(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067638
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】電気機械のステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/12 20060101AFI20220425BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
H02K3/12
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021166104
(22)【出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】10 2020 213 237.2
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーセク ピーター
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603BB01
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC03
5H603CD02
(57)【要約】
【課題】電気機械のステータの設置スペースの要件を少なくし、効率を向上させる。
【解決手段】 本発明は、溝構造(9)を有するキャリア本体(11)を備え、この溝構造(9)に電気伝導体(1)が配置された電気機械(2)用のステータ(5)に関する。同時にコンパクトな構造を有する効率の増加により、溝構造(9)が、合計48の溝(S)及び8つの層(L)を有し、それぞれの層(L)が、合計3つの相(U、V、W)の少なくとも1つの分岐(a~l)によって少なくとも1回占有される。本発明はさらに、このようなステータ(5)を備える電気機械(2)に関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(2)、特に自動車(3)の駆動モータ(17)のためのステータ(5)であって、
軸方向(6)及び周方向(7)に延びるキャリア本体(11)を備え、
前記キャリア本体(11)は、溝構造(9)を有し、
前記溝構造(9)は、一方に放射状に開口し、前記軸方向(6)に延在する溝(S)を有し、
前記溝(S)は、周方向に交互になるように連続的に配置されており、
動作時に磁界を発生させ、前記溝(S)に配置される電気伝導体(1)と、
前記電気伝導体(1)の半径方向に連続する合計8つの層(L)がそれぞれの溝(S)内に配置され、その結果、前記溝構造(9)は合計8つの層(L)を有し、
前記電気伝導体(1)は、3相(U、V、W)に電気的に相互接続されており、
前記溝構造(9)には合計48本の溝(S)があり、
各相(U、V、W)が、並列に接続された合計4つの分岐(a~l)を有し、
前記分岐(a~l)のそれぞれが、少なくとも2つの前記溝(S)に配置され、
前記分岐(a~l)のそれぞれが、前記溝構造(9)の各層(L)に少なくとも1回配置される
ことを特徴とする電気機械のステータ。
【請求項2】
前記ステータ(5)が合計8極を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記分岐(a~l)のそれぞれが少なくとも2つの電気伝導体(1)を有し、
前記電気伝導体(1)が互いに直列に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機械のステータ。
【請求項4】
前記分岐(a~l)が、前記溝構造(9)において周方向(7)に対称に配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項5】
それぞれの層(L)にある4つの溝(S)に前記分岐(a~l)のそれぞれが配置され、その間に11本の溝(S)が配置されており、
前記層(L)が前記分岐(a~l)から離れている
ことを特徴とする請求項4に記載の電気機械のステータ。
【請求項6】
同じ相(U、V、W)の分岐(a~l)がそれぞれの溝(S)の、それぞれ4つの連続した層(L)に配置されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項7】
同じ相(U、V、W)の2つの異なる分岐(a~l)のそれぞれが、2つの連続した溝(S)の対応する層(L)に配置される
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項8】
前記電気伝導体(1)のそれぞれが、長方形の断面を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項9】
