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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067273
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ワーク洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20220425BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B08B3/02 D
B08B5/02 Z
B08B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175897
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】596101679
【氏名又は名称】株式会社管製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 賢治
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB01
3B116AB33
3B116BB23
3B116BB34
3B116BB62
3B116BB82
3B116CD22
3B201AA46
3B201AB01
3B201AB33
3B201BB23
3B201BB34
3B201BB62
3B201BB82
3B201BB92
3B201BB98
3B201CB12
3B201CD22
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、比較的安価でありながら、ワークの多品種化にも対応することができ、種々のワークに対する洗浄性能に優れるワーク洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明のワーク洗浄装置100は、三次元直交座標系のXYZ3軸方向のそれぞれに電動シリンダ11を有するノズル6の三次元駆動機構1と、前記三次元駆動機構1の駆動部(スライダ12c)に取り付けられる前記ノズル6と、を備え、前記ノズル6は、XYZ3軸のうちから選ばれる第1の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第1ノズル6aと、XYZ3軸のうちから選ばれる前記第1の軸の方向とは異なる第2の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第2ノズル6bと、を有していることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元直交座標系のXYZ3軸方向のそれぞれに電動シリンダを有するノズルの三次元駆動機構と、
前記三次元駆動機構の駆動部に取り付けられる前記ノズルと、
を備え、
前記ノズルは、XYZ3軸のうちから選ばれる第1の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第1ノズルと、XYZ3軸のうちから選ばれる前記第1の軸の方向とは異なる第2の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第2ノズルと、
を有していることを特徴とするワーク洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク洗浄装置において、
前記ワークが配置されるワーク洗浄領域と、
前記ワーク洗浄領域の上方に区画されて前記三次元駆動機構が配置される駆動機構配置領域と、を備え、
前記ワーク洗浄領域と、前記駆動機構配置領域との間は、前記ノズルの水平移動動作に同期して水平方向に移動するスライドカバーにて仕切られていることを特徴とするワーク洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワーク洗浄装置において、
前記ワークを支持するテーブルをさらに備え、
前記テーブルは、前記第1の軸回りの連続旋回と、前記第1の軸回りの所定位相での旋回のうちの、少なくともいずれかの旋回が可能となっていることを特徴とするワーク洗浄装置。
【請求項4】
請求項1に記載のワーク洗浄装置において、
