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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067681
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】光源点灯装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/24 20200101AFI20220426BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20220426BHJP
   H05B 45/54 20200101ALI20220426BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
H05B47/24
H05B45/345
H05B45/54
H05B45/375
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176391
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 健治
(72)【発明者】
【氏名】飯島 工
(72)【発明者】
【氏名】岩沢 慎治
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA34
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA13
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA44
3K273FA06
3K273FA07
3K273FA27
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA18
3K273GA22
3K273GA25
3K273GA27
3K273GA29
(57)【要約】
【課題】光源点灯装置及び照明器具において、光源との接続が失われた場合に端子に発生する電圧を抑制しつつ、確実に電圧の出力を停止することを目的とする。
【解決手段】本開示に係る光源点灯装置200は、光源300が接続される一対の端子30、電流出力回路40、及び過電圧抑制回路60を備えたものである。電流出力回路40は、一対の端子30に電流を供給し、一対の端子30に発生する電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い場合に、電流の供給を停止する回路である。過電圧抑制回路60は、ツェナー電圧が閾値電圧よりも高いツェナーダイオード61と、ツェナーダイオード61と直列に接続されたインピーダンス素子62を備えたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が接続される一対の端子と、
定電流制御により前記一対の端子に直流電流を供給し、前記一対の端子に発生する電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた時間以上継続した場合に、前記一対の端子への前記直流電流の供給を停止する電流出力回路と、
カソード側が前記電流出力回路の高電位側に接続されツェナー電圧が前記閾値電圧よりも高い第一のツェナーダイオード、及び前記第一のツェナーダイオードに直列に接続されたインピーダンス素子を有し、前記一対の端子に発生する過電圧を抑制し、前記一対の端子に前記光源が接続された場合に、前記光源と並列に前記電流出力回路に接続される過電圧抑制回路と、
を備えた光源点灯装置。
【請求項2】
前記電流出力回路は、
オン状態で前記一対の端子に前記直流電流を供給し、オフ状態で前記直流電流の供給を止めるスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子を介して前記一対の端子に前記直流電流を供給する電流供給回路と、
前記一対の端子に前記光源が接続された場合に、前記光源と並列に前記電流供給回路に接続される過電圧検出回路と、
前記過電圧検出回路により前記一対の端子に発生する電圧を検出し、前記一対の端子に発生する電圧が予め定められた前記閾値電圧よりも高い状態が前記予め定められた時間以上継続した場合に、前記スイッチング素子をオフ状態とする制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源点灯装置。
