(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067616
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】位置指示器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220425BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20220425BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220425BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20220425BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/03 400F
G06F3/03 400A
G06F3/044 A
G06F3/046 A
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105774
(22)【出願日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】63/094,288
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】井出 信孝
(72)【発明者】
【氏名】矢野 幸治
(72)【発明者】
【氏名】宝園 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 慕慈
(72)【発明者】
【氏名】坪田 直邦
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC19
5E555CA14
5E555CB10
5E555CB45
5E555CB59
5E555DA21
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】実際の筆記入力時の状況に応じた筆記跡又は使用者の指定した任意の状況における筆記跡を表示することができ、あるいは、筆記入力時の感覚を、使用者にフィードバックすることができる位置指示器を提供する。
【解決手段】位置検出センサを有する位置検出装置と共に使用される位置指示器である。位置検出センサにおける位置検出のための入力面に接触する芯体と、位置検出センサに対して位置検出用信号を送出する位置検出用信号送信部を有する第1の機能モジュールと、芯体の特性及び/又は前記入力面の特性に応じた特性選定用情報を生成し、生成した特性選定用情報を外部に送信する第1の機能部、及び/又は、位置指示器を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される特性選定用情報に応じた刺激を発生する第2の機能部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出センサを有する位置検出装置と共に使用される位置指示器であって、
前記位置検出センサにおける位置検出のための入力面に接触する芯体と、前記位置検出センサに対して位置検出用信号を送出する位置検出用信号送信部を有する第1の機能モジュールと、
前記芯体の特性及び/又は前記入力面の特性に応じた特性選定用情報を生成し、生成した前記特性選定用情報を外部に送信する第1の機能部、及び/又は、前記位置指示器を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される前記特性選定用情報に応じた刺激を発生する第2の機能部、を有する第2の機能モジュールと、
を備えることを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
前記刺激は、前記芯体が前記入力面に接触して入力操作がなされるときに前記位置指示器に生じる状態変位に応じた刺激である
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記第1の機能モジュールと前記第2の機能モジュールとは一体として構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項4】
前記第1の機能モジュールと前記第2の機能モジュールとは別体として構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項5】
前記第1の機能モジュールと前記第2の機能モジュールとは、棒状の筐体の軸心方向に配置されていると共に、
前記第1の機能モジュールの前記芯体の先端部は、前記筐体の軸心方向の一端側の開口から外部に突出する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記芯体を除く前記第1の機能モジュールと、前記第2の機能モジュールとは、棒状の筐体の軸心方向に埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項7】
第2の機能モジュールは、棒状の筐体に埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記第2の機能モジュールは、前記筐体の軸心方向の一端側に、前記筐体に対して着脱可能に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記第1の機能モジュールは、前記芯体の先端部が棒状の筐体の軸心方向の一端側の開口から外部に突出するように配設され、
前記第2の機能モジュールは、前記筐体の軸心方向の前記一端側及び前記一端側とは反対側の他端側を覆うように被せられて装着可能であると共に、前記筐体の軸心方向の前記一方側及び他方側に対して着脱可能の構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項10】
前記第2の機能モジュールの動作状態をオン、オフする起動スイッチ手段が設けられており、
前記起動スイッチ手段は、前記第2の機能モジュールを前記筐体の軸心方向の他方側を覆うように被せられて装着されたときにオンとされる
ことを特徴とする請求項9に記載の位置指示器。
【請求項11】
前記第2の機能モジュールの動作状態をオン、オフする起動スイッチ手段が設けられており、
前記起動スイッチ手段は、前記第1の機能モジュールから前記センサに前記位置検出用信号を送出する状態の位置指示入力時に前記第2の機能モジュールの動作状態をオンすることができるように配置されている押しボタンスイッチで構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項12】
前記第2の機能モジュールは、前記第1の機能モジュールが配設されていて使用者の利き手で把持される筐体とは別体とされて、前記使用者の非利き手で把持可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項13】
前記特性選定用情報は、前記芯体が有する特性及び/又は前記入力面が有する特性に応じた実特性選定用情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項14】
前記特性選定用情報は、前記芯体が有すべき希望特性と前記入力面が有すべき希望特性との少なくとも一方を指定する希望特性選定用情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項15】
前記芯体の特性及び/又は前記入力面の特性に応じた特性選定用情報を生成する情報生成部を備え、
前記情報生成部は、前記芯体が前記位置検出入力面に接触して位置指示入力がされるときの前記位置指示器の状態変化を検出する検出素子を有し、前記芯体が有する特性及び前記入力面が有する特性を定めるための前記実特性選定用情報を生成する
ことを特徴とする請求項13に記載の位置指示器。
【請求項16】
前記検出素子は、前記位置指示器の動きを検出する動き検出センサである
ことを特徴とする請求項15に記載の位置指示器。
【請求項17】
前記芯体の特性及び/又は前記入力面の特性に応じた特性選定用情報を生成する情報生成部を備え、
前記情報生成部は、位置指示器の筐体に、使用者により操作可能に設けられた操作部を通じた前記使用者の操作に応じて前記希望特性選定用情報を生成する
ことを特徴とする請求項14に記載の位置指示器。
【請求項18】
前記操作部は、前記位置指示器の筐体の周囲に、回転可能に巻回されたリング状操作部であり、前記情報生成部は、前記リング状操作部の回転角に応じた前記希望特性選定用情報を生成する
ことを特徴とする請求項17に記載の位置指示器。
【請求項19】
前記操作部は、位置指示器の筐体の外周の所定位置に設けられたスイッチ操作部であり、前記情報生成部は、前記スイッチ操作部の操作に応じた前記希望特性選定用情報を生成する
ことを特徴とする請求項17に記載の位置指示器。
【請求項20】
前記刺激を発生するために、アクチュエータ、バイブレータ、スピーカのうち少なくとも一つを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項21】
サイドスイッチユニットを備え、
前記サイドスイッチユニットは、位置指示器の筐体の周囲に装着され、コイルと前記コイルの両端の間に設けられるスイッチとからなり、
前記スイッチがオンとされて前記コイルが短絡されることで、前記第1の機能モジュールから送出される前記位置検出用信号の周波数が変更される
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項22】
前記筐体は、樹脂で構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の位置指示器。
【請求項23】
前記第1の機能モジュールの前記位置検出用信号送信部は、電磁誘導方式で前記位置検出用信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項24】
前記第1の機能モジュールの前記位置検出用信号送信部は、静電容量方式で前記位置検出用信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項25】
前記第1の機能モジュールは、前記芯体に印加される筆圧を検出する筆圧検出部を備え、
前記筆圧検出部で検出された筆圧の情報は、前記位置検出用信号と共に送信される
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項26】
前記第1の機能モジュールは、前記芯体に印加される筆圧を検出する筆圧検出部と、前記筆圧検出部で検出された筆圧の情報を前記位置検出用信号とは別個に送信するための送信部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項27】
前記第1の機能モジュールは、識別情報の発生部を備え、
前記識別情報は、前記位置検出用信号と共に送信される
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項28】
前記第2の機能モジュールは、識別情報の発生部を備えると共に、前記識別情報を前記実特性選定用情報又は希望特性選定用情報と共に前記通信部を通じて送出する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項29】
前記第2の機能部は、電源電圧を生成するための電池又は蓄電素子を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項30】
前記刺激発生部は、前記第1の機能部で生成された特性選定用情報に基づいて、又は、通信部を通じて外部から受信した特性選定用情報に基づいて、前記刺激を発生する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項31】
前記入力面のテクスチャを検出するテクスチャ検出部を備えると共に、
前記刺激発生部は、前記テクスチャ検出部で検出された前記入力面のテクスチャに応じた刺激を発生する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項32】
前記テクスチャ検出部の検出出力を、外部に送出する送信部を備える
ことを特徴とする請求項31に記載の位置指示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出センサを有する位置検出装置と共に使用される位置指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、PCという)などの情報処理装置の操作入力手段としては、マウス、キーボードが用いられてきた。一方、文字等の入力、絵などの描画においては、位置検出センサを有する位置検出装置と共に使用される位置指示器が操作入力手段として用いられているようになってきている。位置指示器のうち、棒状の筐体を備え、ペン形状を有する入力具は、一般的に電子ペンと呼ばれる。
【0003】
位置検出センサの検出領域上に設けられる入力面上で、電子ペンなどの位置指示器によって位置指示がなされると、位置検出装置で、当該位置指示器により指示された位置検出センサの検出領域上の位置座標が検出される。そして、位置指示器による指示位置の移動軌跡(筆記跡)は、検出された位置座標の連続する筆記跡データとして形成され、当該筆記跡データにより表示画面に筆記跡が表示される。
【0004】
位置指示器を操作入力手段として用いると共に表示画面を備える入力システムとしては、表示画面を有する表示装置と位置検出装置と情報処理装置の機能を備えるデジタイザ装置あるいはタブレット装置と、位置指示器とからなるものと、表示画面を備えない位置検出装置を構成するデジタイザやタブレットと、それらデジタイザやタブレットが接続され、表示画面を備えるPCなどの情報処理装置と、位置指示器とからなるものとがある。
【0005】
位置指示器、例えば電子ペンは、従来の鉛筆等の筆記具の、紙などの筆記媒体に対する操作性や使用態様が同じものが求められるようになってきている。また、近年は、今まで紙などの筆記媒体に対して筆記跡を形成する鉛筆またはボールペンで用いられてきた形状や筐体を、そのまま電子ペンに使用したいという要望もある。すなわち、電子ペンの機能を全て備える電子ペン本体部をカートリッジ(電子ペンカートリッジ)の構成とすると共に、この電子ペン本体部のカートリッジを、ボールペンリフィルと同じ形状(同じ細さ及び長さを同じにすると共に、ペン先側を近似した構成とする)とすることで、ボールペンの外側ケース(外筐)に、電子ペンカートリッジを組み込むことができる。
【0006】
この考えの下に、ボールペンリフィルと同じ形状に構成した電子ペンカートリッジが提供されている(特許文献1(WO2016/031329号公報)等参照)。この電子ペンカートリッジを用いることで、従来の筆記具のボールペンと同様な使い勝手を実現して、従来の筆記部の使用感覚に変化を与えない(従来と同じように使うことができる)ようにすることができる。すなわち、カートリッジを筆記具のボールペンの筐体に組み込んで電子ペンを構成することで、ボールペンを使用するのと同じ感覚で、電子機器への入力ができるようになる。
【0007】
上述の特許文献1では、また、複数本の電子ペンカートリッジを、多色ボールペンの外側ケース(外筐)に組み込む電子ペンも提案されている。この場合、複数本の電子ペンカートリッジのそれぞれに固有の識別情報(カートリッジID)を付与して、その識別情報を位置検出装置や情報処理装置に伝達することで、情報処理装置側で、ノック操作により選択された電子ペンカートリッジを区別して、電子ペンによる筆記跡の色、線の太さ等を変えることができきるようにしている。
【0008】
また、鉛筆の木製の筐体の軸心方向に穴を設けて、電子ペンカートリッジを挿入することで、鉛筆型電子ペンも実現されている。さらに、ペン先側とは逆側の尾端部に電子消しゴムが取り付けられた鉛筆型電子ペンも提案されている。具体的には、電子ペンカートリッジを2つ用いて、先端部と尾端部に装着し、先端部と尾端部との識別のために信号周波数を異にしたり、異なる識別情報(カートリッジID)を送出させたりすることで、先端部と尾端部の電子ペンカートリッジを区別する。そして、先端部の電子ペンカートリッジで入力された場合、字を書く、絵を描く等の動作として処理し、尾端部の電子ペンカートリッジで入力されたときは、書いた文字や絵を消去する動作として処理するようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の電子ペンを用いる入力システムでは、タブレット装置やPCなどの表示画面に表示される電子ペンによる筆記跡の線種や線の太さ、線の濃さなどの表示属性は、電子ペン側から指示するのではなく、タブレット装置やPCの情報処理装置の機能により、使用者が線種や線の太さ、線の濃さを選択するようにするのが一般的である。また、筆記媒体の種類も、タブレット装置やPCの情報処理装置の機能により、使用者が選択することができるように構成することができる。
【0011】
しかし、このように使用者がタブレット装置やPCで、筆記跡の線種や、線の太さ、線の濃さ、さらには紙などの筆記媒体の種類を選択する操作は、電子ペンによる指示入力操作を停止して、全く別の操作として行わなければならず、面倒であると共に、電子ペンによる筆記入力作業を効率良くスムースに行うことの妨げとなるという問題がある。
【0012】
電子ペンの識別情報に対応して電子ペンのペン先の硬さ(芯体の硬さ)を定めておき、タブレット装置やPCで、電子ペンから受信した識別情報に基づいて電子ペンの芯体の硬さを判断すると共に、その判断結果の芯体の硬さに対応する線種や線の太さを認定し、その認定した線種や線の太さで筆記跡を表示するように構成することができる。
【0013】
鉛筆などの筆記具による筆記跡の濃さや線の太さなどは、鉛筆の芯の硬さのみに関与するのではなく、筆記時における紙などの筆記媒体の特性も関与する。前述もしたように、電子ペンにおいても、従来の鉛筆等の筆記具の、紙などの筆記媒体に対する操作性や使用態様と同じものとする要求がある。
