(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067295
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】睡眠制御装置
(51)【国際特許分類】
A61M 21/02 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61M21/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020175928
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本村 博久
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】下ノ本 詞之
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】北川 尚司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田岡 巧
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥宜
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】明比 里実
(72)【発明者】
【氏名】白川 修一郎
(57)【要約】
【課題】覚醒後の眠気解消や集中力向上を狙った効果的な短時間仮眠を実現することが可能な睡眠制御装置を提供する。
【解決手段】第1合計時間は、乗員の睡眠中において乗員の睡眠深度がステージ1で継続される時間を合計した合計時間である。第2合計時間は、乗員の睡眠中において乗員の睡眠深度がステージ2で継続される時間を合計した合計時間である。そして、睡眠制御装置10は、乗員の睡眠中において、第1合計時間よりも第2合計時間の方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を出現させる。従って、ステージ2の睡眠深度の出現により、乗員は短時間で深い睡眠を得ることができる。また、第1合計時間よりも第2合計時間の方が短いという関係があるので、睡眠深度がステージ2から更に深くなることに起因した不都合を回避できる。その結果、覚醒後の眠気解消や集中力向上を狙った効果的な短時間仮眠を実現することが可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者(12)の睡眠を制御する睡眠制御装置であって、
前記対象者に対し刺激装置(31)によって所定の入眠用の刺激を与えることで、前記対象者を入眠させて前記対象者の睡眠深度をステージ1またはステージ2にする入眠制御部(S107)と、
前記入眠制御部によって前記対象者が入眠させられた後、前記対象者に対し前記刺激装置によって所定の睡眠維持用の刺激を与えることで、前記対象者の睡眠深度をステージ1からステージ2までの範囲に維持しながら前記対象者の睡眠を維持する睡眠維持制御部(S108)とを備え、
前記睡眠維持制御部は、前記対象者の睡眠中において、該対象者の睡眠深度がステージ1で継続される時間を合計した第1合計時間よりも、前記対象者の睡眠深度がステージ2で継続される時間を合計した第2合計時間の方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を出現させる、睡眠制御装置。
【請求項2】
前記睡眠維持制御部は、前記対象者の睡眠深度をステージ3にもステージ4にもすることなく且つレム睡眠を出現させないように、前記対象者の睡眠を維持する、請求項1に記載の睡眠制御装置。
【請求項3】
前記入眠用の刺激には、前記対象者の手の平へ加わる圧力を周期的に変化させる第1入眠刺激と、前記対象者の身体のうち上肢の末端部の温度(Tte)が腕の温度(Tam)よりも高くなるように前記末端部を暖める第2入眠刺激とが含まれ、
前記入眠制御部は、前記対象者を入眠させる際には、前記対象者に対し前記刺激装置によって前記第2入眠刺激を与えながら前記第1入眠刺激を与える、請求項1または2に記載の睡眠制御装置。
【請求項4】
前記入眠制御部は、前記対象者を入眠させる際には、前記対象者に対し、該対象者の心拍に同調したテンポから次第にテンポが遅くなっていく入眠時音を前記入眠用の刺激として、前記刺激装置から出力させる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の睡眠制御装置。
【請求項5】
睡眠中の前記対象者に対し前記刺激装置によって所定の覚醒用の刺激を与えることで、睡眠中の前記対象者を覚醒させる覚醒制御部(S109)を備える、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の睡眠制御装置。
【請求項6】
前記覚醒制御部は、前記対象者の睡眠が継続される睡眠時間(Ts)が5分以上で且つ30分以内になるように、睡眠中の前記対象者を覚醒させる、請求項5に記載の睡眠制御装置。
【請求項7】
前記入眠制御部は、レム睡眠を出現させることなく前記対象者を入眠させ、
前記覚醒制御部は、レム睡眠を出現させることなく睡眠中の前記対象者を覚醒させる、請求項5または6に記載の睡眠制御装置。
【請求項8】
前記覚醒制御部は、睡眠中に前記対象者の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れた場合には、前記対象者を覚醒させる、請求項5ないし7のいずれか1つに記載の睡眠制御装置。
【請求項9】
前記刺激装置は、前記対象者の視覚に与える視覚刺激と、前記対象者の聴覚に与える聴覚刺激と、前記対象者の嗅覚に与える嗅覚刺激と、前記対象者の触覚に与える触覚刺激と、前記対象者の温度感覚に与える温冷刺激と、前記対象者の姿勢を変化させることで該対象者に与える姿勢変化刺激とのうち2種以上の刺激を相互に揃ったタイミングで、前記対象者の入眠時、睡眠中、または覚醒時に前記対象者へ与える、請求項5ないし8のいずれか1つに記載の睡眠制御装置。
【請求項10】
前記覚醒制御部は、前記対象者を覚醒させる際には、前記対象者に対し、該対象者の心拍に同調したテンポから次第にテンポが速くなっていく覚醒時音を前記覚醒用の刺激として、前記刺激装置から出力させる、請求項5ないし9のいずれか1つに記載の睡眠制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の睡眠を制御する睡眠制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の睡眠制御装置として、例えば特許文献1に記載された睡眠制御装置が従来から知られている。この特許文献1に記載された睡眠制御装置は、ユーザの睡眠段階を所定の睡眠段階に維持しながら、仮眠目的に基づいて決定された覚醒条件が満たされた場合に、スピーカーや車載照明機器によってユーザを覚醒させるための刺激を与える。なお、ユーザの睡眠段階とは、ユーザの睡眠深度を表すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
具体的に、特許文献1の睡眠制御装置は、睡眠中のユーザの睡眠段階を逐次把握する。特許文献1の睡眠制御装置は、ユーザの睡眠段階が目標値に対し浅い場合には、例えばユーザの睡眠段階を深めるための快適な刺激をユーザに対して付与する。また、ユーザの睡眠段階が目標値に対し深い場合には、そのユーザの睡眠段階をより深い睡眠段階に入らせないよう、且つ、そのユーザを覚醒させることがないよう、そのユーザに対して適度の刺激を付与する。
【0005】
しかしながら、特許文献1の睡眠制御装置が行う上記したような単純な睡眠深度の制御方法では、短時間の仮眠においてユーザの睡眠深度を適切に維持したり、覚醒後の快適性を確保するには不十分であるということが判った。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、例えば覚醒後の眠気解消や集中力向上を狙った効果的な短時間仮眠を実現することが可能な睡眠制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の睡眠制御装置は、
対象者(12)の睡眠を制御する睡眠制御装置であって、
対象者に対し刺激装置(31)によって所定の入眠用の刺激を与えることで、対象者を入眠させて対象者の睡眠深度をステージ1またはステージ2にする入眠制御部(S107)と、
入眠制御部によって対象者が入眠させられた後、対象者に対し刺激装置によって所定の睡眠維持用の刺激を与えることで、対象者の睡眠深度をステージ1からステージ2までの範囲に維持しながら対象者の睡眠を維持する睡眠維持制御部(S108)とを備え、
睡眠維持制御部は、対象者の睡眠中において、その対象者の睡眠深度がステージ1で継続される時間を合計した第1合計時間よりも、対象者の睡眠深度がステージ2で継続される時間を合計した第2合計時間の方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を出現させる。
【0008】
このようにすれば、例えば睡眠中の睡眠深度が単純にステージ1で維持される場合と比較して、ステージ2の睡眠深度の出現により、対象者は短時間で深い睡眠を得ることができる。また、第1合計時間よりも第2合計時間の方が短いという関係があるので、例えば逆にその第1合計時間よりも第2合計時間の方が長いという関係が成立する場合と比較して、睡眠深度がステージ3またはステージ4へ遷移する可能性を低減できる。すなわち、睡眠深度が深くなり過ぎることに起因した不都合を回避することができる。その結果、例えば覚醒後の眠気解消や集中力向上を狙った効果的な短時間仮眠を実現することが可能である。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態において、睡眠制御装置とその睡眠制御装置に電気的に接続された周辺機器とを示したブロック図である。