【請求項3】
前記過電圧検出回路は、
カソード側が前記電流供給回路の高電位側に接続された第二のツェナーダイオードと、
前記第二のツェナーダイオードに直列に接続された抵抗と、
を備え、
前記第二のツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記閾値電圧よりも低く、前記一対の端子に前記光源が接続されている場合に前記一対の端子に発生する電圧よりも高い
ことを特徴とする請求項2に記載の光源点灯装置。
【請求項4】
前記第一のツェナーダイオードに直列に接続された前記インピーダンス素子は、抵抗である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の光源点灯装置。
【請求項5】
前記過電圧抑制回路は、前記第一のツェナーダイオードと直列に接続されたコンデンサを備えていない
ことを特徴とする請求項4に記載の光源点灯装置。
【請求項6】
光源と、
前記光源が接続される一対の端子、
定電流制御により前記一対の端子に直流電流を供給し、前記一対の端子に発生する電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた時間以上継続した場合に、前記一対の端子への前記直流電流の供給を停止する電流出力回路、並びに
カソード側が前記電流出力回路の高電位側に接続されツェナー電圧が前記閾値電圧よりも高い第一のツェナーダイオード、及び前記第一のツェナーダイオードに直列に接続されたインピーダンス素子を有し、前記一対の端子に発生する過電圧を抑制し、前記一対の端子に前記光源が接続された場合に、前記光源と並列に前記電流出力回路に接続される過電圧抑制回路、
を備えた光源点灯装置と、
を備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源点灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
定電流制御で動作する光源点灯装置の端子に光源が接続された照明器具において、光源が端子から取り外された場合や接触不良が生じた場合、光源には電流が流れなくなる。このような場合に光源点灯装置は軽負荷状態となり、光源点灯装置は定電流制御により端子間の電圧を上げるため、端子は過電圧状態となる。
【0003】
特許文献1には端子の過電圧状態を緩和する構成として、端子に発生する電圧が異常に高い場合に、駆動回路の出力を停止させる構成を備えたLED(Light Emitting Diode)駆動装置が開示されている。また、特許文献1に記載のLED駆動装置には、端子の過電圧状態を緩和する構成として、出力電圧の上昇を抑制する電圧クランプ部が、さらに備えられている。この電圧クランプ部は、ツェナーダイオード及び充電コンデンサを備えており、出力電圧がツェナーダイオードのツェナー電圧以上となった場合に、充電コンデンサに電圧エネルギーをチャージすることで端子の出力電圧を抑制している。すなわち、特許文献1に記載のLED駆動装置には、高い電圧を検出した場合に電流の供給を停止する構成と電圧クランプ部の両方が備えられている。しかし、電流の供給を停止する判定基準となる電圧と、電圧クランプ部を構成するツェナーダイオードのツェナー電圧との関係については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-272569号公報(段落番号0024)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のLED駆動装置は電圧の上昇を検出したときに高周波駆動回路の出力を停止させるように構成されているため、ノイズによる誤動作を起こす可能性がある。また、この誤動作を防ぐために、仮に高い電圧を予め定めた時間以上検出した場合に電流の供給を停止する制御を行ったとしても、電圧クランプ部により電圧が抑制されるため、抑制が働いた電圧が一瞬でも高い電圧から通常の低い電圧に戻ったときに、高い電圧の継続時間が短くなり、出力停止が行われなかったり、その開始が遅れてしまうという問題があった。