(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067665
(43)【公開日】2022-05-06
(54)【発明の名称】血管内圧力及び流量監視方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0215 20060101AFI20220425BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A61B5/0215 C
A61B5/026 110
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037713
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2020183508の分割
【原出願日】2015-04-04
(31)【優先権主張番号】62/073,284
(32)【優先日】2014-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/975,424
(32)【優先日】2014-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516296728
【氏名又は名称】セント.ジュード メディカル システムズ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ST.JUDE MEDICAL SYSTEMS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスゼレリ,ユーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ランドグレン,フレドレドリック
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA11
4C017AC03
4C017BC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血管内圧力及び流量を監視するための方法を提供する。
【解決手段】血管内圧力及び流量監視方法であって、複数の心臓サイクルのそれぞれの間に、1つ以上のセンサを用いて、複数の血管内血流量値、複数の近位圧力値、及び複数の遠位圧力値を測定するステップと、前記複数の血管内血流量値を用いて、前記複数の心臓サイクルのそれぞれの流量閾値を含む複数の流量閾値を決定するステップと、各流量閾値の時点における近位圧力値(Pa)及び遠位圧力値(Pd)を決定するステップと、各流量閾値の時点における前記Pa値及び前記Pd値に基づいて、第1の診断パラメータを計算するステップと、前記複数の心臓サイクルに対する前記診断パラメータをユーザディスプレイに表示するステップと、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内圧力及び流量監視方法であって、
複数の心臓サイクルのそれぞれの間に、1つ以上のセンサを用いて、複数の血管内血流量値、複数の近位圧力値、及び複数の遠位圧力値を測定するステップと、
前記複数の血管内血流量値を用いて、前記複数の心臓サイクルのそれぞれの流量閾値を含む複数の流量閾値を決定するステップと、
各流量閾値の時点における近位圧力値(Pa)及び遠位圧力値(Pd)を決定するステップと、
各流量閾値の時点における前記Pa値及び前記Pd値に基づいて、第1の診断パラメータを計算するステップと、
前記複数の心臓サイクルに対する前記診断パラメータをユーザディスプレイに表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の診断パラメータは、各流量閾値の時点の圧力差Pa-Pd、又は各流量閾値の時点の圧力比Pd/Paである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各流量閾値は、前記各心臓サイクル中の流量ピーク、前記各心臓サイクル中の相対極値、前記各心臓サイクル中の変曲点、前記各心臓サイクル中の1次導出値、又は前記各心臓サイクル中の2次導出値である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記診断パラメータは、前記複数の心臓サイクルにおける各流量閾値の圧力差Pa-Pdの平均値、又は前記複数の心臓サイクルにおける各流量閾値の圧力比Pd/Paの平均値である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記診断パラメータは、前記複数の心臓サイクルにおける各流量閾値の圧力差Pa-Pdの算術平均、または前記複数の心臓サイクルにおける各流量閾値の圧力比Pd/Paの算術平均である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサは、ガイドワイヤの遠位端に配置された血管内ガイドワイヤ式プローブの一部であり、
前記1つ以上のセンサは、
温度と圧力に感応する能動抵抗と、
温度に感度があり、圧力に感度のない受動抵抗と、を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の遠位圧力値は、
前記能動抵抗と前記受動抵抗とに関連付けられた第1の電気信号を処理するステップと、
前記第1の電気信号に基づいて前記遠位圧力値を決定するステップと、
を含むステップを実行することによって測定され、
前記複数の血管内血流量値は、
前記受動抵抗に関連付けられた第2の電気信号を処理するステップと
前記第2の電気信号に基づいて、伝達関数を用いて、前記血管内血流量値を決定するステップと、
を含むステップを実行することによって測定される、
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月4日に出願された米国特許仮出願第61/975,424号、及び2014年10月31日に出願された米国特許仮出願第62/073,284号の優先権を主張するものであり、これらの開示は、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、全般的には、圧力測定、温度測定、流量測定などの血管内測定、及び関連する診断の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
センサ及びガイドワイヤのアセンブリを使用することにより、アセンブリの遠位端又は遠位端付近に配置された測定センサにより血管内データを収集することが可能である。これらの装置は、典型的には、血圧のような、組織や流体の内部特性を測定する用途において使用される。センサ及びガイドワイヤのアセンブリは、単独で、又は、既に患者内に配置されているカテーテルを通して、動脈、静脈、又は他の人体器官に導入されることが可能である。これらのアセンブリは、圧力及び他のパラメータを測定することに使用可能である。
【0004】
例えば、そのようなアセンブリを、送達カテーテルなどの1つ以上の圧力検知装置とともに使用することにより、圧力データを用いて血流予備量比(FFR)を測定することが可能である。更に、熱希釈法に基づく手法を用いて、冠血流予備能(CFR)を測定することが可能である。そのような手法では、CFR値は、関心対象の冠動脈に冷生理食塩水溶液を注入し、温度センサを使用して、動脈への冷生理食塩水の注入開始から温度が特定レベルまで戻るまでの時間を測定することにより、取得される。
【0005】
熱希釈法には幾つかの制約がある。この方法の規定された精度は、±30%という低さである。更に、その手順は、システムソフトウェアがCFR値を計算するのに十分なデータを生成する為に特定の特性の生理食塩水を何回か注入する必要があり、面倒であり、時間がかかる。FFR及びCFRの測定は、必要とされる熱希釈システム、生理食塩水の送達、及びその後の測定の性質を考慮して、2つの別々の方法として実施される。
【0006】
FFRは、冠動脈の狭窄の深刻さの尺度を与える為に使用される。FFRを求める典型的な方法は、充血時の冠動脈の圧力低下を測定することである。充血を引き起こす物質を注入することにより、ある管理された期間にわたって冠動脈系の血流の増加が引き起こされる。この期間に圧力低下が測定され、これが、FFRを求める際の入力として使用される。
【0007】
本開示は、部分的には、FFR値、CFR値、及び他の値を測定し、既存の方法における課題の幾つかを克服する診断出力を生成することに適する方法、システム、及び装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、部分的には、血流量値、又はそのような流量と関連しているパラメータを測定しながら、血管内圧力測定を同時に実施する方法、システム、及び装置に関する。これらの実施形態は、熱膜流速測定又は熱線流速測定に基づいてよい。熱膜流速測定又は熱線流速測定は、加熱された面の上を流れる流体(又は気体)の冷却効果を測定する方法である。センサを熱膜流速計として使用する場合、センサは電流によって加熱され、血流の冷却効果は、抵抗の両端電圧をサンプリングすることによって測定される。抵抗の両端電圧は、他の抵抗、電流、電気的パラメータ、及び電気信号とともに測定されてよい。これらの測定値は、流量パラメータと相関していることが可能である。一実施形態では、電圧は、関連する2つの流速測定方法、即ち、定温流速測定(CTA)及び定励起電圧(CVEX)流速測定に使用可能である。
【0010】
一実施形態では、第1の温度感応抵抗及び第2の温度感応抵抗を含む半導体ベースのセンサが、圧力検知血管内装置の一部として使用される。更に、この第1及び第2の抵抗の少なくとも一方が圧力感応性でもある。センサは、ガイドワイヤを介して送達されてよく、センサを使用して、励起電圧、電流、温度、又は他のセンサパラメータの変化に基づいて流量データ、圧力データ、又は温度データを同時に取得しながら、狭窄候補の前後の圧力を測定することが可能である。そのような圧力及び流量の測定を支援する為に、様々な制御システム及び較正方法が用いられてよい。
【0011】
一実施形態では、本開示は、半導体ベースの圧力センサを使用して圧力及び流量の同時測定を実施しながら、デジタル制御システムを使用することに関する。デジタル制御システムは、アナログ制御システムの幾つかの欠陥を克服する。具体的には、デジタル制御システムの幾つかの優位点として、較正機能と、ユーザ指定の温度選択機能とがある。デジタルシステムは又、ノイズレベルに対する相対的な信号レベルを向上させる為に使用可能である。較正機能は、所与の検知プローブに関連付けられたメモリ装置上にデジタルエンコードされた情報を読み取ることと、この読み取りに対する応答として制御システムの各段を調整することと、を含む。メモリ装置は、プローブに取り付け可能であり、例えば、PROM、EEPROM、RFID、又は他の適切なメモリ記憶装置である。
【0012】
温度選択機能は、1つ以上のセンサを使用して血管の温度を自動的に取得し、その後、検知システムの電気的特性を変更することを含む。この、電流、電圧、インピーダンス、又は別のパラメータに対する変更は、流れている血液の温度より高いユーザ指定温度(例えば、過剰温度又は検知温度範囲)に対する応答として行われる。過剰温度又は検知温度範囲は、冷却によって下げることが可能な範囲又は値を与える。この温度低下は、血液が流れたことの結果として測定可能である。代替として、過剰温度又は検知温度範囲を一定に保つ為に、電圧や電流などの電気的特性をどこまで上げる必要があるかを測定し、血流量と相互に関連付けることが可能である。従って、過剰温度は、一定であることが可能であり、或いは、冷却に応じて変化する範囲であることが可能である。
【0013】
一実施形態では、本開示は、圧力データと圧力データに関連する流量データとを同時に中継するガイドワイヤ式プローブと電子連通しているグラフィカルユーザインタフェース及びプローブインタフェース又は処理システム又はディスプレイシステム又は統合型心臓病ディスプレイシステム(ICD)(それぞれは別個であるか、一体であって、「測定システム」と総称される)に関する。一実施形態では、ICDなどの適している測定システムとして、限定ではないが、RadiAnalyzerシステム、RadiAnalyzer Xpressシステム、Quantienシステム、Aerisシステム、Prestigeガイドワイヤ式プローブシステム、ComboMap(登録商標)圧力及び流量システム、及び他の、血管内圧力を検知するかFFRを求める装置及びシステムがあってよい。一実施形態では、測定システムと、プローブインタフェース又は処理システム及びディスプレイシステムとは、同じ装置又は装置集合体である。
【0014】
一実施形態では、インタフェース装置は、血管に沿う1つ以上の場所での流量及び圧力を表す信号をガイドワイヤ式プローブから受信する。ガイドワイヤ式プローブセンサは、血管内に導入される前に、カテーテル内に配置される。更に、本システムは、血管の管腔内に導入される前に、カテーテル内部からゼロ流量基準値を取得する。このゼロ流量基準値は、ガイドワイヤ式プローブの較正時の入力として使用されてもよい。大気圧も、センサ較正時のゼロ点として使用されてよい。
【0015】
データ収集が行われる制御された環境のデータの収集及び選択のタイミングによって、他の流量測定値及び/又は圧力測定値の評価の基準となるゼロ点又は原点が決まる。ゼロ点又は較正点を他のパラメータ及び伝達関数とともに使用することにより、ガイドワイヤ式プローブ信号データを、測定システム内の1つ以上のプロセッサを使用して表示して分析することに適する流量データに変換することが可能である。
【0016】
一実施形態では、伝達関数T(x)はT(x)=a+b×ln(x)という形式であり、T(x)は、流量値xに対する応答として温度値を与える。一実施形態では、伝達関数T(x)はT(x)=a+b×ln(x)という形式であり、T(x)は、流量値xに対する応答として励起電圧または電力値を与える。流量値xは、一実施形態では、流速(flow velocity)である。別の実施形態では、流量値xは流量(flow rate)である。一実施形態では、伝達関数T(x)はT(x)=a+b×x^cという形式である。
【0017】
一実施形態では、伝達関数は、データ当てはめに基づいて求められる。具体的には、そのような当てはめを行うことに使用されるデータとして、流量対温度、流量対励起電圧、流速対温度、流速対励起電圧などがあってよい。伝達関数によって使用可能な1つ以上のセンサ固有パラメータは、ガイドワイヤ式プローブのメモリ記憶装置に格納される。一実施形態では、伝達関数は、モデル、制約、及び他の数式のみ又は数式とデータとの組み合わせに基づいて求められる。
【0018】
血管からデータを収集し、収集されたデータに基づいて圧力及び流量の情報を表示する為の時間の範囲は、約0秒超から約1秒である。一実施形態では、データは、抵抗変化と相関している時変電気信号を含む。一実施形態では、データは、電流変化と相関している時変電気信号を含む。
【0019】
一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブの検知部分内に配置された1つ以上の抵抗にかけられる電位差の範囲は、約0.1ボルト超から約15ボルトである。一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブの、温度(P)、流量(Q)、又は温度(T)の検知部分を使用して血管内で測定される温度変化の範囲は、約0℃超から約5℃である。一実施形態では、十分な過剰温度を発生させる為に必要な励起電圧(即ち、流量変化に対する感度)は、約4ボルト超である。この励起電圧の範囲は、一実施形態では、CVEX及びCTAの実施態様に当てはまる。
【0020】
本開示は、部分的には、血管関連データを収集する方法に関する。本方法は、ガイドワイヤ式プローブのデータを1つ以上のメモリ装置に格納するステップと、血管内に配置された第1の抵抗及び第2の抵抗に関連付けられた第1の電気信号を測定するステップと、血管内に配置された第2の抵抗に関連付けられた第2の電気信号を測定するステップと、流量パラメータを出力とする伝達関数を、ガイドワイヤ式プローブデータを使用して求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して血管の血圧値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して血管の血液温度値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上と伝達関数とを使用して血管の血流量値を求めるステップと、血管の圧力対流量曲線を表示するステップと、を含む。一実施形態では、伝達関数は、流量パラメータ及び励起電圧に関する。一実施形態では、伝達関数は、流量値と、第1の抵抗及び第2の抵抗のうちの1つ以上の抵抗の温度と、に関する。一実施形態では、本方法は更に、最大流量、最小流量、及び流量の相対極値のうちの1つ以上の発生を識別するステップと、そのような発生を、血管内イベント又は心臓イベントと相互に関連付けるステップと、を含む。
【0021】
本開示は、部分的には、血管内圧力及び流量監視システムに関する。本システムは、1つ以上のメモリ装置と、メモリ装置と通信しているコンピューティング装置と、を含み、メモリ装置は、コンピューティング装置によって実行可能であって、ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成される測定回路からの第1の電気信号に対する応答として、1つ以上の血管内圧力値を求めるステップと、ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成される測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、伝達関数を使用して、1つ以上の血管内流量値を求めるステップと、1つ以上の血管内圧力値及び血管内流量値に基づいて生成される、時間に対して変化する圧力対流量曲線を表示するステップと、をコンピューティング装置に行わせる命令を含む。
【0022】
一実施形態では、圧力対流量曲線は、ほぼリアルタイムで表示される。一実施形態では、伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×ln(x)という形式であり、xは流量であり、a及びbは定数である。一実施形態では、伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×xcという形式であり、xは流量であり、a、b、及びcは定数である。一実施形態では、本システムは更に、1つ以上の時点の間に取得された1つ以上の心臓血管関連値を表示する命令を含む。
【0023】
一実施形態では、この1つ以上の心臓血管関連値は、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される。
【0024】
一実施形態では、本システムは更に、動脈内の1つ以上の位置に関する血管内プローブデータに対する応答として生成される1つ以上の軌跡又はシグネチャを表示する命令を含む。一実施形態では、本システムは更に、血管内プローブからの圧力及び流量データを使用して生成される流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、又は1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含むユーザインタフェースを表示する命令を含む。
【0025】
一実施形態では、本システムは更に、ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成された測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、線形関数又は他の関数を使用して1つ以上の温度値を求める命令を含む。
【0026】
本開示は、部分的には、血管内圧力及び流量監視アダプタキットに関する。本キットは電源装置を含み、電源装置は、第1の血管内圧力測定システム出力接続部と、第2の血管内圧力測定システム出力接続部と、を含み、電源装置の電力出力範囲は、約0.2ボルト超から約12ボルト未満であり、電源装置のサイズは、血管内圧力測定システムと電気的に接続するように決められている。本キットは、電源と電気連通する1つ以上の電気的構成要素を含んでよい。本キットの一実施形態では、1つ以上の電気的構成要素は、フィルタ、増幅器、電流源、電圧源、及び制御システム接続部からなる群から選択される。
【0027】
本キットの一実施形態では、電力出力範囲は、約0.3ボルトから約30ボルト未満である。本キットの一実施形態では、本キットは更に非過渡的記憶媒体を含み、この非過渡的記憶媒体は、励起電圧又は温度に対する応答として血管内流量値を出力する伝達関数をメモリ内に格納するステップと、電源装置及び伝達関数からの(i)励起電圧、又は(ii)固定電圧と温度依存抵抗の両端電圧との差に対する応答として血管内流量値を生成するステップと、を血管内圧力監視システムのコンピューティング装置に行わせる命令を含む。
【0028】
本開示は、部分的には、流量監視装置の較正方法に関する。本方法は、圧力センサの温度と、圧力センサが中に配置されている血液の温度とがほぼ一致するように、圧力センサの励起電圧を選択するステップと、関心対象血管内の血液の絶対温度を求めるステップと、圧力センサを使用して血管内の流量値を測定するステップと、を含む。一実施形態では、本方法に含まれる、関心対象血管内の血液の絶対温度を求めるステップは、インタフェースシステム内のスイッチ構成の変更の間に測定値を取得するステップを含む。
【0029】
本開示は、部分的には、統合型心臓病システムに関する。本システムは、ディスプレイシステムと、ディスプレイシステムと電気連通している圧力及び流量測定システムと、ディスプレイシステム又は圧力及び流量測定システムのうちの一方に配置されたプロセッサと、プロセッサを使用して生成され、ディスプレイ上に描かれる1つ以上のパネルであって、圧力及び流量センサを含む血管内プローブを使用して取得された流量値及び圧力値を含む1つ以上のパネルと、を含む。一実施形態では、この1つ以上のパネルは圧力対流量曲線を含み、圧力対流量曲線は、血管内圧力及び流量データを使用して生成された1つ以上の軌跡を含み、更に、血管内プローブからデータ信号を受信する入力を含み、血管内プローブは、流量値と相関している温度変化を測定する温度センサを含む。
【0030】
一実施形態では、軌跡は、限定ではないが心臓サイクルに関連する各状態間の遷移のグラフィカル表現を含んでよく、狭窄、動脈内の圧力変化、並びに、収縮や他の、動脈又は心臓の状態に起因する流量変化に応じて変化しうる。一実施形態では、1つ以上のパネルが、シグネチャ、軌跡、スロープ、最大点、最小点、測定値の比、測定値と導出値の比、1次導出値と2次導出値の比、範囲、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含む。
【0031】
本開示は、部分的には、血管内圧力及び流量監視システムに関する。本システムは、血管内プローブからデータを受信する為の有線インタフェース又は無線インタフェースを含む血管内圧力及び流量インタフェースシステムと、血管内圧力及び流量インタフェースシステムと電気連通しているディスプレイシステムと、1つ以上の流量測定値の為のフィールドを有する1つ以上のパネルを含むユーザインタフェースを、ディスプレイ上に出力する命令を含む1つ以上のメモリ記憶装置と、血管内圧力及び流量インタフェースシステム、ディスプレイシステム、及び1つ以上のメモリ記憶装置と電気連通しているプロセッサであって、ディスプレイシステム上にユーザインタフェースが出力されるように、命令に応答するプロセッサと、を含む。
【0032】
一実施形態では、本システムは、測定された温度信号又は励起電圧のうちの一方を、伝達関数を使用して流速に変換するように構成された較正システムを含む。一実施形態では、伝達関数は、a+b×lnx及び/又はa+b×xcという形式である。一実施形態では、ディスプレイシステムは、圧力と流速の測定値を同時に出力する。一実施形態では、ディスプレイシステムは、圧力と絶対温度の測定値を同時に出力する。一実施形態では、ディスプレイシステムは、プローブセンサの測定位置において取得された1つ以上の信号に対応する1つ以上のパラメータ又は指数を出力する。
【0033】
一実施形態では、この1つ以上のパラメータ又は指数は、シグネチャ、軌跡、スロープ、最大点、最小点、測定値の比、測定値と導出値の比、1次導出値と2次導出値の比、範囲、血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される。一実施形態では、有線インタフェースは、励起電圧源、第1の抵抗、第2の抵抗、第1のスイッチ、及び第2のスイッチを含む。一実施形態では、無線インタフェースは、複数の電流源、複数のスイッチ、第1の抵抗、及び第2の抵抗を含み、各電流源は、いずれかのスイッチと直列になる。
冠血流予備能に関連する特徴及び実施形態
【0034】