【
図2】第1実施形態において、シートに着座して短時間仮眠を行う乗員を示した模式図である。
【
図3】第1実施形態において、睡眠制御装置が搭載される車両の車室内を示した斜視図である。
【
図4】第1実施形態において、乗員の入眠時にシートスピーカーから聴覚刺激として出力される入眠時音のテンポを示したタイムチャートである。
【
図5】第1実施形態において、乗員の覚醒時にシートスピーカーから聴覚刺激として出力される覚醒時音のテンポを示したタイムチャートである。
【
図6】第1実施形態において、乗員の入眠時に乗員に対して付与される第1入眠刺激と第2入眠刺激とを模式的に示したタイムチャートである。
【
図7】第1実施形態において、乗員が睡眠制御装置によって短時間仮眠をさせられた際の睡眠深度を示したタイムチャートである。
【
図8】第1実施形態において、睡眠制御装置が乗員に短時間仮眠をさせるために実行する制御処理を示したフローチャートである。
【
図9】第1実施形態において、
図8のステップS108で実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】第1実施形態の短時間仮眠を行った場合と、比較例の短時間仮眠を行った場合との間で、PVT評価における平均反応速度を比較したイメージ図である。
【
図11】第1実施形態において、
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するために行われた入眠についてのアンケートで回答者が選択しうる選択肢を示した図である。
【
図12】第1実施形態において、
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するために行われた覚醒についてのアンケートで回答者が選択しうる選択肢を示した図である。
【
図13】第1実施形態の短時間仮眠を行った場合と、比較例の短時間仮眠を行った場合とのそれぞれについて、入眠時の睡眠深度の変化イメージを示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。なお、後述する他の実施形態を含む以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の睡眠制御装置10は、車両に搭載される電子制御装置である。例えば、その睡眠制御装置10は、不図示のCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータで構成されており、非遷移的実体的記憶媒体であるROM、RAMなどの半導体メモリに格納されたコンピュータプログラムを実行する。すなわち、睡眠制御装置10は、そのコンピュータプログラムに従って種々の制御処理を実行する。
【0013】
この睡眠制御装置10は、
図2に示すように乗員12の睡眠(具体的には、乗員12の短時間仮眠)を制御する。要するに、乗員12は、睡眠が制御される対象者であり、睡眠制御装置10は、乗員12に短時間仮眠を行わせる睡眠制御を実行する。すなわち、睡眠制御装置10は、乗員12の短時間仮眠を実現させる制御処理を実行する。その乗員12の短時間仮眠とは5分~30分程度の仮眠であり、乗員12は、その短時間仮眠を行うことにより、リラックス、眠気解消、疲労回復、集中力の向上など種々の効果(すなわち、仮眠効果)を得ることができる。
【0014】
ここで、乗員12など人の睡眠について説明すると、人の睡眠の状態は、レム睡眠と、そのレム睡眠よりも睡眠深度が深いノンレム睡眠とに区別される。そして、ノンレム睡眠において、眠りの深さである睡眠深度は、脳波の波形に基づいて分類されるステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4という4段階に分けられる。この「ステージ」とは、ノンレム睡眠の睡眠深度を示す指標である。そして、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4は、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4の順に、「ステージ」に付される数字が大きくなるほど、睡眠深度が深くなることを意味する。
【0015】
睡眠制御装置10が搭載される車両としては、例えば、乗用車、商用車、またはMaaS車両など種々の車両を想定できる。また、睡眠制御装置10を利用して短時間仮眠を行う乗員12としては、例えば、運転者、その運転者以外の乗員、自動運転車両の乗員など種々の乗員を想定できる。なお、上記の「MaaS」とは、「Mobility as a Service」の略である。
【0016】
図1および
図3に示すように、睡眠制御装置10には、乗員12に入力操作される入力装置14と、状態検出カメラ15と、生体センサ16とが入力機器として電気的に接続されている。これらの入力機器から種々の情報を示す電気信号が睡眠制御装置10に入力される。
【0017】
なお、
図3の両端矢印はそれぞれ、睡眠制御装置10が搭載される車両の向きを示す。すなわち、
図3では、車両の前後方向である車両前後方向D1と、車両の上下方向である車両上下方向D2と、車両の左右方向である車両左右方向D3とが、それぞれ両端矢印で示されている。これらの方向D1、D2、D3は互いに交差する方向、厳密に言えば互いに垂直な方向である。
【0018】
入力装置14は、乗員12が睡眠制御装置10に対し各種情報を入力するための装置であり、車室内のうち乗員12が操作しやすい位置に設けられている。入力装置14は、例えば、タッチパネル、押しボタン、またはマイク等を有しており、乗員12によって入力された乗員入力情報を電気信号として睡眠制御装置10へ出力する。
【0019】
状態検出カメラ15は、車室内に設けられた撮影装置であり、車室内の前方のシート17に着座した乗員12を撮影する。例えば、状態検出カメラ15は、車室内のうちの前方に配置されたインストルメントパネル18やバックミラー近傍に設けられている。
【0020】
また、状態検出カメラ15は、赤外線カメラとしての機能も備えている。状態検出カメラ15は、例えば、撮影した乗員12の体位、その乗員12の眼球運動、その乗員12の表情、その乗員12の各部位の表面温度、および車室内の各箇所の温度などであるカメラ検出情報を検出することができる。状態検出カメラ15は、検出したカメラ検出情報を電気信号として睡眠制御装置10へ出力する。
【0021】
生体センサ16は、一対のシート17それぞれに内蔵されている。生体センサ16は、シート17に着座した乗員12の生体情報を非侵襲的に検出することができる。その生体情報とは、例えば、乗員12の心拍数、血圧、呼吸、単位時間当たりの呼吸数、皮膚電位、酸素飽和度、胸壁運動、および腹壁運動などを示す情報である。生体センサ16は、検出した乗員12の生体情報を電気信号として睡眠制御装置10へ出力する。
【0022】
また、
図1~
図3に示すように、睡眠制御装置10には、シート17と輻射ヒータ20と香り装置21とシートヒータ22とシートブロワ23とシートスピーカー24とマッサージ機構25とが制御対象機器として電気的に接続されている。また、触感振動表皮26と振動表皮ヒータ27とディスプレイ装置28と照明29と空調装置30と調光フィルム35も、制御対象機器として、睡眠制御装置10に電気的に接続されている。睡眠制御装置10は、これらの制御対象機器に対し、その制御対象機器の作動を制御するための電気信号を出力する。
【0023】
シート17、輻射ヒータ20、香り装置21、シートヒータ22、シートブロワ23、シートスピーカー24、マッサージ機構25、触感振動表皮26、振動表皮ヒータ27、ディスプレイ装置28、照明29、空調装置30、および調光フィルム35はそれぞれ、刺激装置31に該当する。その刺激装置31とは、乗員12に対する睡眠制御において乗員12の短時間仮眠を制御するための刺激を乗員12に対して与える装置である。従って、本実施形態の車両は複数の刺激装置31を備えている。
【0024】
シート17は、着座した乗員12の背中を支持する背もたれ部171と、乗員12の臀部および大腿部を支持する座部172とを有している。更に、シート17は、乗員12の頭部を支持するヘッドレスト173と、乗員12の頸部を支持するネックレスト174と、乗員12の下腿部を支持するオットマン175とを有している。シート17の各部は、睡眠制御装置10からの指令に従って作動する。例えば、背もたれ部171のリクライニング角度(別言すれば、シート角度)、ネックレスト174による頸部の保持状態、ヘッドレスト173による頭部の保持状態、およびオットマン175の姿勢などが、睡眠制御装置10からの指令に従って変化する。
【0025】
輻射ヒータ20は、車室内の内装材と一体に設けられ、例えばステアリングホイール32を支持するステアリングコラムの下部辺りに配置されている。輻射ヒータ20は、睡眠制御装置10からの指令に従って、一対のシート17のうち運転席シートに着座した乗員12の下肢を暖める。
【0026】
香り装置21は、種々の香りを車室内に漂わせることができる装置である。香り装置21は、睡眠制御装置10からの指令に従って定められた種類の香りを、その指令に従って定められた出力量で車室内に漂わせる。
【0027】
シートヒータ22、シートブロワ23、シートスピーカー24、およびマッサージ機構25は、一対のシート17それぞれに内蔵されている。シートヒータ22は、睡眠制御装置10からの指令に従って、シート17に着座した乗員12の背部、腰部、または臀部を暖める。