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであって、光源点灯装置及び照明器具において、光源との接続が失われた場合に端子に発生する電圧を抑制しつつ、より確実に電流の供給を停止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示に係る光源点灯装置は、光源が接続される一対の端子と、定電流制御により一対の端子に直流電流を供給し、一対の端子に発生する電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた時間以上継続した場合に、一対の端子への直流電流の供給を停止する電流出力回路と、カソード側が電流出力回路の高電位側に接続されツェナー電圧が閾値電圧よりも高い第一のツェナーダイオード、及び第一のツェナーダイオードに直列に接続されたインピーダンス素子を有し、一対の端子に発生する過電圧を抑制し、一対の端子に光源が接続された場合に、光源と並列に電流出力回路に接続される過電圧抑制回路と、を備えたものである。
【0008】
また、この開示に係る照明器具は、光源と、光源が接続される一対の端子、定電流制御により一対の端子に直流電流を供給し、一対の端子に発生する電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた時間以上継続した場合に、一対の端子への直流電流の供給を停止する電流出力回路、並びにカソード側が電流出力回路の高電位側に接続されツェナー電圧が閾値電圧よりも高い第一のツェナーダイオード、及び第一のツェナーダイオードに直列に接続されたインピーダンス素子を有し、一対の端子に発生する過電圧を抑制し、一対の端子に光源が接続された場合に、光源と並列に電流出力回路に接続される過電圧抑制回路、を備えた光源点灯装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、光源点灯装置及び照明器具において、光源との接続が失われた場合に端子に発生する電圧を抑制しつつ、より確実に電流の供給を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における照明器具を示す回路ブロック図である。
図2】実施の形態1における出力端子に発生する電圧の時間変化の一例を示す波形図である。
図3】実施の形態1における制御部の過電圧検出動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2における照明器具を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下に実施の形態1に係る光源点灯装置及び照明器具を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は実施の形態1における照明器具400を示す回路ブロック図である。初めに照明器具400の構成について図1を用いて説明する。
【0013】
照明器具400は、光源点灯装置200及び光源300を備えた器具である。光源点灯装置200は、商用の交流電源である電源100に接続され、電源100から供給される交流の電力を用いて、光源300を定電流制御するものである。本実施の形態において光源300はプリント基板にLEDパッケージを直列に組み合わせて実装したLEDモジュールである。光源300は、後に説明する光源点灯装置200の出力端子30に接続される。
【0014】
光源点灯装置200の構成について説明する。光源点灯装置200は出力端子30、電流出力回路40、及び過電圧抑制回路60を備えている。出力端子30は光源300が接続される一対の端子であって、高電位側コネクタ30a及び低電位側コネクタ30bを備えている。高電位側コネクタ30aは、コネクタであって、出力端子30を構成する高電位側の端子である。また、低電位側コネクタ30bは、コネクタであって、出力端子30を構成する低電位側の端子である。
【0015】
電流出力回路40は、電源100に接続され、出力端子30に直流電流を供給する定電流制御を行い、出力端子30に発生する電圧が予め定めた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた時間以上継続した場合に、出力端子30への直流電流の供給を停止する回路である。電流出力回路40は、整流回路2、平滑コンデンサ3、電流供給回路である降圧チョッパ回路50、過電圧検出回路70、及び制御部10を備えている。
【0016】
後に詳細に説明する制御部10は、マイクロコントローラであり、光源300に供給される電流及び出力端子30に発生する電圧を測定し、降圧チョッパ回路50を制御するものである。
【0017】