前記ノズルから噴射する洗浄液を循環して再利用する循環機構をさらに備えることを特徴とするワーク洗浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク洗浄装置において、
前記循環機構は、洗浄液のフィルタを備えていることを特徴とするワーク洗浄装置。
【請求項6】
請求項4に記載のワーク洗浄装置において、
前記循環機構は、洗浄液のヒータを備えていることを特徴とするワーク洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切削加工によってワークに付着した切屑等の異物を除去するワーク洗浄装置として、ワークを回転させながら所定のノズルから洗浄液をワークに噴射するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなワーク洗浄装置においては、固定ノズルからワークに向けて洗浄液を噴射するものが多く、洗浄するワークが多品種にわたると、ワークによっては切屑等が取り切れない課題がある。
【0003】
また、複数のエアシリンダにより駆動する多関節型ロボットにノズルを取り付けて、ノズルの位置及びその噴射方向を三次元的に制御可能とした数値制御洗浄装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
このような数値制御洗浄装置によれば、ワークの多品種化にも対応することができ、種々のワークに対して洗浄性能に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-207046号公報
【特許文献2】特開平2003-019466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、数値制御洗浄装置(例えば、特許文献2参照)は、非常に高価になるという問題がある。
そこで、本発明の課題は、比較的安価でありながら、ワークの多品種化にも対応することができ、種々のワークに対する洗浄性能に優れるワーク洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決した本発明のワーク洗浄装置は、三次元直交座標系のXYZ3軸方向のそれぞれに電動シリンダを有するノズルの三次元駆動機構と、前記三次元駆動機構の駆動部に取り付けられる前記ノズルと、を備え、前記ノズルは、XYZ3軸のうちから選ばれる第1の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第1ノズルと、XYZ3軸のうちから選ばれる前記第1の軸の方向とは異なる第2の軸の方向に、ワークに対する噴射方向が規定される第2ノズルと、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のワーク洗浄装置は、比較的安価でありながら、ワークの多品種化にも対応することができ、種々のワークに対する洗浄性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るワーク洗浄装置の構成説明図である。
図2図1のII部の部分拡大図であり、ノズルの三次元駆動機構の構成説明図である。
図3図2の矢示III方向から見たノズルの三次元駆動機構の平面図である。
図4図3の矢示IV方向から見たノズルの三次元駆動機構の正面図である。
図5図4のV-V断面にて示すスライドカバー機構の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(本実施形態)のワーク洗浄装置について適宜図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態のワーク洗浄装置100の構成説明図である。
【0010】
図1に示すように、ワーク洗浄装置100は、筐体5内に、ノズル6の三次元駆動機構1と、ノズル6から噴射した洗浄液を再利用する洗浄液循環機構3と、ワークWを支持して回転させるインデックステーブル機構4と、ミストコレクタ7と、エアブロー機構8と、を備えて構成されている。また、ワーク洗浄装置100は、筐体5内でワークWが配置されるワーク洗浄領域A2と、筐体5内で三次元駆動機構1が配置される駆動機構配置領域A1とを仕切るスライドカバー機構2を備えている。
【0011】
<筐体>
図1に示すように、筐体5は、ワーク洗浄装置100の略外形を形成する直方体の箱にて形成されている。
