(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067603
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ダイカスト装置およびダイカスト方法
(51)【国際特許分類】
B22D 17/20 20060101AFI20220425BHJP
B22C 9/08 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B22D17/20 M
B22D17/20 Z
B22D17/20 F
B22C9/08 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019399
(22)【出願日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】202011127347.4
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521062332
【氏名又は名称】深▲せん▼領威科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN LEADWELL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】劉 相尚
(72)【発明者】
【氏名】潘 玲玲
(72)【発明者】
【氏名】劉 才生
(72)【発明者】
【氏名】程 徳飛
(72)【発明者】
【氏名】劉 卓銘
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093NA01
4E093NA03
4E093PA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造強度が確保されるダイカスト部品を迅速かつ正確に成形するダイカスト装置及び方法を提供する。
【解決手段】ダイカスト装置は射出機構を含み、射出機構は複数であり、それぞれが金型に接続され、各射出機構には、キャビティに溶湯を注入する射出通路が設けられ、キャビティの少なくとも二つの互いに異なる位置に射出通路が連通されている。これにより、キャビティの異なる位置から射出通路までの距離が減少する。よって、溶湯の流通抵抗や圧力損失が低減し、キャビティ全体に溶湯が充填される総時間を短縮でき、ダイカスト部品を迅速かつ正確に成形することができる。そして、溶湯が固化して体積が収縮することによるキャビティの周縁部分に新たな充填空間が形成されるときに、異なる射出通路における溶湯が新たな充填空間のどの位置にも迅速に充填されることで「収縮補償」が実現され、ダイカスト部品の構造強度が確保される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯を収容するキャビティが設けられた金型と連携するダイカスト装置であって、
前記ダイカスト装置は射出機構を含み、前記射出機構は複数であり、それぞれが前記金型に接続され、各前記射出機構には、前記キャビティに溶湯を注入する射出通路が設けられ、前記キャビティの少なくとも二つの互いに異なる位置に前記射出通路が連通されている
ことを特徴とするダイカスト装置。
【請求項2】
前記キャビティは、その一部の境界が金型の左の内壁面で画定され、前記射出機構は左の射出機構を含み、前記左の射出機構の射出通路が前記左の内壁面を貫通し、前記左の射出機構は一つ以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト装置。
【請求項3】
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の右の内壁面で画定され、前記左の内壁面と前記右の内壁面が第1方向に沿って間隔を置いて設けられ、前記射出機構は、さらに右の射出機構を含み、前記右の射出機構の射出通路が前記右の内壁面を貫通し、前記右の射出機構は一つ以上である
ことを特徴とする請求項2に記載のダイカスト装置。
【請求項4】
前記左の射出機構と前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に平行しており、あるいは前記左の射出機構及び前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に対し所定の角度をなす
ことを特徴とする請求項3に記載のダイカスト装置。
【請求項5】
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の前内壁面と後内壁面とで画定され、前記前内壁面と前記後内壁面は、第2方向に間隔を置いて配置され、前記第2方向は前記第1方向に対し垂直であり、前記前内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記後内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、前部射出機構と後部射出機構とをさらに含み、前記前部射出機構の射出通路は、前記前内壁面を貫通し、前記後部射出機構の射出通路は、前記後内壁面を貫通する