【0028】
シートブロワ23は、睡眠制御装置10からの指令に従って、シート17のうち着座した乗員12に接触するシート表皮から空気を吹き出させる。シートスピーカー24は、睡眠制御装置10からの指令に従って、例えば所定のテンポの音を、シート17に着座した乗員12に対して発する。マッサージ機構25は、睡眠制御装置10からの指令に従って、シート17に着座した乗員12の背部、腰部、または臀部に対し、たたく又は揉む等の刺激を与える。
【0029】
触感振動表皮26は、センターコンソール33の表面の内装材うちの一部分を構成する内装表皮部と、その内装表皮部の表面側とは反対側に設けられたアクチュエータとを有している。触感振動表皮26は、そのアクチュエータの作動によって、触感振動表皮26の内装表皮部に触れる乗員12の手の平などに対し、周期的に変化する触覚刺激を与えることができる。触感振動表皮26は、睡眠制御装置10からの指令に従って、触感振動表皮26に触れる乗員12の手の平などに対して触覚刺激を与える。
【0030】
振動表皮ヒータ27は、触感振動表皮26の表面を形成する内装表皮部を加熱する加熱装置であり、センターコンソール33のうち触感振動表皮26と同じ場所に設けられている。すなわち、振動表皮ヒータ27は、睡眠制御装置10からの指令に従って、触感振動表皮26に触れる乗員12の手の平などを暖める。
【0031】
ディスプレイ装置28は、睡眠制御装置10からの指令に従って、例えば窓、天井、計器盤、またはステアリングホイール32に画像を表示させる。
【0032】
照明29は、例えば天井、センターコンソール33、および乗員12の足元近傍にそれぞれ設けられている。照明29は、睡眠制御装置10からの指令に従って、車室内の各所の明るさおよび光色を調整する。
調光フィルム35は、車室の窓の1つであるウインドシールドに設けられており、睡眠制御装置10からの指令に従って、ウインドシールドの透過率を調整する。
【0033】
空調装置30は、車室内の空調を行う装置であり、例えばインストルメントパネル18内に配置されている。空調装置30は、睡眠制御装置10からの指令に従って、車室内に設けられた複数の空気吹出口30aから、温度調節された空調空気を吹き出す。その空気吹出口30aは、シート17に着座した乗員12に向くように開口しており、例えば、インストルメントパネル18、センターコンソール33、左右それぞれのドアの内側に設けられている。
【0034】
睡眠制御装置10は、その睡眠制御装置10が行う睡眠制御において、上記した複数の刺激装置31のうちの何れかまたは全部を用いて種々の刺激を乗員12に与える。その睡眠制御において乗員12に与える種々の刺激を分類すると、その種々の刺激には、視覚刺激、聴覚刺激、嗅覚刺激、触覚刺激、温冷刺激、および姿勢変化刺激などがある。
【0035】
なお、睡眠制御装置10が行う睡眠制御は、覚醒している乗員12を入眠させる入眠プロセスと、その入眠後に乗員12の睡眠が維持される睡眠維持プロセスと、睡眠中の乗員12を覚醒させる覚醒プロセスとの3つのプロセスに分けることができる。そして、その睡眠制御はそれが開始されると、入眠プロセス、睡眠維持プロセス、覚醒プロセスの順に自動的に進行する。
【0036】
視覚刺激とは、乗員12の視覚に与える刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における視覚刺激の調整では、ウインドシールドが有する調光フィルム35、および照明29を用いて、乗員12の顔に当たる光と、車外から窓を介して車室内へ入る景色および車外光などである外部情報の大きさとを制御する。そして、睡眠制御装置10は、ディスプレイ装置28から、入眠プロセスと睡眠維持プロセスと覚醒プロセスとの各プロセスに応じた映像を提供する。
【0037】
視覚刺激の調整について一例を説明すると、例えば、入眠プロセスにおいては、1/fゆらぎ等で変化する暖色系のゆらぎ光が間接照明として照明29によって提供される。また、景色および車外光などの外部情報が、ウインドシールドが有する調光フィルム35等の透過率制御により抑制される。また、ディスプレイ装置28から乗員12の入眠を促す映像(例えば、暖色系の映像、周波数0.1Hz程度のゆらぎ映像、または、ぼやっとした映像)が出力される。
【0038】
入眠プロセスに続く睡眠維持プロセスにおいては、例えば、乗員12を覚醒させない程度にまで照明29の照度が下げられ、ディスプレイ装置28による映像提供が停止される。また、入眠プロセスの遮光状態は、睡眠維持プロセスでも、そのまま保持される。
【0039】
睡眠維持プロセスに続く覚醒プロセスにおいては、例えば、光による乗員12の網膜刺激が徐々に増加させられる。これは、詳細に言うと、次に示す方法(i)と方法(ii)との一方または両方によって実施される。方法(i)は、照明29が発する光の色を暖色系(例えば、2000K~3500Kの色温度)から寒色系(例えば、5500K~6500Kの色温度)へと徐々に変化させることである。また、方法(ii)は、乗員12の顔付近の照度を例えば1ルクス程度から100ルクス程度またはそれ以上にまで徐々に上げることである。
【0040】
また、状態検出カメラ15によって得られる乗員12の瞬きなどの情報に基づいて、照明29が発する光の色および照度が自動的に調整されてもよい。
【0041】
また、覚醒プロセスにおいては、景色および車外光などの外部情報を調光フィルム35等の透過率制御により抑制することが緩和または解消され、それにより窓から採光される。例えば、窓からの採光状態が、乗員12が入眠する前の通常状態に戻される。また、ディスプレイ装置28から乗員12の覚醒を促す映像(例えば、寒色系の映像、または、はっきりした映像)が出力される。
【0042】
次に、睡眠制御において乗員12に与える聴覚刺激について説明する。聴覚刺激とは、乗員12の聴覚に与える刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における聴覚刺激の調整では、シートスピーカー24を用いて、乗員12の心拍に基づいた音または音楽を乗員12に付与する。なお、乗員12の心拍は、平常時にあっては一般的に70BPM程度である。また、乗員12の心拍は例えば生体センサ16によって検出され、その検出された心拍に基づいて、睡眠制御装置10は聴覚刺激を調整する。上記の「BPM」とは、「Beats Per Minute」の略であり、テンポの単位である。
【0043】
聴覚刺激の調整について一例を説明すると、例えば、入眠プロセスにおいては、
図4に示すように、乗員12の心拍(言い換えれば、心拍リズム)に同調したテンポから次第にテンポが遅くなっていく入眠時音がシートスピーカー24から出力される。なお、
図4および後述の
図5のThbは、乗員12の心拍のテンポ(例えば、70BPM程度のテンポ)を示している。
【0044】
このとき、音量を下げずに、テンポの低下と併せて、音数およびアタック感の音を次第に減らしていくのが好ましい。また、音質は、「高音<低音」の関係になるのが良く、音楽であれば単調で歌が無く、静かでゆっくりのものが良い。
【0045】
このように、睡眠制御装置10は、乗員12を入眠させる際には、乗員12に対し、
図4の実線L1sのようにテンポが変化する上記入眠時音を所定の入眠用の刺激として、シートスピーカー24から出力させる。睡眠制御装置10は、この入眠時音により乗員12の呼吸を誘導する。また、睡眠制御装置10は、この入眠時音により、乗員12の脳波が低周波側へ遷移するように促し、乗員12にリラックス効果をもたらす。
【0046】
入眠プロセスに続く睡眠維持プロセスにおいては、例えば、乗員12の心拍よりも遅い所定のテンポ(例えば、70BPMよりも遅いテンポ)で、聴覚刺激としての音刺激が継続される。その音刺激は、乗員12が睡眠を継続するのに負荷がない音量でシートスピーカー24から出力される。また、睡眠維持プロセスにおける音刺激の音数は、例えば入眠プロセスで減らされたままとされる。睡眠維持プロセスでの音刺激は入眠プロセスでの音刺激に対して減らされる。睡眠維持プロセスでの音刺激は、例えば単調な音楽であってもよい。
【0047】
睡眠維持プロセスに続く覚醒プロセスにおいては、例えば、
図5に示すように、乗員12の心拍に同調したテンポから次第にテンポが速くなっていく覚醒時音がシートスピーカー24から出力される。このとき、覚醒時音は、低音でアタック感のある音とされるのが好ましい。また、覚醒プロセスでの音刺激の音数は、睡眠維持プロセスでの音刺激の音数よりも多くされるのが好ましい。
【0048】
このように、睡眠制御装置10は、乗員12を覚醒させる際には、乗員12に対し、
図5の実線L2sのようにテンポが変化する上記覚醒時音を所定の覚醒用の刺激として、シートスピーカー24から出力させる。
【0049】
また、入眠プロセスと覚醒プロセスとにおいて、睡眠制御装置10は、予め録音された乗員12が興味をもつ声または音を聴覚刺激としてシートスピーカー24から出力させてもよい。その乗員12が興味をもつ声または音としては、入眠プロセスであれば人の胎動の音などが例示され、覚醒プロセスであれば、乗員12の母親の声、好きな人の声、または目覚ましの音などが例示される。
【0050】
次に、睡眠制御において乗員12に与える嗅覚刺激について説明する。嗅覚刺激とは、乗員12の嗅覚に与える刺激、例えば香りによる刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における嗅覚刺激の調整では、所定の香りを、香り装置21から車室内へ放出させる。
【0051】