本開示は、部分的には、熱対流装置、例えば、血管内圧力及び流量センサ並びに血管内データ収集及び処理システムを使用して、1つ以上の冠血流予備能(CFR)値及び血流予備量比(FFR)値を別々に、又は同時に求めることに適する方法及びシステムに関する。更に、本開示は又、部分的には、圧力センサを有する血管内プローブと定温度流速測定(CTA)又は定励起電圧(CVEX)流速測定とを用いてCFR値を求めることに関する。
【0035】
本開示は又、血管内圧力又は流量センサを使用して冠血流予備能データを求める方法に関する。本方法は、血管内データ収集プローブをサンプリングして、血管の遠位領域からの1つ以上の遠位圧力値(Pd)と、1つ以上の熱対流データ値と、を取得するステップと、血管の近位領域から取得された1つ以上の大動脈圧値(Pa)を血管内データ処理システムにおいて受信するステップと、1つ以上の遠位圧力値及び1つ以上の大動脈圧値から1つ以上の血流予備量比(FFR)値を求めるステップと、1つ以上の熱対流データ値から1つ以上の冠血流予備能(CFR)値を求めるステップと、1つ以上のFFR値と1つ以上のCFR値とをディスプレイ装置上に表示するステップと、を含む。
【0036】
一実施形態では、各CFR値は、伝達関数を使用して求められる。一実施形態では、伝達関数はT=a+c×lnQという形式であり、Tは熱対流装置の温度可変抵抗の測定された温度であり、Qは流量であり、a及びcは定数である。一実施形態では、1つ以上の冠血流予備能(CFR)値を求める上記ステップは、充血流量時の測定された温度T
hyp及びベースライン流量時の測定された温度T
basを求めるステップを含む。一実施形態では、各CFR値は、形式b
【数1】
のT
hypとT
basとの間の関係を使用して求められ、この形式は、の関数の逆関数を代数的に簡略化したものであり、bは一般化された基数であり、cは定数である。一実施形態では、FFR値及びCFR値は、数値として、且つ、1つ以上の操作部を含むグラフィカルユーザインタフェースに対して相対的な時変プロットとして表示される。一実施形態では、1つ以上の操作部のうちの1つがイネーブルCFR操作部を含み、イネーブルCFR操作部は、FFR表示モードかFFR及びCFR結合モードかを選択する為に、ユーザによって調節可能である。一実施形態では、本方法は更に、温度信号を調整して最大レベル、最小レベル、又は他のレベルを見つけるステップを含む。一実施形態では、この調整ステップは、調整済みの状態を表す聴覚キュー又は視覚キューが発生するまで操作部を調節することによって実施される。
【0037】
本開示は、部分的には、データ収集方法、及び/又は、収集されたデータ、例えば、測定された圧力、温度、又は流量の値を使用する診断方法に関する。本方法は、血管内熱対流装置によって測定される遠位圧力信号に対してゼロ値を設定するステップと、血管内熱対流装置を送達カテーテルの開口部に配置するステップと、血管系内を前進させる前に、血管内熱対流装置によって測定される温度信号のゼロ値を設定するステップと、血管内熱対流装置を、カテーテル開口部より遠位にある位置まで前進させるステップと、血管内熱対流装置圧力(Pd)信号を大動脈圧(Pa)信号に対して等化させるステップと、血管内熱対流装置が関心対象の測定位置にある場合に、血管内熱対流装置の温度信号を調整又は最適化するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、ベースライン熱対流信号値を取得するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、FFR及びCFRの計算を実行する為のPd値及び熱対流装置値を取得するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は更に、圧力が等化され、流量信号がベースラインレベルに戻ったことを確認するステップを含む。一実施形態では、本方法は更に、1つ以上のFFR値及び1つ以上のCFR値を、1つ以上の軸と1つ以上の操作入力とを含むグラフィカルユーザインタフェースに対して相対的に表示するステップを含む。一実施形態では、操作入力及びユーザインタフェースは、タッチスクリーンを使用して実施される。
【0038】
本開示は、部分的には、血管内データ監視システムに関する。本システムは、血管内プローブからデータを受信するインタフェースを含む血管内データ収集システムと、血管内データ収集システムと電気連通しているディスプレイシステムと、ディスプレイシステム上にユーザインタフェースを出力する命令を含む1つ以上のメモリ記憶装置であり、ユーザインタフェースは、1つ以上のCFR値又はそのプロットを表示する1つ以上の領域を含み、ユーザインタフェースは、1つ以上のFFR値又はそのプロットを表示する1つ以上の領域を含む、1つ以上のメモリ記憶装置と、血管内データ収集システム、ディスプレイシステム、及び1つ以上のメモリ記憶装置と電気連通しているプロセッサと、を含み、プロセッサは、複数の近位圧力値(Pa)をサンプリングすることと、複数の遠位圧力値(Pd)をサンプリングすることと、複数の熱対流データ値をサンプリングすることと、サンプリングされたPa値、Pd値、及び熱対流データ値を使用して、1つ以上のCFR値及び1つ以上のFFR値を求めることと、を行うようにプログラムされている。
【0039】
本開示は、部分的には、血管内データ収集システムの較正方法に関する。本方法は、血管内熱対流装置によって測定される遠位圧力信号に対してベースライン値を設定するステップと、血管内熱対流装置を送達カテーテルの開口部に配置するステップと、血管系内を前進させる前に、血管内熱対流装置によって測定される温度信号のベースライン値を設定するステップと、血管内熱対流装置を、カテーテル開口部より遠位にある位置まで前進させるステップと、血管内熱対流装置圧力(Pd)信号を大動脈圧(Pa)信号に対して等化させるステップと、血管内熱対流装置が関心対象の測定位置にある場合に、血管内熱対流装置の温度信号を較正するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、Pd値及び熱対流装置値を取得するステップと、を含む。
狭窄評価及び流量閾値/流量ピークによってガイドされる測定実施形態
【0040】
本開示は、部分的には、非充血状態又は充血状態での圧力低下を分析し、1つ以上の流量閾値を識別し、そのような選択された時点において収集されたデータを基準とする診断データを収集又は他の方法で生成することに適する血管内圧力監視システム及びデータ収集装置に関する。一実施形態では、時間に対して、様々な1つ以上の流量閾値において、遠位対近位比のような圧力比、又は圧力差が収集される。各流量閾値において測定される圧力値及び流量値を使用して、何拍かの心拍にわたる圧力比/圧力差の算術平均を計算することが可能である。
【0041】
本開示は、部分的には、血管の評価方法に関する。本方法は、1つ以上のセンサを使用して、1つ以上の心拍にわたって、複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定するステップと、複数の血管内血流量値のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の心拍にわたる流量閾値を求めるステップと、流量閾値の間で近位圧力値(Pa)及び遠位圧力値(Pd)を求めるステップと、1つ以上の心拍にわたる、流量閾値におけるPa値及びPd値に基づいて第1の診断パラメータを計算するステップと、1つ以上の心拍にわたる第1の診断パラメータ、又は第1の診断パラメータを使用して求められた第2の診断パラメータを、ユーザディスプレイ上に表示するステップと、を含む。一実施形態では、第1の診断パラメータは、圧力差Pa-Pd又は圧力比Pd/Paである。一実施形態では、複数の血圧値は、狭窄に対して相対的に測定された1つ以上の近位圧力値と、1つ以上の大動脈圧値と、を含む。
【0042】
一実施形態では、第1の診断パラメータ及び前記第2の診断パラメータは、Pa、Pd、Pd/Pa、Pa-Pd、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される。一実施形態では、流量閾値は、心臓サイクルの間の最大流量、心臓サイクルの間の流量の相対極値、心臓サイクルの間の最大流量のほんの何分の1かの値、充血時最大流量値、及び非充血時流量値からなる群から選択される。
【0043】
一実施形態では、複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定する上記ステップは更に、血管内に配置された第1の抵抗及び第2の抵抗に関連付けられた第1の電気信号を測定するステップと、血管内に配置された第2の抵抗に関連付けられた第2の電気信号を測定するステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、複数の血管内血圧値のうちの1つ以上の血圧値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、血管の1つ以上の血液温度値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、血管の複数の血管内血流量値を求めるステップと、を含む。
【0044】
一実施形態では、血圧値の1つ以上が、大動脈圧値又は近位圧力値である。一実施形態では、第1の診断パラメータは、時間に対する値のプロットである。一実施形態では、第1の診断パラメータを計算する上記ステップは、心臓サイクルごとに求められた流量閾値に従って、複数の心臓サイクルにわたる圧力比又は圧力差の平均値を計算するステップを含む。一実施形態では、第1の診断パラメータは、複数の心臓サイクルにわたる圧力比の平均値、又は複数の心臓サイクルにわたる圧力差の平均値である。
【0045】
本開示は、部分的には、血管の評価方法に関する。本方法は、1つ以上の心臓サイクルの間に取得された血管内血流量データ及び血圧データを受信するステップであって、血管内血流量データはピーク血流量値を含む、受信するステップと、ピーク血流量値を含む流量閾値を求めるステップと、1つ以上の心拍のそれぞれにおけるピーク血流量において、第1の血管内血圧(Pa)及び第2の血管内血圧(Pd)を求めるステップと、1つ以上の心臓サイクルのそれぞれにおけるPaとPdの1つ以上の圧力差、又は1つ以上の心臓サイクルのそれぞれにおける1つ以上の圧力比Pd/Paを計算するステップと、血管についての診断情報をユーザディスプレイ上に表示するステップであって、診断情報は、圧力比、圧力差、又はそのプロットのうちの1つ以上を含む、表示するステップと、を含む。一実施形態では、圧力差を計算する上記ステップは、複数の心拍にわたる圧力差の平均を計算することを含む。
【0046】
一実施形態では、本方法は更に、血管と熱連通している血管内熱対流装置の温度変化と相関している電気信号を受信するステップであって、温度変化は、1つ以上の心臓サイクルにわたる流量の変化と相関しており、血管内血流量データはこの電気信号を含む、受信するステップと、温度変化と相関している電気信号からピーク血流量値を求めるステップと、を含む。
【0047】
一実施形態では、本方法は更に、血管と熱連通している血管内熱対流装置の温度変化と相関している電気信号を受信するステップであって、温度変化は、1つ以上の心臓サイクルにわたる流量の変化と相関しており、血管内血流量データはこの電気信号を含む、受信するステップと、温度変化と相関している電気信号からピーク血流量値を求めるステップと、を含む。
その他の実施形態及び実施態様
【0048】
本開示は、部分的には、血管内圧力及び流量監視システムに関する。本システムは、1つ以上のメモリ装置と、メモリ装置と通信しているコンピューティング装置と、を含み、メモリ装置は、コンピューティング装置によって実行可能であって、ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成される測定回路からの第1の電気信号に対する応答として、1つ以上の血管内圧力値を求めるステップと、ガイドワイヤ式プローブ及び前記インタフェース装置から形成される測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、伝達関数を使用して、1つ以上の血管内流量値を求めるステップと、1つ以上の血管内圧力値及び血管内流量値に基づいて生成される、時間に対して変化する圧力対流量曲線を表示するステップと、をコンピューティング装置に行わせる命令を含む。一実施形態では、圧力対流量曲線は、ほぼリアルタイムで表示される。一実施形態では、伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×ln(x)という形式であり、xは流量であり、a及びbは定数である。一実施形態では、伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×xcという形式であり、xは流量であり、a、b、及びcは定数である。
【0049】
一実施形態では、本システムは更に、1つ以上の時点の間に取得された1つ以上の心臓血管関連値を表示する命令を含む。一実施形態では、1つ以上の心臓血管関連値は、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される。
【0050】
一実施形態では、本システムは更に、動脈内の1つ以上の位置に関する血管内プローブデータに対する応答として生成される1つ以上の軌跡又はシグネチャを表示する命令を含む。一実施形態では、本システムは更に、血管内プローブからの圧力及び流量データを使用して生成される流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、又は1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含むユーザインタフェースを表示する命令を含む。
【0051】
一実施形態では、本システムは更に、ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成された測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、線形関数又は他の関数を使用して1つ以上の温度値を求める命令を含む。一実施形態では、本システムは更に、以下の較正方法ステップ、即ち、圧力センサの温度と、圧力センサが中に配置されている血液の温度とがほぼ一致するように、圧力センサの励起電圧を選択するステップと、関心対象血管内の血液の絶対温度を求めるステップと、圧力センサを使用して血管内の流量値を測定するステップと、によってガイドワイヤ式プローブを較正する命令を含む。一実施形態では、関心対象血管内の血液の絶対温度を求める上記ステップは、インタフェースシステム内のスイッチ構成の変更の間に測定値を取得するステップを含む。
【0052】
一実施形態では、血管内圧力及び流量監視システムは更に、ディスプレイシステムと、ディスプレイシステムと電気連通していて、コンピューティング装置を含む圧力及び流量測定システムと、ディスプレイシステム又は圧力及び流量測定システムのうちの一方に配置された前記コンピューティング装置と、コンピューティング装置を使用して生成され、ディスプレイ上に描かれる1つ以上のパネルであって、圧力及び流量センサを含む血管内プローブを使用して取得された流量値及び圧力値を含む1つ以上のパネルと、を含む。
【0053】
一実施形態では、1つ以上のパネルが圧力対流量曲線を含み、この圧力対流量曲線は、血管内圧力及び流量データを使用して生成された1つ以上の軌跡を含み、更に、血管内プローブからデータ信号を受信する入力を含み、血管内プローブは、流量値と相関している温度変化を測定する温度センサを含む。一実施形態では、1つ以上のパネルが、シグネチャ、軌跡、スロープ、最大点、最小点、測定値の比、測定値と導出値の比、1次導出値と2次導出値の比、範囲、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含む。
【0054】
一実施形態では、血管内圧力及び流量監視システムは更に、血管内圧力又は流量センサを使用して冠血流予備能データを処理する命令を含み、これらの命令は、血管内データ収集プローブをサンプリングして、血管の遠位領域からの1つ以上の遠位圧力値(Pd)と、1つ以上の熱対流データ値と、を取得するステップと、血管の近位領域から取得された1つ以上の大動脈圧値(Pa)を血管内データ処理システムにおいて受信するステップと、1つ以上の遠位圧力値及び1つ以上の大動脈圧値から1つ以上の血流予備量比(FFR)値を求めるステップと、1つ以上の熱対流データ値から1つ以上の冠血流予備能(CFR)値を求めるステップと、1つ以上のFFR値と1つ以上のCFR値とをディスプレイ装置上に表示するステップであって、各CFR値は伝達関数を使用して求められる、表示するステップと、を含む。一実施形態では、伝達関数はT=a+c×lnQという形式であり、Tは熱対流装置の温度可変抵抗の測定された温度であり、Qは流量であり、a及びcは定数である。一実施形態では、各CFR値は、形式b
【数2】
のT
hypとT
basとの間の関係を使用して求められ、この形式は請求項3の関数の逆関数を代数的に簡略化したものであり、bは一般化された基数であり、cは定数である。
【0055】
本開示は、部分的には、血管内の圧力及び流量を監視する方法に関する。本方法は、1つ以上のセンサを使用して、1つ以上の心拍にわたって、複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定するステップと、複数の血管内血流量値のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の心拍にわたる流量閾値を求めるステップと、流量閾値の間で近位圧力値(Pa)及び遠位圧力値(Pd)を求めるステップと、1つ以上の心拍にわたる、流量閾値におけるPa値及びPd値に基づいて第1の診断パラメータを計算するステップと、1つ以上の心拍にわたる第1の診断パラメータ、又は第1の診断パラメータを使用して求められた第2の診断パラメータを、ユーザディスプレイ上に表示するステップと、を含む。一実施形態では、第1の診断パラメータは、圧力差Pa-Pd又は圧力比Pd/Paであってよい。一実施形態では、複数の血圧値は、狭窄に対して相対的に測定された1つ以上の近位圧力値と、1つ以上の大動脈圧値と、を含む。
【0056】
一実施形態では、第1の診断パラメータ及び前記第2の診断パラメータは、Pa、Pd、Pd/Pa、Pa-Pd、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される。一実施形態では、流量閾値は、心臓サイクルの間の最大流量、心臓サイクルの間の流量の相対極値、心臓サイクルの間の最大流量のほんの何分の1かの値、充血時最大流量値、及び非充血時流量値からなる群から選択される。一実施形態では、複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定する上記ステップは更に、血管内に配置された第1の抵抗及び第2の抵抗に関連付けられた第1の電気信号を測定するステップと、血管内に配置された第2の抵抗に関連付けられた第2の電気信号を測定するステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、複数の血管内血圧値のうちの1つ以上の血圧値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、血管の1つ以上の血液温度値を求めるステップと、第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、血管の複数の血管内血流量値を求めるステップと、を含む。
【0057】
一実施形態では、第1の診断パラメータを計算する上記ステップは、心臓サイクルごとに求められた流量閾値に従って、複数の心臓サイクルにわたる圧力比又は圧力差の平均値を計算するステップを含む。一実施形態では、第1の診断パラメータは、複数の心臓サイクルにわたる圧力比の平均値、又は複数の心臓サイクルにわたる圧力差の平均値である。一実施形態では、本方法は、血管と熱連通している血管内熱対流装置の温度変化と相関している電気信号を受信するステップであって、温度変化は、1つ以上の心臓サイクルにわたる流量の変化と相関しており、血管内血流量データはこの電気信号を含む、受信するステップと、温度変化と相関している電気信号からピーク血流量値を求めるステップと、を含む。
【0058】
一実施形態では、本方法は更に、血管内データ収集システムを較正するステップを含み、これらのステップは、血管内熱対流装置によって測定される遠位圧力信号に対してベースライン値を設定するステップと、血管内熱対流装置を送達カテーテルの開口部に配置するステップと、血管系内を前進させる前に、血管内熱対流装置によって測定される温度信号のベースライン値を設定するステップと、血管内熱対流装置を、カテーテル開口部より遠位にある位置まで前進させるステップと、血管内熱対流装置圧力(Pd)信号を大動脈圧(Pa)信号に対して等化させるステップと、血管内熱対流装置が関心対象の測定位置にある場合に、血管内熱対流装置の温度信号を較正するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、Pd値及び熱対流装置値を取得するステップと、を含む。
【0059】
図面は、必ずしも正しい縮尺で描かれておらず、むしろ、概して、原理を例示することに重点が置かれている。図面は、あらゆる側面において例示的であると見なされるべきであり、本開示を限定することを意図しておらず、本開示の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1A】1つ以上の測定システムと有線接続された構成において、圧力、流量パラメータ、及び他の関心対象パラメータを測定することに適する血管内プローブの概略図である。
【
図1B】1つ以上の測定システムと無線接続された構成において、圧力、流量、及び他の関心対象パラメータを測定することに適する血管内プローブの概略図である。
【
図2A】本開示の一例示的実施形態による、圧力と流量を検知するガイドワイヤ式プローブが中に配置されている血管の概略図である。
【
図2B】本開示の一例示的実施形態による、圧力と流量を同時に測定することに適するガイドワイヤ式プローブの一例示的実施形態の検知領域及び関連する構成要素の概略図である。
【
図2C】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知の為の能動抵抗及び受動抵抗を含むガイドワイヤ式プローブの半導体基板の一部のイメージ図である。
【
図2D】本開示の一例示的実施形態による、センサアレイを囲むカプセルを示す、ガイドワイヤ式プローブの斜視図である。
【
図3】本開示の一例示的実施形態による、プローブ、接続部、及びこれらに関連する接触パッドの構成要素の表現として様々な抵抗及びノードを含む回路図である。
【
図4A】本開示の一例示的実施形態による、ブリッジ構成である血管内プローブ及びインタフェースシステム又は処理システムの構成要素の表現として様々な抵抗及びノードを含む回路図である。
【
図4B】本開示の一例示的実施形態による、ブリッジ構成である血管内プローブ及びインタフェースシステム又は処理システムの構成要素の表現として様々な抵抗及びノードを含む回路図である。
【
図5A】血管内プローブと
図4Aに示されたような測定ブリッジとの組み合わせとともに使用される信号サンプリングシステムの概略図である。
【
図5B】本開示の一例示的実施形態による、ガイドワイヤ式プローブを使用する、定温度流速測定(CTA)の実施形態の制御システムの概略図である。
【
図5C】本開示の一例示的実施形態による、励起電圧の変化を監視する定温度制御システムの概略図である。
【
図5D】本開示の一例示的実施形態による、定励起電圧(CVEX)を使用して実施される流量計算システムの概略図である。
【
図5E】本開示の一例示的実施形態による、CVEXを使用して圧力と流量を同時に測定するソフトウェア信号処理の概略図である。
【
図6A】本開示の一例示的実施形態による、血管内プローブを使用する圧力及び流量の監視の、それぞれ、CTA及びCVEXの実施態様の伝達関数のプロット及び表現である。
【
図6B】本開示の一例示的実施形態による、血管内プローブを使用する圧力及び流量の監視の、それぞれ、CTA及びCVEXの実施態様の伝達関数のプロット及び表現である。
【
図7A】本開示の一実施形態で測定された流量信号(青色)と基準流量信号(赤色)との比較を示す図である。測定は架空の流量を使用して行われた。
【
図7B】遠位LADから近位LADまでの引き戻しに対する流速のプロットを示す図である。記録は、鼓動する、摘出されたブタの心臓の中で行われた。
【
図8A】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知プローブを使用し、ブタの心臓の近位RCA内にセンサを配置して取得された、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す図である。
【
