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特開2022-67669混成楽曲作成方法、混成楽曲作成プログラム、及び混成楽曲作成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067669
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】混成楽曲作成方法、混成楽曲作成プログラム、及び混成楽曲作成システム
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20220426BHJP
   A63F 13/814 20140101ALI20220426BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20220426BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20220426BHJP
【FI】
G10G1/00
A63F13/814
A63F13/54
A63F13/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176371
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】712005584
【氏名又は名称】株式会社Donuts
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【弁護士】
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】本多達也
(72)【発明者】
【氏名】村上和希
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182AD05
(57)【要約】
【課題】複数楽曲を接続して楽しむゲームにおいて、従来技術のもとでは、ユーザが楽曲間の接続部分に感じる違和感を緩和できているとは言い難かった。
【課題を解決するための手段】楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する楽曲データ取得ステップと、取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得するテンポ情報取得ステップと、三以上の複数の楽曲の選択を受け付けるための楽曲選択受付ステップと、当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出するテンポ情報抽出ステップと、楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する曲順決定ステップと、決定された曲順に従い混成楽曲を作成する混成楽曲作成ステップと、をコンピュータを用いて実現する混成楽曲作成方法などを提案する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する楽曲データ取得ステップと、
取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得するテンポ情報取得ステップと、
三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける楽曲選択受付ステップと、
当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出するテンポ情報抽出ステップと、
楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する曲順決定ステップと、
決定された曲順に従い混成楽曲を作成する混成楽曲作成ステップと、
をコンピュータを用いて実現する混成楽曲作成方法。
【請求項2】
楽曲ごとに楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数備える接続情報取得ステップをさらに有し、
混成楽曲作成ステップは、楽曲ごとの接続情報と決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成する接続情報利用サブステップをさらに有する請求項1に記載の混成楽曲作成方法。
【請求項3】
楽曲ごとに楽曲中のキーに関する情報であるキー情報を備えるキー情報取得ステップをさらに有し、
曲順決定ステップは、キー情報をも用いて曲順を決定するキー情報利用サブステップをさらに有する請求項1又は2に記載の混成楽曲作成方法。
【請求項4】
曲順決定ステップは、楽曲IDをも用いて曲順を決定するID利用サブステップをさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の混成楽曲作成方法。
【請求項5】
ID利用サブステップにおいては、同一の楽曲データが連続しないよう曲順を決定することを特徴とする請求項4に記載の混成楽曲作成方法。
【請求項6】
楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する楽曲データ取得ステップと、
取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得するテンポ情報取得ステップと、
三以上の複数の楽曲の選択を受け付けるための楽曲選択受付ステップと、
当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出するテンポ情報抽出ステップと、
楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する曲順決定ステップと、
決定された曲順に従い混成楽曲を作成する混成楽曲作成ステップと、
をコンピュータに実行させる混成楽曲作成プログラム。
【請求項7】
楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて保持する楽曲データ保持部と、
保持される楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を備えるテンポ情報保持部と、
三以上の複数の楽曲の選択を受け付けるための楽曲選択受付部と、
当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出するテンポ情報抽出部と、
楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する曲順決定部と、
決定された曲順に従い混成楽曲を作成する混成楽曲作成部と、
を有する混成楽曲作成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽ゲームで利用するメドレーなどの混成楽曲を作成するためのシステムや、同システムを機能させるためのプログラムや方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