筐体5の内側には、主に、駆動機構配置領域A1を形成する第1室C1と、ワーク洗浄領域A2を形成する第2室C2と、ミストコレクタ7などが配置される第3室C3と、洗浄ポンプPなどが配置される第4室C4と、洗浄液貯留槽Tなどが設けられる第5室C5と、が仕切壁にて区画されている。
【0012】
<三次元駆動機構>
次に、三次元駆動機構1(図1参照)について説明する。
図2は、図1のII部の部分拡大図であり、三次元駆動機構1の構成説明図である。図3は、図2の矢示III方向から見たノズルの三次元駆動機構1の平面図である。図4は、図3の矢示IV方向から見たノズルの三次元駆動機構1の正面図である。
【0013】
なお、本実施形態では、図2から図4に示すように、三次元直交座標系のXYZ3軸方向のうち、X軸方向をワーク洗浄装置100の左右方向に対応付け、Y軸方向をワーク洗浄装置100の上下方向に対応付け、Z軸方向をワーク洗浄装置100の前後方向に対応付けてワーク洗浄装置100を説明している。しかしながら、ワーク洗浄装置100におけるXYZ3軸方向のそれぞれは、前記対応付けに限定されるものではなく、これらの前後左右上下の方向のいずれかに適宜に当て嵌めることができることは言うまでもない。
【0014】
図2に示すように、本実施形態での三次元駆動機構1は、三次元直交座標系のXYZ3軸方向のそれぞれに電動シリンダ11と、この電動シリンダ11の動作を個別に制御するコントローラ(図示を省略)とを備えている。ちなみに、本実施形態でのコントローラは、電動シリンダ11ごとに設けられるものを想定している。
この電動シリンダ11は、いわゆる直動式シリンダである。この電動シリンダ11の一例を挙げると、図示は省略するが、一方向に長い角筒状のケーシングと、ケーシングの長手方向の一端側に設けられて、正逆両方向に回転可能なサーボモータと、ケーシング内で長手方向に延びてサーボモータによって軸回りに回転するボールねじと、ケーシングの長手方向に沿う一側面に設けられて、ボールねじの回転によって軸方向に往復移動可能なスライダと、を有して構成されている。このような電動シリンダ11は、市販品を使用することができる。また、コントローラ(図示を省略)についても電動シリンダ11とともに市販されているものをそのまま使用することができる。
【0015】
そして、本実施形態での三次元駆動機構1は、図2に示すように、第1電動シリンダ11aと、第2電動シリンダ11bと、第3電動シリンダ11cと、を有している。
第1電動シリンダ11aは、図2に示すように、筐体5に縁部を支持される中間プレート21上に固定されている。
なお、この中間プレート21は、後記のスライドカバー23にて塞がれる中央開口22aを有するベースプレート22上に配置されている。そして、中間プレート21には、ベースプレート22の中央開口22aに対応する位置に中央開口21aが形成されている。
【0016】
このような第1電動シリンダ11aは、図3に示すように、中間プレート21の右辺寄りで、前後方向に延在するように中間プレート21上に固定されている。
そして、第1電動シリンダ11aのスライダ12aは、Z軸方向(前後方向)に往復移動可能となっている。
【0017】
このようなスライダ12aの上面には、図3に示すように、左右方向に延びる連結プレート14の右端部が固定されている。
連結プレート14の左端部は、案内レール15に対して摺動自在に支持されている。ちなみに、この案内レール15は、図3に示すように、中間プレート21の左端寄りで前後方向に延びるように中間プレート21上に固定されている。
つまり、連結プレート14は、第1電動シリンダ11aのスライダ12aがZ軸方向(前後方向)に往復移動する際に、案内レール15に案内されながらスライダ12aに同期して前後方向に往復移動するようになっている。
【0018】
第2電動シリンダ11bは、図4に示すように、連結プレート14の上面に固定されている。
具体的には、第2電動シリンダ11bは、図3に示すように、連結プレート14上で、左右方向に延びるように配置されている。
つまり、第2電動シリンダ11bは、第1電動シリンダ11aのスライダ12aに同期して前後方向に往復移動するとともに、第2電動シリンダ11bのスライダ12bは、X軸方向(左右方向)に往復移動可能となっている。
【0019】
このようなスライダ12bの上面には、図3に示すように、連結部材16が固定されている。