ことを特徴とする請求項3に記載のダイカスト装置。
【請求項6】
前記前部射出機構と前記後部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第2方向に平行或いは前記第2方向と交差し、前記前部射出機構と前記後部射出機構は、いずれも一つ以上である
ことを特徴とする請求項5に記載のダイカスト装置。
【請求項7】
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の上内壁面と下内壁面で画定され、前記上内壁面と前記下内壁面は、第3方向に間隔を置いて配置され、前記第3方向は前記第1方向と前記第2方向と共に垂直であり、前記上内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記後内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、上部射出機構と下部射出機構とをさらに含み、前記上部射出機構の射出通路は、前記上内壁面を貫通し、前記下部射出機構の射出通路は、前記下内壁面を貫通する
ことを特徴とする請求項5に記載のダイカスト装置。
【請求項8】
前記上部射出機構と前記下部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第3方向に平行或いは前記第3方向と交差し、前記上部射出機構と前記下部射出機構は、いずれも一つ以上である
ことを特徴とする請求項7に記載のダイカスト装置。
【請求項9】
キャビティが設けられた金型を用意するステップと、
複数の射出機構を用意し、各前記射出機構に前記キャビティと連通する射出通路が設けられ、少なくとも2つの前記射出機構の前記射出通路から前記キャビティの異なる位置に溶湯を注入するステップと、
前記キャビティの中の溶湯を冷却して成形するステップと、を備える
ことを特徴とするダイカスト方法。
【請求項10】
全ての前記射出機構の前記射出通路から同時に前記キャビティに溶湯を注入し、或いは全ての前記射出機構の前記射出通路から時間順に前記キャビティに溶湯を注入する
ことを特徴とする請求項9に記載のダイカスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト技術分野に関し、特にダイカスト装置およびダイカスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト装置は、自動車や通信機器の製造分野において広く応用されている。ダイカスト装置は、金型と連携する射出機構を含む。射出機構は、金型のキャビティに金属溶湯を注入し、金属溶湯を冷却固化させて所望のダイカスト部品は成形される。従来のダイカスト装置において、長さが大きい又は厚みが小さいダイカスト部品を成形する場合に、成形後のダイカスト部品に構造的な欠けが形成され、強度が不十分になり、正確に成形できない態様になる可能性がある。また、大型で複雑な構造を持つダイカスト部品は成形される場合に、同じく、ダイカスト部品は構造的に強度が不十分になり、正確に成形できない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決しようとする技術課題の一つは、ダイカスト部品が迅速で正確に成形されると共に十分な構造強度を具備することを確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のダイカスト装置は、溶湯を収容するキャビティが設けられた金型と連携するダイカスト装置であって、射出機構を含み、前記射出機構は複数であり、それぞれが前記金型に接続され、各前記射出機構には、前記キャビティに溶湯を注入する射出通路が設けられ、前記キャビティの少なくとも二つの互いに異なる位置に前記射出通路が連通されている。
【0005】
一実施例において、前記キャビティは、その一部の境界が金型の左の内壁面で画定され、前記射出機構は左の射出機構を含み、前記左の射出機構の射出通路が前記左の内壁面を貫通し、前記左の射出機構は一つ以上である。
【0006】
一実施例において、前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の右の内壁面で画定され、前記左の内壁面と前記右の内壁面が第1方向に沿って間隔を置いて設けられ、前記射出機構は、さらに右の射出機構を含み、前記右の射出機構の射出通路が前記右の内壁面を貫通し、前記右の射出機構は一つ以上である。
【0007】
一実施例において、前記左の射出機構と前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に平行しており、あるいは前記左の射出機構及び前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に対し所定の角度をなす。
【0008】