アーケードゲームをはじめ、種々の態様で提供されるゲームのうち、楽曲のリズムや歌詞にあわせてユーザが所定の操作を行い、その操作結果をスコアリングして楽しむゲームが知られている。具体的には、楽曲のうち所定のタイミングで特定の操作を行うことでスコアが付与される仕組みとなっており、ユーザはタイミングよく当該操作を行えるか否かに応じて付与されるスコアの高低を競うようなあそび方が提案されている。
【0003】
そしてこれらのゲームに関連して、従来から、複数の楽曲を組み合わせて再生しゲームの用に供する際の工夫に関する技術が知られている。具体的には、特許文献1には、楽曲を組み合わせて再生する際にユーザが当該接続部分の前後で感じる違和感を緩和するための方法として、接続部分に演出音を再生するような構成に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6598266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている先行技術は、複数楽曲の接続部分に演出音を上乗せするものであって、楽曲とは無関係の音を付加するという観点で言えば、ユーザの違和感を緩和するための手段として好適とは言い難かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する楽曲データ取得ステップと、取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得するテンポ情報取得ステップと、三以上の複数の楽曲の選択を受け付けるための楽曲選択受付ステップと、当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出するテンポ情報抽出ステップと、楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する曲順決定ステップと、決定された曲順に従い混成楽曲を作成する混成楽曲作成ステップと、をコンピュータを用いて実現する混成楽曲作成方法などを提案する。
【0007】
また、当該方法の発明に関連して、楽曲ごとに楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数備える接続情報取得ステップをさらに有し、混成楽曲作成ステップは、楽曲ごとの接続情報と決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成する接続情報利用サブステップをさらに有する混成楽曲作成方法なども提案する。
【0008】
さらに、上記各発明に関連して、楽曲ごとに楽曲中のキーに関する情報であるキー情報を備えるキー情報取得ステップをさらに有し、曲順決定ステップは、キー情報をも用いて曲順を決定するキー情報利用サブステップをさらに有する混成楽曲作成方法なども提案する。
【0009】
加えて、上記各方法の発明に関連して、曲順決定ステップが、楽曲IDをも用いて曲順を決定するID利用サブステップをさらに有する混成楽曲作成方法なども提案する。
【0010】
さらに加えて、上記各発明に関連して、ID利用サブステップにおいては、同一の楽曲データが連続しないよう曲順を決定することを特徴とする混成楽曲作成方法なども提案する。
【0011】
また、当該方法の発明に関連したプログラムの発明や、システムの発明なども提案する。
【発明の効果】
【0012】
主に以上のような構成をとる本発明によって、ゲームユーザに与える違和感を緩和することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の混成楽曲作成システムを用いたユーザ端末の表示画面の一例を示す図
図2】実施形態1の混成楽曲作成システムの機能ブロックの一例を示す図
図3】実施形態1の混成楽曲作成システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
図4】実施形態1の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図
図5】実施形態2の混成楽曲作成システムの機能ブロックの一例を示す図
図6】実施形態2の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図
図7】実施形態3の混成楽曲作成システムの機能ブロックの一例を示す図
図8】キー情報を利用する際の利用態様の一例を示す図
図9】実施形態3の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず図1を示す。図1は本発明の概要を示す図であって、本発明の混成楽曲作成システムを用いたユーザ端末の表示画面の一例が示されている。本図に示されているように、ユーザが3以上の複数の楽曲を選択すると、当該楽曲に紐づいて保持されるテンポ情報を使って曲順を決定し、混成楽曲を作成したうえでゲームを楽しむことができる。なお同図の例では3つの楽曲を選択(うち「●●●●●」という楽曲は重複して選択)したところ、それぞれ1番目に「●●●●●」、2番目に「◇◇◇◇◇」、3番目に「◎◎◎◎◎」そして4番目に再び「●●●●●」という楽曲からなる混成楽曲を作成した様子が示されている。
【0015】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、4、5、6、7などに対応する。実施形態2は主に請求項2などに対応する。実施形態3は主に請求項3などに対応する。
【0016】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0017】
<<実施形態1>>
<概要>
図2は、本実施形態の混成楽曲作成システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「混成楽曲作成システム」0200は、「楽曲データ保持部」0201と、「テンポ情報保持部」0202と、「楽曲選択受付部」0203と、「テンポ情報抽出部」0204と、「曲順決定部」0205と、「混成楽曲作成部」0206と、を有する。
【0018】
なお、以下で詳しく説明する混成楽曲作成システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマイク、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペンなどの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0019】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0020】
<機能的構成>
「楽曲データ保持部」0201は、楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて保持するように構成されている。楽曲データ保持の具体的な態様は様々であってよく、あらかじめ格納保持される態様のほか、ネットワークを介して外部サーバと楽曲データの送受信を行うことで楽曲データを利用可能な状態を維持することもまた、ここでいう保持に該当する(本明細書で規定するその他の種々の情報の保持の態様についても基本的には同様である)。
【0021】
楽曲データは、例えばゲームに用いられるために保持され、後述のとおり他の楽曲データとともに混成楽曲を構成するために用いられるが、それ以外に一の楽曲データを単独でゲームに用いる場合があってもよい。すなわち、保持される楽曲データは、混成楽曲作成以外にも用いられてよい。
