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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067650
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】可動式グリッパ工具
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
B25J15/08 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021170941
(22)【出願日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】17/074,983
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520435577
【氏名又は名称】ピー・エイチ・ディー,インク.
【氏名又は名称原語表記】PHD, Inc.
【住所又は居所原語表記】9009 Clubridge Drive, Fort Wayne, IN 46809, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トッド エイ. ガンダー
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707EV03
3C707EV19
3C707MT10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】種々異なって構成されたワークを収容することができる費用対効果の高いグリッパ工具装置を提供する。
【解決手段】ワークを把持する把持装置。把持装置は、ワークに接触するように構成された少なくとも1つの把持要素と、少なくとも1つの可動式フィンガジョーと、少なくとも1つの把持要素のシャフトを少なくとも1つの可動式フィンガジョーに接続する組付けブロックとを含んでいる。組付けブロックは、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパを含んでいる。把持装置はさらに、シャフトに接続されたストッパ部材を含んでいる。ストッパ部材は、組付けブロックに対するシャフトの回転を制限するために、第1のストッパ面および前記第2のストッパ面の一方に接触するように構成されている。ストッパ部材は、ピンおよびファスナの一方の形態である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持する把持装置であって、
前記ワークに接触するように構成され、シャフトを含む少なくとも1つの把持要素と、
少なくとも1つの可動式フィンガジョーと、
前記シャフトを前記少なくとも1つの可動式フィンガジョーに接続する組付けブロックであって、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパを含んだ組付けブロックと、
前記シャフトに接続されたストッパ部材であって、前記組付けブロックに対する前記シャフトの回転を制限するために、前記第1のストッパ面および前記第2のストッパ面の一方に接触するように構成されており、ピンおよびファスナの一方の形態である、ストッパ部材と
を有する、把持装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材が、前記シャフトに堅固に接続されている、請求項1記載の把持装置。
【請求項3】
前記第1のストッパ面が、第1の回転方向での前記シャフトの第1の回転制限を設定する前記少なくとも1つの把持要素の第1の可動角度を規定し、
前記第2のストッパ面が、前記第1の回転方向とは反対方向の第2の回転方向での前記シャフトの第2の回転制限を設定する前記少なくとも1つの把持要素の第2の可動角度を規定する、請求項1記載の把持装置。
【請求項4】
前記組付けブロックが、ボディを含んでおり、前記組付けブロックの前記関節運動ストッパが、前記組付けブロックのボディから外方に向かって延びる少なくとも1つの突出部の形態である、請求項1記載の把持装置。
【請求項5】
前記第1のストッパ面が、第1の角度で方向付けされており、前記第2のストッパ面が、前記第1の角度とは異なる第2の角度で方向付けされている、請求項4記載の把持装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの突出部が、単独のC字形の突出部の形態である、請求項4記載の把持装置。
【請求項7】
前記組付けブロックが、ボディを含んでおり、前記組付けブロックの前記関節運動ストッパが、切欠きの形態である、請求項1記載の把持装置。
【請求項8】
前記切欠きが、内部壁を含んでおり、前記第1のストッパ面が、前記切欠きの第1の内部壁であり、前記第2のストッパ面が、前記切欠きの第2の内部壁である、請求項1記載の把持装置。
【請求項9】
前記ストッパ部材が、前記切欠きに対して水平方向にずらされている、請求項8記載の把持装置。
【請求項10】
前記ストッパ部材が、ファスナの形態であり、該ファスナが、調節可能なファスナであり、これにより前記シャフトに対して相対的に調節可能な前記ファスナの位置が、前記シャフトの回転制限を調節することができる、請求項1記載の把持装置。
【請求項11】
前記調節可能なファスナが、ねじの形態である、請求項10記載の把持装置。
【請求項12】
ワークを把持する方法であって、
