(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067751
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】喫煙カートリッジ用加熱器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20220426BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176521
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
【課題】喫煙カートリッジの加熱態様が異なる場合であっても使用することが可能な喫煙カートリッジ用加熱器を提供する。
【解決手段】 喫煙カートリッジ用加熱器は、筒状のカバーと、前記カバーに収容され、加熱されることによって芳香成分を含有するエアロゾルを発生させる芳香発生基材と、前記カバーに収容されたフィルタとを備えた喫煙カートリッジのための加熱器である。喫煙カートリッジ用加熱器は、前記喫煙カートリッジの前記芳香発生基材が設けられた部分が挿入される収容部を有する本体と、前記カバーの一端側から前記芳香発生基材に挿通可能に前記収容部の底部側から突出可能に設けられている第1の加熱手段と、前記収容部において、前記芳香発生基材が設けられた前記カバーの外周を加熱可能に設けられている第2の加熱手段と、前記第1の加熱手段の前記収容部の底部からの突出量を調整可能な調整手段と、を有する
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のカバーと、前記カバーに収容された、加熱されることによって芳香成分を含有するエアロゾルを発生させる芳香発生基材と、前記カバーに収容されたフィルタと、を備えた喫煙カートリッジのための加熱器において、
前記喫煙カートリッジの前記芳香発生基材が設けられた部分が挿入される収容部を有する本体と、
前記芳香発生基材に挿通可能に前記収容部の底部から突出可能に設けられている第1の加熱手段と、
前記収容部において、前記芳香発生基材が設けられた前記カバーの外周を加熱可能に設けられている第2の加熱手段と、
前記第1の加熱手段の前記収容部の前記底部からの突出量を調整可能な調整手段と、
を有することを特徴とする喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項2】
前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段は、一方が加熱されている場合に他方も加熱可能であることを特徴とする請求項1に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項3】
前記第1の加熱手段の前記収容部の前記底部からの突出量に応じて、前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段の温度を調節する加熱調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項4】
前記加熱調整手段は、前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段を互いに異なる温度で加熱可能であることを特徴とする請求項3に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項5】
前記加熱調節手段は、前記第1の加熱手段が前記芳香発生基材に対して挿通不能な位置にある場合、前記第1の加熱手段の温度よりも前記第2の加熱手段の温度が高くなるように温度を調整することを特徴とする請求項3又は4に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項6】
前記収容部の入口側で前記喫煙カートリッジを支持する支持部を有し、
前記支持部と前記収容部の底部との距離を前記喫煙カートリッジの長さに応じて変更可能な可変機構を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項7】
前記本体の側面にスライド可能に取付けられた支持具を有し、
前記支持具の一端に前記支持部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項8】
前記本体の外周にスライド可能に取付けられた枠状カバーを有し、
前記枠状カバーの端面に前記支持部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項9】
前記本体に回動可能に取付けられた支持具を有し、
前記支持具の一端に前記支持部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【請求項10】
前記調整手段は、前記支持部と前記収容部の底部との距離に応じて、前記第1の加熱手段の前記収容部の底部からの突出量を変えることが可能に構成されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の喫煙カートリッジ用加熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙カートリッジを加熱可能な喫煙カートリッジ用加熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙カートリッジは、例えば、タバコ植物、非タバコ植物などの芳香源材と、加熱されることによってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマ(エアロゾル形成剤)と、を含む芳香発生基材を有する。したがって、喫煙カートリッジは、喫煙カートリッジ用加熱器で加熱されることによって芳香を発生する。
【0003】
喫煙カートリッジは、用いられる喫煙カートリッジ用加熱器によって加熱される態様が異なる。例えば、芳香源材に加熱手段を挿通して喫煙カートリッジを加熱することが行われている。このような、喫煙カートリッジ用加熱器としては、芳香源材に対して挿通可能な加熱ブレードを有するエアロゾル発生装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、芳香源材の周囲を加熱手段で加熱することが行われている。このような、喫煙カートリッジ用加熱器としては、例えば、カートリッジの周囲を覆うことが可能に形成されたヒータを有する喫煙装置が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-504667号公報
【特許文献2】特許第3645921号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の喫煙カートリッジ用加熱器で、特許文献2に用いられる喫煙カートリッジの使用を試みると、当該喫煙カートリッジは、加熱ブレードを挿通することが想定されていないため、喫煙カートリッジに加熱ブレードが刺さらず、使用することができない問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、喫煙カートリッジの加熱態様が異なる場合であっても使用することが可能な喫煙カートリッジ用加熱器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器は、筒状のカバーと、前記カバーに収容された、加熱されることによって芳香成分を含有するエアロゾルを発生させる芳香発生基材と、前記カバーに収容されたフィルタとを備えた喫煙カートリッジのための加熱器において、前記喫煙カートリッジの前記芳香発生基材が設けられた部分が挿入される収容部を有する本体と、前記筒状のカバーの先端側から前記芳香発生基材に挿通可能に前記収容部の底部側から突出可能に設けられている第1の加熱手段と、前記収容部において、前記筒状のカバーの前記芳香発生基材が設けられた部分の外周を加熱可能に設けられている第2の加熱手段と、前記第1の加熱手段の前記収容部の前記底部からの突出量を調整可能な調整手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