図8B】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知プローブを使用し、ブタの心臓の近位LAD内にセンサを配置して取得された、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す図である。
【
図8C】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知プローブを使用して取得された圧力対流量のプロットを示す図であり、RCAに関して取得されたループ又は軌跡を有する図である。マーキングに対応する点が
図8Dに示されている。
【
図8D】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知プローブを使用し、RCAに関して取得された流速プロファイルの、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す図である。マーキングに対応する点が
図8Cに示されている。
【
図8E】本開示の一例示的実施形態による、圧力及び流量の検知プローブを使用して取得された圧力対流量のプロットを示す図であり、LCAに関して取得されたループ又は軌跡を有する図である。マーキングに対応する点が
図8Fに示されている。
【
図8F】本開示の一例示的実施形態による、LCAに関して取得された流速プロファイルの、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す図である。マーキングに対応する点が
図8Eに示されている。
【
図9A】本開示の一例示的実施形態による、近位左前下行冠動脈内の、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す図である。
【
図9B】本開示の一例示的実施形態による、時間に対する心筋抵抗のプロットを示す図である。
図9Bのプロットは、
図9Aの圧力を流量信号で割って得られたものである。
【
図10A】本開示の一例示的実施形態による、正常なシナリオ(
図10A)及び異常なシナリオ(
図10B)における圧力対流量のプロット(上側)及び時間対圧力のプロット(下側)を示す図である。
図10Bに示された異常なシナリオは、心筋梗塞を引き起こす閉塞バルーンによって作り出された。
【
図10B】本開示の一例示的実施形態による、正常なシナリオ(
図10A)及び異常なシナリオ(
図10B)における圧力対流量のプロット(上側)及び時間対圧力のプロット(下側)を示す図である。
図10Bに示された異常なシナリオは、心筋梗塞を引き起こす閉塞バルーンによって作り出された。
【
図11】本開示の一例示的実施形態による、血管内検知装置を使用してCFRを測定することに適する血管内データ収集及びディスプレイシステムの概略図である。
【
図12A】本開示の一例示的実施形態による、血管内データ分析及び表示の一例示的方法のフローチャートである。
【
図12B】本開示の一例示的実施形態による、血管内データ分析及び表示の一例示的方法のフローチャートである。
【
図13A】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイの、レビューモード時のスクリーンショットである。
【
図13B】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイの、レビューモード時のスクリーンショットである。
【
図13C】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイの、レビューモード時のスクリーンショットである。
【
図13D】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイの、レビューモード時のスクリーンショットである。
【
図14】本開示の一例示的実施形態による一システムの成果を示すグラフであり、基準CFR値との比較によりCFR値を求めることに使用されるグラフである。
【
図15A】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイのスクリーンショットである。
【
図15B】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイのスクリーンショットである。
【
図15C】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイのスクリーンショットである。
【
図15D】本開示の一例示的実施形態による、例示的ユーザインタフェース及びデータディスプレイのスクリーンショットである。
【
図16】本開示の一例示的実施形態による、流量閾値検出に関連する診断方法を示す図である。
【
図17A】本開示の一例示的実施形態による、関心対象の診断情報の血管内データ収集、分析、及び表示に関連する方法実施形態を示すフローチャートである。
【
図17B】本開示の一例示的実施形態による、関心対象の診断情報の血管内データ収集、分析、及び表示に関連する方法実施形態を示すフローチャートである。
【
図18】本開示の一例示的実施形態による、検知装置を使用して様々な時点において取得された複数の流量閾値において取得された圧力比及び圧力差の、圧力測定値(上側)及び流量測定値/流量値と相関している測定値(下側)に対するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
冠動脈系に関する情報を取得する為に、様々なデータ収集分析システムが利用可能である。装置を用いて血管から取得されるデータ、又は、それらに関連する血管内測定値又は血管外測定値から導出されたデータを分析又は表示することにより、研究者や臨床医の役に立つ相関や外挿を行うことが可能である。例えば、圧力センサ式装置を使用して、血管についての血流予備量比(FFR)を求める為に、様々な測定システム及び血管内プローブが利用可能である。血管内超音波(IVUS)は、音波を使用して血管の一部を画像化する画像化モダリティである。一方、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、干渉計を使用して、血管又は血管内に配置された物体に対して相対的な距離測定値を取得する画像化モダリティである。
【0062】
血管内データ収集装置を血管内で使用することにより、その血管に対して相対的な診断情報を含む信号を生成したり受信したりすることが可能である。このような装置として、限定ではなく、光プローブや超音波プローブなどの撮像装置、圧力センサ装置、流れセンサ、温度センサ、イオンセンサなどの化学センサ、並びに他の、血管、又は他の、心臓血管系のコンポーネントに関するデータを収集することに適した装置が挙げられる。又、例えば、
図1A及び
図1Bのように、カテーテル処置室の血管造影システム95及び他の外部センサ97を使用して、患者を撮像し、データを、本明細書に記載の他の装置及びシステム10、20からのデータとともに、測定システムに提供することが可能である。
【0063】
そのような装置及びシステムを使用して、冠血流予備能(CFR)値及び血流予備量比(FFR)値を別々に、又は同時に求めることが可能であり、これについては本明細書において詳述される。更に、特定の時点又は複数の特定の時点において、圧力比及び圧力差を選択的に測定することが可能である。これらの時点は、流量閾値に対応するものであってよく、流量閾値は、例えば、ピーク流量、又は別の流量極値、又は、心周期中の周期的イベントに対応する時点における流量値と相関しているか、その流量値から導出された値である。そのような周期的イベントの一例として、心臓が拡張及び収縮するにつれて繰り返し発生するピーク流量又は最大流量の時点があるが、これらは必ずしも同じレベルの流量にはならない。
【0064】
本開示は、部分的には、血管内の血流測定値及び圧力測定値を取得し、これらを使用して患者に関する診断フィードバックを生成することを可能にする方法、システム、及び装置に関する。本明細書では、血流測定値を取得することへの言及、血流値又は血流パラメータを測定することへの言及、及び血流への同様の言及は、絶対流量値への言及ではなく、流速値又は相関値への言及である。具体的には、本明細書に記載の開示の様々な実施形態が、血流情報又はそのような血流と相関しているパラメータを取得しながら、血管内圧力測定を同時に実施する。CTA及びCVEX流速測定に基づく方法を1つ以上の実施形態において用いることにより、1つ以上の光センサ又は電気的センサを含む単一ガイドワイヤ式プローブを使用して、血管に関する流量測定及び圧力測定を同時に実施することが可能である。プローブは、OCT、IVUSなどの他のセンサ、及び他のデータ収集センサを含んでよい。
【0065】
CTAの実施形態では、温度センサに対して一定温度が維持される。温度を維持する制御システムが使用され、制御システムは、温度を維持する為に必要な電圧が変化したときにこれを検出することが可能である。結果として、温度センサに対して流動する流体の冷却効果は、流量パラメータに対応する時変電圧に変換されることが可能である。これに対し、CVEXの実施形態の場合は、温度センサの励起電圧が一定に維持され、抵抗の変化、インピーダンス、及び他の電圧、電流、又は時変パラメータが、流量パラメータを示すものとして測定される。
【0066】
血管内血流測定値を単独で、又は他の測定値と組み合わせて使用することにより、関心対象の診断情報をリアルタイム又はほぼリアルタイムで(例えば、約0秒から約5秒の時間内に)表示することが可能である。1つ以上の測定システムを含んでよい統合型心臓病ディスプレイシステム(ICD)を使用して、血管内プローブ及び他のカテーテル処置室用測定装置(例えば、血管造影システム)を使用して取得される、患者に関連する様々なタイプのデータを、室温、血中酸素などと統合して表示することが可能である。これらの機能に関しては、本明細書において更に詳述される。
【0067】
図1A及び
図1Bは、タイプの異なるガイドワイヤ式の装置であるシステム10、20を示しており、これらは、血管内血流測定値の取得及び表示を可能にするカテーテル処置室環境又は他の環境での使用に適する。
図1Aには、インタフェースシステム80までの有線接続90を含む血管内プローブ20が示されている。これに対し、
図1Bには、インタフェースシステム82までの無線接続91を含む血管内プローブ35が示されている。
図1A及び
図1Bに示された各装置は、ガイドワイヤ40と、ガイドワイヤの遠位端に配置された1つ以上のセンサと、を含み、これらは血管内プローブのコンポーネントを構成している。ガイドワイヤの遠位端は、冠動脈などの血管に挿入されるようにサイズが決められている。これらの1つ以上のセンサによって、圧力値P、流量値Q、流量と相関している値、温度値T、及びこれらのいずれかに関連する変化のうちの1つ以上を検知又は測定することに適する検知領域が画定される。PQT検知領域45は、血管内プローブの先端に対応してよい。圧力センサは、所与の実施態様に適切であるように、電気式、機械式、又は光学式であってよい。
【0068】
又、
図1A及び
図1Bは、それぞれ、それぞれのタイプの血管内プローブのプローブ先端の拡大図を示している。拡大図に示されるように、ガイドワイヤ40は、センサアレイ43の上方のキャビティを画定しているジャケット又はカプセル50、或いは他の支持構造物と隣接している。ジャケット又はカプセルは、一実施形態では金属チューブであってよい。センサアレイは、1つ以上のセンサを含んでよい。一実施形態では、センサアレイ43は、圧力感応抵抗及び温度感応抵抗を含む。別の実施形態では、センサアレイは、光圧力センサを含み、例えば、光ファイバ式の圧力センサを含む。センサアレイは、光学式流量センサ、機械式流量センサ、及び他の流量センサを含んでよい。圧力センサ及び流量センサのタイプに応じて、電気的接続又は光接続が、センサアレイからガイドワイヤを通って近位コネクタまで延びる。プローブ先端は、1つ以上のコイル55を含んでよく、これは、例えば、
図2Dに示されるように、通行可能性の検出用又は血管造影検出用である。
【0069】
図1A及び
図1Bに示されるように、近位コネクタ70、72は、2つのタイプのプローブ30、35に応じて異なる。
図1Aの近位コネクタ70は、遠位端がプローブ先端と連通しており、プローブの近位端においてガイドワイヤと接続されている。
図1Aに示されるように、近位コネクタ70は、解除可能な有線接続90を介してプローブインタフェース/処理システム80と接続されている。これに対し、
図1Bの血管内プローブ35は、ガイドワイヤが近位コネクタ72まで延びており、近位コネクタ72は送信器75を含む。
【0070】
図1Bの無線式の実施形態を参照すると、送信器は、プローブからプローブインタフェース/処理システム82へ信号を無線で送信する。一方、
図1Aの実施形態では、有線接続90が使用される。近位コネクタ及び送信器は又、一実施形態では、バッテリなどの電源を含む。これらの近位コネクタは、いずれも、プローブ先端に配置されたセンサアレイとの電気的接続又は光接続を含む。近位コネクタは又、プローブインタフェース/処理システムなどの測定システムとの有線又は無線のブリッジを形成するインタフェース回路を含んでよい。
【0071】
電気式圧力センサを使用する、有線コネクタ式のシステムでは、例えば、
図4Aに示されるようなインタフェース用電子回路が、一実施形態では、ディスプレイシステム87又は別の測定システムに内蔵されている。ディスプレイシステム、インタフェース/処理システム、及び他の、血管内プローブ信号を受信する入力を有するシステムは、別々のシステムであってよく、或いは、ICDのような1つ以上のシステムとして、様々なレベルで合体されてよい。プローブ信号、又はプローブ信号から生成されるデータを含むデータ、又は所与の血管内プローブから受信されるデータを直接又は間接的に受信する、本明細書に記載のシステムのうちの1つ以上において、アナログデジタル変換、ロー信号データから較正済みデータへの信号の処理及び変換、並びに圧力、流量、及び温度の各データをリアルタイム提示する為のグラフィカルユーザインタフェースが実施されてよい。
【0072】
これらのインタフェース又はインタフェース装置は、1つ以上の回路又は信号処理素子又は制御素子と接続される。これらの回路、素子、及び他の、所与の血管内測定システムのコンポーネントは、ガイドワイヤ式プローブからの時変電気信号を流量データ及び圧力データに変換する為に使用される。この時変電気信号は、血管内の流量又は圧力と相関している電流、電圧、抵抗変化、温度変化、又は他のデータであってよい。これらのインタフェース及びディスプレイは、1つ以上のパネルを表示するようにフォーマット及びプログラムされる。パネルは、複数の表示セクションを含んでよく、例えば、圧力データ、超音波画像、血管造影画像、OCT画像、及び他の血管内の画像及びデータの為の測定システムで使用される表示セクションを含んでよい。1つ以上のそのようなパネル、例えば、D1、D2、及びD3が、流量データを時間領域のリアルタイム曲線として表示するように、ディスプレイシステム又は他の測定システムを使用して制御及びプログラムされてよい。圧力データは、流量データと同時に表示されてよい。圧力データに基づくFFR値も表示されてよい。又、本明細書に記載の様々な軌跡及びループが、関心対象点とともに表示されてよい。
【0073】
ディスプレイシステムは、D1、D2、及びD3のような、様々なパネル、ディスプレイ、又はGUIを含む。これらのパネルは、適切な血管内測定データを提示してよく、例えば、撮像データ又は圧力データ又は他のデータを提示してよく、例えば、血管造影データ、超音波データ、又はOCTデータを提示してよい。例えば、D1、D2、又はD3は、他の測定値の代わりに圧力測定値を使用して取得された圧力対流量曲線及びリアルタイムFFRデータを表示することが可能である。D1、D2、又はD3は、他の関心対象の血管内データを表示することも可能であり、例えば、撮像データ、相対極値、最大流量、最小流量、最大圧力、最小圧力、心筋抵抗、流量データ、ステント配置画像などの関心対象細目を表示することが可能である。
【0074】
一実施形態では、流量データは、圧力データと同様に、或いは、圧力データと共存又は同期した形式で表示される。例えば、FFRシステムや複合的又は多モードの血管内データ収集システムなどの測定システムの既存のユーザインタフェース又はデータディスプレイ画面に、D1又はD2又はD3のような追加パネルが追加されてよい。これらの2つ以上の追加パネルは、圧力と流量の情報を同時に表示することが可能であり、例えば、圧力対流量曲線により、或いは、他の、FFR結果と統合された表現により、表示することが可能である。これらのディスプレイ又はインタフェースは、ガイドワイヤ式プローブ、OCT、FFR、IVUS、又は他の血管内データ収集システムのインタフェース装置の一部であってよく、或いは、そのインタフェース装置と、無線通信などにより、電気連通してよい。一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブの較正に伝達関数又は較正関数が使用され、これらの関数は、較正システム93の一部として、メモリに格納されたパラメータを入力として使用する。較正システム93は、一実施形態では、制御システム92の一部であってよい。
【0075】
D1、D2、及びD3は、流量及び圧力の測定システムの操作用ユーザインタフェースを提供してよい。更に、情報パネル又はグラフィカルユーザインタフェースパネルのD1、D2、D3などは、
図7Aから
図10Bに描かれたプロット又はパラメータのうちの1つ以上を表示することに使用可能である。図示されているのはD1、D2、及びD3であるが、これらは例であって限定ではない。従って、本明細書に記載の1つ以上のタイプのリアルタイムデータ、格納データ、及びユーザインタフェースの為に、ディスプレイ、パネル、又はサブパネルが様々に追加されたり削減されたりしてよい。
【0076】
無線プローブ式のシステムでは、一実施形態では、近位コネクタ及び送信器にインタフェース用電子回路が内蔵される。一実施形態では、近位コネクタ内で、血管内を流れる血液に関して取得された信号データのアナログデジタル変換が行われる。更に、近位コネクタ及び送信器内、又はディスプレイシステム内の回路素子又はプロセッサによって、ローデータの、較正済みデータへの変換が行われてよい。圧力、流量、及び温度の各データをリアルタイム提示するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、一実施形態では、ディスプレイシステム内に実装されてよい。
【0077】
本開示の実施形態は、部分的には、圧力監視及び流量監視に適する圧力検知装置、測定システム、及びこれらに関連するソフトウェアの様々な特徴に関する。圧力監視及び流量監視は、流量変化及び圧力変化に対する応答として電気的変化が発生するコンポーネントを含む半導体素子を有するガイドワイヤ式プローブを使用して行われてよい。幾つかの臨床測定、例えば、冠血流予備能(CFR)、冠血流速予備能(CFVR)、血流予備量比(FFR)、及び心筋抵抗指数(IMR)については、圧力測定と流量測定を同時に行うことが望ましい。一実施形態では、(例えば、P-Qプロットの一領域における)最大流量値又は他の関心対象流量値が、そのような値に対する応答として、CFR、CFVR、FFR、又はIMRのうちの1つ以上が実施可能であるように、本明細書に記載のいずれかの実施形態を使用して識別される。本明細書に記載の実施形態は、測定システムの、ガイドワイヤ式プローブ並びに関連するソフトウェアコンポーネント及び電気的コンポーネントを使用して、上述の手順及び測定を実施する方法をサポートする。
【0078】
ガイドワイヤ式プローブを本明細書に記載の測定プラットフォーム及びソフトウェアによる方法との組み合わせで使用することにより、電気信号の変化に基づいて圧力と流量を同時に測定することが可能である。これらのコンポーネントは、データをリアルタイムで表示することに役立つ診断ツール及び様々なインタフェースタイプを提供する。ガイドワイヤ式プローブからの電気信号からそのようなデータを取得できることを踏まえると、プローブが患者内にある間に、圧力と流量のデータを表示することが可能である。そして、その圧力と流量のデータは、圧力対流量、又はP-Qプロットとして、リアルタイムで一緒にプロットされることが可能であり、イベントをトリガする為に、又は本明細書に記載の診断ツールとして、使用されることが可能である。患者内の圧力及び流量のプローブの位置と共通に位置合わせされた血管造影システム又は他の撮像システム及びその出力データによって識別される場所に、プローブのガイドワイヤに沿って、又は他のカテーテル配備可能なワイヤ又は装置を使用して、ステントを配備することが可能である。
【0079】
図2Aに示されるように、血管100が図示されており、これは、例えば、冠動脈の一部分であってよい。血液は、血管100内及び残りの動脈全体にわたって流れ、血液が、図示された狭窄120のような、流路内の狭窄部に遭遇すると、流量変化及び圧力低下が起こる。血管100の壁150は、血液が流れる管腔200を取り囲む。血管100に関するデータを取得する為に、圧力センサ式装置250、例えば、ガイドワイヤ式プローブが、血管100の管腔200に挿入されてよい。流量及び圧力の検知が行われる、装置250の検知領域300は、血液に対して露出しているが、カプセル、ジャケット、或いは他の構造的支持物又は他の構造物に囲まれてよい。カプセル、ジャケット、又は他の細長い支持領域又は支持部材は、検知領域の開放を可能にしながら構造的支持を提供する。
【0080】
図2Aに示されるように、血管の管腔200内に装置250を導入する為に、領域300内の回路素子と連通する電気導線を含むガイドワイヤ320が使用可能である。ガイドワイヤ320は、一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブの一部分である。圧力センサ式装置250は、典型的には、カテーテル(図示せず)内に配置される。カテーテル内で測定値を取得することが可能であり、その間は流れが抑制されるか実質的にゼロになって、流れに対する基準値又は較正値が与えられる。ガイドワイヤは、一実施形態では、無線近位コネクタPC内まで延びてよい。
【0081】
一実施形態では、ガイドワイヤ及びガイドワイヤ式プローブ内に配置された電気導線は、コネクタ又は無線装置内まで延び、データは、インタフェース装置とも称されるプローブインタフェースシステム340に中継されてよい。プローブインタフェースシステム又は装置340は、プローブからの信号に基づいて、測定値の計算を実施してよい。或いは、システム340は、プローブ内(例えば、プローブの近位コネクタ内)に配置された回路又は処理素子を使用して実施された計算の結果をエンコードした信号を受信してよい。一実施形態では、インタフェース装置340は、測定装置のコンポーネント又はサブシステムである。一実施形態では、インタフェース装置340は、ディスプレイ装置又はICDを含んでよい測定システム390と通信している。システム340及び390は、本明細書に記載のように、過剰温度又は励起電圧を与えたり制御したりする電源及び他のアダプタコンポーネントを含んでよい。アダプタコンポーネントは、既存の圧力監視システムをレトロフィットすることに使用可能である。
【0082】
測定装置又はインタフェース装置340は、ガイドワイヤ式プローブ内に配置されたものと調和するように、又はそれらとともに動作するように選択された回路素子を含んでよい。インタフェース装置は又、圧力、流量、及びこれらに関連する相対極値をグラフ化して表示することに適するソフトウェア、制御システム、並びにデータ分析/表示装置及びプロセッサを含んでよい。一実施形態では、制御システムは、最大流量、最大圧力、相対最大流量、相対最大圧力、及び他の値又は閾値のうちのいずれかが発生した場合に、圧力測定、流量測定をトリガしたり、別の方法でFFR、CFR、CFVR、又は他の処置又は計算を実施したりするようにプログラムされる。
【0083】
図2Bは、
図2Aのガイドワイヤ式プローブの検知領域300に関する更なる詳細を示す。ガイドワイヤ320は、典型的には、検知領域300を含み、検知領域300は、一部分が、血流に対して露出しているカプセルに覆われているか、別の形式で支持されていてよい。検知領域は、血流によって直接又は間接的に冷却されることが可能である。検知領域の温度は、血流と同等の温度、又は血流より高い温度まで上げられてよい。特定の機構に限定されることなく、一実施形態では、血流が検知領域300に接触して、検知領域300からの熱移動を引き起こす。別の実施形態では、血流が、検知領域300の周囲に配置されて検知領域300と熱連通しているカプセル及び他の、ガイドワイヤ又は他の支持構造物の材料からの熱移動を引き起こす。従って、検知領域、カプセル、及び周囲材料は、熱移動量を増やすことによって血流量パラメータの検出能力を向上させるように、サイズが決められてよく、適切な熱伝導性材料から作られてよい。
【0084】
一実施形態では、
