(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067715
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】加圧加熱連携制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 11/32 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
G05B11/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176445
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】520410781
【氏名又は名称】株式会社南葵エンジニアリング工業
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勝
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA30
5H004GB15
5H004HA01
5H004HA03
5H004HB01
5H004HB03
5H004JA03
5H004JA04
5H004JA23
(57)【要約】
【課題】材料を加圧しながら加熱する装置の操作性の改善
【解決手段】加圧装置14と加熱装置16とその制御条件を設定する制御盤22とを備える。制御盤22は、目標圧力24とその圧力に達するまでの時間26とを一組とする制御単位を複数組み合わせた圧力制御データを記憶装置から読み出す圧力選択部36と、目標電力38とその電力に達するまでの時間42とを一組とする制御単位を複数組み合わせた温度制御データを記憶装置34から読み出す温度選択部50を備える。加圧装置14が制御を開始した後から加熱装置16の制御を開始するとき、圧力制御データ32に含まれたいずれかの制御単位から温度制御が開始されるように該当する制御単位を指定する追従制御開始部56を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料に対して圧縮圧力を加える加圧装置と、その材料を加熱する加熱装置と、
上記加圧装置を制御する圧力コントローラと,上記加熱装置を制御する温度コントローラと、
上記の圧力コントローラと温度コントローラの動作条件を設定する制御盤とを備え、
この制御盤は、
目標圧力とその圧力に達するまでの時間とを一組の制御単位としたとき、複数の制御単位を順に組み合わせて、上記の材料に加える圧力パターンを実現するようにしたとき、その圧力パターンを実現する圧力制御データを記憶装置から選択して読み出す選択部と、
上記材料を目標温度にするために供給する電力とその電力に達するまでの時間とを一組の制御単位としたとき、複数の制御単位を順に組み合わせて、上記の材料を加熱する温度パターンを実現するようにしたとき、その温度パターンを実現する温度制御データを記憶装置から選択して読み出す選択部と、
記憶装置から読み出された圧力制御データを構成する複数の制御単位をその制御順に表示する圧力制御表示部と、
記憶装置から読み出された温度制御データを構成する複数の制御単位をその制御順に表示する温度制御表示部と、
上記加圧装置と上記加熱装置のいずれか一方が制御を開始した後から他方の制御を開始するとき、
一方の制御データに含まれたいずれかの制御単位から他方の制御が開始されるように該当する制御単位を指定する追従制御開始部とを備えたことを特徴とする加圧加熱連携制御装置。
【請求項2】
圧力制御表示部及び温度制御表示部に表示された制御データを制御単位ごとに編集できる温度制御表示部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加圧加熱連携制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を加圧しながら加熱する加圧加熱連携制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温高圧下における材料の特性を調べたり高温高圧下で特定の材料を加工したり生成したりするために、様々な装置が開発されている。その場合に圧力を加える方法と熱を加える方法とは材料の種類や性質により様々である(特許文献1~2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2004-136332号公報
【特許文献2】2019-204963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
材料に圧力や温度を加える場合には、材料に実際に加わっている圧力や温度を各種のセンサーを用いて検出して圧力調整をし、例えば加熱装置の電源をオンオフ制御するという、フィードバック制御を行うのが一般的である。しかしながら、圧力も温度も、立ち上がりや立ち下がりの時を含めて、全体として所定の特性曲線に沿った制御が要求されることがある。また、加圧開始後の所定のタイミングで温度を少しずつ上げていくといった要求もある。こうした要求に応じて、加圧制御と温度制御のためのコンピュータプログラムを作成するのは、担当者に大きな負担になっている。本発明は以上の点を解決するためになされたもので、予め求めておいた所望の特性で、自動的に加圧制御と加熱制御が可能になり、その制御の部分的な変更も容易に行える加圧加熱連携制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
<構成1>
材料に対して圧縮圧力を加える加圧装置と、その材料を加熱する加熱装置と、
上記加圧装置を制御する圧力コントローラと,上記加熱装置を制御する温度コントローラと、
上記の圧力コントローラと温度コントローラの動作条件を設定する制御盤とを備え、
この制御盤は、
目標圧力とその圧力に達するまでの時間とを一組の制御単位としたとき、複数の制御単位を順に組み合わせて、上記の材料に加える圧力パターンを実現するようにしたとき、その圧力パターンを実現する圧力制御データを記憶装置から選択して読み出す選択部と、
上記材料を目標温度にするために供給する電力とその電力に達するまでの時間とを一組の制御単位としたとき、複数の制御単位を順に組み合わせて、上記の材料を加熱する温度パターンを実現するようにしたとき、その温度パターンを実現する温度制御データを記憶装置から選択して読み出す選択部と、
記憶装置から読み出された圧力制御データを構成する複数の制御単位をその制御順に表示する圧力制御表示部と、
記憶装置から読み出された温度制御データを構成する複数の制御単位をその制御順に表示する温度制御表示部と、
