(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067448
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】フリート管理システム、フリート管理方法及び端末装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20220425BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176160
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520168055
【氏名又は名称】avatarin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深堀 昂
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 ケビン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707JS02
3C707JS03
3C707JS07
3C707JT04
3C707JU12
3C707KS10
3C707KT02
3C707LV15
3C707MS14
3C707MS15
3C707MS28
3C707WA13
3C707WA16
3C707WL07
(57)【要約】
【課題】複数台のロボットを効率的に管理することが可能なフリート管理技術を提供する。
【解決手段】フリート管理システム100は、固定されていない複数のロボット20を、コンピュータ10を用いて管理する。ロボット20は、周囲の環境情報を取得するセンサ部を有する。コンピュータ10は、複数のロボット20から、環境情報を受信する受信部と、受信された環境情報に基づき、特定事象の発生を検出する検出部と、特定事象が検出されたロボット20に対し、設定されている制御方式の切り替え指示を送信する送信部とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されていない複数のロボットを、コンピュータを用いて管理するフリート管理システムであって、
前記ロボットは、
周囲の環境情報を取得するセンサ部を有し、
前記コンピュータは、
複数の前記ロボットから、前記環境情報を受信する受信部と、
受信された前記環境情報に基づき、特定事象の発生を検出する検出部と、
前記特定事象が検出された前記ロボットに対し、設定されている制御方式の切り替え指示を送信する送信部と
を具備する、フリート管理システム。
【請求項2】
前記送信部は、
前記特定事象が検出された前記ロボットに対し、既に設定されている制御方式から、ユーザによる遠隔制御への切り替え指示を送信する、請求項1に記載のフリート管理システム。
【請求項3】
前記コンピュータは、
ユーザから、前記切り替え指示の入力を受け付ける入力部をさらに具備する、請求項1または2に記載のフリート管理システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記特定事象が検出された場合に、前記特定事象の内容とともに、前記特定事象が検出された前記ロボットを特定する情報を出力する出力部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のフリート管理システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記特定事象を検出するための判断条件を記憶する記憶部をさらに備え、
前記検出部は、前記環境情報と前記判断条件との比較結果に基づき、前記特定事象の発生を検出する、請求項1から4のいずれか一項に記載のフリート管理システム。
【請求項6】
前記センサ部は、カメラを有し、
前記周囲の環境情報には、前記カメラで撮影された画像が含まれる、請求項1から5のいずれか一項に記載のフリート管理システム。
【請求項7】
固定されていない複数のロボットを、コンピュータを用いて管理するフリート管理システムであって、
前記ロボットが、周囲の環境情報を取得する取得ステップと、
前記コンピュータが、複数の前記ロボットから、前記環境情報を受信する受信ステップと、
前記コンピュータが、受信された前記環境情報に基づき、特定事象の発生を検出する検出ステップと、
前記コンピュータが、前記特定事象が検出された前記ロボットに対し、設定されている制御方式の切り替え指示を送信する送信ステップと、を含む、フリート管理方法。
【請求項8】
固定されていない複数のロボットを管理する端末装置であって、
複数の前記ロボットから、周囲の環境情報を受信する受信部と、
受信された前記環境情報に基づき、特定事象の発生を検出する検出部と、