ワークを把持する把持装置を提供するステップであって、前記把持装置が、前記ワークに接触するように構成されシャフトを含む少なくとも1つの把持要素と、少なくとも1つの可動式フィンガジョーと、前記シャフトを前記少なくとも1つの可動式フィンガジョーに接続する組付けブロックであって、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパを含んだ組付けブロックと、前記シャフトに接続されたストッパ部材であって、ピンおよびファスナの一方の形態であるストッパ部材とを含んでいる、把持装置を提供するステップと、
前記ワークに対して前記把持装置を位置決めするステップと、
前記把持装置を作動させるステップであって、前記少なくとも1つの把持要素が前記ワークに接触し、前記シャフトが、前記ストッパ部材が前記第1のストッパ面および前記第2のストッパ面の一方に接触するまで、前記組付けブロックに対して回転するように、前記把持装置を作動させるステップと
を有している、方法。
【請求項13】
前記シャフトに対して前記ストッパ部材の位置を調節することによって、前記シャフトの回転制限を調節するステップをさらに含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記組付けブロックが、ボディを含んでおり、前記組付けブロックの前記関節運動ストッパが、前記組付けブロックのボディから外方に向かって延びる少なくとも1つの突出部の形態である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記第1のストッパ面が、第1の角度で方向付けされており、前記第2のストッパ面が、前記第1の角度とは異なる第2の角度で方向付けされている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの突出部が、単独のC字形の突出部の形態である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記組付けブロックが、ボディを含んでおり、前記組付けブロックの前記関節運動ストッパが、切欠きの形態である、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記切欠きが、内部壁を含んでおり、前記第1のストッパ面が、前記切欠きの第1の内部壁であり、前記第2のストッパ面が、前記切欠きの第2の内部壁である、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記ストッパ部材が、前記切欠きに対して水平方向にずらされている、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ストッパ部材が、ファスナの形態であり、該ファスナが、調節可能なファスナであり、これにより前記シャフトに対して相対的に調節可能な前記ファスナの位置が、前記シャフトの回転制限を調節することができる、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、機械的なグリッパ、より詳細には、このようなグリッパのためのジョー工具に関する。
【0002】
2.先行技術の説明
グリッパは、電動モータ、流体駆動ピストンまたは別の機構により互いに向かって、かつ互いに離れるように運動させられる1つ以上のジョーを有する機械的な装置である。多くの場合、グリッパのジョーに取り付けられた工具は、グリッパの力をワークに伝達する役割を有しており、これにより次いでワークを保持し、移動させ、回転させることができる。この工具は、サイズ、形状、設計、材料、質量などにおいて互いに異なるワークを把持することができなければならない。
【0003】
典型的には、グリッパジョー工具は、ワークの輪郭に一致するように設計されている。これにより、グリッパが部材を把持するために力を加えた場合、工具はワークに合致し、結果として部品への力伝達が最大となる。種々異なるサイズ、形状、設計、材料、質量等のワークに適合するように工具を設計しかつ製造することは、コストがかかるだけではなく、ワークに加えられる把持力を最大化することにおいてはるかに効果的ではない。
【0004】
出願人により一般に所有されている米国特許第10011025号明細書は、サイズ、形状、設計、材料、質量などにおいて互いに異なるワークに工具を適合させることを可能にするグリッパ工具装置を開示している。グリッパ工具装置は、グリッパ要素を有しており、このグリッパ要素は、グリッパ要素が組み付けられたグリッパジョーに対して部分的に回転可能である。したがってグリッパ要素は、グリッパジョーに対する回転により、種々異なって構成されたワークを収容することができる。
【0005】
当該技術分野において必要とされているのは、種々異なって構成されたワークを収容することができる費用対効果の高いグリッパ工具装置である。
【0006】
発明の概要
本発明は、ワークを把持する把持装置を提供する。把持装置は、ワークに接触するように構成された少なくとも1つの把持要素と、関節接合により運動可能である少なくとも1つの可動式フィンガジョー(articulating finger jaw)と、少なくとも1つの把持要素のシャフトを少なくとも1つの可動式フィンガジョーに接続する組付けブロックとを有している。組付けブロックは、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパ(articulation stop)を含んでいる。把持装置はさらに、シャフトに接続されたストッパ部材を含んでいる。少なくとも1つの把持要素がワークを収容するために、シャフトが回転すると、ストッパ部材が第1のストッパ面または第2のストッパ面に接触し、したがって第1のストッパ面または第2のストッパ面は、シャフトが時計回り方向または反時計回り方向でさらに回転することを阻止する。