上記加圧装置と上記加熱装置のいずれか一方が制御を開始した後から他方の制御を開始するとき、
一方の制御データに含まれたいずれかの制御単位から他方の制御が開始されるように該当する制御単位を指定する追従制御開始部とを備えたことを特徴とする加圧加熱連携制御装置。
【0006】
<構成2>
圧力制御表示部及び温度制御表示部に表示された制御データを制御単位ごとに編集できる温度制御表示部を備えたことを特徴とする構成1に記載の加圧加熱連携制御装置。
【発明の効果】
【0007】
<構成1の効果>
材料に様々な圧力パターンと温度パターンを組み合わせた操作を行うときに、該当する圧力制御データと温度制御データを記憶装置から選択して読み出し、一方の制御データに含まれたいずれかの制御単位から他方の制御が開始されるように該当する制御単位を指定することができる操作盤を備えるので、広範な自在な制御操作を設定できる。また、一方の制御を開始してから後の任意のタイミングで正確に他方の制御を開始できる。
<構成2の効果>
制御単位で制御データを編集して、新たなパターンの制御データを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の装置に使用する制御盤の具体例を示す説明図である。
【
図2】
図2は本発明の装置に使用するデータ構造を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0010】
始めに
図2を用いて本発明の装置の概略を説明する。この装置は、任意の材料に対して圧縮圧力を加える加圧装置14と、その材料を加熱する加熱装置16とを備える。加圧装置14は、例えば、油圧でプレス板を上下動させて材料を閉じ込めたセル等を挟みつけるような装置である。
【0011】
加熱装置16は、加圧装置14の内部に配置されたセルに電気ヒータを用いて熱を加える装置である。上記の特許文献に記載されたような技術をそのまま採用してもよい。
【0012】
上記加圧装置14は、例えば油圧ポンプのような圧力コントローラ18により圧力が可変制御される。上記加熱装置16は、例えばインバータ電源装置のような温度コントローラ20により、供給電力が可変制御される。
【0013】
上記の圧力コントローラ18と温度コントローラ20の動作はコンピュータ58により制御される。そして、その制御データは制御盤22により設定される。
【0014】
図1に示した制御盤22は、例えば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。なお、制御データを表示する部分は液晶パネル等により構成し、部等の入力装置は機械的な押し部やキーボードであっても構わない。
【0015】
図1に示した制御盤22には、左側に圧力制御データ32を表示するための圧力制御表示部52が表示され、右側に温度制御データ48を表示するための温度制御表示部54が設けられている。またこれらのデータを設定して圧力コントローラ18と温度コントローラ20に送るために、圧力選択部36と温度選択部50と追従制御開始部56とが設けられている。
【0016】
例えば、圧力選択部36をタッチすると仮想キーボード60が表示されて圧力制御データ32のコード番号の入力が可能になる。温度選択部50をタッチすると仮想キーボード60が表示されて温度制御データ48のコード番号の入力が可能になる。
【0017】
圧力制御データ32と温度制御データ48の具体例を
図2の最下部に示した。この例では材料に圧力を加えてからしばらくして材料の加熱を開始し、加熱を終了して少ししてから圧力を解放するように制御している。
【0018】
ここで、圧力制御データ32に着目すると、ある時間毎に圧力を増加させたり減少させたりする速度が各部で変化している。このような制御をするために、目標電力38とその電力に達するまでの時間42とを一組の制御単位とし、複数の制御単位を組み合わせている。
【0019】
一組の制御単位は、例えば、一分間に1トンに達するという速度で、圧力を増加させる設定になる。そして、複数の制御単位を順番に任意に組み合わせて、上記の図のように材料を加熱する温度パターン46を実現する。
【0020】
例えば、記憶装置34(
図2)には材料の種類に応じた様々な圧力制御データ32が記憶されているものとする、圧力選択部36に、該当する圧力制御データ32に付されたコード番号を入力すると、その圧力制御データ32が選択されて記憶装置34から読み出される。
【0021】
図2の最下部に示した温度制御データ48も同様に、複数の制御単位を順番に組み合わせて構成されている。その一組の制御単位は、例えば、3分間をかけて合計1キロワットの電力を供給して加熱をするといったものである。
【0022】
記憶装置34には材料の種類に応じた様々な温度制御データ48が記憶されているものとする、温度選択部50の部分に、該当する温度制御データ48に付されたコード番号を入力すると、その温度制御データ48が選択されて記憶装置34から読み出される。
【0023】
上記の圧力制御データ32や温度制御データ48を使用すれば、フィードバック制御はなくてもよい。即ち、センサで実際の圧力や温度を監視しながら制御しなくても構わない。加圧装置14や加熱装置16が計算通りに動作することが確認してあれば、材料に応じて最適な圧力パターン30や温度パターン46を設定しておき、自動制御が可能になる。例えば、圧力センサで圧力を検出しても、加熱により圧力センサの圧力検出精度が低下することがある。こうした場合には、上記の制御が適する。一方、充分に精度の高いセンサを使用できる環境では、フィードバック制御により、さらに高精度の圧力と温度制御をすればよい。
圧力制御表示部52及び温度制御表示部54に表示された各制御単位のデータは、上記の仮想キーボード60を表示させて、個別に書き換えることができる。こうして新たなパターンの制御データを編集することができる。
このとき操作する仮想キーボード60を、この実施例では編集部と呼ぶことにする。この編集部により、制御データの一部変更も容易に出来、非常に自由度が高い。しかも。圧力制御表示部52や温度制御表示部54により、パターン全体が一目瞭然でわかり易いという効果がある。
追従制御開始部56によれば、上記加圧装置14と上記加熱装置16のいずれか一方が制御を開始した後から他方の制御を開始するとき、一方の制御データに含まれたいずれかの制御単位から他方の制御が開始されるように、該当する制御単位を指定することができる。
圧力制御データ32や温度制御データ48を制御単位の集合体にしておくと、上記の操作盤により、このような連携制御の設定が容易になる。様々な圧力パターン30と温度パターン46を組み合わせて、広範に自在な制御操作をすることができる。