(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067743
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】空調制御方法、プログラム、および空調制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20220426BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20220426BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q50/16 300
G16Y20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176508
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土居 信一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC25
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】宿泊施設の空調制御に関するホスピタリティ向上のための技術を提供すること。
【解決手段】空調制御システムでは、予約情報から宿泊客の特性(国籍など)が取得され、当該特性から宿泊客のタイプが特定される。タイプ1,3は寒がりの特性に対応し、タイプ2,4は暑がりの特性に対応する。そして、空調制御システムでは、特定されたタイプに従って、チェックイン前の客室の冷房動作(予冷)の要否が決定され、また、チェックイン前の客室の暖房動作(予熱)の要否が決定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される方法であって、
宿泊施設の予約情報から客室の設定時刻を取得するステップと、
前記宿泊施設の予約情報から前記宿泊客の特性を取得するステップと、
前記客室の設定時刻の一定時間前に、前記客室内の温度が所与の温度以上であるか否かを判断するステップと、
前記客室内の温度が前記所与の温度以上であるという判断に基づいて、空気調和装置の1以上の動作内容を格納する動作内容データベースにアクセスするステップと、を備え、
前記1以上の動作内容のそれぞれは、1以上の宿泊客のそれぞれの特性に関連付けられ、かつ、客室の設定時刻前に冷房動作を実行するか否かを規定しており、
前記方法は、
取得された前記特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の冷房動作を実行することを規定している場合に、前記設定時刻の一定時間前に、冷房動作を実行するように前記客室の空気調和装置を制御するステップをさらに備える、空調制御方法。
【請求項2】
取得された前記特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の冷房動作を実行しないことを規定している場合に、前記設定時刻の一定時間前に、動作の停止を指示する信号を前記客室の空気調和装置に向けて送信するステップをさらに備える、請求項1に記載の空調制御方法。
【請求項3】
前記動作内容データベースを生成するステップをさらに備え、
前記生成するステップは、
人が適切に感じる温度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度を特定することと、
各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に前記動作内容を関連付けることと、を含む、請求項1または請求項2に記載の空調制御方法。
【請求項4】
前記動作内容データベースを生成するステップをさらに備え、
前記生成するステップは、
人が適切に感じる温度および湿度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度および適切な湿度の範囲を特定することと、
各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に前記動作内容を関連付けることと、
設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する前記動作内容に関連付けられた特性のそれぞれに、当該特性に対して特定された適切な湿度の範囲が低いほど、設定時刻前の冷房動作の設定温度として低い温度を関連付けることと、を含み、
前記客室の空気調和装置を制御するステップは、前記客室の空気調和装置を前記客室の宿泊客の特性に関連付けられた前記設定時刻前の冷房動作の設定温度に従って制御することを含む、請求項1または請求項2に記載の空調制御方法。
【請求項5】
前記各特性に前記動作内容を関連付けることは、
第1の特性に、設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する前記動作内容を関連付けることと、
特性された適切な温度が前記第1の特性よりも高い第2の特性に、設定時刻前の冷房動作を実行しないことを規定する前記動作内容を関連付けることと、を含む、請求項3または請求項4に記載の空調制御方法。
【請求項6】
前記生成するステップは、
適切な温度が特定されない特性に、設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する前記動作内容を関連付けることを含む、請求項3~請求項5のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項7】
空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される方法であって、
宿泊施設の予約情報から客室の設定時刻を取得するステップと、
前記宿泊施設の予約情報から前記宿泊客の特性を取得するステップと、
前記客室の設定時刻の一定時間前に、前記客室内の温度が特定の温度以下であるか否かを判断するステップと、
前記客室内の温度が前記特定の温度以下であるという判断に基づいて、空気調和装置の1以上の動作内容を格納する動作内容データベースにアクセスするステップと、を備え、
前記1以上の動作内容のそれぞれは、1以上の宿泊客のそれぞれの特性に関連付けられ、かつ、宿泊客の設定時刻前に暖房動作を実行するか否かを規定しており、
前記方法は、
取得された前記特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の暖房動作を実行することを規定している場合に、前記客室の設定時刻の一定時間前に、暖房動作を実行するように前記客室の空気調和装置を制御するステップをさらに備える、空調制御方法。
【請求項8】
取得された前記特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の暖房動作を実行しないことを規定している場合に、前記客室の設定時刻の一定時間前に、動作の停止を指示する信号を前記客室の空気調和装置に向けて送信するステップをさらに備える、請求項7に記載の空調制御方法。
【請求項9】
前記動作内容データベースを生成するステップをさらに備え、
前記生成するステップは、
人が適切に感じる温度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度を特定することと、
各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に前記動作内容を関連付けることと、を含む、請求項7または請求項8に記載の空調制御方法。
【請求項10】
前記動作内容データベースを生成するステップをさらに備え、
前記生成するステップは、
人が適切に感じる温度および湿度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度および適切な湿度の範囲を特定することと、
各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に前記動作内容を関連付けることと、
設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する前記動作内容に関連付けられた特性のそれぞれに、当該特性に対して特定された適切な湿度の範囲が高いほど、設定時刻前の暖房動作の設定温度として高い温度を関連付けることと、を含み、
前記客室の空気調和装置を制御するステップは、前記客室の空気調和装置を前記客室の宿泊客の特性に関連付けられた前記設定時刻前の暖房動作の設定温度に従って制御することを含む、請求項7または請求項8に記載の空調制御方法。
【請求項11】
前記各特性に前記動作内容を関連付けることは、
第1の特性に、設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する前記動作内容を関連付けることと、
特性された適切な温度が前記第1の特性よりも低い第2の特性に、設定時刻前の暖房動作を実行しないことを規定する前記動作内容を関連付けることと、を含む、請求項9または請求項10に記載の空調制御方法。
【請求項12】
前記生成するステップは、
適切な温度を特定されない特性に、設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する前記動作内容を関連付けることを含む、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項13】
前記特性は、宿泊客の国籍、年代、および性別の中の少なくとも一つを含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項14】
空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される方法であって、
宿泊施設の予約情報から客室の宿泊客の設定時刻を取得するステップと、
前記客室の位置に関する特性を取得するステップと、
取得された前記特性および前記客室内の温度を学習済の識別器に対して入力することにより、前記設定時刻の前記客室内の予測温度を取得するステップと、
前記客室内の予測温度と予め定められた基準温度との比較結果に従って、前記設定時刻の一定時間前に前記客室の空気調和装置に空調動作を実行させるか否かを決定するステップと、
前記客室の空気調和装置に空調動作を実行させるとの決定に基づいて、前記客室の空気調和装置を空調動作の実行するように制御するステップと、を備え、
前記識別器は、所与の時刻の前記客室内の温度とともに客室の特性が入力された場合に、前記所与の時刻から一定時間後の時刻の前記客室内の予測温度を出力するように、教師データを用いた学習処理が施されている、空調制御方法。
【請求項15】
前記決定するステップは、
前記客室内の予測温度が予め定められた冷房用の基準温度より高い場合には、前記客室の空気調和装置に前記空調動作として冷房動作を実行させることを決定すること、および、
前記客室内の予測温度が予め定められた暖房用の基準温度より低い場合には、前記客室の空気調和装置に前記空調動作として暖房動作を実行させることを決定すること、
の少なくとも一方を含む、請求項14に記載の空調制御方法。
【請求項16】
前記特性は、前記客室が前記宿泊施設において位置する階、および、前記客室の前記宿泊施設内の水平面における場所のうち少なくとも1つを含む、請求項14または請求項15に記載の空調制御方法。
【請求項17】
前記識別器は、所与の時刻の前記客室内の温度に加えて前記所与の時刻の前記客室内の湿度および前記客室外の温度がとともに客室の特性が入力された場合に、前記所与の時刻から一定時間後の時刻の前記客室内の予測温度に加えて、前記客室内の予測湿度および客室外の予測温度を出力するように、教師データを用いた学習処理が施されており、
前記決定するステップは、前記客室内の予測温度と前記基準温度との比較結果に加えて、前記客室内の予測湿度と予め定められた基準湿度との比較結果、および、前記客室外の予測温度と予め定められた規定温度との比較結果、のうち少なくとも一方に従って、前記客室の空気調和装置に空調動作を実行させるか否かを決定することを含む、請求項14~請求項16のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項18】
前記客室における宿泊客のチェックインの後、所与の時間以上前記客室の空気調和装置に対する操作がなかった場合に、直前の特定の時間における前記客室内の温度の履歴を用いて、前記客室の設定温度である自動設定温度を算出するステップと、
前記自動設定温度に従って前記空気調和装置を制御するステップとをさらに備える、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項19】
前記客室における宿泊客のチェックインの後、前記客室の空気調和装置の室外機の負荷率が所与の値を超えた場合に、前記客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示すときに前記客室の空気調和装置の暖房動作の設定温度を下げることによって、または、前記客室の宿泊客の特性が寒がりであることを示すときに前記客室の空気調和装置の冷房動作の設定温度を上げることによって、前記客室の空気調和装置の消費電力を低下させるように、前記自動設定温度を修正するステップをさらに備える、請求項18に記載の空調制御方法。
【請求項20】
