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特開2022-67396低電力回路用入力過電圧保護回路及び低電力回路装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067396
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】低電力回路用入力過電圧保護回路及び低電力回路装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
H02H9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176086
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】518195771
【氏名又は名称】株式会社翔エンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】597019609
【氏名又は名称】株式会社 シーディエヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 龍三
(72)【発明者】
【氏名】藤原 暉雄
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013AA04
5G013BA02
5G013CB29
5G013DA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】昇圧回路への入力電圧の変動が大きい場合でも、その電圧を制限したうえで、入力電圧の保護のための消費電流を極めて小さく抑える低電力回路用入力過電圧保護回路及び低電力回路装置を提供する。
【解決手段】低電力回路装置201において、低電力回路用入力過電圧保護回路101は、発電回路10の出力電圧を入力する電圧入力部Piと、この電圧入力部の電圧を昇圧し、後段の回路40へ電源電圧を供給する昇圧回路30と、電圧入力部と昇圧回路との間に、デプレッション型のFET Q1による過電圧保護回路を備える。FETのドレインDは、電圧入力部に接続され、FETのソースSは昇圧回路の入力部に接続される。FETのゲートGは、ソースに対して逆バイアス電圧となる電位に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電回路の出力電圧を入力する電圧入力部と、
前記電圧入力部の電圧を昇圧し、後段の回路へ電源電圧を供給する昇圧回路と、
前記電圧入力部と前記昇圧回路との間に、デプレッション型のFETによる過電圧保護回路を備え、
前記FETのドレインは前記電圧入力部に接続され、前記FETのソースは前記昇圧回路の入力部に接続され、前記FETのゲートは前記ソースに対して逆バイアス電圧となる電位に接続された、
低電力回路用入力過電圧保護回路。
【請求項2】
前記ゲートはグランドに接続されている、
請求項1に記載の、低電力回路用入力過電圧保護回路。
【請求項3】
前記ソースとグランドとの間に接続された抵抗分圧回路を備え、
前記ゲートは前記抵抗分圧回路の出力に接続された、
請求項1に記載の、低電力回路用入力過電圧保護回路。
【請求項4】
前記ソースとグランド基準電位との間に接続された、ダイオードと抵抗との直列回路を備え、
前記ゲートは前記ダイオードと前記抵抗との接続部に接続された、
請求項1に記載の、低電力回路用入力過電圧保護回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の低電力回路用入力過電圧保護回路と、
前記低電力回路用入力過電圧保護回路の電圧入力部に接続される前記発電回路と、
前記昇圧回路の出力電圧を電源電圧として動作する処理回路と、
を備える、低電力回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電システムの受電部や熱電発電素子等をエネルギー源とする、低電力回路に用いられる、入力過電圧保護回路及びそれを備える低電力回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力源を搭載しない、または、極小容量の電力源のみを搭載する通信端末で安定的に通信できるように、無線電力伝送によって通信端末に給電する無線電力供給システムが構成されている。例えば、特許文献1には、移動体からセンサへマイクロ波電力伝送により電力を供給する技術が開示されている。