ダイオードブリッジである整流回路2及び平滑コンデンサ3はコンデンサインプット型整流回路を構成している。整流回路2は電源100に接続され、電源100から供給される交流を全波整流する回路である。平滑コンデンサ3は整流回路2に接続され、整流回路2で全波整流された脈流を平滑化し、平滑化した電流を降圧チョッパ回路50に供給するものである。
【0018】
図の上部が平滑コンデンサ3の正極側であり、図の下部が平滑コンデンサ3の負極側である。また、平滑コンデンサ3の負極はグランドに接続される。
【0019】
降圧チョッパ回路50は、平滑コンデンサ3で平滑化された直流電流を用いて、制御部10の制御により出力端子30に直流電流を供給するものである。降圧チョッパ回路50は、平滑コンデンサ3と並列に接続されており、スイッチング素子4、駆動回路5、及び電流検出抵抗9を備えている。なお、降圧チョッパ回路50が備えるその他の構成については後に説明する。
【0020】
スイッチング素子4は、平滑コンデンサ3の正極に接続され、次に説明する駆動回路5によりオン状態及びオフ状態に切り替えられることで、オン状態のときに出力端子30に直流電流を供給し、オフ状態のときに直流電流の供給を止めるものである。スイッチング素子4は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。
【0021】
スイッチング素子4がオン状態のとき、スイッチング素子4は、平滑コンデンサ3で平滑化された電流を後に説明するインダクタ7に供給する。スイッチング素子4がオフ状態のとき、スイッチング素子4は平滑コンデンサ3で平滑化された電流のインダクタ7への供給を停止する。また、スイッチング素子4のオフ状態が継続されると、降圧チョッパ回路50から出力端子30への直流電流の供給は停止される。
【0022】
駆動回路5は、制御部10から入力される制御信号に従い、スイッチング素子4をオン状態及びオフ状態に制御するためのゲート信号を、スイッチング素子4のゲートに供給するものである。駆動回路5は、制御部10から入力される制御信号に従い、スイッチング素子4のオン状態及びオフ状態を切り替える頻度や長さを調整することで、降圧チョッパ回路50が供給する電流の量や電圧の高さを調整している。
【0023】
電流検出抵抗9は、出力端子30に光源300が接続された場合に、光源300と直列に接続される抵抗である。電流検出抵抗9は一端が、低電位側コネクタ30b及び後に説明する過電圧抑制回路60のアノード側に接続されている。すなわち、この電流検出抵抗9を流れる電流は、光源300又は後に説明する過電圧抑制回路60を流れた電流である。
【0024】
過電圧検出回路70は、出力端子30に光源300が接続された場合に、降圧チョッパ回路50に光源300と並列に接続される回路であり、抵抗71及び抵抗72を備えている。抵抗71及び抵抗72は、出力端子30に発生する電圧を分圧している。
【0025】
制御部10は、電流検出抵抗9の低電位側コネクタ30b側の一端と接続されており、電流検出抵抗9に流れる電流を光源に供給された電流として計測している。光源300が出力端子30に接続された正常点灯時において、制御部10は電流検出抵抗9に流れる電流を一定に保つように駆動回路5に制御信号を出力している。
【0026】
また、制御部10は抵抗71と抵抗72の間に接続され、分圧された電圧を検出することで出力端子30に発生する電圧を検出している。なお、制御部10が検出する電圧には、電流検出抵抗9の電圧も含まれているが、電流検出抵抗9の抵抗値は光源300に比べて非常に小さいため無視できるものである。よって、本開示においては電流検出抵抗9の電圧は無視して説明する。
【0027】
そして、制御部10は過電圧検出回路70から検出される出力端子30に発生する電圧が予め定めた閾値電圧よりも高い状態が予め定められた検出時間以上継続した場合に、駆動回路5にスイッチング素子4をオフ状態とする制御信号を出力するものである。この検出時間は、一瞬だけ閾値電圧よりも高い電圧が検出されるような光源点灯装置200の誤動作が発生した場合に、出力端子30への直流電流の供給が停止されることを防ぐためのものである。
【0028】
過電圧抑制回路60は、出力端子30に発生する過電圧を抑制する回路であって、出力端子30に光源300が接続された場合に、電流出力回路40に備えられた降圧チョッパ回路50に、光源300と並列に接続される回路である。過電圧抑制回路60は、第一のツェナーダイオードであるツェナーダイオード61とインピーダンス素子が直列に接続された回路である。このツェナーダイオード61と直列に接続されたインピーダンス素子は、抵抗である放電抵抗62である。