前記客室における宿泊客のチェックインの後、前記客室の温度が一定温度以下である場合、前記客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示すときには、前記客室の空気調和装置を停止させ、前記客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示さないときには、前記客室の空気調和装置を予め定められた態様で動作させる、ステップをさらに備える、請求項1~請求項19のいずれか1項に記載の空調制御方法。
【請求項21】
請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の空調制御方法をコンピュータに実現させる、プログラム。
【請求項22】
プロセッサと、
請求項21に記載のプログラムを格納したメモリと、を備える空調制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御に関し、より特定的には、宿泊施設の客室の空調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宿泊施設における、複数の客室の空調を集中管理に関する技術が種々検討されている。たとえば、特開2003-279101号公報(特許文献1)は、客室内の光量に基づいて宿泊客が就寝中であるか否かを判断し、就寝中であると判断すると、設定温度を季節に併せて補正する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宿泊施設は、顧客満足度の向上のため、ホスピタリティ向上のための技術を常に必要としている。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、宿泊施設の空調制御に関するホスピタリティ向上のための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される空調制御方法が提供される。空調制御方法は、宿泊施設の予約情報から客室の設定時刻を取得するステップと、宿泊施設の予約情報から宿泊客の特性を取得するステップと、客室の設定時刻の一定時間前に、客室内の温度が所与の温度以上であるか否かを判断するステップと、客室内の温度が所与の温度以上であるという判断に基づいて、空気調和装置の1以上の動作内容を格納する動作内容データベースにアクセスするステップと、を備える。1以上の動作内容のそれぞれは、1以上の宿泊客のそれぞれの特性に関連付けられ、かつ、客室の設定時刻前に冷房動作を実行するか否かを規定している。方法は、取得された特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の冷房動作を実行することを規定している場合に、設定時刻の一定時間前に、冷房動作を実行するように客室の空気調和装置を制御するステップをさらに備える。
【0007】
空調制御方法は、取得された特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の冷房動作を実行しないことを規定している場合に、設定時刻の一定時間前に、動作の停止を指示する信号を客室の空気調和装置に向けて送信するステップをさらに備えていてもよい。
【0008】
空調制御方法は、動作内容データベースを生成するステップをさらに備えていてもよい。生成するステップは、人が適切に感じる温度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度を特定することと、各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に動作内容を関連付けることと、を含んでいてもよい。
【0009】
空調制御方法は、動作内容データベースを生成するステップをさらに備えていてもよい。生成するステップは、人が適切に感じる温度および湿度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度および適切な湿度の範囲を特定することと、各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に動作内容を関連付けることと、設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する動作内容に関連付けられた特性のそれぞれに、当該特性に対して特定された適切な湿度の範囲が低いほど、設定時刻前の冷房動作の設定温度として低い温度を関連付けることと、を含んでいてもよい。客室の空気調和装置を制御するステップは、客室の空気調和装置を客室の宿泊客の特性に関連付けられた設定時刻前の冷房動作の設定温度に従って制御することを含んでいてもよい。
【0010】
各特性に動作内容を関連付けることは、第1の特性に、設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する動作内容を関連付けることと、特性された適切な温度が第1の特性よりも高い第2の特性に、設定時刻前の冷房動作を実行しないことを規定する動作内容を関連付けることと、を含んでいてもよい。
【0011】
生成するステップは、適切な温度が特定されない特性に、設定時刻前の冷房動作を実行することを規定する動作内容を関連付けることを含んでいてもよい。
【0012】
本開示の他の局面に従うと、空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される空調制御方法が提供される。空調制御方法は、宿泊施設の予約情報から客室の設定時刻を取得するステップと、宿泊施設の予約情報から宿泊客の特性を取得するステップと、客室の設定時刻の一定時間前に、客室内の温度が特定の温度以下であるか否かを判断するステップと、客室内の温度が特定の温度以下であるという判断に基づいて、空気調和装置の1以上の動作内容を格納する動作内容データベースにアクセスするステップと、を備える。1以上の動作内容のそれぞれは、1以上の宿泊客のそれぞれの特性に関連付けられ、かつ、宿泊客の設定時刻前に暖房動作を実行するか否かを規定している。方法は、取得された特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の暖房動作を実行することを規定している場合に、客室の設定時刻の一定時間前に、暖房動作を実行するように客室の空気調和装置を制御するステップをさらに備える。
【0013】
空調制御方法は、取得された特性に関連付けられた動作内容が設定時刻前の暖房動作を実行しないことを規定している場合に、客室の設定時刻の一定時間前に、動作の停止を指示する信号を客室の空気調和装置に向けて送信するステップをさらに備えていてもよい。
【0014】
空調制御方法は、動作内容データベースを生成するステップをさらに備えていてもよい。生成するステップは、人が適切に感じる温度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度を特定することと、各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に動作内容を関連付けることと、を含んでいてもよい。
【0015】
空調制御方法は、動作内容データベースを生成するステップをさらに備えていてもよい。生成するステップは、人が適切に感じる温度および湿度と人の特性とを含むデータセットを用いて、特性ごとに適切な温度および適切な湿度の範囲を特定することと、各特性に対して特定された適切な温度に従って、各特性に動作内容を関連付けることと、設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する動作内容に関連付けられた特性のそれぞれに、当該特性に対して特定された適切な湿度の範囲が高いほど、設定時刻前の暖房動作の設定温度として高い温度を関連付けることと、を含んでいてもよい。客室の空気調和装置を制御するステップは、客室の空気調和装置を客室の宿泊客の特性に関連付けられた設定時刻前の暖房動作の設定温度に従って制御することを含んでいてもよい。
【0016】
各特性に動作内容を関連付けることは、第1の特性に、設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する動作内容を関連付けることと、特性された適切な温度が第1の特性よりも低い第2の特性に、設定時刻前の暖房動作を実行しないことを規定する動作内容を関連付けることと、を含んでいてもよい。
【0017】
生成するステップは、適切な温度を特定されない特性に、設定時刻前の暖房動作を実行することを規定する動作内容を関連付けることを含んでいてもよい。
【0018】
特性は、宿泊客の国籍、年代、および性別の中の少なくとも一つを含んでいてもよい。
本開示のさらに他の局面に従うと、空気調和装置を制御するコンピュータによって実行される空調制御方法が提供される。空調制御方法は、宿泊施設の予約情報から客室の宿泊客の設定時刻を取得するステップと、客室の位置に関する特性を取得するステップと、取得された特性および客室内の温度を学習済の識別器に対して入力することにより、設定時刻の客室内の予測温度を取得するステップと、客室内の予測温度と予め定められた基準温度との比較結果に従って、設定時刻の一定時間前に客室の空気調和装置に空調動作を実行させるか否かを決定するステップと、客室の空気調和装置に空調動作を実行させるとの決定に基づいて、客室の空気調和装置を空調動作の実行するように制御するステップと、を備える。識別器は、所与の時刻の客室内の温度とともに客室の特性が入力された場合に、所与の時刻から一定時間後の時刻の客室内の予測温度を出力するように、教師データを用いた学習処理が施されている。
【0019】
決定するステップは、客室内の予測温度が予め定められた冷房用の基準温度より高い場合には、客室の空気調和装置に空調動作として冷房動作を実行させることを決定すること、および、客室内の予測温度が予め定められた暖房用の基準温度より低い場合には、客室の空気調和装置に空調動作として暖房動作を実行させることを決定すること、の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0020】
特性は、客室が宿泊施設において位置する階、および、客室の宿泊施設内の水平面における場所のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0021】
識別器は、所与の時刻の客室内の温度に加えて所与の時刻の客室内の湿度および客室外の温度がとともに客室の特性が入力された場合に、所与の時刻から一定時間後の時刻の客室内の予測温度に加えて、客室内の予測湿度および客室外の予測温度を出力するように、教師データを用いた学習処理が施されていてもよい。決定するステップは、客室内の予測温度と基準温度との比較結果に加えて、客室内の予測湿度と予め定められた基準湿度との比較結果、および、客室外の予測温度と予め定められた規定温度との比較結果、のうち少なくとも一方に従って、客室の空気調和装置に空調動作を実行させるか否かを決定することを含んでいてもよい。
【0022】
空調制御方法は、客室における宿泊客のチェックインの後、所与の時間以上客室の空気調和装置に対する操作がなかった場合に、直前の特定の時間における客室内の温度の履歴を用いて、客室の設定温度である自動設定温度を算出するステップと、自動設定温度に従って空気調和装置を制御するステップとをさらに備えていてもよい。
【0023】
空調制御方法は、客室における宿泊客のチェックインの後、客室の空気調和装置の室外機の負荷率が所与の値を超えた場合に、客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示すときに客室の空気調和装置の暖房動作の設定温度を下げることによって、または、客室の宿泊客の特性が寒がりであることを示すときに客室の空気調和装置の冷房動作の設定温度を上げることによって、客室の空気調和装置の消費電力を低下させるように、自動設定温度を修正するステップをさらに備えていてもよい。
【0024】
空調制御方法は、客室における宿泊客のチェックインの後、客室の温度が一定温度以下である場合、客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示すときには、客室の空気調和装置を停止させ、客室の宿泊客の特性が暑がりであることを示さないときには、客室の空気調和装置を予め定められた態様で動作させる、ステップをさらに備えていてもよい。当該ステップは、制御対象の空気調和装置が暖房の動作中であるときにのみ実行されてもよい。また、当該ステップは、冬季用の制御(または、中間期などの、夏季用の以外の制御)が実施されているときにのみ実行されてもよい。
【0025】
本開示のさらに他の局面に従うと、上記空調制御方法をコンピュータに実現させる、プログラムが提供される。
【0026】
本開示のさらに他の局面に従うと、プロセッサと、上記プログラムを格納したメモリと、を備える空調制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本開示のある局面によれば、客室の空気調和装置は、宿泊客の特性から必要と判断される場合に、客室に対する設定時刻前から動作する。これにより、客室に対する設定時刻における客室の温度が宿泊客の特性から想定される適切な温度に近づけられ、宿泊施設の空調制御に関するホスピタリティが向上され得る。
【0028】