一実施例において、前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の前内壁面と後内壁面とで画定され、前記前内壁面と前記後内壁面は、第2方向に間隔を置いて配置され、前記第2方向は前記第1方向に対し垂直であり、前記前内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記後内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、前部射出機構と後部射出機構とをさらに含み、前記前部射出機構の射出通路は、前記前内壁面を貫通し、前記後部射出機構の射出通路は、前記後内壁面を貫通する。
【0009】
一実施例において、前記前部射出機構と前記後部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第2方向に平行或いは前記第2方向と交差し、前記前部射出機構と前記後部射出機構いずれも一つ以上である。
【0010】
一実施例において、前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の上内壁面と下内壁面で画定され、前記上内壁面と前記下内壁面は、第3方向に間隔を置いて配置され、前記第3方向は前記第1方向と前記第2方向と共に垂直であり、前記上内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記下内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、上部射出機構と下部射出機構とをさらに含み、前記上部射出機構の射出通路は、前記上内壁面を貫通し、前記下部射出機構の射出通路は、前記下内壁面を貫通する。
【0011】
一実施例において、前記上部射出機構と前記下部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第3方向に平行或いは前記第3方向と交差し、前記上部射出機構と前記下部射出機構いずれも一つ以上である。
【0012】
本発明のダイカスト方法は、キャビティが設けられた金型を用意するステップと、複数の射出機構を用意し、各前記射出機構に前記キャビティと連通する射出通路が設けられ、少なくとも2つの前記射出機構の前記射出通路から前記キャビティの異なる位置に溶湯を注入するステップと、前記キャビティの中の溶湯を冷却して成形するステップと、を備える。
【0013】
一実施例において、全ての前記射出機構の前記射出通路から同時に前記キャビティに溶湯を注入し、或いは全ての前記射出機構の前記射出通路が時間順に前記キャビティに溶湯を注入する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施例による技術効果の一つは、キャビティの少なくとも異なる二つの位置に射出通路が連通されているので、キャビティの異なる位置から射出通路までの距離が減少し、キャビティのいかなる位置も異なる射出通路に対しすべて近傍端部分になるようにキャビティの遠方端部分が取り除かれる。これにより、溶湯の流通路が減少して溶湯の流通抵抗や圧力損失が低減するので、キャビティ全体に溶湯が充填される総時間を短縮することができ、ダイカスト部品の成形の効率が向上する。キャビティの各部分が溶湯で充填されるので、固化後のダイカスト部品が構造的に完全となるよう、正確に成形できる。そして、溶湯が固化して体積が収縮することによりキャビティの周縁部分に新たな充填空間が形成される場合、当該新たな充填空間のいかなる位置も異なる射出通路との距離が短くなるので、当該新たな充填空間のいかなる位置に対しても溶湯が到達する流通路が近くなり、溶湯の固化により生成された粘稠状又は固体状の金属塊であってその後の溶湯の流れに対する障害も解消され、異なる射出通路における溶湯が新たな充填空間のいかなる位置にも迅速に充填されるようになり、「収縮補償」が実現される。大量の収縮孔の存在によるダイカストの密度の低下が防止されて、最終的にダイカスト部品の構造強度が確保される。また、射出機構の数が多いので、各射出機構における溶湯の一回の注湯量の合計がキャビティの容積よりも大きいので、キャビティ全体が充填されるのに十分な量の溶融液を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は一実施例に係るダイカスト装置の構造の斜視図である。
【
図2】
図2は他の角度で示された
図1に示すダイカスト装置の構造の斜視図である。
【
図3】
図3は
図1に示すダイカスト装置の横方向の断面構造の斜視図である。
【
図4】
図4は
図1に示すダイカスト装置の縦方向の断面構造の斜視図である。
【
図5】
図5は一実施例に係るダイカスト方法の工程ルーチンのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明をよく理解するため、以下、図面を参照しながら、本発明を全面的に説明する。図面には、本発明の好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施形態の提供は、本開示をより明確に且つ完全に理解することを目的とする。
【0017】