【0014】
しかしながら、電子ペンの識別情報を用いるだけでは、電子ペンの芯体の硬さに加えて、特定の一つの筆記媒体を指定することができても、筆記時の任意の筆記媒体を指定することはできないという問題がある。
【0015】
この発明は、上記の問題点に鑑み、情報処理装置側において、実際の筆記入力時の状況に応じた筆記跡、あるいは、使用者の指定した任意の状況における筆記跡、を表示することができる位置指示器を、簡単な構成で実現することができるようにすることを目的とする。
【0016】
また、この発明は、実際の筆記入力時の状況に応じた筆記跡、あるいは、使用者の指定した任意の筆記跡、を表示することができるようにした場合において、その表示した筆記跡となるときの筆記入力時の感覚を、使用者にフィードバックすることができるようにすることをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、
位置検出センサを有する位置検出装置と共に使用される位置指示器であって、
前記位置検出センサにおける位置検出のための入力面に接触する芯体と、前記位置検出センサに対して位置検出用信号を送出する位置検出用信号送信部を有する第1の機能モジュールと、
前記芯体の特性及び/又は前記入力面の特性に応じた特性選定用情報を生成し、生成した前記特性選定用情報を外部に送信する第1の機能部、及び/又は、前記位置指示器を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される前記特性選定用情報に応じた刺激を発生する第2の機能部、を有する第2の機能モジュールと、
を備えることを特徴とする位置指示器を提供する。
【0018】
上述の構成の位置指示器においては、第2の機能モジュールで、芯体の特性及び/又は入力面が有する特性に応じた特性選定用情報が生成され、その生成された特性選定用情報が、例えば情報処理装置などの外部に送信される。
【0019】
したがって、情報処理装置では、位置指示器から送信されてくる特性選定用情報に応じた線の太さ、線の濃さなどにより筆記跡を表示することができる。すなわち、情報処理装置では、実際に使用されている環境における芯体と入力面の特性に応じた筆記跡で表示したり、使用者が指定した芯体と入力面の特性に応じた筆記跡で表示したりすることができる。
【0020】
また、位置指示器では、第2の機能モジュールにおいて、位置指示器を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される特性選定用情報に応じた刺激を発生するので、使用者は、芯体の特性及び/又は入力面の特性に応じた筆記入力時の感覚を味わえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態の概要の構成例を示す図である。
【
図2】この発明による位置指示器の実施形態の構成例を示す図である。
【
図3】この発明による位置指示器の実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図4】この発明による位置指示器の実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図5】この発明による位置指示器の実施形態の筐体の一例を示す図である。
【
図6】この発明による位置指示器の実施形態の構成例を示す図である。
【
図7】この発明による位置指示器の実施形態の一部の構成例の例を示す図である。
【
図8】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第1の機能モジュールの構成例を説明するための図である。
【
図9】
図8の例の位置検出モジュールの要部の回路構成例を示す図である。
【
図10】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第1の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図11】この発明による位置指示器の実施形態と共に使用される位置検出装置の構成例を示す図である。
【
図12】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第1の機能モジュールの電子回路構成例を示す図である。
【
図13】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第1の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図14】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第1の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図15】この発明による位置指示器の実施形態と共に使用される位置検出装置の他の構成例を示す図である。
【
図16】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第2の機能モジュールの構成例を説明するための図である。
【
図17】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第2の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図18】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第2の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図19】この発明による位置指示器の実施形態を構成する第2の機能モジュールの他の構成例を説明するための図である。
【
図20】この発明による位置指示器の実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図21】この発明による位置指示器の実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図22】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態の構成例を示す図である。
【
図23】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態における処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図24】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態における処理動作例を説明するための図である。
【
図25】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態における処理動作例を説明するための図である。
【
図26】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態の他の構成例を示す図である。
【
図27】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態の他の構成例における処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図28】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態の他の構成例における処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【
図29】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態のさらに他の構成例を示す図である。
【
図31】この発明による位置指示器の実施形態を用いた入力システムの実施形態のさらに他の構成例における処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明による位置指示器の実施形態を、当該位置指示器の実施形態を用いる入力システムの実施形態と共に、図を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、入力システムの一実施形態の構成例を示す図である。この実施形態の入力システムは、実施形態の位置指示器の例としての電子ペン1と、位置検出装置の例を構成するタブレット2と、情報処理装置の例を構成するPC3とで構成される。
【0024】
タブレット2は、電子ペン1による指示入力を受け付けるための入力面2aの裏側に位置検出センサ20を備え、また、この位置検出センサ20に対して接続される位置検出回路(
図1では図示は省略)を備える。位置検出回路は、電子ペン1と位置検出センサ20との間でインタクラクションされる位置検出用信号に基づいて、電子ペン1により指示された入力面2a上の位置(位置座標)を検出する。電子ペン1と位置検出センサ20との間で行われる位置検出用信号を含む信号のインタクラクションは、電磁誘導方式、または、静電結合方式のいずれであってもよい。
【0025】
タブレット2はPC3に接続され、電子ペン1により指示された入力面2a上の位置(位置座標)の検出情報(以下、位置検出情報という)と、後述するような情報をPC3に供給する。タブレット2とPC3との接続態様は、有線であってもよいし、無線であってもよい。タブレット2は、
図1の例では表示画面は備えない。
【0026】
PC3は、情報処理装置部31に表示装置32が接続されて構成されている。情報処理装置部31は、タブレット2と接続されて当該タブレット2からの位置検出情報を受信して、電子ペン1により指示された入力面2a上の位置の時間的な連続変化(電子ペン1の入力面2a上での指示位置の軌跡)として筆記跡の表示情報を生成して表示装置32の表示画面32Dに表示する。
【0027】
また、この実施形態では、PC3は、電子ペン1及びタブレット2から、位置検出情報とは別に、電子ペン1により入力面2a上において指示入力されるときに電子ペン1やタブレット2からPC3に供給される位置検出関連情報を受信する。タブレット2からの位置検出関連情報は、電子ペン1から受信する筆圧情報や識別情報などとされる。電子ペン1からの位置検出関連情報については、後述する。
【0028】
そして、PC3の情報処理装置部31は、タブレット2から受信した位置検出情報に基づく筆記跡などを表示装置32の表示画面32Dに表示する際に、電子ペン及び/又はタブレット2から受信した位置検出関連情報を用いる。この際に必要に応じて、情報処理装置部31は、筆記跡などを表示する際の表示属性を定めるために、位置検出関連情報を直接に用いるのみではなく、当該位置検出関連情報に基づいて情報を生成して用いる場合もある。例えば、位置検出関連情報の例として電子ペン1からの識別情報に対応して、予め、ペン種、芯体の硬さ、芯体の細さ、芯体の形状などのペン属性が定められており、情報処理装置部31は、電子ペン1からの識別情報からそれらのペン属性を取得するためのテーブル情報の記憶部を備えている。
【0029】
テーブル情報は、情報処理装置部31に予め蓄積されていてもよいが、この例では、当該テーブル情報を提供するサーバ装置4が通信ネットワーク5に接続されて設けられており、情報処理装置部31は、このサーバ装置4に通信ネットワーク5を通じてアクセスして、予めダウンロードし、記憶保持しておくようにする。
【0030】
[位置指示器の実施形態の電子ペン1の概要の説明]
この実施形態の電子ペン1は、第1の機能モジュール11と第2の機能モジュール12との2つの機能モジュールを備えて構成されている。
【0031】
第1の機能モジュール11は、タブレット2の入力面2aに、先端部111aが接触する芯体111(
図1参照)を備えると共に、位置検出センサ20に対して位置検出用信号を送出する位置検出用信号送信部を有する。また、この例では、第1の機能モジュール11は、芯体111に印加される筆圧情報を検出して、位置検出用信号と共に、位置検出センサ20に供給する機能を備える。第1の機能モジュール11は、以下の実施形態の説明では、位置検出用モジュール11と称することとする。
【0032】
第2の機能モジュール12は、この実施形態では、以下に説明するような2つの機能のいずれか一方あるいは両方を備える。すなわち、第2の機能モジュール12の2つの機能の一つは、PC3において、電子ペン1による入力面2aでの指示位置の軌跡としての筆記跡を表示する際の表示態様を選定するための情報(以下、特性選定用情報と称する)を生成し、生成した特性選定用情報を、この例では、PC3に送信する機能である。すなわち、この機能のため、第2の機能モジュール12は、特性選定用情報を生成する情報生成部と、生成した特性選定用情報を送信する送信部とを備える。
【0033】
ここで、筆記跡を表示する際の表示態様とは、筆記跡の線の属性、例えば線の濃さ、線の太さを含むと共に、芯体111の特性や入力面2aの材質などの特性に応じた筆記跡の線の揺れなどの線の態様(様態)を含むものである。
【0034】
また、第2の機能モジュール12の2つの機能のもう一つは、電子ペン1を把持する使用者に、電子ペン1の芯体111のペン先を入力面2aに接触させて筆記入力しているときと同様の刺激を電子ペン1の筐体を通じて与えるようにする機能である。この実施形態では、第2の機能モジュール12は、この2つ目の機能のために、電子ペン1を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される刺激を発生する刺激発生部を有する。聴覚を通じて感得される刺激を発生する手段の例としては、スピーカを設け、触覚を通じて感得される刺激を発生する手段の例としては、バイブレータを設ける。
【0035】
刺激発生部を駆動する駆動源は、情報生成部で生成した特性選定用情報に基づいて生成されるドライブ信号とされ、このドライブ信号は、電子ペン1で生成してもよいし、PC3から取得するようにしてもよい。PC3から取得する場合には、情報生成部で生成した特性選定用情報をPC3に供給し、この供給を受けたPC3が、特性選定用情報からドライブ信号を生成し、電子ペン1に返すようにする。
【0036】
なお、ドライブ信号は、特性選定用情報を受けた電子ペン1以外の電子ペンに供給してもよく、その場合には、特性選定用情報を生成した電子ペン1の使用状況における芯体の特性及び入力面の特性に応じた刺激が、当該他の電子ペン1に伝達されることとなる。
【0037】
第2の機能モジュール12は、上述した情報生成部と、刺激発生部の2つの機能を合わせ持つようにしてもよいし、一方のみを備えるように構成してもよい。
【0038】
電子ペン1に位置指示機能のほかの拡張機能を付加することになるので、第2の機能モジュール12は、以下、拡張機能モジュール12と称することとする。
【0039】
[電子ペン1における位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12との配置例]
図2は、電子ペン1における位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12との配置例を説明するための図である。電子ペン1は、棒状のペン筐体13を有し、この棒状のペン筐体13の軸心方向に位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12が並ぶように配設される。この場合に、位置検出用モジュール11には、芯体111が含まれ、当該芯体111の先端部111aが、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に突出可能となるように構成される。
【0040】
図2(A)に示す例の電子ペン1では、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とが一体に構成された構造を有する。この場合に、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは、一つの共通の回路基板上に設けられていてもよいし、別々の回路基板に形成された後、結合されて一体の構造とされた構成であってもよい。
【0041】
そして、一体とされた位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは、ペン筐体13内に収納されて固定される構成であってもよいし、或いはペン筐体13内に埋め込まれて固定される構成であってもよい。この場合、
図2(A)に示すように、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aは、ペン筐体13の軸心方向の一方側(以下、ペン先側という)の開口から外部に突出する状態となるように構成される。
【0042】
拡張機能モジュール12は、当該拡張機能モジュール12の動作を起動させる起動スイッチを備える。
図2(A)の例では、電子ペン1の使用者が操作可能なように電子ペン1に設けられる操作部14Aの操作により起動スイッチがオン、オフされる。操作部14Aは、この例では、
図2(A)に示すように、ペン筐体13の外周側面の、拡張機能モジュール12のペン筐体13内の固定位置に対応する位置に、使用者により操作可能に設けられる。使用者は、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aをタブレット2の入力面2aに接触させて位置指示入力をする際には、起動スイッチをオンとするように操作部14Aを操作する。
【0043】
なお、一体とされた位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とが、カートリッジの構成とされて、ペン筐体13に対して着脱可能の構成とされてもよい。その場合には、拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフする操作部は、図示は省略するが、ペン筐体13の軸心方向の他方側(以下、尾端側という)に設けられて、ペン筐体13内に装着されたカートリッジの拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフ駆動可能に結合するように構成される。