本開示の別の局面によれば、客室の空気調和装置は、当該客室の位置に関する特性に従って必要と判断される場合に、客室に対する設定時刻前から動作する。これにより、客室が空調に時間を要することが想定される位置にある場合でも、客室に対する設定時刻における客室の温度を宿泊に適した温度とすることができ、宿泊施設の空調制御に関するホスピタリティが向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】空調制御システムの全体構成を示す図である。
【
図2】空調制御装置300のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】予約情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【
図4】動作内容データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【
図5】宿泊客タイプ分類情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【
図6】空調制御装置300が実行する処理の一例のフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS606のサブルーチンのフローチャートである。
【
図8】
図6のステップS608のサブルーチンのフローチャートである。
【
図9】ステップS900のサブルーチンのフローチャートである。
【
図11】クラスタリングの工程および結果の一例を模式的に示す図である。
【
図12】ある特性(国籍がX国である)を有する人たちの好みの温度についてのアンケート結果の一例を示す図である。
【
図13】ある特性(国籍がX国である)を有する人たちの好みの湿度についてのアンケート結果の一例を示す図である。
【
図14】各特性の温度および湿度の代表値に対してタイプを特定するための、温度および湿度のグラフの一例を示す図である。
【
図15】各特性を有する人の好みの温度に基づいて特定された、各特性に対するタイプの一例を示す図である。
【
図16】クラスタリングの工程および結果の他の例を模式的に示す図である。
【
図17】
図16の結果に基づいて生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
【
図18】
図17の例に対して、考慮される特性を構成する属性として年齢の代わりに性別が採用された場合に、生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
【
図19】
図17の例に対して、特性としてさらに性別が考慮された場合に、生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
【
図20】
図7の処理の第1の変形例のフローチャートである。
【
図21】
図7の処理の第2の変形例のフローチャートである。
【
図22】客室情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図23】空調制御装置300が実行する処理の他の例のフローチャートである。
【
図24】機械学習モデルの生成方法および利用方法を概略的に説明するための図である。
【
図26】機械学習モデルの変形例の生成方法および利用方法を概略的に説明するための図である。
【
図27】
図25の処理の第1の変形例のフローチャートである。
【
図28】
図25の処理の第2の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照しつつ、空調制御装置の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0031】
[1.空調制御システムの構成]
図1を参照して、本開示の空調制御装置を含む空調制御システムの全体構成の一例を説明する。
図1は、空調制御システムの全体構成を示す図である。
【0032】
空調制御システム1は、ホテルなどの宿泊施設の2以上の空気調和装置のそれぞれの動作を制御する。宿泊施設は、2以上の客室500を含む。2以上の客室500のそれぞれには、空気調和装置の室内機510と、室内機510に対する動作指示を入力するためのコントローラ520と、客室500内の温度および湿度を検出するためのセンサ530とが設置されている。センサ530は、室内機510と一体的に構成されていてもよい。本明細書では、客室500内の温度が「室内温度」と称され、客室500内の湿度が「室内湿度」と称される場合がある。
【0033】
空調制御システム1は、客室500の外の温度および湿度を検出するためのセンサ400を含む。本明細書では、客室500の外の温度は「室外温度」と称される場合がある。
【0034】
宿泊施設は、空気調和装置の室外機700をさらに含む。1台の室外機700は、1台の室内機510を動作させてもよいし、2台以上の室内機510を動作させてもよい。
【0035】
空調制御システム1は、予約情報管理装置100と、中央管理装置200と、空調制御装置300とを含む。予約情報管理装置100は、宿泊施設の予約情報を格納する。予約情報管理装置100は、たとえば汎用のコンピュータによって実現される。予約情報管理装置100には、ネットワーク900を介して外部の情報処理装置から予約情報が登録されてもよいし、予約情報管理装置100の入力装置が操作されることによって予約情報が登録されてもよい。
【0036】
中央管理装置200は、1以上の室内機510のそれぞれと接続され、1以上の室内機510のそれぞれに動作を制御するための信号を送信する。室内機510は、中央管理装置200からの信号に従って、室内機510の動作を制御するとともに、当該室内機510を動作させる室外機700の動作を制御する。したがって、室内機510に送信される信号に従って、室内機510および室外機700によって構成される空気調和装置が制御され得る。
【0037】
室内機510は、当該室内機510の動作において、中央管理装置200からの信号よりもコントローラ520からの信号を優先して利用してもよい。すなわち、室内機510は、中央管理装置200からある指示を受信しても、当該室内機510と同じ室内に設置されたコントローラ520に当該指示とは相反する指示が入力された場合には、コントローラ520に入力された指示に従って動作してもよい。たとえば、室内機510は、中央管理装置200から冷房の指示を受信しても、コントローラ520に動作を停止する指示が入力された場合には、当該室内機510の動作を停止させてもよい。
【0038】
空調制御装置300は、中央管理装置200を介して、2以上の室内機510のそれぞれの動作を制御する。空調制御装置300は、室内機510の動作の制御に、センサ530およびセンサ400によって検出される温度および湿度を利用してもよい。
【0039】
[2.空調制御装置のハードウェア構成]
図2を参照して、空調制御装置300の構成の一例を説明する。
図2は、空調制御装置300のハードウェア構成を示す図である。
【0040】
空調制御装置300は、たとえば汎用のコンピュータによって実現される。空調制御装置300は、プロセッサ301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、HDD(ハードディスクドライブ)304と、通信インターフェース(IF)305と、入力装置306と、出力装置307とを含む。
【0041】
プロセッサ301は、所与のプログラムを実行することによって空調制御装置300の動作を制御する。ROM302は、プロセッサ301が実行するプログラムを格納する。RAM303は、プロセッサ301によるの実行の作業領域として機能する。HDD304は、プロセッサ301が実行するプログラム(プログラム310)および当該プログラムの実行に利用されるデータを格納する。なお、プロセッサ301によって実行されるプログラム310は、空調制御装置300の本体から着脱可能な記録媒体(たとえば、USB(Universal Serial Bus)メモリ)に格納されていてもよい。
【0042】
通信IF305は、たとえばネットワークカードによって実現される、空調制御装置300を他の装置と通信させる。入力装置306は、たとえばキーボードおよび/またはマウスによって実現され、空調制御装置300への情報の入力を受け付ける。出力装置307は、たとえばディスプレイおよび/またはスピーカによって実現され、空調制御装置300から出力される情報の画像を表示し、および/または、音声を出力する。
【0043】
[3.予約情報のデータ構造例]
次に、
図3を参照して、予約情報管理装置100に格納される予約情報のデータ構造の一例を説明する。予約情報は、宿泊施設における宿泊の予約に関するデータを含む。
図3は、予約情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【0044】
図3に示されるように、予約情報では、行毎に、部屋番号、氏名、国籍、年齢、性別、チェックイン日、チェックイン予定時刻、および、チェックアウト日のそれぞれのデータが互いに関連付けられている。
【0045】
部屋番号は、宿泊施設の各客室500を識別する。氏名、国籍、年齢、および、性別のそれぞれは、各客室500の宿泊客の氏名、国籍、年齢、および、性別を表す。
【0046】
国籍、年齢、および、性別のそれぞれは、宿泊客の特性の一例である。本実施の形態において、宿泊客の特性とは、宿泊客の嗜好に影響を与えることが想定される事項であり、宿泊客に関する少なくとも1種類の属性によって特定され得る。一例では、宿泊客の特性は、宿泊客の国籍、年代、および性別の中の少なくとも一つを含む。
【0047】
チェックイン日およびチェックイン予定時刻のそれぞれは、宿泊客のチェックインの日および当該日において宿泊客が宿泊施設にチェックインすることを予定している時刻のそれぞれを表す。チェックアウト日は、宿泊客がチェックアウトすることを予定している日を表す。
【0048】
チェックイン予定時刻(およびチェックイン日)は、客室の温度のある程度の調整を完了させる目標の時刻(すなわち、客室に対する「設定時刻」の一例)である。設定時刻は、客室に対して設定されている時刻であれば、チェックイン予定時刻に限定されず、宿泊施設側によって設定されたチェックイン可能時刻であってもよいし、他にいかなる者から設定され得る任意で時刻であってもよい。
【0049】
たとえば、
図3の例では、部屋番号1201には、鈴木一郎という氏名を有する宿泊客が関連付けられている。当該宿泊客の国籍は「A国」であり、年齢は37歳であり、性別は男性である。また、当該宿泊客は、2020年8月1日(チェックイン日)から2020年8月2日(チェックアウト日)までの滞在を予定しており、チェックイン日におけるチェックイン予定時刻として15時30分が登録されている。
【0050】
[4.動作内容データベースのデータ構造例]
次に、
図4を参照して、空調制御装置300が室内機510の動作の制御に利用する動作内容データベースの、データ構造の一例を説明する。
図4は、動作内容データベースのデータ構造を模式的に示す図である。動作内容データベースは、たとえば空調制御装置300のHDD304に格納されている。
【0051】
動作内容データベースは、タイプ1~5の5種類のタイプのそれぞれに、室内機510の動作内容(予冷、予熱、入室後(夏季)、および、入室後(冬季))を関連付ける。
【0052】
タイプ1~5のそれぞれは、宿泊客のタイプを表す。一実現例では、タイプ2,4は暑がりな宿泊客の特性に対応し、タイプ1,3は寒がりな宿泊客の特性に対応する。タイプ2,3のそれぞれは、快適だと感じる湿度がタイプ1,4のそれぞれよりも低い、宿泊客の特性に対応する。
【0053】
動作内容の中の「予冷」および「予熱」のそれぞれは、チェックイン前の冷房動作および暖房動作のそれぞれを意味する。動作内容データベースの「予冷」および「予熱」のそれぞれの値として、各動作をする/しないを特定する情報、および、各動作をする場合の設定温度を表す情報が登録されている。
【0054】
たとえば、タイプ1の予冷「しない」は、タイプ1の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510には、宿泊客のチェックイン前の冷房動作を実行させないことを意味する。タイプ1の予熱「する(23℃)」は、タイプ1の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510には、宿泊客のチェックイン前の暖房動作を実行させ、かつ、当該暖房動作における設定温度として23℃が規定されていることを意味する。
【0055】
また、タイプ2の予冷「する(16℃)」は、タイプ2の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510には、宿泊客のチェックイン前の冷房動作を実行させ、当該冷房動作における設定温度として16℃が規定されていることを意味する。タイプ2の予熱「しない」は、タイプ2の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510には、宿泊客のチェックイン前の暖房動作を実行させないことを意味する。
【0056】
動作内容の中の「入室後(夏季)」および「入室後(冬季)」は、宿泊客のチェックイン後の室内機510の動作の内容を表す。空調制御装置300には、当日の制御が夏季用か冬季用であるかが、ユーザ(たとえば、宿泊施設の管理者)からの入力によって、または、予め定められたカレンダー情報に従って指定される。「入室後(夏季)」は夏季用の制御における動作内容を表し、「入室後(冬季)」は冬季用の制御における動作内容を表す。
