(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067221
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】粒状肉及びレトルト食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 13/10 20160101AFI20220425BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A23L13/10
A23L3/00 101C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175819
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】507136590
【氏名又は名称】株式会社創作館グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】藤林 泰之
【テーマコード(参考)】
4B021
4B042
【Fターム(参考)】
4B021LA05
4B021LP01
4B021LP07
4B021LW04
4B042AC03
4B042AC05
4B042AC09
4B042AE02
4B042AG07
4B042AH01
4B042AP02
4B042AP06
4B042AP18
4B042AP22
4B042AP30
(57)【要約】
【課題】原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の粒状肉の製造方法は、冷凍された肉塊Cを肉塊薄切り面D1a~D1lで薄切りし、複数の略薄板肉Pa~Pmを得る第1薄切り工程と、複数の略薄板肉Pa~Pmを2枚以上重ねて冷凍し、冷凍積層肉Sを得る第1冷凍工程と、冷凍積層肉Sを積層肉薄切り面D2a~D2yで薄切りし、複数の略棒状肉Ra~Rjを得る第2薄切り工程と、複数の略棒状肉Ra~Rjについて長手方向及び短手方向を略揃えて冷凍し、冷凍棒状肉集合体Aを得る第2冷凍工程と、冷凍棒状肉集合体Aを細断面D3a~D3zで細断し、複数の粒状肉Gを得る細断工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍された肉塊を薄切りし、複数の略薄板肉を得る第1薄切り工程と、
前記複数の略薄板肉を2枚以上重ねて冷凍し、冷凍積層肉を得る第1冷凍工程と、
前記冷凍積層肉を薄切りし、複数の略棒状肉を得る第2薄切り工程と、
前記複数の略棒状肉について長手方向及び短手方向を略揃えて冷凍し、冷凍棒状肉集合体を得る第2冷凍工程と、
前記冷凍棒状肉集合体を細断し、複数の粒状肉を得る細断工程と、
を有する、粒状肉の製造方法。
【請求項2】
前記第1薄切り工程、前記第2薄切り工程及び前記細断工程は、スライサー及び/又は包丁を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1薄切り工程、前記第2薄切り工程及び前記細断工程における薄切り及び細断の面が前記肉塊に対して互いに略垂直である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1冷凍工程及び前記第2冷凍工程における冷凍が真空冷凍である、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記肉塊が鶏むね肉の肉塊である、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた粒状肉に所定の原材料を加えてレトルト処理を施すレトルト処理工程を有する、レトルト食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状肉及びレトルト食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原料肉をひき肉その他の粒状肉に加工することが知られている。原料肉を粒状肉に加工することにより、独特の食味を得ることができる。また、粒状肉は、略球状、略円盤状、略棒状等の各種の形状に成型することが容易である。原料肉を粒状肉に加工し、成型した食品として、例えば、ミートボール、ハンバーグ、ソーセージ、つくね等を挙げることができる。これらの食品は、食卓に欠かせない食品となっている。
【0003】
原料肉を粒状肉に加工することに関し、肉ひき機等を用いたミンチ処理による加工では、原料肉を細かい粒状の粒状肉に加工する。そのため、ミンチ処理による加工では、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕し得る。これにより、加工後の粒状肉が保持している食肉繊維の含有量が減少し、原料肉が本来持っている食感を損ない得る。また、ミンチ処理による加工では、粒状肉が保持している食肉繊維の含有量が減少するため、食肉繊維が粒状肉の形を保つ力が減少し、粒状肉を煮たときに粒状肉の形が崩れる煮崩れが発生するリスクが高まり得る。したがって、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉に関する要望がある。
【0004】