なお、ある部品が別の部品に「固定されている」との記載は、別の部品に直接にあってもよく、または間に置かれた部品が存在してもよいことを理解されたい。ある部品が別の部品に「接続されている」との記載は、別の部品に直接にあってもよく、または間に置かれた部品が存在してもよい。本明細書で使用される「内」、「外」、「左」、「右」という用語および類似の表現は、単に例示を目的とし、唯一の実施形態を示すものではない。
【0018】
図1、
図3及び
図4を参照する。本発明の一実施例に係るダイカスト装置10は、金型100と連携するものである。ダイカスト装置10は、射出機構200を含み、金型100内にキャビティ110が設けられ、射出機構200は複数である。射出機構200は、金型100に接続され、各射出機構200には、キャビティ110に溶湯を注入するための射出通路241が設けられている。該溶湯は金属溶湯である。キャビティ110の少なくとも2つの異なる位置には、異なる射出機構200の射出通路241が連通されている。もちろん、キャビティ110の少なくとも2つの異なる位置には、同一射出機構の射出通路241が連通されてもよい。
【0019】
具体的には、金型100には、さらに注湯通路120が設けられている。注湯通路120は複数である。注湯通路120は外部とキャビティ110を連通する。異なる注湯通路120はキャビティ110の異なる位置に連通する。射出機構200は、ノズル240をさらに備え、射出通路241はノズル240に設けられ、ノズル240は、注湯通路120と対応している。例えば、ノズル240は注湯通路120内に直接挿入されている。溶湯が射出通路241に注入され、射出機構200の動力部分が溶湯にある程度の圧力を加えると、射出通路241における溶湯がキャビティ110に注入される。
【0020】
1つの射出機構200を用いてキャビティ110のある特定の位置でキャビティ110に溶湯を注入すると、長さが大きい又は厚みが小さいダイカスト部品については、必ずキャビティ110の長さが大きくなって内部空間が狭くなり、狭いキャビティ110内で溶湯の流通抵抗が大きくなり、キャビティ110を流れる溶湯の圧力損失も大きくなる。したがって、射出機構200に近いキャビティ110の近傍端部分に対しては、射出機構200における溶湯がキャビティ110の近傍端部分に完全に充填されることができる。しかし、射出機構200から離れたキャビティ110の遠方端部分に対しては、該遠方端部分に到達する溶湯の流通路が長くて圧力損失が大きいので、溶湯が該遠方端部分に迅速に到達できない。これに加えて、近傍端部分の溶湯が既に固化し始めることにより、さらにキャビティ110の遠方端部分に流れる溶湯に対する障害となり、キャビティ110の遠方端部分が溶湯で満たされることができない。最終的には、成形後のダイカスト部品に構造として欠けが生じるなど、ダイカスト部品を正確に成形できなくなる。つまり、ダイカスト部品が廃棄されることになる。
【0021】
射出機構200の圧力が十分に大きく、キャビティ110の全体に溶湯がぎりぎり充填されることができても、熱膨張及び冷収縮の原理によって、溶湯が冷却固化の過程において体積が収縮する。そして、キャビティ110の近傍端部分及び遠方端部分では、体積が収縮し、溶湯で充填されないので、新たな充填空間が生じる。このとき、キャビティ110の近傍端部分の新たな充填空間には、溶湯が注入されて「収縮補償」を実現することができるはずが、溶湯が固化して粘調状又は固体状の金属塊を形成するので、この金属塊は、溶湯がキャビティ110の遠方端部分に流れる流動空間をさらに圧縮し、この流動空間がさらに狭くなる。このように、流通抵抗及び圧力損失がさらに増大するので、溶湯をキャビティ110の遠方端部分の新たな充填空間に注入して「収縮補償」を実現することができなくなる。新たな充填空間に溶湯を注入して「収縮補償」を実現できないため、ダイカスト部品は、薄肉部が緻密ではなく、大量の収縮孔が形成される。これにより、成形後のダイカスト部品は構造強度が不十分となり、製品の性能が技術の規格を満たさない。また、溶湯がキャビティ110の遠方端部分に流れる流通路が長くなるため、キャビティ110全体に溶湯が充填される全時間が長くなる。その結果、ダイカスト部品の成形の効率が低下し、短時間内で迅速にダイカスト部品を成形することができない。
【0022】
大型で構造が複雑なダイカスト部品に対しては、必ずキャビティ110の総容積が大きくなり、キャビティ110の構造がより複雑になる。一つの射出機構200を用いてキャビティ110のある特定の位置でキャビティ110に溶湯を注入する場合には、一つの射出機構200の射出通路241の容積が限界があるので、射出機構200による一回の溶湯の注入量で容積の大きいキャビティ110を充填することが困難である。最終的には、成形後のダイカスト部品に構造として欠けが生じるなど、ダイカスト部品を正確に成形できない。つまり、ダイカスト部品が廃棄されることになる。射出機構200による一回の溶湯の注湯量が十分に大きくて、容積の大きいキャビティ110を充填することができても、上述の長さが大きくて厚さが小さいダイカスト部品の成形を参照するとわかるように、同様に溶湯は冷却固化の過程において体積が収縮し、キャビティ110の近傍端部分と遠方端部分とに新たな充填空間を生じる。溶湯が固化して粘稠状又は固体状の金属塊が形成され、この金属塊により、溶湯がキャビティ110の遠方端部分に流れる流動空間がさらに圧縮される。この流動空間がさらに狭くなり、流通抵抗と圧力損失がさらに増大し、溶湯がキャビティ110の遠方端部分の新たな充填空間に注入することができなくなり、「収縮補償」を実現できないので、ダイカスト部品の遠方端部分が緻密ではなく、大量の収縮孔が形成される。最終的には、成型後のダイカスト部品が十分な構造強度を有しない。また、溶湯がキャビティ110の遠方端部分に流れる流通路が長くなり、最終的にダイカスト部品の成形の効率に影響を及ぼす。