【0057】
たとえば、タイプ1の入室後(夏季)の「冷房(28℃)」は、タイプ1の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510に冷房動作を実行させること、および、当該冷房動作の設定温度として28℃が設定されていることを意味する。タイプ1の入室後(冬季)の「暖房(22℃)」は、タイプ1の宿泊客が宿泊する客室500に設置された室内機510に暖房動作を実行させること、および、当該暖房動作の設定温度として22℃が規定されていることを意味する。
【0058】
[5.宿泊客タイプ分類情報]
次に、
図5を参照して、宿泊客タイプ分類情報のデータ構造の一例について説明する。
図5は、宿泊客タイプ分類情報のデータ構造を模式的に示す図である。
【0059】
図5に示されるように、宿泊客タイプ分類情報は、タイプ1~5のそれぞれに宿泊客の特性を関連付ける。
図5の例では、宿泊客の特性として、宿泊客の国籍が示されている。たとえば、タイプ1には国籍「A国」が関連付けられている。これにより、国籍がA国である宿泊客は、タイプ1に分類される。
【0060】
[6.宿泊客の特性に従った制御]
次に、各客室の空気調和装置の動作を当該客室の宿泊客の特性に従って制御するために空調制御装置300が実行する処理について説明する。
図6は、空調制御装置300が実行する処理の一例のフローチャートである。空調制御装置300は、たとえばプロセッサ301が所与のプログラムを実行することによって、
図6の処理を実現させる。
【0061】
図6を参照して、ステップS600にて、空調制御装置300は、宿泊客タイプ分類情報(
図5)を生成する。宿泊客タイプ分類情報は、宿泊施設の管理者が当該管理者によって設定された宿泊客の特性の分類を空調制御装置300に入力することによって生成されてもよいし、後述されるクラスタリング等による分類に基づいて生成されてもよい。
【0062】
ステップS602以降の制御は、客室500に新しい宿泊客が向けられるたびに実行される。また、ステップS602以降の制御は、客室500ごとに実行される。
【0063】
ステップS602にて、空調制御装置300は、予約情報管理装置100にアクセスして、予約情報(
図3)から各客室500に関連付けられたチェックイン予定時刻を読み出す。
【0064】
ステップS604以降の制御は、客室500ごとに実行される。ステップS604にて、空調制御装置300は、各客室500について、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来したか否かを判断する。空調制御装置300は、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来している客室500があれば(ステップS604にてYES)、当該客室500について、ステップS606へ制御を進める。チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来していない客室500については(ステップS604にてNO)、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来するまでステップS604の制御を繰り返す。
【0065】
ステップS606にて、空調制御装置300は、客室500の予冷および予熱についての制御(予冷・予熱)を実行する。この制御の内容は、
図7を参照して後述する。
【0066】
ステップS606の制御の後、ステップS608にて、空調制御装置300は、客室500の温度を空調と想定される態様で自動制御するための制御(快適空調)を実行する。この制御の内容は、
図8および
図9を参照して後述する。ステップS608の後、空調制御装置300は
図6の処理を終了される。
【0067】
一実現例では、空調制御装置300は、ステップS600の制御を空調制御装置300の空調制御システム1における利用開始時のみに実行する。なお、空調制御装置300は、定期的に(たとえば、1年ごと)、または、空調制御システム1の管理者から指示が入力されたときに、ステップS600を再度実行してもよい。これにより、宿泊客タイプ分類情報が更新され得る。
【0068】
<1>予冷・予熱
図7を参照して、
図6のステップS606の制御の内容を説明する。
図7は、
図6のステップS606のサブルーチンのフローチャートである。
【0069】
ステップS700にて、空調制御装置300は、予約情報から、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客の特性を読み出す。空調制御装置300は、特性の一例として、宿泊客の国籍を読み出す。制御対象の客室500に複数人の宿泊客が関連付けられている場合、空調制御装置300は、当該複数人の宿泊客のうち代表者の国籍を読み出しても良い。
【0070】
ステップS702にて、空調制御装置300は、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプを特定する。空調制御装置300は、宿泊客タイプ分類情報から、ステップS700において読み出した宿泊客の特性に関連付けられているタイプを読み出すことにより、客室500に関連付けられた宿泊客のタイプを特定してもよい。
図5の例では、宿泊客タイプ分類情報は、国籍「A国」にタイプ「1」を関連付ける。この例では、宿泊客の国籍が「A国」である場合、宿泊客のタイプとして「1」が特定される。
【0071】
ステップS704にて、空調制御装置300は、たとえばセンサ530の検出出力に基づいて、客室500の室内温度が28℃以上であるか否かを判断する。空調制御装置300は、客室500の室内温度が28℃以上であると判断すると(ステップS704にてYES)、ステップS706へ制御を進め、そうでなければ(ステップS704にてNO)、ステップS710へ制御を進める。
【0072】
ステップS706にて、空調制御装置300は、動作内容データベース(
図4)にアクセスし、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予冷の設定が「する」であるか否かを判断する。
【0073】
図4では、タイプ「1」の予冷の設定は「しない」である。したがって、たとえば、上述のように宿泊客のタイプとして「1」が特定された場合、空調制御装置300は、当該宿泊客のタイプの予冷の設定は「する」ではないと判断する。
【0074】
空調制御装置300は、予冷の設定が「する」であると判断すると(ステップS706にてYES)、ステップS708へ制御を進め、そうでなければ、ステップS716へ制御を進める。
【0075】
ステップS708にて、空調制御装置300は、制御対象の客室500に設置されている室内機510(以下、「制御対象の室内機510」ともいう)に向けて、冷房動作を実行させるための指示(予冷運転信号)を送信する。室内機510に向けて信号を送信することは、空調制御装置300が、室内機510と直接通信して室内機510に当該信号を送信することであってもよいし、空調制御装置300が、中央管理装置200等の他の装置を介して室内機510に当該信号を送信することであってもよい。空調制御装置300または中央管理装置200から冷房動作の実行指示を受信すると、室内機510は冷房動作を実行する。その後、空調制御装置300はステップS716へ制御を進める。
【0076】
図4に示されるように、動作内容データベースには、予冷の設定「する」に加えて、冷房動作における設定温度が登録されていてもよい。空調制御装置300は、ステップS708にて送信する予冷運転信号に、当該冷房動作における設定温度を含めてもよい。これに応じて、室内機510は、客室500の温度を当該設定温度にするための冷房動作を実行する。
【0077】
たとえば、
図4では、タイプ「2」の予冷は、設定「する」に加えて、設定温度「16℃」を含む。この場合、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプが「2」である場合、空調制御装置300は、室内機510に向けて送信する予冷運転信号に、設定温度「16℃」を含めてもよい。
【0078】
ステップS710にて、空調制御装置300は、たとえばセンサ530の検出出力に基づいて、制御対象の客室500の室内温度が20℃以下であるか否かを判断する。空調制御装置300は、制御対象の客室500の室内温度が20℃以下であると判断すると(ステップS710にてYES)、ステップS712へ制御を進め、そうでなければ(ステップS710にてNO)、ステップS716へ制御を進める。
【0079】
ステップS712にて、空調制御装置300は、動作内容データベース(
図4)にアクセスし、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予熱の設定が「する」であるか否かを判断する。空調制御装置300は、予熱の設定が「する」であると判断すると(ステップS712にてYES)、ステップS714へ制御を進め、そうでなければ(ステップS712にてNO)、ステップS716へ制御を進める。
【0080】
ステップS714にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、暖房動作を実行させるための指示(予熱運転信号)を送信する。空調制御装置300または中央管理装置200から暖房動作の実行指示を受信すると、室内機510は暖房動作を実行する。その後、空調制御装置300はステップS716へ制御を進める。
【0081】
図4に示されるように、動作内容データベースには、予熱の設定「する」に加えて、暖房動作における設定温度が登録されていてもよい。空調制御装置300は、ステップS714にて送信する予熱運転信号に、当該暖房動作における設定温度を含めてもよい。これに応じて、室内機510は、客室500の温度を当該設定温度にするための暖房動作を実行してもよい。
【0082】
ステップS716にて、空調制御装置300は、宿泊施設において宿泊客のチェックインおよびチェックアウトを管理するコンピュータにアクセスすることにより、制御対象の客室500に宿泊客がチェックインしたか否かを判断する。一実現例では、上記コンピュータは、たとえば、宿泊施設の従業員によって操作される。従業員は宿泊客のチェックインを受け付けると、上記コンピュータに当該宿泊客のチェックインを登録する。上記コンピュータは、宿泊客によって操作されてもよく、宿泊客は、宿泊施設に到着したときなどに上記コンピュータにチェックインを登録してもよい。
【0083】
空調制御装置300は、制御対象の客室500に宿泊客がチェックインしたと判断するまでステップS716の制御を繰り返し(ステップS716にてNO)、制御対象の客室500に宿泊客がチェックインしたと判断すると(ステップS716にてYES)、ステップS718へ制御を進める。
【0084】
ステップS718にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、予冷または予熱を解除するための信号(解除信号)を送信する。その後、空調制御装置300は
図6へ制御をリターンさせる。
【0085】
解除信号を受信すると、室内機510は、それまでの動作を継続しながら、コントローラ520からの指示を受付可能な状態に制御される。すなわち、室内機510は、予冷運転信号または予熱運転信号よりも、客室500に入った宿泊客がコントローラ520を操作して入力した指示を優先させる。
【0086】
以上、
図7を参照して説明された処理によれば、チェックイン前の客室の温度制御により、チェックイン予定時刻の客室の温度が宿泊客の特性に応じて制御され得る。これにより、宿泊客が初めて客室に入るときに、宿泊客に対して適切な温度に制御された客室が提供され得る。初めての入室時の印象は、客室に対する第一印象と言うことができ、宿泊客の客室に対する全体的な印象に大きく寄与し得る。空調制御システム1は、チェックイン前の客室の温度制御により、宿泊客の客室に対する印象の向上に大きく寄与し得る。
【0087】
なお、
図7を参照して説明された処理では、空調制御装置300は、宿泊客のタイプがタイプ2,4,または5である場合、宿泊客のチェックイン前に客室500において室内機510に冷房動作を実行させる。タイプ2,4は、暑がりな宿泊客の特性に対応し、タイプ5は、暑がりにも寒がりにも対応していない。すなわち、宿泊客の特性が、暑がりに対応するか、または、暑がりにも寒がりにも関連付けられていない場合に、チェックイン前の冷房動作が実行される。
【0088】
上記冷房動作における設定温度は、タイプ2が最も低く、次にタイプ4が低い。すなわち、快適に感じる湿度が低いほど、上記冷房動作において低い温度が設定温度として採用され得る。なお、上記冷房動作における設定温度は、宿泊客のタイプに拘わらず一定であってもよい。
【0089】
一方、空調制御装置300は、宿泊客のタイプが1または3である場合、宿泊客のチェックイン前の客室500のでは室内機510に冷房動作を実行させない。
【0090】
また、空調制御装置300は、宿泊客のタイプがタイプ1,3,または5である場合、宿泊客のチェックイン前に客室500において室内機510に暖房動作を実行させる。タイプ1,3は、寒がりな宿泊客の特性に対応し、タイプ5は、暑がりにも寒がりにも対応していない。すなわち、宿泊客の特性が、寒がりに対応するか、または、暑がりにも寒がりにも関連付けられていない場合に、チェックイン前の暖房動作が実行される。