図2Bに示されるように、ガイドワイヤ式プローブの検知領域300は、周囲の血液と流体連通している。この検知領域は、検知領域の周囲に配置されたカプセル又は他の障壁が境界になっている。一実施形態では、検知領域は、血流によって直接冷却される。別の実施形態では、検知領域を支持するカプセル又は他のプローブコンポーネントを通る熱移動量は、1つ以上の血流量パラメータと相関している。周囲の血液と直接接触しているかどうかにかかわらず、検知領域への効率的な熱移動によって、熱応答性及び流量測定の精度が高まる。一実施形態では、カプセルは存在しない。
【0085】
一実施形態では、半導体基板400上に圧電メンブレン350が配置される。メンブレン350は、圧力変化に対する応答として動き、能動抵抗RAとして動作する。一方、半導体基板400上には、受動抵抗RPとも称される基準抵抗も配置又は形成される。圧力センサ及び基準(受動)抵抗は、プローブの様々な実施形態に対して様々な構成で、1つ以上の電気導線又は他の電気的コンポーネントと電気的に接続されてよい。
【0086】
例えば、図示されている電気導線L1及びL2は、それぞれ抵抗R
P及びR
Aと電気連通している。代替実施形態として、
図2Cは、ガイドワイヤ式プローブ装置の半導体チップ部分128を示しており、これは、半導体基板と能動抵抗R
A及び受動抵抗R
Pとを含む。一実施形態では、導線L1及びL2のような1つ以上の電気導線が、ガイドワイヤ式プローブの一部として組み込まれたガイドワイヤのカプラ又は端子端部を通して、測定システム340とつながっている。
図2Bに示されるように、接地接続も、ガイドワイヤ式プローブからの別の接続であってよい。光ファイバ式エタロンなどの光センサを使用する圧力センサも実装されてよい。この光センサは、他の熱線流速測定装置と一体化されてよい。
温度、圧力、及び流量のデータ収集
【0087】
圧力センサ式装置は、本明細書において説明されるように、ガイドワイヤの先端にマウントされた小形圧力センサを含む。圧力センサは、典型的には、
図2B及び
図2Cに示されるように、半導体基板上に配置されるか、半導体基板から形成される。
図1A及び
図1Bに示されるように、圧力センサは、ガイドワイヤとつながるセンサアレイの一部であり、一部分がカプセルによって支持されている。一実施形態では、センサアレイは、流量測定、圧力測定、又はこれらの両方を実施することに適する1つのセンサを含む。
図2Dは、検知装置、例えば、カプセル50及びセンサアレイ43を有する血管内プローブ220の一例示的表現を示す。ガイドワイヤ式プローブ220は、センサアレイの一部として、2つ以上の測定抵抗、例えば、R
A及びR
Pを含んでよい。圧力センサは、
図2CにおいてR
Aで示されたメンブレンと連通する抗張力抵抗を有するメンブレンを有する。圧力が変化すると、これはセンサメンブレンに影響を及ぼし、能動抵抗R
Aとも称される抗張力抵抗の抵抗値が変化する。
【0088】
RAは、典型的には、温度に感応する。同様の基準抵抗、即ち、受動抵抗RPが基板400上に置かれ、これは温度にのみ感応する。この基準抵抗は、圧力信号を変化させたり、ノイズとして働いたりする可能性のある温度変化の補償を促進する。結果として、一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブの一方の抵抗が圧力と温度に感応し(RA)、ガイドワイヤ式プローブの他方の抵抗が温度にのみ感応する(RP)。
【0089】
これらの抵抗は、測定用電子回路と接続され、測定用電子回路は、インタフェース装置又は測定システム内に配置されてよく、或いは、マイクロケーブルにより、インタフェース装置又は測定システムと電気連通してよい。選択されるケーブルは、ガイドワイヤに適合するようにサイズが決められる。ケーブルは細い為、r
a、r
p、及びr
gは、抵抗値がかなり大きく、典型的には、長さに応じて約40オームから約70オームである。マイクロケーブルも温度に感応する。電気的等価モデルを
図3に示す。センサアレイは、概略的に示された細長いガイドワイヤに接続され、ガイドワイヤは近位コネクタまで延びている。
図1A及び
図1Bに示されるように、近位コネクタは、無線の実施態様では送信器を含んでよく、或いは、代替実施態様として、データ信号伝送に有線接続を用いてよい。
ガイドワイヤ式プローブのカプセル及び流れ方向決定コンポーネント
【0090】
図2Dは、ガイドワイヤ式プローブの先端220を示しており、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、及び
図2Cに示されたようなセンサアレイ43が、カプセル50の開口部から露出している。カプセル又はジャケットは、側面に開口部があるチューブであってよく、図示されるようにガイドワイヤ部分と当接して、センサアレイの1つ以上のコンポーネントが見える開口部を画定する。カプセルの役割は、血流が検知領域を通過し、プローブの先端と接触し続けてプローブの先端を冷却することを可能にしながら、ガイドワイヤ式プローブを構造的に支持することである。一実施形態では、カプセルを薄くするか無くすことによって、V
TOFFS-V
P信号の感度が高まる。従って、カプセルがあってもなくても、圧力と流量の測定が統合されたプローブを使用することが可能である。
電気的インタフェースコンポーネント
【0091】
R
A及びR
Pを含むガイドワイヤ式プローブを使用して圧力と流量を測定する場合、プローブは、データをインタフェースシステム又はディスプレイシステムに送信する。そのようなシステムは、例えば、RadiAnalyzer、RadiAnalyzer Xpress、Quantien、又はAerisシステムである。一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブ装置、並びにそれ自体の回路素子の配置が
図3に示されており、それらはブリッジを形成する。これは、例えば、
図4Aに示されるように、測定システムの電子回路と接続される場合には、ホイートストンブリッジである。
【0092】
図3の回路図に示されるように、R
A及びR
Pは、半導体基板40上の抵抗を表しており、r
a、r
g、及びr
pは、所与のガイドワイヤ式プローブのボンド及びコネクタを含むマイクロケーブルに対応する。接地されるケーブルの抵抗値はr
gである。能動抵抗R
A及び受動抵抗R
Pは、約2200オームから約3200オームの範囲であってよく、典型的には2700オームであってよい。一実施形態では、R
Aの圧力感度は少なくとも約7.9ppm/mmHgであり、典型的には約10ppm/mmHgである。従って、典型的なガイドワイヤ式プローブのセンサの場合、圧力感度に対する抵抗値の比は、約2700×10/1000000=27mΩ/mmHgである。R
A及びR
Pの温度感度は、少なくとも400ppm/℃であり、典型的には500ppm/℃である。即ち、典型的なセンサの場合、温度に対する抵抗値の比は、約2700×500/1000000=約1.35Ω/℃である。0.02℃の変化は、能動抵抗R
Aの1mmHgの変化に対応する。
【0093】
図4Aは、ガイドワイヤ式プローブの電子部品とインタフェースする、インタフェースシステム又は測定システムの電子部品を示す。抵抗値r
aを有する能動抵抗及び能動抵抗接続ケーブルは、インタフェースシステム又は測定システムのノードAとインタフェースする。そして、ノードAは、ガイドワイヤ式プローブが測定装置と接続されたときに、抵抗R1と電子連通する。一実施形態では、ノードAからV
Aが測定される。抵抗値r
pを有する受動抵抗及び受動抵抗接続は、インタフェースシステム又は測定システムのノードPとインタフェースする。そして、ノードPは、ガイドワイヤ式プローブが測定装置と接続されたときに、抵抗R2と電子連通する。一実施形態では、ノードPからV
Pが測定される。
【0094】
抵抗値rgを有する接地ケーブルがグラウンドGに接続される。励起電圧VEXCが抵抗R1及びR2に印加される。R1及びR2は、プローブインタフェースシステムなど、1つ以上のシステムに配置される。一実施形態では、VEXCは、ホイートストンブリッジの励起電圧である。一実施形態では、ブリッジ励起電圧は、約1ボルトから約15ボルトの範囲である。R1及びR2は、一実施形態では、約2000オームから約3000オームの範囲であってよい。一実施形態では、ホイートストンブリッジは、励起電圧VEXCを使用するガイドワイヤ式プローブのインタフェースによって励起され、VAがとVPとの電位差が測定されて、圧力が導出される。温度は、VTOFFSとVPとの間で測定される。POFFSがブリッジを水平にできるように、10%の制約条件が選択される。電圧VTOFFSは、約37℃におけるVPにほぼ等しいオフセット電圧に対応する。
【0095】
図4Aを更に参照すると、
図4Aに示されるように正電圧V
POFFS+及び負電圧V
POFFS-として印加される電圧V
POFFSは、ホイートストンブリッジ上のノードA及びノードPを水平にする、即ち、平衡させる為に使用されるオフセット電圧に対応する。V
POFFSは、R
AとR
Pとの抵抗差を補償すべく、圧力チャネルを平衡させるように使用されるオフセット電圧である。V
POFFSは、温度が約37℃であるとして、標準的な大気圧(760mmHg)におけるゼロ圧力の状態で、V
AとV
Pとの間の電位がゼロになるように調整される。
【0096】
図4Aに示されるように、ガイドワイヤ式プローブの電気部品と測定システムの電気部品とが接続されることにより、ブリッジ構成で、又は他の電流又は電圧レベルに関して印加される励起電圧が、CTA又はCVEXによる手法をサポートする為に必要なだけ維持されることが可能になる。
図5Aは、
図4Aの測定ブリッジの電圧がサンプリングされ、変換され、DSPで処理される様子を示す。V
A及びV
Pは、アナログデジタル変換の前に、プログラム可能な利得で増幅されてよい。
【0097】
図1Bに示された無線インタフェースシステムは、ガイドワイヤ式プローブと、RadiAnalyzer、Xpress、Quantien、又はComboMap(登録商標) Pressure and Flow Systemとの接続時に、これらに対して、無線血管内プローブの送信器とともに測定ブリッジを形成する電気信号インタフェース、或いは、等価又は同様のインタフェースを有する。ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置又は測定システムは、ホイートストンブリッジなどのブリッジや他の平衡可能な回路構成のアナログ信号をサンプリングするインタフェース電子回路を含む。そのようなインタフェース電子回路の一例を、
図4Bに示す。
【0098】
具体的には、
図4Bは、無線血管内流量及び圧力センサとの使用に適するインタフェース電子回路を描いた回路図である。点線で囲まれた領域は、血管内プローブ内の電気部品に対応する。例えば、
図1Bの実施形態は、
図4Bのインタフェース回路と適合する。
図4Bの右側は、ガイドワイヤ式プローブの電子部品が定電流インタフェース回路と接続される様子を示している。定電流源は、スイッチS1、S2、S3、及びS4により、回路と接触するように切り替えられてよい。これらのスイッチは、物理スイッチ、マルチプレクサであってよく、或いは、電流源のソフトウェア制御として実装されてよい。抵抗R1及びR2は、高精度固定抵抗である。一実施形態では、1つ以上の電流源Iが近位コネクタ内に配置される。電圧V
TOFFSは、一実施形態では、V
Pにほぼ等しい。電圧差V
A-V
Pを測定することにより、圧力の測定値が導出可能である。温度は、電圧V
TOFFS-V
Pから導出可能である。定電流回路は、CVEX、CTAなどのような流速測定方法により流量を測定するのに十分な、ガイドワイヤ式プローブのチップの電流誘起加熱を引き起こす。電流源を切り替えることにより、圧力値及び温度値(流量値)の取得が可能になり、取得されたこれらは、測定システムに無線で送信されることが可能である。
従来システムの実施形態の修正
【0099】
一実施形態では、本開示は、圧力測定インタフェース装置(例えば、当初は圧力監視用としてのみ設計された装置)などの測定システムに適応するか、別の形式でレトロフィットする為のシステムアダプタに関する。従って、アダプタが追加されると、検知装置は、ガイドワイヤ式プローブによる圧力と流量の同時検知をサポートできるようになる。アダプタは、ある出力電力範囲を有する電源を含む。一実施形態では、出力電力範囲は約5ボルトを超える。一実施形態では、出力電力範囲は約10ボルトを超える。一実施形態では、出力電力範囲は約12ボルト以上である。一実施形態では、アダプタは、測定システム内に設置されるようにサイズが決められた回路基板である。
【0100】
圧力、FFR、及び他の血管内データを収集する従来システムにおいて、ガイドワイヤ式プローブのより大きな励起電圧を達成する為に、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置内の1つ以上の回路素子を修正又は交換してよい。一実施形態では、検知領域に印加される励起電圧が約10ボルトを超えるように、電源部品を追加又は修正してよい。又、別の実施形態では、流量パラメータ測定信号のレベルまで拡大されたノイズを除去するように設定された通過帯域を有するフィルタが組み込まれてよい。
【0101】
各圧力センサ式装置は、EEPROMなどのメモリ記憶装置を有する。一実施形態では、(例えば、ガイドワイヤ式プローブの製造時に)ガイドワイヤ式プローブに関して取得された1つ以上のパラメータが、メモリ装置に格納される。一実施形態では、メモリ装置は、ガイドワイヤ式プローブに取り付けられる。メモリ装置は、EEPROM、RFID、又は他の適切なメモリ記憶装置であってよい。圧力プローブに関連付けられたメモリ装置に1つ以上のセンサパラメータを格納することにより、それらのパラメータを必要に応じて読み出すことが可能になる。それらのパラメータは、適切なスキャナ又はインタフェース装置又はそれらのコンポーネントによって読み出された後、ガイドワイヤ式プローブを使用して圧力及び流量の情報を収集する前に、ガイドワイヤ式プローブの較正に使用されることが可能である。
【0102】
一実施形態では、プローブに格納されるパラメータとして、ゼロレベル又はベースラインの温度、ゼロレベル又はベースラインの励起電圧、過剰温度に関連付けられた感度係数などがある。圧力対流量曲線も出力されてよい。これは、時間の経過、並びに血管内の場所に対する圧力及び流量の変化を示す曲線である。格納されたメモリパラメータを使用して、圧力対流量曲線の尺度変更又は較正を行うことが可能である。圧力及び流量のデータは、光コヒーレンストモグラフィ画像、超音波画像、血管造影画像などの画像データとともに表示されてもよい。
【0103】
一実施形態では、製造時に設定された個々の固有の較正パラメータを収容するメモリが、コネクタ端部に配置される。これらの格納されたパラメータは、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置のソフトウェアが、サンプリングされた「ロー」電圧をmmHg単位の正確な圧力値に変換する為に使用する。具体的には、圧力センサは、製造工程中に最終測定ステーションにおいて測定される。その目的は、RAの圧力感度、RA及びRPの温度感度、ブリッジとVPOFFS及びVTOFFSとのバランス、センサ電流、及び温度範囲を測定することである。一実施形態では、適切なパラメータが、RFIDチップ又はEEPROMなどのメモリ、又は他のメモリに格納される。一実施形態では、メモリは、ガイドワイヤ式プローブのコネクタ内に配置される。
流量の測定
【0104】
圧力センサ式の熱膜流速計を使用する場合、センサアレイ、例えば、本明細書に記載の半導体センサは、電流によって加熱され、血流の冷却効果は、抵抗R
Pの両端電圧をサンプリングすることによって測定される。R
Pの両端電圧を測定できる、R
Pの適切な構成、並びに他の抵抗及び電気的接続を示す回路を、
図4Aに示した。この電圧は、関連する2つの流速測定方法、即ち、CTA及びCVEX流速測定において使用されてよい。
【0105】
圧力センサ式の熱膜流速測定に関連して考慮すべきことの1つは、関連する抵抗によって生成される電気信号が流量変化と血液温度変化とを区別しないことを認識することである。何らかの普通でない血液温度変化が発生した場合、システムはこれらを流量変化として解釈する。従って、対象がある環境を監視するフィードバックループ、並びに患者の温度読み取りが、他の温度センサを使用して取得されてよい。上述にもかかわらず、典型的には、血液温度は、処置の時間、及び血液温度の変化に要する時間を考えると、一定であると見なされてよい。
定温度流速測定(CTA)
【0106】
一例として、
図1A、
図1B、
図2A、及び
図2Cに示されたガイドワイヤ式プローブ、及び本明細書に記載の各コンポーネントは、流量測定装置として使用可能であり、定温度流速測定(CTA)とも称される定温度モードの流速計として使用可能である。ガイドワイヤ式プローブのセンサチップの温度感応抵抗が、制御された励起電圧の印加によって、周囲温度より高い特定の温度まで加熱される。この抵抗は、周囲の流体にさらされて、或いは別の形式で、他の熱伝導性材料と連通しており、この材料が血流の変化に反応して、冷却を引き起こし、センサ内に関連の冷却変化を生じさせる。一方、流体の流れが抵抗に対して可変の冷却効果を有する。流量が増えるほど冷却効果が高まり、流量が減るほど冷却効果が低下する。温度感応性(R
P)が安定するように、励起電圧は、デジタルシステムによって、所定のレベルに制御される。従って、励起電圧は、流量の尺度になる。
【0107】
圧力センサの抵抗R
Pの温度は、一定レベルで保持され、これは、典型的には、血液温度より約10℃から約20℃高い範囲である。この一定温度は、ブリッジ励起電圧によって制御される。血流量が多いほど、冷却効果が高まり、ブリッジ励起電圧が高くなる。これに対し、流量が少ないほど、励起電圧は低くなる。従って、励起電圧は、流量の尺度になる。ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置のソフトウェアは、電圧V
TOFFS-V
PからR
P温度を抽出し、この温度を励起電圧制御システムの入力として使用する。この制御システムは又、
図5Bに示されるようなプロポーショナル(P)コントローラとして、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置のソフトウェア内に実装される。
CTA制御システムの実施形態
【0108】
図5Aは、
図1~4の測定装置を使用し、定温度流速測定(CTA)の手法を用いて流量を測定する原理を示す。
図5Aに示されるように、図示された信号処理システム500において差V
TOFFS-V
Pを測定し、この信号を印加励起電圧(VEX)で割ることにより、R
Pの温度変化、並びに
図4のマイクロケーブル抵抗r
a、r
p、及びr
gにのみ依存する信号が取得される。この、温度に依存する信号は、
図5BにおいてTemp信号とも称されていて、DSPソフトウェアのVEX制御の入力として使用される。制御システムは、VEXを制御することにより、定温度信号を維持するように設計される。定温度信号はR
Pの一定温度と同じであり、これは、流体流にさらされる表面(この場合はR
P)に特定の過剰温度を引き起こし、これを維持するという、CTAの基本的な考え方である。
【0109】
図5Aに示されるように、圧力測定の場合は、V
AとV
Pとの電圧差がサンプリングされる。V
Aは温度に感応し、且つ、圧力に感応する為、1つ以上の信号を使用して、電圧差V
A-V
Pに作用する周囲温度変化が補償される。一実施形態では、電圧差V
A-V
Pは、制御システム又は制御回路又は信号処理装置を使用して、電圧差V
A-V
Pを電圧差V
TOFFS-V
Pで処理することにより、温度補償される。V
TOFFS-V
Pは、温度に依存する信号である。
【0110】
図5Aに示されるように、2つの信号チャネル、即ち、圧力ブランチ(V
A及びV
P)505、及び温度ブランチ(V
TOFFS及びV
P)507が測定される。圧力ブランチは、V
AとV
Pとの差を測定する。プログラム可能な利得510で、圧力信号が増幅される。利得値は、ガイドワイヤ式プローブのセンサごとに個別に選択されて、所与の圧力プローブのメモリに格納されてよく、或いは、そのメモリに格納されている情報から生成されてよい。一実施形態では、プログラム可能な利得値は、1アナログデジタル変換単位(ADU)が約0.1mmHgに相当するように較正される。アナログデジタル変換器(ADC)520は、圧力値V
A-V
Pの増幅された値に対する応答としてサンプリングを実施し、ADU単位の圧力値を出力する。利得値は、DSP530の信号処理ソフトウェアによって読み取られ、このソフトウェアは又、
図5Aに示されるように、この利得値をデジタルアナログ変換器(DAC)の利得回路にロードする。
【0111】
図5Cは、CTAの動作原理に基づく血管内測定システムの制御システム580を示す。制御システムは、R
Pの温度を一定に保つようにプログラムされている。制御システムは、
図5Bに示されるように、信号V
TOFFS-V
PをVEXで割り、
図5Cで「測定温度」と記されているこの信号を制御システムの入力として使用することにより、R
Pの温度変化を測定する。制御システムは、この入力信号を、特定のR
Pの過剰温度に対応する設定点の値と比較する。設定点の温度と測定されたR
Pの温度との差は、システムの誤差であり、これに係数kが乗せられる。この乗算の結果が、前回の制御反復からの励起電圧に加算されて新しい励起電圧が生成され、これを使用して、プローブ先端の検知回路の調整が行われる。
【0112】
制御システムが起動される前に、流体の温度に基づく設定点の値が確定される。設定点の決定は、ガイドワイヤ式プローブのメモリに格納されているADU-摂氏変換パラメータを使用して、約0.5Vから約2Vの範囲のVEXにおいて測定温度信号を摂氏値に変換することにより行われる。この、流体の測定温度にユーザ定義の過剰温度が加算されて、摂氏単位の設定点が決定される。次に、設定点の温度表現が、ADU(アナログデジタル変換単位)の値に変換され、制御システムの設定点として使用される。血管内プローブのメモリ記憶装置、又は別のメモリロケーションに格納されているADU-摂氏変換パラメータが使用されて、ADUの設定点への変換が行われる。一実施形態では、ユーザは、測定システムのインタフェースを使用して過剰温度を設定することが可能である。
【0113】
図5Cに示されるように、加算器Σ585が、符号反転された(-1)測定温度595を設定点温度582に加算して、能動制御システムの誤差587を生成する。この誤差は、処理ステップ又は処理段階590に示されるように、係数kが乗せられ、その後、前回の励起電圧に加算される(591)。このように変倍された誤差が使用された結果として、新しい励起電圧レベルが生成される。この新しい励起電圧が、血管内圧力及び流量監視プローブ592に印加されてよい。そして、そのプローブ592により、血管内データのサンプリング及び測定温度594の生成が可能である。
【0114】
図5Cに示された測定温度は、電圧V
TOFFS-V
Pを励起電圧で割ったものである。このように励起電圧で割ることにより、温度変化にのみ依存する信号が得られる。設定点温度は、圧力センサのメモリに格納される。例えば、メモリ設定点パラメータが10であれば、システムソフトウェア又は制御システムは、R
Pの温度を血液温度より10℃高く保つ。過剰温度が10℃の場合、励起電圧は約5ボルトから約7ボルトの範囲である。過剰温度がより高い場合(10℃を超える場合)、一実施形態では、より高い電圧範囲、即ち、7ボルトを超える電圧範囲を使用することが必要になる可能性がある。これらの励起電圧の変化は、流量の変化に追従する。
定励起電圧
【0115】
一実施形態では、(例えば、約5ボルトの)固定励起電圧を使用して、流量及び圧力の測定が行われる。一実施形態では、CVEXによる手法が制御システムアルゴリズムを含まない。これは、血管内で測定される流量の尺度として、電圧V
TOFFS-V
Pが直接使用される為である。その代わりに、
図5Cの制御システムに関しては、上述のようにVEXの変化に対して制御を行うのではなく、流量値計算アルゴリズムが使用される。これに対し、R
Pの温度は、流量とともに変化する。流量が増えると、R
Pの温度が低くなる。逆に、流量が減ると、R
Pの温度が高くなる。
図5Dは、定励起電圧、即ち、CVEXを用いながら、ガイドワイヤ式プローブからの信号を処理する流量測定システム600を示す。
【0116】
図5Dに示されるように、本開示のDSPソフトウェア実施形態は、アナログデジタル変換器630からTemp信号(サンプリングされたV
TOFFS-V
P信号)を受信する。VEXは、一定であり、DSPソフトウェアによって設定され、デジタルアナログ変換器(DAC)620によってアナログ信号に変換される。流量計算アルゴリズム615は、入力としてTemp信号を受信し、この信号から流量値を生成することが可能である。
【0117】
図5Eは、CVEX方法による圧力及び流量同時測定システム650のソフトウェア実施形態の概略図である。図示されるように、プローブインタフェース/測定システムソフトウェア660は、アナログデジタル変換器665から入力電圧差を受信する。差信号V