前記特定事象が検出された前記ロボットに対し、設定されている制御方式の切り替え指示を送信する送信部と、を具備する、端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリート管理システム、フリート管理方法及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを用いたテレビ会議システムが普及し、顔を見ながら話すだけでなく、遠隔地にいるユーザがカメラの向きや位置を操作することができるテレプレゼンスロボットが使用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、遠隔操作者に対して撮影画像を提供するカメラと、撮影画像内の少なくとも一部を遠隔操作者から隠蔽するマスク処理を実行し、かつ、マスク処理を用途に応じて切り替えるマスク処理部と、を備えるカメラ付き移動体(テレプレゼンスロボット)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレプレゼンスロボット(以下、単に「ロボット」という。)を活用することで、例えば空港や大型商業施設などに配置されたロボットに敷地内を警備させたり、工場に配置されたロボットに製品の組み立て作業を行わせたりすることができる。遠隔のロボットに何らかの作業をさせるためには、ロボットを自律制御させる方法や、オペレータがロボットに動作を指示して遠隔制御する方法などが考えられるが、いずれの方法であっても、ロボットが複数台になると、これら一群のロボットを管理(以下、「フリート管理」ともいう。)するのは難しくなる、という問題があった。
【0006】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、複数台のロボットを効率的に管理することが可能なフリート管理技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るフリート管理システムは、固定されていない複数のロボットを、コンピュータを用いて管理するフリート管理システムであって、ロボットは、周囲の環境情報を取得するセンサ部を有し、コンピュータは、複数のロボットから、環境情報を受信する受信部と、受信された環境情報に基づき、特定事象の発生を検出する検出部と、特定事象が検出されたロボットに対し、設定されている制御方式の切り替え指示を送信する送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数台のロボットを効率的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るフリート管理システムのネットワーク構成を示す図である。
【
図2】フリート管理システムの概要を説明するためのイメージ図である。
【
図4】コンピュータの機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】判断テーブルの登録内容を例示した図である。
【
図6】ロボットの機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】コンピュータの物理的構成を示すブロック図である。
【
図8】ロボットの物理的構成を示すブロック図である。
【
図9】コンピュータにより実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るフリート管理システム100のネットワーク構成を示す図である。フリート管理システム100は、固定されていない複数のロボット20-N(1≦N≦M)と、20-Nを操作可能なコンピュータ10とを備える。ここで、ロボット20-Nとコンピュータ10とは、通信ネットワークNWを介して相互通信可能となっている。なお、
図1では1台のコンピュータ10を例示しているが、コンピュータ10の台数は任意である。また、以下の説明において、各ロボット20-Nを特に区別する必要がない場合には、単にロボット20と呼ぶ。
【0012】
通信ネットワークNWのうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよい。通信ネットワークNWは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線通信、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。
【0013】
<フリート管理システム100の概要>
図2は、フリート管理システム100の概要を説明するためのイメージ図である。
各ロボット20は、例えば空港などに配置された移動型のロボットであり、空港内の設備や店舗などを警備する。各ロボット20は、自身で状況を判断しながら警備を行う自律制御と、遠隔のユーザによる指示に従って動作する遠隔制御の切り替えが可能となっている。なお、各ロボット20は、初期設定として自律制御に設定されているものとする。
【0014】
ユーザは、例えば警備会社の管理者などであり、コンピュータ10を操作することによって、空港内に配置された全てのロボット20をフリート管理する。
【0015】
各ロボット20は、搭載されたカメラなどによって周囲の状況をあらわす環境情報を取得し、これをコンピュータ10に送信する(S1)。
