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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067455
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】載置台搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 35/06 20060101AFI20220425BHJP
   B65G 25/08 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B65G35/06 B
B65G25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176170
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
3F036
【Fターム(参考)】
3F036AA07
3F036AA08
3F036BA02
3F036DA07
3F036DB02
3F036DD07
(57)【要約】
【課題】載置台と移動体の係合部とに衝突を生じさせることなく、かつ余分な搬送時間を必要としないで、確実に搬送物を載置台に載置して搬送することができる載置台搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送路と、搬送路に沿って移動可能に一列に並べられ搬送物が夫々載置される複数の載置台と、一列に並べられた載置台のうち上流端の載置台に対して下流方向への押出可能に係合する上流側係合部と、載置台のうち下流端の載置台に対して下流方向への自由移動を規制するように係合する下流側係合部とを有して、搬送路に沿って移動する移動体と、移動体を、載置台の搬送方向の長さである1ピッチ分反復して移動させる移動体駆動機構と、を備えた載置台搬送装置であって、移動体は、上流側係合部と下流側係合部との間の長さを、上流側係合部と下流側係合部との間に挟持する複数の載置台の長さに応じて変更可能とする間隔変更部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路と、
前記搬送路に沿って移動可能に一列に並べられ搬送物が夫々載置される複数の載置台と、
前記一列に並べられた前記載置台のうち上流端の前記載置台に対して下流方向への押出可能に係合する上流側係合部と、前記載置台のうち下流端の前記載置台に対して下流方向への自由移動を規制するように係合する下流側係合部とを有して、前記搬送路に沿って移動する移動体と、
前記移動体を、前記載置台の搬送方向の長さである1ピッチ分反復して移動させる移動体駆動機構と、
を備えた載置台搬送装置であって、
前記移動体は、前記上流側係合部と前記下流側係合部との間の長さを、前記上流側係合部と前記下流側係合部との間に挟持する前記複数の載置台の長さに応じて変更可能とする間隔変更部を備える載置台搬送装置。
【請求項2】
前記移動体は、前記上流側係合部が設けられた移動体上流部と、前記移動体駆動機構が組付けられた移動体駆動部と、前記下流側係合部が設けられた移動体下流部と、を備え、
前記間隔変更部は、前記移動体駆動部と前記移動体下流部との間に設けられている請求項1に記載の載置台搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路は、第一搬送路と、
前記第一搬送路に並設され、前記第一搬送路の搬送方向とは逆方向に前記搬送物が搬送される第二搬送路とを備え、
前記移動体は、前記第一搬送路に沿って移動する第一移動体と、前記第二搬送路に沿って移動する第二移動体とを備え、
前記移動体駆動機構は、一つの駆動装置により前記第一移動体と前記第二移動体とを駆動させるものであり、
前記間隔変更部は、前記第一移動体および前記第二移動体の夫々に設けられている請求項1または2に記載の載置台搬送装置。
【請求項4】