前記電気伝導体(1)が少なくとも1つの波巻線(15)として溝構造(9)内に配置されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項10】
前記電気伝導体(1)が、ヘアピン(16)として溝構造(9)内に配置され、周方向(7)に交互になるように連続的に配置される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の電気機械のステータ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のステータ(5)と、
前記ステータ(5)と同軸に配置されたロータ(8)とを含む
ことを特徴とする電気機械(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械のステータに関し、このステータは、電気伝導体(導体、導線)を受け入れるための溝構造を備えるキャリア本体を有し、動作中に少なくとも1つの磁界を発生させることができる。本発明はさらに、このようなステータを備える電気機械に関する。
【0002】
電気機械は、ますます多くの用途で使用されている。特に、自動車の通電には、効率の向上及び/又は設置スペースの縮小を伴う電気機械が必要である。自動車では、例えば、電気機械が自動車を駆動するために使用される。
【0003】
このタイプの電気機械は、ステータを有し、このステータによって、運転中に少なくとも1つの磁界が発生し、これによって、ロータを回転状態に設定するために、電気機械の対応するロータと協働する。代替的に、ロータの回転は、例えば、電気電圧の様式でつなぐことができる場をステータに誘起することができる。
【0004】
一般的なステータは、溝構造を備えるキャリア本体を有し、このキャリア本体は、周方向に交互になるように連続的に配置され、一般的に周方向に対称又は均等に配置されるいくつかの溝を備える。溝内で交互になるように連続的に配置されるステータのいくつかの電気伝導体は、通常、それぞれの溝内に受け入れられる。連続する電気伝導体は、それぞれの溝内に多数の層を形成し、その結果、全体としての溝構造は、多数の層と同様に、指定された数の溝を有する。ステータの効率を高めるには、とりわけ、電気伝導体が溝構造にどのように配置されるかが重要である。
【0005】
例えば、周方向に交互になるように連続的に配置される合計108個の溝を有する溝構造を備えるステータは、特許文献1から知られており、ここで、4層の電気伝導体がそれぞれの溝内に受け入れられ、それにより、溝構造は合計108個の溝及び4つの層を有する。
【0006】
合計72の溝と4つの層とを有する溝構造を備えるステータは、特許文献2から知られている。
【0007】
特許文献3は、キャリア本体を有し、軸方向及び周方向に延在する電気機械用ステータを示している。キャリア本体は、溝構造を有し、これは、合計90個の溝を有する。ステータはさらに電気伝導体を有し、これらはそれぞれの溝内に合計8つの層に配置されているので、溝構造は合計90個の溝と8つの層を有している。電気伝導体は、合計3相に電気的に相互接続され、各相は合計6つの分岐を有し、これらの分岐は並列に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0258703号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0028713号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0097431号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記電気機械用ステータの実施形態及び他の実施形態の電気機械用ステータを改良して、設置スペースの要件が少なく効率が向上したものにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立項の主題によって本発明にしたがってって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0011】
本発明は、全部で48本の溝を有する電気機械用ステータの溝構造を提供するという一般的な概念に基づいており、各ケースに8層の電気伝導体が配置され、その電気伝導体は合計3相の電気の相に相互接続され、各相は合計3つの分岐を有し、並列に接続され、各分岐は溝構造中の合計8つの層のうち少なくとも1層に配置されている。ステータの、したがって対応する電気機械のコンパクトな構成に加えて、対応する電気機械の動作中の電気伝導体による循環電流の生成が、このようにして防止されるか、又は少なくとも低減され、その結果、ステータの、したがって対応する電気機械の効率が増大する。
【0012】