原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉に関し、粒状原料肉の製造方法であって、原料畜肉の肉塊をスライスして板状肉塊を取得する工程、当該板状肉塊を裁断して塊状肉片を取得する工程、及び、当該塊状肉片を粉砕する工程、を含むことを特徴とする粒状原料肉の製造方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の方法によれば、原料肉が本質的に保有する食肉繊維を含む粒状肉を製造し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、塊状肉片を粉砕する工程において、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕し、食肉繊維の含有量が減少し得る。したがって、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善することにおいて、なお一層の改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、略薄板肉を重ねて冷凍し、冷凍積層肉を得る第1冷凍工程と、複数の棒状肉について長手方向及び短手方向を略揃えて冷凍し、冷凍棒状肉集合体を得る第2冷凍工程と、冷凍棒状肉集合体を細断し、複数の粒状肉を得る細断工程とを有することで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、冷凍された肉塊を薄切りし、複数の略薄板肉を得る第1薄切り工程と、前記複数の略薄板肉を2枚以上重ねて冷凍し、冷凍積層肉を得る第1冷凍工程と、前記冷凍積層肉を薄切りし、複数の略棒状肉を得る第2薄切り工程と、前記複数の棒状肉について長手方向及び短手方向を略揃えて冷凍し、冷凍棒状肉集合体を得る第2冷凍工程と、前記冷凍棒状肉集合体を細断し、複数の粒状肉を得る細断工程と、を有する、粒状肉の製造方法を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、肉ひき機を用いたミンチ処理ではなく、薄切り及び細断を行うため、加工後の粒状肉の大きさを制御しやすい。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0011】
食肉が柔らかい場合、薄切り及び/又は細断後の大きさの制御に、技術及び/又は労力を要する。第1の特徴に係る発明によれば、冷凍された肉塊、冷凍積層肉及び冷凍棒状肉集合体が適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、加工後の大きさを制御することがより一層容易となる。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0012】
食肉が柔らかい場合、薄切り及び/又は細断の方向を揃えるために、技術及び/又は労力を要する。第1の特徴に係る発明によれば、冷凍された肉塊、冷凍積層肉及び冷凍棒状肉集合体が適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、薄切り及び細断の方向を容易に制御し得る。これにより、食肉繊維に垂直である方向での薄切り及び/又は細断を繰り返して、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0013】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供できる。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記第1薄切り工程、前記第2薄切り工程及び前記細断工程は、スライサー及び/又は包丁を用いて行われる、製造方法を提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、スライサー及び/又は包丁を用いて第1薄切り工程、第2薄切り工程及び細断工程を行うため、これらの工程によって得られる肉の大きさを容易に制御し得る。したがって、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0016】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供できる。
【0017】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記第1薄切り工程、前記第2薄切り工程及び前記細断工程における薄切り及び細断の面が前記肉塊に対して互いに略垂直である、製造方法を提供する。
【0018】
第3の特徴に係る発明によれば、薄切り及び細断の面が肉塊に対して互いに略垂直であるため、食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向と略垂直である面で行われる薄切り及び/又は細断の回数を抑え得る。これにより、食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善し得る。
【0019】
薄切り及び細断の面が肉塊に対して互いに略垂直であることが食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向と略直交する面で行われる薄切り及び/又は細断の回数を抑え得ることについて、より詳細に説明する。冷凍された肉塊を、食肉繊維の方向と略垂直である面で薄切りする第1薄切り工程であれば、第2薄切り工程における薄切りの面は、食肉繊維の方向と略垂直である面と略垂直である面となる。したがって、第2薄切り工程における薄切りの面は、食肉繊維の方向に略平行な面となる。同様に、細断の面は、食肉繊維の方向に略平行な面となる。食肉繊維の方向と略垂直である面で冷凍積層肉を薄切りする第2薄切り工程についても、略垂直である面で薄切りを行う工程以外の工程における薄切り及び細断の面は、食肉繊維の方向に略平行な面となる。食肉繊維の方向と略垂直である面で冷凍棒状肉集合体を細断する細断工程についても、略垂直である面で細断を行う工程以外の工程における薄切りの面は、食肉繊維の方向に略平行な面となる。したがって、食肉繊維を破壊し得る食肉繊維の方向と略垂直である面で行われる薄切り及び/又は細断の回数を抑え、食物繊維の粉砕を抑え得る。