A-V
P及び差信号V
TOFFS-V
Pが処理されて、圧力値が生成され、この圧力値は、本明細書に記載のコンソール又は他のディスプレイ上に値又はプロットとして表示されることが可能である。一方、差信号V
TOFFS-V
Pが処理されて、本明細書に記載のコンソール又は他のディスプレイ上に、流量値又はプロットが生成される。これらの値は、表示されてよく、圧力対流量曲線としてプロットされてよく、且つ、別の形式で、測定システムによるFFR計算の入力として使用されるか、プローブ自体に組み込まれた回路又はプロセッサによって計算されてよい。
CVEX及びCTAの伝達関数の特徴及び実施形態
【0118】
印加励起電圧(CTAの使用時)又は測定温度(CVEXの使用時)は、流量値に変換されるか、伝達関数により、流量と相関している値に変換されることが可能である。一実施形態では、伝達関数は、圧力センサを既知の基準流量にさらし、その測定信号を基準流量に対してプロットすることにより、決定される。基準流量は、閉ループ系内を流れる流体、例えば、ループタンク又は曲面タンク内を流れる水を使用して発生させることが可能である。
図6A及び
図6Bは、測定信号と基準流量との典型的な関係を示す。
【0119】
図6A及び
図6Bは、それぞれ、CTA及びCVEXの両方について、流量xと温度又は励起電圧T(x)とを関連付ける適切な伝達関数を求める為に行われた曲線の当てはめを示す。圧力センサ式装置の較正は、装置を幾つかの流量レベルにさらし、次に、曲線当てはめ又は他の方法で、それぞれの関数T(x)=a+b×lnXの定数a及び定数bを求めることによって可能である。CTAの場合には、T(x)の出力は励起電圧であり、CVEXの場合には、T(x)の出力は温度である。この伝達関数の各定数(a及びb)は、圧力センサのメモリに格納されてよい。
【0120】
更に、流量計算アルゴリズムの一環として流量値を計算する為に、関数a+b×lnXの逆数が、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置のソフトウェアによって使用される。流量値を時間経過とともに追跡することにより、最大流量の点が表示されてよい。圧力対流量のプロット又は他の表現を用いて生成される最大流量又は相対極値の点を使用することにより、複数の時点、又は血管に沿った複数の場所を識別することが可能であり、それらの間で、画像を重ね合わせたり、最大値、最小値、又は相対極値のうちの1つ以上にまたがる複数の時点及び流量レベルに対応する測定値(例えば、一連のFFR測定値)を取得したりしてよい。
【0121】
CTAによる方法とCVEXによる方法とでは、考慮すべき幾つかの相違点がある。
図6A及び
図6Bは、CTAとCVEXとで、流量の単位と測定された量の単位との間に同じタイプの関係(a+b×lnX)があることを示している。更に、両方法は、脈動する流量を測定する精度が(検査室検査での観察では)同等である。従って、流量の測定に関しては、CVEXによる方法とCTAによる方法は同等と見なしてよい。一実施形態では、流量と圧力を同時に測定する場合は、CVEXによる手法にメリットがあると考えられる。これは、圧力測定が簡単になる為である。CTAによる手法では、励起電圧が変動する為に、圧力測定がより複雑になる。一実施形態では、CTAによる圧力及び流量の測定システムのハードウェア及びソフトウェアは、励起電圧が狭い誤差限界内に収まるように制御しながら圧力測定を正確に行うように選択される。
FFR及び他の測定プラットフォームを圧力及び流量の測定に適応させる
【0122】
圧力と流量の測定を同時に行うシステムは、典型的には、CVEX原理に基づいて実施されてよい。圧力センサによる測定システムにおいてCVEX流量測定を実施することは、回路基板又は回路及び電源などのアダプタを使用し、ソフトウェア及び制御フローを一部変更することにより、可能である。
【0123】
デバイス又はハードウェアの見地からは、圧力センサによる測定のホイートストンブリッジに出力される最大励起電圧を高めることが有用である。(例えば、圧力のみを測定するシステムのような)血管内測定システムを圧力及び流量の同時監視の為にレトロフィットする工程の一環として、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置基板に12V出力の電力供給装置(PSU)基板が取り付けられてよい。更に、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置内の1つ以上の増幅器が、圧力検知に使用される通常の±5Vの代わりに+12Vと-12Vでバイアスされる。
【0124】
一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブのインタフェースソフトウェアは、電圧V
TOFFS-V
Pを、おおよそ約400Hzから約600Hzの範囲のサンプリングレートでサンプリングする。このサンプリングされた信号はメモリに格納される。一実施形態では、この信号は、典型的にはTEMPと示される変数として信号データアレイの特定の場所に格納される。このCVEX実施態様により、TEMP信号として格納された電圧差が、本明細書に記載の伝達関数を使用して、流量値に変化される。この信号処理のソフトウェア表現を、
図5Eに示す。これらのハードウェア及びソフトウェアの特徴により、CVEXによる手法により、圧力センサを使用して圧力と流量を同時に測定することが可能なシステムが提供される。
【0125】
本明細書に記載の流量測定システムは、特定の温度関連の設計修正を行って実施されてよい。これらは、ケーブル温度補償及び流量無感応絶対温度測定のうちの1つ以上を実施することを含む。
ケーブル温度補償方法の実施形態
【0126】
図4Aのガイドワイヤ式プローブの測定ブリッジのスイッチS1及びS2(これは、ガイドワイヤ式プローブのインタフェース装置の通常動作中は、典型的には「オン」である)により、ブリッジのいずれかのブランチをオフに切り替えることが可能である。S2がオフに切り替えられると、マイクロケーブルra、rp、及びrgの抵抗変化(即ち、温度変化)が、電圧(V
TOFFS-V
P)をサンプリングすることにより測定されてよい。これに対し、S2のオンオフを(約400Hzから約600Hzの範囲の)特定のレートで切り替え、S2の両方の状態の間のV
TOFFS-V
Pをサンプリングすることにより、センサアレイの温度信号が以下のように抽出されてよい。
センサ温度=(S2_オン_V
TOFFS-V
P)-k×(S2_オフ_V
TOFFS-V
P)
但し、(S2_オン_V
TOFFS-V
P)は、S2スイッチング素子が「オン」状態である間にサンプリングされた信号であり、(S2_オフ_V
TOFFS-V
P)は、S2スイッチング素子が「オフ」状態である間にサンプリングされた信号であり、kは、特定のプローブインタフェース装置に関連付けられた補償定数である。kの値は、メモリに格納されてよく、センサ温度決定方法により、必要に応じてアクセス可能であってよい。
【0127】
このケーブル温度補償方法は、センサ温度を決定するものであり、流量信号に対するケーブル温度変化の影響を除去するか抑える。具体的には、「スイッチオン」信号を使用するケーブル効果を「スイッチオフ」信号で補償する方法により、血管内プローブ先端内のセンサアレイに関連するセンサ温度変化にのみ応答する信号が生成される。このことが望ましいのは、ガイドワイヤ式プローブの標準的な取り扱い及び臨床使用によって、マイクロケーブル内の温度変化が引き起こされる為である。
【0128】
これらの引き起こされた温度変化によって、ケーブルの抵抗が変化した結果として、未補償の(スイッチング素子S2が「オン」状態である)信号が劣化する可能性がある。流量測定ではVTOFFS-VP信号が使用される為、本明細書に記載のケーブル温度補償方法では、プローブ先端センサの温度変化に対してのみ応答する信号が生成される。更に、典型的には、患者が一定温度環境下で休んでいる場合がそうであるように、血液温度が安定している場合は、流量パラメータの変化に対応するのは、センサに対する温度変化だけであろう。一実施形態では、流量パラメータは流速(flow velocity)である。別の実施形態では、流量パラメータは流量(flow rate)である。
流量無感応絶対温度測定の実施形態
【0129】
本明細書に記載のケーブル温度補償を使用し、励起電圧を約0.5Vまで下げることにより、血液の温度変化(又は、何であれ、プローブが挿入された媒体の温度変化)を測定するシステムが得られる。励起電圧は、約0ボルト超から約2ボルトの範囲であるように選択すると、センサアレイの温度が周囲の血液の温度とほぼ同じになる為、有利である。結果として、センサと流体の温度がほぼ一致するように励起電圧を選択することにより、圧力及び流量の監視システムは、流量の変化に対して感応しない。そのようになるのは、流量測定が、励起電圧に対する応答としてセンサアレイ温度を発生させることに基づいていて、励起電圧は、周囲流体がプローブ先端に対して流れる際に周囲流体による冷却の影響を受ける可能性がある為である。これにより、単純に血液温度の変化を測定する場合と異なり、血液の流量を測定可能にすることができる。
【0130】
上述のように定義されたセンサ温度信号は、一実施形態では、0.5Vの励起電圧で測定される。次に、以下のように、第1の定数と第2の定数及びセンサ温度の積との間の差分関係を用いて、流体(血液)の絶対温度を計算してよい。
絶対温度=C-D(センサ温度)
但し、C及びDは、所与の血管内プローブ及びそのセンサアレイからデータを受信する、個々のインタフェースシステム又は処理システム、或いは関連する統合システムに固有の定数である。上述の絶対式で参照されているセンサ温度は、センサ温度が(S2_オン_ VTOFFS-VP)-k×(S2_オフ_VTOFFS-VP)で与えられる上述の関係を用いて取得可能である。一実施形態では、定数C及びDは、個々の血管内プローブと個々のインタフェースシステム又は処理システムの組み合わせに固有である。これらの定数C及びDは、一実施形態では、各プローブに取り付けられたメモリにおいてエンコードされてよい。
【0131】
ケーブル補償測定及び絶対温度測定は、流量測定システムにおける有用な特徴である。これは、部分的には、マイクロケーブルの抵抗からの信号影響が除去される為である。更に、流量測定中に血液温度を監視することが有用である。これは、流量測定信号が流量変化及び血液温度変化の両方に感応する為である。測定システムのユーザ操作により、ユーザは、流量モードと絶対温度モードとを手動で切り替えることが可能である。
FFR測定とその応用
【0132】
一実施形態では、充血剤の投与後に、1つ以上の圧力対流量プロットが取得される。一実施形態では、充血剤を投与せずに、1つ以上の圧力対流量プロットが取得される。一実施形態では、充血剤の投与後に、FFR、圧力、流量、抵抗、又は他の、心臓血管関連の測定値が1つ以上取得される。一実施形態では、充血剤を投与せずに、FFR、圧力、流量、抵抗、又は他の、心臓血管関連の測定値が1つ以上取得される。一実施形態では、血管内の圧力及び流量のセンサからの測定値によって特定される大流量又は最大流量の期間に、FFR、圧力、流量、抵抗、又は他の、心臓血管関連の測定値が1つ以上取得される。
【0133】
一実施形態では、血管の近位圧力に対する遠位圧力の比(P遠位/P近位)に基づいて、FFR値又は関連値が取得される。一実施形態では、非閉塞最大流量に対する閉塞最大流量の比に基づいて、FFR値又は関連値が取得される。流量データ(例えば、心臓血管系内の複数箇所における流速)を取得する、これらの様々な手法は、個別に表示されてよく、或いは、他の心臓血管の値とともに、比として、或いは、対象の状態を表す他の関係を通して、表示されてよい。
【0134】
一実施形態では、血管内プローブが動脈の長さ方向に動かされ、圧力測定値、流量パラメータ測定値、及び位置測定値のうちの1つ以上についてのデータセットが、時間の経過に対して取得される。このデータセットの各要素は、IVUS、血管造影、OCT、又は他の、更なるセンサからのデータと互いに同期されてよく、且つ、位置合わせされてよい。このデータセットを処理して、遠位冠動脈圧などの遠位圧力、及び大動脈圧などの近位圧力の測定値を計算することが可能である。これらの遠位圧力及び近位圧力から、以下の関係を用いて、複数のFFRi値を取得してよい。
FFRi=P遠位I/P近位I=閉塞最大流量/非閉塞最大流量
i値は、血管に関して取得された要素(例えば、流量パラメータ、圧力値等、閉塞最大流量/非閉塞最大流量)のセットのインデックスとして選択されてよい。
【0135】
FFRは、上述のように、狭窄がある場合の最大血流量(第1の流量)を、狭窄がなかった場合の最大血流量(第2の流量)で割ったものとして評価されてもよい。これらの閉塞最大流量と非閉塞最大流量との比は、流量比という観点でのFFR値を与える。これらの流量は、本明細書に記載の血管内プローブを使用して取得可能である。
【0136】
一実施形態では、最大流量又は最小流量の期間に取得されたFFR値が評価されて、これらのそれぞれの測定時間の間に発生するイベント、及びこれらが取得された、血管上の場所に基づくFFR値が決定される。一実施形態では、取得された最小FFR値、或いは、最大流量又は平均最大流量に対して取得されたFFR値が、FFR値として表示される。
圧力及び流量のプロット及び軌跡
【0137】
一実施形態では、本開示は、CTA又はCVEXによる方法を用いて生成される圧力対流量のプロット又はデータセットに関してパターン認識を実施することに関する。このパターン認識は、血管内圧力及び流量プローブで生成されたデータを受信する測定装置又は別の装置のプロセッサを使用して実施されてよい。この圧力対流量のプロットは、ガイドワイヤ式プローブによる圧力データ及び流量データの同時収集に対する応答として、リアルタイム又はほぼリアルタイムで表示されることが可能である。パターン認識プロセスでは、圧力対流量の軌跡又はパターン、又はそのような曲線のサブセットを比較し、それらを関心対象の状況又は患者状態と相互に関連付けることが可能である。
【0138】
一実施形態では、診断情報を必要とする個人との比較の為の、P-Qプロットの追跡記録又は軌跡などのベースラインシグネチャを確定させる為に、健康な母集団の患者データが使用される。個別の追跡記録を、個々の患者について取得して、その後の追跡記録と比較することにより、所与の治療計画又は処置の有効性を示すことも可能である。回復の質及び期間の評価を、本明細書に記載の処置(例えば、ステント処置)の前及び処置中に取得された圧力対流量曲線、並びに他のプロット及びFFR値を使用して行うことも可能である。
【0139】
測定システム又はディスプレイシステムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)は、流量データを、時間領域のリアルタイム曲線として表示する。圧力と流量のデータを一緒にリアルタイムでプロットしてP-Qプロットを生成することが可能であり、
図7Aには、これが、圧力及び流量の範囲に関する更なる詳細とともに示されている。各プロットについての凡例に記載されているか、本明細書に記載されているように、各曲線を識別する為に、緑色についてはG、青色についてはB、赤色についてはRというしるしを使用する。Gは、概して、心臓の右側に関連する曲線を示す為に使用される。Rは、概して、心臓の左側に関連する曲線を示す為に使用される。Bは、概して、時間対血圧に関連する曲線を示す為に使用される。
【0140】
一実施形態では、圧力対流量曲線は、1つ以上の動的イベント、心周期イベント、心臓状態、狭窄の程度、ステント前の流量、ステント後の流量、心臓イベント後の回復度、履歴データとの比較、及び様々な時点で取得されたデータと相互に関連する相対極値、変曲点、最大値、及び最小値を含む。一実施形態では、様々な時点は、1つ以上の薬剤又は治療計画(例えば、ステント)の導入と相互に関連してよい。
【0141】
一実施形態では、圧力対流量曲線は、ペースメーカ機能の較正に使用されてもよい。これは、患者の圧力対流量曲線を取得し、それらが時間とともに変化し、1つ以上の軌跡又は形状に収束する様子を監視することによって行われてよい。一実施形態では、ペースメーカの調整は、履歴及び現在の圧力対流量プロットを使用して、軌跡を健康な心臓の軌跡に追従させることによって行われてよい。このようにして、ペースメーカの動作パラメータの調整及び較正を行うことが可能である。又、圧力対流量曲線は、腎臓の脱神経の前後の圧力の読みと流量の読みとを確定させて有効性情報及び診断情報を提供する為に使用されてもよい。一実施形態では、ガイドワイヤ式プローブは、圧力及び流量のデータを収集しながら、動脈内の様々な場所(例えば、基幹動脈や分岐部のそば)に配置されることが可能である。1つの分岐部から別の分岐部にかけて流量が変化する場所を用いて、所与の分岐部を、潜在的に閉塞されているとして分類することが可能である。これらの場所は、処置中のIVUS、OCT、血管造影、及び他の撮像モダリティによって識別されることが可能である。
【0142】
以下では、圧力及び流量の検知プローブを使用して取得できる様々な例示的曲線について、詳細に説明する。これらの曲線は、圧力、温度、及び流量を同時に測定することに適するセンサを含む血管内プローブにより動脈内の1つ以上の場所で取得されるセンサデータを使用して生成される。このセンサデータを使用することにより、シグネチャ、軌跡、スロープ、最大点、最小点、測定値の比、測定値と導出値の比、1次導出値と2次導出値の比、範囲、FFR値、CFR値、CFVR値、IFR値、IMR値、指数、患者状態、並びに他の、本明細書に記載の情報の値及び表現のうちの1つ以上を生成することが可能である。
【0143】
時間とともに展開及び変化する個々のデータ要素及び曲線は、本明細書に記載の様々な診断目的に使用可能である。一実施形態では、圧力対流量曲線の軌跡又は形状又は範囲(又は他の特徴)を、履歴データ、例えば、患者の年齢、体重、活動レベル、及び1つ以上の患者状態(例えば、心臓発作、弁の損傷、及び他の測定可能な患者パラメータ)などのデータに当てはめることが可能であり、これによって、新規患者の圧力対流量曲線を、特定の患者状態を表す圧力対流量曲線と比較することが可能になり、診断に役立つ。
【0144】
図7Aは、時間対流量のプロットを示しており、これには、R又は赤色又は他の第1のしるしで識別される基準流量プローブと、B又は青色又は他の第2のしるしで識別されるガイドワイヤ式圧力及び流量プローブとが使用されている。基準流量プローブ及びガイドワイヤ式圧力及び流量プローブの実施形態は、両方とも、水循環ループ内の脈動流にさらされた。基準流量のパターン及び測定流量のパターンは、印加流量と測定信号との間に線形関係があることを明らかにしている。
【0145】
図7Bは、ガイドワイヤ式プローブが遠位左前下行動脈(dLAD)位置から近位左前下行動脈(pLAD)位置まで引き戻されたことに対する応答として測定温度(流量)信号のプロットが上昇する様子を示す。ガイドワイヤ式プローブが動脈内を通って引き戻される間、圧力信号はほぼ一定である。
【0146】
図8Aは、40kgのブタに圧力及び流量検知プローブを使用して取得された、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す。近位右冠動脈(pRCA)(右側)が、検知プローブで監視されている場所である。横軸の時間に対して、圧力及び流量が縦軸で示されている。曲線の底部での小さな隆起は、小規模の逆流である。点線は圧力値を示しており、これは、概して、下側の曲線で示される流量と相関しているパターンで上昇し下降する。圧力曲線及び流量曲線の位相は、
図8Aに示されたpRCAデータに対して揃っている。
【0147】
図8Bは、40kgのブタに圧力及び流量検知プローブを使用して取得された、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す。pLADが、検知プローブで監視されている場所である。横軸の時間に対して、圧力及び流量が縦軸で示されている。曲線の底部での小さな隆起は、小規模の逆流である。
図8Aと異なり、圧力曲線及び流量曲線の位相は、
図8Bではずれており、圧力信号のピークは、流量信号に対して右にずれているように見える。
図8A及び
図8Bに示されるように、流量ピークは、収縮期には右側にあり、拡張期には左側に現れる。
【0148】
図8Cは、40kgのブタに圧力及び流量検知プローブを使用して取得された圧力対流量プロットを示す。近位右冠動脈(pRCA)が、
図8Cにおいて、検知プローブで監視されている場所である。ループ方向は、時計回り方向である。様々な関心対象点A、B、C、及びDが示されている。どの点が開始点として選択されてもよいが、左下の点Aからであれば、軌跡又はループを追跡することが可能である。一実施形態では、ループの形状又は範囲を保存し、他のループと比較することによって、相関を識別することが可能である。形状又はループは、処置前、処理中、又は処理後の収縮、拡張、ずれ、又は他の変化に関して監視されてもよい。
【0149】
例えば、低流量及び低圧力の状態に対応する点Aからの、ループに沿う経路は、圧力が増えるにつれて、ループをたどって点Bまで上がり、その後、流量が増えるにつれて、ほぼ水平である経路に沿ってループをたどって右側に動き、点Cに至ることが可能である。点Cからは、圧力及び流量が減るにつれて、角度がついた経路に沿って点Dに到達し、その後、ループは点Aに戻る。点Aは、収縮の開始を特徴づける低流量及び低圧力の状態に対応する。点Bは、収縮期に発生する最大圧力及び最小流量の状態に対応する。点Cは、収縮期に発生する最大圧力及び最大流量の状態に対応する。点Dは、拡張期の2番目に大きな流量に対応する相対極値を有する、AとCの間の過渡状態に対応する。この、点Dでの流れは逆流である。
【0150】
図8Dは、40kgのブタに圧力及び流量検知プローブを使用して取得された、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す。近位RCAが、検知プローブで監視されている場所である。
図8Cの点A、B、C、及びDに対応する点が、
図8Dにも示されている。これらの点は、収縮が始まって圧力及び流量が増え、その後、心臓の収縮後の拡張期に圧力及び流量が減る様子を示している。
【0151】
図8Eは、40kgのブタに圧力及び流量検知プローブを使用して取得された圧力対流量プロットを示す。
図8Fは、
図8Eのデータに対応する、時間に対する圧力及び流量のプロットを示す。近位左前下行冠動脈(pLAD)が、検知プローブで監視されている場所である。ループ方向は、時計回り方向である。様々な関心対象点A、B、C、D、E、及びFが示されている。選択された関心対象点のほとんど、B、C、D、及びEは収縮期に発生し、点A及びFは拡張期に発生する。点Aは、収縮期の信号収縮の後の拡張期における最大流量に対応する。点Bは、収縮の開始時に発生する最小圧力値に対応する。点Cは、点Dの最大圧力に到達する前の、圧力の相対的な局所的増加に対応する。点Eは、大動脈弁が閉じて左心室内の圧力が低下することに対応する。従って、
図8Eに示されるように、圧力が低下すると、左冠動脈内の血流量が再び増える。
【0152】
図9Aは、pLADにおける、時間に対する圧力及び流量を示す。
図9Bは、時間に対する心筋抵抗を示す。最大流量及び最小圧力の場所が特定されている。最大流量で心筋抵抗が最小になる場所が特定されている。最小圧力に対する心筋抵抗も特定され、プロットされている。これらの抵抗値は、時間に対して変化する軌跡を確定させる為に使用可能であり、上述のパラメータを同時に測定できる血管内圧力及び流量プローブを使用して取得されるFFR値及び他の値とともに、ユーザに対して、リアルタイム又はほぼリアルタイムで表示されてよい。これらの測定値は、40kgのブタに関して取得された。
【0153】
図10A及び
図10Bは、圧力及び流量のプロット(上)を、時間対流量のプロット(下)とともに示す。
図10Aは、正常なシナリオに対応しており、
図10Bは、縁枝の一部閉塞が人工的に引き起こされたことによる異常な流量シナリオに対応している。図示された圧力(P)対流量(Q)の軌跡は、
図10Aの圧力対流量の左上隅にプロットされているように、傾いた8の字、又は無限大記号に似ている。
図10Aの正常なシナリオの場合には、軌跡は、両ローブがほぼ均等である。これに対し、閉塞が人工的に引き起こされた後である異常な例の、
図10Bの対応するプロットにおいては、軌跡は非対称であり、左のローブが縮んでいて、右のローブが膨らんでいる。一実施形態では、これらをシグネチャとして使用して、異常な心臓イベントを識別することが可能である。同様に、
図10Aの、時間に対する二重ピークの流量曲線は、
図10Bの異常シナリオでは、より丸みがあって、より大きな振幅の曲線になる。一実施形態では、このように振幅がシフトし、丸みがついて、二重ピークが単一ピークになることを、シグネチャとして使用することにより、異常な心臓イベントを識別することが可能になる。又、処置前、処置後、及び処置中に、これらのプロットを、本明細書に記載の他のプロット及びパラメータ値とともに、時間に対して追跡して、臨床医や他の、関心があるユーザに情報を提供することが可能である。