【0003】
また、例えば火山の観測等を行うセンサシステムでは、火山の所定箇所に観測装置が設置され、マルチコプタに搭載された送電・通信装置から観測装置にマイクロ波で電力が供給され、観測装置はこの電力で動作し、観測データを送電・通信装置へ送信する。
【0004】
上述の例では、マルチコプタと観測装置との距離が大きいほど、観測装置の受電電力は低下する。このように、外部から定常的な電力を受けることのできない装置においては、広い動作環境を得るために、無線電力伝送によって給電される僅かな電力で動作するように回路を構成することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-97358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記センサシステムが正常に動作するためには、センサ信号の処理を行うマイクロプロセッサや、センサデータの通信処理を行う通信回路が必要である。一般に、マイクロプロセッサや通信部は2V~5Vの電源電圧を必要とする。しかし、無線給電によって数Vの電源電圧を得るには、送電側で大電力が必要となる。
【0007】
上述の問題は、無線給電に限らず、熱電発電素子を電源とする場合にも同様に生じる。熱電発電素子は、例えばゼーベック効果により熱エネルギーを電力エネルギーに変換する素子であり、大きな起電力を得るためには大きな温度差が必要となる。
【0008】
そこで、無線給電システムの受電部の出力電圧や、熱電発電素子の出力電圧を昇圧する回路を設けることが重要である。この昇圧回路は、例えば100mV程度の低い電圧を、2V~3Vにまで昇圧する。
【0009】
このような入力電圧の低い昇圧回路では、その低い入力電圧でも昇圧動作する必要があるため、回路部品には耐電圧性の高いものは使われていない。例えば、低電圧入力から昇圧できる、アナログ・デバイセズ社製のLTC3108では、耐圧が2V程度である。この場合、昇圧回路を安定的に使うには、印加電圧は1.5V以下に抑えることが望ましい。
【0010】
しかし、無線給電システムの受電部を電源とする装置においては、実使用の前に、給電側のアンテナと受電側のアンテナとが近接して置かれる場合がある。また、熱電発電素子を電源とする場合に、熱電発電素子の温度差が非常に大きくなることがある。これらの状況によって、入力電圧の最低電圧と最大電圧の比は300を超えることもある。例えば、最低入力電圧が100mVであれば、最大入力電圧は30V以上にも達することになるので、入力電圧の制限回路が必要となる。
【0011】
図10は一般的な入力電圧制限回路を備える装置の回路図である。図10に示す例では、発電回路10と昇圧回路30との間に抵抗R及びツェナーダイオードZDによる過電圧保護回路が設けられている。昇圧回路30の出力にはその電圧を電源として動作する処理回路40が接続されている。
【0012】
このように、ツェナーダイオードZDによる過電圧保護回路では、ツェナー電圧1V以下のツェナーダイオードであっても、Typical値で10μA程度の漏れ電流が流れる。つまり、本来過電圧保護のための回路でありながら、定常時でもその回路で入力電力の多くが費やされてしまう。
【0013】
また、図11は電圧入力部に三端子レギュレータ50を備える装置の回路図である。このような三端子レギュレータ50を用いて過電圧保護を行う場合でも、三端子レギュレータに消費電流が流れる。一般的な三端子レギュレータの自己消費電流は数百μAもあるので、一般品は使えない。一方、自己消費電流の低い三端子レギュレータでは耐入力電圧が低い。例えば、自己消費電流が0.5μA程度の三端子レギュレータである、テキサス・インスツルメンツ社製のTPS783では、最大入力電圧が6Vである。このため、上述のように、最大出力電圧が30V近くにもなる条件では使えない。また、昇圧回路へ10μA程度しか供給できない場合には、上記0.5μAでも、5%もの電流消費であるため、無視できない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、このように入力電圧の変動が大きい場合でも、昇圧回路への入力電圧を制限したうえで、入力電圧の保護のための消費電流を極めて小さく抑えることのできる、低電力回路用入力過電圧保護回路及びそれを備える低電力回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の低電力回路用入力過電圧保護回路は、発電回路の出力電圧を入力する電圧入力部と、前記電圧入力部の電圧を昇圧し、後段の回路へ電源電圧を供給する昇圧回路と、前記電圧入力部と前記昇圧回路との間に、デプレッション型のFETによる過電圧保護回路を備える。