本発明の概念によれば、ロータはキャリア本体を有する。キャリア本体は、軸方向及び周方向に延在し、中空円筒状に形成されることが好ましい。キャリア本体は、溝構造を有する。この溝構造は、一方側に放射状に開口した合計48個の溝を有し、この溝内には合計8つの層の電気伝導体が配置されている。このように、溝構造は、合計48の溝と8つの層を有する。対応する電気伝導体が、それぞれの溝のそれぞれの層に配置される。したがって、それぞれの溝のそれぞれの層は、対応する電気伝導体によって占められる。電流が供給されると、電気伝導体は、少なくとも1つの磁場を生成するように働き、合計3つの相に電気的に相互接続される。このようにステータは、特に三相機械用のステータである。これにより、それぞれ相は、「分岐」又は巻線とも呼ばれる、並列に接続された合計4つの分岐を有する。本発明によれば、それぞれの分岐は、少なくとも2つの溝に配置され、それぞれの分岐は、溝構造の各層に少なくとも1回配置される。これは、それぞれの相の全ての分岐が、溝構造の8つの層のそれぞれに少なくとも1つ、及び少なくとも2つの異なる溝に配置されることを意味する。
【0013】
それぞれの分岐は、少なくとも1つの電気伝導体を有するか、又は少なくとも1つの電気伝導体からそれぞれ構成される。それぞれの分岐の少なくとも1つの電気伝導体は、電気的に直列に構成される、すなわち、動作中に電気的に直列に流れる。これは、例えば、前後に配置され、電気的に直列に接続された1つ又は複数の接続された電気伝導体によって達成される。したがって、それぞれの分岐は、少なくとも1つの電気伝導体を有し、電気伝導体は、直列に電気的に接続される。したがって、原則として、それぞれの分岐は、単一の電気伝導体を有することができる。少なくとも1つの分岐の少なくとも1つ、有利な場合として、それぞれの分岐が互いに直列に電気的に接続された少なくとも2つの電気伝導体を有する実施形態も考えられる。
【0014】
溝構造の溝が、内側で放射状に開口していると有利である。溝構造の溝が、均一に分布するようにさらに配置されると有利である。周方向に交互になるように連続的に配置される溝が、キャリア本体の歯によって互いに分離されると有利である。溝の開放側とは反対を向いている側面、すなわち特に外側側面において半径方向に向いている側面において、キャリア本体は、導電性及び/又はフェライト系ジャケット表面、特に外側ジャケット表面を有することができる。代替的又は加えて、キャリア本体は、対応する電気機械の可動子又は可動子の一部とすることができる。
【0015】
溝構造内、すなわちそれぞれの対応する溝及び層内の分岐の配置は、両方の軸方向における分岐の進路、すなわち特に両方の軸方向における分岐の電気的フロースルーを含む。
【0016】
対応する電気機械では、ステータは、既知の方法で対応するロータと協働する。この目的のために、ロータは磁性体とすることができ、又は磁性部品を有することができる。
【0017】
ステータが合計8極を有する実施形態は有利であり得る。これは、ステータの効率を高め、したがって、同時にコンパクトな構造を有する対応する電気機械の効率を高めることにつながる。
【0018】
好ましい実施態様では、分岐が溝構造内で周方向に対称に配置される。これは、特に、溝構造内の分岐の配置が周方向にそれ自体を繰り返すことを意味する。換言すれば、溝構造における分岐の配置は、ステータの軸方向縦方向中心軸の周りの回転に関して少なくとも二重に対称である。
【0019】
それによって、各分岐がそれぞれの層の4つの溝に配置され、11の溝が溝の間に配置され、この層が、この分岐を含まない実施形態が好ましいと考えられる。言い換えれば、各12番目の溝は、それぞれの層の同じ分岐によって占有される。これは、特に、ステータの長手方向中心軸の周りの分岐の4回対称配置を任意に導く。例えば、第1溝の第1層及び第13番目の溝の第1層に分岐を配置することができ、第2~第12溝の第1層は、この分岐からは自由である。これは、特に、電気伝導体及び分岐内の循環電流の減少につながり、これは、ステータ、したがって、対応する電気機械の効率の増加につながる。これにより、同じ軸方向に電気的に流れる分岐部分が上述のように配置されることが有利である。
【0020】
有利な実施形態の場合、同じ相の分岐が、それぞれの溝の4つのそれぞれの連続する層に配置される。これは、同じ相の異なる分岐が、同じ溝の4つの層で交互になるように連続的に配置されることを意味する。同じ相の2つの分岐は、特に、4つの層で交互になるように配置される。これは、また、電気伝導体内の循環電流の減少をもたらし、したがって、効率の増加をもたらす。さらに、同じ方向に軸方向に流れる分岐が、この配置にしたがって交互になるように連続的に配置されることが好ましい。
【0021】
同じ相の2つの異なる分岐が、それぞれの場合に、2つの連続する溝内のそれぞれの層に配置される実施形態が好ましい。これは、特に、同じ相の分岐の2つの連続する溝が、溝構造のそれぞれの層に占有される各場合にあることを意味する。特に相変化は、2つの溝から下流のそれぞれの層で起こり、その結果、それぞれ2つの異なる相の合計2つの分岐が、同じ層の4つの連続した溝に配置される。これは、電気伝導体内の電気循環電流のさらに低減につながり、したがって、ステータの効率の増加につながる。