コンピュータ10は、各ロボット20から環境情報を受信すると、受信した環境情報を解析することで、各ロボット20の警備エリアにおいて異常が発生していないか否かを判断する。詳細は後述するが、コンピュータ10は、例えば各ロボット20のカメラで撮影された画像等に基づいて、異常事象(例えば、刃物などをもった危険人物が警備エリアに存在するなど)が発生していないかを自動で判断する(S2)。
【0016】
コンピュータ10は、いずれかのロボット20(ここではロボット20-1を想定)において異常事象が検出されると、これをユーザに報知するべく、警告画面を表示する(S3)。
【0017】
図3は、コンピュータ10に表示される警告画面D1を例示した図である。
図3に示すように、警告画面D1には、異常事象の詳細情報とともに、異常事象が検出されたロボット20-1の特定情報などが表示される。
異常事象の詳細情報には、例えば異常事象の種類(危険人物の発見、火災の発見、盗難や事故の発見など)、異常事象の発生時間、異常事象の発生場所などが含まれる。また、ロボット20-1の特定情報には、例えばロボットID、ロボットの警備エリアのエリアコードなどが含まれる。
【0018】
図2に戻り、ユーザは、警告画面D1に基づき、異常事象の内容、及び異常事象が検出されたロボット20-1を把握すると、コンピュータ10を操作することで、制御方式の切り替え指示(自律制御→遠隔制御)を入力する。コンピュータ10は、異常事象が検出されたロボット20-1に対し、入力された制御方式の切り替え指示を送信する(S4)。
なお、コンピュータ10は、ユーザからの指示を待つことなく、異常事象が検出されたロボット20-1に対し、自律制御から遠隔制御への切り替え指示を送信してもよい。
【0019】
その後、ユーザは、異常事象が検出されたロボット20-1を遠隔制御することで、異常事象を解消するための方策等を講じる。例えば、危険人物が認められていた場合であれば、ユーザは、ロボット20-1を遠隔制御することで、危険人物を追跡し、危険行為を防ぐための策を実行する。一例として、危険人物に対して警告メッセージや警告音を報知するなどが考えられるが、これらに限る趣旨ではない。
【0020】
ユーザは、上記策によって異常事象が解消された場合には、異常事象が解消されたロボット20-1の制御方式を、再度切り替える指示(遠隔制御→自律制御)を入力するようにしてもよい。制御方式を再度切り替える指示が入力された場合には、コンピュータ10は、異常が解消されたロボット20-1に対し、制御方式の再切り替え指示を送信する(S5)。
【0021】
本実施形態に係るフリート管理システム100によれば、管理下にあるいずれかのロボット20において異常事象が検出されると、異常事象が検出されたロボット20の制御方式を遠隔制御に切り替える。ユーザは、コンピュータ10を利用して異常事象が検出されたロボット20を遠隔制御することで、速やかに異常事象の解消を図ることができ、ロボット20を効率的に管理することが可能となる。以下、コンピュータ10、ロボット20の構成について説明する。
【0022】
<機能的構成>
(コンピュータ10)
コンピュータ10は、ロボット20の操作や、ロボット20の利用に際してユーザ認証に必要な情報入力などを行う情報処理装置である。コンピュータ10は、例えばスマートフォン、タブレット端末、PDA、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル端末などの汎用または専用の情報処理装置である。
【0023】
図4は、コンピュータ10の機能的構成を示すブロック図である。
コンピュータ(端末装置)10は、入力部11と、通信部12と、検出部13と、出力部14とを含んで構成される。
【0024】
入力部11は、ロボット20の操作に関する様々な指示の入力を受け付ける。様々な指示は、ユーザ等によって入力される。
図2を例に説明すると、いずれかのロボット20において異常事象が検出された場合に、そのロボット20の制御方式を切り替える指示や、異常事象を解消するための指示の入力などを受け付ける。
【0025】
通信部(送信部、受信部)12は、ロボット20等との間で様々なデータを送受信する。具体的には、通信部12は、ロボット20のカメラやマイクで取得された画像や音声など、当該ロボット20の周囲の状況をあらわす環境情報を受信する。さらに、通信部12は、異常事象が検出されたロボット20に対し、ユーザによって入力された指示などを送信する。
【0026】
検出部13は、通信部12によって受信される各ロボット20の環境情報に基づき、異常事象の発生を検出する。
図2を例に説明すると、検出部13は、各ロボット20から環境情報を受信すると、判断テーブルTA1を利用することで、各ロボット20の警備エリアにおいて異常事象が発生していないか否かを判断(すなわち、異常事象の発生を検出)する。
【0027】
図5は、判断テーブルTA1の登録内容を例示した図である。
検出部(記憶部)13は、判断テーブルTA1を備えている。判断テーブルTA1には、異常事象(異常事象の種類を含む)を検出するための判断条件が複数登録されている。