【0007】
本発明の1つの態様は、ワークを把持するための把持装置に関する。把持装置は、ワークに接触するように構成された少なくとも1つの把持要素を含んでいる。少なくとも1つの把持要素は、シャフトを含んでいる。把持装置はさらに、少なくとも1つの可動式フィンガジョーと、少なくとも1つの可動式フィンガジョーにシャフトを接続する組付けブロックとを含んでいる。組付けブロックは、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパを含んでいる。把持装置はさらに、シャフトに接続されたストッパ部材を含んでいる。ストッパ部材は、第1のストッパ面および第2のストッパ面の一方に接触するように構成されており、組付けブロックに対するシャフトの回転を制限する。ストッパ部材は、ピンおよびファスナの一方の形態である。
【0008】
本発明の別の形態は、ワークを把持する方法に関する。この方法は、ワークを把持する把持装置を提供するステップを含んでいる。把持装置は、ワークに接触するように構成された少なくとも1つの把持要素を含んでいる。少なくとも1つの把持要素は、シャフトを含んでいる。把持装置は、少なくとも1つの可動式フィンガジョーと、少なくとも1つの可動式フィンガジョーにシャフトを接続する組付けブロックとを含んでいる。組付けブロックは、第1のストッパ面および第2のストッパ面を有する関節運動ストッパを含んでいる。把持装置はさらに、シャフトに接続されたストッパ部材を含んでいる。ストッパ部材は、ピンおよびファスナの一方の形態である。本方法はさらに、ワークに対して把持装置を位置決めするステップを含んでいる。本方法はさらに、少なくとも1つの把持要素がワークに接触し、ストッパ部材が第1のストッパ面および第2のストッパ面の一方に接触するまでシャフトが組付けブロックに対して回転するように、把持装置を作動させるステップを含んでいる。
【0009】
本発明の利点は、グリッパジョー工具が、種々異なるサイズ、形状、設計、材料、質量等のワークに自動的に適合することができ、これにより、様々なワークを補完するために特注された把持ジョー工具の必要性が排除されることである。
【0010】
本発明の別の利点は、グリッパジョー工具の可動式区分を予め規定された調節可能な量だけ拘束することができ、これによりワークの確実な取付けが提供されることである。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、グリッパ工具装置の種々異なる構成要素を容易に修理、交換またはクリーニングするために、把持要素をグリッパジョーに容易に接続し、かつグリッパジョーから分離することができることである。
【0012】
本発明の上記および別の特徴および利点、ならびにこれらを達成する方法は、添付の図面に関連した本発明の実施形態の以下の説明を参照することによってより明らかとなり、本発明はより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるグリッパジョー工具の1つの実施形態を詳細に示す等尺図および分解図である。
図2図1に示したグリッパジョー工具の平面図である。
図3図1に示したグリッパジョー工具の代替的な実施形態を示す等尺図である。
図4】本発明によるグリッパジョー工具の1つの実施形態を詳細に示す等尺図および分解図である。
図5図4に示したグリッパジョー工具の平面図である。
図6図4に示したグリッパジョー工具の代替的な実施形態を示す等尺図である。
【0014】
対応する参照符号は、複数の図面にわたって対応する部分を示している。本明細書において示した例は、本発明の実施形態を示したものであり、これらの例は、いかなる形式であっても、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【0015】
発明の詳細な説明
図1および図2を参照すると、図1および図2には、本発明に係る把持装置210の1つの実施形態が示されている。把持装置210は、本体212と、少なくとも1つのグリッパジョー214と、可動式グリッパ工具アセンブリ220とを有している。把持装置210は、ワークを把持する手段を提供するために、少なくとも1つの付加的なグリッパジョー214と、可動式グリッパ工具アセンブリ220とを含んでいる。
【0016】
可動式グリッパ工具アセンブリ220は、組付けブロック222と、ストッパピン224と、組付けブロック取付け部材226と、少なくとも1つの把持要素228とを含んでいる。把持要素228は、フィンガ230と、フィンガ延長部232と、貫通孔236を備えたフィンガシャフト234とを含んでいる。組付けブロック222は、貫通孔238と、関節運動ストッパ240と、取付け部材貫通孔242とを含んでいる。関節運動ストッパ240は、組付けブロックのボディから外方に向かって延びる1つ以上の突出部、たとえばタブの形態であってよい。1つ以上の突出部は、ストッパ面246,250(図2)を規定する。たとえば、関節運動ストッパ240は、組付けブロック222のボディから外方に向かって延びる単独のC字形の突出部の形態であってよい。
【0017】
把持要素228は、貫通孔238内にフィンガシャフト234を挿入し、保持クリップ252を固定することによって、組付けブロック222に回転可能に取り付けられている。ストッパピン224は、シャフト234に堅固に接続されていてよい。たとえば、ストッパピン224を、フィンガシャフト貫通孔236を通して圧入するか、または別の方法で堅固に取り付けることができる。シャフト貫通孔236は、ストッパピン224がシャフト234の横断方向軸線と同軸的であるように、シャフト234の横断方向軸線または鉛直方向軸線に沿ってセンタリングされていてよい。把持要素228が回転可能に取り付けられているか、または取り付けられていない組付けブロック222は、取付け部材226および貫通孔242によってジョー214に取り付けられている。