【0091】
上記暖房動作における設定温度は、タイプ1が最も高く、次にタイプ3が高い。すなわち、快適に感じる湿度が高いほど、上記暖房動作において高い温度が設定温度として採用され得る。なお、上記暖房動作における設定温度は、宿泊客のタイプに拘わらず一定であってもよい。
【0092】
<2>快適空調
図8を参照して、
図6のステップS608の制御の内容を説明する。
図8は、
図6のステップS608のサブルーチンのフローチャートである。
図8の処理は、各客室500に関連付けられた宿泊客がチェックインしたことに応じて開始されてもよい。
【0093】
ステップS800にて、空調制御装置300は、「室外温度が18℃以下であり、かつ、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプが2または4である」という条件が満たされるか否かを判断する。空調制御装置300は、当該条件が満たされたと判断すると(ステップS800にてYES)、ステップS804へ制御を進め、そうでなければ(ステップS800にてNO)、ステップS900へ制御を進める。
【0094】
ステップS804にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて動作停止信号を送信する。動作停止信号は、冷房および暖房の動作の停止を指示する信号である。動作停止信号を受信すると、室内機510は、冷房および暖房の動作を停止する。その後、空調制御装置300はステップS806へ制御を進める。
【0095】
なお、ステップS804では、空調制御装置300は、制御対象の室内機510が暖房の動作中であるときのみ、当該室内機510の動作を停止し、冷房の動作中であるときには、室内機510の動作を停止しなくてもよい。
【0096】
また、空調制御装置300は、ステップS800における判断およびステップS804における制御を、冬季用の制御(または、中間期などの、夏季用の以外の制御)を実施しているときにのみ実行してもよい。
【0097】
ステップS900にて、空調制御装置300は、最適運転信号を生成する。最適運転信号は、室内機510を宿泊客にとって最適と想定される態様で動作させるための信号である。最適運転信号の生成については、
図9を参照して後述する。その後、空調制御装置300はステップS802へ制御を進める。
【0098】
ステップS802にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、ステップS900において生成された最適運転信号を送信する。その後、空調制御装置300はステップS806へ制御を進める。
【0099】
ステップS806にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510のコントローラ520に対して操作があったか否かを判断する。空調制御装置300は、操作があったと判断すると(ステップS806にてYES)、ステップS808へ制御を進め、そうでなければ(ステップS806にてNO)、ステップS800へ制御を戻す。
【0100】
ステップS808にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、最適運転解除信号を送信する。最適運転解除信号とは、室内機510に、コントローラ520に対する操作に従った動作を指示する信号である。室内機510は、最適運転解除信号を受信すると、コントローラ520に対する操作に従って動作する。
【0101】
ステップS810にて、空調制御装置300は、コントローラ520に対する最後の操作が行われてから60分が経過したか否かを判断する。空調制御装置300は、コントローラ520に対する最後の操作が行われてから60分が経過したと判断するまで(ステップS810にてNO)、ステップS810の判断を繰り返す。
【0102】
たとえば、空調制御装置300は、コントローラ520に対する操作がなされると60分のタイマの計時を開始する。空調制御装置300は、コントローラ520に対して新たな操作がなされると、上記タイマのカウントをリセットし、再度、上記タイマのカウントを初めから開始する。空調制御装置300は、上記タイマの60分のカウントが終了すると、最後の操作から60分が経過したと判断する。
【0103】
空調制御装置300は、コントローラ520に対する最後の操作から60分が経過したと判断すると(ステップS810にてYES)、ステップS900へ制御を進める。
【0104】
ステップS900にて、空調制御装置300は、最適運転信号を生成する。最適運転信号は、室内機510を宿泊客にとって最適と想定される態様で動作させるための信号である。最適運転信号の生成については、
図9を参照して後述する。その後、空調制御装置300はステップS812へ制御を進める。
【0105】
ステップS812にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、ステップS900において生成された最適運転信号を送信する。
【0106】
ステップS814にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510のコントローラ520に対して操作があったか否かを判断する。空調制御装置300は、操作があったと判断すると(ステップS814にてYES)、ステップS808へ制御を戻し、そうでなければ(ステップS814にてNO)、ステップS900へ制御を戻す。
【0107】
空調制御装置300は、宿泊施設において宿泊客のチェックインおよびチェックアウトを管理するコンピュータに定期的にアクセスすることにより、制御対象の客室500のチェックアウトが行われたか否かを判断してもよい。空調制御装置300は、
図8の処理を、制御対象の客室500についてチェックアウトが行われるまで継続させる。空調制御装置300は、チェックアウトが行われると、制御を
図6にリターンさせて、
図6の処理を終了させる。
【0108】
次に、ステップS900の制御(最適運転信号の生成)について説明する。
図9は、ステップS900のサブルーチンのフローチャートである。
【0109】
図9を参照して、空調制御装置300は、ステップS902にて、制御対象の客室500に対する基準設定温度(Tb)を読み出す。制御対象の客室500に対する基準設定温度(Tb)は、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプごとに設定される。より具体的には、基準設定温度(Tb)は、動作内容データベース(
図4)において、各タイプの「入室後(夏季)」または「入室後(冬季)」において設定される温度である。
【0110】
空調制御システム1では、空調制御装置300の各日の制御が夏季用であるか冬季用であるかが、宿泊施設の管理者などによって指定される。夏季用または冬季用であることを指定する情報は、たとえば、HDD304に格納される。空調制御装置300は、ステップS902にて、HDD304に格納される情報によって夏季用が指定される場合には「入室後(夏季)」に含まれる設定温度を、HDD304に格納される情報によって冬季用が指定される場合には「入室後(冬季)」に含まれる設定温度を、読み出しても良い。
【0111】
たとえば、
図4では、タイプ1の「入室後(夏季)」の設定温度として28℃が設定されている。したがって、空調制御装置300は、冬季用の制御の実施日には、タイプ1の宿泊客の客室500の基準設定温度Tbとして「28℃」を読み出す。
【0112】
ステップS904にて、空調制御装置300は、直前の2時間において、制御対象の客室500の温度の平均値(Ta)を算出する。空調制御装置300は、センサ530によって検出された温度、および、当該温度が検出された時間の長さに基づいて平均値Taを算出してもよい。たとえば、直前の2時間(120分)のうち、60分間の温度が26℃であり、60分間の温度が28℃である場合、平均値Taの算出結果は、次の式(1)に従って、27℃であってもよい。
【0113】
26℃×(60/120)+28℃×(60/120)=27℃ …(1)
また、直前の2時間(120分)のうち、30分間の温度が26℃であり、90分間の温度が28℃である場合、平均値Taの算出結果は、次の式(2)に従って、27.5℃であってもよい。
【0114】
26℃×(30/120)+28℃×(90/120)=27.5℃ …(2)
ステップS906にて、空調制御装置300は、次の式(3)に従って、新たな設定温度(Ts)を算出する。式(3)において、基準設定温度TbはステップS902において読み出した基準設定温度であり、平均値TaはステップS904において算出した平均値である。
【0115】
Ts=Ta+0.5(Tb-Ta) …(3)
たとえば、制御対象の室内機510がタイプ3の宿泊客に関連付けられている場合を想定する。
図4によれば、タイプ3について、夏季用の基準設定温度Tbは26℃である。夏季用の制御が実行されている場合、たとえば平均値Taが25℃であれば、新たな設定温度Tsは、次の式(3A)に示されるように25.5℃と算出される。
【0116】
Ts=25+0.5(26-25) …(3A)
また、
図4によれば、タイプ3について、冬季用の基準設定温度Tbは21℃である。冬季用の制御が実行されている場合、たとえば平均値Taが23℃であれば、新たな設定温度Tsは、次の式(3B)に示されるように22℃と算出される。
【0117】
Ts=23+0.5(21-23) …(3B)
次に、ステップS908にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510を動作させる室外機700の負荷率Laが予め定められた値Lxを超えたか否かを判断する。なお、空調制御装置300は、たとえば、室外機700において計測された電流値を室外機700における定格電流値で割ることによって、室外機700の負荷率Laを算出する。
【0118】
空調制御装置300は、負荷率Laが値Lxを超えたと判断すると(ステップS908にてYES)、ステップS910へ制御を進め、そうでなければ(ステップS908にてNO)、ステップS918へ制御を進める。
【0119】
ステップS918にて、空調制御装置300は、ステップS906において算出した新たな設定温度Tsを利用して最適制御信号を生成する。これにより、室内機510は、最適制御信号に従って動作した場合、客室500の温度をステップS906において算出された設定温度にすることを目標として冷房動作または暖房動作を実行する。その後、空調制御装置300は、
図8へ制御をリターンさせる。
【0120】
ステップS910にて、空調制御装置300は、「
図4において設定されている制御対象の室内機510の入室後の動作が『暖房』であり、かつ、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプが2または4である」という条件が満たされているか否かを判断する。宿泊客のタイプが2または4であるということは、宿泊客が暑がりであることを示すことの一例である。
【0121】
図4の例では、「入室後(夏季)」は、すべてのタイプについて冷房動作を規定し、また、「入室後(冬季)」は、すべてのタイプについて暖房動作を規定している。したがって、空調制御装置300は、当日の制御が冬季用であり、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプが2または4であれば、上記条件が満たされていると判断する。空調制御装置300は、上記条件が満たされていると判断すると(ステップS910にてYES)、ステップS912へ制御を進め、そうでなければ(ステップS910にてNO)、ステップS914へ制御を進める。
【0122】
ステップS912にて、空調制御装置300は、ステップS906において算出された設定温度Tsを、X(正の値)を差し引くことによって修正し、修正後の設定温度Tsを利用して最適運転信号を生成する。すなわち、ステップS912では、最適運転信号の生成に利用される設定温度Tsが、Xだけ低い温度へと更新される。その後、
図8へ制御をリターンさせる。Xの値は、空調制御システム1において適宜設定され得る。
【0123】
ステップS914にて、空調制御装置300は、「
図4において設定されている制御対象の室内機510の入室後の動作が『冷房』であり、かつ、制御対象の客室500に関連付けられた宿泊客のタイプが1または3である」という条件が満たされているか否かを判断する。宿泊客のタイプが1または3であるということは、宿泊客が寒がりであることを示すことの一例であり、また、宿泊客が暑がりであることを示さないことの一例である。空調制御装置300は、上記条件が満たされていると判断すると(ステップS914にてYES)、ステップS916へ制御を進め、そうでなければ(ステップS914にてNO)、ステップS918へ制御を進める。
【0124】
ステップS916にて、空調制御装置300は、ステップS906において算出された設定温度Tsを、Y(正の値)を加算することによって修正し、修正後の設定温度Tsを利用して最適運転信号を生成する。すなわち、ステップS916では、最適運転信号の生成に利用される設定温度Tsが、Yだけ高い温度へと更新される。その後、
図8へ制御をリターンさせる。Yの値は、空調制御システム1において適宜設定され得る。
【0125】