【0044】
また、一体とされた位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とからなるカートリッジが、電子ペン1の筐体に設けられるノック機構部に結合される構成とされて、使用者によるノック操作に応じてノック機構部により、位置検出用モジュール11のペン先側(芯体111の先端部111a)が、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に出没するように構成してもよい。
【0045】
このように、ノック機構を用いる構成とする場合には、拡張機能モジュール12の起動スイッチは、例えば特許文献;2016-184444号公報に記載されているように、使用者によるノック操作に応じて、起動スイッチが自動的にオン、オフされる構成とされて、位置検出用モジュール11のペン先側が、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に突出する状態では、起動スイッチがオンとなるように構成される。
【0046】
また、ペン筐体13を軸心方向に2分して、一方が他方に対して回転可能の構成とすると共に、一体とされた位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とからなるカートリッジが、前記一方の筐体部分の他方の筐体部分に対する回転に応じて軸心方向に移動可能に構成され、位置検出用モジュール11のペン先側が、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に出没するように構成してもよい。
【0047】
このように回転機構により位置検出用モジュール11のペン先側が、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から外部に出没するように構成する場合においても、上述の特許文献;2016-184444号公報に記載されているように、使用者による回転操作に応じて、起動スイッチが自動的にオン、オフされる構成とされて、位置検出用モジュール11のペン先側が、ペン筐体13の軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に突出する状態では、起動スイッチがオンとなるように構成される。
【0048】
次に、
図2(B)に示す例の電子ペン1では、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは別体に構成されると共に、拡張機能モジュール12は、ペン筐体13内に収納されて固定される、或いはペン筐体13内に埋め込まれて固定される構成とされる。この例では、
図2(B)に示すように、ペン筐体13の外周側面の、拡張機能モジュール12がペン筐体13内で固定されている位置に対応する位置に、操作部14Bが、使用者により操作可能に設けられて、拡張機能モジュール12の起動スイッチがオン、オフされる。
【0049】
図2(B)の例における位置検出用モジュール11は、ペン筐体13内に収納されて固定される、或いはペン筐体13内に埋め込まれて固定される構成としてもよいし、ペン筐体13に対して着脱可能の構成とされてもよい。
【0050】
図2(C)の例の電子ペン1では、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは別体に構成されると共に、拡張機能モジュール12は、電子ペン1のペン筐体13の後端側の開口から、拡張機能モジュール12の筐体の一部が突出する状態で、ペン筐体13に対して着脱可能の構成とされている。そして、この例では、
図2(C)に示すように、拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフする操作部14Cは、拡張機能モジュール12の筐体の、電子ペン1のペン筐体13の後端側から突出している部分に設けられて、使用者により操作可能とされている。
【0051】
この
図2(C)の例においても、位置検出用モジュール11は、ペン筐体13内に収納されて固定される、或いはペン筐体13内に埋め込まれて固定される構成としてもよいし、ペン筐体13に対して着脱可能の構成とされてもよい。
【0052】
上述の電子ペン1の例は、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは、電子ペン1の1個のペン筐体13に配設するようにしたが、ペン筐体13を、例えば電子ペン1の本体筐体部とキャップ部などのように、2つの部分に分け、軸心方向に結合することが可能に構成すると共に、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とをそれら2つに分けた筐体部分のそれぞれに分けて配設するように構成してもよい。
【0053】
図3は、ペン筐体13を本体筐体部13Mとキャップ部13Cとに分けて構成した電子ペン1の例を示す図である。この例においては、
図3(A)及び(B)に示すように、本体筐体部13M内には、位置検出用モジュール11が配設され、キャップ部13Cには、拡張機能モジュール12が配設される。
【0054】
本体筐体部13Mは、この例では、
図3(A)及び(B)に示すように、所定の外径Rを有し、軸心方向の一端側に開口13Maを備える円筒状形状を備える。そして、開口部13Maから、芯体111の先端部111aが突出する状態で、位置検出用モジュール11が、この本体筐体部13M内に配設される。この例では、本体筐体部13Mの軸心方向の他端側は閉塞されている。
【0055】
また、キャップ部13Cは、
図3(A)及び(B)に示すように、拡張機能モジュール12を収納する収納部13Caと、本体筐体部13Mの軸心方向の一端側又は後端側を覆うようにする凹部13Cbとを備える。凹部13Cbの内径は、本体筐体部13Mの外径Rよりも若干大きい径とされている。収納部13Caと凹部13Cbとの間には、この例では壁部13Ccが設けられており、この壁部13Ccには、拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフするための操作部を構成する押ボタン14Dが設けられている。
【0056】
そして、キャップ部13Cの凹部13Cbの内周壁面の、当該凹部13Cbの底面から所定距離L1だけ離れた位置には、リング状凸部13Cdが形成されている。一方、本体筐体部13Mの外周側面の、開口13Ma側及び尾端側には、キャップ部13Cのリング状凸部13Cdと嵌合するリング状溝13Mb及び13Mcが形成される。
図3(A)及び(B)に示すように、本体筐体部13Mの外周側面の開口13Ma側のリング状溝13Mbは、開口13Maの先端から距離L2(<L1)だけ離れた位置に形成され、本体筐体部13Mの外周側面の尾端側のリング状溝13Mcは、尾端側の端面から距離L3(L2<L3<L1)だけ離れた位置に形成される。
【0057】
この場合に、距離L2は、
図3(A)に示すように、キャップ部13Cを本体筐体部13Mの開口13Ma側を覆うように被せて、キャップ部13Cのリング状凸部13Cdを、本体筐体部13Mの開口13Ma側のリング状溝13Mbに嵌合させて係止させたときに、キャップ部13Cの凹部13Cbの底部の壁部13Ccに設けられている押ボタン14Dが、位置検出用モジュール11の芯体111及び本体筐体部13Mの開口13Ma側により押圧されないような距離に定められている。
【0058】
また、距離L3は、
図3(B)に示すように、キャップ部13Cを本体筐体部13Mの尾端側を覆うように被せて、キャップ部13Cのリング状凸部13Cdを、本体筐体部13Mの尾端側のリング状溝13Mcに嵌合させて係止させたときに、キャップ部13Cの凹部13Cbの底部の壁部13Ccに設けられている押ボタン14Dが、位置検出用モジュール11の尾端側の端面により押圧されるような距離に定められている。
【0059】
すなわち、キャップ部13Cを、本体筐体部13Mの開口13Ma側を覆うように被せて、本体筐体部13Mに対して係止させたときには、押ボタン14Dは押圧されないため、拡張機能モジュール12の起動スイッチはオフのままとなる。また、キャップ部13Cを、本体筐体部13Mの尾端側を覆うように被せて、本体筐体部13Mに対して係止させたときには、押ボタン14Dが押圧されるため、拡張機能モジュール12の起動スイッチはオンとなり、拡張機能モジュール12は動作を開始する。
【0060】
また、キャップ部13Cを、本体筐体部13Mの尾端部側に被せるようにして装着すると共に、キャップ部13Cを、本体部筐体13Mに対して回転可能の構成とし、本体筐体部13M内に収納されている位置検出用モジュール11からなるカートリッジが、キャップ部13Cの本体筐体部13Mに対する回転に応じて、軸心方向に移動可能に構成され、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aが、本体部筐体13Mの軸心方向の一方側に設けられている開口から、外部に出没するように構成してもよい。
【0061】
図4は、そのような回転式に位置検出用モジュール11のカートリッジの芯体111の先端部111aを出没させるようにする構成を備える電子ペン1の構成例を説明するための図であり、この例の電子ペン1は、本体筐体部13MRに対してキャップ部13CRが回転可能に嵌合されて構成される。
【0062】
この例の本体筐体部13MR内には、カートリッジの構成とされた位置検出用モジュール11が配設される。そして、この本体筐体部13MRの尾端13MRt側には、キャップ部13CRを、本体筐体部13MRに対して回転させることで、カートリッジ構成の位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aを、本体筐体部13MRの開口から出没させるようにする回転出没機構部15が設けられる。
【0063】
この回転出没機構部15は、本体筐体部13MRの尾端13MRtに対してねじ込まれる構成とされており、この回転出没機構部15を本体筐体部13MRから外すことで、本体筐体部13MRに対して、カートリッジ構成の位置検出用モジュール11を挿脱することが可能とされている。カートリッジ構成の位置検出用モジュール11の尾端側は、この回転出没機構部15に挿入されて保持される。キャップ部13CRは、本体筐体部13MRに対しては、回転可能となるが、回転出没機構部15とは嵌合して、当該回転出没機構部15に対して回転を加えることが可能の構成を有する。
【0064】
キャップ部13CRには、上述の例と同様に、拡張機能モジュール12が配設されている。そして、キャップ部13CRには、当該キャップ部13CRを本体筐体部13MRの尾端側を覆うように被せたときに、回転出没機構部15と嵌合する嵌合部13CRaが設けられている。したがって、キャップ部13CRを、
図4(A)の矢印ARで示すように回転させると、同時に回転出没機構部15が回転して、カートリッジ構成の位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aを、本体筐体部13MRの開口から出没させるように動作する。
【0065】
そして、この例の電子ペン1においては、
図4(A),(B)に示すように、本体筐体部13MRの尾端13MRt側には、永久磁石16aを、キャップ部13CRには磁気センサ16bを、互いにキャップ部13CRの回転により近接する状態となるような位置に、それぞれ設ける。そして、磁気センサ16bを、キャップ部13CR内の拡張機能モジュール12に設けられている、起動スイッチのオン、オフ制御を行う制御回路に接続する。
【0066】
そして、この例の電子ペン1においては、
図4(A)に示すように、芯体111の先端部111aを含めて位置検出用モジュール11の全体が、本体筐体部13MR内に収納されている状態においては、永久磁石16aと磁気センサ16bとは比較的遠く離れた状態となる。したがって、磁気センサ16bでは、永久磁石16aからの磁束を検出せず、そのセンサ出力は、低レベルとなり、拡張機能モジュール12の起動スイッチはオフの状態となる。
【0067】
この状態から、キャップ部13CRが回転されて、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aが本体筐体部13MRから突出する状態になると、永久磁石16aと磁気センサ16bとは近接した状態となる。したがって、磁気センサ16bでは、永久磁石16aからの磁束を検出し、そのセンサ出力は、高レベルとなり、拡張機能モジュール12の起動スイッチはオンとされて、拡張機能モジュール12は動作状態となる。つまり、この例の電子ペン1では、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aが本体筐体部13MRから突出して、位置指示入力が可能となる状態になると、起動スイッチがオンとされて拡張機能モジュール12も動作状態となるものである。
【0068】
なお、本体筐体部13MRに対するキャップ部13CRの回転位置の検出は、磁石と磁気センサを用いる構成に限られるものではない。例えば、磁気センサに代わりに、
図4(A)の状態から、
図4(B)の状態に、キャップ部13CRが回転したときに、オンまたはオフとなるスイッチ部材を、キャップ部13CRを設けておき、そのスイッチ部材のオン・オフの状態を拡張機能モジュール12の制御回路が監視することで、起動スイッチのオン、オフを制御するように構成してもよい。
【0069】
[電子ペンの筐体の材料]
次に、電子ペン1のペン筐体13、本体筐体部13M,13MR、キャップ部13C,13CRは、樹脂で構成されるが、木材を用いてもよい。あるいは、樹脂と木材とを組み合わせてもよい。さらには、一部金属を用いてもよい。
【0070】
例えば、上述した
図2(A)~(C)の場合のように、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とを配設する1個のペン筐体13としては、
図5に示すような木材を用いることができる。
【0071】
図5の例においては、横断面が6角形の柱状の木材を軸心方向に沿って(軸心中心を通る切断面で)切断して、2分した筐体ハーフ13W1,13W2を形成する。そして、各筐体ハーフ13W1,13W2の切断端面のそれぞれに、元の6角柱の軸心中心を中心位置とする横断面が半円状の凹部13W1a,13W2aを、その軸心方向に沿って形成するようにする。
【0072】
そして、各筐体ハーフ13W1,13W2を、その切断端面で互いに接合して、
図6(A)の断面図に示すように、凹部13W1a,13W2aの空間からなる円柱状中空部13W3を有するペン筐体13Wを形成する。そして、
図6(A)に示すように、このペン筐体13Wの円柱状中空部13W3内に、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とを軸心方向に並べるように配設する。この例の場合には、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12は、それぞれ細長の棒状の筐体11K及び12Kに構成部品が収納されているカートリッジの構成とされている。
【0073】
この場合に、
図6(A)及び(B)に示すように、ペン筐体13Wの円柱状中空部の軸心方向の中間位置には、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12を当該ペン筐体13W内に係止させるための係止用部17が、ペン筐体13W内で軸心方向に移動不可となるように固着されて設けられる。
【0074】
この係止用部17には、この例では、位置検出用モジュール11側には、位置検出用モジュール11の筐体11Kの尾端に設けられている嵌合凹部11pと嵌合する嵌合凸部17aが形成されている。また、係止用部17の拡張機能モジュール12側には、拡張機能モジュール12の筐体12Kの電子ペン1の尾端側に設けられている嵌合凹部12pと嵌合する嵌合凸部17bが形成されている。
【0075】
したがって、この例の電子ペン1においては、位置検出用モジュール11を、嵌合凹部11p側を先頭として、木製のペン筐体13Wのペン先側の開口から挿入して押し込むことで、嵌合凹部11pが係止用部17の嵌合凸部17aに嵌合し、ペン筐体13W内に係止させることができる。そして、係止状態においては、位置検出用モジュール11の筐体11Kの先端側の一部と芯体111の先端部111aがペン筐体13W外に突出する状態となる。なお、この突出している部分を把持して引っ張ることで、位置検出用モジュール11をペン筐体13Wから取り外すことができる。つまり、位置検出用モジュール11は交換可能である。
【0076】
また、拡張機能モジュール12を、嵌合凹部12p側を先頭として、木製のペン筐体13Wの尾端側の開口から、挿入して押し込むことで、嵌合凹部12pが係止用部17の嵌合凸部17bに嵌合し、ペン筐体13W内に係止させることができる。そして、図示は省略するが、この例では、拡張機能モジュール12に設けられている起動スイッチが、嵌合凹部12pが係止用部17の嵌合凸部17bに嵌合することでオンとされ、拡張機能モジュール12が動作可能の状態とされる。
【0077】
そして、拡張機能モジュール12のペン筐体13Wの尾端側に露出している端面に嵌合凹部を設けておき、この嵌合凹部に、取出し用治具を嵌合させて引っ張ることで、拡張機能モジュール12をペン筐体13Wから外すことができる。つまり、拡張機能モジュール12は交換可能である。なお、係止状態において拡張機能モジュール12の尾端側の一部をペン筐体13Wの尾端側から外に突出する状態となるように構成して、その突出している部分を把持して引っ張ることで、拡張機能モジュール12をペン筐体13Wから外すこともできる。
【0078】
また、例えば拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフするための構成は、上述の例に限られるものではない。例えば拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフするための操作部を、拡張機能モジュール12の尾端側に、ペン筐体13Wの尾端側から突出するように設けておき、その操作部を、例えば押下操作することで、拡張機能モジュール12の起動スイッチをオン、オフするように構成してもよい。