例えば入眠プロセスにおいては、睡眠制御装置10は、ラベンダー、カモミール、または桧の香りなど、鎮静作用の香りを、香り装置21から車室内へ放出させる。また、覚醒プロセスにおいては、ジャスミン、ペパーミント、またはグレープフルーツの香りなど、覚醒作用の香りを、香り装置21から車室内へ放出させる。
【0052】
このように所定の香りを香り装置21から車室内へ放出させる際には、ランダムなタイミングで香り装置21から香りを放出させるのが良い。乗員12の香りに対する慣れを抑制し、その香りによる嗅覚刺激を持続的に提供できるようにするためである。
【0053】
また、乗員12になりうる複数の個人の香りに対する嗜好性を予め記憶しておき、状態検出カメラ15によって乗員12の個人認証を行うことで、その乗員12になった個人の嗜好性に合わせるように、香りを含む空気の放出量を調整してもよい。
【0054】
次に、睡眠制御において乗員12に与える触覚刺激について説明する。触覚刺激とは、乗員12の触覚に与える刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における触覚刺激の調整では、触感振動表皮26およびマッサージ機構25を用いて、乗員12の所定部位に対し所定の圧力変化を伴う刺激を付与する。
【0055】
触覚刺激の調整について一例を説明すると、例えば、入眠プロセスにおいては、睡眠制御装置10は、
図6の実線Lpで示すように乗員12の手の平へ加わる圧力を周期的に変化させる第1入眠刺激を触感振動表皮26によって与える。このとき、その手の平への刺激は、その刺激前と比較して1分間当たりの呼吸数が少なくなるように乗員12の呼吸を誘導する圧力変動とされるのが好ましい。また、
図1の生体センサ16によって検出される1分間当たりの呼吸数をモニタリングしながら、手の平への刺激を生じる圧力変動の周期を変化させてもよい。
【0056】
また、手の平への刺激と共に、睡眠制御装置10は、マッサージ機構25を用いて、乗員12の背中を中心としたシート17との接触部分に対しても周期的な圧力変化を伴う刺激を付与する。手の平に対する周期的な圧力変化を伴う刺激は例えばツボ押しに相当し、背中を中心としたシート17との接触部分に対する周期的な圧力変化を伴う刺激は、例えばストレッチに相当する。
【0057】
また、覚醒プロセスにおいては、シート17に対する乗員12の接触部分(例えば、乗員12の背中など)に対し、マッサージ機構25によって所定の圧力が所定のタイミングで付与される。
【0058】
次に、睡眠制御において乗員12に与える温冷刺激について説明する。温冷刺激とは、乗員12の温度感覚に与える刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における温冷刺激の調整では、乗員12の全身の温度分布(具体的には、皮膚温の分布)を、入眠プロセスと睡眠維持プロセスと覚醒プロセスとの各プロセスに適した温度分布にする。これには、例えば輻射ヒータ20、シートヒータ22、シートブロワ23、振動表皮ヒータ27、および空調装置30が用いられる。また、睡眠制御装置10は、入眠プロセスと睡眠維持プロセスと覚醒プロセスとの各プロセスに適した空調装置30の送風制御も行う。
【0059】
なお、乗員12の全身の温度分布は状態検出カメラ15によって検出され、その検出された全身の温度分布に基づいて、睡眠制御装置10は温冷刺激を調整する。
【0060】
温冷刺激の調整について一例を説明すると、例えば、入眠プロセスにおいては、乗員12が頭寒足熱の状態になるようにすることが基本とされ、乗員12の下肢、手の平、および項部が暖められる。
【0061】
具体的には、
図6に示すように、睡眠制御装置10は、乗員12の身体のうち上肢の末端部の温度Tteが腕の温度Tamよりも高くなるようにその末端部を暖める第2入眠刺激を振動表皮ヒータ27によって与える。上肢の末端部とは、手の平と手指とから構成される部分であって、その末端部に腕は含まれない。そして、その第2入眠刺激と同様に、下肢の末端部である足も暖められる。すなわち、睡眠制御装置10は、空調装置30のフット吹出口から温風を吹き出させることにより、乗員12の足の温度が脚の温度よりも高くなるようにその足を暖める。
【0062】
また、入眠プロセスにおいては、乗員12の頭は、冷やされない程度に下肢よりも相対的に温度低めとされ、乗員12に対し風速感を与えないように送風が行われる。
【0063】
入眠プロセスに続く睡眠維持プロセスにおいては、例えば、乗員12の全身の温度分布は、全身均一な温度分布とされる。空調装置30からは、乗員12を覚醒させる刺激を生じず、乗員12周りに熱をこもらせないようにするために、乗員12に対し風速感を与えない程度の微風で送風される。
【0064】
睡眠維持プロセスに続く覚醒プロセスにおいては、例えば、乗員12に風速感を生じさせる冷風が、空調装置30や、
図2のヘッドレスト173に設けられたヘッドレスト吹出口173aから吹き出され、その冷風によって、乗員12の首および頭が冷やされる。
【0065】
次に、睡眠制御において乗員12に与える姿勢変化刺激について説明する。姿勢変化刺激とは、
図2に示すようにシート17に着座した乗員12の姿勢を変化させることで乗員12に与える刺激である。具体的に、睡眠制御装置10は、睡眠制御における姿勢変化刺激の調整では、シート17に着座した乗員12の筋負担の軽減、呼吸のし易さ、および血液循環負担の軽減を狙いとして、シート17の各部の動作およびリクライニング角度を制御する。そして、睡眠制御装置10は、そのシート17の制御により乗員12を入眠させ睡眠に誘う。
【0066】
背もたれ部171のリクライニング角度であるシート角度を調整するシート角度制御では、睡眠制御装置10は、乗員12を入眠させ睡眠に誘導し、不快なく覚醒させるまでの一連の動作を自動的に制御する。なお、
図2のシート17は、乗員12の入眠時におけるシート角度で図示されている。
【0067】
乗員12に姿勢変化刺激を与えるシート17の制御について一例を説明すると、例えば、入眠プロセスにおいては、乗員12が入眠に適した姿勢になり、呼吸がしやすく、且つ、乗員12の筋負担が軽減されるように、シート17の各部が調整される。具体的には、そのシート17の各部として、背もたれ部171、座部172、ヘッドレスト173、ネックレスト174、およびオットマン175がそれぞれ調整される。
【0068】
詳細には、乗員12の頸部がネックレスト174により保持されると共に、その頸部がネックレスト174に内蔵されたヒータによって暖められる。そして、乗員12の体温がシートヒータ22によって入眠に適した温度に調整され、乗員12は睡眠のステージ1へ導かれる。
【0069】
入眠プロセスに続く睡眠維持プロセスにおいては、例えば、睡眠制御装置10は、入眠プロセスの時よりも背もたれ部171を更に後傾させ、これにより、乗員12の入眠時よりも更なる筋負担の軽減を狙い、シート17にかかる体圧を分散させる。
【0070】
そして、睡眠中の乗員12の頸部にかかる負担を軽減させるため、睡眠制御装置10は、ネックレスト174による頸部の保持を解除すると共に、ヘッドレスト173に乗員12の頭部全体を保持させる。これにより、睡眠制御装置10は乗員12の睡眠を助勢する。
【0071】
睡眠維持プロセスに続く覚醒プロセスにおいては、例えば、睡眠制御装置10は、睡眠維持プロセスの時よりも背もたれ部171を起き上がらせ、それと同時に座部172を下げる。
【0072】
また、睡眠制御装置10は、ヘッドレスト173による乗員12の頭部の保持を解除する一方で、ネックレスト174に乗員12の頸部を保持させる。次に、睡眠制御装置10は、背もたれ部171と座部172とに組み込まれた空気袋を制御することにより、乗員12の体をほぐし、乗員12をリフレッシュさせる。これにより、更に快適な目覚めを乗員12に促す。乗員12の覚醒後、シート17は所定の位置に戻る。
【0073】
睡眠制御装置10は、乗員12に対する睡眠制御における入眠プロセスと睡眠維持プロセスと覚醒プロセスとのそれぞれでは、上記した種々の刺激のうちの何れかまたは全部を、乗員12に与える。これにより、睡眠制御装置10は、乗員12を短時間仮眠させ、その乗員12の短時間仮眠における睡眠深度を
図7に示すように変化させる。
【0074】
具体的に
図7では、t1時点にて、乗員12は覚醒した覚醒状態から入眠し、ステージ1の睡眠に入っている。すなわち、t1時点は、乗員12の入眠が完了した入眠完了時点である。その乗員12の入眠完了とは、乗員12が入眠し、睡眠に入った睡眠状態になることである。
【0075】
t1時点の次のt2時点では、乗員12の睡眠における睡眠深度がステージ1からステージ2へ遷移し、t2時点の次のt3時点では、その睡眠深度がステージ2からステージ1へ遷移している。t3時点の次のt4時点では、乗員12の睡眠における睡眠深度が再びステージ1からステージ2へ遷移し、t4時点の次のt5時点では、その睡眠深度がステージ2からステージ1へ遷移している。
【0076】
そして、t5時点の次のt6時点にて、ステージ1の睡眠深度で睡眠中の乗員12が覚醒させられ、覚醒状態に至っている。すなわち、t6時点は、乗員12の覚醒が完了した覚醒完了時点である。
図7のタイムチャートでは、t1時点からt6時点までの期間は、乗員12が睡眠中である期間であり、乗員12の入眠後に睡眠が継続される睡眠時間Tsに該当する。
【0077】
この
図7に示すように乗員12の睡眠を制御するために、睡眠制御装置10は、
図8に示す制御処理を実行する。
図8は、本実施形態の睡眠制御装置10が行う制御処理を示したフローチャートである。この
図8の制御処理は、周期的に繰り返し実行される。
【0078】