以上、
図8および
図9を参照して説明された処理では、ステップS802にて各客室の空気調和装置に向けて最適運転信号を送信することにより、各客室の空気調和装置を自動運転させる。ただし、室外温度が18℃以下であり、かつ、制御対象の客室に関連付けられた宿泊客がタイプ2または4に分類される場合、空調制御装置300は、当該客室の室内機510に動作を停止させる。タイプ2または4に分類される宿泊客は暑がりであることが想定される。暑がりの宿泊客は、多少肌寒い日であっても暖房を必要としない場合がある。空調制御装置300は、暑がりの宿泊客の客室では、多少肌寒い日であっても空気調和装置の自動的な運転を回避する。これにより、無駄な空気調和装置の自動運転が抑制され得る。
【0126】
また、60分間継続してコントローラ520に対する操作がなければ(ステップS810にてYES)、制御対象の室内機510に向けて最適運転信号が送信される。最適運転信号は、制御対象の室内機510を設定温度Tsに従って動作させるための信号である。設定温度Tsは、
図9を参照して説明されたように、制御対象の客室500の室内温度の直前2時間の平均値Taを用いて算出される。「60分間」は「所与の時間」の一例であり、「2時間」は「特定の時間」の一例であり、「平均値Ta」は「客室の温度の履歴」の一例である。「所与の時間」は、「特定の時間」と同じ長さの時間であってもよいし、「特定の時間」より長い時間であっても良い。これにより、宿泊客の就寝中など、比較的長い時間、コントローラ520に対して指示が無い場合に、客室の温度が、客室の温度の履歴に従った設定温度で自動的に制御され得る。
【0127】
なお、空調制御装置300は、設定温度Tsを適宜修正し得る。より具体的には、室外機700の負荷率Laが予め定められた値Lxを超えた場合、空調制御装置300は、暑がりの宿泊客(タイプ2,4)に対する暖房動作の設定温度Tsを、客室の温度の履歴に従って算出された値に対してXだけ低い温度になるように修正する。これにより、空調制御装置300は、設定温度を修正した客室の暖房動作に必要とされる電力量を低下させ、これにより、室外機700における負荷の上昇を極力抑える。また、空調制御装置300は、上記の場合、寒がりの宿泊客に対する冷房動作の設定温度Tsを、客室の温度の履歴に従って算出された値に対してYだけ高い温度になるように修正し、これにより、室外機700における負荷の上昇を極力抑える。
【0128】
[7.宿泊客タイプ分類情報の生成]
次に、宿泊客タイプ分類情報の生成方法の具体例について説明する。
【0129】
<1>アンケート結果のクラスタリング
1つ目の具体例では、宿泊客タイプ分類情報は、複数人に対して実施された客室の空調に関する快適性に関するアンケートの結果を利用して生成される。より具体的には、空調制御装置300は、このようなアンケートの結果のクラスタリングによって、適切な温度の範囲および適切な湿度の範囲を他の特性に対して分類できる特性を求める。そして、空調制御装置300は、適切な温度の範囲および湿度の範囲を他の特性に対して分類できた特性のそれぞれにタイプ1~4のいずれかを関連付ける。
【0130】
図10は、アンケートの内容の一例を示す図である。
図10のアンケート用紙1000は、メッセージ「ご滞在中のお部屋の空調の快適性について、以下の3項目にご記入ください。」とともに、アンケート回答者の氏名を記入する欄を含む。空調制御装置300は、予約情報(
図3)のように氏名を特性(たとえば、国籍、年齢、および/または性別)に関連付けるデータベースにアクセスすることにより、回答者の氏名に関連付けられた特性を取得してもよい。そして、空調制御装置300は、取得された特性とアンケートの回答結果とを関連付けて、結果のクラスタリングを実行してもよい。なお、氏名の代わりに部屋番号などの情報が取得されてもよい。また、アンケート用紙そのものに、回答者の特性が記載されてもよい。これにより、空調制御装置300は、アンケート用紙から回答者の特性を取得し得る。
【0131】
図10のアンケート用紙1000は、温度の好みを記入する部分([1]温度)を含む。当該部分には、温度について、「寒い」「涼しい」「やや涼しい」「どちらともいえない」「やや暖かい」「暖かい」および「暑い」の欄を含む。「どちらともいえない」には数値「0」が付されている。「寒い」「涼しい」「やや涼しい」「やや暖かい」「暖かい」および「暑い」のそれぞれには、温度がどの程度低いまたは高いと感じているかを回答するための数値(-3、-2、-1、+1、+2、および+3)が付されている。
【0132】
アンケート用紙1000は、湿度の好みを記入する部分([2]湿度)を含む。当該部分には、湿度について、「非常に乾いている」「乾いている」「やや乾いている」「どちらともいえない」「やや湿っている」「湿っている」および「非常に湿っている」の欄を含む。「どちらともいえない」には数値「0」が付されている。「非常に乾いている」「乾いている」「やや乾いている」「やや湿っている」「湿っている」および「非常に湿っている」のそれぞれには、湿度がどの程度低いまたは高いと感じているかを回答するための数値(-3、-2、-1、+1、+2、および+3)が付されている。
【0133】
アンケート用紙1000は、快適性について総合的な感想を記入する部分([3]快適度)を含む。当該部分には、快適度について、「非常に不快」「不快」「やや不快」「どちらともいえない」「やや快適」「快適」および「非常に快適」の欄を含む。「どちらともいえない」には数値「0」が付されている。「非常に不快」「不快」「やや不快」「やや快適」「快適」および「非常に快適」のそれぞれには、客室の空調がどの程度低いまたは高いと感じているかを回答するための数値(-3、-2、-1、+1、+2、および+3)が付されている。
【0134】
回答者は、温度および湿度が管理された空間において、アンケート用紙1000に対して各人の好みに対応する値を囲む丸印を記入することによって回答する。
図10の例では、温度については値「0」が、湿度については値「-2」が、快適度については値「0」が、それぞれ丸印で囲まれている。
【0135】
一実現例では、空調制御装置300は、クラスタリングにおいて、温度および湿度のそれぞれの数値が「0」である回答結果のみを利用してもよい。この場合、クラスタリングに利用されるデータのそれぞれは、回答時の環境の温度および湿度と回答者の特性とを含む。
【0136】
温度および/または湿度の数値の代わりに、快適度の結果が利用されてもよい。すなわち、空調制御装置300は、快適度の数値が「0」である回答結果を、温度および/または湿度の数値が「0」である回答結果として利用しても良い。
【0137】
他の実現例では、空調制御装置300は、クラスタリングにおいて、数値「0」の回答結果に加えて、数値「-1」~「-3」および「+1」~「+3」の回答結果も利用してもよい。一例では、クラスタリングに利用されるデータは、温度について、回答結果「-1」「-2」「-3」「+1」「+2」「+3」のそれぞれに対して、回答時の環境の温度に対して「-1℃」「-2℃」「-3℃」「+1℃」「+2℃」「+3℃」の補正が加えられた値を有していてもよい。また、クラスタリングに利用されるデータは、湿度について、回答結果「-1」「-2」「-3」「+1」「+2」「+3」のそれぞれに対して、回答時の環境の湿度に対して「-5%」「-10%」「-15%」「+5%」「+10%」「+15%」の補正が加えられた値を有していてもよい。
【0138】
図11は、クラスタリングの工程および結果の一例を模式的に示す図である。
図11の例では、クラスタリングによって4つの特性が分類されている。
【0139】
図11に示された例において、空調制御装置300は、所与のアルゴリズム(たとえば、k-means法)に従ったプログラムを実行することにより、機械学習モデル1100を実現する。
図11の例では、人の特性(国籍)、ならびに、アンケートの回答結果から特定される好みの温度および湿度とによってタグ付けされたデータが、機械学習モデル1100に適用される。機械学習モデル1100は、クラスタリングにより、グラフ1110内の領域1111~1114で示される4つの領域として、4種類の特性のそれぞれを分類する。
【0140】
グラフ1110において、縦軸は絶対湿度を表し、横軸は乾球温度を表し、参考のために空気線図が記載されている。グラフ1110の空気線図において、領域1111は、右上(高温多湿)に位置し、特性「A国」に対応する。すなわち、特性「A国」を有する者(国籍が「A国」である者)が「ちょうどいい」と回答した温度および湿度の範囲は、領域1111内に位置する。領域1112は、左下(低温乾燥)に位置し、特性「X国」に対応する。領域1113は、右下(高温乾燥)に位置し、特性「Y国」に対応する。領域1114は、左上(低温多湿)に位置し、特性「B国」に対応する。
【0141】
空調制御装置300は、適切な温度および湿度の範囲が他の特性に対して高温多湿である特性(すなわち、領域1111に対応する特性)を、タイプ1に関連付ける。また、空調制御装置300は、適切な温度および湿度の範囲が他の特性に対して低温乾燥である特性(すなわち、領域1112に対応する特性)を、タイプ2に関連付ける。また、空調制御装置300は、適切な温度および湿度の範囲が他の特性に対して高温乾燥である特性(すなわち、領域1113に対応する特性)を、タイプ3に関連付ける。また、空調制御装置300は、適切な温度および湿度の範囲が他の特性に対して低温多湿である特性(すなわち、領域1114に対応する特性)を、タイプ4に関連付ける。このようにタイプ1~4に特性を関連付けることにより、空調制御装置300は、宿泊客タイプ分類情報(
図5)を生成する。
【0142】
<2>好みの温度および湿度の代表値による宿泊客タイプ分類情報の生成
空調制御装置300は、
図10に示されたようなアンケートの結果から、各特性について、温度および湿度のそれぞれの好みの範囲を特定し、特定された範囲の代表値を特定し、当該代表値が位置する座標に基づいて、各特性をタイプ1~4のいずれかに分類してもよい。
【0143】
図12は、ある特性(国籍がX国である)を有する人たちの好みの温度についてのアンケート結果の一例を示す図である。
図13は、ある特性(国籍がX国である)を有する人たちの好みの湿度についてのアンケート結果の一例を示す図である。
【0144】
図12のグラフ1200において、縦軸はアンケートが実施された環境の室温を表し、横軸はアンケートにおける回答結果を表す。領域1201内のデータのそれぞれは、各環境の温度に対して「ちょうどいい」と回答した結果を表す。空調制御装置300は、領域1201内のデータの温度の範囲(範囲R12)を特定し、範囲R12の代表値の一例として範囲R12における中間値(値V12)を特定する。
【0145】
図13のグラフ1300において、縦軸はアンケートが実施された環境の湿度を表し、横軸はアンケートにおける回答結果を表す。領域1301内のデータのそれぞれは、各環境の湿度に対して「ちょうどいい」と回答した結果を表す。空調制御装置300は、領域1301内のデータの湿度の範囲(範囲R13)を特定し、範囲R13の代表値の一例として範囲R13における中間値(値V13)を特定する。
【0146】
図14は、各特性の温度および湿度の代表値に対してタイプを特定するための、温度および湿度のグラフの一例を示す図である。
図14のグラフ1400には、空気線図が記載され、当該空気線図に対して4つの領域1401~1404が定義されている。領域1401,1402,1403,1404のそれぞれは、タイプ1,2,3,4のそれぞれに対応する。領域1401,1402,1403,1404のそれぞれは、「高温多湿」,「低温乾燥」,「高温乾燥」,「低温多湿」に対応する。なお、各領域を定義する具体的な温度および湿度のそれぞれの値は、適宜変更されてもよい。
【0147】
空調制御装置300は、各特性の代表値が領域1401~1404のいずれに位置するかに基づいて当該特性のタイプを特定し、各特性に対して特定されたタイプを利用して宿泊客タイプ分類情報(
図5)を生成する。たとえば、
図12および
図13に示された特性(国籍がX国である)の温度および湿度の代表値(V12,V13)は、
図14において点P14として示される。点P14は、領域1402に位置し、領域1402はタイプ2に対応する。したがって、空調制御装置300は、特性(国籍がX国である)に対応するタイプとしてタイプ2を特定する。
【0148】
<3>温度のみによるタイプの分類
上記の<1>および<2>では、特性に対するタイプの特定には、各特性を有する人の好みの温度と好みの湿度とが利用された。なお、特性に対するタイプの特定には、各特性を有する人の好みの温度のみが利用されてもよい。
【0149】
図15は、各特性を有する人の好みの温度に基づいて特定された、各特性に対するタイプの一例を示す図である。
図15では、4種類の特性(国籍がP国である、国籍がQ国である、国籍がR国である、国籍がS国である)のそれぞれについて、好みの温度範囲の代表値がT1,T2,T3,T4で示されている。好みの温度範囲の代表値は、たとえば、
図12を参照して説明された方法で特定される。
【0150】
図15の例では、空調制御装置300は、最も高い温度に対応する代表値T1を有する特性(P国)に対してタイプ1を特定し、次に高い温度に対応する代表値T2に対応する特性(Q国)に対してタイプ3を特定し、次に高い温度に対応する代表値T3に対応する特性(R国)に対してタイプ4を特定し、最も低い温度に対応する代表値T4に対応する特性(S国)に対してタイプ2を特定してもよい。