【0020】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供できる。
【0021】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記第1冷凍工程及び前記第2冷凍工程における冷凍が真空冷凍である、製造方法を提供する。
【0022】
第4の特徴に係る発明によれば、冷凍積層肉及び冷凍棒状肉集合体が乾燥及び/又は酸化する冷凍焼けを抑え、冷凍積層肉及び冷凍棒状肉集合体の食感、外見、及び/又は、風味を保ち得る。
【0023】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であって、前記肉塊が鶏むね肉の肉塊である、製造方法を提供する。
【0024】
鶏むね肉等の脂肪分が比較的少ない食肉は、食べたときの脂肪の摂取を抑え得ることから、成人病予防等において重要な食肉である。脂肪分及び食肉繊維は、食肉に含まれる水分を保持する能力を有する。ミンチ処理によって粒状肉に加工して食肉繊維を粉砕すると、食肉繊維が水分を保持する能力が減少する。このとき、脂肪分が比較的少ない食肉を加工した粒状肉では、脂肪分が水分を保持する力が比較的弱いため、粒状肉は、保持していた水分を失い得る。水分を失った粒状肉は、水分が不足したパサつき状態となり、食感、外見、及び/又は、風味に悪影響を及ぼし得る。
【0025】
第5の特徴に係る発明によれば、脂肪分が比較的少ない鶏むね肉を用いた粒状肉について、食肉繊維の粉砕を抑えるため、粒状肉が水分を失うことを抑え得る。したがって、鶏むね肉を用いた粒状肉における、水分が不足したパサつき状態を抑え、食感、外見、及び/又は、風味を改善し得る。
【0026】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る製造方法によって得られた粒状肉に所定の原材料を加えてレトルト処理を施すレトルト処理工程を有する、レトルト食品の製造方法を提供する。
【0027】
第6の特徴に係る発明によれば、粒状肉及び所定の原材料を用いたレトルト食品を製造できる。粒状肉及び所定の原材料を包装体に封入して高温高圧で殺菌するレトルト処理を施しているため、菌の増殖による品質の低下、及び/又は、腐敗を抑え、長期間の保存を行い得るレトルト食品を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉等を製造可能な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、冷凍された肉塊Cを正面方向からみた概略正面図である。
【
図3】
図3は、冷凍棒状肉集合体Aを構成する棒状肉Ra~Rjの短手方向からみた概略模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態の方法を用いて製造した粒状肉Gの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0031】
<粒状肉の製造方法>
図1は、冷凍された肉塊Cを正面方向からみた概略正面図である。以下、
図1等を用いて、実施形態における粒状肉の製造方法に関する好ましい手順を説明する。
【0032】
〔冷凍された肉塊C〕
まず、粒状肉の原料肉となる冷凍された肉塊Cを用意する。冷凍された肉塊Cは、食肉の塊を冷凍して得た冷凍された肉塊であれば、特に限定されない。食肉は、鶏肉その他の食鳥肉でもよく、牛肉、豚肉、羊肉その他の畜肉でもよく、野生動物の肉でもよく、魚肉その他の水棲生物の肉でもよい。冷凍された肉塊Cは、なかでも、鶏むね肉を冷凍して得た冷凍された肉塊であることが好ましい。
【0033】
鶏むね肉等の脂肪分が比較的少ない食肉は、食べたときの脂肪の摂取を抑え得ることから、成人病予防等において重要な食肉である。脂肪分及び食肉繊維は、食肉が含む水分を保持する能力を有する。ミンチ処理によって粒状肉に加工して食肉繊維を粉砕すると、食肉繊維が水分を保持する能力が減少する。このとき、脂肪分が比較的少ない食肉を加工した粒状肉では、脂肪分が水分を保持する力が比較的弱いため、粒状肉は、保持している水分を失い得る。水分を失った粒状肉は、水分が不足したパサつき状態となり、食感、外見、及び/又は、風味に悪影響を及ぼし得る。
【0034】
食肉繊維の粉砕を抑える実施形態の製造方法において、冷凍された肉塊Cが鶏むね肉を冷凍して得た冷凍された肉塊であることにより、脂肪分が比較的少ない鶏むね肉を用いた粒状肉について、食肉繊維の粉砕を抑え、粒状肉が水分を失うことを抑え得る。したがって、鶏むね肉を用いた粒状肉における、水分が不足したパサつき状態を抑え、食感、外見、及び/又は、風味を改善し得る。実施形態の製造方法が食肉繊維の粉砕を抑えることについては、以下でより詳細に説明する。
【0035】
食肉を冷凍する手段は、特に限定されず、従来技術の食肉を冷凍する手段でよい。食肉を冷凍する手段は、なかでも、食肉を包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることが好ましい。食肉を冷凍する手段が真空冷凍であることにより、冷凍された肉塊Cが乾燥及び/又は酸化する冷凍焼けを抑え、冷凍された肉塊Cの食感、外見、及び/又は、風味を保ち得る。