【0023】
上記実施例のダイカスト装置10については、キャビティ110の少なくとも2つの異なる位置に射出通路241が連通しているので、キャビティ110のいかなる位置からも射出通路241までの距離が短くなる。これにより、キャビティ110のいかなる位置を起点としても、異なる位置の射出通路241に対して近傍端部分が形成され、キャビティ110の遠方端部分が取り除かれる。長さが大きい又は厚みが小さいダイカスト部品に対しては、溶湯の流通路が減少し、溶湯の流通抵抗や圧力損失が減少し、キャビティ110全体に溶湯が充填される総時間が減少し、ダイカスト部品の成形効率が向上する。キャビティ110の各部分が溶湯で充填されることができるので、固化後のダイカスト構造が完全で正確な成形になる。同時に、溶湯が固化して体積が収縮することで、キャビティ110の周縁部分に新たな充填空間が形成される場合、この新たな充填空間の異なる位置から異なる射出通路241までの距離が短くなるので、溶湯がこの新たな充填空間の異なる位置に到達する流通路が減少し、粘稠状又は固体状の金属塊が溶湯の流れに対する障害になることも解消され、異なる射出通路241の中の溶湯が新たな充填空間の異なる位置に迅速に充填されることによって、「収縮補償」を実現してダイカスト部品に収縮孔が生じることを防止し、ダイカスト部品の緻密性が向上する。最終的には、ダイカスト部品の構造強度が確保される。
【0024】
大型で構造が複雑なダイカスト部品に対しては、射出機構200の数が多いので、各射出機構200による一回の溶湯の注湯量の合計がキャビティ110の容積よりも大きくなり、キャビティ110全体に溶湯が満たされことが確保され、固化後のダイカスト部品の構造が完全となる正確な成形ができる。複数の射出機構200から同時にキャビティ110に溶湯を注入する場合に、キャビティ110に溶湯を充填する総時間を短縮することができ、ダイカスト部品の成形効率が向上する。同様に、溶湯の体積が収縮してキャビティ110の周縁部分に新たな充填空間が生じる場合に、この新たな充填空間のいかなる位置も異なる射出通路241との距離が短いので、異なる射出通路241における溶湯が新たな充填空間の異なる位置を迅速に満たして「収縮補償」を実現することが確保される。最終的には、ダイカスト部品の構造強度が確保される。また、大型で複雑な構造のダイカスト部品が一回で成形されることによって、製品の各部品を異なる機器で生産して該部品を異なる工具で組み合わせて製品にすることが回避されるので、生産効率が向上し、生産機器数、人件費、生産コスト及び工場の敷地面積も低減する。
【0025】
図2、
図3および
図4を参照する。一実施例において、キャビティ110は、その一部の境界が左の内壁面111および右の内壁面112で画定される。左の内壁面111および右の内壁面112は平面または曲面であってもよい。左の内壁面111と右の内壁面112は、両者が第1方向(X軸方向)に間隔を置いて設けられている。例えば、第1方向は水平で横向きである。注湯通路120は、左注湯通路121と右注湯通路122とを備え、左注湯通路121は外界と連通して左の内壁面111を貫通してキャビティ110に連通し、右注湯通路122は外界と連通して右の内壁面112を貫通してキャビティ110に連通する。射出機構200は、左の射出機構211と右の射出機構212を含み、左の射出機構211のノズル240は、左注湯通路121に対応している。左の射出機構211と左注湯通路121とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。右の射出機構212のノズル240は右注湯通路122に対応している。右の射出機構212と右注湯通路122とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。
【0026】