前記間隔変更部は、前記上流側係合部と前記下流側係合部との間の長さを変更する伸縮装置を備えている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の載置台搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳枠、鋳型および鋳造品等を載置した載置台を搬送路上に一列に並べて搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型や鋳造品を載置した載置台を搬送路上に一列に並べて搬送するものとして、特許公報第554825号に記載されている台車搬送装置が知られている。
この台車搬送装置は、簡素かつ安価な機構で構成され、鋳枠や鋳型等が載置されて搬送路に複数並べられた台車を、一つの駆動装置で駆動する移動体によってスムーズに搬送させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第554825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、一列に並べて搬送される台車(載置台)は、経年の使用で当たり面が摩耗する。そのため、移動体の上流側係合部と下流側係合部との間の長さに対し、並べて挟持される複数の台車の長さの合計が使用により短くなる。また、搬送物(鋳型等)による加熱時の膨張を考慮して台車の搬送方向の寸法を短く設定するため、冷却時には、移動体の上流側係合部と下流側係合部との間の長さに対し、挟持される複数の台車の長さの合計が短くなる。
【0005】
このように、経年の使用および冷却時の縮小によって、移動体の上流側係合部および下流側係合部と並べられた台車との間に大きな隙間を生じる。このような大きな隙間は、並べられた台車群の上流側端部を押す上流側係合部が減速に入った際に、並べられた台車群の下流側端部と下流側係合部とを衝突させて、台車に載置された搬送物(鋳型)を崩す虞があった。また、このような搬送物の崩れを防ぐために、減速時間を長く確保する必要が生じ、余分な搬送時間を必要とした。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するために、載置台と移動体の係合部とに衝突を生じさせることなく、かつ余分な搬送時間を必要としないで、確実に搬送物を載置台に載置して搬送することができる載置台搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る載置台搬送装置は、搬送路と、搬送路に沿って移動可能に一列に並べられ搬送物が夫々載置される複数の載置台と、一列に並べられた載置台のうち上流端の載置台に対して下流方向への押出可能に係合する上流側係合部と、載置台のうち下流端の載置台に対して下流方向への自由移動を規制するように係合する下流側係合部とを有して、搬送路に沿って移動する移動体と、移動体を、載置台の搬送方向の長さである1ピッチ分反復して移動させる移動体駆動機構と、を備えた載置台搬送装置である。
【0008】
前記移動体は、前記上流側係合部と前記下流側係合部との間の長さを、前記上流側係合部と前記下流側係合部との間に挟持する前記複数の載置台の長さに応じて変更可能とする間隔変更部を備える。
【0009】
これによると、間隔変更部によって、上流側係合部と下流側係合部との間の長さを、上流側係合部と下流側係合部との間に挟持する複数の載置台の長さに応じて変更することができる。
そのため、載置台において、経年の使用で当たり面が摩耗したり、冷却によって長さが縮んだりした場合でも、上流側係合部と下流側係合部との間の長さを変更して、載置台と下流側係合部間に生じる隙間の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を実施した第一実施形態の載置台搬送装置の全体概要を示す平面図である。
図2図1におけるA-A断面図である。
図3図1におけるB-B断面図である。
図4図2の下流側の一部を拡大した図である。
図5図3の上流側の一部を拡大した図である。
図6】第一搬送路において、送り開始の途中位置での状態を示す図である。
図7】第一搬送路において、送りの中間位置での状態を示す図である。
図8】第一搬送路において、送り完了位置での状態を示す図である。
図9】第一搬送路において、伸縮装置を伸長させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.(第一実施形態)