【0029】
ツェナーダイオード61はカソード側が電流出力回路40に備えられた降圧チョッパ回路50の高電位側に接続され、アノード側が放電抵抗62に接続されている。そして、放電抵抗62は電流出力回路40の低電位側に接続されている。そして、ツェナーダイオード61のツェナー電圧は、閾値電圧よりも高いものである。
【0030】
次に、本実施の形態における光源点灯装置200の動作について、図2を用いて説明する。図2は、出力端子30に発生する電圧の時間変化の一例を示す波形図である。図2において実線で示されたV1は、本実施の形態に係る光源点灯装置200の出力端子30に発生する電圧の変化を表している。一方、破線で示されたV2は、過電圧抑制回路60が備えられていない場合に光源点灯装置200の出力端子30に発生する電圧の変化を表している。
【0031】
なお、時間軸のDの時点よりも前の時間においては、出力端子30に発生する電圧がツェナーダイオード61のツェナー電圧よりも低いため、過電圧抑制回路60に電流は流れない。したがって、過電圧抑制回路60の有無によらず、光源点灯装置200は同様の動作を行う。そのためV1及びV2について合わせて説明する。
【0032】
出力端子30に光源300が接続され光源点灯装置200が光源300を点灯させているとき、制御部10は、電流検出抵抗9に流れる電流を検出し、この電流を一定に保つように降圧チョッパ回路50を制御している。このとき、降圧チョッパ回路50では、制御部10から入力される制御信号に基づいて、スイッチング素子4がオン状態及びオフ状態を繰り返している。また、制御部10は出力端子30に発生する過電圧の検出を行っている。
【0033】
Aの時点は光源300が出力端子30から取り外された時点を表している。Aの時点よりも前の時間は正常点灯時を表している。出力端子30に発生する電圧は例えば200Vであるとする。
【0034】
光源300が出力端子30から取り外されると、光源300に電流が流れなくなる。また、この時、電流検出抵抗9にも電流が流れなくなる。そのため、制御部10は、電流検出抵抗9に流れる電流が低下していることを検出し、定電流制御を行うために、出力端子30に高い電圧を発生させるように駆動回路5に制御信号を出力する。その結果、出力端子30に発生する電圧が上昇する。この時の電圧上昇には、光源点灯装置200が軽負荷状態となり、光源300で消費していた電力が消費されなくなったことによる電圧上昇も含まれる。そして出力端子30に発生する電圧は、閾値電圧を越える。Bの時点は、出力端子30に発生した電圧が閾値電圧を越えた時点を表している。本実施の形態において閾値電圧は240Vである。
【0035】
ここで制御部10による過電圧検出動作について図3を用いて説明する。制御部10が動作を開始すると、ステップS1において制御部10は過電圧検出回路70で分圧された電圧を検出し、出力端子30に発生する電圧を算出する。そしてステップS2で出力端子30に発生する電圧が閾値電圧を越えているか否かを判定する。閾値電圧を越えていた場合、制御部10は処理をステップS3に進める。ステップS3において、制御部10はタイマーを動作させ、時間の計測を開始する。このタイマーは制御部10に備えられており、出力端子30に発生する電圧が閾値電圧を越えている時間を計測するものである。なお、ステップS3において既にタイマーが時間を計測している場合は、そのまま処理をステップS4に進める。
【0036】
そして、ステップS4において、タイマーが計測する時間が予め設定した検出時間(例えば、5ms)以上であるかを判定する。検出時間以上であった場合、制御部10は処理をステップS5に進める。ステップS5において制御部10は、駆動回路5にスイッチング素子4のオフ状態を維持する制御信号を出力する。そして、駆動回路5はスイッチング素子4のオフ状態を維持する。一方、ステップS4において、タイマーが計測する時間が検出時間を越えていない場合、制御部10は再びステップS1に処理を戻し、検出時間を越えるまでステップS1からステップS4の処理を繰り返す。すなわち、ステップS2の出力端子30に発生している電圧が閾値電圧以上であるかの判定を繰り返す。なお、タイマーが計測する時間が検出時間以上になるまでに出力端子30に発生する電圧が閾値電圧を下回った場合は、ステップS6の処理によりタイマーは停止されリセットされる。
【0037】