【0022】
楽曲データの内容について、歌詞の有無、演奏時間の長短、ジャンル、その他楽曲データの属性に関する制限を設ける必要はなく、どのような楽曲データを保持するかは適宜決定されてよい。なお、各楽曲データを、相互に識別するための楽曲IDと紐づける際の楽曲IDの付与態様について、上記のような楽曲データの属性に応じた楽曲IDの付与が行われることが考えられるが、そのような楽曲IDの付与の構成についても、やはり設計事項である。
【0023】
楽曲IDは、当該楽曲を識別するために付与される。そのため、一の楽曲にどのような楽曲IDを付与するかは適宜設定されてよい。取得した日時や取得先である外部記憶媒体の属性に応じて付与されてもよいし、上述したような取得する楽曲の属性に応じて付与されてもよい。この場合、楽曲の属性は取得先の外部記憶媒体にてあらかじめ付与されている場合が考えられ、そのような場合には、当該楽曲の属性と当該属性に応じた楽曲ID付与のルールである楽曲ID付与ルールをあらかじめ保持しておき、当該ルールに従って楽曲IDを付与することが考えられる。当該構成を採用することにより、多様な楽曲取得手段を通じて楽曲を取得・保持しつつ、効率的なID付与を行うことが可能になる。
【0024】
なお、楽曲IDを付与するにあたり、一の楽曲につき一の楽曲IDを付与することが必須の構成ではない。例えば、一の楽曲につき複数の楽曲IDを付与することも可能であるし、一の楽曲IDを付与しつつ、当該楽曲IDにさらに紐づけるかたちで従たる楽曲IDを付与することも可能である。この場合には、一の楽曲の演奏時間のうち、一又は複数の演奏時間位置を指定し、当該時間位置の前後で異なる楽曲IDを付与するようなことが考えられる。このような構成を可能にすることにより、一の楽曲のうち例えばAメロ、サビ、Bメロなど所定部分に限定したID付与が可能になり、歌詞がある部分の途中で急に次の楽曲に移行するといった違和感を与えることがなくなるため、後述する混成楽曲作成の際の処理を効率的に行うことが可能になる。
【0025】
ここで複数の楽曲IDを付与する場合の別の具体例として、混成楽曲を構成する際の繋ぎ位置に該当する部分を特定する楽曲IDを付与する場合について説明する。繋ぎ位置に該当する部分とは、後述する混成楽曲作成部にて混成楽曲を作成する際に、楽曲どうしをつなぎ合わせる際の接続部分を特定するための演奏時間位置を意味する。繋ぎ位置は、当該楽曲の曲順が1番目か、2番目以降か、最後かによっても変わりうるし、その他楽曲の属性によっても変わりうる。このように一の楽曲には複数の繋ぎ位置を設定し得るため、そのそれぞれの演奏時間位置を特定識別するための楽曲IDを複数設け、楽曲と紐づけて保持することが考えられる。当該構成を採用することにより、多様な組み合わせに対応した混成楽曲を作成することが可能になる。
【0026】
なお、繋ぎ位置の時間長について、適宜設定は可能であるが、一例としては、曲順が1曲目となる楽曲については40秒前後を確保し、2曲目以降となる楽曲については曲の前後各30秒前後を確保するとともに、曲順が最後になる楽曲については40秒前後を確保することが考えられる。曲順が最初と最後となる楽曲の繋ぎ位置の時間長を相対的に長く設ける構成をとることにより、混成楽曲としての起承転結感、ひいてはユーザに対する満足感の高い混成楽曲を作成し提供することができる。
【0027】
「テンポ情報保持部」0202は、保持される楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を備えるように構成されている。楽曲中のテンポに関する情報としては、例えば、楽曲における単位時間あたりの拍数をテンポ情報として用いることが考えられ、より具体的には、1分間あたりの拍数(Beats Per Minute、BPM)をテンポ情報として取得し保持することが考えられる。例えば、バラード調の楽曲であればBPMが低いとのテンポ情報が保持されることになり、当該テンポ情報をもって、かかる楽曲はテンポが遅めの曲であることが識別できる。また、アップテンポなダンスナンバーであればBPMは高いとのテンポ情報が保持されることになり、当該テンポ情報をもって、かかる楽曲はテンポが速めの曲であることが識別できる、といった具合である。
【0028】
テンポ情報は、楽曲データ保持部にて保持される楽曲のテンポを計測することで取得する方法が考えられる。具体的には、楽曲の所定範囲を任意に選択し、当該選択範囲のBPMを計測し、当該計測結果を当該楽曲のテンポ情報として取得する。ただし、テンポ情報保持部にて楽曲のテンポを計測する構成以外にも、あらかじめ当該楽曲のBPMに関する情報が格納されている外部記憶媒体とネットワークを介した送受信等の手段を通じて、外部からBPMの情報をテンポ情報として取得し保持する構成があってももちろんよい。
【0029】
なお。テンポ情報は、一の楽曲について一種類のみが紐づけられるとは限らない。例えば曲途中でテンポが変化するような内容の楽曲である場合には、当該テンポが変化する時点や変化後のテンポ(BPM)などを複数取得し、それぞれをテンポ情報として一の楽曲に紐づけて保持するような構成があってもよい。当該構成を採用することにより、複雑な構成からなる楽曲についても、その構成を踏まえたテンポ情報を用いることで違和感のない混成楽曲に採用することが可能になる。
【0030】
「楽曲選択受付部」0203は、三以上の複数の楽曲の選択を受け付けるように構成されている。楽曲の選択は、ユーザによる任意の楽曲の選択を受け付ける場合もあれば、ランダムな選択処理を通じて選択する場合も含む。さらには、ユーザが一又は二の楽曲のみを選択し、残りの楽曲の選択はランダムな選択処理により選択するような構成や、ユーザによる条件設定を受け付け、当該受け付けた条件に基づいたランダムな選択処理を通じて選択する構成を採用してもよい。
【0031】
ここでいうユーザによる条件設定とは、例えば、楽曲の属性に関する条件設定(ダンス、ロック、アニソンなど)やアーティストを特定する条件設定、特定のタイアップが付いている楽曲の条件設定、発表年代に関する条件設定などが考えられ、これらを一又は複数組み合わせた条件設定を行うことが可能である。このような構成を採用することにより、ユーザの満足度を高める混成楽曲を作成するための楽曲を選択することが容易になる。
【0032】
なお、楽曲選択受付部では三以上の複数の楽曲の選択を受け付けることが構成要素であり、一又は二のみの楽曲の選択を受け付けることはその構成から外れる。一の楽曲を選択するだけでは後述する混成楽曲の作成が不可能であり、二の楽曲を選択する場合では、後述するテンポ情報を用いた曲順決定が好適な効果を持たないためである。ただし、三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける構成からなる楽曲選択受付部とともに、一の楽曲の選択を受け付けたり、二の楽曲の選択を受け付けて混成楽曲を受け付けたりする構成を併存させることまで排除するものではなく、ユーザがこれらの機能を選択的に用いることはもちろん可能である。当該構成を採用することにより、ユーザに対してときどきの気分に応じて様々な機能を楽しむことができるような環境を提供することが可能になる。