本件発明にかかる載置台搬送装置を、鋳造ラインにおいて鋳枠や鋳型などの搬送物を載置台8としての搬送台車に載置して搬送する載置台搬送装置1に実施した第一実施形態について、図1図9に基づいて以下に説明する。
【0012】
本明細書において、載置台8が搬送路2に沿って搬送される方向を「搬送方向」という。載置台8の搬送を水の流れに例えて、鋳造ラインにおいて搬送の基点になる側を「上流側」、搬送の終点になる側を「下流側」という。搬送方向において上流方向を「後方」といい、下流方向を「前方」というものとする。搬送路2の搬送方向に延在する中心線を想定した場合に、その中心線より遠い側を「外側」、近い側を「内側」というものとする。
【0013】
本実施形態の載置台搬送装置1は、第一搬送路2aと、第二搬送路2bと、第一トラバーサ3と、第二トラバーサ4と、第一移動体51と、第二移動体52と、間隔変更部6と、移動体駆動機構7とを備えている。
第一搬送路2aおよび第二搬送路2bには、複数の載置台8が夫々一列に並べられている。第一搬送路2aおよび第二搬送路2bは、夫々搬送路2に相当する。
【0014】
1-1.(搬送路)
搬送路2における第一搬送路2aは、図1において左方向に搬送物を載置した載置台8を搬送する。
第一搬送路2aは、載置台レール21と分離ストッパ22とを備えている。
載置台レール21は、搬送方向に沿って水平に延在するように一対形成されている。一対の載置台レール21は、搬送方向に延在する一対のI型梁23の上端外側に夫々対応して敷設されている。一対のI型梁23は、床面Fより突設された複数本の支柱24によって支持され、載置台レール21を高架状に保持している。載置台レール21上には、鋳型または鋳枠が載置された載置台8が搬送方向に沿って一列に配置されている。
【0015】
(分離ストッパ装置)
第一搬送路2aの下流端位置DEPには、図4に示すように、分離ストッパ22が設けられている。分離ストッパ22は、下流端位置DEPにある載置台8のさらなる下流方向へ自由移動を規制する。
【0016】
分離ストッパ22は、I型梁23の下部側面に固定されたエアシリンダ装置22aと、I型梁23の側面に軸支されエアシリンダ装置22aのピストン部に一端が連結されるとともに他端が載置台レール21上に進退するストッパ部22b1を有するクランク装置22bとを備えている。ストッパ部22b1は、載置台レール21上に前進したときに下流端位置DEPに位置決めされた載置台8の前方側の軸受部8b(後述)の前端部に当接するようになっている。
【0017】
第二搬送路2bは、第一搬送路2aに並設され、第一搬送路2aの搬送方向とは逆方向に搬送物が搬送される。構成は、図3図に示すように、第一搬送路2aと同様なので、説明を省略する。
【0018】
1-2.(トラバーサ)
第一搬送路2aの上流端位置UEPに整列する第一搬入位置CIP1と、第二搬送路2bの下流端位置DEPに整列し、かつ第一搬入位置CIP1に対向する第二搬出位置COP2との間には、トラバーサとしての第一トラバーサ3が配置されている。第一トラバーサ3は、第一搬入位置CIP1と第二搬出位置COP2との間で搬送物を移動させる。
第一トラバーサ3は、第一移送レール31と移送台車32とを備えている。第一移送レール31は、第一搬入位置CIP1と第二搬出位置COP2とを繋ぐように配置され、第一搬送路2aおよび第二搬送路2bが延在する方向に対して直角な方向に延在している。
【0019】
第一移送レール31上の第一搬入位置CIP1には、載置台8が載置され搬送方向に直角な方向に移動する移送台車32が位置決めされている。
移送台車32は、第一移送レール31上を転動する移送車輪32aと、移送車輪32aが転動自在に支持される移送ベース32bと、移送ベース32bの上に前記載置台レール21に整列するよう設けられた移送台レール32cと突出支持部33とを有している(図1において、第一搬出位置COP1側参照)。
【0020】
移送ベース32bは、例えば鉄製で矩形板状に形成されている。移送ベース32bの下部側方には、第一搬送路2aおよび第二搬送路2bの搬送方向に沿った回転軸心を持つ二対の移送車輪32aが回転自在に支承されている。
移送台レール32cは、移送ベース32bの上面に第一搬送路2aおよび第二搬送路2bの搬送方向と平行な方向に延在するように組み付けられている。
