(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067470
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20220425BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20220425BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/02
H01L21/56 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176193
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 凌
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 高行
(72)【発明者】
【氏名】小口 達司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【テーマコード(参考)】
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F206AC01
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF01
4F206JF23
4F206JQ90
5F061AA01
5F061CA21
5F061CB03
5F061DA08
5F061DA11
5F061DA13
5F061DA14
5F061DD02
5F061DD03
5F061DD04
5F061DE06
(57)【要約】
【課題】粉塵が拡散しにくい樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】樹脂封止装置1は、樹脂封止に用いられるワークと樹脂タブレットとを搬送するローダ8の待機位置Aまで樹脂タブレットを搬送してローダ8に樹脂タブレットを供給可能なタブレット供給部4と、ローダ8の搬送領域とタブレット供給部4の搬送領域とを連通させる開口部20に設けられ、該開口部20を開放可能かつ閉止可能なシャッタ30と、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂封止に用いられるワークと樹脂タブレットとを搬送するローダの待機位置まで樹脂タブレットを搬送して前記ローダに樹脂タブレットを供給可能なタブレット供給部と、
前記ローダの搬送領域と前記タブレット供給部の搬送領域とを連通させる開口部に設けられ、該開口部を開放可能かつ閉止可能なシャッタと、を備えた、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記タブレット供給部は、ホッパに貯留された樹脂タブレットを整列させて搬送する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記タブレット供給部は、樹脂タブレットを保持したまま前記開口部を通じて前記ローダの搬送領域に進入可能なホルダを備え、
前記ホルダが前記ローダの搬送領域に進入するとき、前記シャッタが前記開口部を開放し、
前記ホルダが前記ローダの搬送領域から退避したとき、前記シャッタが前記開口部を閉止する、
請求項1又は2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記シャッタは、前記シャッタによって前記ローダの搬送領域と隔てられた閉鎖空間であって、前記タブレット供給部の搬送領域を含む前記閉鎖空間を形成可能であり、
前記樹脂封止装置は、前記閉鎖空間内の空気を吸引する吸気装置を更に備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記シャッタには、前記ローダから排出された樹脂タブレットを収容可能な収容部が設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記ローダに搬入されたワークと樹脂タブレットとを用いて、ワークを樹脂で封止する少なくとも一つのプレスモジュールを更に備え、
前記ローダは、前記タブレット供給部から樹脂タブレットを受け取る前記待機位置と、前記少なくとも一つのプレスモジュールの各々に臨む搬入位置との間で往復移動し、
前記収容部は、前記待機位置の直下、又は前記待機位置と前記搬入位置とを繋ぐ前記ローダの移動軌跡のいずれかの位置の直下に配置されている、