【0033】
「テンポ情報抽出部」0204は、楽曲選択受付部にて選択された複数の楽曲のテンポ情報を抽出するように構成される。選択された楽曲のテンポ情報はすべて抽出することが好ましく、上述したように一の楽曲に複数のテンポ情報が関連付けて保持されている場合には、それらすべてのテンポ情報を抽出する。
【0034】
「曲順決定部」0205は、楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定するように構成される。「楽曲ごとのテンポ情報を用いて」とは、複数の楽曲と紐づけられた複数のテンポ情報の内容により、ユーザに与える違和感を緩和できうるような曲順を決定することを意味している。
【0035】
テンポ情報を用いる場合の一例について、BPMをテンポ情報として用いる場合を例に説明する。通常、BPMが近似する楽曲であれば、それらの楽曲を混成しても違和感は緩和される場合が多い。そのためまず、抽出したテンポ情報のうち、BPMが近似するか否かを識別する処理を行うことが考えられる。
【0036】
近似するか否かの判断は任意に設定されてもよい。楽曲ごとのBPMの差分が概ねプラス8%ないしマイナス4%の範囲内に含まれるような場合には、相互に近似していると判断して構わない。さらに言えば、BPMの差分が概ねプラス4%ないしマイナス2%の範囲内に含まれるような場合には、相互に混成した場合でもユーザに与える違和感が緩和できる楽曲と判断してもよい。その程度の微差であれば、少なくともテンポの観点からユーザに与える違和感は相当程度緩和できるからである。当該判断結果を踏まえてどのような曲順とするかについては、より近似していると判断された楽曲順とする場合が考えられるが、その他適宜設定可能である。
【0037】
なおここで、選択された楽曲のうち、テンポ情報が上記範囲内に含まれていない楽曲が存在する場合には、当該楽曲は混成楽曲を構成する楽曲には含めないと判断する場合があってもよく、その場合、ユーザに対し、改めて楽曲選択を促すような処理を行ったり、楽曲の追加を促すような処理を行ったりすることも考えらえる。ただそのような処理とは別に、楽曲のテンポを変更する楽曲テンポ変更手段を備えておき、当該機能を用いて当該楽曲のBPMを上記範囲内に変更することで、混成楽曲を構成する楽曲の一部に含めるような構成も考えられる。当該構成を採用すれば、あらゆる楽曲を用いてユーザに与える違和感を緩和した混成楽曲を作成することが可能になる。
【0038】
例えば、選択された3つの楽曲(便宜上A,B,Cとする。)のBPMがそれぞれA:128、B:140、C:130だったとする。この場合、AとBのBPMの差分(12)はそれぞれA、Bの順番ではプラス9.4%で、B、Aの順番ではマイナス8.6%である。AとCのBPMの差分(2)はそれぞれA、Cの順番ではプラス1.6%で、C、Aの順番ではマイナス1.5%である。そしてBとCのBPMの差分(10)はそれぞれB、Cの順番ではマイナス7.1%で、C、Bの順番ではプラス7.7%である。これらのBPMの差分に関する計算結果を踏まえると、相互にBPMが近接している順番として、C→Aをまず決定し、残ったBの曲順については、B、Cの順番とA、Bの順番のうちよりBPMの差分が少ないB,Cの順番を決定する。その結果全体としてB→C→Aという曲順を決定する。
【0039】
ここまでは、複数の楽曲が一のBPMを有する場合の曲順決定の方法の一例について説明した。次に、楽曲が複数のBPMをもつ、すなわち楽曲の途中でテンポが変わる場合の曲順決定の方法の一例について説明する。当該楽曲は、異なるBPMをもつ楽曲の間に配置されて混成楽曲を構成することにより、ユーザに対し、異なるBPMの楽曲を混成させたとの印象を与えにくくする効果が期待できる。具体的な例を出すと、選択された3つの楽曲(便宜上D,E,Fとする。)のBPMがそれぞれD:120、E:125から140に変化する楽曲、F:144だったとする。この場合、上述のような差分をとろうとした場合、DとFとの間には大きな差分があることから、かかる楽曲どおしを連続する曲順で混成楽曲を構成するとユーザに大きな違和感を与える。しかしそのようなDとFとの順番の間にEを配置することにより、DとE冒頭部分のBPM、E後半部分とFのBPMの差分はそれぞれ上記範囲内に収まっているため、当該順番を構成楽曲を構成すべき曲順として決定することが考えられる。このような構成を採用することで、曲の合間にテンポが変化する楽曲の特徴を生かした好適な混成楽曲を作成することが可能になる。
【0040】
なお、曲順決定部においては、楽曲IDをも用いて曲順を決定するようなID利用手段を用いる構成を採用することも考えられる。ここで用いる楽曲IDについては、上述した楽曲の属性に応じて付与されていることが考えられる。すなわち、楽曲のジャンル(ダンス、アニソン、ポップス、バラードなど)や歌詞の有無、演奏時間の長短、発表年月日、その他楽曲に関する属性ごとに付与される楽曲IDを用いることが考えられる。具体的には、複数の楽曲のうち、発表年月日が時系列順に並ぶように曲順を決定したり、歌詞がある楽曲通しが連続した曲順にならないようにしたりすることが考えられる。
【0041】
ちなみに、ID利用手段においては、同一の楽曲データが連続しないよう曲順を決定することを特徴とすることも考えられる。複数の楽曲が選択される際に同一の楽曲データが複数回選択される場合がありえて、その場合はBPMその他の属性が全く同じ楽曲であることから同一の楽曲の曲順が並ぶように構成されるのが通常である。ここで同一の楽曲が選択されること自体は本発明において特段排除される理由はない。しかし、曲順を決定するにあたり、同一の楽曲が連続するような曲順になると間延びした印象をユーザに与えることとなる。そのため楽曲IDを全く同じくする楽曲が複数選択されたた場合には、当該楽曲については、連続した曲順とはならないように曲順を決定することが望ましい。
【0042】
そのいっぽうで、同一の歌手・作曲家・グループによる異なる楽曲が選択されているような場合には、それらの楽曲の曲順が連続するように曲順を決定しても構わず、メドレーという形式からすると、むしろ同一の歌手・作曲家・グループという属性を有する楽曲IDの楽曲については、優先的に連続する曲順とするような構成をとってももちろんよい。
【0043】
なお、曲順決定部においては、選択された楽曲が過去にどのような楽曲と組み合わされて混成楽曲を構成したかに関する履歴情報である楽曲混成履歴情報を用いて曲順を決定することも考えられる。楽曲混成履歴情報は、混成楽曲が作成される際に生成され、サーバにて記録されていることが考えられるほか、当該混成楽曲が再生された回数や当該混成楽曲を用いてプレイされたゲームのスコア履歴等のゲーム履歴情報と紐づけて保持することも考えられる。ゲームがネットワークを介して多くのユーザに利用される場合には、ユーザ感でハイスコアを競い合うことが考えられ、特定の混成楽曲を使ってゲームを実行した際のハイスコアや当該ハイスコアを出したユーザのユーザIDなどゲーム履歴に関する情報がわかると、そのような情報を踏まえユーザにとり人気のある楽曲や混成楽曲の傾向を把握することが容易になるため、そのようなユーザの嗜好に関する情報もまた利用可能な構成をとることにより、ユーザにとって好適な技術を提供することが可能になる。