【0036】
〔第1薄切り工程〕
冷凍された肉塊Cを用意したら、冷凍された肉塊Cを薄切りし、複数の略薄板肉Pa~Pmを得る第1薄切り工程を行う。第1薄切り工程を行うことにより、冷凍された肉塊Cを複数の略薄板肉Pa~Pmに加工できる。なお、以下では、符号Pa~Pmを総称してPということもある。
【0037】
第1薄切り工程において、肉ひき機を用いたミンチ処理ではなく、薄切りを行うため、加工後の略薄板肉Pの大きさを制御しやすい。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0038】
食肉が柔らかい場合、薄切り後の大きさの制御に、技術及び/又は労力を要する。第1薄切り工程において、冷凍された肉塊Cが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、加工後の大きさを制御することがより一層容易となる。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0039】
食肉が柔らかい場合、薄切りの方向を揃えるために、技術及び/又は労力を要する。第1薄切り工程において、冷凍された肉塊Cが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、薄切りの方向を容易に制御し得る。これにより、食肉繊維に垂直である方向での薄切り及び/又は細断を繰り返して、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0040】
第1薄切り工程では、第1肉塊薄切り面D1a、第2肉塊薄切り面D1b、・・・、第12肉塊薄切り面D1l、によって例示される肉塊薄切り面D1に沿った方向で肉塊Cの薄切りを1回以上行い、冷凍された肉塊Cを冷凍された肉塊Cを第1略薄板肉Pa、第2略薄板肉Pb、・・・、第13略薄板肉Pmによって例示される複数の略薄板肉Pに加工する。薄切りの回数は、1回以上であれば、特に限定されない。略薄板肉Pの数は、複数であれば、特に限定されない。
【0041】
第1薄切り工程における薄切りを行う方法は、特に限定されず、従来技術の各種の薄切りを行う手段でよい。第1薄切り工程における薄切りを行う方法は、なかでも、スライサー及び/又は包丁を用いる方法であることが好ましい。スライサー及び/又は包丁を用いる方法で第1薄切り工程を行うため、略薄板肉Pの大きさを容易に制御し得る。したがって、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0042】
薄切りが複数回行われる場合、複数の肉塊薄切り面D1のそれぞれは、互いに略平行であることが好ましい。複数の肉塊薄切り面D1が互いに略平行であることにより、冷凍された肉塊Cから得る略薄板肉Pそれぞれにおける厚さのばらつきを抑え得る。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0043】
薄切りが複数回行われる場合、複数の肉塊薄切り面D1は、冷凍された肉塊Cに対して略同じ間隔で設けられていることが好ましい。複数の肉塊薄切り面D1が冷凍された肉塊Cに対して略同じ間隔で設けられていることにより、略同じ厚さの略薄板肉Pを得ることができる。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0044】
複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の上限は、2センチメートル以下であることが好ましく、1.5センチメートル以下であることがより好ましく、1センチメートル以下であることが最も好ましい。複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、粒状肉としての食味をより一層向上し得る。また、複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、より一層容易に粒状肉を成形し得る。
【0045】
複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の下限は、0.2センチメートル以上であることが好ましく、0.3センチメートル以上であることがより好ましく、0.4センチメートル以上であることが最も好ましい。複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、薄切りをより一層容易に行い得る。複数の積層肉薄切り面D2を冷凍積層肉Sに対して略同じ間隔で設ける場合、複数の肉塊薄切り面D1を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、略薄板肉Pの厚さのばらつきをより一層抑え得る。
【0046】
必須の態様ではないが、第1薄切り工程は、冷凍された肉塊Cの温度を上げる工程を含むことが好ましい。冷凍された肉塊Cの温度を上げる工程を含むことにより、冷凍された肉塊Cの硬さを薄切りにより適した硬さにし、薄切りの効率を高め得る。
【0047】
〔第1冷凍工程〕
図2は、冷凍積層肉Sを、肉塊Cに対して
図1と同じ正面方向からみた概略正面図である。第1薄切り工程によって複数の略薄板肉Pa~Pmを得たら、複数の略薄板肉Pa~Pmを2枚以上重ねて冷凍し、冷凍積層肉Sを得る第1冷凍工程を行う。第1冷凍工程を行うことにより、複数の略薄板肉Pa~Pmを冷凍積層肉Sに加工できる。
