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特開2022-67590放射性トリチウムが残留している処理水の処分方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067590
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】放射性トリチウムが残留している処理水の処分方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/26 20060101AFI20220425BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G21F9/26
G21F9/06 591
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020186164
(22)【出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】520436024
【氏名又は名称】山元 伊久雄
(71)【出願人】
【識別番号】520436035
【氏名又は名称】山元 走
(71)【出願人】
【識別番号】520436046
【氏名又は名称】山元 久幸
(72)【発明者】
【氏名】山元 伊久雄
(72)【発明者】
【氏名】山元 走
(72)【発明者】
【氏名】山元 久幸
(57)【要約】
【課題】放射性トリチウムの除去が困難な処理水は、風評被害を懸念して海洋への排出処分が漁業者を中心とした利害関係人の同意を得ることが出来ずに難航していて、その結果汚染水と処理水は増加の一途を辿っている。本発明は上記の課題を解決するための発明である。
【手段】処理水に塩を加えて無慮3,000メートルより深い海域の海水以上の塩分濃度に加工してから、海上より海溝に向けて施設した導水管に処理水を通水し乍ら導水管経由で外側の海水温に冷却同化させることによって、海溝域の海水よりも重たくなった処理水を海水の流れがない海溝の底地に留置させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性トリチウムが残留している処理水の処分の方法に於いて、海溝における海水の塩分濃度以上になるように、塩を加えた処理水を海上から海溝に向けて沿直に施設した導水管に通水させて、通水過程で導水管外側の海水で冷却される処理水は、排出口付近で海溝域の水温に同化されて重い処理水となって、海水の流れのない海溝の底地に広がることなく留置させることができる技術的思想の創作を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理水を海溝に留置する処分方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は処理水を水で薄めて1リットル当たり6万ベクレル以下にしてから海洋に拡散させる方法で排出処分していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
福島第一原子力発電所の事故発生による汚染水の流出で漁場が広く放射能被害に遭遇して海産物が汚染され漁業者は死活的な状況に追い込まれた。今もその影響は後を引いていて、風評被害がいまだ絶えることはない。更なる風評被害を惹起するような処理水を海洋に拡散させる排出処分は漁業者の賛同を得る事は困難である。よって処理水の処分は難航を極め、汚染水と処理水は増加の一途を辿っている。本発明は上記の課題の解決を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
文献から無慮3,000メートルより深い海域は水温が摂氏2~3度と安定していて塩分濃度は殆ど差がなく海水の流れが無いことなどが正確にわかっている。地球物理学者で海洋科学の研究で知られている小林和男氏が「深海底」の本の中で発表されている。
そこで処理水に無慮3,000メートルより深い海域の塩分濃度以上になるように塩を加えてから海上より海溝に向けて沿直に施設した導水管に処理水を通水させるその過程で導水管外側の海水で冷却される処理水は、排出口付近で海溝の水温に同化させることができる。この2つの作用によって海溝における海水以上に処理水を重くして海溝の底地に処理水を留置しておく処分方法である。本発明は上記の課題の解決を実現するための手段である。
【発明の効果】
【0005】
本発明を実行することによって、処理水を計画通りに海溝の限られた底地に留置することができる。この海溝域からの海産物は皆無なので風評被害の惹起は抑止出来て、処理水の処分は大きく前進することができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)処理水を従来通りの排出基準まで希釈する必要があるのかどうか、関係機関の調整を得る。
(ロ)処理水を無慮3,000メートルの塩分濃度以上になるよう塩を加える。
(ハ)海上から海溝に向けて沿直に導水管を施設する。
(ニ)施設し易く経済的な観点から導水管に薄い軟性体の材質を使用する場合は、施設時に於ける導水管の捻れを防止するために、先端に重りを兼ねたラッパ状の取水機能を持たせた排出口を装置して海水を取り入れ乍ら施設作業を進める。
(ホ)導水管の海上側には処理水を流し込むための受け口を装置する。
(ヘ)施設が完了したら加工済み(ロ)の処理水を受け口(ホ)に流し込む。
この時に処理水を高圧で流し込むと、排出口付近で反転流が発生して処理水の留置を阻害する要因になる恐れがあるので慎重な作業が必要である。