【0044】
「混成楽曲作成部」0206は、決定された曲順に従い混成楽曲を作成するように構成される。具体的には、選択された楽曲を決定された曲順につなぎ合わせる編集処理を行い混成楽曲を作成する。ここではつなぎ合わせる前の楽曲と後の楽曲の一部を加工処理したうえで混成楽曲を作成することが考えられるが、どのような加工処理・編集処理を行うかは適宜設定される。
【0045】
ここで上記編集処理の一例について説明する。抽出された楽曲に関連付けられた楽曲IDに含まれる楽曲の属性を表す情報を用いて混成楽曲を作成することが考えられ、具体的には、楽曲の繋ぎ位置を特定するための情報を用いる。すなわち、楽曲の属性として、「1曲目に選択された場合には開始1分10秒後の演奏位置からを38秒間繋ぎ時間とする」旨の情報が楽曲IDとして紐づけられている場合には、当該演奏位置から38秒かけて2番目に選択された楽曲へと演奏を移行させるための混成処理を行う。
【0046】
なお、混成処理についても、様々な態様が考えられる。まずは、前の順番である楽曲の低音の出力を低減させつつ次の楽曲に移行するような処理を施すことが考えられる。当該構成を採用することで、前の楽曲の低音が残響しないような処理を施されつつ次の楽曲に移行することが可能になるため、ユーザに対し耳障りのよい混成楽曲としての印象を与えるないしは楽曲の移行時の違和感を緩和することが可能になる。
【0047】
次に、BPMの差分に応じた処理を施すことが考えられる。例えば、BPMが所定範囲内(例えばプラスマイナス4%の範囲内)にあり極めて近いと判断される楽曲が連続する場合には、繋ぎ位置の楽曲部分の拍数を変えないか又は拍数を大きくする処理をしつなぐことが考えられる。この場合、フェイドイン/フェイドアウト処理を施しても構わない。もともとBPMの差分が小さい楽曲どおしをつなぐ場合は、敢えて拍数を調整せずにつないでもユーザに与える違和感が少なく、また、一挙に次の楽曲に移行させても同様に大きな違和感を与えづらいことから、拍数を大きくする処理をすることも許容されうる。
【0048】
いっぽう、BPMの差分は小さくても、接続される前後の楽曲のキーが大きく異なる場合には、異なる処理をすることも考えられる。この場合もフェイドイン/フェイドアウト処理を施すことも考えられる。詳細は実施形態3での説明に譲るが、キーが大きく異なる楽曲を一挙に混成させると、テンポの違いとは別の観点からユーザに違和感を与える場合も多い。そのため、拍数を小さく変化させる処理を施し漸次楽曲が移行するような印象を与える処理を施すことが考えられる。当該構成を採用すれば、仮にキーが異なる楽曲を混成する場合であっても、ユーザに与える違和感を緩和することが可能になる。
【0049】
また、BPMの差分が所定範囲を超える(例えば、プラス6%以上又はマイナス6%以下の範囲)、すなわちテンポが大きく異なる楽曲を繋ぎあわせる場合の処理の一例について説明する。このような場合にもフェイドイン/フェイドアウト処理を施すことが考えられるが、ユーザに与える違和感を緩和するためには、繋ぎ時間を長時間必要とするため、これに代わる処理を施すことが好ましい。例えば、敢えてBPMの調整その他の処理を行わず、前の曲の終わりと次の曲の曲頭部分とが一致するようなカットイン処理を施すことが考えられる。曲調が変化したことを敢えて強調するような編集加工処理を施すことにより、起承転結における「転」の効果を強調することができ、ユーザに対し、違和感とは異なる転換との印象を強く与えることが可能になる。
【0050】
なお、カットイン処理を施す場合であっても、ユーザへ与えうる違和感緩和のための処理を別途施すことは排除されない。例えば、前の曲の繋ぎ位置部分にエコーをかける処理を施し、次の曲が開始されてもしばらくは前の曲の残響を維持させることが考えられる。BPMの差分が相当程度大きい場合(例えば、プラス20%以上又はマイナス12%以下の範囲)にはカットイン処理を施した場合の違和感が相対的に大きくなり、転換との印象を上回ることが懸念されるため、エコー処理を施すことにより、上記転換との印象をより強くユーザに与えることが可能である。
【0051】
以上のような構成のもとで混成楽曲が作成されると、ユーザは当該混成楽曲を用いてゲームを実行する。ただし、作成された混成楽曲がユーザの好みに合わないような場合には、ユーザからの混成楽曲の再作成要求を受け付けることも可能である。そして再作成要求を受け付けた場合には、楽曲選択受付部にて新たな曲選択を受け付ける構成を採用したり、選択された楽曲はそのままに、曲順決定部にて新たな曲順を決定する構成を採用したりすることが考えられる。曲順決定部にて新たな曲順を決定する場合には、ユーザからの任意の曲順の選択を受け付ける構成を採用してもよいし、当初決定した曲順を判断した場合とは異なる判断基準を用いて別途の判断処理を行う構成を採用しても構わない。そしてそれらの新たな楽曲又は曲順が選択された場合には、混成楽曲作成部にて、当該新たな楽曲又は曲順に応じた編集加工処理が行われる。
【0052】
<具体的な構成>
ここで図3を示す。同図は本実施形態の混成楽曲作成システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0301と、「記憶装置(記憶媒体)」0302と、「メインメモリ」0303と、「入力インターフェース」0304、「出力インターフェース」0305、「ネットワークインターフェース」0306と、を備え、入出力インターフェースを介して、例えば「タッチパネル」0307、「ディスプレイ」0308などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。また、ネットワークインターフェースを介して「ユーザ端末」0309などの外部装置と情報の送受信を行う場合があってもよい。このネットワークインターフェースの具体的な態様は有線、無線を問わず、また、通信方法も直接、間接を問わない。よって特定の外部装置ないし同装置の利用者と紐づけられた第三者の管理するサーバとの間で情報の送受信を行ういわゆるクラウドコンピューティングの形式を採用することも可能である。
【0053】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0399などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。
【0054】
(楽曲データ保持部の具体的な構成)
楽曲データ保持部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「楽曲データ取得プログラム」0310をメインメモリに読み出して実行し、外部端末又は記憶媒体から楽曲データを取得し、当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけてメインメモリの所定のアドレスに格納する。楽曲IDの付与態様はランダムに行われるほか、所定のルールに従って行われる場合もあり、特に限定されない。楽曲データは、内部あるいは外部の端末から書込まれあるいは作成され、変更されうる。
【0055】
(テンポ情報保持部の具体的な構成)