図5に示す例では、ナイフ等を所持する人物がカメラによって映し出された場合には、異常事象(第1類;危険人物)である判断され、温度センサやサーモグラフィカメラなどによって閾値以上の温度上昇が検出された場合には、異常事象(第2類;火災)であると判断され、・・・といった具合いである。なお、判断テーブルTA1に登録されている判断条件は、固定的なものであってもよいが、ユーザ等が追加・編集可能な構成であってもよい。
【0028】
出力部14は、いずれかのロボット20において異常事象が検出された場合に、異常事象の内容とともに、異常事象が検出されたロボット20を特定する情報を、表示パネルなどに出力する。
【0029】
(ロボット20)
ロボット20は、例えばテレプレゼンスロボット又はアバターロボットで構成され、車輪等の移動部を有していてよい。ロボット20は、固定されていないロボットであり、例えば空港内に複数配置される。ここで、ロボット20が固定されていないとは、ロボット20が車輪等を有する移動型である場合と、人が装着でき、マニピュレータ等を有する装着型である場合とを含む。本実施形態では、移動型のロボットを想定する。移動型のロボットは、例えば特許文献1に示されている。移動型ロボットは、一輪、二輪又は多輪により走行するもの、キャタピラにより走行するもの、レールの上を走行するもの、飛び跳ねて移動するもの、二足歩行、四足歩行又は多足歩行するもの、スクリューにより水上又は水中を航行するもの及びプロペラ等により飛行するものを含む。装着型のロボットは、例えばMHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki, Reo Matsumura, Kouta Minamizawa and Masahiko Inami, "Fusion: full body surrogacy for collaborative communication," Proceeding SIGGRAPH '18 ACM SIGGRAPH 2018 Emerging Technologies Article No. 7.にて公開されている。さらに、ロボット20は、自動走行又は半自動走行可能な車両や重機であったり、ドローンや各種の飛翔体であったりを含む。また、ロボット20は、レールの上を移動可能なカメラを備えたロボットを含む。
【0030】
ロボット20は、ユーザ認証に成功したコンピュータ10からの指令に基づいて動作する。ここで、ユーザ認証は、公知の手法で行われてよく、ユーザ認証のための情報は、事前に登録されていてよい。
【0031】
図6は、ロボット20の機能的構成を示すブロック図である。
ロボット20は、センサ部21と、通信部22と、駆動部23とを含んで構成される。
【0032】
センサ部21は、ロボット20の周囲の状況をあらわす環境情報を取得する。環境情報は、カメラによって撮影される画像、マイクによって取得される音声、温度センサによって取得される温度データなどを含む。なお、これらは例示にすぎず、システム設計などに応じて他のデータを取得するようにしてもよい。
【0033】
通信部22は、コンピュータ10等との間で様々なデータを送受信する。具体的には、通信部22は、コンピュータ10から送信される様々な指示を受信する一方、ロボット20において取得された環境情報(画像や音声、温度データなど)をコンピュータ10に送信する。なお、通信部22は、環境情報をコンピュータ10に送信する際、自ロボット20の特定情報を含めてコンピュータ10に送信する。
【0034】
駆動部23は、コンピュータ10から送信される駆動指示に従い、ロボット20の各部(例えばアームや車輪など)を駆動する。
【0035】
<物理的構成>
(コンピュータ10)
図7は、本実施形態に係るコンピュータ10の物理的構成を示す図である。
コンピュータ10は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶装置に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶装置に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信装置10dと、入力装置10eと、出力装置10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例ではコンピュータ10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、コンピュータ10は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、
図7で示す構成は一例であり、コンピュータ10はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0036】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う演算装置である。CPU10aは、複数のロボット20をフリート管理するためのプログラム(フリート管理プログラム)を実行する。CPU10aは、入力装置10eや通信装置10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を出力装置10fに出力したり、RAM10bに格納したりする。