図8に示すように、睡眠制御装置10は、まず、ステップS101にて、乗員12が短時間仮眠を行うことが乗員12の手動操作によって選択されたか否かを判定する。
【0079】
例えば、乗員12が短時間仮眠を行う際に乗員12に操作される手動入眠スイッチが
図1の入力装置14に設けられている。そして、その手動入眠スイッチが乗員12に操作された場合に、睡眠制御装置10は、乗員12が短時間仮眠を行うことが乗員12の手動操作によって選択されたと判定する。
【0080】
図8のステップS101において、乗員12が短時間仮眠を行うことが乗員12の手動操作によって選択されたと判定された場合には、ステップS106へ進む。その一方で、乗員12が短時間仮眠を行うことが乗員12の手動操作によって選択されていないと判定された場合には、ステップS102へ進む。
【0081】
ステップS102では、睡眠制御装置10は、状態検出カメラ15から得られるカメラ検出情報を取得する。そして、睡眠制御装置10は、そのカメラ検出情報に基づき、シート17に着座した乗員12が催す眠気の状態である眠気状態を検知する。例えば、その乗員12の眠気状態は、乗員12の眼球運動、および乗員12の表情などに基づいて推定される。ステップS102の次はステップS103へ進む。
【0082】
ステップS103では、睡眠制御装置10は、ステップS102での眠気状態の検知結果に基づき、乗員12が眠気を催しているか否か、すなわち、乗員12が眠気を有しているか否かを判定する。
【0083】
ステップS103において、乗員12が眠気を催していると判定された場合、要するに眠気ありと判定された場合には、ステップS104へ進む。その一方で、乗員12が眠気を催していないと判定された場合、要するに眠気なしと判定された場合には、ステップS101へ進む。
【0084】
ステップS104では、睡眠制御装置10は、乗員12に対し短時間仮眠を行うことを提案する。例えば、睡眠制御装置10は、短時間仮眠を勧める所定の表示を
図1のディスプレイ装置28によって車室内の所定箇所に表示させることにより、その短時間仮眠を行うことを提案する。その短時間仮眠を勧める所定の表示は、例えば、次のステップS105で行われる判定の終了と共に消える。
図8のステップS104の次はステップS105へ進む。
【0085】
ステップS105では、睡眠制御装置10は、ステップS104での短時間仮眠の提案に対し、乗員12が短時間仮眠を行うことを選択したか否かを判定する。
【0086】
例えば、乗員12が短時間仮眠を行うことを選択する場合に乗員12に操作される仮眠選択スイッチと、乗員12が短時間仮眠を行わないことを選択する場合に乗員12に操作される仮眠拒否スイッチとが
図1の入力装置14に設けられている。そして、その仮眠選択スイッチが乗員12に操作された場合には、睡眠制御装置10は、乗員12が短時間仮眠を行うことを選択したと判定する。
【0087】
その一方で、仮眠拒否スイッチが乗員12に操作された場合には、睡眠制御装置10は、乗員12が短時間仮眠を行わないことを選択したと判定する。また、仮眠選択スイッチと仮眠拒否スイッチとの何れも操作されずに、短時間仮眠を提案した時から所定時間が経過した場合にも、睡眠制御装置10は、乗員12が短時間仮眠を行わないことを選択したと判定する。
【0088】
図8のステップS105において、乗員12が短時間仮眠を行うことを選択したと判定された場合には、ステップS106へ進む。その一方で、乗員12が短時間仮眠を行わないことを選択したと判定された場合には、
図8のフローチャートは終了する。
【0089】
ステップS106では、睡眠制御装置10は、乗員12に短時間仮眠を行わせることを決定する。ステップS106の次はステップS107へ進む。
【0090】
ステップS107では、睡眠制御装置10は、刺激装置31を用いて乗員12を入眠させる制御を実行する。すなわち、睡眠制御装置10は、乗員12に対し刺激装置31によって所定の入眠用の刺激を与えることで、乗員12を入眠させて乗員12の睡眠深度をステージ1またはステージ2にする。そして、
図7の楕円B1で囲んで示されるように、t1時点にて、睡眠制御装置10は、レム睡眠を出現させることなく乗員12を早く入眠させる。
【0091】
このとき、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度を認識しながら、所定の入眠用の刺激を与える。例えば、その入眠用の刺激は、乗員12を入眠させるのに適するように予め実験的に定められており、乗員12の入眠の進行度合に応じて、或る程度の範囲内で調整されるようになっている。
【0092】
なお、乗員12の睡眠深度は、理想的には乗員12の脳波を継続的に検出することによって認識される。但し、本実施形態では代替的に、乗員12の睡眠深度は、乗員12の心拍数、呼吸数、眼球含めた顔表情、姿勢、および体温等を状態検出カメラ15および生体センサ16によって継続的に検出することによって認識される。
【0093】
また、
図7のt1時点では、乗員12は覚醒状態からステージ1の睡眠状態になっているが、覚醒状態からステージ2の睡眠状態になっても構わない。
【0094】
このステップS107は上記の入眠プロセスと対応しており、上記した入眠プロセスでの種々の刺激は、ステップS107の処理にて乗員12に付与される。従って、ステップS107で乗員12に対して与える所定の入眠用の刺激には、上記した入眠プロセスでの種々の刺激のうちの何れか又は全部が含まれる。すなわち、ステップS107で乗員12へ与える入眠用の刺激とは、別言すれば、乗員12の入眠時に乗員12を入眠させるためにその乗員12へ与える刺激である。本実施形態では例えば、上記した入眠時音による音刺激、第1入眠刺激、および第2入眠刺激は何れも、ステップS107で乗員12に付与される入眠用の刺激に含まれる。
【0095】
また、ステップS107では、
図1の刺激装置31は、睡眠制御装置10からの指令に従って、乗員12の入眠時に乗員12に対し、視覚刺激と聴覚刺激と嗅覚刺激と触覚刺激と温冷刺激と姿勢変化刺激とのうち2種以上の刺激を相互に揃ったタイミングで与える。これについて例示すれば、例えば、睡眠制御装置10は、乗員12に対し、触覚刺激の1つである上記の第1入眠刺激を触感振動表皮26によって与えると共に、温冷刺激の1つである上記の第2入眠刺激を振動表皮ヒータ27によって与える。すなわち、睡眠制御装置10は、乗員12を入眠させる際には、乗員12に対し、刺激装置31としての触感振動表皮26と振動表皮ヒータ27とによって第2入眠刺激を与えながら第1入眠刺激を与える。なお、上記の「相互に揃ったタイミング」とは、詳しく言えば、乗員12に対し2種以上の刺激が与えられる時間が互いに少なくとも部分的に重複しているということである。
【0096】
ステップS107の処理は、乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2に到達した時点(例えば、
図7ではt1時点)で終了する。そして、ステップS107の次はステップS108へ進む。
【0097】
ステップS108では、睡眠制御装置10は、睡眠制御装置10は、乗員12が入眠させられた後、入眠した乗員12の睡眠を刺激装置31を用いて維持する制御を実行する。詳細には、
図9のフローチャートがサブルーチンとして実行される。
【0098】
その
図9のステップS201では、睡眠制御装置10は、乗員12に対し刺激装置31によって所定の睡眠維持用の刺激を与える。睡眠制御装置10は、既に、その睡眠維持用の刺激を開始している場合には、その睡眠維持用の刺激を与えることを継続する。すなわち、
図8のステップS107からステップS108へ進んだ時点で、睡眠制御装置10は、乗員12への刺激を、入眠用の刺激から睡眠維持用の刺激へ円滑に切り替える。
【0099】
そして、
図9のステップS201では、睡眠制御装置10は、その所定の睡眠維持用の刺激を与えることで、乗員12の睡眠深度をステージ1からステージ2までの範囲に維持しながら乗員12の睡眠を維持する。
【0100】
このとき、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度を認識しながら、所定の睡眠維持用の刺激を与える。例えば、その睡眠維持用の刺激は、乗員12の睡眠深度をステージ1からステージ2までの範囲に維持しながら乗員12の睡眠を維持するのに適するように予め実験的に定められている。そして、その睡眠維持用の刺激は、睡眠中の乗員12の睡眠深度に応じて、或る程度の範囲内で調整されるようになっている。
【0101】
具体的にステップS201において、睡眠制御装置10は、予め実験的に設定された方法で睡眠維持用の刺激を調整することにより、次のことを行う。
【0102】
先ず、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中において、第1合計時間T1sよりも第2合計時間T2sの方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を出現させる。その第1合計時間T1sは、乗員12の睡眠中において乗員12の睡眠深度がステージ1で継続される時間を合計した合計時間である。つまり、
図7で言えば、第1合計時間T1sは、t1時点からt2時点までの経過時間T1aと、t3時点からt4時点までの経過時間T1bと、t5時点からt6時点までの経過時間T1cとを合計した合計時間である。また、第2合計時間T2sは、乗員12の睡眠中において乗員12の睡眠深度がステージ2で継続される時間を合計した合計時間である。つまり、
図7で言えば、第2合計時間T2sは、t2時点からt3時点までの経過時間T2aと、t4時点からt5時点までの経過時間T2bとを合計した合計時間である。