連結部材16は、図2に示すように、スライダ12bの上面に固定される底板16aと、この底板16aと一体になってL字を形成するように、底板16aの前縁から上方に向けて立ち上がる前板16bと、平面形状が略直角三角形を呈し、底板16aと前板16bとが形成するL字の角部を塞ぐように底板16aと前板16bとに一体となったコーナ側板16cと、からなる立体構造を有している。なお、連結部材16のコーナ側板16cは、図4に示すように、底板16aを挟んで右側(図4の紙面の手前側)にのみ形成され、左側(図4の紙面の奥側)には形成されていない。
【0020】
また、連結部材16の底板16aは、図3に示す平面視で、第2電動シリンダ11bよりも後方に延び出した延出部16a1を有している。
そして、連結部材16は、第1電動シリンダ11aのスライダ12aと第2電動シリンダ11bのスライダ12bとによって、XZ面内で水平移動可能となっている。
【0021】
このような連結部材16には、図2に示すように、第3電動シリンダ11cが上下方向に延びるように取り付けられている。
具体的には、第3電動シリンダ11cは、第3電動シリンダ11cのスライダ12cが後方に向くように、連結部材16の前板16bの後面に固定されている。
これにより第3電動シリンダ11cのスライダ12cは、Y軸方向(上下方向)に往復移動可能となっている。つまり、スライダ12cは、第1電動シリンダ11aのスライダ12a、及び第2電動シリンダ11bのスライダ12bと共働することによって、XYZ3軸方向に移動可能となっている。
なお、スライダ12cは、特許請求の範囲にいう「三次元駆動機構の駆動部」に相当する。
【0022】
このようなスライダ12cの後面には、図2に示すように、パイプ支持部材13が取り付けられている。
パイプ支持部材13は、第3電動シリンダ11cの後方で上下方向に延びる第1パイプ18aと第2パイプ18bとを支持している。
具体的には、パイプ支持部材13は、スライダ12cの後方に第1パイプ18a及び第2パイプ18bの順番で2連にて並ぶこれらの上端部を一体に連結している。
【0023】
また、パイプ支持部材13から下方に延びる第1パイプ18aは、図3に示すように、連結部材16の底板16a(延出部16a1)に形成されるパイプ挿通孔16a2に摺動可能に挿通される。そして、第1パイプ18aは、図2に示すように、底板16a(延出部16a1)側からさらに下方に延びている。
また、パイプ支持部材13から下方に延びる第2パイプ18bは、図2に示すように、連結部材16の底板16a(延出部16a1)の後方を通過してさらに下方に延びている。
【0024】
そして、下方に延びた第1パイプ18a及び第2パイプ18bのそれぞれは、図2に示すように、後記のスライドカバー支持部材23a(ブロック体23a4)に形成されたパイプ挿通孔23a2,23a2のそれぞれに摺動可能に挿通された後、それぞれの下端部が次に説明するノズル6のアダプタ6cに連結される。
なお、第1パイプ18aは、次に説明するノズル6に洗浄液を供給する。また、第2パイプ18bは、後記するエアブロー機構8(図1参照)を構成し、ノズル6に高圧空気を供給する。
【0025】
<ノズル>
ノズル6は、図1に示すように、ワークWに対する噴射方向がY軸方向(下向き)に規定される第1ノズル6aと、ワークWに対する噴射方向がZ軸方向(横向き)に規定される第2ノズル6bと、を備えている。また、図示は省略するが、第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれは、直噴式と扇状噴射式の2つのノズルからなり、本実施形態でのワーク洗浄装置100は、合計4つのノズルを有することとなる。そして、第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれに有する直噴式のノズルは、洗浄液を直線状に噴射するように構成されている。また、第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれに有する扇状噴射式のノズルは、洗浄液を扇状に広げてシャワー噴射するように構成されている。
なお、ここでのY軸方向は、特許請求の範囲にいう「XYZ3軸のうちから選ばれる第1の軸の方向」に相当する。また、Z軸方向は、特許請求の範囲にいう「XYZ3軸のうちから選ばれる前記第1の軸の方向とは異なる第2の軸の方向」に相当する。
【0026】