【0021】
突出支持部33は、移送ベース32bの上面であって、移送台レール32cの一方の外側(図1において下方側)に設けられている。突出支持部33には、移送台レール32cに沿って延在する棒状部材33aの一端部が移送台レール32cに対して直角方向の軸心を持つ回転軸で回動自在に連結されている。
【0022】
棒状部材33aの他端部には、図2に示すように、移送台レール32cに対して直角な回転軸を有するローラ33bが回転自在に設けられ、棒状部材33aの中間部の他端部側にはコイルばね33cが設けられている。コイルばね33cは棒状部材33aの下面と移送ベース32bの上面の間に配置され、棒状部材33aの他端部を上方へ付勢するよう構成されている。移送台レール32cの終端部(搬送路とは反対側の端部)にはストッパ34が設けられ、ストッパ34と棒状部材33aの他端部に設けられたローラ33bとの間に、載置台8の後述する転動輪8c及び軸受部8bを挟持することで、載置台8を移送ベース32b上に位置決めして保持する。
【0023】
第1移送レール31と移送台車32とによりトラバーサとしての第一トラバーサ3が構成される。また、第1移動体51が載置台8を下流端位置DEPから第一搬出位置COP1に搬送したときの停止位置において、下流端位置DEPに移動された載置台8は、転動輪8cが、突出支持部33のローラ33bの頂部をストッパ34側へ乗り越えた状態で停止する。すなわち、ストッパ34側へ(さらに下流側へ)付勢された状態で停止するように設定されている。
【0024】
また、載置台8を載置した移送台車32が第一搬入位置CIP1に位置決めされると、移送台レール32cが載置台レール21と整列し、移送台レール32cに載せられた載置台8が第一搬送路2aの載置台レール21上に載置された複数の載置台8と所定の隙間tBを設けて配列する(図2参照)。
【0025】
(第二トラバーサ)
第二トラバーサ4は、第二搬送路2bの上流端位置UEPに整列する第二搬入位置CIP2と、第一搬送路2aの下流端位置DEPに整列し、かつ第二搬入位置CIP2に対向する第一搬出位置COP1との間に設けられている。
第二トラバーサ4は、搬送方向が第一トラバーサ3に対して逆方向という点が相違するだけで、第一トラバーサ3とは構成が同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0026】
1-3.(移動体)
移動体5における第一移動体51は、第一搬送路2aの下方に設けられ、第一搬送路2aの搬送方向に沿って往復動する。
第一移動体51は、第一搬送路2aの一対のI型梁23の下部内縁部には夫々載置台レール21に平行する移動体レール(図略)が敷設され、移動体レールには第一移動体51の転動輪53が載置される。
【0027】
第一移動体51は、上流端位置UEP側(図1において右側)に設けられた直方体形状の移動体上流部51aと下流端位置側(図1において左側)に設けられた直方体形状の移動体下流部51bと、移動体上流部51a及び移動体下流部51bの間に設けられた移動体駆動部51cとを備えている。
【0028】
移動体上流部51aと移動体駆動部51cとの間、移動体下流部51bと移動体駆動部51cとの間には、夫々棒状の接続部51dが設けられている。接続部51dによって、移動体上流部51aと移動体駆動部51cとは、一体となって移動する。また、接続部51dによって、移動体下流部51bと移動体駆動部51cとは一体となって移動する。移動体上流部51a、移動体駆動部51c及び移動体下流部51bの側部には夫々前後左右に前記転動輪53が回転自在に軸支されている(図2参照)。
【0029】
また、移動体駆動部51cの上流側下部には、図2及び図4に示すように、下方に突出するブラケット54が設けられている。ブラケット54には、後述するスライダークランク機構を構成する第一リンク部材71の一端部が互いに回動自在に連結されている。
【0030】
また、移動体上流部51aの上流端位置側の上部には上方に突出する矩形状の上流側係合部57が設けられている。この上流側係合部57は、第一移動体51において搬送方向に直交する方向の中心より一方(図1において下方)にずれた位置に設けられ、載置台8に設けられる後述の前部被係合部87と係合するよう構成される。