そして、前記FETのドレインは前記電圧入力部に接続され、前記FETのソースは前記昇圧回路の入力部に接続され、前記FETのゲートは前記ソースに対して逆バイアス電圧となる電位に接続されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の低電力回路装置は、前記低電力回路用入力過電圧保護回路と、前記低電力回路用入力過電圧保護回路の電圧入力部に接続される発電回路と、前記昇圧回路の出力電圧を電源電圧として動作する処理回路と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、昇圧回路への入力電圧の変動が大きい場合でも、その電圧が制限され、かつ、入力電圧の保護のための消費電流が極めて小さく抑えられた、低電力回路用入力過電圧保護回路が得られる。また、この低電力回路用入力過電圧保護回路を備える低電力回路装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は第1の実施形態に係る低電力回路装置201の回路図である。
図2図2は発電回路10の構成例を示すブロック図である。
図3図3は昇圧回路30の構成例を示す回路図である。
図4図4は、図3に示した昇圧回路と過電圧保護回路20との関係を示す回路図である。
図5図5は第2の実施形態に係る低電力回路装置202Aの回路図である。
図6図6は第2の実施形態に係る別の低電力回路装置202Bの回路図である。
図7図7は第3の実施形態に係る低電力回路装置203の回路図である。
図8図8は第4の実施形態に係る低電力回路装置204Aの回路図である。
図9図9は第4の実施形態に係る別の低電力回路装置204Bの回路図である。
図10図10は従来の一般的な入力電圧制限回路を備える装置の回路図である。
図11図11は電圧入力部に三端子レギュレータ50を備える装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点について説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0020】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係る低電力回路装置201の回路図である。この低電力回路装置201は、例えばセンサシステムにおける観測装置である。低電力回路装置201は、発電回路10と、低電力回路用入力過電圧保護回路101と、処理回路40とを備える。低電力回路用入力過電圧保護回路101は、FET Q1と昇圧回路30とを備える。処理回路40は、昇圧回路30の出力電圧を電源として動作する。低電力回路用入力過電圧保護回路101の構成及び作用については後に詳述する。
【0021】
上記発電回路10は、この例では、後に示すように無線給電システムの受電部や熱電発電素子である。処理回路40はセンサ41、マイクロプロセッサ42及び通信回路43を備える。マイクロプロセッサ42はセンサ41を用いて、温度等の計測を行い、通信回路43を介して外部へ無線送信する。
【0022】
図2は上記発電回路10の構成例を示すブロック図である。発電回路10は、縦続接続された、入力フィルタ122、整流ダイオード123及び出力フィルタ124を有する。整流ダイオード123は、発電回路10に入力された高周波を直流に変換する。結合スロット11Sはスロットアンテナのスロットであり、マイクロストリップライン121はスロット11Sに結合する。入力フィルタ122は、整流ダイオード123による整流時に発生する高調波が結合スロット11S側へ反射されて、スロット11Sから再放射されることを抑止する。出力フィルタ124は、整流ダイオード123による整流時に発生する高調波が出力されることを抑止する。
【0023】
図3は上記昇圧回路30の構成例を示す回路図である。この昇圧回路30は、インダクタL1、スイッチング素子Q11,Q12、スイッチング制御回路31、抵抗Rin、キャパシタCin,Coutを有する。図3において、スイッチング制御回路31は、抵抗Rin及びキャパシタCinの平滑電圧を電源として動作し、スイッチング素子Q11,Q12を交互にスイッチングする。インダクタL1とスイッチング素子Q11,Q12によって昇圧回路が構成され、スイッチング素子Q11,Q12のデューティ比によって昇圧比が定められる。キャパシタCoutは出力電圧を平滑する。