請求項5に記載の樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレット供給部を備えた樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止装置は、樹脂タブレットを溶かした樹脂を用いてワークを封止する金型、各々の金型にワークと樹脂タブレットとを搬入するローダ、ローダに樹脂タブレットを供給するタブレット供給部等を備えている。例えば、特許文献1には、ローダや金型が上部スペースに配置され、タブレット供給部が下部スペースに配置された樹脂封止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂タブレットを扱うタブレット供給部では、樹脂屑等の粉塵が発生しやすい。下部スペースの粉塵が舞い上がって上部スペースに拡散し、装置内で粉塵が拡散するとワークや金型等に粉塵が付着するおそれがあり、この場合には樹脂封止において不具合を招来するおそれがある。そこで、本発明は、粉塵が拡散しにくい樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、樹脂封止に用いられるワークと樹脂タブレットとを搬送するローダの待機位置まで樹脂タブレットを搬送してローダに樹脂タブレットを供給可能なタブレット供給部と、ローダの搬送領域とタブレット供給部の搬送領域とを連通させる開口部に設けられ、該開口部を開放可能かつ閉止可能なシャッタと、を備えている。
【0006】
この態様によれば、開口部をシャッタで閉止して粉塵の移動を阻止できるため、タブレット供給部の搬送領域で発生した粉塵が開口部を通じてローダの搬送領域へ拡散することを防ぐことができる。
【0007】
上記態様において、タブレット供給部は、ホッパに貯留された樹脂タブレットを整列させて搬送してもよい。
【0008】
この態様によれば、ホッパ内で貯留されている樹脂タブレットが不揃いな向きであっても、樹脂タブレットを整列させてからローダに供給することができる。
【0009】
上記態様において、タブレット供給部は、樹脂タブレットを保持したまま開口部を通じてローダの搬送領域に進入可能なホルダを備え、ホルダがローダの搬送領域に進入するとき、シャッタが開口部を開放し、ホルダがローダの搬送領域から退避したとき、シャッタが開口部を閉止してもよい。
【0010】
この態様によれば、タブレット供給部がローダに樹脂タブレットを供給しないとき、開口部をシャッタで閉止することができる。
【0011】
上記態様において、シャッタは、シャッタによってローダの搬送領域と隔てられた閉鎖空間であって、タブレット供給部の搬送領域を含む閉鎖空間を形成可能であり、樹脂封止装置は、閉鎖空間内の空気を吸引する吸気装置を更に備えていてもよい。
【0012】
この態様によれば、タブレット供給部で発生した粉塵を吸気装置によって集塵することができる。また、タブレット供給部の搬送領域を含む閉鎖空間内の空気を吸引して負圧にできるため、開口部のシャッタを開放したとき粉塵が舞い上がってローダの搬送領域へ拡散することを防ぐことができる。
【0013】
上記態様において、シャッタには、ローダから排出された樹脂タブレットを収容可能な収容部が設けられていてもよい。
【0014】
樹脂タブレットは熱履歴によって性質が変化する。そのため、樹脂封止装置の非常停止等により樹脂タブレットの加熱が中断された場合、再加熱しても当該樹脂タブレットを使用することはできない。この態様によれば、ローダに供給されたものの使用せずに廃棄することになった樹脂タブレット等をシャッタに設けられた収容部に回収することができる。自らの手でローダから樹脂タブレットを取り除かなくてもよいため、オペレータの負担を軽減できる。シャッタと収容部とを別々に設ける構成と比べて省スペース化できる。
【0015】
上記態様において、ローダに搬入されたワークと樹脂タブレットとを用いて、ワークを樹脂で封止する少なくとも一つのプレスモジュールを更に備え、ローダは、タブレット供給部から樹脂タブレットを受け取る待機位置と、少なくとも一つのプレスモジュールの各々に臨む搬入位置との間で往復移動し、収容部は、待機位置の直下、又は待機位置と搬入位置とを繋ぐローダの移動軌跡のいずれかの位置の直下に配置されていてもよい。
【0016】
この態様によれば、ローダが待機位置に復帰したとき、又はローダが待機位置に復帰する途中において、廃棄する樹脂タブレットを収容部に回収することができる。ローダは、使用できなくなった樹脂タブレットを廃棄するために遠回りすることなく、最短経路で新しい樹脂タブレットを受け取りに待機位置に向かうことができるため、樹脂封止装置の非常停止から再稼働までの停止時間を最小化できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粉塵が拡散しにくい樹脂封止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の樹脂封止装置の一例を示す背面図である。
【
図2】
図1に示された樹脂封止装置の上部スペースの構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図1に示された樹脂封止装置の下部スペースの構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図3に示されたタブレット供給部の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示されたシャッタが開いた状態を模式的に示す正面図である。
【
図6】