【0031】
移動体下流部51bの下流端位置側の上部には上方に突出する矩形状の下流側係合部58が設けられている。この下流側係合部58は、搬送方向に直交する水平方向の中心より他方(図1において上方)にずれた位置に設けられ、載置台8に設けられる後述の後部被係合部88と係合するよう構成される。
【0032】
(第二移動体)
第二移動体52は、第二搬送路2bの下方に設けられ、第二搬送路2bの搬送方向に沿って往復動する。
第二移動体52は、上流端位置側(図1において右側)に設けられた直方体形状の移動体上流部52aと下流端位置側(図1において左側)に設けられた直方体形状の移動体下流部52bと、移動体上流部52a及び移動体下流部52bの間に設けられた移動体駆動部52cとを備えている。その他の構成は、第一移動体51と同様であるので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0033】
1-4.(間隔変更部)
間隔変更部6は、移動体駆動部51cと移動体下流部51bとの間に設けられている。間隔変更部6は、上流側係合部57と下流側係合部58との間の長さを、上流側係合部57と下流側係合部58との間に挟持する複数の載置台8(載置台)の長さに応じて変更する。
間隔変更部6は、油圧シリンダ装置61と油圧ポンプ62と電磁切換弁63とを備えている
【0034】
油圧シリンダ装置61は、移動体駆動部51cの下流側端部に設けられたシリンダ部61aと移動体下流部51bに連続する接続部51dに継手によって接続されたピストン部61bとを備えている。電磁切換弁63は、シリンダ部61aのキャップ側に油圧ポンプ62を連通させてピストン部61bを前進させる左位置Lと、シリンダ部61aのピストン部61b側に油圧ポンプ62を連通させてピストン部61bを後退させる右位置Rとを備えている。また、電磁切換弁63は、ピストン部61bを停止状態とする中央位置Cを備えている。電磁切換弁63は、図略の制御装置によって作動が制御されている。
これらの油圧シリンダ装置61と油圧ポンプ62と電磁切換弁63とが、伸縮装置を構成する。
【0035】
1-5.(移動体駆動機構)
移動体駆動機構7は、図3に示すように、第一移動体51と第二移動体52とを一つのインバータ制御機能付モータ28で駆動させている。移動体駆動機構7は、第一移動体51の移動体駆動部51cに連結する第一リンク部材71と、第一リンク部材71に連結する第一クランクアーム73と、第一クランクアーム73を回転させる駆動軸281を有するインバータ制御機能付モータ28とを備えている。
【0036】
また、移動体駆動機構7は、第二移動体52の移動体駆動部52cに連結する第二リンク部材72と、第二リンク部材72に連結する第二クランクアーム74を備える。第二クランクアーム74も、第一クランクアーム73と同様にインバータ制御機能付モータ28の駆動軸281によって回転する。
駆動装置は、インバータ制御機能付モータ28および駆動軸281により構成される。
【0037】
駆動軸281には、図2および図3に示すように、第一クランクアーム73及び第二クランクアーム74が夫々基端部において相対回転不能に組付けられている。各クランクアーム73,74は、移動体51,52が前進を開始する始点において略水平に位置し、回転途中で下死点を通過して移動体51,52の前進が終了する終点において始点の反対側に略水平に位置する。
【0038】
そして、第一搬送路2aにおける第一クランクアーム73と第二搬送路2bにおける第二クランクアーム74とは同時に同方向に回転する。そのため、互いに反対方向に載置台8が搬送される第一搬送路2aと第二搬送路2bとでは、クランクアーム73,74の回転方向に対する各移動体51,52の前進・後退の位置づけが相違する。
【0039】
具体的には、図2において、第一搬送路2aにおいて第一クランクアーム73の時計回りの回転により第一移動体51が前進するときに第二搬送路2bでは第二クランクアーム74の時計回りの回転により第二移動体52が後退し、第一搬送路2aにおいて第一クランクアーム73の反時計回りの回転により第一移動体51が後退するときに第二搬送路2bにおいて第二クランクアーム74の反時計回りの回転により第二移動体52が前進する。
【0040】