【0048】
略薄板肉Pを重ねる枚数は、2枚以上であれば、特に限定されない。略薄板肉Pを冷凍する手段は、特に限定されず、従来技術の食肉を冷凍する手段でよい。略薄板肉Pを冷凍する手段は、なかでも、略薄板肉Pを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることが好ましい。食肉を冷凍する手段が真空冷凍であることにより、冷凍積層肉Sが乾燥及び/又は酸化する冷凍焼けを抑え、冷凍積層肉Sの食感、外見、及び/又は、風味を保ち得る。
【0049】
食肉を冷凍する手段が略薄板肉Pを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることにより、略薄板肉Pを重ねた状態で固定する追加の手段(例えば、略薄板肉Pを重ねた状態で縛る糸)を用いることなく、包装体によって略薄板肉Pを重ねた状態で固定し得る。したがって、複数の略薄板肉Pa~Pmをより一層容易に冷凍積層肉Sに加工し得る。
【0050】
また、食肉を冷凍する手段が略薄板肉Pを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることにより、冷凍するときに凍った水分によって略薄板肉Pが互いに固定されていなくても、包装体によって略薄板肉Pを重ねた状態で固定し得る。したがって、複数の略薄板肉Pa~Pmをより一層容易に冷凍積層肉Sに加工し得る。
【0051】
冷凍を行う時間は、特に限定されないが、冷凍積層肉Sの硬さが薄切りに適した硬さになる時間であることが好ましい。冷凍を行う時間が冷凍積層肉Sの硬さが薄切りに適した硬さになる時間であることにより、冷凍積層肉Sの硬さを薄切りにより適した硬さにし、後述する第2薄切り工程における薄切りの効率を高め得る。
【0052】
冷凍を行う時間の下限は、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることが好ましく、1.5時間以上であることが最も好ましい。冷凍を行う時間の下限を上述のように定めることにより、冷凍積層肉Sをその内部まで冷凍し、後述する第2薄切り工程における薄切りの効率を高め得る。
【0053】
冷凍を行う時間の上限は、7時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましく、3時間以下であることが最も好ましい。冷凍を行う時間の上限を上述のように定めることにより、冷凍積層肉S内部における氷結晶の成長を抑え、成長した氷結晶による食肉繊維の粉砕をより一層防ぎ得る。また、冷凍を行う時間の上限を上述のように定めることにより、冷凍積層肉Sの硬さを薄切りが困難である硬さとすることを防ぎ得る。したがって、冷凍積層肉Sの硬さを薄切りにより適した硬さにし、後述する第2薄切り工程における薄切りの効率を高め得る。
【0054】
〔第2薄切り工程〕
冷凍積層肉Sを得たら、冷凍積層肉Sを薄切りし、複数の略棒状肉を得る第2薄切り工程を行う。第2薄切り工程を行うことにより、冷凍積層肉Sを複数の略棒状肉(
図3の符号Ra~Rj)に加工できる。
【0055】
第2薄切り工程において、肉ひき機を用いたミンチ処理ではなく、薄切りを行うため、加工後の略棒状肉の大きさを制御しやすい。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0056】
食肉が柔らかい場合、薄切り後の大きさの制御に、技術及び/又は労力を要する。第2薄切り工程において、冷凍積層肉Sが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、加工後の大きさを制御することがより一層容易となる。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0057】
食肉が柔らかい場合、薄切りの方向を揃えるために、技術及び/又は労力を要する。第2薄切り工程において、冷凍積層肉Sが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、薄切りの方向を容易に制御し得る。これにより、食肉繊維に垂直である方向での薄切り及び/又は細断を繰り返して、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0058】
第2薄切り工程では、第1積層肉薄切り面D2a、第2積層肉薄切り面D2b、・・・、第25積層肉薄切り面D2y、によって例示される積層肉薄切り面D2に沿った方向で冷凍積層肉Sの薄切りを1回以上行い、冷凍積層肉Sを複数の略棒状肉に加工する。薄切りの回数は、1回以上であれば、特に限定されない。略棒状肉の数は、複数であれば、特に限定されない。
【0059】
積層肉薄切り面D2は、冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1に対して略垂直であることが好ましい。積層肉薄切り面D2が冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1に対して略垂直であることにより、冷凍積層肉Sから得る略棒状肉それぞれにおける太さのばらつきを抑え得る。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0060】