【0079】
なお、
図6及び
図7の例では、係止用部17に嵌合凸部17a及び17bを設け、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12に嵌合凹部11p及び12pを設けるようにしたが、逆に、係止用部17に嵌合凹部を設け、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12に嵌合凸部を設けるようにしてもよい。また、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12の一方に嵌合凹部、他方に嵌合凸部を設けると共に、係止用部17に、対応して嵌合凸部と嵌合凹部を設けるようにしてもよい。
【0080】
位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12が備える電子回路は、電源電圧の供給を受ける必要がある場合もある。このことを考慮する場合には、
図7に示すように、係止用部17に電池17Eを設けると共に、位置検出用モジュール11の嵌合凹部11pと係止用部17の嵌合凸部17aとを導電体、例えば導電金属で構成し、また、拡張機能モジュール12の嵌合凹部12pと係止用部17の嵌合凸部17bとを導電体、例えば導電金属で構成することで、電池17Eから電源電圧を位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12に供給するように構成することができる。
【0081】
なお、位置検出用モジュール11の電子回路は、電源電圧の供給を受ける必要がない構成とすることができる場合がある。その場合には位置検出用モジュール11の嵌合凹部11pと係止用部17の嵌合凸部17aとを導電体で構成する必要はない。
【0082】
電池17Eは、1次電池であっても充電式の2次電池であってもよい。電池17Eが2次電池であるときには、ペン筐体13Wの外周側面に充電用電極を設けてもよい。また、電磁誘導や電界誘導などにより、非接触で2次電池の電池17Eを充電するように構成してもよい。
【0083】
[位置検出用モジュール11の構成例]
位置検出用モジュール11は、電磁誘導方式又は静電容量方式のいずれの方式を用いたものであってもよい。
【0084】
<電磁誘導方式の例>
図8は、電磁誘導方式の位置検出用モジュール11Mの構成例を示すものである。この例の位置検出用モジュール11Mは、磁性体コア、例えばフェライトコア112Mに巻回されたコイル113Mと、筆圧検出部114Mと、回路基板115Mとを備える。フェライトコア112Mは、軸心方向の貫通孔(図示は省略)を備え、芯体111がこの貫通孔を挿通される。そして、フェライトコア112Mの貫通孔を挿通した芯体111Mの先端部111Maとは反対側の端部が筆圧検出部114Mに嵌合される。芯体111Mは、非導体材料、例えば樹脂で構成される。
【0085】
筆圧検出部114Mは、芯体111Mの先端部111Maを、タブレット2の入力面2aに接触させて筆記入力する際に、芯体111Mの先端部111Maに印加される圧力(筆圧)を検出するもので、この例では、静電容量の変化として検出する周知のもので構成されている。
【0086】
回路基板115Mには、
図9に示すように、コイル113Mと共に共振回路を構成するコンデンサ116Mが設けられている。そして、この回路基板115Mには、この例では、
図9に示すように、コイル113Mに対してコンデンサ116M及び筆圧検出部114Mで構成される可変容量コンデンサ114MCが並列に接続された共振回路RC1が形成されている。
【0087】
また、電磁誘導方式の位置検出用モジュール11Mは、使用者が操作可能なサイドスイッチのオン・オフ操作に応じた信号をタブレット2の位置検出センサに供給するように構成することもできる。
図10は、サイドスイッチを備える場合の位置検出モジュール13Mの構成例を示す図である。
【0088】
すなわち、この例の電子ペン1のペン筐体13には、
図10に示すように、サイドスイッチ118が設けられると共に、ペン筐体13のペン先側の外周には、位置検出用モジュール11の共振回路RC1の共振周波数をシフトさせるための部材として、位置検出用モジュール11の共振回路のコイル113Mと相互誘導結合するように磁気的に結合可能なコイル117が配設されている。サイドスイッチ118は、操作部118aを押下操作することでオンとされるように構成されており、コイル117の一端117aと、他端117bとの間に接続される。なお、この例では、サイドスイッチ118と直列にコンデンサが設けられている。
【0089】
図11は、この
図10の例の位置検出用モジュール11Mを備える電子ペン1の回路構成例を示すと共に、この電子ペン1と電磁誘導結合することで位置検出を行うタブレット2の位置検出装置200Mの回路構成例を示す図である。
【0090】
すなわち、電子ペン1は、位置検出用モジュール11の回路構成として、コイル113Mと、コンデンサ116Mと、筆圧検出部114Mで構成される可変容量コンデンサ114MCとが並列に接続されることにより構成された第1の共振回路RC1を備える。また、電子ペン1の筐体13に設けられたコイル117の一端117aと他端117bとの間にサイドスイッチ118及びコンデンサ119とが接続されており、サイドスイッチ118がオンとなることにより、コイル117とコンデンサ119とからなる第2の共振回路RC2の閉回路が生成される。なお、コンデンサ119は設けることなく、コイル117の一端と他端との間を、サイドスイッチ118のオンにより接続して閉回路を形成するだけでもよい。
【0091】
電子ペン1において、サイドスイッチ118がオフであるときには、第2の共振回路RC2は形成されず、コイル117に電流を流す閉回路が形成されない。この時には、電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1のコイル113Mと、第2の共振回路RC2のコイル117との間では相互誘導作用は生じないので、電子ペン1の位置検出用モジュール11の共振回路RC1の共振周波数は、コイル113Mとコンデンサ116M及び可変容量コンデンサ114MCとで定まる周波数f1となる。
【0092】
一方、電子ペン1において、使用者の操作によりサイドスイッチ118がオンとされると、コイル117とコンデンサ119とからなる共振回路RC2が生成され、コイル117に電流が流れる閉回路が形成される。すると、電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1の共振周波数はコイル113Mと、第2の共振回路RC2のコイル117との間に相互誘導作用を生じるようになる。このため、電子ペン1の位置検出用モジュール11の共振回路RC1の共振周波数は、前記周波数f1とは異なる周波数f2となる。
【0093】
一方、位置検出装置200Mは、電磁誘導方式用の位置検出センサ201と、位置検出回路202とを備えて構成されている。位置検出センサ201は、X軸方向ループコイル群201Xと、Y軸方向ループコイル群201Yとが積層されて構成されたものである。
【0094】
位置検出回路202は、発振器204と、電流ドライバ205と、選択回路206と、切り替え接続回路207と、受信アンプ208と、位置検出用回路209と、筆圧検出用回路210と、サイドスイッチ操作検出回路211と、制御部212とからなる。制御部212は、マイクロプロセッサにより構成されている。制御部212は、選択回路206におけるループコイルの選択、切り替え接続回路207の切り替えを制御すると共に、位置検出用回路209及び筆圧検出用回路210での処理タイミングを制御する。
【0095】
そして、位置検出センサ201のX軸方向ループコイル群201X及びY軸方向ループコイル群201Yが選択回路206に接続されている。選択回路206は、2つのループコイル群201X,201Yのうちの一のループコイルを順次選択する。発振器204は、周波数f0の交流信号を発生する。発振器204は、発生した交流信号を、電流ドライバ205と筆圧検出用回路210に供給する。電流ドライバ205は、発振器204から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路207へ送出する。
【0096】
切り替え接続回路207は、制御部212からの制御により、選択回路206によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ205が、受信側端子Rには受信アンプ208が、それぞれ接続されている。そして、位置検出センサ201から信号を送信する場合には、切り替え接続回路207は端子T側に切り替えられ、逆に、位置検出センサ201が外部からの信号を受信する場合には、切り替え接続回路207は端子R側に切り替えられる。
【0097】
そして、切り替え接続回路207が、端子T側に切り替えられている場合には、選択回路206により選択されたループコイルに、電流ドライバ205からの電流が供給される。これにより、当該ループコイルにおいて磁界が発生し、これに対向する電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1に作用させるための信号(電波)を送信するようにできる。
【0098】
一方、切り替え接続回路207が、端子R側に切り替えられている場合には、選択回路206により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路206及び切り替え接続回路207を介して受信アンプ208に送られる。受信アンプ208は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出用回路209、筆圧検出用回路210及びサイドスイッチ操作検出回路211へ送出する。
【0099】
すなわち、X軸方向ループコイル群201X及びY軸方向ループコイル群201Yの各ループコイルには、電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1から送信(帰還)される電波によって誘導電圧が発生する。
【0100】
位置検出用回路209は、電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1の共振周波数の成分について、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をデジタル信号に変換し、制御部212に出力する。
【0101】
制御部212は、位置検出用回路209からの共振周波数成分についてのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルのそれぞれに基づいて、電子ペン1の位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aのX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0102】
筆圧検出用回路210は、受信アンプ208からの受信信号を発振器204からの交流信号で同期検波し、両信号の周波数変位(位相差)に基づいて、電子ペン1の位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111aに印加されている筆圧を検出する。
【0103】
サイドスイッチ操作検出回路211は、受信アンプ208からの出力信号の周波数に基づき、電子ペン1の位置検出用モジュール11の第1の共振回路RC1の共振周波数を検出し、検出した周波数が、サイドスイッチ118がオフのときの共振周波数か、オンのときの共振周波数かを検出し、その検出結果を制御部212に出力する。制御部212は、このサイドスイッチ操作検出回路211の出力に基づいて、サイドスイッチ118がオン、オフのいずれの状態であるかを検出するようにする。
【0104】
制御部212は、検出した電子ペン1による指示位置の座標値、筆圧値及びサイドスイッチ118のオン、オフの検出結果の情報を、タブレット2の出力としてPC3に送信する。
【0105】
上述した電子ペン1の例においては、位置検出用モジュール11をカートリッジの構成として、ペン筐体13内に収納する構成であっても、サイドスイッチ118を電子ペン1に設けることができる。
【0106】
以上説明した上述の構成の電磁誘導方式の位置検出用モジュール11Mは、電源を必要としない構成であって、筆圧検出部114Mの筆圧検出出力は、共振回路RC1の共振周波数の変化として位置検出装置で検出するように構成した。これに対して、電磁誘導方式の位置検出用モジュール11としては、筆圧検出部114Mの筆圧検出出力を、例えばデジタル値として位置検出装置200M側に送信するように構成することもできる。この場合には、位置検出用モジュール11には、そのための制御回路を設ける必要があると共に、電源電圧を必要とする。位置検出用モジュール11の電源電圧は、電池を設けて生成するようにしてもよいが、次のような構成として、電池を設けずに、電源電圧を位置検出センサ側からのエネルギー供給を受けて生成する構成とすることもできる。
【0107】
図12は、そのように構成する場合の位置検出用モジュール11の回路基板115Mにおける電子回路40の構成例を示すものである。この例では、電子ペン1の位置検出用モジュール11の共振回路40Rは、タブレット2の位置検出センサの導体と電磁誘導結合することにより、位置検出用信号を授受すると共に、筆圧検出部114Mで検出される筆圧情報と、位置検出用モジュール11の識別情報(以下、位置検出用モジュール11の識別情報を、識別情報ID1とする)とを、タブレット2の位置検出センサ201に送信するように構成される。
【0108】
すなわち、電子回路40においては、
図12に示すように、コイル113Mに対して、コンデンサ116Mが並列に接続されて共振回路40Rが構成される。そして、電子回路40は、
図12に示すように、付加情報としての筆圧情報や識別情報の送信を制御する制御回路401を備える。この例では、この制御回路401はIC(Integrated Circuit;集積回路)として構成されている。
【0109】
この制御回路401を構成するICは、共振回路40Rにてタブレット2の位置検出センサ201から電磁結合により受信した交流信号を、ダイオード402及びコンデンサ403からなる整流回路(電源供給回路)404にて整流して得られる電源であるVccにより動作するように構成されている。
【0110】
そして、この例では、共振回路40Rと整流回路404との間には、通常は開(ノーマルオープン)の状態とされるスイッチ回路405が設けられている。また、タブレット2の位置検出センサ201から共振回路40Rを通じて受信する交流信号からスイッチ回路405をオンにするスイッチ制御信号を生成するスイッチ制御回路406が設けられている。電子ペン1がタブレット2の近傍に持ち来たらされると、スイッチ回路405が、スイッチ制御回路406からのスイッチ制御信号によりオンとなり、整流回路404から電源電圧Vccが発生し、制御回路401が動作する状態となる。
【0111】
そして、この例では、コイル113Mと、コンデンサ回路116Mとにより構成される共振回路40Rに並列に、制御回路401によりオン・オフ制御されるスイッチ回路407が接続されている。制御回路401は、タブレット2から送られてくるタイミング信号を、コンデンサ408を介して受信して、このタイミング信号に基づいて、スイッチ回路407をオン・オフ制御することで、共振回路40Rの動作、非動作を制御することで、後述するようにして、デジタル情報である付加情報の送信を行う。
【0112】
また、この例では、
図12に示すように、制御回路401には、筆圧検出部114Mで構成される可変容量コンデンサ114MCが接続されると共に、この可変容量コンデンサ36Cには、抵抗Rが並列に接続されている。制御回路401は、可変容量コンデンサ114MCを充電した後、抵抗Rを通じて放電させて、可変容量コンデンサ114MCの両端電圧が所定閾値になるまでの時間を計測することで、可変容量コンデンサ114MCの静電容量を測定する。
【0113】
制御回路401は、その測定した可変容量コンデンサ114MCの静電容量の値から筆圧値を算出する。そして、制御回路401は、算出した筆圧値の情報を複数ビットのデジタル信号とし、スイッチ回路407をオン・オフ制御することで、筆圧値の情報を、ASK(Amplitude Shift Keying)変調信号として、あるいは、OOK(On Off Keying)変調信号として、位置検出用信号とは時間的に分離されるタイミングで、タブレット2に送信する。
【0114】
また、この例では、制御回路401には、IDメモリ409が接続されている。このIDメモリ409には、位置検出用モジュール11の識別情報ID11Mとして、例えば製造者番号及び製品番号を含むユニークな複数ビットのデジタル信号が記憶されている。
【0115】
制御回路401は、このIDメモリ409に記憶されている識別情報ID11Mを読み出して、スイッチ回路407をオン・オフ制御することで、この識別情報ID11Mを、ASK変調信号あるいはOOK変調信号として、前述した位置検出用信号及び筆圧値の情報とは別のタイミングで、タブレット2に送信する。
【0116】
<静電容量方式の例>
図13は、静電容量方式の位置検出用モジュール11Cの構成の一例を示すものである。この例の位置検出用モジュール11Cは、導電材料、例えば導電金属からなる芯体111Cと、筆圧検出部114Cと、信号発信回路115Cとを備えると共に、電源回路116Cとして、この例では、一次電池116CEが設けられている。信号発信回路115Cは、この例では、コイルとコンデンサとによる共振を利用したLC発振回路で構成されている。
【0117】