このような第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれは、図2に示すように、内側に流路が形成されたL字型のノズルアダプタ6cに取り付けられて、第1ノズル6a及び第2ノズル6bの噴射方向のそれぞれが互いに90度をなして交差するようになっている。そして、第1パイプ18aの下端部は、これら下端部に対応するようにアダプタ6cに形成された流路連通口に、チャッキバルブ6dを介して連結されている。
このような第1ノズル6a及び第2ノズル6bは、第1電動シリンダ11a(図2参照)及び第3電動シリンダ11c(図2参照)によって、図1に示すように、ワークWの上方及び側方に近接する矩形範囲A3にて駆動する。また、第1ノズル6a及び第2ノズル6bは、前記したように、第1電動シリンダ11a(図2参照)及び第2電動シリンダ11b(図2参照)によって、XZ水平面においても移動する。
【0027】
<洗浄液循環機構>
次に、本実施形態での洗浄液循環機構3(図1参照)について説明する。
図1に示すように、洗浄液循環機構3は、ワークWの洗浄液が貯留される洗浄液貯留槽Tと、洗浄液貯留槽Tから第1パイプ18aに向けて洗浄液を供給する洗浄液供給流路3aと、ノズル6から噴射した洗浄液を洗浄液貯留槽Tに返送する洗浄液返送流路3bと、洗浄液供給流路3aの延在途中に配置される洗浄ポンプPと、洗浄液返送流路3bに設けられる第1フィルタF1及び第2フィルタF2と、を備えている。
【0028】
洗浄液貯留槽Tは、図1に示すように、筐体5内の下部に位置する第5室C5に配置されている。洗浄液貯留槽T内には、貯留される洗浄液を加温するヒータHが配置されている。
洗浄ポンプPは、図1に示すように、洗浄液貯留槽Tが配置された第5室C5の上方に形成される第4室C4に配置されている。洗浄ポンプPは、ヒータHにて加温された洗浄液を、洗浄液貯留槽Tから汲み上げるとともに、汲み上げた洗浄液を洗浄液供給流路3aを介して所定圧で第1パイプ18aに供給する。これによりノズル6は、加温された洗浄液をワークWに向けて噴射する。
【0029】
本実施形態での第1フィルタF1は、洗浄液返送流路3bの前段となる第2室C2の前寄り下隅に配置された網カゴからなるものを想定している。第1フィルタF1は、ワークWの洗浄液を一次濾過することによって洗浄液に含まれる粗大な切屑を濾別する。
本実施形態での第2フィルタF2は、洗浄液返送流路3bの終端となる第5室C5、具体的には洗浄液貯留槽T内に配置されたバックフィルタからなるものを想定している。第2フィルタF2は、ワークWの洗浄液を二次濾過することによって、洗浄液に含まれる微細な切屑を濾別する。
そして、第2フィルタF2にて二次濾過されたワークWの洗浄液は、洗浄液貯留槽Tに貯留されるとともに、洗浄ポンプPによって再びノズル6に供給されて循環使用されることとなる。
【0030】
<インデックステーブル機構>
次に、インデックステーブル機構4(図1参照)について説明する。
図1に示すように、インデックステーブル機構4は、三次元駆動機構1が配置された第1室C1の下方に形成される第2室C2に配置されている。
本実施形態でのインデックステーブル機構4は、ワークWを載置するテーブル4aと、テーブル4aをギアなどからなる減速装置4cを介してY軸回りに回転させるギアモータ4bと、を主に備えて構成されている。
なお、ここでのY軸回りは、特許請求の範囲にいう「第1の軸回り」に相当する。また、本実施形態でのY軸は、ワーク洗浄装置100に係る技術分野におけるB軸に対応する。
そして、本実施形態でのインデックステーブル機構4においては、テーブル4aは、Y軸回りに連続回転が可能となっているとともに、例えば90度といった所定位相ごとの旋回が可能となっている。なお、テーブル4aは、連続回転又は所定位相ごとの旋回のいずれか一方が実施される構成とすることもできる。
【0031】
<スライドカバー機構>
次に、スライドカバー機構2(図1参照)について説明する。
図1に示すように、スライドカバー機構2は、駆動機構配置領域A1(第1室C1)とワーク洗浄領域A2(第2室C2)との間を、ノズル6の水平移動動作に同期して水平方向に移動するスライドカバー23(図2参照)にて仕切るように構成されている。
具体的には、スライドカバー機構2は、図2に示すように、ベースプレート22と、スライドカバー23と、スライドカバー支持部材23aと、を主に備えている。
ベースプレート22は、図4に示すように、中央開口22aを有している。
【0032】
図5は、図4のV-V断面にて示すスライドカバー機構2の構成説明図である。
図5に示すように、ベースプレート22は、平面形状が矩形の板体で形成されている。そして、図5中、隠れ線(点線)にて示す中央開口22aは、矩形を呈している。