テンポ情報保持部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「テンポ情報取得プログラム」0320をメインメモリに読み出して実行し、楽曲データ取得プログラムの実行により取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得し、楽曲とテンポ情報とを紐づけてメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0056】
(楽曲選択受付部の具体的な構成)
楽曲選択受付部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「楽曲選択受付プログラム」0330をメインメモリに読み出して実行し、ユーザの選択処理に応じ、三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける。
【0057】
(テンポ情報抽出部の具体的な構成)
テンポ情報抽出部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「テンポ情報抽出プログラム」0340をメインメモリに読み出して実行し、楽曲選択受付プログラムの実行により選択を受け付けた複数の楽曲に含まれるテンポ情報をメインメモリの所定のアドレスから読み出して抽出する。
【0058】
(曲順決定部の具体的な構成)
曲順決定部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「曲順決定プログラム」0350をメインメモリに読み出して実行し、テンポ情報抽出プログラムの実行により抽出された複数の楽曲のテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する処理を行う。
【0059】
(混成楽曲作成部の具体的な構成)
混成楽曲作成部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「混成楽曲作成プログラム」0360をメインメモリに読み出して実行し、曲順決定プログラムの実行により決定された曲順に従い楽曲を混成することで混成楽曲を作成し、当該混成楽曲のデータをメインメモリの所定のアドレスに格納する。。
【0060】
<処理の流れ>
図4は、本実施形態の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0401では、楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する(楽曲データ取得ステップ)。またステップS0402では、取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得する(テンポ情報取得ステップ)。ステップS0401とステップS0402は、ステップS0403以降の処理とは独立したタイミングで処理されうるし、楽曲データ及びステップ情報の加除変更というかたちで独立して処理されうる。
【0061】
次にステップS0403では、三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける(楽曲選択受付ステップ)と、ステップS0404で当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出し(テンポ情報抽出ステップ)、ステップS0405で楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する(曲順決定ステップ)。そしてステップS0406で決定された曲順に従い混成楽曲を作成し(混成楽曲作成ステップ)、いったん処理を終了する。
【0062】
そしてステップS0407では再度の混成楽曲作成の必要性について判断し、ユーザからの要求その他の処理により再度の作成が必要と判断した場合には、ステップS0403の楽曲選択受付ステップ又はステップS0405の曲順決定ステップの処理をやり直す。再度の作成は不要と判断した場合には、混成楽曲の作成処理は終了し、その後のゲーム実行処理へと移行する。
【0063】
<効果>
以上の構成を採用する混成楽曲作成システムを利用することにより、混成楽曲作成時にゲームユーザに与える違和感を緩和することが可能になる。
【0064】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態の混成楽曲作成システムは、基本的には実施形態1に記載の混成楽曲作成システムの技術的特徴と同様であるが、楽曲ごとに楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数備え、曲ごとの接続情報と決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成する点を更なる特徴として備えている。
【0065】
<機能的構成>
図5は、本実施形態の混成楽曲作成システムを一のコンピュータ(装置)で実現した場合の機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「混成楽曲作成システム」0500は、「楽曲データ保持部」0501と、「テンポ情報保持部」0502と、「楽曲選択受付部」0503と、「テンポ情報抽出部」0504と、「曲順決定部」0505と、「混成楽曲作成部」0506と、「接続情報保持部」0507を有し、混成楽曲作成部は「接続情報利用手段」0516と、を有する。基本的な構成は、実施形態1の図2を用いて説明した混成楽曲作成システムと共通するため、以下では相違点である「接続情報保持部」0507と、「接続情報利用手段」0516の機能について説明する。
【0066】
「接続情報保持部」0507は、取得した楽曲ごとに楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数保持するように構成されている。楽曲IDの内容として、楽曲の属性に関する情報が含まれる旨は実施形態1で説明したが、本実施形態では、楽曲IDの内容としてではなく、別途の情報として接続情報を取得し保持する。すなわち接続情報とは、楽曲中の繋ぎ位置の候補となる演奏時間位置や、繋ぎ位置を構成する演奏時間位置の時間長といった情報を意味する。
【0067】
各楽曲のうち、歌詞があるものについては、サビ部分が終了する前後のタイミングを繋ぎ位置の候補とすることを接続時間の内容として含むことが好ましい。ユーザにとっては楽曲のサビ部分の認知度が高いからである。また、楽曲の演奏時間が長い場合には、所定時間内に少なくとも一の繋ぎ位置を設けるように接続情報を構成することも好ましい。混成楽曲を作成する際に、どれか一の楽曲の演奏時間長が相対的に長くなると、混成楽曲自体が間延びし、ユーザの満足度が下がってしまうからである。
【0068】
接続情報はあらかじめ所定の内容にて構成されたものが、楽曲と紐づいて外部サーバ等で保持され、当該情報をネットワークを介して取得し保持するような構成が考えられる。規定の内容にて構成される接続情報を用いることで、多くのユーザが同じ内容の接続情報を用いた混成楽曲を利用してゲームを実行しそのスコアを競うことが可能になるため、当該構成を採用すれば、ユーザ間でのスコアの優劣をつけやすく、ゲームを楽しむ要因の一つとなる。
【0069】