また、積層肉薄切り面D2が冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1に対して略垂直であることにより、肉塊薄切り面D1が食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向に対して略垂直の面であった場合に、積層肉薄切り面D2が食肉繊維の方向に対して略垂直の面となることを避け得る。したがって、食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向と略垂直である面で行われる薄切り及び/又は細断の回数を抑え得る。これにより、食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善し得る。
【0061】
第2薄切り工程における薄切りを行う方法は、特に限定されず、従来技術の各種の薄切りを行う手段でよい。第2薄切り工程における薄切りを行う方法は、なかでも、スライサー及び/又は包丁を用いる方法であることが好ましい。スライサー及び/又は包丁を用いる方法で第2薄切り工程を行うため、略棒状肉の大きさを容易に制御し得る。したがって、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0062】
薄切りが複数回行われる場合、複数の積層肉薄切り面D2のそれぞれは、互いに略平行であることが好ましい。複数の積層肉薄切り面D2が互いに略平行であることにより、冷凍積層肉Sから得る略棒状肉それぞれにおける長手方向に対する太さのばらつきを抑え得る。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0063】
薄切りが複数回行われる場合、複数の積層肉薄切り面D2は、冷凍積層肉Sに対して略同じ間隔で設けられていることが好ましい。複数の積層肉薄切り面D2が冷凍積層肉Sに対して略同じ間隔で設けられていることにより、略同じ太さの略棒状肉を得ることができる。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0064】
複数の積層肉薄切り面D2を設ける間隔の上限は、2センチメートル以下であることが好ましく、1.5センチメートル以下であることがより好ましく、1センチメートル以下であることが最も好ましい。複数の積層肉薄切り面D2を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、粒状肉としての食味をより一層向上し得る。また、複数の肉塊薄切り面D2を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、より一層容易に粒状肉を成形し得る。
【0065】
複数の積層肉薄切り面D2を設ける間隔の下限は、0.2センチメートル以上であることが好ましく、0.3センチメートル以上であることがより好ましく、0.4センチメートル以上であることが最も好ましい。複数の積層肉薄切り面D2を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、薄切りをより一層容易に行い得る。複数の積層肉薄切り面D2を冷凍積層肉Sに対して略同じ間隔で設ける場合、複数の積層肉薄切り面D2を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、略棒状肉の太さのばらつきをより一層抑え得る。
【0066】
必須の態様ではないが、第2薄切り工程は、冷凍積層肉Sの温度を上げる工程を含むことが好ましい。冷凍積層肉Sの温度を上げる工程を含むことにより、冷凍積層肉Sの硬さを薄切りにより適した硬さにし、薄切りの効率を高め得る。
【0067】
〔第2冷凍工程〕
図3は、冷凍棒状肉集合体Aを、冷凍棒状肉集合体Aを構成する棒状肉Ra~Rjの短手方向からみた概略模式図である。第2薄切り工程によって複数の略棒状肉Ra~Rjを得たら、複数の略棒状肉Ra~Rjについて長手方向及び短手方向を略揃えて冷凍し、冷凍棒状肉集合体Aを得る第2冷凍工程を行う。第2冷凍工程を行うことにより、複数の略棒状肉Ra~Rjを冷凍棒状肉集合体Aに加工できる。なお、以下では、符号Ra~Rjを総称してRということもある。
【0068】
略棒状肉Rの数は、複数であれば、特に限定されない。略棒状肉Rを冷凍する手段は、特に限定されず、従来技術の食肉を冷凍する手段でよい。略棒状肉Rを冷凍する手段は、なかでも、略棒状肉Rを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることが好ましい。真空冷凍であることにより、冷凍棒状肉集合体Aが乾燥及び/又は酸化する冷凍焼けを抑え、冷凍棒状肉集合体Aの食感、外見、及び/又は、風味を保ち得る。
【0069】
食肉を冷凍する手段が略棒状肉Rを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることにより、略棒状肉Rについて長手方向及び短手方向を略揃えた状態で固定する追加の手段(例えば、略棒状肉Rについて長手方向及び短手方向を略揃えた状態で縛る糸)を用いることなく、包装体によって略棒状肉Rを固定し得る。したがって、複数の略棒状肉Ra~Rjを冷凍棒状肉集合体Aにより一層容易に加工し得る。
【0070】
また、食肉を冷凍する手段が略棒状肉Rを包装体に封入して冷凍する真空冷凍であることにより、冷凍するときに凍った水分によって略棒状肉Rが互いに固定されていなくても、包装体によって略棒状肉Rについて長手方向及び短手方向を略揃えた状態で固定し得る。したがって、複数の略薄板肉Pa~Pmをより一層容易に冷凍積層肉Sに加工し得る。
【0071】
冷凍を行う時間は、特に限定されないが、冷凍棒状肉集合体Aの硬さが細断に適した硬さになる時間であることが好ましい。冷凍を行う時間が冷凍棒状肉集合体Aの硬さが細断に適した硬さになる時間であることにより、冷凍棒状肉集合体Aの硬さを細断により適した硬さにし、後述する細断工程における細断の効率を高め得る。