【0103】
要するに、睡眠制御装置10は、
図7の楕円B2で囲んで示されるように、乗員12の睡眠中において、乗員12の睡眠深度を基本的にステージ1で維持しつつ、ステージ2の睡眠深度を一時的に出現させる。別言すると、例えば、睡眠制御装置10は、そのステージ2の睡眠深度を間欠的に複数回出現させる。これにより、覚醒後の乗員12の集中力が向上する。なお、第2合計時間T2sは、長くても5分程度であることが好ましい。
【0104】
ここで、
図7について詳しく見ると、t1時点からt2時点までの経過時間T1aは、乗員12の睡眠中において睡眠深度がステージ1で連続する第1連続時間T1xに該当する。その経過時間T1aが第1連続時間T1xに該当する場合、その第1連続時間T1xの経過後から第1連続時間T1xに続き睡眠深度がステージ2で連続する第2連続時間T2xには、t2時点からt3時点までの経過時間T2aが該当する。そして、それらの経過時間T1a、T2aは、「T1a>T2a」の大小関係となっている。
【0105】
また、t3時点からt4時点までの経過時間T1bも上記の第1連続時間T1xに該当する。その経過時間T1bが第1連続時間T1xに該当する場合、その第1連続時間T1xに続く第2連続時間T2xには、t4時点からt5時点までの経過時間T2bが該当する。そして、それらの経過時間T1b、T2bは、「T1b>T2b」の大小関係となっている。
【0106】
このように、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中の全期間にわたって第1連続時間T1xよりもその第1連続時間T1xに続く第2連続時間T2xの方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を一時的に出現させる。
【0107】
また、睡眠制御装置10は、睡眠維持用の刺激を調整することにより、次のことも行う。睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度が
図7の破線LDaのようにステージ3またはステージ4へ遷移することを防止する。それと共に、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠がレム睡眠へ破線LDbのように遷移することも防止する。すなわち、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度をステージ3にもステージ4にもすることなく且つレム睡眠を出現させないように、乗員12の睡眠を維持する。
【0108】
また、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中において、睡眠深度が
図7に示すようにステージ1とステージ2との間で複数回交互に往復するように、睡眠維持用の刺激を調整する。このようにすることにより、睡眠深度がステージ2で連続する個々の経過時間T2a、T2bを短くしつつ、第2合計時間T2sを或る程度長くすることができる。
【0109】
この
図9のステップS201が実行される
図8のステップS108は上記の睡眠維持プロセスと対応しており、上記した睡眠維持プロセスでの種々の刺激は、
図9のステップS201の処理にて乗員12に付与される。従って、ステップS201で乗員12に対して与える所定の睡眠維持用の刺激には、上記した睡眠維持プロセスでの種々の刺激のうちの何れか又は全部が含まれる。すなわち、ステップS201で乗員12へ与える睡眠維持用の刺激とは、別言すれば、乗員12の睡眠中に乗員12の睡眠を維持するためにその乗員12へ与える刺激である。
【0110】
また、ステップS201では、
図1の刺激装置31は、睡眠制御装置10からの指令に従って、乗員12の睡眠中に乗員12に対し、視覚刺激と聴覚刺激と嗅覚刺激と触覚刺激と温冷刺激と姿勢変化刺激とのうち2種以上の刺激を相互に揃ったタイミングで与える。例えば、乗員12の睡眠中に乗員12に対し、乗員12の心拍よりも遅い所定のテンポでの音刺激が聴覚刺激としてシートスピーカー24から出力されながら、空調装置30からの送風が、乗員12に対し風速感を与えない程度の微風で温冷刺激として継続される。
【0111】
図9のステップS201の次はステップS202へ進む。そのステップS202では、睡眠制御装置10は、睡眠中に乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れたか否かを判定する。
【0112】
例えば、乗員12の睡眠深度がステージ3またはステージ4へ移る兆候を示す脳波または心拍のパターンが第1判定用パターンとして予め実験的に求められ記憶されている。そして、状態検出カメラ15および生体センサ16による検出結果に基づいて得られた脳波または心拍の状況が、その第1判定用パターンに合致した場合に、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度がステージ3またはステージ4へ移る兆候が現れたと判定する。
【0113】
これと同様に、乗員12の睡眠深度がレム睡眠へ移る兆候を示す脳波または心拍のパターンが第2判定用パターンとして予め実験的に求められ記憶されている。そして、状態検出カメラ15および生体センサ16による検出結果に基づいて得られた脳波または心拍の状況が、その第2判定用パターンに合致した場合に、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度がレム睡眠へ移る兆候が現れたと判定する。
【0114】
図9のステップS202において、乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れたと判定された場合には、
図9のサブルーチンは終了する。そして、
図8のフローチャートへ戻り、ステップS109へ進む。
【0115】
一方、
図9のステップS202において、乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れていないと判定された場合には、ステップS203へ進む。
【0116】
図9のステップS203では、睡眠制御装置10は、乗員12の入眠完了時であるt1時点からの経過時間Tpsが所定の終了判定時間Tedに到達したか否かを判定する。
【0117】
その終了判定時間Tedは、睡眠維持用の刺激を終了させることを判定するためのパラメータである。終了判定時間Tedは、
図8および
図9の制御処理で実施される短時間仮眠によって覚醒後の集中力の向上など仮眠効果が十分に得られるように予め実験的に設定されている。具体的に、
図8および
図9の制御処理で実現される乗員12の短時間仮眠での睡眠時間Tsは、好ましくは5分以上で且つ30分以内であり、更に好ましくは、10分以上で且つ20分以内である。従って、本実施形態では、終了判定時間Tedは、その短時間仮眠での睡眠時間Tsが5分以上で且つ30分以内になるように設定されている。
【0118】
また、入眠完了時からの経過時間Tpsが終了判定時間Tedに到達した時点では、乗員12は未だ睡眠中であり
図7のt6時点よりも前の時点であるので、終了判定時間Tedは
図7の睡眠時間Tsよりも短い時間である。なお、終了判定時間Tedは可変値であってもよいが、本実施形態では一定値とされている。
【0119】
ステップS203において、入眠完了時からの経過時間Tpsが終了判定時間Tedに到達したと判定された場合には、
図9のサブルーチンは終了する。そして、
図8のフローチャートへ戻り、ステップS109へ進む。
【0120】
一方、
図9のステップS203において、入眠完了時からの経過時間Tpsが終了判定時間Tedに未だ到達していないと判定された場合には、ステップS201へ進む。
【0121】
図8のステップS109では、睡眠制御装置10は、刺激装置31を用いて乗員12を覚醒させる制御を実行する。すなわち、睡眠制御装置10は、睡眠中の乗員12に対し刺激装置31によって所定の覚醒用の刺激を与えることで、睡眠中の乗員12を覚醒させる。すなわち、ステップS108からステップS109へ進んだ時点で、睡眠制御装置10は、乗員12への刺激を、睡眠維持用の刺激から覚醒用の刺激へ円滑に切り替える。
【0122】
そして、ステップS109では、
図7の楕円B3で囲んで示されるように、t6時点にて、睡眠制御装置10は、レム睡眠を出現させることなく乗員12を覚醒させる。これにより、乗員12を気持ち良く覚醒させることができる。
【0123】
このとき、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度を認識しながら、所定の覚醒用の刺激を与える。例えば、その覚醒用の刺激は、乗員12を気持ち良く覚醒させるのに適するように予め実験的に定められており、乗員12の覚醒の進行度合に応じて、或る程度の範囲内で調整されるようになっている。
【0124】
また、
図7のt6時点では、乗員12はステージ1の睡眠状態から覚醒状態になっているが、ステージ2の睡眠状態から覚醒状態になっても構わない。
【0125】
ここで、
図8のステップS109は、
図9のステップS203での判定が「YES」の場合に実行され、そのステップS203での判定に用いられる終了判定時間Tedは、短時間仮眠での睡眠時間Tsが5分以上で且つ30分以内になるように設定されている。従って、睡眠制御装置10は、睡眠時間Tsが5分以上で且つ30分以内になるように、睡眠中の乗員12を覚醒させると言える。
【0126】
また、
図8のステップS109は、
図9のステップS203での判定が「NO」であっても、