図4に示されたシャッタが閉まった状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。各々の図面には、図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を付している。X軸及びY軸を含む面を「XY面」とし、Z軸の矢印の向きを上向き、Z軸の矢印とは逆向きを下向きとして説明する。樹脂封止装置1のオペレータから見て、X軸方向は例えば左右方向であり、Y軸方向は例えば前後方向である。以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止装置1の一例を示す背面図である。本実施形態の樹脂封止装置1は、ワークWを樹脂で封止するための樹脂封止装置であって、
図1に示すように、タブレット供給部4を少なくとも備えている。本実施形態は、任意の構成として、ワーク供給部3、プレスモジュール5、ローダ8、アンローダ9、ディゲータ10、ワーク収納部11等を更に備えていてもよい。
【0021】
ワーク供給部3は、樹脂封止される前のワークを供給マガジン2から取り出してローダ8に供給する。樹脂供給部4は、粉状の樹脂をタブレット状に成形した樹脂タブレットをローダ8に供給する。ローダ8は、ワーク供給部3及びタブレット供給部4から供給されたワークと樹脂タブレットとをプレスモジュール5の金型(樹脂封止金型)6に搬送する。図示した例では、樹脂封止装置1が四基のプレスモジュール5を備えている。プレスモジュール5の数は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0022】
プレスモジュール5は、供給されたワークを挟み込み加圧して樹脂封止(モールド成形)する。樹脂タブレットを構成する樹脂は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂である。金型6は、トランスファ成形用の金型である。金型6内のポットに供給されて加熱された樹脂タブレットをプランジャにより加圧してカルでさらに加熱及び加圧すると、タブレット状に成形されていた樹脂が軟化してカルからランナを介して連通するキャビティ内に樹脂が移動する。キャビティ内にはローダ8によりワークが載置されている。キャビティ内で樹脂をさらに加熱すると、樹脂が硬化してワークが封止される。
【0023】
アンローダ9は、樹脂封止されたワークを金型6から取り出してディゲータ10に搬送する。ディゲータ10は、樹脂封止されたワークから不要樹脂を分離する。ワーク収納部11は、不要樹脂が分離されたワークをディゲータ10から受け取って収納マガジン12に収納する。以下の説明において、ワーク供給部3及び樹脂供給部4をまとめた部分をインモジュール(3,4)と呼び、ディゲータ10及びワーク収納部11をまとめた部分をアウトモジュール(10,11)と呼ぶことがある。
【0024】
図示した例では、インモジュール(3,4)と、複数のプレスモジュール5と、アウトモジュール(10,11)とが、X軸方向に沿って並べられている。複数のプレスモジュール5は、インモジュール(3,4)からアウトモジュール(10,11)に向かって一列に並べられている。アウトモジュール(10,11)は、任意のプレスモジュール5から見てインモジュール(3,4)とは反対側に配置されている。インモジュール(3,4)とアウトモジュール(10,11)とを任意のプレスモジュール5から見て同じ側に配置してもよい。ローダ8及びアンローダ9は、X軸方向に延在するガイド7に沿って移動可能に構成されている。
【0025】
図1に示すように、インモジュール(3,4)は、水平に延在するフレーム21で上下に分割されている。同様に、各々のプレスモジュール5、アウトモジュール(10,11)は、水平に延在するフレーム22,23で上下に分割されている。図示した例では、樹脂封止装置1が、同じ高さのフレーム21,22,23で上下に分割されている。
【0026】
図2は、
図1に示された樹脂封止装置1の上部スペースの構成を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、供給マガジン2及びワーク供給部3は、インモジュール(3,4)の上部スペースに配置されている。ディゲータ10は、アウトモジュール(10,11)の上部スペースに配置されている。ワーク収納部11及び収納マガジン12は、アウトモジュール(10,11)の上部スペースと下部スペースとに跨って配置されている。
【0027】
ガイド7は、樹脂封止装置1の上部スペースに設けられている。各々の金型6は、対応するプレスモジュール5の上部スペースに配置されている。ローダ8は、インモジュール(3,4)の上部スペースに配置された待機位置Aと、各々のプレスモジュール5に臨む搬入位置B,C,D,Eとの間をガイド7に沿って往復移動する。ガイド7及びその近傍の領域は、ローダ8がワークW及び樹脂タブレットを搬送する搬送領域の一例である。
【0028】
各々のローダ8は、ワークWを保持するチャック81(