【0024】
図4は、図3に示した昇圧回路と過電圧保護回路20との関係を示す回路図である。昇圧回路30は、その入力端とグランドとの間に等価的な抵抗Rsが接続された回路として表される。過電圧保護回路20は、NチャンネルのジャンクションFET Q1と、上記抵抗Rsとで構成される。図4に示すように、FET Q1のドレインDは電圧入力部Piに接続されていて、FET Q1のソースSは昇圧回路30の入力部に接続されていて、FET Q1のゲートGはグランドに接続されている。したがって、電圧入力部Piに電圧が入力されて、昇圧回路3へ電圧が印加されている状態で、FET Q1のゲートGは、ソースSに対して負電位、つまり逆バイアスとなる電位、に接続されることになる。
【0025】
FET Q1は、ゲート・ソース間電圧(ソース電位に対するゲート電位の差)VGSがゲートしきい値電圧VGS(th)を超える状態でオン状態となり、VGSがVGS(th)以下であるときオフ状態となる。
【0026】
N型のジャンクションFETはゲート・ソース間電圧VGSが0Vでも、ドレイン・ソース間は導通する。昇圧回路30への出力電圧VoutはFET Q1のドレイン・ソース間電圧の降下電圧分だけ僅かに降下した電圧となる。
【0027】
入力電圧Vinが上昇して、ソース電位に対するゲート電位がゲートしきい値電圧VGS(th) を下回ると、FET Q1のソース電位すなわち出力電圧Voutは、ゲートしきい値電圧VGS(th)を超えることがなく、VGS(th)で一定となる。
【0028】
したがって、入力電圧Vinが上昇しても、出力電圧Vout(昇圧回路30への入力電圧)はゲートしきい値電圧VGS(th)を超えることなく安定化される。
【0029】
また、このとき、ゲートGはソースSやドレインDとは逆バイアスされたダイオード状態となるため、ゲート電流は流れずに、発電回路10からの入力電流の殆どが昇圧回路30へ供給されることになる。実際には逆バイアス電流分が流れるが、ジャンクションFETとして一般的な例えば2SK30の場合、最大でも1nAであり、Typical値ではpAレベルである。このため、FET Q1での消費電流は昇圧回路30へ供給される電流に比べて極めて小さい。
【0030】
なお、入力電圧として逆電圧が印加されることに対する保護のために、入力電圧の入力部に、入力電圧に対して逆極性となる方向にダイオードを並列接続することが一般に行われるが。図1に示した回路においては、上記保護ダイオードを追加しなくても、発電回路10が仮に逆電圧を発生したとしても、ゲート・ドレイン間が順方向となって、逆電圧が昇圧回路30に入力されることが防止される。
【0031】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、昇圧回路30への入力電圧の過電圧保護が作用する電圧レベルを設定した低電力回路用入力過電圧保護回路について示す。
【0032】
図5は第2の実施形態に係る低電力回路装置202Aの回路図である。図1に示した低電力回路装置201とは低電力回路用入力過電圧保護回路102Aの構成が異なる。図5に示す低電力回路用入力過電圧保護回路102Aは、NチャンネルのジャンクションFET Q1と抵抗R1,R2とを含む。抵抗R1,R2は直列接続されて、昇圧回路30の入力部とグランドとの間に接続されている。この抵抗R1,R2は抵抗分圧回路を構成している。FET Q1のドレインDは電圧入力部に接続されていて、FET Q1のソースSは昇圧回路30の入力部に接続されていて、FET Q1のゲートGは、抵抗R1,R2による抵抗分圧出力部に接続されている。
【0033】
FET Q1のゲート・ソース間電圧VGSと出力電圧Voutとは次の関係にある。
【0034】
Vout=VGS{(R1+R2)/R1}
したがって、昇圧回路30のへの入力保護電圧は、図1に示した回路に比べて、ゲートしきい値電圧VGS(th)の{(R1+R2)/R1}倍になる。このようにして、FET Q1のゲートしきい値電圧VGS(th)と抵抗分圧回路の分圧比によって、所定の保護電圧を設定してもよい。ただし、抵抗R1,R2にブリーダ電流が流れるので、抵抗R1,R2の抵抗値は必要以上に小さくしないことが好ましい。
【0035】
