の算出より得られた減衰量の結果を
図20に示す。この波長に対する減衰量を補正係数U(f)と定義する。
この補正係数U(f)を数式18に適用した際の理論曲線を算出すると、
図21に示すとおりとなる。
【0059】
(供試体を用いた実験的検証)
図22に供試体の概要を示す。ひび割れを模擬したスリットは、SUS板をコンクリートの硬化後に抜き取ることにより与えた。スリット幅は2.0mm、深さは5cmとした。
【0060】
供試体のコンクリートはテストピースの力学実験により、コンクリートの圧縮強度は44.8N/mm
2、ポアソン比は0.2、ヤング係数は37.6kN/mm
2であることを確認した。低圧注入用のエポキシ系樹脂(低粘度(500土200mPa・s)、可使時間30分)を
図23に示すとおり、深部の充填が不十分な状況を想定して、表面から2cmおよび4cmの深度まで注入した。
【0061】
所定の深度より以深にエポキシ樹脂が流れないように、あらかじめゴムチューブをコンクリート表面から所定の位置に設けた後、エポキシ樹脂をプラスチック製の注射器で慎重に注入し、1週間以上経過した硬化後において表面波の計測を実施した。
【0062】
スリットに対する各センサの距離は、これまでと同様に
図16に示すとおりとした。本計測では、これまで述べてきたとおり、発信センサから所定の周波数を有する弾性波を発信した。周波数は20、 30、 40、 50、 60、 70、 80kHzとした。受信センサ1および受信センサ2で得られる波形に対し、既述の振幅の減衰量の算出を実施した。
【0063】
これにより得られた結果を
図24に示す。
ここで示した曲線は、エポキシ樹脂の物性を考慮し得られた補正係数U(f)に基づき描いた理論曲線、つまり
図21で示した曲線と同じである。本図から明らかなように、実験で得られた減衰量は、理論曲線と概ね一致している。つまり、
図18で示したように、注入材の充填深度に相当する積分値に、当該注入材の物性に応じた補正係数U(f)を乗じることにより理論曲線の推定式を改変する補正手法の妥当性が明らかとなった。
【0064】
(全体の流れ(注入材の物性を考慮する場合))
尚、全体の流れを簡単に説明する。
計測&データ解析について
(1)ひび割れの無い部分において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量を得ると同時にVP、 VS、 VRを得る。
(2)対象とするひび割れ部において、任意の周波数毎の計測を行い、参照減衰量により補正を施した補修前計測減衰量を得る。
(3)波動伝播シミュレーション等により注入材の物性に応じた補正係数を算出し、補正係数を用いて補修後推定減衰量を算出する。
(4)(2)の補修後計測減衰量と補修後推定減衰量とを比較することにより、注入材の充填深さが検出できる。
【符号の説明】
【0065】
1 発信センサ
2 受信センサ
3 弾性波発生装置
4 波形記録装置
5 コンクリート構造物
6 ひび割れ
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図4】未知のパラメータがなくなって、得られた振幅分布を説明する説明図である。
【
図5】レイリー波と振幅分布との関係を説明する説明図である。
【
図6】ひび割れ通過後の振幅成分を説明する説明図(1)である。
【
図7】ひび割れ通過後の振幅成分を説明する説明図(2)である。
【
図9】推定曲線(波長と減衰量)を説明する説明図である。
【
図10】本発明の妥当性を検証する説明図(1)である。
【
図11】本発明の妥当性を検証する説明図(2)である。
【
図12】本発明の妥当性を検証する説明図(3)である。
【
図13】充填時におけるひび割れ通過後の振幅成分を説明する図である。
【
図14】充填深さを示す曲線を説明した説明図(1)である。
【
図15】本発明の妥当性を検証する説明図(4)である。
【
図16】本発明の妥当性を検証する説明図(5)である。
【
図17】本発明の妥当性を検証する説明図(6)である。
【
図18】注入材の物性に応じた補正方法を説明する図(1)である。
【
図19】補正方法に関する妥当性を説明する図(1)である。
【
図20】補正方法に関する妥当性を説明する図(2)である。
【
図21】補正方法に関する妥当性を説明する図(3)である。
【
図22】補正方法に関する妥当性を説明する図(4)である。
【
図23】補正方法に関する妥当性を説明する図(5)である。
【
図24】注入材の物性を考慮した状態を説明する説明図である(2)。