図5に示す)に加え、樹脂タブレットを複数保持するタブレット保持部82を備えている。図示した例では、待機位置Aから二番目に近い搬入位置Cにローダ8が移動し、搬入位置Cから臨むプレスモジュール5の金型6の上型と下型との間にローダ8が進入してワークWと樹脂タブレットとを金型6内に搬入している。金型6には、樹脂タブレットが収容されて図示しないプランジャで金型内に樹脂を注入するのに用いられるポット62が複数設けられている。ローダ8が保持する複数の樹脂タブレットは、ポット62上で保持が解除されてその内部に収容され加熱される。ローダ8と同様に、アンローダ9は、各々のプレスモジュール5の上部スペースと、アウトモジュール(10,11)の上部スペースに設けられた待機位置Fと、各々のプレスモジュール5に臨む搬入位置B,C,D,Eとの間をガイド7に沿って往復移動する。
【0029】
図3は、
図1に示された樹脂封止装置1の下部スペースの構成を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、プレスモジュール5の下部スペースには、金型6を型締めしたり型開きしたりするプレス機構15が配置されている。アウトモジュール(10,11)の下部スペースには、不要樹脂を回収するカルボックス16が配置されている。ディゲータ10により分離された不要樹脂は、カルボックス16内に落下する。樹脂封止装置1の動作を制御する制御ボックス17,18、樹脂封止装置1に電力を供給する電源ユニット19等は、樹脂封止装置1の下部スペースの空きスペースのいずれかに配置されている。
【0030】
前述したタブレット供給部4は、樹脂タブレットTを貯留するホッパ14とともに、インモジュール(3,4)の下部スペースに配置されている。タブレット供給部4は、例えば、ホッパ14に貯留された樹脂タブレットTをローダ8のタブレット保持部82(
図2に示す)と同じ配列に整列させ、整列させた樹脂タブレットをローダ8の待機位置A(
図2に示す)まで搬送し、ローダ8のタブレット保持部82に樹脂タブレットを引き渡す。このようにして、タブレット供給部4は、待機位置Aで待機中のローダ8に樹脂タブレットを供給する。
【0031】
タブレット供給部4は、リニアフィーダ41と、チャック42と、シャトル46と、ホルダ49と、を備えている。リニアフィーダ41は、ホッパ14から供給された樹脂タブレットTを一列に並べる。シャトル46には、ローダ8のタブレット保持部82と同じ配列の貫通孔が形成されている。チャック42は、リニアフィーダ41に並べられた樹脂タブレットTを把持してシャトル43の各々の貫通孔に装填する。
【0032】
シャトル46は、リニアフィーダ41とホルダ49との間でY軸方向に往復移動して樹脂タブレットTを搬送し、ホルダ49に樹脂タブレットTを引き渡す。ホルダ49は、インモジュール(3,4)の下部スペースと上部スペースとの間をZ軸方向に往復移動して樹脂タブレットTを搬送し、待機位置Aに待機中のローダ8(
図2に示す)に樹脂タブレットTを引き渡す。
【0033】
図4は、
図3に示されたタブレット供給部4の一例を示す斜視図である。図示した例では、タブレット供給部4が、シャトルガイド45と、プッシャ47と、ホルダガイド48と、吸気装置50と、を更に備えている。
【0034】
シャトルガイド45は、Y軸方向に延在し、シャトル46の移動を案内する。ホルダガイド48は、Z軸方向に延在し、ホルダ49の移動を案内する。シャトルガイド45及びホルダガイド48並びにそれらの近傍の領域は、タブレット供給部4によって樹脂タブレットが搬送される搬送領域の一例である。プッシャ47は、シャトル46とホルダ49とが隣接したとき、シャトル46の貫通孔に装填された樹脂タブレットを押し出してホルダ49の貫通孔に装填する。
【0035】
ホルダガイド48の延長上には、ホルダ49が通過できる開口部20が形成されている。ホルダ49は、開口部20を通じて上部スペースに進入し、待機位置Aで待機中のローダ8のタブレット保持部82(
図2に示す)の直下まで樹脂タブレットを保持したまま移動可能に構成されている。ホルダ49には、該ホルダ49が保持している樹脂タブレットをタブレット保持部82内に押し上げるプッシャが付設されている。
【0036】
開口部20は、インモジュール(3,4)の上部スペースと下部スペースとを連通させる。前述したとおり、上部スペースには、ローダ8の搬送領域の一例であるガイド7が配置されている。下部スペースには、タブレット供給部4の搬送領域の一例であるシャトルガイド45及びホルダガイド48が配置されている。
【0037】
インモジュール(3,4)の上部スペースと下部スペースとの間は、開口部20を除いて、天板24等で仕切られている。天板24は、おおむねXY面に沿って広がり、フレーム21等に固定されている。インモジュール(3,4)は、図示しない外装板に前後左右から囲繞されている。開口部20がシャッタ30で閉止されているとき、インモジュール(3,4)の下部スペースには、シャッタ30と天板24と外装板とで区画された閉鎖空間が形成される。
【0038】
本実施形態の樹脂封止装置1は、開口部20を開放可能かつ閉止可能なシャッタ30を備えていることが特徴の一つである。吸気装置50は、インモジュール(3,4)の下部スペースの空気を吸引してタブレット供給部4で発生した樹脂屑等の粉塵を集塵する。また、吸気装置50は、シャッタ30によりインモジュール(3,4)の下部スペースが閉鎖空間として形成されたとき、閉鎖空間内の気圧が上部スペースよりも低くなるように吸気できる。また、吸気装置50は、シャッタ30を開放してインモジュール(3,4)の下部スペースと上部スペースとが連通したときに、粉塵が上部スペースへ流出するのを防止する。