筆圧検出部114Cには、芯体111Cの先端部111Caとは反対側の端部が嵌合される。筆圧検出部114Cは、芯体111Cの先端部111Caを、タブレット2の入力面2aに接触させて筆記入力する際に、芯体111Cの先端部111Caに印加される圧力(筆圧)を検出する。筆圧検出部114Cは、この例では、筆圧検出部114Mと同様の、静電容量の変化として検出する周知のもので構成されている。
【0118】
筆圧検出部114Cで構成される可変容量コンデンサ114CCは、信号発信回路115Cに接続されている。信号発信回路115Cを構成するLC共振回路の共振周波数は、可変容量コンデンサ114CCの静電容量分に応じて変化する。すなわち、信号発信回路115Cから出力される周波数信号の周波数は、可変容量コンデンサ114CCの静電容量分に応じて変化する。
【0119】
そして、この例では、信号発信回路115Cには、一次電池116CEからの電源電圧が供給され、この信号発信回路115Cの信号出力端が導電材料からなる芯体111Cに接続されている。
【0120】
この
図13(B)の例の位置検出用モジュール11Cを備える電子ペン1は、信号発信回路115Cからの周波数信号を、芯体111Cを通じてタブレット2の静電容量方式の位置検出装置の位置検出センサに送出する。
【0121】
図14は、静電容量方式の位置検出用モジュール11Cの他の例を示すものであり、この例では、電源回路116Cとして一次電池ではなく、電磁誘導方式の充電回路で充電される電気二重層コンデンサ1161が用いられる。
【0122】
すなわち、この例の位置検出用モジュール11Cでは、
図14(A)に示すように、芯体111Cを貫通させる貫通孔を備える磁性体コア、例えばフェライトコア112Cにコイル113Cが巻回されて設けられている。芯体111Cは、フェライトコア112Cの貫通孔を通じて筆圧検出部114Cに嵌合されている。
【0123】
そして、電子ペン1を、図示しない充電器に装着したときに、充電器が発生する交番磁界により位置検出用モジュール11Cのコイル113Cには誘導起電力が発生して、
図14(B)に示すように、ダイオード1162を介して電気二重層コンデンサ1161を充電する。そして、電圧変換回路1163は、電気二重層コンデンサ1161に蓄えられた電圧を一定の電圧に変換して信号発信回路115Cの電源として供給する。電源の供給を受けた信号発信回路115Cは、所定の周波数の信号を芯体111Cを通じてタブレット2の静電容量方式の位置検出装置の位置検出センサに送出する。
【0124】
図15は、この例の位置検出用モジュール11Cを備える電子ペン1と静電容量結合することで位置検出を行うタブレット2の位置検出装置200Cの回路構成例を示す図である。
【0125】
この例の位置検出装置200Cは、
図15に示すように、静電容量方式の位置検出センサ220と、この位置検出センサ220に接続される位置検出回路230とからなる。位置検出センサ220は、この例では、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体221Y
1、221Y
2、…、221Y
m(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置した第1の導体群と、第1の導体221Y
1~221Y
mの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体222X
1、222X
2、…、222X
n(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置した第2の導体群を備えている。
【0126】
以下の説明において、第1の導体221Y1~221Ymについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体221Yと称し、同様に、第2の導体222X1~~222Xnについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体222Xと称することとする。
【0127】
位置検出回路230は、位置検出センサ220との入出力インターフェースとされる選択回路231と、位置検出用回路232と、筆圧検出用回路233と、制御回路234とからなる。
【0128】
選択回路231は、制御回路224からの制御信号に基づいて、第1の導体群または第2の導体群の中から1本の導体221Yまたは222Xを選択する。位置検出用回路232は、選択回路231により選択された導体について、電子ペン1の位置検出用モジュール11Cから送信される信号の周波数の成分のみを抽出し、その抽出した周波数成分の信号レベルに応じた情報を制御回路234に出力する。制御回路234は、この位置検出用回路232からの信号レベルに応じた情報に基づき、電子ペン1の位置検出用モジュール11Cの芯体111Cの先端部111Caによって指示された位置検出センサ220上の位置座標を算出する。
【0129】
筆圧検出用回路233は、電子ペン1の位置検出用モジュール11Cから送信される周波数信号の周波数を検出して、その検出した周波数の情報を制御回路234に供給する。制御回路234は、この筆圧検出用回路233からの周波数の情報から、筆圧検出部114Cで検出された筆圧値を算出する。
【0130】
そして、制御回路234は、算出した電子ペン1による指示位置の座標値と、筆圧値とを、PC3に供給するようにする。
【0131】
なお、上述の静電容量方式の位置検出用モジュール11Cでは、筆圧値の情報は、信号発信回路115Cからの周波数信号の周波数変化としてタブレット2に送信するようにしたが、電磁誘導方式の
図12の例の位置検出用モジュール11Mの電子回路と同様に、筆圧値の情報は、信号発信回路115Cからの周波数信号をASK変調やOOK変調してタブレット2の位置検出装置に送信するようにしてもよい。また、位置検出用モジュール11Cの識別情報ID11Cも、信号発信回路115Cからの周波数信号をASK変調やOOK変調してタブレット2の位置検出装置に送信することもできる。
【0132】
なお、この静電容量方式の位置検出用モジュール11Cを用いた電子ペン1においても、信号発信回路115CをLC発振回路を用いた構成とした場合には、
図10に示したように、電子ペン1の筐体13の周囲にコイル117とサイドスイッチ118とを設けることで、信号発信回路115Cからの周波数信号の周波数を、サイドスイッチ118のオン、オフに応じて変化させることができ、サイドスイッチを設ける構成とすることができる。
【0133】
なお、上述した位置検出用モジュール11M及び位置検出用モジュール11Cにおいては、筆圧値の情報や識別情報ID1MあるいはID1Cなどの付加情報は、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部を設けて、位置検出用信号とは別個に、その無線通信部を通じてタブレット2の送信するように構成してもよい。ただし、その場合には、位置検出用モジュール11Mにも、必ず、電源回路を設ける必要がある。
【0134】
[拡張機能モジュール12の構成例]
次に、拡張機能モジュール12の構成例について説明する。
図16は、拡張機能モジュール12の構成例を示すブロック図である。この
図16の例の拡張機能モジュール12は、前述したように、特性選定用情報を生成する情報生成部121と、生成した特性選定用情報を送信する送信部の例としての無線通信部122とを備える。また、この例では、拡張機能モジュール12は、刺激発生部123を備える。さらに、この例では、拡張機能モジュール12は、当該拡張機能モジュール12の識別情報(以下、拡張機能モジュール12の識別情報ID2とする)を記憶するIDメモリ124を備える。IDメモリ124に記憶される識別情報ID2は、例えば製造者番号や製品番号を含むユニークが情報とされる。
【0135】
そして、この例の拡張機能モジュール12は、上記の情報生成部121と、無線通信部122と、刺激発生部123と、IDメモリ124とが、当該拡張機能モジュール12の全体の動作を制御する制御回路120に接続されて構成されている。制御回路120は、マイクロプロセッサで構成され、予めインストールされているソフトウェアプログラムにより、制御動作処理を実行するように構成されている。
【0136】
制御回路120と、情報生成部121と、無線通信部122とにより第1の機能部が構成される。また、制御回路120と、情報生成部121と、刺激発生部124とで、あるいは、制御回路120と、無線通信部122と、刺激発生部124とで、第2の機能部が構成される。なお、後述するテクスチャ検出部10Xと、制御回路120と、刺激発生部124とで第2の機能部が構成される場合もある。
【0137】
そして、この例の拡張機能モジュール12には、電源回路125が設けられ、この電源回路125で生成された電源電圧Vccが、制御回路120、情報生成部121、無線通信部122、刺激発生部123と、IDメモリ124、の各部に供給されるように構成されている。電源回路125は、
図16では図示を省略するが、一次電池或いは充電式の二次電池など蓄電素子を備えている。そして、電源回路125には、
図16の例においては、電源スイッチ14Sからなる起動スイッチが接続されており、この電源スイッチ14Sがオンとされることにより、電源回路125が動作を開始し、上述した各部への電源電圧Vccの供給が開始され、拡張機能モジュール12が動作を開始するように構成されている。
【0138】
なお、前述もしたように、拡張機能モジュール12には、情報生成部121と刺激発生部123との両方を搭載することは必須ではなく、いずれか一方のみを設けるように構成することもできる。また、IDメモリ124も必須のものではなく、設けなくてもよい。さらに、無線通信部122の代わりに、有線接続により、生成した特性選定用情報をPC3に送信するように構成してもよい。
【0139】
筆記具において、その筆記跡がどのようなものとなるかは、筆記具のペン先の特性と筆記対象となる紙などの筆記媒体の特性により決まる。そこで、この実施形態では、情報生成部121は、筆記跡を表示する際の表示態様を選定するための特性選定用情報として、芯体111の特に入力面2aと接触する先端部111aが有する特性と、入力面2aが有する特性とに応じた情報を生成する。この場合の特性選定用情報は、実際的に電子ペン1を入力面2aに接触させて筆記入力をする際に取得される情報(実特性選定用情報という)として生成することができる。
【0140】
この例では、実特性選定用情報は、実際的に電子ペン1を入力面2aに接触させて筆記入力をしたときの電子ペン1の芯体111の先端部111aの動きとして取得するようにする。そのため、この例では、情報生成部121は、電子ペン1の芯体111の先端部111aの動きに応じた動きを検出するためのモーションセンサ(動きセンサ)で構成される。この例では、モーションセンサとして、ジャイロセンサ(角速度センサ)1211と加速度センサ1212とが設けられる。なお、実特性選定用情報は、実際的に電子ペン1を入力面2aに接触させて筆記入力をしたときの電子ペン1の芯体111の先端部111aの実特性に対応した動きの情報を含む実特性対応情報でもある。
【0141】
例えば、所定の硬さ、形状、細さ、大きさ、材質などの特性を有する芯体111の先端部111aにより、所定の表面粗さや厚さ、硬さなどの特性や材質に応じた特性を有する入力面2a上で位置指示入力をしたときには、芯体111の先端部111aは、その入力面2a上の特性に応じた動きをする。ジャイロセンサ1211及び加速度センサ1212は、その芯体111の先端部111aの動きに応じた動きを検出し、その検出した動き検出出力を制御回路120に供給する。
【0142】
制御回路120は、情報生成部121から受け取ったジャイロセンサ1211及び加速度センサ1222の動き検出出力を、実特性選定用情報として、PC3に送信するための送信信号に変換し、無線通信部122を通じてPC3に送信する。なお、拡張機能モジュール12の無線通信部122を通じて送信する動き検出出力は、位置検出モジュール11の芯体111が位置検出センサの入力面に接触して筆記入力操作と同期しているので、タブレット2を通じてPC3に送られる座標出力や筆圧値の情報とも、タイミング的に同期してことは言うまでもない。
【0143】
制御回路120は、この例では、送信信号には、IDメモリ124から読み出した識別情報ID2を含めるようにする。PC3側では、この識別情報ID2を、拡張機能モジュール12の識別情報として認識すると共に、位置検出用モジュール11から識別情報ID1がタブレット2を通じてPC3に送られない場合には、電子ペン1の識別情報としても認識するようにしてもよい。位置検出用モジュール11から識別情報ID1がタブレット2を通じてPC3に送られる場合には、それぞれの識別情報ID1,ID2は、PC3では、位置検出用モジュール11自身の識別情報(位置検出モジュールID)及び拡張機能モジュール12自身の識別情報(拡張機能モジュールID)として認識される。
【0144】
PC3は、後述するように、受信した実特性選定用情報を、タブレット2から受け取った電子ペン1による指示位置の時系列変化としての筆記跡の表示に反映させるなどの処理を行う。この場合の実特性選定用情報は、実特性に対応するペン先の動きの情報を含む実特定対応情報として用いられる。
【0145】
また、PC3は、電子ペン1から受信した識別情報(ペンID、位置検出モジュールID及び拡張機能モジュールID)を、PC3における電子ペン1による筆記跡を表示画面に表示する場合における特定の表示属性(例えば、表示する筆記跡の色、濃さ、太さなど)を定める情報として用いたり、芯体111の特定の属性(例えば硬さ、細さ)を定める情報として用いたりする。さらに、PC3は、受信した実特性選定用情報を、他の電子ペンに送信して提供することも行う。
【0146】
刺激発生部123は、この例では、前述したように、電子ペン1を把持する使用者が聴覚及び/又は触覚を通じて感得される刺激を発生するアクチュエータを備える。聴覚を通じて感得される刺激の例としては音(音響)による刺激とされ、音響刺激を発生するアクチュエータ(音響震動体)として、この例ではスピーカ1231が設けられている。
【0147】
触覚を通じて感得される刺激としては、電子ペン1のペン筐体13を把持する使用者に対して、力による刺激、震動による刺激、動きによる刺激の少なくとも一つが用いられ、刺激発生部123は、それらの刺激を発生するアクチュエータを備える。この例では、震動による刺激を使用者に与えるためのアクチュエータとしてバイブレータ1232が設けられている。なお、触覚を通じて感得される刺激を発生するアクチュエータとしては、回転震動体、伸縮震動体(ピエゾ素子を用いる軸体移動機構やコイルで軸体を前後あるいは左右に移動させる移動機構など)を用いることもできる。
【0148】
スピーカ1231は、放音音声が電子ペン1の使用者が聴取することができるように設けられている。このため、図示は省略するが、電子ペン1のペン筐体13の側周面には、スピーカ1231の放音音声を外部に放出するための複数個の貫通小孔が設けられている。また、バイブレータ1232は、自身の震動により、拡張機能モジュール12を通じてペン筐体13を震動させて、その震動を使用者が感得することができるように設けられている。
【0149】
そして、この例の電子ペン1の拡張機能モジュール12においては、制御回路120は、情報生成部121から受け取った実特性選定用情報は実特性対応情報でもあることから、当該実特性選定用情報が得られたときに入力面と電子ペン1の芯体111の先端部111aとの間の摩擦により生じる音に対応する音声信号を生成すると共に、使用者が感得する震動に対応する震動ドライブ信号を生成する。また、制御回路120は、無線通信部122を通じてPC3から受信した実特性選定用情報からも、同様にして、音声信号及び震動ドライブ信号を生成する。
【0150】
制御回路120は、この例では、実特性選定用情報で選定される種々の実特性の情報(動き検出出力の種々の値からなる)に対応する音声信号及び震動ドライブ信号の対応テーブルの情報を記憶しており、その対応テーブルの情報を用いて、制御回路120は、情報生成部121で生成した、あるいは無線通信部122を通じて受信した、実特性選定用情報で選定される実特性に対応する情報(動き検出出力)から音声信号及び震動ドライブ信号を生成する。このテーブル情報は、予め制御回路120に記憶しておくようにしてもよいが、この例では、PC3から予め主として記憶保持しておくようにする。なお、PC3は、必要なテーブル情報を、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置4から取得することができる。制御回路120が記憶保持する、後述する他のテーブル情報についても同様である。
【0151】
そして、制御回路120は、生成した音声信号を、アンプ1233を通じてスピーカ1231に供給すると共に、生成した震動ドライブ信号を、ドライブ回路1234を通じてバイブレータ1232に供給する。これにより、スピーカ1231からは、実特性選定用情報に応じた音による刺激が、また、バイブレータ1232からは実特性選定用情報に応じた震動刺激が、それぞれ使用者により感得できるようにされる。
【0152】
<希望特性選定用情報>
この実施形態では、また、上述のような実特性選定用情報ではなく、使用者により、芯体111及び/又は入力面2aが有すべき特性として、芯体111及び/又は入力面2aに持たせたい特性(希望特性)を指定してもらい、その希望特性の指定情報を、電子ペン1の拡張機能モジュール12からPC3に送信することができるように構成する。以下の説明では、希望特性の指定情報を、希望特性選定用情報と称することとする。
【0153】
この例の場合の拡張機能モジュール12の構成例を
図17に示す。この
図17に示すように、この例においては、電子ペン1の使用者が、芯体111に持たせたい希望特性を選択指定することができるようにするために、使用者が操作可能な操作手段18を設ける。そして、この例においては、第2の機能モジュール12の情報生成部121Aには、この操作手段18により指定された希望特性が何であるかを検出する操作状態検知部1213と、この操作状態検知部1213の検出結果に基づいた指定情報を、希望特性選定用情報として生成する希望特性選定用情報生成部1214とを設ける。