いっぽう、いったん取得した接続情報を修正変更して保持することも考えられる。この場合には、ユーザが自分の好みのタイミングで楽曲どおしを接続させ、混成楽曲を作成することができるため、ユーザが自分自身で満足する混成楽曲のもとでゲームを実行するため、ユーザ自身の満足度を維持できるような環境を提供することも可能である。
【0070】
「接続情報利用手段」0516は、混成楽曲作成部にて、曲ごとの接続情報と決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成するように構成されている。接続情報を用いた混成楽曲の作成の具体的な態様は、実施形態1の混成楽曲作成部における、楽曲IDを用いた楽曲の編集・加工処理の一例と基本的には同様である。但し、接続情報を用いる場合は、当該接続情報がユーザ自身によって変更可能な構成であることから、当該ユーザと紐づけて保持されている接続情報を用いるという処理が実施形態1とは異なる部分である。
【0071】
<具体的な構成>
本実施形態の混成楽曲作成システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、図3を用いて説明した実施形態1の混成楽曲作成システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「接続情報保持部」と「接続情報利用手段」の具体的な処理について説明する。
【0072】
(接続情報保持部の具体的な構成)
接続情報保持部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「接続情報取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、楽曲データ取得プログラムの実行により取得した楽曲ごとに当該楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数取得し、当該楽曲と紐づけてメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0073】
(接続情報利用手段の具体的な構成)
接続情報利用手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、混成楽曲作成プログラムの実行に際してCPUが記憶装置から「接続情報利用サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、接続情報取得プログラムの実行により得られた楽曲ごとの接続情報と曲順決定プログラムの実行により決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成し、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0074】
<処理の流れ>
図6は、本実施形態の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0601では、楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する(楽曲データ取得ステップ)。またステップS0602では、取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得し(テンポ情報取得ステップ)、ステップS0603では、楽曲ごとに楽曲中の接続候補となる所定タイミングに関する情報である接続情報を複数取得する(接続情報取得ステップ)。なお、ステップS0602とステップS0603の処理は、相互に順番が逆に構成されても構わない。
【0075】
ここでステップS0601、ステップS0602とステップS0603はそれぞれ、ステップS0604以降の処理とは独立したタイミングで処理されうるし、楽曲データ、ステップ情報及び接続情報の加除変更というかたちで独立して処理されうる。さらには接続情報については、情報自体の加除変更とは別にその内容の修正変更に応じることも可能であり、その場合にも独立して処理されうる。
【0076】
次にステップS0604では、三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける(楽曲選択受付ステップ)と、ステップS0605で当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出し(テンポ情報抽出ステップ)、ステップS0606で楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する(曲順決定ステップ)。そしてステップS0607で決定された曲順に従い混成楽曲を作成し(混成楽曲作成ステップ)、いったん処理を終了する。なお混成楽曲作成ステップでは、楽曲ごとの接続情報と決定された曲順とを用いて混成楽曲を作成する(接続情報利用サブステップ)点が本実施形態の特徴である。
【0077】
そしてステップS0608では再度の混成楽曲作成の必要性について判断し、ユーザからの要求その他の処理により再度の作成が必要と判断した場合には、ステップS0604の楽曲選択受付ステップ又はステップS0606の曲順決定ステップの処理をやり直す。再度の作成は不要と判断した場合には、混成楽曲の作成処理は終了し、その後のゲーム実行処理へと移行する。
【0078】
<効果>
本実施形態の混成楽曲作成システムを用いることにより、実施形態1の混成楽曲作成システムを用いる場合に比べ、ユーザが他のユーザと一緒にゲームを楽しむ場合に限らず、自分自身の好みに応じてゲームを楽しむことも可能になり、多様なゲームプレイ環境の提供が可能になる。
【0079】
<<実施形態3>>
<概要>
本実施形態の混成楽曲作成システムは、基本的には実施形態1又は2に記載の混成楽曲作成システムの技術的特徴と同様であるが、コンピュータにて保持される楽曲ごとに楽曲中のキーに関する情報であるキー情報を備え、キー情報をも用いて曲順を決定する点を更なる特徴として備えている。
【0080】
<機能的構成>
図7は、本実施形態の混成楽曲作成システムを一のコンピュータ(装置)で実現した場合の機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「混成楽曲作成システム」0700は、「楽曲データ保持部」0701と、「テンポ情報保持部」0702と、「楽曲選択受付部」0703と、「テンポ情報抽出部」0704と、「曲順決定部」0705と、「混成楽曲作成部」0706と、「キー情報保持部」0707を有し、曲順決定部は「キー情報利用手段」0715と、を有する。基本的な構成は、実施形態1の図2を用いて説明した混成楽曲作成システムと共通するため、以下では相違点である「キー情報保持部」0707と、「キー情報利用手段」0715の機能について説明する。
【0081】
「キー情報保持部」0707は、コンピュータにて保持される楽曲ごとに楽曲中のキーに関する情報であるキー情報を備えるように構成されている。ここでいうキー情報とは、楽曲の調性を特定するための情報であり、長調・単調のような内容にて構成される場合もあれば、メジャー・マイナーといったコード内容にて構成される場合もあり、その構成態様は適宜設定されてよい。但し、複数の楽曲を混成する際に用いる情報であるため、すべてのキー情報は相互に識別可能な態様であることは必要である。