この中央開口22aは、図3に示した第1電動シリンダ11aのスライダ12aと第2電動シリンダ11bのスライダ12bとによって、XZ面内で水平移動する第1パイプ18aと第2パイプ18bとに干渉しないように、矩形を呈している。
このようなベースプレート22は、図4に示すように、筐体5の第2室C2の上部で水平となるように配置されるとともに、ベースプレート22の外周縁は、ブラケットなどを介して第2室C2の内壁の適所に固定されている。
【0033】
スライドカバー23(図4参照)は、前記のように、スライダ12a(図3参照)とスライダ12b(図3参照)とによって、第1パイプ18a(図3参照)と第2パイプ18b(図3参照)とが水平移動する際に、第1パイプ18aと第2パイプ18bと同期して水平方向に移動するようになっている。
【0034】
図4に示すように、スライドカバー23は、ベースプレート22の上面に沿うように配置されている。
そして、スライドカバー23は、図5に示すように、ベースプレート22の中央開口22a内で水平移動した際に、この中央開口22aを常に塞ぐことができる大きさの平面形状を有している。ちなみに、本実施形態でのスライドカバー23の平面形状は、矩形を呈しているが、これに限定されることはなく、矩形以外の多角形、円形、楕円形などとすることもできる。
なお、図5中、符号23bは、第1パイプ18aと第2パイプ18bとが摺動可能に挿通されるスライドカバー23の略中央に設けられるパイプ挿通孔であり、符号23a1は、次に説明するスライドカバー支持部材23aのカバー連結部である。
【0035】
スライドカバー支持部材23aは、図4に示すように、連結部材16の底板16a(延出部16a1)から下方に延びて第1パイプ18aを前後方向に挟むように配置される一対の細長の板体23a3と、これら板体23a3の下端に接続される略直方体形状のブロック体23a4とを備えている。また、ブロック体23a4には、第1パイプ18a及び第2パイプ18bがそれぞれ挿通される1対のパイプ挿通孔23a2,23a2が形成されている。
そして、ブロック体23a4は、前記のように、このブロック体23a4の下部から下方に延びてスライドカバー23に連結される一対のカバー連結部23a1を備えている。
ちなみに、カバー連結部23a1のそれぞれは、図5に示すように、第1パイプ18a及び第2パイプ18bのそれぞれのパイプ挿通孔23bの間で、スライドカバー23に連結されることとなる。
【0036】
<ミストコレクタ>
次に、ミストコレクタ7(図1参照)について説明する。
図1に示すように、ミストコレクタ7は、三次元駆動機構1が配置される第1室C1の後方で筐体5内に区画される第3室C3内に配置されている。
本実施形態でのミストコレクタ7は、ワーク洗浄領域A2となる第2室C2と第3室C3とを連通するダクト7aと、このダクト7aに連結されるコレクタ本体7bとを備えている。
コレクタ本体7bは、図示は省略するが、例えばモータで回転するターボファンなどで構成され、ダクト7aを介して第2室C2からの吸気を行う吸気機構と、ダクト7aを介して流入した吸気に同伴するミストを衝突させる衝突板と、ターボファンの外周に設けられたミスト捕集ユニットと、集めたミストを排出するドレンと、で構成することができる。
【0037】
<エアブロー機構>
図1に示すように、エアブロー機構8は、高圧空気供給流路3dを介して第2パイプ18bに高圧空気を供給することによって、ノズル6からワークWに向けて高圧空気を噴射するようになっている。この高圧空気供給流路3dには、図示しないエアコンプレッサ(エアブロー)などが接続されている。
なお、符号3cは、開閉弁である。この開閉弁3cは、作図の便宜上、洗浄液供給流路3a及び高圧空気供給流路3dに跨るように一体に形成されているように見えるが、洗浄液供給流路3a及び高圧空気供給流路3dのそれぞれに一つずつ合計2つの開閉弁からなる。そして、開閉弁3cを構成する2つの開閉弁のそれぞれは、洗浄液供給流路3a及び高圧空気供給流路3dのそれぞれで個別に独立してこれら流路の開閉を行う。
【0038】
≪作用効果≫
次に、本実施形態のワーク洗浄装置100の奏する作用効果について説明する。
【0039】
本実施形態のワーク洗浄装置100で洗浄の対象となるワークWは、図示は省略するが、例えば切削孔、切削溝などの切削加工を施した金属のブロック体を想定している。このようなワークWには、一般に、切削油を伴った切屑がブロック体の表面のみならず、切削孔内や切削溝内にも残留する。