図6は第2の実施形態に係る別の低電力回路装置202Bの回路図である。図1に示した低電力回路装置201とは低電力回路用入力過電圧保護回路102Bの構成が異なる。図6に示す低電力回路用入力過電圧保護回路102Bは、NチャンネルのジャンクションFET Q1と抵抗R1とダイオードD1とを含む。
【0036】
ここで、FET Q1のゲート・ソース間電圧VGS、ダイオードD1の順方向降下電圧をVoで表すと、出力電圧Voutは、Vout=VGS+Voであるので、昇圧回路30の入力保護電圧は、ダイオードD1の順方向降下電圧Voだけ高く設定できる。ただし、抵抗R1及びダイオードD1に電流が流れるので、この例においても、抵抗R1の抵抗値は必要以上に小さくしないことが好ましい。
【0037】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、昇圧回路30への入力電圧の極性が第1、第2の実施形態で示した例とは異なる低電力回路装置について示す。
【0038】
図7は第3の実施形態に係る低電力回路装置203の回路図である。この例では、発電回路10の出力電圧は負電圧である。低電力回路用入力過電圧保護回路103内のFET Q1は、PチャンネルのジャンクションFETである。昇圧回路30は負の入力電圧を入力して昇圧する。
【0039】
FET Q1のドレインDは電圧入力部に接続されていて、FET Q1のソースSは昇圧回路30の入力部に接続されていて、FET Q1のゲートGはグランドに接続されている。したがって、FET Q1のゲートGはソースSに対して正電位、つまり逆バイアスとなる電位に接続されることになる。
【0040】
FET Q1は、ゲート・ソース間電圧(ソース電位に対するゲート電位の差)VGSの絶対値がゲートしきい値電圧VGS(th)の絶対値を超える状態でオン状態となり、VGSの絶対値がVGS(th)の絶対値以下であるときオフ状態となる。したがって、第1の実施形態で示した例と同様に、入力電圧Vinの絶対値が上昇しても、出力電圧Vout(昇圧回路30への入力電圧)はゲートしきい値電圧VGS(th)で安定化される。
【0041】
本実施形態においても、図5図6に示した例と同様に、ゲート電圧を調整する回路を設けてよい。
【0042】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、昇圧回路30の構成がこれまでに示した例とは異なる低電力回路装置について示す。
【0043】
図8は第4の実施形態に係る低電力回路装置204Aの回路図である。この例では、低電力回路用入力過電圧保護回路104A内のFETは、Nチャンネルのデプレッション型MOS-FETである。第1の実施形態において過電圧保護回路20(図4)に用いたジャンクションFETは、その構造上、デプレッション型のFETであるので、本実施形態に示すように、MOS-FETで過電圧保護回路を構成する場合には、デプレッション型MOS-FETを用いればよい。
【0044】
図9は第4の実施形態に係る別の低電力回路装置204Bの回路図である。この例では、発電回路10の出力電圧は負電圧である。低電力回路用入力過電圧保護回路104B内のFETは、Pチャンネルのデプレッション型MOS-FETである。
【0045】
第3の実施形態において低電力回路用入力過電圧保護回路103(図7)に用いたジャンクションFETは、その構造上、デプレッション型のPチャンネルFETであるので、MOS-FETで、負電圧の過電圧保護回路を構成する場合には、図9に示すように、Pチャンネルのデプレッション型MOS-FETを用いればよい。
【符号の説明】
【0046】
Cin,Cout…キャパシタ
D…ドレイン
D1…ダイオード
G…ゲート
L1…インダクタ
Pi…電圧入力部
Q1…FET
Q11,Q12…スイッチング素子
R,R1,R2,Rin,Rs…抵抗
S…ソース
GS…ゲート・ソース間電圧
Vin…入力電圧
Vo…順方向降下電圧
Vout…出力電圧
ZD…ツェナーダイオード
3…昇圧回路
10…発電回路
11S…結合スロット
20…過電圧保護回路
30…昇圧回路
31…スイッチング制御回路
40…処理回路
41…センサ
42…マイクロプロセッサ
43…通信回路
50…三端子レギュレータ
101,102A,102B,103,104A,104B…低電力回路用入力過電圧保護回路
121…マイクロストリップライン
122…入力フィルタ
123…整流ダイオード
124…出力フィルタ
201,202A,202B,203,204A,204B…低電力回路装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11