【0154】
この場合に、電子ペン1には、操作手段18として、芯体111に持たせたい希望特性を選択指定する操作手段と、入力面2aに持たせたい希望特性を選択指定する操作手段との両方を設けてもよいし、どちらか一方を設けるようにしてもよい。
【0155】
図18及び
図19は、希望特性選定用情報を指定する操作手段18の例をそれぞれ示すである。
図18及び
図19の例は、芯体111に持たせたい希望特性を選択指定する操作手段の例であり、芯体111に持たせたい希望特性の例として、芯体111の硬さを選定する場合の例である。例えば、筆記具の鉛筆の場合には、芯の硬さ及び濃さを表す指標として、「B」、「H」、「F」、「HB」などの英記号を用いるが、この例では、当該鉛筆の芯の硬さ及び濃さを表す英記号を芯体111の希望特性の指定情報として選定するようにする。
【0156】
図18の例においては、操作手段18は、
図18(A)に示すように、電子ペン1のペン筐体13の外周部の、筐体13内に拡張機能モジュール12が設けられている部分に配設されている回転リング18Rで構成されている。
図18(A)は、電子ペン1の後端側の拡張機能モジュール12が配設されている側を示す図であり、
図18(B)は、
図18(A)における回転リング18Rの位置の横断面図(A-A断面図)である。
【0157】
回転リング18Rは、
図18(A)及び(B)に示すように、ペン筐体13の軸心中心位置を中心に回転可能の状態で、ペン筐体13の外周部に配設されている。そして、
図18(A)及び(B)に示すように、ペン筐体13の当該回転リング18Rが配設される部分は、外光が透過できる透明部材13Tにより構成されている。一方、回転リング18Rには、円周方向の所定位置に貫通孔からなる開口18Raが形成されている。したがって、外光がこの回転リング18Rの開口18Ra及びペン筐体13の透明部材13Tを介して、ペン筐体13の内部に入射する。
【0158】
ペン筐体13の内部に配設されている拡張機能モジュール12は、筐体を備える場合には、光が透過する透明の筐体が用いられる。そして、拡張機能モジュール12の、回転リング18Rの開口18Raを通して入射する光を受光する位置には、ペン筐体13の軸心中心位置を中心とする円周方向に沿って、開口18Raを通して入射する光を検出するための受光センサ19PDが配設されている。この受光センサPDは、
図18(B)に示すように、円周方向において複数個の分割領域を有する構成とされる。受光センサPDは、情報生成部121Aの操作状態検知部1213を構成する。
【0159】
この受光センサPDの各分割領域における光検出出力は、情報生成部121Aの希望特性選定用情報生成部1214に供給される。希望特性選定用情報生成部1214は、受光センサPDの複数個の分割領域の内のいずれの分割領域の光検出出力が最大レベルとなっているかにより、回転リング18Rの開口18Raの回転角位置を検出する。
【0160】
そして、この例では、受光センサPDの各分割領域に対応して、希望特性の例として、芯体111の特性としての鉛筆の芯の硬さ及び濃さが、予め割り付けられており、希望特性選定用情報生成部1214は、光検出出力が最大レベルとなっている受光センサ19PDの分割領域に割り付けられている鉛筆の芯の硬さ及び濃さを検出し、その検出した鉛筆の芯の硬さ及び濃さを指定する情報として、希望特性選定用情報を生成する。
【0161】
この場合に、希望特性選定用情報生成部1234は、指定された芯体111の硬さに応じた希望特性選定用情報の対応テーブル情報を備え、その対応テーブル情報を用いて、指定された芯体の硬さに応じた希望特性選定用情報を生成するようにしてもよい。そして、制御回路120は、情報生成部121Aで生成された希望特性選定用情報を、無線通信部122を通じてPC3に送信する。
【0162】
また、制御回路120は、希望特性選定用情報で指定される種々の希望特性の情報に対応する音声信号及び震動ドライブ信号の対応テーブルの情報が記憶されており、その対応テーブルの情報を用いて、制御回路120は、情報生成部121Aで生成した、あるいは無線通信部122を通じて受信した、希望特性選定用情報から指定された希望特性に応じた音声信号及び震動ドライブ信号を生成する。
【0163】
PC3は、後述するように、受信した希望特性選定用情報を、タブレット2から受け取った電子ペン1による指示位置の時系列変化としての筆記跡の表示に反映させるなどの処理を行う。また、PC3は、受信した希望特性選定用情報を、他の電子ペンに送信して提供したりすることもできる。
【0164】
図18(A)に示すように、ペン筐体13の回転リング18Rの近傍には、「F」、「HB」、「H」など、芯体111の希望特性として指定される鉛筆の芯の硬さ及び濃さを示す文字が印刷されており、使用者は、この印刷文字を頼りに開口18Raの位置が、希望する芯体111の硬さの文字位置になるように回転リング18Rを回転させることで、芯体111の硬さを、希望特性の一例として指定することができる。
【0165】
なお、回転リング18Rにより、希望特性として、芯体111の特性を指定するのではなく、位置検出センサの入力面2aの特性を指定することもでき、その場合には、受光センサPDの各分割領域のそれぞれに、当該入力面2aの異なる特性を割り当てるものである。例えば、入力面2aを構成する材料により特性が特定されるので、「ガラス面」、「硬質樹脂面」、「軟質樹脂面」、「ケント紙」、「和紙」などを割り当てて指定することができる。
【0166】
図18の例は、光学的に回転リング18Rの回転角位置を検出するようにした場合であるが、回転リング18Rの回転角位置を検出する方法としては、これに限られるものではない。例えば磁気的に回転リング18Rの回転角位置を検出する構成とすることができる。すなわち、磁気的に検出する場合には、回転リング18Rに開口18Raを設ける代わりに、当該開口18Raの位置に磁石を取り付ける。一方、拡張機能モジュール12には、円周方向に複数個に分割領域を備える受光センサ19PDを設ける代わりに、円周方向に複数個の磁気センサを互いに分離して配設すると共に、各磁気センサに、芯体111の硬さなどの異なる特性を対応付けたり、入力面2aの材質などの異なる特性を対応付けたりしておくようにすればよい。
【0167】
上述の実施形態では、回転リング18Rは、ペン筐体13の外周部に設けるようにしたが、拡張機能モジュール12が筐体を備えていて、かつ、その筐体の尾端側がペン筐体から突出するように構成されている場合には、回転リング18Rは、拡張機能モジュール12の筐体のペン筐体13の尾端側から突出している部分の外周部分に設けるようにしてもよい。
【0168】
また、特性選定用情報の指定の操作手段としては、
図18に示した回転リングを用いるものに限られるものではない。
【0169】
図19は、特性選定用情報の指定の操作手段の他の一例を示すもので、この例は、位置検出用モジュール11に対して設けられるサイドスイッチなどと同様のスイッチ操作手段を用いる例である。
【0170】
図19に示す操作手段18の例は、
図10に示した位置検出用モジュール11に対して設けられるサイドスイッチと同様のスイッチ操作手段18Sを、電子ペン1のペン筐体13の外周部に使用者により操作可能に設ける。このスイッチ操作手段18Sは、
図10の例と同様に、ペン筐体13の外周部の拡張機能モジュール12が内部に存在する位置に巻回されて設けられるコイル18Lの巻き始め端と巻き終わり端との間に接続される。
【0171】
そして、この例においては、
図17に示した拡張機能モジュール12の情報生成部121Aの操作状態検知部1213は、コイル19Lとコンデンサ19Cとからなる共振回路を備える。そして、希望特性選定用情報生成部1214は、この操作状態検知部1213の共振回路の、スイッチ操作手段18Sのオン、オフに応じたコイル18Lの影響による共振周波数の変化を監視して、スイッチ操作手段18Sのオン、オフを検出する。さらに、希望特性選定用情報生成部1214は、スイッチ操作手段18Sのオン、オフ操作の繰り返し回数や、オン時間の継続長さなどを検出し、その検出結果に基づいて、使用者により指定された希望特性選定用情報を生成するようにする。
【0172】
なお、第2の機能モジュール12の情報生成部は、実特性選定用情報と希望特性選定用情報との両方を生成する機能を備えると共に、使用者の選択により、そのいずれか一方を生成して、PC3に送信するように構成してもよい。
【0173】
<テクスチャ検出部>
電子ペン1は、位置検出用モジュール11及び拡張機能モジュール12に加えて、タブレット2の入力面2aの材質感、素材感、肌合いなどのテクスチャを検出するテクスチャ検出部を備えていてもよい。
【0174】
図20は、テクスチャ検出部を備える電子ペン1の例を説明するための図である。この例の電子ペン1においては、上述したように、ペン筐体13内に、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とが、当該ペン筐体13の軸心方向に並べられて配設されると共に、ペン筐体13の、位置検出用モジュール11の芯体111の先端部111a側の部分に、テクスチャ検出部10TXが設けられる。
【0175】
この例では、テクスチャ検出部10TXは、撮像素子101CMと、マイクロフォン102MCとで構成されている。撮像素子101CMは、ペン筐体13の外周部の所定位置に取り付けられ、タブレット2の入力面2aの表面を撮像するように設けられる。撮像素子101CMは、1個でもよいし、外周部の互いに異なる位置に複数個が設けられていてもよい。マイクロフォン102MCも、また、ペン筐体13の外周部の所定位置に取り付けられ、電子ペン1の芯体111の先端部111aとタブレット2の入力面2aの表面との摩擦により生じる音を収音するように設けられる。マイクロフォン102MCも、1個でもよいし、外周部の互いに異なる位置に複数個が設けられていてもよい。
【0176】
図示は省略するが、この例では、テクスチャ検出部10TXには、一次電池あるいは二次電池を備える電源回路を備え、撮像素子101CMやマイクロフォン102MCの電源電圧を供給する。また、この例では、テクスチャ検出部10TXは、例えばブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信を行う無線通信部を備え、撮像素子101CMで撮像した入力面2aの撮像データと、マイクロフォン102MCで収音した音データを、PC3に送信する機能を備えている。
【0177】
なお、テクスチャ検出部10TXには無線通信部を設けずに、撮像素子101CMで撮像した入力面2aの撮像データと、マイクロフォン102MCで収音した音データとは、拡張機能モジュール12の制御回路120に入力するように構成して、制御回路120が、無線通信部122を通じてPC3に、送信するようにしてもよい。また、テクスチャ検出部10TXは、電源回路を有せずに、拡張機能モジュール12から電源電圧を供給を受けるように構成してもよい。
【0178】
PC3では、受信したテクスチャ検出部10TXからのテクスチャ検出情報、この例では、撮像素子101CMで撮像した入力面2aの撮像データと、マイクロフォン102MCで収音した音データとは、前述した拡張機能モジュール12における実特性選定用情報と同様の処理がなされる。すなわち、撮像素子101CMで撮像した入力面2aの撮像データと、マイクロフォン102MCで収音した音データとは、入力面2aの実特性に応じた情報であって、実特性選定用情報として扱うことができる。
【0179】
そのため、撮像素子101CMで撮像した入力面2aの撮像データと、マイクロフォン102MCで収音した音データとが拡張機能モジュール12の制御回路120に入力される構成の場合には、制御回路120は、情報生成部121から取得した動き検出出力情報と、テクスチャ検出部10TXから取得した撮像データ及び音データを、実特性選定用情報としてPC3に送信するようにすることもできる。
【0180】
また、拡張機能モジュール12の制御回路120は、テクスチャ検出部10TXからのテクスチャ検出出力の例としての撮像データ及び音データから、刺激発生部123のスピーカ1231やバイブレータ1232を駆動する駆動信号を生成する機能を備えるように構成することができる。その場合に、拡張機能モジュール12の制御回路120に、テクスチャ検出部10TXからのテクスチャ検出出力の例としての撮像データ及び音データが入力されるように構成されている場合に限られる訳ではない。なぜなら、制御回路120が無線通信部122を通じて、テクスチャ検出部10TXからのテクスチャ検出出力としての撮像データ及び音データを、PC3経由で受信し、その受信データに基づいて、駆動信号を生成するように構成することもできる場合もあるからである。
【0181】
なお、この
図20の例の場合の電子ペン1の構成としては、拡張機能モジュール12においては実特性選定用情報としての動き検出出力を得る情報生成部は備えない構成とすると共に、テクスチャ検出部10TXを設けて、そのテクスチャ検出出力を実特性選定用情報としてPC3に送信するように構成してもよい。
【0182】
また、電子ペン1として、拡張機能モジュール12を設けずに、テクスチャ検出部10TXと、位置検出用モジュール11とを備える構成としてもよい。ただし、その場合には、テクスチャ検出部10TXには、電源回路が設けられると共に、PC3にテクスチャ検出出力を送信するための無線あるいは有線の通信手段を設ける。
【0183】
以上説明した上述の実施形態の電子ペン1では、タブレット2の入力面2a上での筆記入力時には、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは、ペン筐体13内に収納されている場合のみならず、
図13のキャップ式のペンの構成においても、ペン筐体13の軸心方向に配置される状態において、使用者の利き手で把持されて使用される。
【0184】
しかしながら、拡張機能モジュール12は、
図13の例のように、ペン筐体13とは別体のものとして構成される場合には、使用時にも、使用者の利き手と非利き手とに分けて把持されて使用されるように構成することもできる。
【0185】
図21は、そのような構成とした場合の電子ペン1の例を示すものであり、この例では、
図21(A)に示すように、ペン筐体13内には、位置検出用モジュール11のみが収納され、ペン筐体13の軸心方向の一端側の開口から位置検出用モジュール11の芯体111Cの先端部111aが突出する状態とされると共に、拡張機能モジュール12は、ペン筐体13とは別筐体である拡張機能モジュール用筐体12K内に収納されて構成されている。
【0186】
そして、使用時には、使用者の利き手HRでペン筐体13が把持されて、タブレット2の入力面2a上で筆記入力がなされると共に、使用者の非利き手HLで拡張機能モジュール用筐体12Kが把持される。この
図21の場合の電子ペン1における拡張機能モジュール12は、上述の例における情報生成部121は備えず、無線通信部122と、刺激発生部123とを備える構成とされる。
【0187】
次に、以上のような構成を備える電子ペン1と、タブレット2及びPC3とからなる入力システムにおける幾つかの処理動作例について説明する。
【0188】
[入力システムの処理動作例1;筆記跡の表示態様の決定]
<処理動作例1-1:電子ペン1による筆記跡の表示態様を実特性選定用情報で決定>
図22は、入力システムの処理動作例1を説明するためのブロック図であり、この例は、PC3が、インストールされている描画ソフトウェアプログラムにより、表示装置32の表示画面32Dにおいて、電子ペン1によりタブレット2の入力面2a上で筆記入力された筆記跡の表示画像を、電子ペン1の拡張機能モジュール12からの特性選定用情報に基づいた表示態様で表示するようにする場合である。なお、後述する入力システムの処理動作例の他の例も、同様にして、PC3が、インストールされている描画ソフトウェアプログラムにより、タブレット2から取得した電子ペン1による筆記跡を表示する場合である。
【0189】
この例の入力システムにおける電子ペン1は、
図22に示すように、電磁誘導方式の位置検出用モジュール11で構成され、タブレット2の位置検出センサと電磁結合して信号のインタクラクションをする共振回路を構成するコイル113Mと、筆圧検出部114Mとを備える。そして、この例の電子ペン1の拡張機能モジュール12は、制御回路120、情報生成部121、無線通信部122、IDメモリ124、電源回路125を備えるが、刺激発生部123は備えない構成とされている。なお、位置検出用モジュール11は、静電容量方式のものとしてもよいことは、前述した通りであり、後述する他の例においても同様である。
【0190】
そして、この例の入力システムにおけるPC3は、タブレット2からのタブレット出力を受信して処理するタブレット出力処理部311と、電子ペン1の無線通信部122と通信を行うための無線通信部312と、表示態様決定部313と、表示情報生成部314とを備える。この場合に、PC3においては、タブレット2からのタブレット出力と、無線通信部312を通じて受信した電子ペン1の拡張機能モジュール12からの情報とは、互いにタイミング的には同期している情報としてリアルタイム処理をすることができるようにしている。
【0191】
表示態様決定部313は、無線通信部312を通じて電子ペン1から取得した特性選定用情報と、タブレット出力処理部311からの筆圧値の情報とから、表示装置32の表示画面32Dに表示する筆記跡の表示態様を決定する。
【0192】
そして、表示情報生成部314は、タブレット出力処理部311からの電子ペン1の芯体111の先端部111aの座標情報から、筆記跡の情報を生成すると共に、生成した筆記跡の情報を、表示態様決定部313で決定された表示態様に基づいた表示情報を生成し、表示装置32に供給して、表示画面32Dに筆記跡の表示情報を表示するようにする。
【0193】
なお、PC3のタブレット出力処理部311と、表示態様決定部313と、表示情報生成部314とは、PC3のプロセッサがプログラムに基づいた機能処理として実現されるものである。