冠血流予備能の診断のシステム及び方法
【0154】
本開示は、部分的には、血管内圧力及び流量データ又は他の形式でこれらと相関しているデータのうちの1つ以上のデータに対する応答として冠血流予備能値を求めることに適する方法及びシステムに関する。圧力センサ又は流量センサなどの検知装置(SD)を使用することにより、熱対流データを用いて時間に対する冠血流予備能値を求めることが可能である。CFR測定と並行して、同じ検知装置をサンプリングすることにより、遠位圧力値Pdを取得することが可能であり、Pd値を基準圧力とともに使用することにより、FFR値を同時に求めることが可能である。ICDなどの、本明細書に記載の様々な測定システムを使用して、CFR、FFR、及び他の、本明細書に記載のパラメータを処理して表示することが可能である。本開示は又、CFR値及び他の値を表示及びプロットする為に使用される、様々なユーザインタフェース及び関連するライブモード及びレビューモードに関する。
【0155】
圧力データの例示的ソースとして、電気式又は光学式の圧力トランスデューサなどの圧力センサがあってよい。適切な圧力センサが、カテーテル(例えば、送達カテーテルなど)、血管内データ収集プロット、ガイドワイヤ、及び他の適切な装置及びシステムの上、中、又は他の形式でこれらに対して相対的に配置されてよい。CFR値及びFFR値は、GUI上の数値又は時変曲線として、時間の経過に対して、同時に求められて表示されてよく、或いは、心臓系の挙動に関する他の診断データを生成する為の入力として使用されてよい。
【0156】
一実施形態では、本開示は、血管内データ収集方法に関する。本方法は、診断データ及び診断情報が収集及び生成されることを可能にする。一実施形態では、本方法は、血管内熱対流装置が関心対象の測定位置にあるときに血管内熱対流装置の温度信号を調整又は最適化するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、ベースライン熱対流信号値を取得するステップと、血管内熱対流装置をサンプリングして、FFR及びCFRの計算を実行する為のPd値及び熱対流装置値を取得するステップと、を含む。FFR及びCFRの計算の結果は、カテーテル処置室の装置のディスプレイ、又は他のディスプレイ(例えば、タッチスクリーン装置)に出力されてよい。
【0157】
本開示は、部分的には、熱対流装置、例えば、血管内圧力及び流量センサ、並びに血管内データ収集及び処理システムを使用して、1つ以上の冠血流予備能(CFR)値及び血流予備量比(FFR)値を同時に求めることに適する方法及びシステムに関する。更に、本開示は、部分的には、圧力センサを有する血管内プローブと、定温度流速測定(CTA)又は定励起電圧(CVEX)流速測定とを用いて、CFR値を求めることにも関する。
【0158】
一実施形態では、CFRは、充血絶対流量とベースライン絶対流量との比である。同様に、一実施形態では、CFVRは、充血流速とベースライン流速との比として定義される。CFRとCFVRは、値としては等しい。取り付けられた、CFRへの参照は、CFVR値も同様に実施して表示することに使用されてもよい。従って、CFRという用語の使用は、本明細書では、CFVRの実施形態及び測定を説明する為にCFVRに置き換えられてもよく、これは本開示の範囲内でもある。
【0159】
冠動脈系についての情報を取得する為に、様々なデータ収集及び分析システムが利用可能である。装置を使用して血管から取得されるデータ、又は血管に関連付けられた血管内又は血管外の測定から導出されるデータを分析又は表示することにより、研究者や臨床医の役に立つ相関や外挿を提供することが可能である。例えば、血流予備量比(FFR)及び冠血流予備能(CFR)を求める為に、様々な測定システム及び血管内プローブが利用可能である。本明細書に記載のように、圧力センサ式装置は、患者の1つ以上のCFR測定値を取得することに使用可能である。
【0160】
一実施形態では、圧力データ(Pd)及び熱対流データは、患者の動脈内に配置された血管内データ収集プローブを使用して収集される。例示的血管内データ収集プローブとしては、カテーテル式又はカテーテルで送達されるプローブ、ガイドワイヤ式プローブ、撮像プローブ、切除プローブ、超音波プローブ、干渉計式プローブ、及び他の、本明細書に記載の適切なデータ収集プローブがある。
【0161】
具体的には、圧力センサを使用してデータを取得することにより、流量、熱対流データ、及び他の、本明細書に記載の心臓系パラメータの測定を行うことが可能である。本明細書に記載のシステム、方法、及び装置は、部分的には、熱対流技術及び熱膜流速測定技術に関し、例えば、実施形態によっては、定温度流速測定(CTA)や定励起電圧(CVEX)流速測定に関する。後で詳述するように、圧力センサにより、血管内データのサンプリング及びCFR測定値の生成が可能であり、この点は、既存の熱希釈法の手法より優れている。
【0162】
バックグラウンドで、圧力センサ、例えば、圧力ワイヤ、又は他の、熱希釈装置として動作可能な圧力センサを使用して、冠血流予備能の測定を実施してよい。従来技術の一部として、関心対象の冠動脈に冷生理食塩水溶液を注入することにより、CFR値が取得される。そして、血管内圧力センサの温度測定機能を使用して、(動脈内への冷生理食塩水の注入の開始から温度が特定レベルに戻るまでの)血液温度上昇時間が測定される。この上昇時間がCFR値に変換されることが可能である。
【0163】
そのような従来の熱希釈法は、精度が足りないという欠点があり、又、実施が面倒な場合がある。例えば、例示的な従来の熱希釈法の規定された精度では、得られるCFR値の精度は±30%未満である場合がある。手順は、典型的には、システムソフトウェアがCFR値を計算するのに十分なデータを生成する為に特定の特性の生理食塩水を複数回注入する必要があり、面倒であり、時間がかかる。
【0164】
本明細書に記載及び図示される測定システム、方法、及び装置を使用することにより、圧力センサチップの温度又は電力の尺度となる信号を取得することが可能である。チップ抵抗が電流で加熱されて、周囲流体(血液)に対して特定の過剰な温度が生成される。チップ抵抗に対する血流の冷却効果は、(温度値として)直接、又は(チップ抵抗の温度を安定状態に保つ為に必要な電力として)間接的に測定される。
【0165】
図11は、CFRの測定に適する例示的システム710を示す。更に、システム710を使用して、CFR値とFFR値を同時に測定することも可能である。血管内データ収集及び分析システム710又はそのコンポーネントの限定でない幾つかの例として、RadiAnalyzer、RadiAnalyzer Xpress、Quantien、PressureWireシステム(例えば、Aeris 1、Aeris 2、又はCertus)、Optisシステム、複合型血管内撮像及び圧力監視システムなどの多モードシステム、圧力データ入力を有する血行動態ディスプレイなどがあってよい。
【0166】
一実施形態では、熱対流CFR測定を単独で実施するか、FFR測定と同時に実施することに適するシステム、例えば、
図11のシステム710が、サブシステムや装置などの複数のコンポーネントを含んでよい。一例として、そのようなシステムは、熱対流装置760を含んでよい。そのような熱対流装置の例として、本明細書に記載の装置のような圧力センサ式装置があってよい。具体的な例として、熱対流装置は、熱対流測定を容易にするように適合された圧力センサAerisユニットを含んでよい。そのようなAerisユニットは、本明細書に記載の測定技術を使用するように修正又はプログラムされてよい。一実施形態では、熱対流装置は、圧力センサを含み、遠位血管内圧力及び他の関心対象パラメータを測定することにより、流量、CFR又はFFR、又は他の心臓系パラメータを測定するようにサイズ決定及び構成されてよい。
【0167】
図11のシステム710に関して示されているように、例示的熱対流CFR測定システムは、基準圧力装置765を含んでもよい。基準圧力装置を使用することにより、基準圧力(例えば一実施形態では大動脈圧)を測定することが可能である。基準圧力装置は、ガイドカテーテル又は送達カテーテルの圧力センサを含んでよい。そのような基準圧力装置は又、大動脈圧値などの近位圧力値(Pa)を受信し、それらを、システム710に示されるように、FFR計算の入力として送信する。
【0168】
本システムは又、信号処理及びディスプレイ装置730(例えば、セント・ジュード・メディカル(St. Jude Medical)製のQuantienシステム)を含んでよく、これは、熱対流装置から圧力及び熱対流(流量)データを無線又は有線で受信する。装置730は又、基準圧力装置(例えば、大動脈圧トランスデューサ)から圧力データを受信する。本開示の実施形態は、部分的には、本明細書に記載及び図示されたプローブのような血管内データ収集プローブからサンプリングされた信号に基づいて比を求めることに適する圧力検知装置、測定システム、及びこれらに関連するソフトウェアの様々な特徴に関する。装置730は、熱対流装置760及び基準圧力センサ765(例えば、大動脈圧トランスデューサ)からの測定されたCFR、FFR、及び他の関心対象データとともにGUIを出力する、タッチスクリーンディスプレイのようなディスプレイ、又は他のディスプレイを含んでよい。熱対流データ値は、一実施形態では、温度値である。これらの値は、熱対流装置内でトリガされる電気的変化に基づいて生成されてよい。一実施形態では、熱対流データ値は、℃などの温度単位で与えられる。
【0169】
圧力監視、流量監視、CFR測定用血管内データのサンプリング、及びFFR測定用血管内データのサンプリングを実施することに使用可能な検知装置の一例として、圧力変化に対する応答として電気的変化が発生するコンポーネントを含む半導体素子を有するガイドワイヤ式プローブがある。本明細書に記載の実施形態は、熱対流装置を使用してCFR値を求める方法、並びに、データ収集及び分析システム710のガイドワイヤ式プローブ並びに関連するソフトウェア及び電気的コンポーネントを使用して比を求めたり測定したりする様々なシステム及び方法をサポートする。有線プローブ又は無線プローブを使用して、所与のプローブに関連付けられたセンサからPd、Pa、及び熱対流データを送信することが可能である。
【0170】
システム710は、血管内プローブからサンプリングされた信号に基づいて測定値計算を行うことが可能である。或いは、システム710は、プローブ内(例えば、プローブの近位コネクタ内など)に配置された回路または処理素子を使用して行われた計算の結果をエンコードした信号を受信することが可能である。システム710は又、圧力値、FFR値、CFR値、サンプリングされたPa値、サンプリングされたPd値、移動平均、及び他の、これらに関連する値をグラフ化して表示することに適するソフトウェア、制御システム、並びにデータ分析及び表示装置及びプロセッサを含んでよい。
【0171】
データ収集及び分析システム710は、マイクロプロセッサなどのプロセッサ、メモリ、並びに1つ以上のソフトウェアモジュール、回路、又はハードウェアコンポーネント(例えば、CFRハードウェアコンポーネント又はCFRソフトウェアモジュール740)を含んでよい。システム710は又、FFRハードウェアコンポーネント又はFFRソフトウェアモジュール750を含んでよい。これらのコンポーネント又はソフトウェアルーチンは、血管内データを受信し、同時にCFR値及びFFR値を(そのような情報がインタフェース画面に表示されるように選択された場合に)求めるように構成されている。CFRハードウェアモジュール又はソフトウェアモジュールは、温度及び流量を検知するガイドワイヤ式プローブに関して記載された熱対流装置などの検知装置(SD)からサンプリングされたデータを使用してCFR値を求めることに関して、本明細書に記載の方法及び関連する、経験的に決定された機能又は数学的関係のうちの1つ以上を含んでよい。
【0172】
一実施形態では、熱対流データは、加熱された測定抵抗の相対的な温度変化であり、これは、抵抗/装置の周囲の流量変化の尺度である。熱対流データを取得する為に使用可能なシステム、及び圧力及び流量検知装置に基づく熱対流装置に関する更なる詳細が、本明細書において記載及び図示されている。
【0173】
CFR測定は、FFR測定と並行して行われる。例えば、CFR測定ソフトウェアは、
図11のシステムのハードウェアコンポーネント及び装置において動作する圧力センサ信号処理ソフトウェア及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネントの拡張としての1つ以上のソフトウェアルーチン又はメソッドとして実施されてよい。
FFRデータ及び熱対流CFRデータの測定手順
【0174】
FFRと熱対流CFRの同時測定の手順の例示的な一連のステップを、
図12Bに関して説明する。これらのステップは、
図11のシステム及び本明細書に記載のシステムを使用して実施されてよい。診断データ出力に関連付けられたグラフィカルユーザインタフェースの関連画面を、
図13A~13D及び
図5A~5Dに示す。
【0175】
図12Bには、患者についての1つ以上のCFR値及び1つ以上のFFR値を求める為に実施できる例示的な一連の方法ステップを示す。ステップ10からステップ55は、実施形態によっては、全てが実施されなくてもよい。更に、ステップによっては異なる順序で実施されてよく、或いは、他のステップと同時に実施されてよい。
【0176】
本方法の一環として、ベースライン値を設定すること、又は別の形式で検知装置(SD)の圧力信号のゼロ値(例えば、トレイ内での、生理食塩水又は別の緩衝液内での血管内圧力)を設定するステップが実施される(ステップ10)。SDを前進させてカテーテル開口部に配置する(ただし、血流内には入れない)ステップが実施される(ステップ15)。SD温度信号のベースライン値(ゼロ値)を設定するステップが実施される(ステップ20)。SDをカテーテル開口部より遠位にある位置まで前進させ、SD圧力信号(Pd)を大動脈圧(Pa)信号と等しくするステップが実施される(ステップ25)。CFR及びFFRを評価する位置までSDを前進させるステップが実施される(ステップ30)。聴覚及び/又は視覚に対するフィードバックにより、温度信号を較正(調整)して、最大レベル、最小レベル、又は他のレベルを見つけるステップが実施される(ステップ35)。この較正又は調整のステップは、ソフトウェアの形で実施されてよく、或いは、温度信号レベルを見つけるべく操作部を調節する際に、較正済みの状態が現れたら視覚的又は聴覚的キューによって操作者に通知するように容易化されたソフトウェアであってよい。一実施形態では、調整又は較正は、血管内装置を最適流量レベル又は他の所望の流量レベルになるように位置決めする為に、血管内装置を血管内で半径方向に物理的に動かすことを意味する。最適流量は、典型的には、温度信号が最大又は最小レベルで落ち着くことにより、識別される。温度信号レベルは、相対的な最大値又は最小値又は他の閾値を達成するように調整される。
【0177】
引き続き
図12Bに示された方法を参照すると、本方法は又、SD値のデータ記録セッションを開始し、CFRベースラインを設定するステップ(ステップ40)を含んでよい。一実施形態では、CFR測定値が取得されたら、充血を引き起こすステップが実施される(ステップ45)。従って、ステップ45では、一例として、CFR値及びFFR値を求める為に監視されている患者に対して、アデノシンなどの充血剤が投与される。圧力が等化され、流量信号がベースラインに戻ったことを確認するステップが実施される(ステップ50)。最後に、一実施形態では、サンプリングされたプローブ値の所望のセットが取得されたら、或いは、並行診断又は並行治療が終了したら、データ記録セッションを終了又は中止するステップが実施される(ステップ55)。一実施形態では、ベースラインレベルは、レベル1又は別の設定されたベースライン値である。
【0178】
FFR測定システム(例えば、Quantienシステムや
図11のシステムなど)のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)には、圧力センサの温度信号をゼロにする為のユーザ操作部を提供する1つ以上のプロセッサ又は制御システムが組み込まれてよい。更に、そのようなユーザ操作部を使用することにより、CFRベースライン値、並びに、信号調整及びCFR追跡の為の新しいグラフウィンドウを設定することが可能である。本システムは又、音声調整ステップの為の音声インタフェース/スピーカにより拡張される。
【0179】
各種のスクリーンショットでは、
図11のシステム又は本明細書に記載及び図示された他のシステムのGUI又は他の表示出力の1つ以上の領域又はパネルが、FFR及びCFRを同時に評価する為に記録された測定値を表示する。例えば、FFRデータとCFRデータの同時表示は、Fv/Fv-B(流量/ベースライン流量の比)によって示され、これは、様々なインタフェース図面でレビューモードのFFR値とともに表示されている、CFR計算の結果である。
【0180】
本開示は、部分的には、CFR及びFFRに関する進歩及び新しい診断の情報及び方法論をユーザに対して示す様々な特徴を含む。そのような特徴の1つは、関係式CFR=b^((x_充血-x_ベースライン)/c)に基づいてCFR値を求める処理である。更に、このCFRの関係式は、本明細書に記載のような血管内圧力プローブで測定された圧力センサ温度又は電力信号に基づいて評価されてよい。
図11に関して本明細書で言及されているように、FFRとCFRの同時測定、並びにその後のFFR値とCFR値の同時表示を容易にする為には、CFRソフトウェアによる方法又はハードウェアコンポーネント740を、FFRソフトウェアによる方法又はハードウェアコンポーネント50の一部としての圧力センサの圧力信号処理と並行して実行することが有利である。(例えば、
図12A及び
図12Bの処理フローに関する)本明細書に記載の方法ステップ、関連付けられたユーザインタフェース及びCFRデータのプロット、並びに、時間に対するFFR及びCFRの変化を同時にプロットすることが、強化された診断情報をユーザに提供する更なる特徴である。
【0181】
図14は、比較対象の既知のCFR値として働く基準CFRに対して、Aeris 2プラットフォームでの熱対流流量測定値を使用して、セント・ジュード・メディカル(St. Jude Medical)製のPressureWire Generation 8ユニットによって実施されたCFR測定の成果を示す。この測定は、3mm管内の(赤(位置1)、青(位置2)、及び緑(位置3)で示された)3箇所で実施された。一実施形態では、測定中に、各CFR測定の前に、PressureWireの回転が行われて、最大流量信号レベルが決定される。その結果として、全ての場所で最大偏差が10%以内であることが示される。これは、熱希釈法によるPressureWire CFR測定に対して指定された30%の許容誤差に比べて良好である。
血管内データ及び他の心臓系データの視覚表現
【0182】
様々な例示的グラフィカルユーザインタフェース(GUI)又は表示出力が
図13A~13D及び
図15A~15Dに示されており、これらは、血管内測定値、例えば、圧力、温度、流量測定値、又はそれから導出された測定値、又はそれと相関している測定値のうちの1つ以上を使用して生成されたデータセットを含む。一実施形態では、血管内データ処理及びディスプレイシステムの出力に複数のモードがある。例として、以下では、ライブモードとレビューモードについて詳述する。
ライブモード-GUI
【0183】
図13Aは、ライブモードの例示的GUI805を示しており、表示されているデータは、血管内プローブによってサンプリングされ、測定システム、例えば、システム710又は他の、本明細書に記載のICDによって処理されているデータである。このGUIは、典型的にはタッチスクリーン上に表示され、表示の変更、システムの較正、及び他の修正を行う為に、インタフェース上の様々な要素に対して、アクティブ化、非アクティブ化、又は他の形式での対話が行われてよい。図示されたライブモードでは、リアルタイムのデータ曲線及び数値が表示され、これらは、そのようなデータをレビューしているユーザにリアルタイムの見通しを与えるものであり、これは、例えば、別の治療の診断手順の前、途中、又は後に行われてもよい。
【0184】
図13Aに示されるように、測定対象の心臓系データに関して、様々なグラフやプロットが表示可能である。上側のグラフウィンドウには、位相性のPd(緑などの1つの色、又は第2のしるしを使用)、Pa(赤などの別の色、又は第1のしるしを使用)、及びこれらのそれぞれの平均値が表示される。白の位相性曲線807は、熱対流(流量)データであり、これは現在の流量比値にマッピングされる(後述の数値情報を参照)。位相性曲線の平均値は、現在の流量比値(1.88)と一致する。下側のグラフウィンドウには、現在のPd/Pa値(0.98)を表す色付き線808(例えば、黄線又は別のしるし)が表示される。右側のパネルには、以下の数値情報が上から下まで表示される。
・Pa平均値。Pa最大値及びPa最小値も小さな数字で示される。
・Pd平均値。Pd最大値及びPd最小値も小さな数字で示される。
・Pd/Pa値。Pd及びPaの平均値に基づく。
・Fv/Fv-B(流量/流量ベースライン比)。これはCFR計算の結果である。
一実施形態では、この値は、ライブモードではCFRと称されない。これは、CFRの定義が、最大充血時のベースライン流量に対する流量の比だからである。これらの定義は、本システムのユーザの期待に基づいて、修正及び変更されてよい。一実施形態では、最大充血が存在するのは、測定サイクルのうちのほんの短い間だけである。一実施形態では、Pd/Paは、ライブモードではFFRとして識別されない。
【0185】
図13AのGUIは、様々なユーザ操作ボタン、即ち、「記録」、「等化」、「患者」、「ライブ」、「レビュー」、及び「アーカイブ」の各ボタン及びメニューを含む。
図13Aの例示的GUI805は又、「CFRイネーブル」操作インタフェースについての新しい操作部及びボタンを含む。「CFRイネーブル」操作部は、FFR+CFRモードをイネーブル又はディセーブルにする為に、ユーザによって調節可能である。即ち、ユーザは、FFRモードにするかFFR+CFRモードにするかを選択することが可能である。本明細書で図示されているGUIは、様々な実施形態において、タッチスクリーン又は他の操作手段及び入力装置を使用して実施される。
【0186】
(
図13Aに示された)「ベースライン」操作部を使用すると、ユーザが「調整」又は「ベースライン設定」を選択できる新しいメニューを開くことが可能になる。そして、「調整」操作部を使用すると、熱対流信号の調整をアクティブ化することが可能になり、これにより、視覚情報(グラフ)及び聴覚情報(音声信号)の両方を使用して、熱対流信号を最適化する機会、即ち、装置を血管内の最適位置に配置する機会をユーザに与えることが可能になる。「ベースライン設定」操作部を使用すると、熱対流信号の現在の平均値を、CFR計算の為のT
basとして記憶することをソフトウェアに指示することが可能になる。
レビューモード
【0187】
図13B、
図13C、及び
図13Dに示されるレビューモードでは、測定記録が表示される。画面は、圧力比及び流量比が1(ベースライン流量)から始まり、その後、充血の開始時にそれぞれの充血レベル(即ち、
図13Bの場合には圧力比が0.8前後、流量比が5.0)にシフトする様子を示している。なお、流量比のスケールは上側のグラフウィンドウの右側に示されており、0.0から10.0の範囲である。「レビュー」画面では、各比はFFR及びCFRと称されており、ユーザはカーソルを記録の端から端までスライドさせることによって最大充血(2つの比がFFR及びCFRになる場所)を識別するものとする。
CFRを求める-熱対流データ
【0188】
本明細書に記載されるように、血流量値から測定される圧力センサ信号への可能な伝達関数が幾つかリストされる。一実施形態では、x=a+c×logbQという形式の伝達関数が使用される。但し、対数の底bは指定されず、xは、測定される圧力センサ温度信号又はチップ電力であり、aはオフセット値であり、cは利得係数であり、Qは血流値である。a及びcは、両方とも、血管内の圧力センサチップの位置に依存する。この関数の逆関数Q=b^((x-a)/c)を使用して、測定される圧力センサ信号による流量値が計算される。CFR(Q_充血/Q_ベースライン)は、その後、本明細書において更に詳述されるように、b^((x_充血-x_ベースライン)/c)として計算されてよい。一実施形態では、オフセット値(a)は、CFRの計算には不要である。
【0189】
CFR計算は、上述の伝達関数のうちの1つ、即ち、
【数3】
に基づく。但し、Tは、熱対流装置の温度可変抵抗の測定された温度であり、Qは流量であり、a及びcは、熱対流装置に依存し、且つ、血管内での装置位置に依存する定数である。測定された熱対流装置温度が与えられて流量値を計算する場合は、(1)の逆関数である次式を使用する。
【数4】
一実施形態では、CFRは次式で定義される。
【数5】
但し、Q