【0018】
ここで図2を参照して、可動式グリッパ工具アセンブリ220の動作が説明される。I-I線に沿った断面図は、組付けブロック222に対する把持要素228の両方向の回転方向(「関節運動(articulation)」)を示している。両方向の回転は、詳細図Jに示されているように制限される。組付けブロック222は、詳細図Jに示されているように、ストッパピン224の経路内に少なくとも2つのストッパ面246および250を含んでいる。保持クリップ252により組付けブロック222に取り付けられている場合、把持要素228は、ストッパピン224がストッパ面246に接触するまで反時計回り方向に回転することができ、接触により、反時計回りにさらに回転することが阻止される。同様に、把持要素228は、ストッパピン224がストッパ面250に接触するまで時計回り方向に回転することができ、接触により、時計回りにさらに回転することが阻止される。
【0019】
1つの実施形態では、詳細図Jに示されているように、組付けブロック222に対する把持要素228の可動角度(articulating angle)Kは、時計回り方向で10度に制限されており、組付けブロック222に対する把持要素228の可動角度Lは、反時計回り方向で6度に制限されている。
【0020】
ストッパピン224の長手方向軸線からストッパ面246の外縁部またはストッパ面250の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離は、それぞれの回転方向における回転(可動)角度を変化させる。より具体的には、ストッパピン224の長手方向軸線からストッパ面246の外縁部またはストッパ面250の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離を増大させることは、把持要素228が運動することができる角度を増大させる。同様に、ストッパピン224の長手方向軸線からストッパ面246の外縁部またはストッパ面250の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離を減少させることは、把持要素228が運動することができる角度を減少させる。ストッパピン224の長手方向軸線とストッパ面246,250との間の水平方向の距離は、シャフト貫通孔236の位置および/または関節運動ストッパ240の突出部の位置を変更することによって調節することができる。
【0021】
図3を参照すると、把持装置210’の別の実施形態が、グリッパ工具アセンブリ220’と一緒に示されている。把持装置210’,210の唯1つの差異は、グリッパ工具アセンブリ220’が、取付け部材226または貫通孔242を備えた別個の組付けブロック222を含んでいないことである。把持要素228は、少なくとも1つの可動式フィンガジョー214’に直接に回転可能に結合されている。フィンガジョー214’は、ストッパ面246,250を規定する1つ以上の突出部の形態の関節運動ストッパを含む一体的な組付けブロックを備えたボディを含んでいる。同一の要素は、同一の参照符号で識別されている。
【0022】
図4および図5を参照すると、図4および図5には、本発明に係る把持装置310の別の実施形態が示されている。把持装置310は、本体312と、少なくとも1つのグリッパジョー314と、可動式グリッパ工具アセンブリ320とを含んでいる。把持装置310は、ワークを把持する手段を提供するために、少なくとも1つの付加的なグリッパジョー314と、可動式グリッパ工具アセンブリ320とを含んでいる。
【0023】
可動式グリッパ工具アセンブリ320は、組付けブロック322と、ストッパファスナ、たとえばねじ324と、組付けブロック取付け部材326と、少なくとも1つの把持要素328とを含んでいる。把持要素328は、フィンガ330と、フィンガ延長部332と、ねじ穴336を備えたフィンガシャフト334とを含んでいる。組付けブロック322は、貫通孔338と、制限する切欠き340、たとえばスロットまたは孔340の形態の関節運動ストッパ340と、取付け部材貫通孔342とを含んでいる。組付けブロック322は、少なくとも2つのストッパ面346,350(図5)を規定する、スロットまたは孔340の少なくとも2つの内面も含んでいる。
【0024】
把持要素328は、貫通孔338内にフィンガシャフト334を挿入し、ストッパねじ324で固定することにより、組付けブロック322に回転可能に取り付けられている。ストッパねじ324は、シャフト334に堅固に接続されていてよい。たとえば、ストッパねじ324は、フィンガシャフトのねじ穴336に螺入することができる。ストッパねじ324は、切欠き340の長手方向軸線に対して偏心させられていてよい。たとえば、ねじ穴336は、ストッパねじ324がシャフト334の横断方向軸線に対して偏心させられるように、シャフト334の横断方向または鉛直方向軸線に対して偏心させられているか又は非同軸的であってよい。さらに、切欠き340は、ねじ穴336内への挿入時にストッパねじ324の長手軸線がずらされている、つまり切欠き340の内部の両側壁から等距離ではなくてよいように、貫通孔338の中心線からずらされていてよい。把持要素228が回転可能に取り付けられているか、または取り付けられていない組付けブロック322は、取付け部材326および貫通孔342によってジョー314に取り付けられている。