図23は、このPC3のプロセッサが、プログラムに従って実行する処理の流れの例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートの流れに従いながら、この例の入力システムの処理動作について説明する。
【0194】
使用者は、この例では、拡張機能モジュール12の電源スイッチをオンにし、電子ペン1を把持して、タブレット2の位置検出センサの入力面2aで筆記入力の操作をする。すると、タブレット2の位置検出センサ20を通じて位置検出回路は、電子ペン1の位置検出用モジュール11のコイル113Mを含む共振回路と信号のインタクラクションを行うことで、前述したようにして、電子ペン1の芯体111の先端部111aにより指示入力された位置を検出して、筆記入力に対応する座標情報を生成すると共に、その際の電子ペン1で検出された筆圧値の情報を取得する。そして、タブレット2は、生成した座標情報と筆圧値の情報をPC3に送る。筆圧値は、例えば
図24(A)に示すように、筆記入力対象や使用者の癖に応じた変化をするものとなる。
【0195】
このとき、電子ペン1の拡張機能モジュール12の情報生成部121では、ジャイロセンサ1211及び加速度センサ1212で電子ペン1の芯体111の先端部111aの動きに応じた動きを検出する。検出された動き検出出力は、例えば
図24(B)に示すように、主として入力面2aの材質に応じた表面状態(表面粗さ、硬さなど)に応じた変化をするものとなるが、これには、筆圧値の影響分も含まれる。拡張機能モジュール12は、検出した動き検出出力を、実特性選定用情報として、IDメモリ124から読み出した識別情報ID2と共に、無線通信部122を通じてPC3に無線送信する。
【0196】
PC3では、タブレット2からの、座標情報と筆圧値の情報とからなるタブレット出力を受信したか否か監視し(
図23のステップS1)、タブレット出力を受信してはいないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS2)、その処理を終了した後、ステップS1に処理を戻す。ステップS1でタブレット出力を受信したと判別したときには、PC3は、タブレット出力の座標情報から筆記跡の情報を生成する(ステップS3)。
【0197】
PC3は、また、無線通信部312の受信情報を取り込み(ステップS4)、その受信情報に含まれる識別情報ID2に基づき、筆記跡を表示する線の線幅、線の濃さを特定する。この場合に、PC3は、識別情報ID2と、線の線幅、線の濃さとの対応テーブルの情報を、予め、通信ネットワーク5を介して、サーバ装置4から取得して、記憶しており、ステップS4での線幅、線の濃さは、記憶しているテーブル情報を識別情報ID2により参照することで特定する。なお、特定するのは、線幅、線の濃さの両方ではなく、いずれか一方でもよいし、識別情報ID2に対応して、さらに、線の色を特定するようにしてもよい。
【0198】
次に、PC3は、無線通信部312の受信情報から実特性選定用情報としての動き検出出力を抽出し、その抽出した動き検出出力から、タブレット出力処理部311から取得する筆圧値の影響を除去した後、その動き検出出力から、タブレット2の入力面2aの材質を特定する(ステップS6)。
【0199】
この場合に、動き検出出力は、タブレット2の入力面2aの材質に応じた
図24(B)に示すような変動をする。サーバ装置4には、
図25に示すように、動き検出出力のタブレット2の入力面2aの材質に応じて異なる複数の変動のタイプと、各変動のタイプに対応する材質との対応テーブルの情報が用意されている。PC3は、予め、この対応テーブルの情報を、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置4から取得して記憶しており、この対応テーブルの情報を用いることで、無線通信部312の受信情報から抽出した動き検出出力に基づいて、入力面2aの材質を特定する。
【0200】
なお、このような対応テーブルの情報を用いるのではなく、PC3が、動き検出出力の情報を解析して、材質に対応するいずれのタイプの動き検出出力であるかを計算により算出するように構成することもできる。
【0201】
ステップS6の次には、PC3は、ステップS5で特定した線幅、線の濃さと、ステップS6で特定した入力面2aの材質とに基づいて、当該材質の入力面2aに、筆記具で直接に筆記したときと同様の表示態様となる筆記跡の表示情報を生成し、その生成した表示情報を表示装置32に送り、表示画面32Dに表示させるようにする(ステップS7)。この場合に、筆記跡の表示情報を生成する際に、タブレット検出出力から抽出される筆圧値の情報を加味するようにしてもよいが、加味するか否かを、使用者が選定することができるようにしてもよい。筆圧値の情報を表示情報に加味しない場合には、使用者の筆記時の癖を排除した筆記跡を表示することができると期待される。
【0202】
ステップS7の次には、PC3は、タブレット検出出力が所定時間以上途絶えたか否かなどにより、筆記が終了したか否か判別する(ステップS8)。このステップS8で、筆記が終了してはいないと判別したときには、PC3は、処理をステップS1に戻して、このステップS1以降の処理を繰り返す。ステップS8で、筆記が終了したと判別したときには、PC3は、この処理ルーチンを終了する。
【0203】
こうして、PC3においては、タブレット2から取得した電子ペン1による筆記跡を、単に座標情報の連続として、均一の線幅、線の濃さなど、均一の表示態様で表示するのではなく、実際に電子ペン1による筆記を行っている際の入力面2aの材質や電子ペン1の芯体111の硬さなどに応じた筆記揺れなどを筆記跡の表示態様に含めて表示することができる。したがって、この例によれば、鉛筆などで、紙媒体などの筆記媒体に描いたときと同様に、筆記媒体や鉛筆の芯の硬さなどに応じた筆記跡を、表示画面32Dに表示することができるという顕著な効果を奏する。
【0204】
なお、以上の処理例では、ステップS6で、入力面2aの材質を特定し、その特定した材質での筆記入力のように筆記跡を表示するようにしたが、ステップS6を設けずに、ステップS7で、ステップS5で特定した線幅、線の濃さの線を、動き検出出力(筆圧値の関与分を含む)に応じて変動(線幅や線の濃さの変動を含む)させるように表示情報を生成してもよい。
【0205】
なお、上述の例では、PC3は、拡張機能モジュール12からの識別情報ID2を用いて、線幅や線の濃さを特定するようにしたが、位置検出用モジュール11に設けられているIDメモリから取得する識別情報ID1(ID1M又はID1C)を用いるようにしてもよい。以下の例においても同様である。
【0206】
<処理動作例1-2:電子ペン1による筆記跡の表示属性・表示態様を希望特性選定用情報で決定>
この例の場合の入力システムを構成する電子ペン1は、希望特性選定用情報を指定する操作手段の例として、
図17に示した、電子ペン1のペン筐体13の外周部の、拡張機能モジュール12が設けられている部分に配設されている回転リング18Rを備える。そして、この例では、この回転リング18Rにより、使用者は、入力面2aの材質を選択することができ、拡張機能モジュール12は、選択された入力面2aの材質を示す情報を、希望特性選定用情報としてPC3に無線送信部122を通じて送信するように構成する。
【0207】
そして、この例では、PC3は、拡張機能モジュール12からの識別情報ID2に基づき芯体111の硬さや細さを特定し、線幅や線の濃さを決定する。この例では拡張機能モジュール12からは情報生成部121で生成される動き検出出力は、PC3には送信されない。
【0208】
この例においては、PC3は、拡張機能モジュール12からの回転リング18Rの開口18Raの回転角位置の選択情報を受けて、前述したように、予め記憶保持しているテーブル情報を参照することで、使用者により選択指定された入力面2aの材質を特定する。また、PC3は、前述したようにして、識別情報ID2から筆記跡の線幅、線の濃さを特定する。
【0209】
そして、PC3は、タブレット2から取得した電子ペン1の芯体111の先端部111aによる座標情報を受け取って筆記跡の情報を生成し、生成した筆記跡の表示情報を、特定した材質の入力面2a上での筆記跡となるように生成する。このとき、生成した筆記跡の表示情報には、上述の例と同様に、タブレット2から取得した情報に含まれる筆圧値の情報分を反映させることができる。筆圧値の情報分を反映させるか否かを使用者が選択することができるようにしてもよいのは、前述と同様である。
【0210】
この例のPC3においては、使用者が選択指定した入力面2aの材質に応じた電子ペン1の筆記揺れを筆記跡の表示態様に含めて表示することができる。したがって、この例によれば、実際の入力面2aの材質に関係なく、使用者が希望する材質の入力面において、電子ペンで筆記入力したときの筆記跡を、表示画面32Dに表示することができるという顕著な効果を奏する。
【0211】
なお、電子ペン1の回転リング18Rにより芯体111の硬度を選択指定し、拡張機能モジュール12からの識別情報(ID)により、入力面2aの材質を特定するようにしてもよい。また、電子ペン1の回転リング18Rにより芯体111の硬度と、入力面2aの材質との組み合わせを選択指定するようにしてもよい。さらに、回転リング18Rによる選択指定と、
図18に示したスイッチ手段による選択指定との両方の機能を電子ペン1に設け、その一方で電子ペンの芯体111の硬度などの特性を、他方で入力面2aの材質を、それぞれ選択指定するように構成してもよい。
【0212】
<処理動作例1-3:電子ペン1による筆記跡の表示態様をテクスチャ検出部10TXからのテクスチャ検出出力で決定>
この例の場合の入力システムを構成する電子ペン1は、テクスチャ検出部10TXを備える。そして、当該テクスチャ検出部10TXの撮像素子101CMの撮像出力と、マイクロフォン102MCの収音出力とは、拡張機能モジュール12の制御回路120に入力され、実特性選定用情報として無線通信部122を通じてPC3に送信される。
【0213】
そして、この例では、PC3は、拡張機能モジュール12からの識別情報ID2に基づき芯体111の硬さや細さを特定し、線幅や線の濃さを決定する。この例においても、拡張機能モジュール12からは、情報生成部121で生成される動き検出出力は、PC3には送信されない。したがって、この例では、拡張機能モジュール12には、情報生成部121は設けなくてもよい。
【0214】
そして、PC3は、タブレット2から取得した電子ペン1の芯体111の先端部111aによる座標情報を受け取って筆記跡の情報を生成し、生成した筆記跡の表示情報を、電子ペン1から受信したテクスチャ検出部10TXで検出されたテクスチャ検出出力に基づいて特定した材質の入力面2a上での筆記跡となるように生成する。この場合に、PC3は、テクスチャ検出出力に対する入力面2aの材質の対応テーブルの情報を記憶しており、その対応テーブルの情報を用いて、受信したテクスチャ検出出力に対応する入力面2aの材質を特定する。なお、このとき、生成した筆記跡の表示情報には、上述の例と同様に、タブレット2から取得した情報に含まれる筆圧値の情報分を反映させることができる。
【0215】
この場合に、テクスチャ検出出力(撮像素子101CMの撮像出力及びマイクロフォン102MCの収音出力)は、タブレット2の入力面2aの材質に応じた変動をする。サーバ装置4には、テクスチャ検出出力のタブレット2の入力面2aの材質に応じて異なる複数の変動のタイプと、各変動のタイプに対応する材質との対応テーブルの情報が用意されている。PC3は、予め、この対応テーブルの情報を、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置4から取得して記憶しており、この対応テーブルの情報を用いることで、無線通信部312の受信情報から抽出したテクスチャ検出出力に基づいて、入力面2aの材質を特定する。
【0216】
なお、テスクチャ検出出力は、撮像素子101CMの撮像出力とマイクロフォン102MCの収音出力との一方のみであってもよい。
【0217】
また、上述の例では、テクスチャ検出出力の例としての撮像素子101CMの撮像出力及びマイクロフォン102MCの収音出力からタブレット2の入力面2aの材質を特定するようにしたが、芯体111の硬さや材質に応じても撮像素子101CMの撮像出力及びマイクロフォン102MCの収音出力も変化する。そこで、テクスチャ検出出力に対して特定されるのは、タブレット2の入力面2aの材質などの特性と芯体111の硬さや材質などの特性の組み合わせとしてもよい。また、タブレット2の入力面2aの材質などの特性を特定の固定的に定めておいた場合には、テクスチャ検出出力に対して特定されるのは、芯体111の硬さや材質などの特性とするようにすることもできる。いずれの場合にも、上述の例と同様に、テクスチャ検出出力とそれらの特性値との対応テーブルの情報を用意して用いるものである。
【0218】
この例のPC3においては、上述した実特性選定用情報を用いて定められた入力面2aの材質や電子ペンの硬度に応じた電子ペン1の筆記揺れを筆記跡の表示態様に含めて表示することができる。
【0219】
なお、上述の例では、拡張機能モジュール12の無線通信部122を用いて、識別情報ID2と共に、テクスチャ検出出力をPC3に送信するように説明したが、テクスチャ検出部10TXが無線通信部を備えている場合には、拡張機能モジュール12の無線通信部122を経由させる必要はない。また、位置検出用モジュール11からの識別情報ID1を取得して、識別情報ID2に代えて用いるようにするように構成した場合には、拡張機能モジュール12を電子ペン1に設ける必要もない。
【0220】
上述の例では、いずれも識別情報ID1やID2から芯体の硬度などを特定するようにしたが、PC3は、芯体の硬度などは予め定めたデフォルトの値として処理を行うようにしてもよく、その場合には、芯体の硬度等を特定するためには識別情報は不要となる。
【0221】
[入力システムの処理動作例2;使用者への筆記時の刺激付与]
<処理動作例2-1:筆記時の実特性選定用情報に応じて刺激発生>
図26は、入力システムの処理動作例2を説明するためのブロック図であり、この例は、
図22~
図25を用いて説明した例の入力システムの処理動作例1-1の筆記跡の表示態様の決定機能を備える上に、使用者への筆記時の刺激付与の機能を備えるように構成した場合である。
図26において、
図22と同一の部分には、同一の参照符号を付してその説明は省略する。
【0222】
この例においては、
図26に示すように、電子ペン1の拡張機能モジュール12においては、制御回路120に対して、
図22に示した各部に加えて、刺激発生部123が接続されて設けられている。一方、PC3には、
図22に示した各部に加えて、刺激ドライブ信号生成部315が設けられる。
【0223】
PC3の刺激ドライブ信号生成部315は、無線通信部312を通じて受信した動き検出出力と、タブレット出力処理部311からの筆圧値の情報とから、前述したように、PC3に予め記憶している対応テーブルの情報を参照することで、入力面2aの材質を特定し、その特定した入力面2aの材質に基づいて、電子ペン1の刺激発生部123のスピーカ1231を音響駆動する音声ドライブ信号と、バイブレータ1232を駆動する震動ドライブ信号とを生成する。そして、PC3は、生成した音声ドライブ信号と震動ドライブ信号とを電子ペン1に送信する。
【0224】
この例の電子ペン1の拡張機能モジュール12は、無線通信部122を通じて、これら音声ドライブ信号及び震動ドライブ信号を取得し、刺激発生部123に供給して、スピーカ1231及びバイブレータ1232を駆動する。その他は、上述した
図22の例と同様に動作する。
【0225】
この例における電子ペン1の動作の流れの例を
図27に示す。すなわち、電子ペン1の位置検出用モジュール11は、タブレット2の位置検出センサとの電磁誘導結合を監視し(ステップS11)、電磁誘導結合したときには、位置検出センサと位置検出用モジュール11との間で電磁誘導結合による信号のインタクラクションを実行し、タブレット2において、芯体111の先端部111aの位置座標の検出を指せるようにする(ステップS12)。
【0226】
そして、電子ペン1の拡張機能モジュール12の制御回路120は、情報生成部121で生成した動き検出出力を、識別情報ID2と共に、無線通信部122を通じてPC3に送信する(ステップS13)。
【0227】
次に、拡張機能モジュール12の制御回路120は、PC3からの刺激ドライブ信号の受信を監視し(ステップS14)、刺激ドライブ信号を受信したことを判別したときには、受信した刺激ドライブ信号で、刺激発生部123のスピーカ1231及びバイブレータ1232を駆動して、使用者に、筆記入力時の入力面2aの材質に応じた刺激を伝達する(ステップS15)。
【0228】
次に、電子ペン1は、位置検出用モジュール11とタブレット2の位置検出センサとの電磁誘導結合が解除されたか否か判別し(ステップS16)、解除されていないと判別したときには、処理をステップS12に戻して、このステップS12以降の処理を繰り返す。
【0229】
ステップS16で、位置検出用モジュール11とタブレット2の位置検出センサとの電磁誘導結合が解除されたと判別したときには、電子ペン1では、起動スイッチがオフとされて拡張機能モジュール12がオフとされたか否か判別し(ステップS17)、オフとされていないと判別したときには、処理をステップS11に戻して、このステップS11以降の処理を繰り返す。
【0230】
次に、この例におけるPC3における処理動作の流れの例を、
図28に示す。この
図28において、ステップS1´~ステップS7´までは、
図23に示したフローチャートのステップS1~ステップS7と同様である。
【0231】
この例では、ステップS7´の次には、PC3では、無線通信部312を通じて受信した動き検出出力と、タブレット2から取得した筆圧値の情報とから、タブレット2の入力面2aの材質を特定し、その特定に基づいて、電子ペン1の拡張機能モジュール12のスピーカ1231及びバイブレータ1232を駆動する刺激ドライブ信号を生成する(ステップS21)。そして、生成した刺激ドライブ信号を無線通信部312を通じて電子ペン1に送信する(ステップS22)。
【0232】