【0022】
原理的には、ステータの電気伝導体は、任意の断面を有することができ、ここで、断面は、特に、軸方向を法線とする平面によって与えられる。
【0023】
好ましい実施形態では、電気伝導体はそれぞれ長方形の断面を有する。したがって、電気伝導体は、よりコンパクトに、及び/又はより密に、溝内に配置することができる。このようにして、ステータの効率が向上し、対応する電気機械の効率が向上する。これにより、全ての分岐又は電気伝導体がそれぞれ同じ断面を有することが好ましい。
【0024】
電気伝導体と分岐は、原理的には、いかなる方法でも溝構造内に配置することができる。
【0025】
電気伝導体が少なくとも1つの波巻線として溝構造に配置されていることが特に考えられる。このような波巻線の場合、電気伝導体又は巻線がそれぞれ用意され、その後、溝構造内に半径方向に導入される。
【0026】
同様に、電気伝導体は、周方向に交互になるように連続的に配置されるヘアピンとして溝構造内に配置されることも考えられる。それにより、ヘアピンは、溝構造内に軸方向に導入される。
【0027】
また、電気伝導体、したがって分岐部は、部分的に波巻線として存在し、部分的にヘアピンとして存在することも考えられる。
【0028】
本発明によるステータは、任意の種類の電気機械に使用することができる。このような電気機械自体も本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【0029】
電気機械は、特に電気モータである。電気機械は、好ましくは、自動車内で使用され、例えば、自動車を駆動する役割を果たす。したがって、電気機械は、自動車の駆動モータとすることができる。
【0030】
本発明のさらに重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から、及び図面に基づいた対応する図の説明から、得られる。
【0031】
なお、以下に説明する上記の特徴及び特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の組合せのみならず、他の組合せ、又は単独で用いることができることは言うまでもない。
【0032】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明でより詳細に説明される。ここで、同一の参照符号は、同一、類似又は機能的に同一の構成を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】高度に簡略化された電気機械を備える自動車を示す簡略説明図である。
【
図2】ステータとロータとを備える電気機械の断面図である。
【
図3】溝構造に収容された溝構造と電気伝導体とを備えるステータを示す概略断面図である。
【
図6】溝構造及び電気伝導体からなるステータを示す図である。
【
図7】溝構造及び電気伝導体からなるステータを示す図である。
【
図8】別の例示的な実施形態の場合の
図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
導線(電気伝導体、導体)1を有する電気機械2は、
図1から
図8に示すように、特に自動車3(
図1参照)で使用される。自動車3では、電気機械2は、自動車3を駆動する役割を果たすことができ、したがって、電気モータ4、特に駆動モータ17として設計することができる。
【0035】
図2によれば、電気機械2は、中空円筒形状に形成され、軸方向6に伸びるステータ5を有しており、
図2では、紙面に対して垂直方向及び周方向7に延びている。また、電気機械2は、ステータ5と同軸に配置されたロータ8をさらに有している。ロータ8は、特にステータ5内に配置されている。また、導線1はステータ5の一部であり、ステータ5の溝構造9に配置されている。ロータ8は、ステータ5と協働して、例えば自動車3を駆動するためのものである。このために、ロータ8は、少なくとも部分的に磁気を有することができる。モータ車両3を駆動するために、導線1からなるステータ5は少なくとも1つの磁界を発生させ、これによりロータ8を回転させる。
図1に示すように、ロータ8の回転は、自動車3を駆動するために、自動車3の車輪10及び/又は対応する図示しない車輪軸に伝達される。
【0036】
特に
図3並びに
図7及び
図8から理解できるように、ステータ5は、キャリア本体11を有し、キャリア本体11は、軸方向6及び周方向7に中空円筒状に延在し、溝構造9を有する。ステータ5の適応図は、
図3並びに
図6~
図8に示されており、軸方向6が順番に紙面に対して垂直に走る場合であるが、より良く理解するために、周方向7は、直線であり、かつ紙面内にあると仮定されている。溝構造9は、