左の内壁面111と右の内壁面112とは、第1方向に沿って間隔を置いて配置される。この第1方向においては、キャビティ110の左部分は左の射出機構211に近接して配置されるので、キャビティ110の左部分が左の射出機構211に対して近傍端部分となる。キャビティ110の右部分は右の射出機構212に近接して配置されるので、キャビティ110の右部分が右の射出機構212に対して近傍端部分となる。このように、キャビティ110は第1方向において遠方端部分が取り除かれ、溶湯が短時間で第1方向に沿ってキャビティ110全体に充填され、ダイカスト部品が迅速かつ正確に成形される。また、溶湯が固化して体積が収縮することによって、キャビティ110の周縁部分に新たな充填空間が形成されると、新たな充填空間の左部分は左の射出機構211に近く、新たな充填空間の右部分は右の射出機構212に近くなるので、左の射出機構211の溶湯が新たな充填空間の左部分に迅速に充填され、右の射出機構212の溶湯が新たな充填空間の右部分に迅速に充填される。最終的には、新たな充填空間の異なる位置に溶湯が全て充填され「収縮補償」が実現される。これにより、ダイカスト部品の構造的強度が確保される。
【0027】
左の射出機構211及び右の射出機構212は複数である場合には、キャビティ110が溶湯で満たされる時間がより早くなり、新たな充填空間が溶湯で満たされる時間も早くなるので、ダイカスト部品の成形効率をより高めることができる。前部射出機構221及び後部射出機構222はいずれも射出通路241の中心軸が第1方向に平行であってもよい。勿論、前部射出機構221及び後部射出機構222は、いずれも射出通路241の中心軸が第1方向と所定の角度をなしてもよい。すなわち、該中心軸は第1方向と交差することによって、第1方向に対して傾斜して配置される。したがって、溶湯の噴射方向を変更することによって、キャビティ110及び新たな充填空間が溶湯で満たされる時間をある程度改善することができる。
【0028】
一実施例において、キャビティ110は、さらにその一部の境界が前内壁面113及び後内壁面114で画定される。前内壁面113及び後内壁面114は平面又は曲面であってもよい。前内壁面113及び後内壁面114は、第2方向(Y軸方向)に沿って間隔をあけて配置されている。例えば、第2方向が水平で縦向であるので、第1方向と直交する。前内壁面113は、左の内壁面111および右の内壁面112の一端(前端)間に接続されている。後内壁面114は、左の内壁面111および右の内壁面112の他端(後端)間に接続されている。注湯通路120は、前注湯通路と後注湯通路とをさらに含み、前注湯通路は外部と連通し、前内壁面113を貫通してキャビティ110と連通する。後注湯通路は外部と連通し、後内壁面114を貫通してキャビティ110と連通する。射出機構200は、さらに、前部射出機構221と後部射出機構222を含む。前部射出機構221のノズル240は、前注湯通路と対応している。前部射出機構221と前注湯通路とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。後部射出機構222のノズル240は後注湯通路に対応している。後部射出機構222と後注湯通路とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。
【0029】
前内壁面113および後内壁面114が第2方向に間隔を置いて配置されていることによって、第2方向においては、キャビティ110の前部分が前部射出機構221に近接して配置されるので、キャビティ110の前部分が前部射出機構221に対して近傍端部分となり、キャビティ110の後部分が後部射出機構222に近接して配置されるので、キャビティ110の後部分が後部射出機構222に対して近傍端部分となる。このように、キャビティ110の遠方端部分が第2方向に取り除かれ、キャビティ110全体に溶湯が短時間で第2方向に充填され、ダイカスト部品が迅速かつ正確に成形される。また、溶湯が固化して体積が収縮することによって、キャビティ110の周縁部分に新たな充填空間が形成されると、新たな充填空間の前部分が前部射出機構221に近く、新たな充填空間の後部分は後部射出機構222に近くなる。これにより、前部射出機構221の溶湯が新たな充填空間の前部分に迅速に充填し、後部射出機構222の溶湯が新たな充填空間の後部分に迅速に充填する。最終的には、新たな充填空間の異なる位置に溶湯が充填して「収縮補償」が実現され、ダイカスト部品の構造強度が確保される。
【0030】
前部射出機構221及び後部射出機構222は複数である場合には、キャビティ110が溶湯で満たされる時間がより早くなり、新たな充填空間が溶湯で満たされる時間も早くなるので、ダイカスト部品の成形効率をより高めることができる。前部射出機構221及び後部射出機構222は、いずれも射出通路241の中心軸が第2方向に平行であってもよい。勿論、前部射出機構221及び後部射出機構222は、いずれも射出通路241の中心軸が第2方向と所定の角度をなしてもよい。すなわち、該中心軸は第2方向と交差することによって、第2方向に対して傾斜して配置される。したがって、溶湯の噴射方向を変更することによって、キャビティ110及び新たな充填空間が溶湯で満たされる時間をある程度改善することができる。
【0031】