Cの時点は、タイマーが計測する時間が予め設定した検出時間を越えた時点を表している。Cの時点以降、降圧チョッパ回路50に蓄積された電力は、抵抗71や抵抗72等によって放電され、出力端子30の電圧は徐々に低下する。
【0038】
過電圧抑制回路60を持たない光源点灯装置では、図中に破線V2で示したように、Cの時点まで出力端子30の電圧は上昇し続ける。図中に示した例では、出力端子30に発生する電圧はC時点において最大330Vまで達する。
【0039】
一方で、過電圧抑制回路60を備える光源点灯装置200は、図中に実線V1で示したようにDの時点以降、電圧の上昇が抑制される。Dの時点は、出力端子30に発生する電圧が過電圧抑制回路60に備えられたツェナーダイオード61のツェナー電圧を越えた時点である。本実施の形態においてツェナー電圧は260Vである。
【0040】
出力端子30に発生する電圧がツェナーダイオード61のツェナー電圧を越える時、出力端子30と並列に接続されているツェナーダイオード61にも同じくツェナー電圧を越える電圧が発生する。したがって、ツェナーダイオード61のカソード側からアノード側へ電流が流れるようになる。
【0041】
したがって、正常点灯時においては、光源300で消費されていた電力が放電抵抗62で消費されることにより、出力端子30に発生する電圧の上昇は抑制される。また、電流検出抵抗9にも再び電流が流れるようになる。そのため制御部10は、電流検出抵抗9に再び電流が流れていることを検出し、駆動回路5へ出力する制御信号を変更する。その結果、出力端子30に発生する電圧の上昇が抑制される。電流検出抵抗9に電流が流れている状態では、制御部10が算出する定電流制御を行うために必要な電圧が、電流検出抵抗9に電流が流れていない時と比較して小さくなるため、制御部10が出力する制御信号により出力端子30に発生させる電圧も小さくなるからである。
【0042】
図中に実線V1で示した例では、出力端子30に発生する電圧は、Cの時点において最大270Vで抑制されている。
【0043】
以上、本実施の形態によればツェナーダイオード61のツェナー電圧が閾値電圧よりも高いため、光源300との接続が失われた場合に出力端子30に発生する電圧を抑制しつつ、確実に電流の供給を停止することができる。以下に詳細に説明する。
【0044】
本実施の形態は過電圧抑制回路60を持たない光源点灯装置200と比較して、光源300との接続が失われた場合に出力端子30に発生する電圧を抑制できるという利点がある。
【0045】
そして、過電圧抑制回路60を持つ光源点灯装置200の中でも本実施の形態に記載の光源点灯装置200は、ツェナーダイオード61のツェナー電圧が、制御部10がスイッチング素子4をオフ状態とする閾値電圧よりも高く設定されている。そのため、光源300が出力端子30から取り外された場合に、出力端子30に発生する電圧は閾値電圧以下で抑制されることがなく、閾値電圧を越える。したがって、確実に電流の供給を停止することができる。
【0046】
出力端子30に過電圧が発生した場合に、閾値電圧に到達するまで電圧の上昇が抑制されることないため速やかに閾値電圧を越える。そして、制御部10に備えられたタイマーがスタートした後、過電圧抑制回路60に電流が流れ、放電抵抗62の放電により出力端子30に発生する電圧が低下したとしても、電圧がツェナー電圧を下回った場合には、過電圧抑制回路60に電流が流れなくなる。すなわち直ちに再び軽負荷状態となるため電圧が上昇し、出力端子30に発生する電圧はツェナー電圧の前後で上昇下降を繰り返すこととなる。したがって、出力端子30に発生する電圧がツェナー電圧よりも低い閾値電圧を下回ることがなくタイマーがリセットされないため確実に電流の供給を停止させることができる。
【0047】
本開示において、ツェナー電圧は閾値電圧よりも高いが、その高さは適宜設定できる。例えば、過電圧抑制回路60に電流が流れることで出力端子30に発生する電圧が下降しツェナー電圧を下回ったときから再び電圧が上昇するまでの間に、出力端子30に発生する電圧が閾値電圧を下回らないように、ツェナー電圧と閾値電圧との間に、ある程度のマージンを設けるとよい。
【0048】
本実施の形態では放電抵抗62として抵抗値の小さいものを使用しているため、図2に示す通りDの時点を越え過電圧抑制回路60に電流が流れるようになった後も、出力端子30に発生する電圧は緩やかに上昇している。しかし、放電抵抗62の抵抗値は大きいものでもよく、例えば光源300よりも抵抗値が大きいものでもよい。
【0049】