【0072】
冷凍を行う時間の下限は、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることが好ましく、1.5時間以上であることが最も好ましい。冷凍を行う時間の下限を上述のように定めることにより、冷凍棒状肉集合体Aをその内部まで冷凍し、後述する細断工程における細断をより一層容易に行い得る。
【0073】
冷凍を行う時間の上限は、7時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましく、3時間以下であることが最も好ましい。冷凍を行う時間の上限を上述のように定めることにより、冷凍棒状肉集合体A内部における氷結晶の成長を抑え、成長した氷結晶による食肉繊維の粉砕をより一層防ぎ得る。また、冷凍を行う時間の上限を上述のように定めることにより、冷凍棒状肉集合体Aの硬さを薄切りが困難である硬さとすることを防ぎ得る。したがって、冷凍棒状肉集合体Aの硬さを薄切りにより適した硬さにし、後述する細断工程における細断の効率を高め得る。
【0074】
〔細断工程〕
冷凍棒状肉集合体Aを得たら、冷凍棒状肉集合体Aを細断し、複数の粒状肉を得る細断工程を行う。細断工程を行うことにより、冷凍棒状肉集合体Aを複数の粒状肉に加工できる。
【0075】
細断工程において、肉ひき機を用いたミンチ処理ではなく、細断を行うため、加工後の粒状肉の大きさを制御しやすい。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0076】
食肉が柔らかい場合、細断後の大きさの制御に、技術及び/又は労力を要する。細断工程において、冷凍棒状肉集合体Aが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、加工後の大きさを制御することがより一層容易となる。これにより、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0077】
食肉が柔らかい場合、細断の方向を揃えるために、技術及び/又は労力を要する。細断工程において、冷凍棒状肉集合体Aが適度な固さを有するため、食肉が柔らかい場合であっても、細断の方向を容易に制御し得る。これにより、食肉繊維に垂直である方向での薄切り及び/又は細断を繰り返して、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0078】
細断工程では、第1細断面D3a、第2細断面D3b、・・・、第26細断面D3z、によって例示される細断面D3に沿った方向で冷凍棒状肉集合体Aの細断を1回以上行い、冷凍棒状肉集合体Aを複数の粒状肉に加工する。細断の回数は、1回以上であれば、特に限定されない。粒状肉の数は、複数であれば、特に限定されない。
【0079】
細断面D3は、冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1及び積層肉薄切り面D2に対して略垂直であることが好ましい。細断面D3が冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1及び積層肉薄切り面D2に対して略垂直であることにより、冷凍棒状肉集合体Aから得る粒状肉それぞれにおける形状のばらつきを抑え得る。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0080】
また、細断面D3が冷凍された肉塊Cに対する肉塊薄切り面D1及び積層肉薄切り面D2に対して略垂直であることにより、肉塊薄切り面D1及び/又は積層肉薄切り面D2が食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向に対して略垂直の面であった場合に、細断面D3が食肉繊維の方向に対して略垂直の面となることを避け得る。したがって、食肉繊維を粉砕し得る食肉繊維の方向と略垂直である面で行われる薄切り及び/又は細断の回数を抑え得る。これにより、食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善し得る。
【0081】
細断を行う方法は、特に限定されず、従来技術の各種の細断を行う手段でよい。細断を行う方法は、なかでも、スライサー及び/又は包丁を用いる方法であることが好ましい。スライサー及び/又は包丁を用いる方法で細断工程を行うため、粒状肉の大きさを容易に制御し得る。したがって、粒状肉を細かい粒状にして、原料肉が保持している食肉繊維を粉砕することを抑え得る。
【0082】
細断が複数回行われる場合、複数の細断面D3のそれぞれは、互いに略平行であることが好ましい。複数の細断面D3が互いに略平行であることにより、冷凍棒状肉集合体Aから得られる粒状肉の形状のばらつきを抑え得る。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0083】
細断が複数回行われる場合、複数の細断面D3は、冷凍棒状肉集合体Aに対して略同じ間隔で設けられていることが好ましい。複数の細断面D3が冷凍棒状肉集合体Aに対して略同じ間隔で設けられていることにより、略同じ大きさの粒状肉を得ることができる。これにより、粒状肉の食感等を改善し得る。
【0084】