また、第一クランクアーム73の回転経路には、下死点を通過した位置に減速用近接スイッチ92が、終点位置には最終端用近接スイッチ94が、第一クランクアーム73が揺動する往路復路夫々に設けられている。これらのスイッチが配置された位置にクランクアーム73が到達することにより、インバータ制御機能付モータ28に対して所定の回転制御がなされる。これらのインバータ制御機能付モータ28、減速用近接スイッチ92、最終端用近接スイッチ94により駆動制御手段が構成される。第二クランクアーム74についても同様に、これらの近接スイッチが設けられている。
【0041】
これらの移動体駆動機構7は、スライダークランク機構を使った公知技術であるため、詳細な説明は省略する。この移動体駆動機構の公知例として、特許公報第5548255号公報に記載の技術を挙げることができる。
この公知例との相違点として、本実施形態における移動体駆動機構7では、一時停止近接スイッチが不要となっている。間隔変更部6としての伸縮装置の追加によって、一時停止動作が不要となるためである。一時停止動作が不要となるため、工程に要する時間をさらに短くすることができる。
【0042】
1-6.(載置台)
各搬送路2a,2bに配列される載置台8は、図1および図2に示すように、矩形状の載置台本体8aと、載置台本体8aの下方に前後左右に突設された軸受部8bと、左右対となった軸受部8bに夫々回転自在に軸支され載置台レール21上を転動する転動輪8cとを備えている。
【0043】
載置台本体8aの搬送方向の前部には下方に突出する前部被係合部87が設けられている。前部被係合部87は、載置台8の載置台本体8aにおいて搬送方向に直交する方向の中心より一方(第一搬送路2aにおいては、図1において下方、第二搬送路2bにおいては、図1において上方)にずれた位置に設けられ、移動体の前記移動体上流部51a,52aに設けられた上流側係合部57と係合するよう構成される。
【0044】
なお、載置台8は、第一搬送路2aと第二搬送路2bとにおいて、進行方向が逆となるため前方と後方とが逆なるが、いずれの場合においても進行方向に向かって下流側を「前方」、上流側を「後方」と呼称するものとする。したがって、第一搬送路2aにおける前部被係合部87は、第二搬送路2bにおいて後部被係合部88となり、第一搬送路2aにおける後部被係合部88は、第二搬送路2bにおいて前部被係合部87となる。
【0045】
載置台本体8aの搬送方向の後部には下方に突出する後部被係合部88が設けられている。後部被係合部88は、載置台8の載置台本体8aにおいて搬送方向に直交する方向の中心より他方(第一搬送路2aにおいては、図1において上方、第二搬送路2bにおいては、図1において下方)にずれた位置に設けられ、移動体51,52の前記移動体下流部51b,52bに設けられた下流側係合部58と係合するよう構成される。
【0046】
1-7.(制御装置)
制御装置は、図示はしないが、減速用近接スイッチ92、最終端用近接スイッチ94による検出信号に基づいて、インバータ制御機能付きモータ28の回転を制御する。また、間隔変更部6の伸縮装置(61,62,63)において、電磁切換弁63の動作を制御する。
【0047】
上記の記載で明らかなように、本実施形態に係る載置台搬送装置1は、搬送路2と、搬送路2に沿って移動可能に一列に並べられ搬送物が夫々載置される複数の載置台8と、を備えている。
【0048】
一列に並べられた載置台8のうち上流端の載置台8に対して下流方向への押出可能に係合する上流側係合部57と、載置台8のうち下流端の載置台8に対して下流方向への自由移動を規制するように係合する下流側係合部58とを有して、搬送路2に沿って移動する移動体51,52を備えている。
移動体51,52を、載置台8の搬送方向の長さである1ピッチ分反復して移動させる移動体駆動機構7を備えている。
【0049】
さらに移動体51,52は、上流側係合部57と下流側係合部58との間の長さを、上流側係合部57と下流側係合部58との間に挟持する複数の載置台8の長さに応じて変更可能とする間隔変更部6を備える。
【0050】
これによると、載置台8において、経年の使用で当たり面が摩耗したり、冷却によって長さが縮んだりした場合でも、上流側係合部57と下流側係合部58との間の長さを変更して、載置台8と下流側係合部58間に生じる隙間の発生を抑制することができる。