一実施例において、キャビティ110は、さらにその一部の境界が上内壁面115及び下内壁面116で画定される。上内壁面115及び下内壁面116は平面又は曲面であってもよい。上内壁面115及び下内壁面116は、両者が第3方向(Z軸方向)に沿って間隔をあけて配置されている。上内壁面115は、左の内壁面111および右の内壁面112の一端(前端)間に接続されている。下内壁面116は、前記左の内壁面111および前記右の内壁面112の他端(後端)間に接続されている。例えば、第3方向が縦方向であるので、第1方向、第2方向と直交する。この時、第1方向、第2方向、第3方向が共に空間直交座標系の3つの座標軸の延在方向を構成する。注湯通路120は、上注湯通路と下注湯通路とをさらに含み、上注湯通路は外部と連通し、上内壁面115を貫通してキャビティ110と連通する。下注湯通路は外部と連通し、下内壁面116を貫通してキャビティ110と連通する。射出機構200は、さらに、上部射出機構231と下部射出機構232を含む。上部射出機構231のノズル240は、上注湯通路と対応している。上部射出機構231と上注湯通路とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。下部射出機構232のノズル240は下注湯通路に対応している。下部射出機構232と下注湯通路とは数量が等しく、両者が一対一の対応関係で形成される。
【0032】
上内壁面115および下内壁面116が第3方向に間隔を置いて配置されていることによって、第3方向においては、キャビティ110の上部分が上部射出機構231に近接して配置されるので、キャビティ110の上部分が上部射出機構231に対して近傍端部分となり、キャビティ110の下部分が下部射出機構232に近接して配置されるので、キャビティ110の下部分が下部射出機構232に対して近傍端部分となる。このように、キャビティ110の遠方端部分が第3方向において取り除かれ、キャビティ110全体に溶湯が短時間で第3方向に充填され、ダイカスト部品が迅速かつ正確に成形される。また、溶湯が固化して体積が収縮することによって、キャビティ110の周縁部分に新たな充填空間が形成されると、新たな充填空間の前部分が上部射出機構231に近くなり、新たな充填空間の下部分は下部射出機構232に近くなる。これにより、上部射出機構231の溶湯が新たな充填空間の前部分に迅速に充填され、下部射出機構232の溶湯が新たな充填空間の後部分に迅速に充填される。最終的には、新たな充填空間の異なる位置に溶湯が充填されて「収縮補償」が実現され、ダイカスト部品の構造強度が確保される。
【0033】
上部射出機構231及び下部射出機構232は複数である場合には、キャビティ110が溶湯で満たされる時間がより早くなり、新充填空間が溶湯で満たされる時間も早くなるので、ダイカスト部品の成形効率をより高めることができる。前部射出機構221及び後部射出機構222は、いずれも射出通路241の中心軸が第3方向に平行であってもよい。勿論、前部射出機構221及び後部射出機構222は、いずれも射出通路241の中心軸が第3方向と所定の角度をなしてもよい。すなわち、該中心軸は第3方向と交差することによって、第3方向に対して傾斜して配置される。したがって、溶湯の噴射方向を変更することによって、キャビティ110及び新たな充填空間が溶湯で満たされる時間をある程度で改善することができる。
【0034】
従って、射出機構200は、第1方向、第2方向及び第3方向からキャビティ110に溶湯を注入することができるので、キャビティ110及び新たな充填空間が溶湯で満たされる時間を減少させ、ダイカスト部品が迅速かつ正確に成形されて十分な構造的強度を具備することを確保する。
【0035】
図3、
図4及び
図5を参照する。本発明は、ダイカスト方法を提供し、このダイカスト方法は、上述ダイカスト装置10及び金型100で実現される。このダイカスト法は、主に以下のステップを含む。
【0036】
S310:キャビティ110が設けられた金型100を用意する。金型100は、固定金型と可動金型とを含む。固定金型と可動金型の両者を組み合わせてキャビティ110を形成する。
【0037】
S320:複数の射出機構200を用意し、各射出機構200にキャビティ110と連通する射出通路241を設け、少なくとも2つの射出機構200の射出通路241からキャビティ110の異なる位置にキャビティ110に溶湯を注入する。空間直交座標系の3つの座標軸を基準とし、射出通路241は、第1方向(X軸方向)に沿ってキャビティ110の異なる位置で溶湯を注入してもよく、第2方向(Y軸方向)及び/又は第3方向(Z軸方向)に沿ってキャビティ110の異なる位置に溶湯を注入してもよい。これにより、キャビティ110及び新たな充填空間が溶湯で満たされる時間が短縮され、ダイカスト部品が迅速かつ正確に成形されて十分な構造強度を具備することを確保できる。
【0038】
S330:キャビティ110の中の溶湯を冷却して成形する。溶湯は、炉とともに自然に冷却されてもよく、水冷や油冷によって冷却されてもよい。
一実施例において、全ての射出機構200の射出通路241が同時にキャビティ110に溶湯を注入する。もちろん、全ての射出機構200の射出通路241が時間順にキャビティ110に溶湯を注入してもよい。
【0039】