ステップS22の次には、PC3は、タブレット検出出力が所定時間以上途絶えたか否かなどにより、筆記が終了したか否か判別する(ステップS8´)。このステップS8´で、筆記が終了してはいないと判別したときには、PC3は、処理をステップS1´に戻して、このステップS1´以降の処理を繰り返す。ステップS8´で、筆記が終了したと判別したときには、PC3は、この処理ルーチンを終了する。
【0233】
こうして、この例によれば、電子ペン1の使用者は、タブレット2の入力面2aで筆記入力をしたときには、当該入力面2aの材質に応じた刺激を電子ペン1を通じて受けることができる。
【0234】
<処理動作例2-2:筆記時にテクスチャ検出部190TXからのテクスチャ検出出力で刺激発生>
この例の場合の入力システムを構成する電子ペン1は、上述した処理動作例1-3の場合と同様に、テクスチャ検出部10TXを備える。そして、この例では、当該テクスチャ検出部10TXの撮像素子101CMの撮像出力と、マイクロフォン102MCの収音出力とは、拡張機能モジュール12の制御回路120に入力される。この例の拡張機能モジュール12は、テクスチャ検出部10TXの撮像素子101CMの撮像出力と、マイクロフォン102MCの収音出力とを実特性選定用情報として無線通信部122を通じてPC3に送信する。また、この例では、拡張機能モジュール12には、刺激発生部123が設けられる。
【0235】
この例のPC3は、
図26と同様に構成され、処理動作例1-3と同様の動作をするが、この例では、電子ペン1から受信したテクスチャ検出出力が、表示態様決定部313における筆記跡の表示態様の決定に用いられ、また、刺激ドライブ信号生成部315では刺激ドライブ信号の生成に用いられる点が異なる。そして、この例では、刺激ドライブ信号生成部315でテスクチャに基づいて生成された刺激ドライブ信号を、無線通信部312を通じて電子ペン1に送信するようにする。
【0236】
この例の電子ペン1では、上述した処理動作例2-1と同様にして、拡張機能モジュール12の制御回路120は、無線通信部122で受信したPC3からの刺激ドライブ信号を刺激発生部123に供給し、スピーカ1231及びバイブレータ1232を駆動して、音響刺激及び震動刺激を電子ペン1の使用者に与えるようにする。
【0237】
[入力システムの処理動作例3;仮想体験型の使用者への筆記時の刺激付与]
<処理動作例3-1:電子ペン1からの希望特性選定用情報に応じて刺激発生>
この例の場合の入力システムを構成する電子ペン1の拡張機能モジュール12は、上述した処理動作例1-2の場合と同様に、希望特性選定用情報を指定する操作手段18を備えると共に、刺激発生部123を備える。
【0238】
この例においては、上述した処理動作例1-2で説明したのと同様に、電子ペン1に設けられる希望特性選定用情報を指定する操作手段18の例としての回転リング18Rにより、使用者は、入力面2aの材質を選択指定する。この選択指定を受け付けた拡張機能モジュール12は、選択指定された入力面2aの材質を示す情報を、希望特性選定用情報としてPC3に無線送信部124を通じて送信する。
【0239】
PC3は、前述したように、電子ペン1から受信した希望特性選定用情報に基づいて、電子ペン1の使用者により選択指定された入力面2aの材質を特定し、筆記跡の表示情報を、特定した材質の入力面2a上での筆記跡となるように生成する。
【0240】
そして、この例では、さらに、PC3は、希望特性選定用情報に基づいて特定した材質の入力面2a上において、使用者が電子ペン1によって筆記入力をしたときに使用者が感得すると予測される刺激(例えば音響刺激及び震動刺激)を、電子ペン1の刺激発生部123で発生するようにする刺激ドライブ信号を生成し、電子ペン1に送信する。
【0241】
電子ペン1は、PC3からの刺激ドライブ信号を受信し、上述の処理例2-1と同様にして、拡張機能モジュール12の刺激発生部123のスピーカ1231及びバイブレータ1232を駆動することで、音響刺激及び震動刺激を使用者に与える。
【0242】
この例の場合、実際的な使用状況に応じた刺激ではなく、使用者が電子ペン1の操作手段を通じて選択指定した入力面2aの材質に応じた刺激を電子ペン1の使用者に付与することができ、使用者は、選択指定した入力面2aの材質の場合における筆記跡を生成したときの仮想的な刺激を体感することができるという効果がある。
【0243】
なお、希望特性選定用情報として操作手段で選択指定するのは、入力面2aの材質ではなく芯体111の硬さの場合であってもよいし、さらには、芯体111の硬さと入力面2aの材質の両方であってもよいことは前述した通りである。
【0244】
<処理動作例3-2:PC3のアプリで指定した条件における体験刺激発生>
上述の処理動作例3-1は、電子ペン1に設けた希望特性選定用情報を選択指定する操作手段18を用いて、芯体111の硬さなどの特性、あるいは入力面2aの材質などの特性を選定する場合であったが、PC3側で、その他の芯体111の硬さなどの特性、あるいは入力面2aの材質などの特性を選定するようにすることもできる。
【0245】
図29は、この処理動作例3-2を実行する場合における入力システムの構成例を説明するためのブロック図である。
【0246】
この例の電子ペン1は、
図29に示すように、拡張機能モジュール12には、刺激発生部123は設けられるが、情報生成部121及びIDメモリ124は設けられない。そして、この例においては、拡張機能モジュール12の制御回路120は、無線通信部122を通じて、PC3から送られてくる刺激ドライブ信号を受信して刺激発生部123に供給して、電子ペン1を把持する使用者に対して音響刺激及び震動刺激を発生させるようにする。
【0247】
そして、この例のPC3は、
図29に示すように、使用者の操作入力を受け付けるための操作入力部33を備える。この操作入力部33は、キーボードやマウスパッド、あるいはタッチパネルなどで構成される。
【0248】
この例のPC3においては、タブレット2からの座標情報に基づいて筆記跡を描画する描画ソフトウェアプログラム(以下、描画ソフトと略称する)は、希望特性選定用情報の例としての電子ペン1の芯体111の硬さなどの希望特性と、タブレット2の入力面2aの材質などの希望特性の選択指定を受け付ける機能を備える。使用者は、電子ペン1の芯体111によりタブレット2の入力面2a上で位置指示入力(筆記入力)に先立ち、描画ソフトの当該機能を用いて、操作入力部33を通じて電子ペン1の芯体111の希望特性と、タブレット2の入力面2aの希望特性の選択指定をする。
【0249】
PC3の刺激ドライブ信号生成部315は、この選択指定に応じた刺激ドライブ信号を生成し、生成した刺激ドライブ信号を、無線通信部312を通じて電子ペン1に送信する。この例では、PC3の刺激ドライブ信号生成部315は、選択指定された電子ペン1の芯体111の希望特性と、タブレット2の入力面2aの希望特性とから、刺激ドライブ信号を生成するためのテーブル情報を備えている。このテーブル情報は、予め、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置4から取得する。
【0250】
図30は、刺激ドライブ信号を生成するためのテーブル情報の一例を示す図である。この例では、芯体111の希望特性の例として、筆記具の鉛筆の芯の濃さ及び硬さの指標記号である「B」、「HB」、「H」、「F」の記号を用いるようにしており、例えば
図30の例では、指標記号「B」、「HB」、「2H」、「3H」などが選択可能とされている。また、入力面2aの希望特性の例としては、
図30の例では、「ガラス」、「ケント紙」、「画用紙」、「和紙」などの材質が選択可能とされている。
【0251】
周知のように、指標記号「B」は芯の濃さが濃く、また、芯が軟質であることを表し、「H」は、芯の濃さが薄く、芯が硬質であることを表す。そして、「2B」、「3B」・・・と数値が大きくなるほど、濃さがより濃くなり、かつ、より軟質になり、また、「2H」、「3H」・・・と数値が大きくなるほど、濃さがより薄くなり、かつ、より硬質になる。「HB」は、「B」と「H」の中間の濃さ及び硬さを示している。
図30において、各指標記号の上部に示すように、鉛筆の芯は、濃さが濃く、軟質であるほど、太くなり、濃さが薄く、硬質になるほど細くなる。
【0252】
また、
図30において、入力面2aのそれぞれの材質の左側に例示するように、入力面2aの表面の状態は、材質に応じて異なるものであり、「ガラス」では凹凸がほとんどない表面状態となり、「ケント紙」、「画用紙」、「和紙」では、それぞれに応じた凹凸を呈する表面状態となる。
【0253】
サーバ装置4に用意されるテーブル情報は、例えば次のようにして作成される。すなわち、それぞれの芯の濃さ及び硬さの鉛筆で、実際に、「ガラス」、「ケント紙」、「画用紙」、「和紙」などの上で筆記入力をする。すると、鉛筆の芯の濃さ及び硬さと、入力面2aの材質との関係に応じた音が発生すると共に、鉛筆を把持している使用者に震動が伝達される。そこで、そのときに発生する音をマイクロフォンにより収音すると共に、鉛筆を把持する使用者が感得する震動を、動きセンサなどにより検出する。
【0254】
そして、マイクロフォンにより収音した音の音声信号から、電子ペン1の刺激発生部123のスピーカ1231を音響駆動する音響ドライブ信号を生成する。マイクロフォンにより収音した音の音声信号を、そのまま音響ドライブ信号として生成するようにしてもよい。また、動きセンサで検出した動き検出出力から、電子ペン1の刺激発生部123のバイブレータ1232を駆動する震動ドライブ信号を生成する。
【0255】
この場合に、
図30に示すように、鉛筆の芯の濃さ及び硬さと入力面の材質との組み合わせのそれぞれに対して、異なる音響ドライブ信号SP1,SP2,・・・,SP16及び震動ドライブ信号VB1,VB2,・・・,VB16が生成される。そして、
図30に示すように、鉛筆の芯の濃さ及び硬さと入力面の材質との組み合わせのそれぞれに対して、音響ドライブ信号と、震動ドライブ信号との対からなる刺激ドライブ信号のそれぞれが対応付けられることで、対応テーブルが生成される。
【0256】
次に、この例におけるPC3における処理動作の流れを、
図31のフローチャートを参照しながら説明する。
【0257】
PC3(描画アプリ、以下同じ)は、タブレット2からのタブレット出力を処理するに先立ち、電子ペン1の芯体111の硬さや線の濃さの選択指定のための情報としての鉛筆の芯の濃さ及び硬さと、タブレット2の入力面2aの材質との選択指定を促すメッセージを使用者に、表示画面32Dを通じて及び/または音声により通知する(ステップS31)。
【0258】
次に、PC3は、操作入力部33を通じた使用者による鉛筆の芯の濃さ及び硬さと、タブレット2の入力面2aの材質との選択指定の受け付けを監視し(ステップS32)、受け付けたと判別したときには、前述した
図30に示した対応テーブルを、受け付けた鉛筆の芯の濃さ及び硬さと、タブレット2の入力面2aの材質とにより参照して、音響ドライブ信号と震動ドライブ信号とからなる刺激ドライブ信号を選定する(ステップS33)。
【0259】
次に、PC3は、タブレット2からの、座標情報と筆圧値の情報とからなるタブレット出力を受信するのを待ち(ステップS34)、タブレット出力を受信したと判別したときには、タブレット出力の座標情報から筆記跡の情報を生成する(ステップS35)。
【0260】
次に、PC3は、ステップS32で受け付けた鉛筆の芯の濃さ及び硬さと、入力面2aの材質との選定情報に基づいて、当該材質の入力面2aに、選定された芯の濃さ及び硬さの鉛筆で筆記したときと同様となる筆記跡の表示情報を生成し、その生成した表示情報を表示装置32に送り、表示画面32Dに表示させるようにする(ステップS36)。この場合に、筆記跡の表示情報を生成する際に、タブレット検出出力から抽出される筆圧値の情報を常に加味するようにしてもよいが、加味するか否かを、使用者が選定することができるようにしてもよい。
【0261】
そして、PC3は、ステップS33で選定した刺激ドライブ信号を、電子ペン1に無線通信部312を通じて送信する(ステップS37)。この場合に、電子ペン1に送信する刺激ドライブ信号には、タブレット検出出力から抽出される筆圧値の情報を加味するようにする。なお、筆圧値の情報を、加味するか否かを、使用者が選定することができるようにしてもよい。
【0262】
ステップS37の次には、PC3は、タブレット検出出力が所定時間以上途絶えたか否かなどにより、筆記が終了したか否か判別する(ステップS38)。このステップS38で、筆記が終了してはいないと判別したときには、PC3は、処理をステップS34に戻して、このステップS34以降の処理を繰り返す。ステップS38で、筆記が終了したと判別したときには、PC3は、この処理ルーチンを終了する。
【0263】
この例の場合、実際的な使用状況に応じた刺激ではなく、使用者がPC3の操作手段を通じて、描画アプリにおいて選択指定した、電子ペン1の芯体の硬さ及び線の濃さや入力面2aの材質に応じた刺激を電子ペン1の使用者に付与することができ、使用者は、PC3で選択指定した電子ペン1の芯体111の硬さ及び線の濃さや入力面2aの材質の場合における筆記跡を生成したときの仮想的な刺激を体感することができる。
【0264】
なお、
図29の例では、拡張機能モジュール12からは何も送信しないようにしたが、拡張機能モジュール12に設けられるIDメモリ124に記憶されている識別情報ID2を、PC3に送信するようにし、PC3側で、筆記跡の線の種類(実線、破線、一点鎖線など)や、線の色を、識別情報ID2に応じて選定するようにしてもよい。
【0265】
また、拡張機能モジュール12からの識別情報ではなく、位置検出用モジュール11からの識別情報ID1により、PC3側で、筆記跡の線の種類や、線の色を、識別情報ID2に応じて選定するようにしてもよい。
【0266】
なお、上述の処理動作例2及び処理動作例3においては、PC3は、刺激ドライブ信号を、実特性選定用情報、希望特性選定用情報、テクスチャ検出出力を送信してきた電子ペン1にのみ送信(返信)するようにしたが、他の電子ペンにも送信して、電子ペン1と同じ刺激を当該他の電子ペンの使用者に伝達するようにしてもよい。
【0267】
[その他の実施形態又は変形例]
なお、上述の実施形態では、動きセンサは、電子ペンの芯体の、センサの入力面上での筆記入力時の動きを検出するために用いることのみについて説明したが、使用者が、入力面に限らず、入力面から離間している空間において、電子ペンを前後に振る、左右に振る、軸心方向に振る、円など所定の形状を描くように移動させる、などの動きをさせたときにその動きを検出し、その動き検出出力から、PC3が、それぞれの動きに応じて予め定められている所定の処理動作を認識して、当該処理動作を実行するように制御する場合にも用いることができる。
【0268】
また、PCが上述のような電子ペン1の動きを、使用者のジェスチャーとして認識して、そのジェスチャーに対応する処理を行うように構成することもできる。
【0269】
なお、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とは、位置指示器の筐体の軸心方向に並べて配設する構成に限定されるものではない。例えば、位置検出用モジュール11と拡張機能モジュール12とを位置指示器の筐体の軸心方向の一端側に軸心方向に交差する方向に並べて配設するようにしてよいし、位置検出用モジュール11の周囲のリング状の領域に、拡張機能モジュール12を配設する構成としてもよい。
【0270】
また、位置指示器としては、ペン型の筐体を用いる電子ペンの例を説明したが、電子ペンに限られるものではなく、種々の筐体形状のものを用いることができる。
【0271】
また、上述の入力システムにおいては、タブレット2に対して情報処理装置としてのPC3が別個に設けられる構成であったが、PC3の機能とタブレット2の機能を併せて備える装置(タブレットPCなど)の構成であってもよい。
【0272】
なお、拡張機能モジュール12で生成した特性選定用情報(実特性選定用情報及び希望特性選定用情報)は、位置検出モジュール11に無線通信部を設けて、当該位置検出モジュール11の無線通信部を通じてPC3に送信するように構成することもできる。
【0273】
また、位置検出モジュール11に無線通信部を設けずに、拡張機能モジュール12で生成した特性選定用情報(実特性選定用情報及び希望特性選定用情報)を、位置検出モジュール11からの位置検出用信号と共に、タブレット2に送信し、このタブレット2からPC3に伝達するように構成してもよい。このように、特性選定用情報を電子ペン1からタブレット2を通じてPC3に伝達するように構成する場合において、特に、希望特性選定用情報を選定するための回転リング18Rやスイッチ操作手段18Sは、拡張機能モジュール12ではなく、位置検出モジュール11に関連して設け、当該位置検出モジュール11内に、回転リング18Rによる選択状態やスイッチ操作手段18Sによる選択状態の検出手段を設けるように構成してもよい。
【0274】
なお、上述の位置指示器の例の電子ペンでは、位置検出モジュールと拡張機能モジュールとに分けて、構成するようにしたが、電子ペンが、これら位置検出モジュールの機能と拡張機能モジュールの機能とを併せて備えるように構成すれば、2つのモジュールに分けて設ける構成としなくてもよい。
【符号の説明】
【0275】
1…電子ペン、2…タブレット、3…PC、4…サーバ装置、5…通信ネットワーク、10TX…テクスチャ検出部、11…位置検出用モジュール、12…拡張機能モジュール、13…ペン筐体、14…操作部、15…回転出没機構、18R…回転リング、18S…スイッチ操作手段、31…情報処理装置部、32…表示装置、111,111M,111C…芯体、113M…コイル、114M,114C…筆圧検出部、115C…信号発信回路、118…サイドスイッチ、120…制御回路、121…情報生成部、122…無線通信部、123…刺激発生部、124…IDメモリ、125…電源回路、200M,200C…位置検出装置、311…タブレット出力処理部、312…無線通信部、313…表示態様決定部、314…表示情報生成部、315…刺激ドライブ信号生成部