【0037】
RAM10bは、記憶装置のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行するプログラム、ユーザを特定するユーザIDなどのユーザ情報を記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0038】
ROM10cは、記憶装置のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えばフリート管理プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0039】
通信装置10dは、コンピュータ10を他の機器に接続する様々な通信インターフェースを含んでよい。通信装置10dは、インターネットや電話回線等の通信ネットワークNWに接続されてよい。
【0040】
入力装置10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えばタッチパネルやマイクなどを含んでよい。
【0041】
出力装置10fは、CPU10aによる演算結果を出力するものであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネルや、スピーカなどにより構成されてよい。出力装置10fは、各ロボット20において取得された環境情報を出力してよい。
【0042】
フリート管理プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信装置10dにより接続される通信ネットワークNWを介して提供されてもよい。コンピュータ10では、CPU10aがフリート管理プログラムを実行することにより、各ロボット20を制御する。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、コンピュータ10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0043】
(ロボット20)
図8は、本実施形態に係るロボット20の物理的構成を示す図である。
ロボット20は、演算装置に相当するCPU20aと、記憶装置に相当するRAM20bと、記憶装置に相当するROM20cと、通信装置20dと、出力装置20eと、駆動装置20fと、センサ群20gとを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、
図8で示す構成は一例であり、ロボット20はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0044】
CPU20aは、RAM20b又はROM20cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う演算装置である。CPU20aは、フリート管理プログラムを実行する。CPU20aは、通信装置20dなどから種々のデータを受け取り、データの演算結果を出力装置20eに表示したり、RAM20bに格納したりする。また、CPU20aは、駆動装置20fを制御し、ロボット20の動作を制御する。
【0045】
RAM20bは、記憶装置のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM20bは、CPU20aが実行するプログラムや、自ロボット20の特定情報などを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM20bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0046】
ROM20cは、記憶装置のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM20cは、例えばフリート管理プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0047】
通信装置20dは、ロボット20を他の機器に接続する様々な通信インターフェースを含んでよい。通信装置20dは、インターネット等の通信ネットワークNWに接続されてよい。
【0048】
出力装置20eは、CPU20aによる演算結果を出力するものであり、例えば、LCDなどの表示パネルや、スピーカなどにより構成されてよい。なお、出力装置20eは、コンピュータ10のカメラで撮影された画像やマイクで取得された音声を出力してもよい。
【0049】
駆動装置20fは、遠隔操作可能なアクチュエータを含み、車輪等やマニピュレータ等を含む。ロボット20が移動型のロボットである場合、駆動装置20fは、少なくとも車輪等を含むが、マニピュレータを含んでもよい。ロボット20が装着型である場合、駆動装置20fは、少なくともマニピュレータを含む。
【0050】