図9のステップS202での判定が「YES」の場合には実行される。従って、睡眠制御装置10は、睡眠中に乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れた場合には、睡眠時間Tsに拘わらず乗員12を覚醒させると言える。
【0127】
このステップS109は上記の覚醒プロセスと対応しており、上記した覚醒プロセスでの種々の刺激は、ステップS109の処理にて乗員12に付与される。従って、ステップS109で乗員12に対して与える所定の覚醒用の刺激には、上記した覚醒プロセスでの種々の刺激のうちの何れか又は全部が含まれる。すなわち、ステップS109で乗員12へ与える覚醒用の刺激とは、別言すれば、乗員12の覚醒時に乗員12を覚醒させるためにその乗員12へ与える刺激である。本実施形態では例えば、上記した覚醒時音による音刺激は、ステップS109で乗員12に付与される覚醒用の刺激に含まれる。
【0128】
また、ステップS109では、
図1の刺激装置31は、睡眠制御装置10からの指令に従って、乗員12の覚醒時に乗員12に対し、視覚刺激と聴覚刺激と嗅覚刺激と触覚刺激と温冷刺激と姿勢変化刺激とのうち2種以上の刺激を相互に揃ったタイミングで与える。これについて例示すれば、例えば、睡眠制御装置10は、照明29が発する光の色を暖色系から寒色系へと徐々に変化させる刺激を視覚刺激として乗員12に与えながら、覚醒作用の香りを乗員12に対する嗅覚刺激として、香り装置21から車室内へ放出させる。
【0129】
ステップS109の処理は、睡眠中の乗員12が覚醒状態になった時点(例えば、
図7ではt6時点)で終了する。そして、ステップS109の処理が終了すると、覚醒用の刺激が止まり、
図8のフローチャートは終了する。
【0130】
なお、上述した
図8および
図9の各ステップでの処理は、それぞれの機能を実現する機能部を構成している。このことは、後述するフローチャートでも同様である。
【0131】
また、
図8のステップS107は入眠制御部に対応し、ステップS108は睡眠維持制御部に対応し、ステップS109は覚醒制御部に対応する。そして、睡眠制御装置10は、その入眠制御部と睡眠維持制御部と覚醒制御部とを機能的に備えている。
【0132】
上記した
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するためにPVT評価が行われた。「PVT」とは、「Psychomotor Vigilance Task」の略である。このPVT評価とは、反応・動作時間によりパフォーマンス・認知機能を客観的に評価する手法であり、米国ペンシルバニア大学で開発され睡眠不足と疲労とによるヒューマンエラーを改善させるために用いられる手法である。
【0133】
具体的には、
図8および
図9の制御処理による本実施形態の短時間仮眠を行った場合と、入眠用、睡眠維持用、および覚醒用の刺激を全く与えずに単に睡眠させる比較例の短時間仮眠を行った場合とのそれぞれで、乗員12に相当する被験者に対しPVT評価が行われた。その評価の結果は次の通りである。なお、PVT評価における被験者の構成は、被験者数が20人であり、被験者の男女比率が男女半々であり、被験者の年代が20歳代、30歳代、40歳代、50歳代と幅広い年齢層であるというものである。
【0134】
PVT評価の結果、PVT評価の指標として用いられる平均反応速度(すなわち、MeanRRT)とエラー数(すなわち、Lapses)との何れにおいても、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して大きな改善効果が見られた。「MeanRRT」とは、「mean reciprocal response time」の略である。
【0135】
具体的に、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して、PVT評価における平均反応速度は、全被験者のうち9割以上の人で向上した。例えば、その平均反応速度は、
図10に示すように睡眠時間Tsに応じて向上すると考えられる。
【0136】
また、PVT評価におけるエラー数についても、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して大幅なエラー低減効果が、全被験者のうち9割以上の人で確認できた。
【0137】
また、
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するために、複数の視点で主観評価アンケートが実施された。
【0138】
具体的には、本実施形態の短時間仮眠を行った場合と上記比較例の短時間仮眠を行った場合とのそれぞれについて、主観評価アンケートが実施された。その主観評価アンケートの結果は次の通りである。なお、このアンケートの回答者の構成は、PVT評価における被験者の構成と同じである。
【0139】
主観評価アンケートのうち入眠についてのアンケートでは、
図11に示すように、「眠れなかった」と「ウトウトした」と「眠れた」という3つの選択肢が用意された。そのアンケートの結果、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、全回答者のうち8割以上の人が「眠れた」と回答した。そして、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して、全回答者のうち8割以上の人に同等の効果または改善効果が見られた。
【0140】
また、主観評価アンケートのうち覚醒についてのアンケートでは、
図12に示すように6つの選択肢が用意された。すなわち、その覚醒についてのアンケートでは、「非常に不快な目覚め」と「不快な目覚め」と「やや不快な目覚め」と「ややスッキリ起きれた」と「スッキリ起きれた」と「非常にスッキリ起きれた」という選択肢が用意された。そのアンケートの結果、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、全回答者のうち8割以上の人が、「ややスッキリ起きれた」、「スッキリ起きれた」、または「非常にスッキリ起きれた」と回答した。そして、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して、全回答者のうち8割以上の人に改善効果が見られた。
【0141】
また、
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するために、入眠時における入眠到達性について検証された。
【0142】
具体的には、本実施形態の短時間仮眠を行った場合と上記比較例の短時間仮眠を行った場合との間で、入眠開始時点から入眠完了時点までの経過時間である入眠到達時間が比較された。その入眠開始時点とは、
図1の入力装置14に設けられた手動入眠スイッチが被験者に操作された時点である。従って、本実施形態であれば、入眠開始時点は、
図8のステップS101において、被験者としての乗員12が短時間仮眠を行うことが乗員12の手動操作によって選択されたと判定された時点になる。また、入眠完了時点は、覚醒していた被験者の入眠が完了した時点、すなわち
図13で言えば、その覚醒していた被験者がステージ1の睡眠になった時点である。なお、この入眠到達性の検証における被験者の構成は、PVT評価における被験者の構成と同じである。
【0143】
この入眠到達性について検証の結果、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、全被験者のうちおよそ半分の人が1分程度で入眠することができた。そして、例えば
図13に示すように、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、比較例の短時間仮眠を行った場合に比して、全被験者のうち9割以上の人で入眠到達時間が短縮した。
図13では、本実施形態における入眠時の睡眠深度変化は実線L3で示され、入眠到達時間は矢印A3で示されている。また、比較例における入眠時の睡眠深度変化は破線L4で示され、入眠到達時間は矢印A4で示されている。
【0144】
また、
図8および
図9の制御処理による短時間仮眠の効果について検証するために、睡眠の持続性について検証された。なお、この睡眠の持続性の検証における被験者の構成は、PVT評価における被験者の構成と同じである。
【0145】
その睡眠の持続性についての検証の結果、比較例の短時間仮眠を行った場合には、全被験者のうち7割以上の人で次のような複数の事例が確認された。その複数の事例のうちの1つは、外乱に起因して被験者が入眠してから10分以内に覚醒してしまうということである。また、その複数の事例のうちのもう1つは、被験者の睡眠深度がステージ3以上になり被験者が容易には起きることができなくなる、又は起きることができても不快な覚醒になり覚醒後に疲労感が生じてしまうということである。これに対し、本実施形態の短時間仮眠を行った場合には、そのような事例は確認されなかった。
【0146】
上述したように、本実施形態によれば、第1合計時間T1sは、乗員12の睡眠中において乗員12の睡眠深度がステージ1で継続される時間を合計した合計時間である。第2合計時間T2sは、乗員12の睡眠中において乗員12の睡眠深度がステージ2で継続される時間を合計した合計時間である。そして、
図7に示すように、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中において、第1合計時間T1sよりも第2合計時間T2sの方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を出現させる。
【0147】