上記実施態様は、本発明のいくつかの実施態様を示したに過ぎず、その説明は、より具体的かつ詳細になされたが、特許請求の範囲を制限するものと理解するべきではない。なお、当業者であれば、本発明の思想を逸脱することなく、各種の変更、改良等が可能であり、それらも本発明の範囲内に属することは言うまでもない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯を収容するキャビティが設けられた金型と連携するダイカスト装置であって、
前記ダイカスト装置は射出機構を含み、前記射出機構は複数であり、それぞれが前記金型に接続され、各前記射出機構には、前記キャビティに溶湯を注入する射出通路が設けられ、前記キャビティの少なくとも二つの互いに異なる位置に前記射出通路が連通され、
前記キャビティは、その一部の境界が金型の左の内壁面で画定され、前記射出機構は左の射出機構を含み、前記左の射出機構の射出通路が前記左の内壁面を貫通し、前記左の射出機構は一つ以上であり、
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の右の内壁面で画定され、前記左の内壁面と前記右の内壁面が第1方向に沿って間隔を置いて設けられ、前記射出機構は、さらに右の射出機構を含み、前記右の射出機構の射出通路が前記右の内壁面を貫通し、前記右の射出機構は一つ以上である
ことを特徴とするダイカスト装置。
【請求項2】
前記左の射出機構と前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に平行しており、あるいは前記左の射出機構及び前記右の射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第1方向に対し所定の角度をなす
ことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト装置。
【請求項3】
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の前内壁面と後内壁面とで画定され、前記前内壁面と前記後内壁面は、第2方向に間隔を置いて配置され、前記第2方向は前記第1方向に対し垂直であり、前記前内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記後内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、前部射出機構と後部射出機構とをさらに含み、前記前部射出機構の射出通路は、前記前内壁面を貫通し、前記後部射出機構の射出通路は、前記後内壁面を貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト装置。
【請求項4】
前記前部射出機構と前記後部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第2方向に平行或いは前記第2方向と交差し、前記前部射出機構と前記後部射出機構いずれも一つ以上である
ことを特徴とする請求項3に記載のダイカスト装置。
【請求項5】
前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の上内壁面と下内壁面で画定され、前記上内壁面と前記下内壁面は、第3方向に間隔を置いて配置され、前記第3方向は前記第1方向と前記第2方向と共に垂直であり、前記上内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の何れか一方の端部の間に接続され、前記後内壁面は前記左の内壁面と前記右の内壁面の他方の端部の間に接続され、前記射出機構は、上部射出機構と下部射出機構とをさらに含み、前記上部射出機構の射出通路は、前記上内壁面を貫通し、前記下部射出機構の射出通路は、前記下内壁面を貫通する
ことを特徴とする請求項3に記載のダイカスト装置。
【請求項6】
前記上部射出機構と前記下部射出機構は、いずれも射出通路の中心軸が前記第3方向に平行或いは前記第3方向と交差し、前記上部射出機構と前記下部射出機構は、いずれも一つ以上である
ことを特徴とする請求項5に記載のダイカスト装置。
【請求項7】
キャビティが設けられた金型を用意するステップと、
複数の射出機構を用意し、各前記射出機構に前記キャビティと連通する射出通路が設けられ、少なくとも2つの前記射出機構の前記射出通路から前記キャビティの異なる位置に溶湯を注入するステップであって、前記キャビティは、その一部の境界が金型の左の内壁面で画定され、前記射出機構は左の射出機構を含み、前記左の射出機構の射出通路が前記左の内壁面を貫通し、前記左の射出機構は一つ以上であり、前記キャビティは、さらにその一部の境界が金型の右の内壁面で画定され、前記左の内壁面と前記右の内壁面が第1方向に沿って間隔を置いて設けられ、前記射出機構は、さらに右の射出機構を含み、前記右の射出機構の射出通路が前記右の内壁面を貫通し、前記右の射出機構は一つ以上であると、
前記キャビティの中の溶湯を冷却して成形するステップと、を備える
ことを特徴とするダイカスト方法。
【請求項8】
全ての前記射出機構の前記射出通路から同時に前記キャビティに溶湯を注入し、或いは全ての前記射出機構の前記射出通路から時間順に前記キャビティに溶湯を注入する
ことを特徴とする請求項7に記載のダイカスト方法。