複数の細断面D3を設ける間隔の上限は、2センチメートル以下であることが好ましく、1.5センチメートル以下であることがより好ましく、1センチメートル以下であることが最も好ましい。複数の細断面D3を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、粒状肉としての食味をより一層向上し得る。また、複数の細断面D3を設ける間隔の上限を上述のように定めることにより、より一層容易に粒状肉を成形し得る。
【0085】
複数の細断面D3を設ける間隔の下限は、0.2センチメートル以上であることが好ましく、0.3センチメートル以上であることがより好ましく、0.4センチメートル以上であることが最も好ましい。複数の細断面D3を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、細断をより一層容易に行い得る。複数の細断面D3を冷凍棒状肉集合体Aに対して略同じ間隔で設ける場合、複数の細断面D3を設ける間隔の下限を上述のように定めることにより、粒状肉の太さのばらつきをより一層抑え得る。
【0086】
必須の態様ではないが、細断工程は、冷凍棒状肉集合体Aの温度を上げる工程を含むことが好ましい。冷凍棒状肉集合体Aの温度を上げる工程を含むことにより、冷凍棒状肉集合体Aの硬さを細断により適した硬さにし、細断の効率を高め得る。
【0087】
図4は、実施形態の方法を用いて製造した粒状肉Gの概略図である。上述の手順により、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉Gを得られる。したがって、原料肉が保持している食肉繊維の粉砕を抑え、食肉繊維の含有量を改善した粒状肉Gを製造可能な製造方法を提供できる。
【0088】
〔レトルト処理工程〕
必須の態様ではないが、上述の手順で得られた粒状肉Gに所定の原材料を加えてレトルト処理を施すレトルト処理工程を行ってもよい。レトルト処理工程を行うことにより、粒状肉G及び所定の原材料を用いたレトルト食品を製造できる。粒状肉G及び所定の原材料を包装体に封入して高温高圧で殺菌するレトルト処理を施しているため、菌の増殖による品質の低下、及び/又は、腐敗を抑え、長期間の保存を行い得るレトルト食品を提供できる。
【0089】
所定の原材料は、特に限定されず、例えば、香辛料その他の調味料、じゃがいも・人参その他の野菜、及び/又は、スープ等を含む原材料でよい。包装体は、特に限定されず、レトルトパウチその他の従来技術のレトルト処理に用いられる包装体でよい。包装体に封入した粒状肉G等を高温高圧で殺菌する手段は、特に限定されず、レトルト釜等のレトルト処理に用いられる従来技術の手段でよい。
【0090】
レトルト処理工程は、粒状肉Gに所定の原材料を加え、カレールー、ハヤシルー、シチュー、麻婆豆腐、麻婆茄子、ハンバーグ、ミートボール、ソーセージ、つくね、ぎょうざ、しゅうまい等によって例示される食品に加工する工程を含むことが好ましい。レトルト処理工程が粒状肉Gに所定の原材料を加え、食品に加工する工程を含むことにより、レトルト食品の食味等をより一層改善し得る。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の各種実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0092】
また、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
【実施例0093】
以下、本実施形態での実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
<実施例>
実施日の異なる4回の日程にて、本実施形態に記載の方法にて鶏むね肉をカットした粒状肉に、表1に記載の態様にてレトルト処理を施したレトルト食品について、試食での評価を行った。試食した人数は表1に記載のとおりであった。
【0095】
評価項目は、食感、旨味及び味付けの3項目にて行った。結果を表1に示す。
【0096】
<比較例>
本実施形態に記載の方法にて製造した粒状肉の代わりに、広く一般に知られるミンチ方法で挽いた鶏むねひき肉を使用したこと以外は、実施例と同じ手法にて、レトルト食品の食感、旨味及び味付けを行った。結果を表1に示す。
【0097】
【0098】
1回目の試験では、比較例でのレトルト食品に含まれる鶏ひき肉がスープに溶けてしまい、肉としての食感が残っていなかった。そのため、6人中6人のいずれもが、実施例でのレトルト食品の方が比較例でのレトルト食品に比べて食感、旨味及び味付けのいずれにも優れると評価した。
【0099】
2回目の試験では、3種類(カレー、トマト、中華)の味付けで食感、旨味、味付けを評価した。7人中7人のいずれもが、実施例でのレトルト食品の方が比較例でのレトルト食品に比べて食感、旨味及び味付けのいずれにも優れると評価した。
【0100】
3回目の試験では、比較例において、1回目及び2回目に比べて大きな5mmサイズでの鶏むねひき肉を使用した。そして、2種類(ポトフ、梅)の味付けで食感、旨味、味付けを評価した。比較例におけるひき肉のサイズを大きくしたことで、食感の違いに有意差が出なかったものの、旨味、味付けでは、実施例でのレトルト食品の方が比較例でのレトルト食品に比べて優れると評価された。
【0101】
4回目の試験でも、3回目の試験と同様、比較例において、大きな5mmサイズでの鶏むねひき肉を使用した。そして、全5種類の味付けにて評価した。比較例の方は水分が蒸発し、調理段階から見た目の差が出始め、皿に盛りつけた後は、明らかに比較例と実施例との間に差が出た。食感、旨味(コク)等については、試食した人のほぼ全てが、実施例の方が比較例に比べて深い味わいになり、より美味しいと評価した。