【0051】
また、移動体51,52は、上流側係合部57が設けられた移動体上流部51a,52aと、移動体駆動機構7が組付けられた移動体駆動部51c,52cと、下流側係合部58が設けられた移動体下流部51b,52bと、を備え、間隔変更部6は、移動体駆動部51c,52cと移動体下流部51b,52bとの間に設けられている。
これによると、移動体上流部51a,52aの上流側係合部57が、上流端の載置台8に係合して下流側へ押圧する際に生じる下流端の載置台8と下流側係合部58との間に生じる隙間に応じて容易かつ確実に上流側係合部57と下流側係合部58との間の間隔を変更することができる。
【0052】
搬送路2は、第一搬送路2aと、第一搬送路2aに並設され、第一搬送路2aの搬送方向とは逆方向に搬送物が搬送される第二搬送路2bとを備え、移動体は、第一搬送路2aに沿って移動する第一移動体51と、第二搬送路2bに沿って移動する第二移動体52とを備え、移動体駆動機構7は、一つの駆動装置(インバータ制御機能付モータ28、駆動軸281)により第一移動体51と第二移動体52とを駆動させるものであり、間隔変更部6は、第一移動体51および第二移動体52の夫々に設けられている。
【0053】
これによると、第一搬送路2aおよび第一搬送路2aの逆方向に搬送物を搬送する第二搬送路2bをを備え、第一移動体51および第二移動体52を駆動させる一つの駆動装置(インバータ制御機能付モータ28、駆動軸281)を備えたユニット化された載置台搬送装置においても、各搬送路2a,2bにおいて夫々間隔変更部6を設けることができる。
【0054】
また、間隔変更部6は、上流側係合部57と下流側係合部58との間の長さを、変更する油圧シリンダ61を備えている。
これによると、簡素な機構で構成が可能な油圧シリンダ61によって上流側係合部57と下流側係合部58との間の長さを、変更することができる。
【0055】
2.(作動)
上記のように構成された載置台搬送装置1の作動について、図2から図9に基づいて以下に説明する。
まず、図2に示すように、複数の載置台8は、第一搬送路2aの上流端位置UEPから下流端位置DEPまで並べられている。第一搬入位置CIP1に移送台車32に載置された載置台8が位置決めされている。その際、第一搬入位置CIP1に位置決めされた載置台8は、移送台車32の上で、突出支持部33とストッパ34とによって上流側の転動輪8cが保持されている。
【0056】
上流側係合部57と第一搬入位置CIP1に位置決めされた載置台8の前部被係合部87との間に隙間tAが設けられている。また、上流端位置UEPに位置決めされた載置台8と第一搬入位置CIP1に位置決めされた載置台8との間には、隙間tBが設けられている。隙間tAは、第一トラバーサ3で第一搬入位置CIP1に載置台8を位置決めする際に、上流側係合部57が載置台8の前部被係合部87に円滑に係合するためのものである。隙間tBは、第一トラバーサ3で第一搬入位置CIP1に位置決めする際に、載置台8同士の接触を防止するものである。隙間には、図示はしないが、載置台の熱膨張を考慮した隙間や使用による摩耗により隙間が、隙間tAおよび隙間tBに加えて予め設定されている。
【0057】
また、第一クランクアーム73は、図2に示すように、上流側に水平方向に沿って保持されている。これにより第一移動体51は、一番上流側で位置決めされた状態となっている。空の移送台車32が第一搬出位置COP1に位置決めされている。
間隔変更部6は、図4に示すように、電磁切換弁63が中央位置Cに位置決めされ、油圧シリンダ61が停止状態で維持されている。
【0058】
第二搬送路2bにおいては、図3に示すように、第二クランクアーム74は、下流側に水平方向に沿って保持されている。これにより第二移動体は、一番下流側で位置決めされた状態となっている。間隔変更部6は、図5に示すように、電磁切換弁63が中央位置Cに位置決めされ、油圧シリンダ61が停止状態で維持されている。第二搬出位置COP2および第二搬入位置CIP2では、移送台車32のない空の状態となっている。
【0059】