【0082】
キー情報は、楽曲と紐づいて取得されるものであり、楽曲を取得した後にキー情報だけが単独で修正変更されることは想定されない。そのため、キー情報はユーザによって取得ののち保持されるのではなく、外部サーバにて楽曲と紐づけて保持されて、必要に応じてネットワークを介して利用されるように保持されることが好ましい。当該構成を採用することで、ユーザによるキー情報の改変処理が行われることを回避できる。
【0083】
なお、曲中で転調があるような楽曲のように、一の楽曲に複数のキー情報が紐づけられて保持される場合があってももちろん良い。複数のキー情報が保持される場合には、当該転調部分の演奏時間を内容とする楽曲ID又は接続情報と紐づけて保持されることが好ましく、当該構成を採用することにより、繋ぎ位置におけるキー情報を正確に反映した混成楽曲を作成することが可能にある。
【0084】
「キー情報利用手段」0715は、曲順決定部にて、キー情報をも用いて曲順を決定するように構成されている。キー情報をどのように用いるかは適宜設定可能であるが、以下利用形態の一例について説明する。
【0085】
キーの関係性を可視化するための手段として、五度圏表又はキャメロットホイールなどと呼ばれるキーチャートが用いられる場合がある。すなわち、各キー相互の関係性をキーごとに円形状の所定位置に配置することで、キー相互の関係性の親和性の高低を把握しやすくする手法である。キー情報利用手段においては、このようにキー相互の関係性を規定するルールであるキー情報利用ルールを保持しておき、当該ルールを適用して曲順を決定することが考えられる。当該構成を採用することにより、客観的な基準に基づいた曲順決定が可能になり、多くのユーザに満足いく混成楽曲の作成が可能になる。
【0086】
ここで図8を示す。同図が上述したキーチャートの一例であり、同図に示されている「12B」「12A」「1B」「2A」「3A」などの表記がそれぞれキー情報を表している。より具体的には、12BはEメジャー(ホ長調)、12AはDフラットマイナー(ニ短調)、1BはBメジャー(ロ長調)、2AはEフラットメジャー(変ホ長調)、3AはBフラットマイナー(変ロ短調)をそれぞれ意味している。そして同図に示されているように、キーが1Bである楽曲を、2Bである楽曲と比べてみると、その配置位置は極めて近接している。いっぽうキー情報が8Bである楽曲とは相対的にやや距離があることがわかり、この表の記載からは、キーが1Bの楽曲は、キーが2Bの楽曲及び8Bの楽曲とを比較すると、2Bの楽曲と混成させる方が相対的に親和的であることを意味しており、そのようなキーからなる楽曲を混成した場合に生じる違和感が少ないことを意味している。
【0087】
以上のような五度圏表の配置位置に代表されるようなキー情報相互の関係性を用いる当該構成を採用することにより、ユーザに与える違和感をより緩和するような曲順を決定することが可能になる。
【0088】
<具体的な構成>
本実施形態の混成楽曲作成システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、図3を用いて説明した実施形態1の混成楽曲作成システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「キー情報保持部」と「キー情報利用手段」の具体的な処理について説明する。
【0089】
(キー情報保持部の具体的な構成)
キー情報保持部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「キー情報取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し楽曲データ取得プログラムの実行により取得した楽曲のキーに関する情報であるキー情報を取得し、当該楽曲と紐づけてメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0090】
(キー情報利用手段の具体的な構成)
キー情報利用手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、曲順決定プログラムの実行に際しCPUが記憶装置から「キー情報利用サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、テンポ情報抽出プログラムの実行により抽出された複数の楽曲のテンポ情報に加え、キー情報をも用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する処理を行う。
【0091】
<処理の流れ>
図9は、本実施形態の混成楽曲作成システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0901では、楽曲データを当該楽曲を識別するIDである楽曲IDと紐づけて取得する(楽曲データ取得ステップ)。またステップS0902では、取得した楽曲ごとに楽曲中のテンポに関する情報であるテンポ情報を取得し(テンポ情報取得ステップ)、ステップS0903では、楽曲ごとに楽曲中のキーに関する情報であるキー情報を取得する(キー情報取得ステップ)。なお、ステップS0902とステップS0903の処理は、相互に順番が逆に構成されても構わない。
【0092】
ここでステップS0901、ステップS0902とステップS0903はそれぞれ、ステップS0904以降の処理とは独立したタイミングで処理され、具体的には楽曲データ、ステップ情報及びキー情報の加除変更というかたちで独立して処理されうる。
【0093】
次にステップS0904では、三以上の複数の楽曲の選択を受け付ける(楽曲選択受付ステップ)と、ステップS0905で当該選択された複数の楽曲に含まれるテンポ情報を抽出し(テンポ情報抽出ステップ)、ステップS0906で楽曲ごとのテンポ情報を用いて混成楽曲を構成する曲順を決定する(曲順決定ステップ)。なお曲順決定ステップでは、キー情報をも用いて曲順を決定する(キー情報利用サブステップ)点が本実施形態の特徴である。そしてステップS0907で決定された曲順に従い混成楽曲を作成し(混成楽曲作成ステップ)、いったん処理を終了する。
【0094】
そしてステップS0908では再度の混成楽曲作成の必要性について判断し、ユーザからの要求その他の処理により再度の作成が必要と判断した場合には、ステップS0904の楽曲選択受付ステップ又はステップS0906の曲順決定ステップの処理をやり直す。再度の作成は不要と判断した場合には、混成楽曲の作成処理は終了し、その後のゲーム実行処理へと移行する。
【0095】
<効果>
本実施形態の混成楽曲作成システムを用いることにより、実施形態1又は2の混成楽曲作成システムを用いる場合に比べ、よりユーザに違和感を与えにくいような混成楽曲を作成することが可能になる。
【符号の説明】
【0096】
0200・・・混成楽曲作成システム、0201・・・楽曲データ保持部、0202・・・テンポ情報保持部、0203・・・楽曲選択受付部、0204・・・テンポ情報抽出部、0205・・・曲順決定部、0206・・・混成楽曲作成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9