hypは充血時の冠血流量であり、Q
basはベースライン(安静時)冠血流量である。従って、CFR指数は、達成可能な、冠動脈系の最大血流量増加率の値である。
【0190】
(3)式に(2)式を挿入することにより、次式が得られる。
【数6】
【0191】
但し、T
hypは、充血流量時の測定された温度であり、T
basは、ベースライン流量時の測定された温度である。この為には、熱対流装置は、ベースライン流量時及び充血流量時の両方で、特定の測定位置で安定が保たれなければならない(そうでないと、定数a及びcは、充血及びベースラインの両方に対して有効ではなくなる)。充血は、
図15A~15Dにおいて、FFRデータプロットの下側ウィンドウに示された負の平坦域、並びに、画面の中程に(
図15Aを参照)Fv/Fv-B(流量/流量ベースライン比)のプロットに対して示された正の平坦域として可視化されることが可能である。
図5Aのスクリーンショットの左3分の1あたりに示された縦線は、充血の開始を表してる。対数の規則を用いて(4)式を簡略化すると、次式が得られる。
【数7】
【0192】
更に簡略化すると、CFR計算ソフトウェアで使用される、最終的なCFR関数(次式)が得られる。
【数8】
【0193】
なお、定数aは、CFRの計算には不要である。しかしながら、定数cは、非常に重要であり、熱対流装置に固有であり、且つ、血管内での装置位置に固有である。又、CFR値は、ベースライン流量に対する流量の比であり、これは、個々のCFR計算の間、Tbas値は定数として動作することを意味している。Tbasの値は、ユーザによって間接的に与えられる。即ち、冠血流量が安静時レベルにあり、操作者が熱対流装置を最適測定位置に配置したときに、GUIの「ベースライン設定」ボタンが押され、その時点での熱対流値(平均値)を、ソフトウェアがTbasとして記憶する。
【0194】
この関数は、自然対数の底(e)を使用せずに任意の対数の底(b)を使用することにより、次式のような、より一般的な形式で書くことができる。
【数9】
【0195】
血管内データ収集装置を血管内で使用することにより、その血管に対して相対的な診断情報を含む信号を生成したり受信したりすることが可能である。このような装置として、限定ではなく、撮像装置があってよく、例えば、光学式又は超音波プローブ、圧力センサ装置、及び他の、血管又は他の心臓血管系の構成要素についてのデータを収集することに適する装置があってよい。
【0196】
本開示は、部分的には、血管内プローブによって収集された血管内データをプロセッサベースのシステムで変換又は分析する為に使用される血管内データ収集システム及び関連する方法に関する。そのような分析及び変換の結果は、様々な表現によってエンドユーザに対して表示されてよく、例えば、圧力監視システムや血管内データ収集システムなどのシステムと通信しているか、その一部であるディスプレイによって表示されてよい。そのようなシステムの例が、例えば、
図1A~2B、
図5A~5E、
図11、
図13A~13D、
図15A~15Dに示されており、且つ、他の図面に別の形式でその全体又は一部分が示されている。
【0197】
一実施形態では、ディスプレイコンソールを使用して、ユーザインタフェース、例えば、タッチスクリーンインタフェースと、流速、最大流量、最小流量、流量閾値、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値のうちの1つ以上と、が、1つ以上のパネルに、又はユーザインタフェース領域に、或いは、一実施形態では本システムのコンポーネント上の値として、又はプロット又はグラフとして、表示される。ディスプレイ装置、コンソール、又はそれらが取り付けられるか電気連通又は無線連通するカート又は他のハウジングは、本明細書に記載のステップのうちの1つ以上を実施し、本明細書に記載のプローブからの血管内信号を処理する為の1つ以上のマイクロプロセッサを含んでよい。
【0198】
これらの図面及びユーザインタフェース画面は、ステントの決定、診断的観点からの関心領域の識別、及び他の心臓系治療の決定の通知を行う為に、血管内画像又は血管造影画像とともに診断ツールとして使用されてよい。
【0199】
一実施形態では、本明細書に開示のシステム、方法、及びディスプレイのユーザが、処置前、処置中、又は処置後に、時間の経過に対して与えられたFFR値及びCFR値の表示をレビューして、狭窄の重篤度の診断、狭窄場所の特定、治療方針の案内、治療効果の評価、及び処置後の更なる治療の必要性の評価を行うことが可能である。
流量ピーク/流量閾値の測定及び評価の実施形態
【0200】
圧力センサ又は流量センサ又は他の検知装置を、統合型心臓病ディスプレイシステム又は他の、本明細書に記載のシステムなどのシステムと組み合わせて使用することにより、流量センサを使用して取得された熱対流データ又は流量データを使用して、又は流量データと相関している他の測定値から、時間経過に対する1つ以上のカテゴリの血管内データを求めることが可能である。熱対流式センサに加えて、機械式、光学式、又は他の流量センサを使用してよい。本システムは、信号処理及びディスプレイ装置を含んでよい(例えば、RadiAnalyzerシステム、RadiAnalyzer Xpressシステム、Quantienシステム、Aerisシステム、Prestigeガイドワイヤ式プローブシステム、ComboMap(登録商標)圧力及び流量システム、及び他の、血管内圧力を検知するかFFRを求める装置及びシステムを含んでよい)。一実施形態では、血管内プローブを一部を成す圧力センサ又は流量センサが使用される。本システムは又、近位又は遠位の圧力値を測定することに適するカテーテルなどの基準圧力装置を含むか、これと連通してよい。基準圧力装置を使用することにより、基準圧力(例えば一実施形態では大動脈圧)を測定することが可能である。基準圧力装置は、ガイドカテーテル又は送達カテーテルの圧力センサを含んでよい。
【0201】
同じ検知装置をサンプリングすることにより、遠位圧力値Pdを取得することが可能であり、遠位圧力値Pdを基準圧力とともに使用することにより、FFR値を同時に求めることが可能である。そのような基準圧力装置は又、大動脈圧値などの近位圧力値(Pa)を受信し、これらを、その後の分析及び計算の為に、適切なシステム、例えば、本明細書に記載され、
図1A~2B、
図5A~5E、
図11、
図13A~13D、
図15A~15Dの例示的実施形態の形で図示されたシステムに送信する。
【0202】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の手法により、取得された血管内データを使用して流量閾値を検出することに関する。流量閾値としては、心臓サイクル中の非限定的な例として、流量ピーク又は他の相対極値、変曲点、1次導出値、又は2次導出値などがある。そして、検出された流量閾値、例えば、流量ピーク(又は他の値又時点)は、測定システムの指標として選択されてよく、例えば、圧力比や圧力差の計算に使用されてよい。
図16、
図17A、
図17Bを参照して、且つ、心臓サイクルごとの例示的な圧力及び流量の曲線並びにPa値及びPd値のプロットを参照して、例示的処理ステップを更に詳細に説明する。
【0203】
本開示の実施形態は、部分的には、血管内データ収集プローブからサンプリングされた信号に基づいて比を求めることに適する圧力検知装置、測定システム、及びこれらに関連するソフトウェアの様々な特徴に関する。これらの信号は、様々な値であってよく、例えば、心臓サイクル中の時点又は期間を選択することに使用される(ユーザがインタフェースを介して指定するか、測定システムによって自動的に特定される)圧力閾値又は流量閾値であってよい。この時点は、プローブで取得された一連の流量値のうちの最大値であってよい。選択される時点又は期間は、測定を実施すること、又は既に取得された測定値を選択することに使用され、測定値は遠位圧力値又は他のパラメータを含み、そのようなパラメータとして、限定ではなく、流速、最大流量、最小流量、流量閾値、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値がある。流量閾値は、流量の測定レベルがそれ以上になるとピーク流量又は大流量として分類されるレベルとして指定されてよい。
【0204】
或いは、最大流量値又は流量測定値の絶対値が、流量閾値又はピーク流量値として識別されてよく、心臓サイクル中のその時点で、1つ以上の圧力値又は他の関心対象血管内パラメータが測定される。流量閾値を選択することにより、その時点を基準とする相対的な圧力差、流量値、又は他の、本明細書に記載の値(例えば、統計値や他の指標)を検知装置で取得することが可能になる。各流量閾値(例えば、ピーク流量や最大流量など)において収集された診断データは、値として表示されてよく、プロットされるか他の形式で処理されてよく、相関値を生成することに使用されてよく、その相関値が又、表示又はプロットされてよい。
【0205】
ここでは、冠動脈の狭窄を評価することに適する診断方法、及び関連する熱対流システム及び装置について説明する。本システム及び方法を使用することにより、心臓サイクル中の関心対象の時点又はイベントを識別する手がかりになりうる流量ピーク(又は他の、本明細書に記載の値又は時点)を検出することが可能である。これらの時点又はイベントは、それらのイベントや時点における圧力比や圧力差を測定する為の基準として使用されてよい。これらの方法及びシステムを使用して、非充血測定、例えば、非充血時又は安静時のFFR値の測定を実施することが可能である。
【0206】
心臓サイクル中の流量ピーク又は他の時点に関連付けられた流量データ又は他の指標と無関係にFFRを求める為に現在用いられている手法の幾つかにおいては、常に大流量が発生する領域を明確に限定するなどしてFFR値を求めることが前提になっている。そのような領域をデータ収集用として選択するように指定するだけの、そのような限定型の手法とは異なり、本明細書に記載の、流速測定又は他の流量測定に基づくシステム及び方法は、大流量又はピーク流量が発生したときに、その流量を正確に測定することが可能であり、或いは、そのような流量測定値と相関しているか、その値から導出される別の指標を正確に測定することが可能である。実施形態によっては、ここで言及されているピーク流量は、最大血流量の発生に対応しうるものであり、最大血流量は、心臓サイクル中の最大血流量ピーク又は他の相対極値に関連付けられる。
【0207】
(最大血流量ピークなどの流量閾値における)関心対象箇所は、常に見つけることが可能であり、心臓サイクル中のその箇所において圧力低下が測定される。流量ピークの発生は、心臓サイクル中の任意の箇所に位置することが可能であり、従って、サイクル比は、収縮期及び拡張期の心臓の挙動に関する予想に基づいて領域を事前選択することによっては決定されない。圧力低下は、静止状態又は/及び充血時に測定可能である。流量ピークの発生は、心臓サイクル中の任意の箇所に位置することが可能であり、遠位圧力(Pd)と大動脈圧(Pa)との比は、この箇所(又はこの箇所の近隣の幾つかの箇所/サンプル)において測定可能である。圧力低下が関心対象である場合は、同じ1つ以上の箇所において差(Pa-Pd)が測定される。
図18に示されるように、大動脈圧(P
大動脈)曲線は、図示される心臓サイクルのピーク流量においてPa値があり、縦の両方向矢印においてPd値がある。これらの値を見つけて使用することにより、ピーク流量又は他の指定された流量閾値において、FFR、圧力差、及び他の値を心臓サイクルごとに計算することが可能である。一実施形態では、何拍かの心拍数にわたる、測定値の算術平均又は他の統計指標又はデータ指標(平均、中央値、最頻値、標準偏差等)が計算される。この比は、流量ピーク又は他の流量閾値におけるPd/Paである。これは、(充血が導入されない場合の)ベースラインにおいて、心臓サイクル中の最小Pd/Paであり、非充血静止時の指数を表す。
【0208】
図16は、流量閾値及び他の測定された血管内パラメータを使用する血管又は狭窄の評価方法などの診断方法の一連の方法ステップである。本方法の一ステップとして、インタフェース又は他の血管内測定システム及び1つ以上の検知装置を非充血状態(又は充血状態)において使用して流量閾値を検出するステップが実施される(ステップA1)。その結果、検知装置又はシステムコンポーネントが、1つ以上のピーク流量値(又は他の識別された1つ以上の値)を出力することが可能である(ステップA2)。更に、本システム及び関連する制御ロジックが、識別されたピーク流量値(又は他の識別された1つ以上の値)に対する応答として、又はそれらの値の発生時に、圧力比及び/又は圧力差を求めることが可能である(ステップA3)。そのような圧力比又は圧力差を使用して、本システムは、1拍以上の心拍にわたる、圧力比、圧力差、又はこの両方の統計指標又は他の指標(例えば、算術平均、最頻値、偏差、又は他の指標又は統計値)を生成することが可能である(ステップA4)。
【0209】
そして、本システムは、診断情報を表示又は出力することが可能であり(ステップA5)、例えば、ピーク流量や最大流量などの流量閾値において取得されたプロット又は比又は差を表示又は出力することが可能である。流量値は、血管内センサを使用して生成されることが可能であり、流量値を使用して、流量閾値を選択する為の入力を本システムに与えることが可能である。本システムは、最大流量などの識別された値又は他の識別された値における、圧力比(Pd/Pa)の1つ以上の数値又はこれと相関している値を表示することが可能である(ステップA6)。本システムは、データが非充血状態において収集された場合には、出力を、非充血静止時のベースラインとして表示/分類することが可能である(ステップA6-1)。本システムは、充血剤が使用された場合には、出力を、充血時データとして表示/分類することが可能である(ステップA6-2)。更に、本システムは、最大流量などの識別された値又は他の識別された値における、圧力差の値の1つ以上の数値を表示することが可能である(ステップA7)。本システムは、出力を、非充血静止時のベースラインとして表示/分類することが可能である(ステップA7-1)。本システムは、出力を、充血時データとして表示/分類することが可能である(ステップA7-2)。
【0210】
図17Aは、本明細書に記載の圧力及び流量検知システムのうちの1つ以上とともに使用されることに適する圧力値比に関連する診断方法の別の実施形態である。
図17Aでは、図示されるように、Pd/Pa比に関連する各種ステップの概要が示されている。本システムは、まず、関心対象の血管に関する血管内データを送信/提供するステップ(ステップB1)に使用される。次に、第1の期間又は心臓イベントの間で第1の流量閾値における第1の流量値を求めるステップ(ステップB2)が実施される。第1の流量閾値の間で大動脈圧に対する遠位圧力の比(pd/pa)を求めるステップ(ステップB3)が実施される。更に、本システムは、複数の期間又は心臓イベントにおける圧力比に関する1つ以上の指標を求めるステップ(ステップB4)の為にセットアップされてよい。本システムは、次に、pd/pa、求められた指標、求められた流量値、又はそれから導出された値のうちの1つ以上を、数値として、又は、時間に対するプロットとして、又は心臓イベントごとに表示することが可能である(ステップB5)。
図18は、
図17Aの方法の例示的な結果の表示であって、流量閾値と、そのような閾値において見つかるPa値及びPd値とを示すのに適するプロットを示しており、Pa値及びPd値は、例えば、第1の心臓サイクルAにおける縦線Aに沿って示されている。
【0211】
図17Bは、本明細書に記載の圧力及び流量検知システムのうちの1つ以上とともに使用されることに適する圧力値比に関連する診断方法の別の実施形態である。
図17Bでは、血管内圧力値と別の関心対象の圧力値との圧力差に関連する診断方法の各種ステップの概要が示されている。本システムは、関心対象の血管に関する血管内データを送信/提供するステップ(ステップB1)を実施することに使用されてよい。別のステップでは、第1の期間又は心臓イベントの間で第1の流量閾値における第1の流量値を求めるステップ(ステップB2)が実施されてよい。本明細書に記載の(例えば、温度及び電圧を使用する)流量センサで測定される流量値は、測定値を取得する場所となる流量閾値を選択することに使用されてよい。第1の流量閾値の間で大動脈圧と遠位圧力との圧力差(pa-pd)を求めるステップ(ステップC1)が実施されてよい。
【0212】
別のステップとして、複数の期間又は心臓イベントにおける圧力差に関する1つ以上の指標を求めるステップ(ステップC2)が実施されてよく、例えば、ユーザ選択により、或いは、システムにおける所定の選択により、実施されてよい。本システムは、求められた指標、求められた流量値、又はそれから導出された値のうちの1つ以上を、数値として、又は、時間に対するプロットとして、又は心臓イベントごとに表示する(ステップC3)。
図18は、
図17Bの方法の例示的な結果の表示を示す。
【0213】
図18を参照すると、(例えば、
図16、
図17A、及び
図17Bの方法のうちの1つ以上の方法により)測定された血管内データを使用して、2つのプロット又は追跡記録が生成されている。プロット910(図の上側)及びプロット920(図の下側)は、心臓サイクルA~Eにおける時間対圧力及び時間対流量値をそれぞれ示す。即ち、複数回の心臓サイクルにわたる、時間に対する一連の圧力曲線が示されている。上側の図、プロット910では、実線は、上側の曲線に対応し、心臓が一連の心臓サイクルを経るにつれて時間とともに上昇したり下降したりする大動脈圧を示す。下側の圧力曲線は、流量閾値に対応する点線100A、100B、100C、100D、及び100Eで示される、血管内で測定された遠位圧力に対応する。Pd値及びPa値は、両方向矢印の交点で見つけることができ、これらを使用して、Pd-PaやPd/Paなどの第1のパラメータ、又は別の形式で第1のパラメータと相関している第2のパラメータを求めることが可能である。
【0214】
AからEのラベルが付けられた縦の点線のそれぞれは流量閾値を示しており、ここで、心臓サイクルごとに、データが収集され、診断データが精製される。図示された縦線は、最大流量に対応する。しかしながら、他の流量閾値も使用されてよく、例えば、最大流量のX%が使用されてよい。Xの範囲は約1から約100までである。図示されている心臓サイクルは、AからEまでの5つである。両方向矢印で示され、PD-A、PD-B、PD-C、PD-D、及びPD-Eで識別される圧力差が、本システムで選択された流量閾値に対応する縦の点線で示される、関連付けられた時間断面において求められる圧力差又は圧力比である。本明細書で示されるように、圧力比又は圧力差を測定する場所を決定する為に使用される流量閾値のベースになったのが最大流量又はピーク流量であった。縦線で示される流量閾値は、サイクルごとの最大流量値として選択されてよく、これは、本明細書に記載の、温度に基づく流量測定値、又は他の流量センサを使用して決定される。
【0215】
図示された5拍分の心拍の場合、縦の両方向矢印は、第1の圧力と第2の圧力との差に対応する。これらの両方向矢印は、上側図面に広がり、更に下側図面まで続く縦の点線と一直線に重なっている。これらの点線は、ピーク流量などの流量閾値の発生を示す。これらの点線は、制御システムと、他の関心対象の流量閾値(例えば、流量測定値、又は他の、これと相関している値)とを使用して設定されてよい。流量閾値において決定されて表示されてよい診断値又はそのプロットとしては、限定ではないが、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値がある。
【0216】
本明細書に記載の様々な圧力差及び圧力問題が、診断手順又は他の手順において使用される数値として表示されてよい。これらの差及び比は、統計値などの様々な指標や他の指標を生成する為に使用されてもよい。そのような統計値の例として、重み付き平均、平均、算術平均、最頻値、中央値、(充血時であれ非充血時であれ)ベースラインなどのパラメータからの標準偏差、及び、血管内システムパラメータ及び冠動脈系システムパラメータに関連する別の統計値がある。
圧力及び流量に関連するデータ収集及び分析方法及びシステムを実施する為の非限定的なソフトウェア機能及び実施形態
【0217】
以下の説明は、本明細書に記載の開示の方法を実施することに適する装置ハードウェア及び他の動作コンポーネントの概要を提示することを意図したものである。この説明は、本開示の適用可能な環境又は範囲を限定することを意図したものではない。同様に、ハードウェア及び他の動作コンポーネントは、上述の装置の一部として適するものであってよい。本開示は、他のシステム構成でも実施されてよく、例えば、パーソナルコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マルチプロセッサベースの、又はプログラム可能な電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどでも実施されてよい。本開示は、分散コンピューティング環境で実施されてもよく、そのような環境では、タスクが、通信ネットワークを介してリンクされている遠隔処理装置によって実施される(例えば、カテーテル処置室の複数の異なる部屋で実施される)。
【0218】
詳細説明のうちの幾つかの部分は、コンピュータメモリ内でのデータビットに対する演算のアルゴリズム及びシンボル表現の観点から説明されている。これらのアルゴリズム説明及び表現は、コンピュータ及びソフトウェア関連分野の当業者であれば使用可能である。一実施形態では、アルゴリズムは、ここでは、且つ一般的に、所望の結果につながる、自己矛盾のない一連の演算であると考える。方法ステップ、又は他の、本明細書に記載の形式として実施される演算は、物理量の物理操作を必要とする。必須ではないが、通常、これらの量は、記憶、転送、結合、変換、比較、及び他の形式の操作が可能な電気信号又は磁器信号の形態をとる。
【0219】
以下の説明から明らかであるが、特に断らない限り、説明全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「検索する」又は「検出する」又は「測定する」又は「計算する」又は「比較する」又は「生成する」又は「検知する」又は「求める」又は「表示する」などの語句を用いた説明、或いは、ブール論理又は他の集合に関連する演算などは、コンピュータシステム又は電子機器のレジスタ及びメモリ内で物理量(電子量)で表されたデータを操作したり、同様に電子メモリまたはレジスタ又は他のそのような情報記憶装置内で物理量として表される他のデータに変換したりする、コンピュータシステム又は電子機器の動作又は処理を意味することを理解されたい。
【0220】
本開示は、実施形態によっては、本明細書に記載の演算を実施する装置にも関連する。この装置は、必要とされる用途に特化して構築されてよく、或いは、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化又は再構成された汎用コンピュータを含んでよい。本明細書に記載のデータの収集及び変換及び処理の一部を実施する為に、様々な回路及び回路部品が使用されてよい。
【0221】
本明細書において示されたアルゴリズム及び表示は、本質的には、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも関連付けられない。様々な汎用システムが、本明細書の教示に従うプログラムとともに使用されてよく、或いは、必要な方法ステップを実施することに、より特化された装置を構築することが具合がよいことがわかる場合がある。これらの様々なシステムに対して必要とされる構造は、以下の説明から明らかになるであろう。更に、本開示の説明は、いかなる特定のプログラミング言語に関するものでもなく、従って、様々なプログラミング言語を用いる様々な実施形態が実施されてよい。
【0222】
本開示の実施形態は、多様な形態で実施されてよく、例えば、限定ではないが、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、又は汎用コンピュータ)とともに使用されるコンピュータプログラムロジック、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス)とともに使用されるプログラマブルロジック、ディスクリート部品、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、又はこれらの任意の組み合わせを含む他の任意の手段で実施されてよい。本開示の典型的な実施形態では、OCTプローブ及びプロセッサベースのシステムを使用して収集されるデータの処理の一部又は全てが、コンピュータプログラム命令のセットとして実施され、この命令セットは、コンピュータで実行可能な形式に変換され、そのような形式でコンピュータ可読媒体に記憶され、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行される。従って、本明細書に記載のクエリ、応答、送信されるプローブデータ、入力データ、並びに他のデータ及び信号は、プロセッサが理解できる命令に変換され、それらの命令は、圧力及び流量のデータを生成すること、狭窄を検出すること、最大流量値を求めること、CVEXベースの伝達関数を使用して較正すること、CTAベースの伝達関数を使用して較正すること、最大流量値を求めること、CFR値を求めること、FFR値を求めること、本明細書に記載のデータ及びパラメータをGUIの諸領域に表示及びプロットするか、又は他の方法で、圧力対流量曲線及び流量測定値、及び他の、上述の特徴及び実施形態に基づく分析及び比較を実施することに適する命令である。グラフィカルユーザインタフェースにおいてプロット曲線、値、又は別の表現として表示されることに適するデータ及びパラメータとして、限定ではないが、血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、流量閾値、流量閾値の平均値、及び心筋抵抗指数(IMR)値があってよい。