従って、例えば睡眠中の睡眠深度が単純にステージ1で維持される場合と比較して、ステージ2の睡眠深度の出現により、乗員12は短時間で深い睡眠を得ることができる。また、第1合計時間T1sよりも第2合計時間T2sの方が短いという関係があるので、例えば逆に第1合計時間T1sよりも第2合計時間T2sの方が長いという関係が成立する場合と比較して、睡眠深度がステージ3またはステージ4へ遷移する可能性を低減できる。すなわち、睡眠深度が深くなり過ぎることに起因した不都合を回避することができる。
【0148】
その結果、例えば覚醒後のリラックス、眠気解消、疲労回復、および集中力向上を狙った効果的な短時間仮眠を実現することが可能である。例えば特許文献1の睡眠制御装置が行う単純な睡眠深度の制御による短時間仮眠と比較して、更に良好な短時間仮眠の効果を得ることができる。
【0149】
(1)また、本実施形態によれば、
図7に示すように、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠深度をステージ3にもステージ4にもすることなく且つレム睡眠を出現させないように、乗員12の睡眠を維持する。従って、レム睡眠の出現に起因した浅い睡眠の継続を防止することができる。そして、睡眠深度がステージ3またはステージ4へ遷移することに起因した不都合、すなわち睡眠深度が深くなり過ぎることに起因した不都合を回避することができる。例えば、その不都合とは、
図8のステップS109で乗員12が覚醒用の刺激を受けても覚醒しない、または覚醒できたとしても不快な覚醒になり覚醒後に疲労感が生じてしまうということである。
【0150】
(2)また、本実施形態によれば、
図8のステップS107で乗員12に対して付与される所定の入眠用の刺激には、
図6の実線Lpで示すように乗員12の手の平へ加わる圧力を周期的に変化させる第1入眠刺激が含まれる。また、その入眠用の刺激には、乗員12の身体のうち上肢の末端部の温度Tteが腕の温度Tamよりも高くなるようにその末端部を暖める第2入眠刺激も含まれる。睡眠制御装置10は、乗員12を入眠させる際には、乗員12に対し、刺激装置31としての触感振動表皮26と振動表皮ヒータ27とによって第2入眠刺激を与えながら第1入眠刺激を与える。
【0151】
このように乗員12の入眠時に第2入眠刺激を与えることで、乗員12の抹消血管を拡張させその抹消血管の周辺からの放熱を促進することができる。その結果、乗員12の深部体温が下がり、乗員12が入眠しやすくなる。
【0152】
また、乗員12の入眠時に第2入眠刺激を与えることで、第1入眠刺激が乗員12に認識されやすくなり、第1入眠刺激による乗員12の呼吸誘導が容易になる。
【0153】
(3)また、本実施形態によれば、乗員12を入眠させる際には、
図8のステップS107で睡眠制御装置10は、乗員12に対し、入眠時音を所定の入眠用の刺激としてシートスピーカー24から出力させる。そして、その入眠時音とは、
図4の実線L1sのように乗員12の心拍に同調したテンポから次第にテンポが遅くなっていく音である。従って、乗員12の呼吸が上記入眠時音により誘導され、その乗員12の呼吸を次第に遅くし乗員12の入眠を促すことができる。
【0154】
(4)また、本実施形態によれば、
図8のステップS109において、睡眠制御装置10は、睡眠中の乗員12に対し刺激装置31によって所定の覚醒用の刺激を与えることで、睡眠中の乗員12を覚醒させる。従って、入眠させた乗員12の睡眠時間Tsをコントロールすることが可能である。
【0155】
(5)また、本実施形態によれば、睡眠制御装置10は、睡眠時間Tsが5分以上で且つ30分以内になるように、睡眠中の乗員12を覚醒させる。従って、覚醒後の集中力向上など適切な効果が得られる短時間仮眠を乗員12に提供することができる。
【0156】
例えば、睡眠時間Tsが5分未満であれば、その睡眠時間Tsが短すぎて睡眠の効果が殆ど得られない。また、睡眠時間Tsが30分を超えると、車両の乗員12に提供される短時間の仮眠としては不適当になる。
【0157】
(6)また、本実施形態によれば、
図8のステップS107において、睡眠制御装置10は、レム睡眠を出現させることなく乗員12を入眠させる。また、ステップS109において、睡眠制御装置10は、レム睡眠を出現させることなく睡眠中の乗員12を覚醒させる。従って、睡眠時間Ts中における浅い眠りを排除し、乗員12に対し気持ち良い睡眠を提供できる。
【0158】
(7)また、本実施形態によれば、睡眠制御装置10は、睡眠中に乗員12の睡眠深度がステージ1またはステージ2から、ステージ3、ステージ4、またはレム睡眠へ移る兆候が現れた場合には、
図8のステップS109にて乗員12を覚醒させる。従って、睡眠深度が浅いことに起因して短時間仮眠による効果が不十分になることを回避すると共に、睡眠深度が深くなり過ぎることに起因した不都合を回避することが可能である。
【0159】
(8)また、本実施形態によれば、
図1の刺激装置31は、乗員12の入眠時に乗員12に対し、視覚刺激と聴覚刺激と嗅覚刺激と触覚刺激と温冷刺激と姿勢変化刺激とのうち2種以上の刺激を相互に揃ったタイミングで与える。このことは、乗員12の入眠時だけでなく、乗員12の睡眠中でも、乗員12の覚醒時でも同様である。
【0160】
従って、1種類の刺激を順番に与える場合と比較して、乗員12に与えた刺激の効果を短時間で得ることができる。
【0161】
(9)また、本実施形態によれば、乗員12を覚醒させる際には、
図8のステップS109で睡眠制御装置10は、乗員12に対し、覚醒時音を所定の覚醒用の刺激としてシートスピーカー24から出力させる。そして、その覚醒時音とは、
図5の実線L2sのように乗員12の心拍に同調したテンポから次第にテンポが速くなっていく音である。従って、乗員12の呼吸が上記覚醒時音により誘導され、その乗員12の呼吸を次第に早くし乗員12の覚醒を促すことができる。
【0162】
ここで、
図7のタイムチャートにおいて、乗員12の睡眠中に睡眠深度がステージ1で連続する時間を第1連続時間T1xと定義する。そして、その第1連続時間T1xの経過後から第1連続時間T1xに続き睡眠深度がステージ2で連続する時間を第2連続時間T2xと定義する。その場合、本実施形態によれば、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中の全期間にわたって第1連続時間T1xよりもその第1連続時間T1xに続く第2連続時間T2xの方が短くなるように、ステージ2の睡眠深度を一時的に出現させる。従って、例えば睡眠中の乗員12が不用意に覚醒したとしても、上記した第1合計時間T1sよりも第2合計時間T2sの方が短くなるという状況を成立させることが可能である。
【0163】
(他の実施形態)
(1)上述の第1実施形態では、乗員12の入眠完了時からの経過時間Tpsが所定の終了判定時間Tedに到達したと
図9のステップS203で判定されることをトリガとして、乗員12を覚醒させる制御が実行されるが、これは一例である。例えば、睡眠制御装置10は、乗員12によるタイマー設定に従って乗員12を覚醒させてもよいし、カーナビゲーションシステムと連動し目的地に応じた設定に従って乗員12を覚醒させてもよい。また、睡眠制御装置10は、乗員12の過去の睡眠状況を学習し、その学習した覚醒タイミングで乗員12を覚醒させてもよい。
【0164】
(2)上述の第1実施形態では、
図9のフローチャートにステップS202が設けられているが、そのステップS202は必須の構成ではない。
図9のフローチャートにおいてそのステップS202が無い場合、ステップS201の次はステップS203へ進む。
【0165】
(3)上述の第1実施形態では、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中に睡眠深度を監視しながらその睡眠深度を刺激装置31からの刺激によって
図7のように制御するが、これは一例である。例えば、
図7のように睡眠深度を変化させる刺激のパターンを予め実験的に設定しておき、睡眠制御装置10は、乗員12の睡眠中に睡眠深度を監視することなく、その予め設定された刺激のパターンに従った刺激を刺激装置31から乗員12へ与えてもよい。
【0166】
(4)上述の第1実施形態において、
図7のタイムチャートでは、乗員12の睡眠中に睡眠深度はステージ1からステージ2へ2回遷移しているが、そのステージ1からステージ2への遷移は1回であってもよいし、3回以上であってもよい。
【0167】
(5)上述の第1実施形態において、睡眠制御装置10は独立した装置である必要はなく、車載の電子制御装置の機能的な一部分としてその電子制御装置に含まれる制御部であっても差し支えない。
【0168】
(6)上述の第1実施形態において、
図8および
図9のフローチャートに示す各ステップの処理はコンピュータプログラムによって実現されるものであるが、ハードウェアで実現されるものであっても差し支えない。
【0169】
(7)上述の第1実施形態において、
図1のシートブロワ23は、
図2のシート17のうち着座した乗員12に接触するシート表皮から空気を吹き出させるが、これは一例である。例えば逆に、そのシートブロワ23は、シート表皮からシート17内へ空気を吸い込むタイプであっても差し支えない。
【0170】
(8)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0171】
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0172】
また、本開示に記載の制御部としての睡眠制御装置10及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0173】
10 睡眠制御装置
12 乗員(対象者)
31 刺激装置