【0025】
ここで図5を参照して、可動式グリッパ工具アセンブリ320の動作が説明される。M-M線に沿った断面図は、組付けブロック322に対する把持要素328の両方向の回転方向(「関節運動」)を示している。両方向の回転は、詳細図Nに示されているように制限される。ストッパ面346および350は、詳細図Nに示したように、ストッパねじ324の経路内に存在する。ストッパねじ324により組付けブロック322に取り付けられている場合、把持要素328は、ストッパねじ324のヘッドがストッパ面346に接触するまで時計回り方向に回転することができ、接触により、時計回りにさらに回転することが阻止される。同様に、把持要素328は、ストッパねじ324のヘッドがストッパ面350に接触するまで反時計回り方向に回転することができ、接触により、反時計回りにさらに回転することが阻止される。
【0026】
1つの実施形態では、詳細図Nに示されているように、組付けブロック322に対する把持要素328の可動角度Pは、時計回り方向で21度に制限されており、組付けブロック322に対する把持要素328の可動角度Rは、反時計回り方向で13度に制限されている。
【0027】
ストッパねじ324の長手方向軸線からストッパ面346の外縁部またはストッパ面350の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離は、それぞれの回転方向における回転(可動)角度を変化させる。より具体的には、ストッパねじ324の長手方向軸線からストッパ面346の外縁部またはストッパ面350の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離を増大させることは、把持要素328が運動することができる角度を増大させる。同様に、ストッパねじ324の長手方向軸線からストッパ面346の外縁部またはストッパ面350の外縁部のいずれかまでの水平方向の距離を減少させることは、把持要素328が運動することができる角度を減少させる。ストッパねじ324の長手方向軸線とストッパ面346,350との間の水平方向の距離は、シャフトねじ穴336の位置および/または切欠き340の位置を変更することによって調節することができる。図示されているように、ストッパねじ324の長手方向軸線は、切欠き340の長手方向軸線から水平方向にずらされている。
【0028】
フィンガシャフト334の中心からストッパねじ324のヘッドの頂部までの鉛直方向の距離も、両方向での回転(可動)角度を変化させる。より具体的には、フィンガシャフト334の中心からストッパねじ324のヘッドの頂部までの鉛直方向の距離を増大させることは、把持要素328が運動することができる角度を減少させる。同様に、フィンガシャフト334の中心からストッパねじ324のヘッドの頂部までの鉛直方向の距離を減少させることは、把持要素328が運動することができる角度を増大させる。
【0029】
ストッパねじ324のヘッドの直径も、両方向での回転(可動)角度を変化させる。より具体的には、ストッパねじ324のヘッドの直径を増大させることは、把持要素328が運動することができる角度を減少させる。同様に、ストッパねじ324のヘッドの直径を減少させることは、把持要素328が運動することができる角度を増大させる。
【0030】
図6を参照すると、把持装置310’の別の実施形態が、グリッパ工具アセンブリ320’と一緒に示されている。把持装置310’,310の唯1つの差異は、グリッパ工具アセンブリ320’が、取付け部材326または貫通孔342を備えた別個の組付けブロック322を含んでいないことである。把持要素328は、少なくとも1つの可動式フィンガジョー314’に直接に回転可能に結合されている。フィンガジョー314’は、少なくとも2つのストッパ面(参照符号を付されていない)を規定する、制限する切欠き、たとえばスロットまたは孔を有する一体的な組付けブロックを備えたボディを含んでいる。同一の要素は、同一の参照符号で識別されている。
【0031】
本発明の別の態様によれば、オペレータおよび/または制御システムが、ワークを把持する方法を実行することができる。この方法は、上述したような把持装置210’,210,310’,310を提供する最初のステップを含んでいてよい。方法は、把持装置210’,210,310’,310をワークに対して相対的に位置決めするステップも含んでいてよい。その後に方法は、把持装置210’,210,310’,310を作動させるステップを含んでいてよく、これにより、把持装置210’,210,310’,310の少なくとも1つの把持要素がワークに接触し、ワークは、次いで、ストッパ部材がストッパ面の1つに接触するまでシャフトを回転させる。この方法はさらに、シャフトに対してストッパ部材の位置を調節することによって、シャフトの回転制限を調節するステップを含んでいてよい。
【0032】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明したが、本発明を本開示の思想および枠内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、本出願の一般的な原則を用いて本発明のあらゆる変形、用途または適応を網羅することを意図している。さらに、本出願は、本発明が属する技術分野における既知または慣用の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内にある本開示からの逸脱を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】