センサ群20gは、ロボット20の周囲の状況をあらわす環境情報を取得するものであり、例えば、カメラやマイク、温度センサなどにより構成されてよい。
【0051】
フリート管理プログラムは、RAM20bやROM20c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信装置20dにより接続される通信ネットワークNWを介して提供されてもよい。ロボット20では、CPU20aがフリート管理プログラムを実行することにより、フリート管理に必要なロボット20の動作を制御する。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、ロボット20は、CPU20aとRAM20bやROM20cが一体化したLSIを備えていてもよい。
【0052】
<処理フロー>
図9は、本実施形態に係るコンピュータ10により実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローは、コンピュータ10のCPU10aが、フリート管理プログラムなどを実行することで実現される。
【0053】
管理下にある各ロボット20は、センサ部21において環境情報を取得すると、自ロボット20の特定情報を含めてコンピュータ10に送信する。なお、各ロボット20は、取得した環境情報を、設定されたタイミングでコンピュータ10に送信してもよい。
【0054】
コンピュータ10の通信部12は、各ロボット20から環境情報を受信すると(Sa1)、検出部13に送る。
検出部13は、各ロボット20から受信した環境情報と、判断テーブルTA1に登録されている各判断条件とを比較することで、いずれかのロボット20において異常事象が発生しているか否かを判断する(Sa2)。
【0055】
検出部13は、異常事象が発生していないと判断すると(Sa2;NO)、処理を終了する。一方、検出部13は、例えば環境情報に含まれるカメラの画像に、ナイフ等を所持する人物が映っていることから、異常事象(第1類;危険人物)が発生していると判断すると(Sa2;YES)、出力部14に対し、異常事象(第1類;危険人物)が発生した旨を通知するとともに、環境情報を出力する。さらに、検出部13は、出力部14に対し、異常事象の発生をユーザに出力(報知)すべき指示を送る。
【0056】
出力部14は、検出部13の指示に従い、異常事象の発生を出力する(Sa3)。具体的には、出力部14は、検出部13から供給される環境情報等に基づき、
図3に示すような警告画面D1を生成し、これを表示パネルなどに表示する。前述したように、警告画面D1には、異常事象の詳細情報(異常事象の種類や発生時間、発生場所など)とともに、異常事象を検出したロボット20(ここでは、
図2に示すロボット20-1)の特定情報などが表示される。
【0057】
ユーザは、コンピュータ10の表示パネルなどに表示される警告画面D1に基づき、異常事象の発生を確認するとともに、異常事象が検出されたロボット20-1を特定する。そして、ユーザは、コンピュータ10を操作することで、異常事象が検出されたロボット20-1に対する制御方式の切り替え指示(自律制御→遠隔制御)を入力する。入力部11は、かかる入力を受け付けると(Sa4)、通信部12に送る。
【0058】
なお、ユーザが制御方式の切り替え指示を入力する代わりに、コンピュータ10が、異常事象を検出したロボット20の制御方式の切り替え指示を自動入力してもよい。異常事象を検出したロボット20の特定は、検出部13の判断結果を利用すればよい。
【0059】
通信部12は、異常事象が検出されたロボット20-1に対し、制御方式の切り替え指示を送信する(Sa5)。異常事象が検出されたロボット20-1は、コンピュータ10から送信される制御方式の切り替え指示に従い、自律制御から遠隔制御へ切り替えを行う。遠隔制御へ切り替えが行われることで、以後、異常が検出されたロボット20-1は、ユーザによる遠隔操作が可能となる。ユーザは、コンピュータ10を利用して異常事象が検出されたロボット20-1を遠隔制御することで、異常事象を解消するための方策等を講じる。例えば、危険人物が発見された場合であれば、ロボット20-1を遠隔操作することで、危険人物を追跡し、危険人物に対して警告メッセージや警告音を報知してもよい。なお、ユーザは、上記方策によって異常事象が解消された場合には、異常事象が解消されたロボット20の制御方式を、再度切り替える指示(遠隔制御→自律制御)を入力するようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、管理下にあるいずれかのロボット20において異常事象が検出されると、異常事象が検出されたロボット20について、既に設定されている制御方式から、ユーザによる遠隔制御へ切り替えを行う。ユーザは、異常事象が検出されたロボット20を遠隔制御することで、速やかに異常事象の解消を図ることができ、ロボット20を効率的に管理することが可能となる。
【0061】
B.変形例