【0223】
本明細書において既に記載された機能性の全て又は一部を実施するコンピュータプログラムロジックは、様々な形式で実施されてよく、例えば、限定ではないが、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、又は様々な中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、又はロケータによって生成される形式)で実施されてよい。ソースコードは、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティング環境での使用の為に、任意の様々なプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、又はFortran、C、C++、JAVA(登録商標)、又はHTMLのような高級言語)で実施された一連のコンピュータプログラム命令を含んでよい。ソースコードは、様々なデータ構造及び通信メッセージを定義して使用してよい。ソースコードは、(例えば、インタプリタによって)コンピュータ実行可能形式になってよく、或いはソースコードは、(例えば、トランスレータ、アセンブラ、又はコンパイラによって)コンピュータ実行可能形式に変換されてよい。
【0224】
コンピュータプログラムは、任意の形式(例えば、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、又は中間形式)で永続的又は一時的に有形の記憶媒体に記憶されてよく、例えば、半導体メモリ装置(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光学式メモリ装置(例えば、CD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、又は他のメモリ装置に記憶されてよい。コンピュータプログラムは、様々な通信技術のうちのいずれかを使用してコンピュータに送信されることが可能な信号の中に任意の形式で記憶されてよく、そのような通信技術として、限定ではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth(登録商標))、ネットワーキング技術、インターネットワーキング技術などがある。コンピュータプログラムは、印刷文書又は電子文書が付属するリムーバブル記憶媒体(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)として任意の形式で流通されてよく、或いは、コンピュータシステム(の、例えば、システムROM上又は固定ディスク上)にあらかじめロードされていてよく、或いは、通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)を介してサーバや電子掲示板から分配されてよい。
【0225】
本明細書において既に記載された機能性の全て又は一部を実施するハードウェアロジック(プログラマブルロジックデバイスとともに使用されるプログラマブルロジックを含む)は、従来の手作業の手法で設計されてよく、或いは、様々なツール、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL又はAHDL)、又はPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、又はCUPL)を使用して、設計、キャプチャ、シミュレーション、又は電子文書化が行われてよい。
【0226】
プログラマブルロジックは、永続的又は一時的に有形の記憶媒体に記憶されてよく、例えば、半導体メモリ装置(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光学式メモリ装置(例えば、CD-ROM)、又は他のメモリ装置に記憶されてよい。プログラマブルロジックは、様々な通信技術のうちのいずれかを使用してコンピュータに送信されることが可能な信号の中に記憶されてよく、そのような通信技術として、限定ではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth)、ネットワーキング技術、インターネットワーキング技術などがある。プログラマブルロジックは、印刷文書又は電子文書が付属するリムーバブル記憶媒体(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)として流通されてよく、或いは、コンピュータシステム(の、例えば、システムROM上又は固定ディスク上)にあらかじめロードされていてよく、或いは、通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)を介してサーバや電子掲示板から分配されてよい。
【0227】
以下では、適切な処理モジュールの様々な例を詳細に説明する。本明細書では、モジュールは、特定のデータ処理又はデータ送信のタスクを実施することに適するソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアを意味する。典型的には、好ましい実施形態では、モジュールは、命令、又は様々なタイプのデータを受信したり変換したりルーティングしたり処理したりすることに適するソフトウェアルーチン、プログラム、又は他のメモリ常駐アプリケーションを意味し、そのようなデータは、例えば、抵抗変化、ガイドワイヤ式プローブデータ、温度データ、血管内流量データ、血管内圧力データ、伝達関数出力の較正データ、励起電圧、及び他の関心対象情報である。
【0228】
本明細書に記載のコンピュータ及びコンピュータシステムは、作用的に関連付けられたコンピュータ可読媒体を含んでよく、例えば、データの取得、処理、記憶、及び/又は伝達に使用されるソフトウェアアプリケーションを格納するメモリを含んでよい。そのようなメモリは、その作用的に関連付けられたコンピュータ又はコンピュータシステムに対して、内部にあってもよく、外部にあってもよく、離れていてもよく、近くにあってもよいことが理解されよう。
【0229】
メモリには、ソフトウェア又は他の命令を格納する任意の手段が含まれてもよく、そのような手段として、例えば、限定ではないが、ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、DVD(デジタル多用途ディスク)、CD(コンパクトディスク)、メモリスティック、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラマブルROM)、EEPROM(拡張消去可能PROM)、及び/又は他の同様のコンピュータ可読媒体がある。
【0230】
一般に、本明細書に記載の開示の実施形態に関連して適用されるコンピュータ可読メモリ媒体は、プログラマブル装置によって実行される命令を記憶することが可能な任意のメモリ媒体を含んでよい。適用可能であれば、本明細書に記載の方法ステップは、1つ以上のコンピュータ可読メモリ媒体に記憶される命令として実施又は実行されてよい。これらの命令は、様々なプログラミング言語で実施されるソフトウェアであってよく、例えば、C++、C、Java、及び/又は他の様々な種類の、本開示の実施形態に従って命令を形成することに適用されてよいソフトウェアプログラミング言語で実施されるソフトウェアであってよい。
【0231】
記憶媒体は、非過渡的であってよく、或いは非過渡的な装置を含んでよい。従って、非過渡的記憶媒体又は非過渡的装置は、有形である装置を含んでよく、これは、具体的な物理形態を有する装置を意味するが、その物理的状態は変化してよい。従って、例えば、非過渡的は、このような状態変化があっても装置は有形のまま存続することを意味する。
【0232】
本開示の態様、実施形態、特徴、及び実施例は、あらゆる点において例示的であると見なされるべきであり、本開示を限定することを意図しておらず、本開示の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。特許請求される本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない他の実施形態、修正形態、及び使用のされ方があることは、当業者であれば明らかであろう。
【0233】
本出願における見出し及びセクションの使用は、本開示を限定することを意図しておらず、各セクションは、本開示のいかなる態様、実施形態、又は特徴にも当てはまるものである。
【0234】
本出願全体を通して、構成物が特定の構成要素を有するか、含むか、その構成要素から構成されると記載されている場合、或いは、工程が特定の工程ステップを有するか、含むか、その工程ステップから構成されると記載されている場合は、本教示の構成物も、その記載された構成要素から基本的に構成されている(又はその構成要素から構成されている)こと、並びに、本教示の工程も、その記載された工程ステップから基本的に構成されている(又はその工程ステップから構成されている)ことが考えられる。
【0235】
本出願において、ある要素又は構成要素が、記載された要素又は構成要素のリストに含まれているか、且つ/又は、そのリストから選択されていると述べられた場合、当然のことながら、その要素又は構成要素は、記載された要素又は構成要素のいずれか1つであってよく、且つ、記載された要素又は構成要素のうちの2つ以上からなる群から選択されてよい。更に、当然のことながら、本明細書に記載の構成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であれ暗黙的であれ、本教示の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、様々な様式で組み合わされてよい。
【0236】
「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「having(有する)」という語句の使用は、特に断らない限り、一般的には、制約がなく非限定的であると理解されたい。
【0237】
本明細書における単数形の語の使用は、特に断らない限り、複数形の語を包含する(逆に複数形の語の使用は単数形の語を包含する)。更に、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数形を包含する。更に、定量的な値の前に「約(about)」という語が使用される場合、本教示は、特に断らない限り、その特定の定量的な値自体も包含する。
【0238】
当然のことながら、ステップの順序、又は特定のアクションを実施する順序は、本教示が機能する限り、重要ではない。更に、2つ以上のステップ又はアクションが同時に実施されてもよい。
【0239】
値の範囲又はリストが与えられた場合、その値の範囲又はリストの上限と下限との間の各中間値は、各値が本明細書において具体的に列挙されているかのように、個別に考慮され、本開示内に包含されている。更に、与えられた範囲の上限と下限の間にあって、その上限及び下限を含む、より小さい範囲も考慮され、本開示内に包含されている。例示的な値又は範囲をリストすることは、与えられた範囲の上限と下限の間にあって、その上限及び下限を含む他の値又は範囲を否認するものではない。
【0240】
当然のことながら、本開示の図面及び説明は、本開示の明確な理解の為に、関連のある要素を説明するように簡略化されており、他の要素が明確さの為に排除されている。しかしながら、当業者であれば理解されるように、これらの要素及び他の要素も、望ましいものとしてあってよい。しかしながら、そのような要素は当該技術分野において周知であり、且つ、それらが本開示のよりよい理解を促進するものではないことから、そのような要素の説明は、本明細書では行われていない。当然のことながら、各図面は、例示を目的として示されており、構造図として示されるものではない。省略された詳細及び修正形態又は代替実施形態は、当業者の認識の範囲内にある。
【0241】
本開示の態様によっては、ある要素又は構造を与える為に、或いは、所望の1つ以上の機能を実施する為に、単一の構成要素が複数の構成要素に置き換えられうること、並びに、複数の構成要素が単一の構成要素に置き換えられうることが理解されよう。本開示の特定の実施形態を実施する上でそのような置き換えが機能しないと考えられる場合を除き、そのような置き換えは、本開示の範囲に収まると見なされる。
【0242】
本明細書において示された各実施例は、本開示の潜在的且つ具体的な実施態様を例示することを意図したものである。当業者であれば、これらの実施例が主に本開示の例示を目的としたものであることを理解されるであろう。本開示の趣旨から逸脱しない限り、本明細書に記載のこれらの図面又は動作に対する変形形態があってもよい。例えば、場合によっては、方法ステップ又は操作が異なる順序で実施又は実行されてよく、或いは、操作が追加されたり、削除されたり、修正されたりしてよい。
【0243】
〔付記1〕
1つ以上のメモリ装置と、
前記メモリ装置と通信しているコンピューティング装置と、を備える血管内圧力及び流量監視システムであって、前記メモリ装置は、前記コンピューティング装置によって実行可能であって、
ガイドワイヤ式プローブ及びインタフェース装置から形成される測定回路からの第1の電気信号に対する応答として、1つ以上の血管内圧力値を求めるステップと、
前記ガイドワイヤ式プローブ及び前記インタフェース装置から形成される前記測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、伝達関数を使用して、1つ以上の血管内流量値を求めるステップと、
前記1つ以上の血管内圧力値及び前記血管内流量値に基づいて生成される、時間に対して変化する圧力対流量曲線を表示するステップと、を前記コンピューティング装置に行わせる命令を含む、
血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記2〕
前記圧力対流量曲線は、ほぼリアルタイムで表示される、付記1に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記3〕
前記伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×ln(x)という形式であり、xは流量であり、a及びbは定数である、付記1に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記4〕
前記伝達関数T(x)は、T(x)=a+b×x
cという形式であり、xは流量であり、a、b、及びcは定数である、付記1に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記5〕
1つ以上の時点の間に取得された1つ以上の心臓血管関連値を表示する命令を更に含む、付記1に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記6〕
前記1つ以上の心臓血管関連値は、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記7〕
動脈内の1つ以上の位置に関する血管内プローブデータに対する応答として生成される1つ以上の軌跡又はシグネチャを表示する命令を更に含む、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記8〕
血管内プローブからの圧力及び流量データを使用して生成される流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、又は1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含むユーザインタフェースを表示する命令を更に含む、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記9〕
前記ガイドワイヤ式プローブ及び前記インタフェース装置から形成された前記測定回路からの第2の電気信号に対する応答として、線形関数又は他の関数を使用して1つ以上の温度値を求める命令を更に含む、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記10〕
以下の較正方法ステップ、即ち、圧力センサの温度と、前記圧力センサが中に配置されている血液の温度とがほぼ一致するように、前記圧力センサの励起電圧を選択するステップと、関心対象血管内の血液の絶対温度を求めるステップと、前記圧力センサを使用して前記血管内の流量値を測定するステップと、によって前記ガイドワイヤ式プローブを較正する命令を更に含む、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記11〕
関心対象血管内の血液の絶対温度を求める前記ステップは、インタフェースシステム内のスイッチ構成の変更の間に測定値を取得するステップを含む、付記10に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記12〕
ディスプレイシステムと、
前記ディスプレイシステムと電気連通していて、前記コンピューティング装置を含む圧力及び流量測定システムと、
前記ディスプレイシステム又は前記圧力及び流量測定システムのうちの一方に配置された前記コンピューティング装置と、
前記コンピューティング装置を使用して生成され、前記ディスプレイ上に描かれる1つ以上のパネルであって、圧力及び流量センサを備える血管内プローブを使用して取得された流量値及び圧力値を含む前記1つ以上のパネルと、
を更に備える、付記5に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記13〕
1つ以上のパネルが圧力対流量曲線を含み、前記圧力対流量曲線は、血管内圧力及び流量データを使用して生成された1つ以上の軌跡を含み、更に、前記血管内プローブからデータ信号を受信する入力を含み、前記血管内プローブは、流量値と相関している温度変化を測定する温度センサを備える、付記12に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記14〕
1つ以上のパネルが、シグネチャ、軌跡、スロープ、最大点、最小点、測定値の比、測定値と導出値の比、1次導出値と2次導出値の比、範囲、1つ以上の血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値を含む、付記12に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記15〕
血管内圧力又は流量センサを使用して冠血流予備能データを処理する命令を更に含み、前記命令は、
血管内データ収集プローブをサンプリングして、血管の遠位領域からの1つ以上の遠位圧力値(Pd)と、1つ以上の熱対流データ値と、を取得するステップと、
前記血管の近位領域から取得された1つ以上の大動脈圧値(Pa)を血管内データ処理システムにおいて受信するステップと、
前記1つ以上の遠位圧力値及び前記1つ以上の大動脈圧値から1つ以上の血流予備量比(FFR)値を求めるステップと、
前記1つ以上の熱対流データ値から1つ以上の冠血流予備能(CFR)値を求めるステップと、
1つ以上のFFR値と1つ以上のCFR値とをディスプレイ装置上に表示するステップであって、各CFR値は伝達関数を使用して求められる、前記ステップと、を含む、
付記12に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記16〕
前記伝達関数はT=a+c×lnQという形式であり、Tは熱対流装置の温度可変抵抗の測定された温度であり、Qは流量であり、a及びcは定数である、付記15に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記17〕
各CFR値は、形式b
【数10】
のT
hypとT
basとの間の関係を使用して求められ、前記形式は付記3の関数の逆関数を代数的に簡略化したものであり、bは一般化された基数であり、cは定数である、付記15に記載の血管内圧力及び流量監視システム。
〔付記18〕
血管内の圧力及び流量を監視する方法であって、
1つ以上のセンサを使用して、1つ以上の心拍にわたって、複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定するステップと、
前記複数の血管内血流量値のうちの1つ以上を使用して、1つ以上の心拍にわたる流量閾値を求めるステップと、
前記流量閾値の間で近位圧力値(Pa)及び遠位圧力値(Pd)を求めるステップと、
1つ以上の心拍にわたる、前記流量閾値における前記Pa値及び前記Pd値に基づいて第1の診断パラメータを計算するステップと、
1つ以上の心拍にわたる前記第1の診断パラメータ、又は前記第1の診断パラメータを使用して求められた第2の診断パラメータを、ユーザディスプレイ上に表示するステップと、
を含む方法。
〔付記19〕
前記第1の診断パラメータは、圧力差Pa-Pd又は圧力比Pd/Paである、付記18に記載の方法。
〔付記20〕
前記複数の血圧値は、狭窄に対して相対的に測定された1つ以上の近位圧力値と、1つ以上の大動脈圧値と、を含む、付記18に記載の方法。
〔付記21〕
前記第1の診断パラメータ及び前記第2の診断パラメータは、Pa、Pd、Pd/Pa、Pa-Pd、流速、圧力値、最大流量、最小流量、流量の相対極値、血流予備量比(FFR)値、冠血流予備能(CFR)値、冠血流速予備能(CFVR)値、瞬時血流予備能(IFR)値、及び1つ以上の心筋抵抗指数(IMR)値からなる群から選択される、付記18に記載の方法。
〔付記22〕
前記流量閾値は、心臓サイクルの間の最大流量、心臓サイクルの間の流量の相対極値、心臓サイクルの間の最大流量のほんの何分の1かの値、充血時最大流量値、及び非充血時流量値からなる群から選択される、付記18に記載の方法。
〔付記23〕
複数の血管内血流量値及び複数の血圧値を測定する前記ステップは更に、
前記血管内に配置された第1の抵抗及び第2の抵抗に関連付けられた第1の電気信号を測定するステップと、
前記血管内に配置された前記第2の抵抗に関連付けられた第2の電気信号を測定するステップと、
前記第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、前記複数の血管内血圧値のうちの1つ以上の血圧値を求めるステップと、
前記第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、前記血管の1つ以上の血液温度値を求めるステップと、
前記第1及び第2の電気信号のうちの1つ以上を使用して、前記血管の前記複数の血管内血流量値を求めるステップと、
を含む、付記18に記載の方法。
〔付記24〕
第1の診断パラメータを計算する前記ステップは、心臓サイクルごとに求められた流量閾値に従って、複数の心臓サイクルにわたる圧力比又は圧力差の平均値を計算するステップを含む、付記18に記載の方法。
〔付記25〕
前記第1の診断パラメータは、複数の心臓サイクルにわたる圧力比の平均値、又は複数の心臓サイクルにわたる圧力差の平均値である、付記18に記載の方法。
〔付記26〕
前記血管と熱連通している血管内熱対流装置の温度変化と相関している電気信号を受信するステップであって、前記温度変化は、1つ以上の心臓サイクルにわたる流量の変化と相関しており、前記血管内血流量データは前記電気信号を含む、前記ステップと、
温度変化と相関している前記電気信号からピーク血流量値を求めるステップと、
を更に含む、付記25に記載の方法。
〔付記27〕
血管内熱対流装置によって測定される遠位圧力信号に対してベースライン値を設定するステップと、
血管内熱対流装置を送達カテーテルの開口部に配置するステップと、
血管系内を前進させる前に、血管内熱対流装置によって測定される温度信号のベースライン値を設定するステップと、
血管内熱対流装置を、前記カテーテル開口部より遠位にある位置まで前進させるステップと、
血管内熱対流装置圧力(Pd)信号を前記大動脈圧(Pa)信号に対して等化させるステップと、
血管内熱対流装置が関心対象の測定位置にある場合に、前記血管内熱対流装置の温度信号を較正するステップと、
血管内熱対流装置をサンプリングして、Pd値及び熱対流装置値を取得するステップと、
を含む、血管内データ収集システムを較正するステップを更に含む、付記25に記載の方法。