図3に示すように、全部で7本の溝Sを有する部分が見られる全部で48本の溝Sを有している。これらの溝Sは、周方向7に分配され、互いに離間して、かつ、均等に、すなわち、特に周方向7に等距離に分配されるように配置されている。溝Sは、内側及びロータ8と対向する側に放射状に開いている。キャリア本体11の歯12は、いずれの場合も、連続する溝Sの間に配置され、したがって、溝Sは、周方向7において歯12によって互いに分離される。溝Sは、対応する図において、先頭のS1から連続して番号付けされている。このように溝構造9は、第1溝S1、周方向7に第1溝S1に続く第2溝S2、周方向7に第2溝S2に続く第3溝S3等を有する。このように、溝構造は、第1溝S1から第48溝S48へ周方向7に沿って全部で48本の溝Sを有している。また、放射状に交互になるように連続的に配置される8層の導線1が、各溝Sに収容又は配置されており、各溝Sは、合計8つの層の導線1に占められている。層Lはまた、図において先頭のL1から連続的に番号付けされている。これは、第1層L1、第1層L1に続く半径方向の第2層L、第2層L2に続く半径方向の第3層L3等がそれぞれの溝S内に配置されていることを意味し、第1層L1は、これにより、外側に放射状に位置する外側の層Lであり、第8層L8は、内側に放射状に隣接し、ロータ8に最も近い層Lである。このように溝構造9は、第8層L8と同様に合計48個の溝Sを有する。
【0037】
図4及び
図5によれば、導線は、全部で3相U、V、Wに電気的に相互接続されている。これにより、相U、V、Wは、合計4つの電気的に平行な分岐a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k,l(a~l)を有する。分岐a~lは、「分岐」又は巻線13とも呼ばれる。これは、第1相Uが、第1分岐a、第2分岐b、第3分岐g、並びに第4分岐hを有し、第1相Uの分岐a、b、g、hが電気的に並列に接続されることを意味する。第2相Vは、第1分岐c、第2分岐d、第3分岐i、並びに第4分岐jを有し、第2相Vの合計4つの分岐c、d、i、jは、電気的に並列に接続される。これと同様に、第3相Wは、第1分岐e、第2分岐f、第3分岐k、及び第4分岐lを含み、第3相Wの4つの分岐e、f、k、lの全ては、電気的に並列に接続される。それぞれの分岐a~lは、少なくとも1つの導線1を含む。
【0038】
図6は、直列に電気的に接続された各溝Sと導線1とのそれぞれの層Lの占有を、それぞれの分岐a~lについて示す。分かりやすくするために、
図6の溝Sの番号付けには、それぞれの番号のみが指定されており、分岐a~lのうちの1つの対応する導線が、それぞれの溝S及びそれぞれの層Lに配置され、それぞれの溝Sのそれぞれの層Lが、対応する分岐a~lの導線1によって占められるようになっている。このため、
図6では、それぞれの導線1の後に、導線1が属する分岐a~lが続くが、これにより、理解を容易にするために、それぞれの分岐a~lは、1つの導線1のみを含むものと仮定する。言うまでもなく、それぞれの分岐a~lは、それぞれ直列又は直列に互いに電気的に接続された複数の導線1を含むこともできる。
図6から分かるように、第1相Uの第1分岐aは、例えば、第1溝S1の第1層L1に配置される。このように第1溝S1の第1層L1は第1相Uの第1分岐aに占められ、第2溝S2の第1層L1は第1相Uの第2分岐bに占められ、第3溝S3の第1層L1は第2相Vの第2分岐dに占められ、第5溝S5の第1層L1は第3相Wの第1分岐eに占められ、第7溝S7の第1層L1は第1相Uの第3分岐gに占められ、第8溝S8の第1層L1は第1相Uの第4分岐hに占められている。第9溝S9の第1層L1は、第2相Vの第3分岐部iによって占められている。そして、第10溝S10の第1層L1は、第2相Vの第4分岐jに占められており、第11溝S11の第1層L1は、第3相Wの第3分岐kに占められており、第12溝S12の第1層L1は、第3相Wの第4分岐lに占められている。
図6からさらに分かるように、
図6の図解では、分岐a~lの下のそれぞれの分岐a~lに、この分岐a~lが軸方向6に沿ってどの方向に流れるかが追加で割り当てられている。これにより、「×」は、対応する分岐a~lが、軸方向6において、
図6の紙面に流入し、「・」は、対応する分岐a~lが、軸方向6において、紙面から流出していることを意味する。このように第1溝S1の第1層L1における第1相Uの第1分岐aは、軸方向6において紙面内に流入し、一方、第8溝S8の第2層L2における第1分岐aは、軸方向6において紙面から流出される。
【0039】
図7は、
図6による溝構造9の占有の場合の
図3の表現におけるステータ5を示し、第1相Uの分岐a、b、g、hは、それぞれ、斜線又は塗りつぶしの方法で示されている。これにより、
図7に記入されたフィールドは、第1相Uの第1分岐aの占有又は配置にそれぞれ対応し、特に
図6及び