【0040】
本実施形態のワーク洗浄装置100は、ワークWに対する噴射方向がY軸方向(下向き)に規定される第1ノズル6aと、ワークWに対する噴射方向がZ軸方向に規定される第2ノズル6b(横向き)と、を備えている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれは、三次元駆動機構1によって、ワークWに対して三次元的にアクセスすることができる。
これによりワーク洗浄装置100は、第1ノズル6a及び第2ノズル6bのそれぞれから噴射する洗浄液やブロアなどによって、ワークWを効率よく洗浄する。
【0041】
また、ワーク洗浄装置100は、従来の固定ノズルを有するもの(例えば、特許文献1参照)と異なって、ワークWに対する噴射方向がXYZ3軸のうちの2軸方向にそれぞれ規定された第1ノズル6a及び第2ノズル6bが、ワークWに対して三次元的にアクセスする。
したがって、このワーク洗浄装置100よれば、従来の固定ノズルを有するもの(例えば、特許文献1参照)と比べて、ワークWの多品種化にも対応することができる。
【0042】
また、ワーク洗浄装置100は、三次元駆動機構1が3つの電動シリンダ11a,11b,11cにて構成されている。
したがって、ワーク洗浄装置100は、従来の多関節型ロボットを使用した数値制御洗浄装置(例えば、特許文献2参照)と異なって、比較的安価に製造することができる。
【0043】
また、本実施形態のワーク洗浄装置100は、ワーク洗浄領域A2と、駆動機構配置領域A1との間が、スライドカバー23にて仕切られている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、ワークWに対して三次元的にアクセスするノズル6の移動を制限することなく、簡素な構成にてワーク洗浄領域A2から駆動機構配置領域A1への洗浄液の進入を効果的に防止することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、インデックステーブル機構4を構成するテーブル4aが、
Y軸(第1の軸)回りの連続旋回と、所定位相(例えば、90度)での旋回とが可能となっている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、ワークWに対する洗浄をさらに効果的に行うことができるとともに、ワークWの多品種化にもさらに効果的に対応することができる。
【0045】
また、本実施形態のワーク洗浄装置100においては、洗浄液循環機構3を備えている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、洗浄液の使用量を節約することができ、ワーク洗浄装置100の運転コストを低減することができる。
【0046】
また、本実施形態のワーク洗浄装置100は、洗浄液循環機構3が洗浄液の第1フィルタF1と、第2フィルタF2とを備えている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、循環使用する洗浄液の耐用時間(寿命)を長くすることができ、ワーク洗浄装置100の運転コストをさらに低減することができる。
【0047】
また、本実施形態のワーク洗浄装置100は、洗浄液循環機構3が洗浄液のヒータHを備えている。
このようなワーク洗浄装置100によれば、ワークWに対する洗浄をさらに効果的に行うことができる。また、このワーク洗浄装置100によれば、ヒータHによって洗浄液の温度を高めることによって、洗浄後にワークWに付着した洗浄液の乾燥時間を短縮することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 三次元駆動機構
2 スライドカバー機構
3 洗浄液循環機構(洗浄液の循環機構)
4 インデックステーブル機構
4a テーブル
5 筐体
6 ノズル
6a 第1ノズル
6b 第2ノズル
7 ミストコレクタ
8 エアブロー機構
11 電動シリンダ
11a 第1電動シリンダ
11b 第2電動シリンダ
11c 第3電動シリンダ
12c スライダ(駆動部)
100 ワーク洗浄装置
A1 駆動機構配置領域
A2 ワーク洗浄領域
F1 第1フィルタ(フィルタ)
F2 第2フィルタ(フィルタ)
H ヒータ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5