上述した本実施形態では、警備するロボット20をフリート管理する場合について説明したが、これに限る趣旨ではない。例えば、焼き菓子などのマイスターの技の伝承を受けるロボット20をフリート管理する場合などにも適用可能である。なお、以下では、ユーザであるマイスターの監視のもと、各ロボット20がマイスターの焼成技術(焼成プロファイルなど)を完全同期で実行するものとする。
【0062】
各ロボット20は、例えば世界各地の製菓工場に配置されている。各ロボット20は、マイスターの焼成技術をリアルタイムに実行する。各ロボット20は、焼き菓子の焼成状況をあらわす環境情報を取得する。この場合、環境情報は、カメラによって撮影される画像のほか、温度センサによって取得される焼成温度や工場内の温度を示す温度データ、湿度センサによって取得される工場内の湿度を示す湿度データなどを含んでいてもよい。
【0063】
各ロボット20は、取得される環境情報を、マイスターのコンピュータ10に送信する。コンピュータ10には、焼成段階での異常事象(以下、単に「異常事象」という。)を検出するための判断条件が記憶されている。判断条件としては、例えば焼き縮みや、色ムラ、形状異常の発生などが挙げられる。焼き縮みや色ムラ、形状異常などは、各ロボット20がマイスターの焼成技術を忠実に実行したとしても、各ロボット20が設置されている製菓工場の気温や湿度などの違いによって生じ得る。
【0064】
コンピュータ10は、各ロボット20から取得される環境情報と、判断条件とを比較することで、いずれかのロボット20において異常事象が発生しているか否かを判断する。
【0065】
コンピュータ10は、いずれかのロボット20において異常事象が発生していると判断すると、これをマイスターに報知すべく、表示パネルなどに警告画面を表示する。この場合、警告画面には、異常事象の詳細情報とともに、異常事象が検出されたロボット20の特定情報などが表示される。異常事象の詳細情報には、異常事象の種類(例えば、焼きムラの発生など)、異常事象の発生時間、異常事象が発生した場所(例えば、ベルギーの製菓工場など)が含まれる。
【0066】
マイスターは、警告画面に基づき、焼成段階で発生した異常事象の内容、及び異常事象が検出されたロボット20を把握する。マイスターは、コンピュータ10を操作することで、異常事象が検出されたロボット20に対する制御方式の切り替え指示(ここでは、同期制御から遠隔制御への切り替え指示)を入力する。なお、本実施形態と同様、マイスターが制御方式の切り替え指示を入力する代わりに、コンピュータ10が、異常事象を検出したロボット20の制御方式の切り替え指示を自動入力するようにしてもよい。
【0067】
コンピュータ10は、異常事象が検出されたロボット20に対し、制御方式の切り替え指示を送信する。異常事象が検出されたロボット20は、コンピュータ10から制御方式の切り替え指示を受信すると、かかる指示に従い、同期制御から遠隔制御へ切り替えを行う。
【0068】
その後、マイスターは、コンピュータ10を利用して焼成段階での異常事象が検出されたロボット20を遠隔制御することで、異常事象を解消するための方策等を講じる。例えば、特定部位に色ムラが発生している場合には、色ムラが解消するように、温度勾配の設定を変更する等が挙げられる。なお、マイスターは、上記方策によって焼成段階での異常事象が解消された場合には、当該ロボット20の制御方式を、再度切り替える指示(ここでは遠隔制御から同期制御への切り替え指示)を入力するようにしてもよい。
【0069】
C.その他
上述した本実施形態及び変形例では、いずれかのロボット20で異常事象が検出される場合を例に説明したが、これに限る趣旨ではなく、異常事象以外の様々な事象(特定事象)にも適用可能である。例えば、管理対象が、宇宙探査を行う複数のロボット20である場合には、ロボット20による地球外生物の発見を、特定事象として設定してもよい。
また、上述した本実施形態及び変形例では、説明の理解を容易にするために、1台のロボット20で異常事象が検出された場合を例示したが、複数台のロボット20で異常事象が検出された場合も同様に適用可能である。
【0070】
以上説明した本実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
さらに、本実施形態及び変形例において、「部」及び「装置」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」及び「装置」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」及び「装置」が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の「部」及び「装置」の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
【符号の説明】
【0071】
10…コンピュータ、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信装置、10e…入力装置、10f…出力装置、20…ロボット、20a…CPU、20b…RAM、20c…ROM、20d…通信装置、20e…出力装置、20f…駆動装置、20g…センサ群、100…フリート管理システム