【0039】
シャッタ30は、開口部20を閉止可能な大きさの蓋体31と、蓋体31をX軸方向に沿って移動させるシリンダ等の駆動部32と、蓋体31にぶら下がるボックス状に形成された収容部33と、を備えている。蓋体31は、XY面に沿う平板状に形成されている。収容部33には、蓋体31の上面に開口して収容部33をインモジュール(3,4)の上部スペースに連通させる収容口34が形成されている。
【0040】
収容部33には、ローダ8に供給されたものの、使用せずに廃棄することになった樹脂タブレットが収容される。図示した例では、収容部33に収容された樹脂タブレットの量を検知するセンサが付設されている。収容部33内で樹脂タブレットが満杯になると、警告灯が点灯又は点滅したりディスプレイに表示する通知機能を設ける構成にしてもよい。図示した例では、収容部33を樹脂封止装置1の背面側に引き出せるように構成されている。満杯になった収容部33を樹脂封止装置1の背面側に引き出せば、収容部33内の樹脂タブレットを簡単に廃棄できる。
【0041】
図5は、
図4に示されたシャッタ30が開いた状態を模式的に示す正面図である。
図5に示すように、ホルダ49は、ローダ8の搬送領域に進入可能に構成されている。
図2に示された待機位置A(ホームポジション)は、
図5に示すように、タブレット保持部82がホルダ49の直上になる位置である。ローダ8がホームポジションで待機しているとき、ローダ8の搬送領域に進入したホルダ49は、タブレット保持部82に樹脂タブレットTを受け渡すことができる。
【0042】
樹脂タブレットTタブレット保持部82は、例えば金属製のブロックであり、樹脂タブレットTを収容可能なスロットが形成されている。このスロットの入口には、樹脂タブレットTが通過できる大きさの貫通孔が形成されたプレートが付設されている。ローダ8の搬送領域に進入したホルダ49は、前述したプッシャにより樹脂タブレットTをタブレット保持部82のスロット内に押し上げることができる。樹脂タブレットTがスロット内に収容された状態でプレートが前後にスライドすると、樹脂タブレットTの底面の一部がプレートに支持される。
【0043】
図6は、
図4に示されたシャッタ30が閉まった状態を模式的に示す正面図である。前述した制御ボックス17等を用いてシャッタ30の開閉を制御すれば、ホルダ49がローダ8の搬送領域に進入するとき、シャッタ30が開口部20を開放したり、ホルダ49がローダ8の搬送領域から退避したとき、シャッタ30が開口部20を閉止したりできる。
【0044】
図示した例では、収容口34が、待機位置Aに待機中のローダ8のタブレット保持部82の直下に開口している。収容口34を待機位置Aと該待機位置Aに最も近い搬入位置Bとを繋ぐローダ8の移動軌跡のいずれかの位置の直下に配置してもよい。このような位置に収容口34を配置すれば、ローダ8が待機位置Aに復帰したとき、又はローダ8が待機位置Aに復帰する途中において、廃棄する樹脂タブレットTを収容部33に落下させて回収することができる。
【0045】
本実施形態では、樹脂タブレットTの受け渡し動作を行わないときは、シャッタ30を閉じている状態で、収容部33とホルダ49とが上下方向に重なった位置に配置できるため、収容部33とホルダ49とを別個の位置に設ける必要がなく平面レイアウトをコンパクトにすることができる。ローダ8が樹脂タブレットTを捨てる位置と、ローダ8に樹脂タブレットを引き渡す位置とが同じ位置になるようにシャッタ30の収容部33を設けることで、樹脂タブレットTの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0046】
以上のように構成された本実施形態の樹脂封止装置1によれば、樹脂封止装置1の上部スペースと下部スペースとを連通させる開口部20にシャッタ30が設けられているため、下部スペースで発生した粉塵が舞い上がって開口部20を通じて上部スペースに拡散することを防ぐことができる。
【0047】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…樹脂封止装置、2…供給マガジン、3…ワーク供給部、4…樹脂供給部、5…プレスモジュール、6…金型、7…ガイド、8…ローダ、9…アンローダ、10…ディゲータ、11…ワーク収納部、12…収納マガジン、14…ホッパ、15…プレス機構、16…カルボックス、17,18…制御ボックス、19…電源ユニット、20…開口部、21,22,23…フレーム、24…天板、30…シャッタ、31…蓋体、32…駆動部、33…収容部、34…収容口、41…リニアフィーダ、42…チャック、45…シャトルガイド、46…シャトル、47…プッシャ、48…ホルダガイド、49…ホルダ、50…吸気装置、62…ポット、81…チャック、82…タブレット収容部、A,F…待機位置、B,C,D,E…搬入位置、T…樹脂タブレット、W,W´…ワーク。