【0151】
空調制御装置300は、各特性に対して特定したタイプを利用して、宿泊客タイプ分類情報(
図5)を生成する。
【0152】
<4>特性として複数の属性を含む場合
上記<1>~<3>では、特性として、人に関する属性(国籍)が考慮された。考慮される属性は、他の種類の属性(年齢または性別など)であってもよい。また、特性として、人に関する複数の属性が考慮されてもよい。
【0153】
図16および
図17を参照して、特性として、国籍と年齢とが考慮される例を説明する。
図16は、クラスタリングの工程および結果の他の例を模式的に示す図である。
図16の例では、宿泊客タイプ分類情報の生成のためのクラスタリングに利用される各データは、人の特性として国籍および年齢を含む。機械学習モデル1600は、クラスタリングの結果として、グラフ1610において領域1611~1614を特定するような情報を出力する。
【0154】
領域1611は、タイプ1に関連付けられる領域であって、特性「国籍がA国であり、年齢が40代である」に対応する。
【0155】
領域1612は、タイプ2に関連付けられる領域であって、特性「国籍がX国であり、年齢が20代である」に対応する。
【0156】
領域1613は、タイプ3に関連付けられる領域であって、特性「国籍がY国であり、年齢が30代である」に対応する。
【0157】
領域1614は、タイプ4に関連付けられる領域であって、特性「国籍がB国であり、年齢が30代である」に対応する。
【0158】
なお、年齢について、「20代」は20歳~29歳の年齢の範囲を意味する。また、「30代」「40代」のそれぞれは、30歳~39歳の年齢の範囲、40際~49歳の年齢の範囲のそれぞれを意味する。
【0159】
空調制御装置300は、
図16のクラスタリングの結果に基づいて宿泊客タイプ分類情報を生成する。
【0160】
図17は、
図16の結果に基づいて生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
図17に示された宿泊客タイプ分類情報では、各タイプに関連付けられる特性は、国籍だけでなく年齢(年齢の範囲)を含む。
【0161】
図16および
図17を参照して説明された例では、考慮される特性を構成する属性として、国籍もしくは年齢の代わりに、または、国籍および年齢に加えて、性別が採用されてもよい。
【0162】
図18は、
図17の例に対して、考慮される特性を構成する属性として年齢の代わりに性別が採用された場合に、生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
図18の例では、各タイプに関連付けられる特性は、国籍だけでなく性別を含む。たとえば、タイプ1には、A国の女性という特性が関連付けられている。また、タイプ2には、B国の男性という特性が関連付けられている。
【0163】
図19は、
図17の例に対して、特性としてさらに性別が考慮された場合に、生成される宿泊客タイプ分類情報の一例を示す図である。
図19の例では、各タイプに関連付けられる特性は、国籍、年齢、および性別を含む。
【0164】
[8.チェックイン前の動作停止指示]
図20を参照して、
図7の処理の第1の変形例について説明する。
図20は、
図7の処理の第1の変形例のフローチャートである。
【0165】
図7を参照して説明された処理では、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予冷の設定が「する」ではない場合(ステップS706においてNO)、および、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予熱の設定が「する」ではない場合(ステップS710においてNO)、空調制御装置300は何らの信号を送信することなくステップS716へ制御を進めた。
【0166】
なお、空調制御装置300は、上記のそれぞれの場合に、
図20に示されるように、制御対象の室内機510に対して、動作を実行しないことを指示する信号(動作停止信号)を送信してもよい。
図20の処理は、
図7の処理と比較して、さらにステップS707,S713の制御をさらに含む。
【0167】
より具体的には、空調制御装置300は、
図20に示されるように、ステップS706において、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予冷の設定が「する」ではないと判断すると(ステップS706にてNO)、ステップS707にて、制御対象の室内機510に向けて動作停止信号を送信した後、ステップS716へ制御を進める。
【0168】
また、空調制御装置300は、
図20に示されるように、ステップS710において、ステップS702において特定された宿泊客のタイプの予熱の設定が「する」ではないと判断した場合(ステップS710にてNO)、ステップS713にて、制御対象の室内機510に向けて動作停止信号を送信した後、ステップS716へ制御を進める。
【0169】
ステップS707およびステップS716において動作停止信号が送信されることにより、制御対象の室内機510が宿泊施設のスタッフの手動操作などによって動作していても、当該室内機510は動作を停止する。これにより、チェックイン前の冷房動作および暖房動作が不要な場合に、制御対象の室内機510が動作することが確実に回避され、宿泊施設における省エネが徹底され得る。
【0170】
[9.チェックイン前の冷房動作および暖房動作の実行の条件の追加]
図21を参照して、
図7の処理の第2の変形例について説明する。
図21は、
図7の処理の第2の変形例のフローチャートである。
【0171】
図7を参照して説明された処理では、制御対象の室内機510にチェックイン前の冷房動作または暖房動作を実行させるか否かが、制御対象の客室の温度と、動作内容データベースにおける予冷または予熱の設定(する/しない)とによって決定された。一方、空調制御装置300は、チェックイン前の冷房動作または暖房動作を実行させるか否かの判断において、
図21に示されるように、チェックイン予定時刻の一定時間前(
図7の例では「60分前」)の室外の温度をさらに考慮してもよい。
図21の処理は、
図7の処理と比較して、さらにステップS705,S711の制御をさらに含む。
【0172】
より具体的には、空調制御装置300は、ステップS704において、制御対象の客室500の室内温度が28℃以上であると判断すると(ステップS704にてYES)、ステップS705へ制御を進める。
【0173】
ステップS705にて、空調制御装置300は、センサ400によって検出される室外温度が28℃以上であるか否かを判断する。空調制御装置300は、室外温度が28℃以上であると判断すると(ステップS705にてYES)、ステップS706へ制御を進め、そうでなければ(ステップS705にてNO)、ステップS710へ制御を進める。
【0174】
さらに、空調制御装置300は、ステップS710において、制御対象の客室500の室内温度が20℃以下であると判断すると(ステップS710にてYES)、ステップS711へ制御を進める。
【0175】
ステップS711にて、空調制御装置300は、室外温度が18℃以下であるか否かを判断する。空調制御装置300は、室外温度が18℃以下であると判断すると(ステップS711にてYES)、ステップS712へ制御を進め、そうでなければ(ステップS711にてNO)、ステップS716へ制御を進める。
【0176】
すなわち、
図21の処理では、制御対象の客室500の室温が28℃以上であっても、室外の温度が28℃未満であれば、空調制御装置300は制御対象の室内機510に、チェックイン前の冷房動作は実行させない。室外の温度が28℃未満であれば、冷房動作が実行されなくても、チェックイン予定時刻までに、制御対象の客室500の室内温度が宿泊客に不快感を与えない程度にまで低下することがあり得る。
図21の処理では、このような場合にはチェックイン前の冷房動作の実行が回避され、これにより、エネルギの消費量が極力抑えられ得る。
【0177】
また、
図21の処理では、制御対象の客室500の室温が20℃以下であっても、室外の温度が18℃を超えていれば、空調制御装置300は制御対象の室内機510に、チェックイン前の暖房動作は実行させない。室外の温度が18℃を超えていれば、暖房動作が実行されなくても、チェックイン予定時刻までに、制御対象の客室500の室内温度が宿泊客に不快感を与えない程度にまで上昇することがあり得る。
図21の処理では、このような場合にはチェックイン前の暖房動作の実行が回避され、これにより、エネルギの消費量が極力抑えられ得る。
【0178】
[10.客室の特性に従った制御]
次に、
図22~
図27を参照して、制御対象の客室500の特性に従った、制御対象の室内機510の制御について説明する。なお、本実施の形態において、客室の特性とは、客室の温度変化に影響を与えることが想定される事項であり、客室に関する少なくとも1種類の属性によって特定され得る。一例では、特性として利用される客室の属性は、客室の鉛直方向の位置(たとえば、後述する「階」)および客室の水平方向の位置(たとえば、後述する「場所」)の中の少なくとも一つを含む。
【0179】
<1>客室の特性
まず、
図22を参照して、客室500の特性について説明する。
図22は、客室情報のデータ構造の一例を示す図である。
【0180】
図22に示されるように、客室情報は、各客室500の部屋番号と、客室の特性とを関連付ける。客室の特性は、「階」と「場所」とを含む。「階」は、各客室が位置する宿泊施設内の階を表す。「場所」は、各客室の各階における位置を表す。
図22に示された客室の特性を構成する属性の数および種類は、各客室の位置に関する属性であれば、
図22に示されたものに限定されない。
【0181】
たとえば、
図22では、部屋番号「1201」について、「階」として「12」が示され、「場所」として「北側」が示されている。このことは、部屋番号「1201」で特定される客室500が、宿泊施設において12階の北側に位置することを意味する。
【0182】
客室情報は、HDD304に格納されていてもよいし、プロセッサ301がアクセス可能な他の記憶装置に格納されていてもよい。
【0183】
<2>メインルーチン
次に、各客室の空気調和装置の動作を当該客室の特性に従って制御するために空調制御装置300が実行する処理について説明する。
【0184】
図23は、空調制御装置300が実行する処理の他の例のフローチャートである。空調制御装置300は、たとえばプロセッサ301が所与のプログラムを実行することによって、
図6の処理を実現させる。
【0185】
図23を参照して、ステップS230にて、空調制御装置300は、客室の予測温度を導出する機械学習モデルを生成する。機械学習モデルの生成については、
図24を参照して後述する。
【0186】
ステップS232以降の制御は、客室500ごとに実行される。ステップS232にて、空調制御装置300は、予約情報管理装置100にアクセスして、予約情報(
図3)から各客室500に関連付けられたチェックイン予定時刻を読み出す。
【0187】
客室の特性に従った制御においても、宿泊客の特性に従った制御と同様に、チェックイン予定時刻は、設定時刻の一例である。設定時刻は、チェックイン予定時刻に限定されず、宿泊施設側によって設定されたチェックイン可能時刻であってもよいし、他にいかなる者から設定され得る任意で時刻であってもよい。
【0188】
ステップS234にて、空調制御装置300は、各客室500について、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来したか否かを判断する。空調制御装置300は、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来している客室500があれば(ステップS234にてYES)、当該客室500について、ステップS236へ制御を進める。チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来していない客室500については(ステップS234にてNO)、チェックイン予定時刻の60分前の時刻が到来するまでステップS234の制御を繰り返す。
【0189】
ステップS236にて、空調制御装置300は、客室500の予冷および予熱についての制御(予冷・予熱)を実行する。この制御には、上記機械学習モデルによる客室内の予測温度が利用される。この制御の内容は、
図25を参照して後述する。
【0190】
空調制御装置300は、ステップS236にて予冷および予熱についての制御を実行した後、ステップS23の処理を終了させる。
【0191】
一実現例では、空調制御装置300は、ステップS230の制御を空調制御装置300の空調制御システム1における利用開始時のみに実行する。なお、空調制御装置300は、定期的に(たとえば、1年ごと)、または、空調制御システム1の管理者から指示が入力されたときに、ステップS230を再度実行してもよい。これにより、機械学習モデル2400が更新され得る。
【0192】
<3>機械学習モデルの生成
図24は、機械学習モデルの生成方法および利用方法を概略的に説明するための図である。空調制御装置300は、所与のモデルに学習処理を施すことにより、機械学習モデル2400を生成する。空調制御装置300は、学習処理に、客室の特性によってタグ付けされた実測値を教師データとして利用する。実測値は、客室内の温度の時系列のデータ、客室外の温度の時系列データ、客室内の湿度の時系列データ、および客室外の湿度の時系列データを含む。