図7から分かるように、それぞれの分岐a~lは、溝構造9溝Sの少なくとも2つに配置され、それぞれの分岐a~lは、溝構造9の層Lのそれぞれに少なくとも1回配置される。これは、溝構造9の少なくとも2つの溝Sにそれぞれ分岐a~lの各相U、V、Wが配置され、溝構造9内の合計8つの層Lの各々を少なくとも1回は占めることを意味する。
図6及び
図7に示す例示的な実施形態では、それによって、それぞれの分岐a~lは、それぞれの層Lを4回占有する。第1相Uの第1分岐aは、例えば、第1溝S1、第13溝S13、第25溝S25、並びに第37溝S37内の第1層L1に占める。第2相Vの第3分岐iは、第9溝S9、第21溝S21、第33溝S33、並びに第45溝S45において第1層L1を占有する。第3相Wの第4分岐lは、第12溝S12、第24溝S24、第36溝S36、及び第48溝S48において第1層L1を占める。
図6及び
図7の例示的な実施形態では、同一の分岐a~lが、同一の層Lにおける同一の分岐a~lによって占められている溝Sの間に、同一の層Lにおける分岐a~lがない11本の溝Sが配置されている4つの溝Sにおいて、各層Lにおいて4回配置されており、換言すれば、各12本の溝Sは、各層Lにおける同一の分岐a~lによって占められている。
【0040】
図6及び
図7の例示的な実施形態では、同じ相U、V、Wの分岐a~lは、それぞれの溝Sの4つのそれぞれの連続層Lにさらに配置される。例えば、第1相Uの分岐a、b、g、h、又は第2相Vの分岐c、d、i、j、又は第3相Wの分岐e、f、k、lは、それぞれの溝Sの4つのそれぞれの連続の層Lに配置される。この例示的な実施形態の場合、同じ相U、V、Wの2つの分岐a~lは、それぞれの場合、それぞれの溝Sの4つの連続の層Lを占める。第1溝S1の層L1~L4は、例えば、第1分岐a及び第1相Uの第4分岐hによって占められる。第1溝S1の層L5~L8は、例えば、第1分岐e及び第3相Wの第4分岐lによって占められる。
【0041】
図6及び
図7の例示的な実施形態において、2つの異なる分岐a~lの同じ相U、V、Wが、2つの連続した溝S内でそれぞれの層L内に配置されている場合にそれぞれ設けられている。相U、V、Wは、それぞれの層L内の各第2溝S2の後で変化する。例えば、第1層L1において、第1分岐aは、このように第1溝S1内に配置されており、第1相Uの第2分岐bは、第2溝S2内に配置されている。これに対して、第3溝S3の第1層L1は、第2相Vの第1分岐cに占められ、第4溝S4の第1層L1は、第2相Vの第2分岐dに占められている。第5溝S5の第1層L1は、第3相Wの第1分岐eに占められており、第6溝S6の第1層L1は、第3相Wの第2分岐fに占められている。上述したように、異なる相U、V、Wの分岐a~lの占有により、各第2溝S2の後に各層Lを生じる。
【0042】
このように分岐a~lは、周方向7に対称に溝構造9を占有する。これは、特に、ステータ5が、ステータ5の長手方向中心軸14(
図2参照)の周りの回転に関して少なくとも二重対称であることを意味する。したがって、これは、特に、溝構造9内の分岐部a~lの配置に当てはまる。特に
図6からさらに分かるように、図示の例示的な実施形態の場合、溝構造9内の分岐a~lの回転対称配置は、分岐a~lの貫流に対しても与えられる。
【0043】
したがって、
図6では、それぞれの分岐a~lは、波巻線15のように実現することができると仮定され、ここで、示唆された波巻線15は、
図6に重ねて示した各場合においてである。それによって、示された波巻線15は、純粋に例示的な方法で、第2相Uの第1分岐c及び第2分岐dに対して図示されている。それぞれの波巻線15は、それによって、溝構造9内に放射状に導入される。
【0044】
ステータ5の別の例示的な実施形態が
図8に示されており、
図8は
図7の図に対応し、その場合、第1相Uの分岐a、b、g、hがそれぞれ斜線又は塗りつぶされた形で示され、第1相Uの第1分岐aが次に塗りつぶされた形で示されている。したがって、この例示的な実施形態の場合、溝構造9の層L1~L8のそれぞれも、少なくとも1回は同じ分岐a~lによって占有される。この例示的な実施形態の場合、層Lの各々もまた、同じ分岐a~lによって4回占有される。この例示的な実施形態において、溝構造9は、これにより、周方向7においても対称的に占有され、分岐a~lによって対称的に占有される。例えば、第1相Uの第1分岐aは、第1溝S1において第1層L1に配置され、第8溝S8、第13溝S13、及び第44溝S44に配置される。
図8の例示的な実施形態の場合、それぞれ相a~lは、それによって、溝構造9内に軸方向に導入される、いわゆるヘアピン巻線16として存在することができる。
【0045】
図から理解することができるように、それにより、各場合において、導線1は、長方形の断面を有する。したがって、導線1は、それぞれの溝S内で互いに平坦に当接する。
【外国語明細書】