次に、制御装置は、インバータ制御機能付きモータ28を駆動させ、駆動軸281を回転させる。第一クランクアーム73は、図6において時計回りに回転する。第一クランクアーム73により搬送方向の加速度が生じている(例えば第一クランクアーム73の回転角度45度付近)状態において、間隔変更部6は、図5に示すように、電磁切換弁63が左位置Lに位置決めして、下流側係合部58と下流端の載置台8の後部被係合部88に隙間を設け、下流端の載置台8が自由に移動できる状態にすることで、円滑な搬送を図る。
【0060】
次に、制御装置は、図7に示すように、隙間tA,tBなどの隙間が解消した時点(例えば回転角度90度)で、電磁切換弁63を右位置Rに切替え、間隔変更部6の油圧シリンダ61を収縮させる。これにより、上流側係合部57と下流側係合部58との間に、複数の載置台8を相互に隙間にない状態で挟持する。このように複数の載置台8を相互に隙間になく挟持した状態で搬送する。これにより、複数の載置台8の間の衝突による衝撃の発生を防止して、迅速かつ確実に搬送することができる。
【0061】
次に、制御装置は、図8に示すように、第一クランクアーム73による減速用近接スイッチ92および最終端用近接スイッチ94からの信号を経て、第一移動体51を最終端となる位置に停止させる。
この場合、第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8と下流端位置DEPに位置決めされた載置台8は隙間なく接触している。第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8の後部被係合部88と下流側係合部58は隙間なく係合している。
【0062】
第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8の前方側の転動輪8cは、突出支持部33のローラ33bの頂部を下流側に乗り越えた状態となっている。転動輪8cがローラ33bの頂部を下流側に乗り越えることで、第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8が下流側(図7において左方向)に付勢された状態が形成されている。また、載置台8の前方側の転動輪8cとストッパ34との間に隙間tCが設けられている。
【0063】
次に、制御装置は、図9に示すように、分離ストッパ22を駆動させて、下流端位置DEPに位置決めされた載置台8のさらなる下流側への移動を規制する。そして、電磁切換弁63を左位置Lに切替え、油圧シリンダ61を伸長させる。第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8の転動輪8cがストッパ34に当接する位置までtCの距離だけ移動する。
【0064】
これによって、載置台8の転動輪8cは、ローラ33bとストッパ34との間に嵌まり込んだ状態で保持される。そして、載置台8が移送台車32に位置決め保持された状態となる。この場合において、後部被係合部88と下流側係合部58との間に隙間tAが掲載される。下流端位置DEPに位置決めされた載置台8と第一搬出位置COP1に位置決めされた載置台8との間に隙間tBが形成される。
【0065】
なお、本実施形態では、載置台8としてレール上を移動する台車を使用したが、これに限定されず、例えばローラコンベヤ上を走行するパレットでもよい。
また、搬送路は、二つの搬送路2a,2bに限定されない。例えば一つでもよく、三つ以上でもよい。
また、間隔変更部は、油圧シリンダに限定されない。例えば、公知の各種アクチュエータを選択して使用することができる。
【0066】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0067】
1:載置台搬送装置、2:搬送路、2a:第一搬送路、2b:第二搬送路、28:インバータ制御機能付モータ(駆動装置)、281:駆動軸(駆動装置)、5:移動体、51:第一移動体、51a:移動体上流部、51b:移動体下流部、51c:移動体駆動部、52:第二移動体、52a:移動体上流部、52b:移動体下流部、52c:移動体駆動部、57:上流側係合部、58:下流側係合部、6:間隔変更部、61:油圧シリンダ(伸縮装置)、7:移動体駆動機構、W:搬送物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9