【0193】
機械学習モデル2400は、客室の特性にタグ付けされた上記時系列データを用いた学習処理により、客室の特性とともに、所与の時刻を含む所与の期間の当該客室内の温度を入力されると、当該客室内の、当該所与の時刻から一定時間後の温度の予測値を出力するように構成されている。たとえば、機械学習モデル2400は、ある客室500の特性とともに、当該客室500に関連付けられたチェックイン予定時刻の90分前から60分前までの期間の当該客室500の室内温度の時系列データを入力されると、チェック予定時刻の当該客室500内の温度の予測値を出力する。
【0194】
機械学習モデル2400は、いかなるアルゴリズムに従ったものとして構成されてもよく、時系列データを用いて学習されることから、たとえばRNN(Recurrent Neural Network)のアルゴリズムに従ったモデルであってもよい。
【0195】
空調制御装置300は、プロセッサ301が機械学習モデル2400を実現するプログラムを実行することにより、識別器として機能し得る。
【0196】
機械学習モデル2400は、客室の特性として「階」および「場所」の双方を利用して、客室500の温度の予測値を出力する。これにより、予測対象の客室の高さ方向の位置および水平方向の位置に従った予測値が得られる。
【0197】
たとえば、宿泊施設を構成する建物の規模が大きい場合、ある時点において、当該建物の上層階の南側に位置する客室の室内温度は比較的高いことが想定され、当該建物の低層階の北側に位置する客室の室内温度は比較的低いことが想定される。空調制御システムでは、各客室の特性として「階」および「場所」の双方が利用されることにより、上述のような客室の位置が考慮された、正確な予測結果が得られ得る。
【0198】
なお、客室の特性として、「階」または「場所」の一方のみが利用されてもよい。たとえば、宿泊施設を構成する建物が低層の建物である場合、客室の特性として「場所」のみが利用されてもよい。この場合、複数の客室の間で「階」が異なっても、当該複数の客室の間の室内温度の差が大きくなることは想定されにくいからである。
【0199】
また、宿泊施設を構成する建物の敷地面積が小さい場合、客室の特性として「階」のみが利用され得る。複数の客室の間で「場所」が異なっても、当該複数の客室の間の室内温度の差が大きくなることは想定されにくいからである。
【0200】
<4>ステップS236のサブルーチン
次に、
図25を参照して、
図23のステップS236の制御の一例を説明する。
図25は、
図23のステップS236のサブルーチンである。
【0201】
図25を参照して、ステップS2500にて、空調制御装置300は、客室情報(
図22)から、制御対象の客室500の特性を読み出す。
【0202】
ステップS2502にて、空調制御装置300は、ステップS2500にて読み出した特性、および、30分前からその時点まで(すなわち、チェックイン予定時刻の90分前から60分前まで)の制御対象の客室500の室内温度の履歴を機械学習モデル2400に適用することにより、チェックイン予定時刻の当該客室の室内温度の予測値(予測室内温度)を取得する。空調制御システム1では、センサ530によって検出される各客室500の温度の履歴が、HDD304等の記憶装置に格納されていてもよい。空調制御装置300は、ステップS2502において、当該記憶装置から制御対象の客室500の温度の履歴を読み出してもよい。
【0203】
ステップS2504にて、空調制御装置300は、ステップS2502にて取得した予測室内温度が28℃以上であるか否かを判断する。空調制御装置300は、予測室内温度が28℃以上であると判断すると(ステップS2504にてYES)、ステップS2506へ制御を進め、そうでなければ(ステップS2504にてNO)、ステップS2508へ制御を進める。
【0204】
ステップS2506にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、冷房動作を実行させるための指示(予冷運転信号)を送信する。その後、空調制御装置300はステップS2512へ制御を進める。
【0205】
ステップS2508にて、空調制御装置300は、ステップS2502にて取得した予測室内温度が20℃以下であるか否かを判断する。空調制御装置300は、予測室内温度が20℃以下であると判断すると(ステップS2508にてYES)、ステップS2510へ制御を進め、そうでなければ(ステップS2508にてNO)、ステップS2512へ制御を進める。
【0206】
ステップS2510にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、暖房動作を実行させるための指示(予熱運転信号)を送信する。その後、空調制御装置300はステップS2512へ制御を進める。
【0207】
ステップS2512にて、空調制御装置300は、制御対象の客室500に宿泊客がチェックインしたか否かを判断する。空調制御装置300は、上記宿泊客がチェックインしたと判断するまでステップS2512の制御を継続し(ステップS2512にてNO)、上記宿泊客がチェックインしたと判断すると(ステップS2512にてYES)、ステップS2514へ制御を進める。
【0208】
ステップS2514にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に向けて、予冷または予熱を解除するための信号(解除信号)を送信する。その後、空調制御装置300は
図6へ制御をリターンさせる。解除信号を受信すると、室内機510は、それまでの動作を継続しながら、コントローラ520からの指示を受付可能な状態に制御される。その後、空調制御装置300は、制御を
図23へリターンさせて、
図23の処理を終了させる。
【0209】
以上、
図25を参照して説明された処理によれば、チェックイン前の客室の温度制御により、チェックイン予定時刻の客室の温度が当該客室の位置に関する特性に応じて制御され得る。客室の位置によって、客室に対する日射の影響が異なる場合が多い。
図25に示された処理によれば、各客室の温度制御に各客室への日射による影響が考慮され得る。このような制御より、宿泊客が初めて客室に入るときに、その位置に従って適切な温度を制御された客室が提供され得る。初めての入室時の印象は、客室に対する第一印象と言うことができ、宿泊客の客室に対する全体的な印象に大きく寄与し得る。空調制御システム1は、チェックイン前の客室の温度制御により、宿泊客の客室に対する印象の向上に大きく寄与し得る。
【0210】
なお、
図25を参照して説明された処理によれば、空調制御装置300は、予測客室温度が冷房用の基準温度(ステップS2504の28℃)以上である場合には、室内機510に予冷を実行させ、また、予測客室温度が暖房用の基準温度(ステップS2508の20℃)以下である場合には、室内機510に予熱を実行させる。上記の冷房用の基準温度および暖房用の基準温度のそれぞれは単なる一例であり、具体的な温度は空調制御システム1の管理者などによって適宜設定され得る。
【0211】
<5>変形例(1)
図26は、機械学習モデルの変形例の生成方法および利用方法を概略的に説明するための図である。
図26の機械学習モデル2600は、
図24の機械学習モデル2400と同様に、客室の特性でタグ付けされた、実測値(客室の内外の温度の時系列データおよび客室の内外の湿度の時系列データ)を用いて学習される。
【0212】
機械学習モデル2600は、客室の特性とともに、所与の時刻を含む所与の期間の当該客室内の温度、当該客室外の温度、および当該客室内の湿度を入力されると、当該客室の、当該所与の時刻から一定時間後の当該客室内の温度、当該客室外の温度、および当該客室内の湿度の予測値を出力するように構成されている。
【0213】
より具体的には、空調制御装置300は、機械学習モデル2600に、チェックイン予定時刻の90分前から60分前までの室内温度の履歴に加えて、当該期間の室外温度の履歴および室内湿度の履歴を適用する。これに応じて、機械学習モデル2600は、チェックイン予定時刻における予測室内温度に加えて、チェックイン予定時刻における室外温度の予測値(以下、「予測室外温度」)、および、チェックイン予定時刻における室内湿度の予測値(以下、「予測室内湿度」)を出力する。
【0214】
図27は、
図25の処理の第1の変形例のフローチャートである。
図27の処理では、ステップS2502において、空調制御装置300は、予測値として、
図26を参照して説明されたように、予測室内温度、予測室外温度、および予測室内湿度を取得する。
【0215】
図27の処理は、
図25の処理と比較して、ステップS2505およびステップS2509の制御を含む。以下、
図27の処理を、
図25に対する変更点を中心に説明する。
【0216】
空調制御装置300は、ステップS2504において予測室内温度が28℃以上であると判断すると(ステップS2504にてYES)、ステップS2505へ制御を進める。
【0217】
ステップS2505にて、空調制御装置300は、「予測室外温度が30℃以上であり、かつ、予測室内湿度が80%以上である」という条件が満たされるか否かを判断する。空調制御装置300は、上記条件が満たされると判断すると(ステップS2505にてYES)、ステップS2506へ制御を進め、そうでなければ(ステップS2505にてNO)、ステップS2512へ制御を進める。
【0218】
また、空調制御装置300は、ステップS2508において予測室内温度が20℃以下であると判断すると(ステップS2508にてYES)、ステップS2509へ制御を進める。
【0219】
ステップS2509にて、空調制御装置300は、「予測室外温度が18℃以下であり、かつ、予測室内湿度が50%以下である」という条件が満たされるか否かを判断する。空調制御装置300は、上記条件が満たされると判断すると(ステップS2509にてYES)、ステップS2510へ制御を進め、そうでなければ(ステップS2509にてNO)、ステップS2512へ制御を進める。
【0220】
以上説明された
図27の処理では、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に予冷または予熱を実行させるか否かを、予測室内温度と基準温度との比較結果に加えて、予測室外温度および予測室内湿度のそれぞれの基準温度との比較結果に基づいて決定する。
【0221】
なお、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に予冷または予熱を実行させるか否かの決定において、予測室内温度と基準温度との比較結果に加えて考慮する比較結果として、予測室外温度と基準温度との比較結果、および、予測室内湿度と基準温度との比較結果のいずれか一方のみを採用してもよい。
【0222】
すなわち、ステップS2305において、「予測室外温度が30℃以上であり、かつ、予測室内湿度が80%以上である」という条件は、「予測室外温度が30℃以上である」という条件に変更されてもよいし、「予測室内湿度が80%以上である」という条件に変更されてもよい。
【0223】
また、ステップS2509において、「予測室外温度が18℃以下であり、かつ、予測室内湿度が50%以下である」という条件は、「予測室外温度が18℃以下である」という条件に変更されてもよいし、「予測室内湿度が50%以下である」という条件に変更されてもよい。
【0224】
<6>変形例(2)
空調制御装置300は、制御対象の室内機510に予冷および予熱を実行させない場合、当該室内機510に動作を停止させる信号を送信してもよい。
【0225】
図28は、
図25の処理の第2の変形例のフローチャートである。
図28の処理は、
図25の処理と比較して、ステップS2511の制御をさらに含む。
【0226】
図28の処理では、空調制御装置300は、ステップS2508にて予測室内温度が20℃以下ではないと判断すると(ステップS2508にてNO)、ステップS2511へ制御を進める。
【0227】
ステップS2511にて、空調制御装置300は、制御対象の室内機510に動作停止信号を送信する。その後、空調制御装置300は、ステップS2512へ制御を進める。
【0228】
ステップS2511の制御により、制御対象の室内機510に予冷および予熱を実行させないことを決定した場合であって、当該室内機510が何らかの原因で冷房または暖房の動作を実行していた場合、確実に、当該室内機510の動作を停止させることができ、これにより、無駄なエネルギ消費が確実に抑制され得る。
【0229】
<7>変形例(3)
空調制御システム1では、予冷および予熱の実行の要否の判断に客室の特性を利用する場合であっても、
図5に示されたような宿泊客の特性を制御用のタイプに対応付ける情報を利用してもよい。たとえば、空調制御装置300は、
図23のステップS236の制御の後、ステップS608(
図6)の制御を実行してもよい。
【0230】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0231】
1 空調制御システム、100 予約情報管理装置、200 中央管理装置、300 空調制御装置、301 プロセッサ、400,530 センサ、500 客室、510 室内機、520 コントローラ、700 室外機、900 ネットワーク、1000 アンケート用紙。