本実施の形態によれば光源300との接続が取り外されたことにより、出力端子30に発生する電圧の最大値が抑制される。加えて、予め設定された検出時間後には、電流の供給が確実に停止されるため、出力端子30に係る過電圧が短時間で取り除かれる。このことは、出力端子30に接続される負荷が大きい大規模な電力を使用する照明器具400において特に有用である。
【0050】
また、出力端子30及び過電圧抑制回路60を構成する部品は、検出時間が渡過する間の渡過熱に耐えうるものであればよいので、定格電力の小さいものを選定することができる。
【0051】
さらに、過電圧抑制回路60においてツェナーダイオード61と直列に接続されるインピーダンス素子は、抵抗である放電抵抗62で構成されている。このことは特許文献1に記載の、放電抵抗と並列に接続される大容量の充電コンデンサを備えたLED駆動装置と比較して、安価な構成であるという利点がある。
【0052】
また、ツェナーダイオード61と直列に接続されたコンデンサを備えていないことは、ツェナーダイオード61に瞬間的に流れる電流が小さいという利点がある。ツェナーダイオード61と直列にコンデンサが接続されている場合、出力端子30に発生する電圧がツェナー電圧を越えた瞬間に、コンデンサが低インピーダンスであることにより、わずかな時間ではあるが電流がほとんど制限されることなく、ツェナーダイオード61に流れてしまうからである。
【0053】
最後に、本実施の形態における降圧チョッパ回路50の構成について図1を用いて説明する。なお、課題の解決のためには、電流出力回路40は、出力端子30への直流電流の供給を停止できる回路であれば降圧チョッパ回路50に代えて他の回路を備えていてもよい。例えば、フライバック回路等を備えていてもよい。
【0054】
本実施の形態において降圧チョッパ回路50は、スイッチング素子4、駆動回路5、及び電流検出抵抗9に加えて、還流ダイオード6、インダクタ7、及びコンデンサ8を備えている。
【0055】
スイッチング素子4のドレインには、平滑コンデンサ3の正極が接続され、ソースには、還流ダイオード6のカソード側とインダクタ7の一端が接続されている。そしてインダクタ7の他端には、コンデンサ8と過電圧検出回路70が接続されている。そして、還流ダイオード6のアノード側は、平滑コンデンサ3の負極及びコンデンサ8に接続されている。コンデンサ8の低電位側の端子には、還流ダイオード6のアノード側及び過電圧検出回路70が接続されている。
【0056】
スイッチング素子4がオン状態のとき、平滑コンデンサ3で平滑化された電流は、出力端子30又は過電圧抑制回路60へ出力されるとともに、インダクタ7及びコンデンサ8に蓄積される。一方、スイッチング素子4がオフ状態のとき、インダクタ7及びコンデンサ8に蓄積された電力が直流電流として出力端子30又は過電圧抑制回路60へと出力され、還流ダイオード6を介して再びインダクタ7へと戻る。
【0057】
降圧チョッパ回路50は、上述の構成を備えることにより、スイッチング素子4のオン状態及びオフ状態が切り替わることで、出力端子30に直流電流を供給している。
【0058】
実施の形態2.
本実施の形態は、過電圧検出回路70に第二のツェナーダイオードであるツェナーダイオード73を設けた光源点灯装置200及び照明器具400である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。初めに本実施の形態の構成について図4を用いて説明する。
【0059】
実施の形態1において、過電圧検出回路70は抵抗71及び抵抗72を備えたものであった。本実施の形態では、過電圧検出回路70に抵抗71及び抵抗72と直列に第二のツェナーダイオードであるツェナーダイオード73が接続されている。ツェナーダイオード73は、カソード側が降圧チョッパ回路50の高電位側に接続され、アノード側が抵抗71に接続されている。そしてツェナーダイオード73のツェナー電圧は、閾値電圧よりも低く、出力端子30に光源300が接続されている場合に出力端子30に発生する電圧よりも高いものである。
【0060】
次に動作について説明する。光源300が出力端子30に接続されている状態においては、降圧チョッパ回路50から供給される直流電流の電圧がツェナーダイオード73のツェナー電圧よりも低いため、過電圧検出回路70に電流が流れない。光源300が出力端子30から取り外されると、実施の形態1と同様に、出力端子30に発生する電圧が上昇する。そして、降圧チョッパ回路50から供給される直流電流の電圧がツェナーダイオード73のツェナー電圧を越えると、過電圧検出回路70に電流が流れる。その後は実施の形態1と同様に、過電圧検出回路70により検出される出力端子30に発生する電圧が、閾値電圧を越えた時点から、制御部10は検出時間を測定するタイマーを動作させる。
【0061】
以上、本実施の形態によれば、正常点灯時において、過電圧検出回路70に備えられた抵抗71及び抵抗72によって電力が放電されることを防ぐことができる。そのため消費電力を少なくすることができる。また、ツェナーダイオード73のツェナー電圧より大きい電圧が発生したときは、過電圧検出回路70に電流が流れるため、制御部10は出力端子30に発生する電圧が閾値電圧を越えているか否かを判定することができる。
【0062】
以上、実施の形態について説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されるものではない、いかに変形例を示す。
【0063】
光源300は、光源点灯装置200の定電流制御により発光するものであればどんなものでもよく、例えばチップオンザボードでもよいし、当然LEDパッケージが並列に組み合わせられたLEDモジュールでもよい。また出力端子30はコネクタに限らず、結束端子などでもよい。
【0064】
実施の形態において、ツェナーダイオード61及びツェナーダイオード73と直列に接続された放電抵抗62及び抵抗71は、ツェナーダイオード61及びツェナーダイオード73のアノード側に接続されるものであったが、カソード側に接続されていてもよい。
【0065】
すなわち本開示において、ツェナーダイオード61及びツェナーダイオード73のカソード側が降圧チョッパ回路50の高電位側に接続されるとは、放電抵抗62及び抵抗71といった、インピーダンス素子を介して接続されることも含まれる。
【0066】
実施の形態においてツェナーダイオード61と直列に接続されるインピーダンス素子は抵抗である放電抵抗62であったが、課題の解決のためにはサーミスタなどの他のインピーダンス素子でもよい。
【0067】
実施の形態において、制御部10はマイクロコントローラであったが、アナログ回路により構成されていてもよい。例えば、マイクロコントローラに備えられたタイマーに代えて、アナログ回路で時定数回路を構成することにより、過電圧検出回路70により検出される電圧が予め定められた閾値電圧よりも高い状態が予め定めた時間以上継続した場合に、駆動回路5にスイッチング素子4をオフ状態にする制御信号を出力するようにしてもよい。
【0068】
実施の形態では、分圧された電圧から出力端子30に発生する電圧を計算したが、実質的に出力端子30に発生する電圧が、設定された閾値を越えたかを判別できるのであれば、出力端子30に発生する電圧を計算しなくてもよい。例えば、分圧された電圧そのものを用いて出力端子30に発生する電圧が閾値を越えたかを検出してもよい。
【0069】
実施の形態において制御部10が計測する検出時間は、制御部10が電流検出抵抗9に電流が流れなくなったことを検知してから定電流制御を行うために制御信号を変更する時間よりも長いものであった。しかし検出時間が、制御部10が定電流制御を行うために制御信号を変更する時間よりも短い光源点灯装置200においても課題を解決することができる。その場合であっても過電圧抑制回路60は、光源300で消費していた電力を放電抵抗62で消費することで、電圧の上昇を閾値電圧以上の電圧で抑制することができるからである。
【0070】
実施の形態において光源点灯装置200は、コンデンサインプット型整流回路を備え、商用の交流電源に接続されるものであったが、出力端子30に直流電流を供給できるものであれば他の構成でもよく、例えば直流電源に接続されるようにしてもよい。また、力率改善を行うために、整流回路2と平滑コンデンサの間に、昇圧チョッパ回路を備えてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2 整流回路、3 平滑コンデンサ、4 スイッチング素子、5 駆動回路、6 還流ダイオード、7 インダクタ、8 コンデンサ、9 電流検出抵抗、10 制御部、30 出力端子、30a 高電位側コネクタ、30b 低電位側コネクタ、40 電流出力回路、50 降圧チョッパ回路、60 過電圧抑制回路、61 ツェナーダイオード、62 放電抵抗、70 過電圧検出回路、71 抵抗、72 抵抗、73 ツェナーダイオード、100 電源、200 光源点灯装置、300 光源、400 照明器具
図1
図2
図3
図4