第1の加熱手段を用いる場合は、第1の加熱手段を収容部の底部から突出させて、喫煙カートリッジを収容部に挿入したときに、筒状のカバーの先端側から芳香発生基材に第1の加熱手段を挿通させることができる。また、第2の加熱手段を用いる場合は、第1の加熱手段の突出量を減少させることにより、喫煙カートリッジを収容部に挿入したときに、第1の加熱手段が芳香発生基材と接触することを避け、第2の加熱手段によって芳香発生基材を加熱することができる。
【0010】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段は、一方が加熱されている場合に他方も加熱可能であることが好ましい。
【0011】
第1の加熱手段及び第2の加熱手段が、一方が加熱されている場合に他方も加熱可能であることにより、効率的に芳香カートリッジを加熱することが可能となる。
【0012】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記第1の加熱手段の前記収容部の前記底部からの突出量に応じて、前記第1の加熱手段及び第2の加熱手段の温度を調節する加熱調整手段を有することが好ましい。
【0013】
加熱調整手段が第1の加熱手段の収容部の底部からの突出量に応じて、第1の加熱手段及び第2の加熱手段の温度を調節することにより、芳香カートリッジの部位や位置に応じた加熱を行うことが可能となる。
【0014】
前記加熱調整手段は、前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段を互いに異なる温度で加熱可能であることが好ましい。
【0015】
第1の加熱手段及び第2の加熱手段は、互いに異なる温度で加熱可能であることにより、芳香発生基材に温度分布を意図的に作りだすことができる。
【0016】
前記加熱調節手段は、前記第1の加熱手段が前記芳香発生基材に対して挿通不能な位置にある場合、前記第1の加熱手段の温度よりも前記第2の加熱手段の温度が高くなるように温度を調整することが好ましい。
【0017】
加熱調節手段は、第1の加熱手段が芳香発生基材に対して挿通不能な位置にある場合、第1の加熱手段の温度よりも第2の加熱手段の温度が高くなるように温度を調整することにより、芳香発生基材の部位に応じた温度分布を意図的に作りだすことができる。すなわち、ユーザの喫煙の態様に応じた芳香発生基材の温度分布を作成することにより、例えば、風味の持続性の向上、喫煙初期の風味の高めることが可能となる。
【0018】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記収容部の入口側で前記喫煙カートリッジを支持する支持部を有し、前記支持部と前記収容部の底部との距離を前記喫煙カートリッジの長さに応じて変更可能な可変機構を有することが好ましい。
【0019】
支持部と収容部の底部との距離が、喫煙カートリッジの種類に応じて変えられるように構成されているので、喫煙カートリッジの長さが異なる場合でも、適切な位置で喫煙カートリッジを支持することができる。
【0020】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記本体の側面にスライド可能に取付けられた支持具を有し、前記支持具の一端に前記支持部が設けられていることが好ましい。
【0021】
スライド板の本体に対するスライド量を変えることにより、喫煙カートリッジの長さに応じて支持位置を変化させることができる。
【0022】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記本体の外周にスライド可能に取付けられた枠状カバーを有し、前記枠状カバーの端面に前記支持部が設けられていることが好ましい。
【0023】
枠状カバーの本体に対するスライド量を変えることにより、喫煙カートリッジの長さに応じて支持位置を変化させることができる。
【0024】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記本体に回動可能に取付けられた支持具を有し、前記支持具の一端に前記支持部が設けられていることが好ましい。
【0025】
喫煙カートリッジが短いときは、収容部の入口で支持し、喫煙カートリッジが長いときは、回動部材を回動させて、その一端に設けた支持部で支持させることができる。
【0026】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器において、前記調整手段は、前記支持部と前記収容部の底部との距離に応じて、前記第1の加熱手段の前記収容部の底部からの突出量を変えることが可能に構成されていることが好ましい。
【0027】
第1の加熱手段を用いる喫煙カートリッジと、第2の加熱手段を用いる喫煙カートリッジとの長さが異なる場合、喫煙カートリッジの長さに応じて支持部と収容部の底部との距離を変化させると、それに応じて収容部の底部からの第1の加熱手段の突出量が変わり、喫煙カートリッジの種類に応じた加熱手段の切替を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の喫煙カートリッジ用加熱器によれば、喫煙カートリッジの加熱態様に応じて加熱形式を適宜変更することができるため、喫煙カートリッジの加熱態様が異なる場合であっても使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】実施形態1に係る喫煙カートリッジ用加熱器の斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図4】実施形態1に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図5】実施形態1に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図6】実施形態2に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図7】実施形態2に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図8】実施形態3に係る喫煙カートリッジ用加熱器の斜視図である。
【
図9】実施形態3に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図10】実施形態3に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図11】実施形態4に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【
図12】実施形態4に係る喫煙カートリッジ用加熱器の動作態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明に係る喫煙カートリッジ用加熱器の一実施形態について説明する。
【0031】
[喫煙カートリッジの構成]
図1は、本発明に係る喫煙カートリッジ用加熱器に用いることが可能な喫煙カートリッジの一例が示されている。この
図1に示すように、喫煙カートリッジ10は、例えば、加熱式喫煙具のカートリッジ等に用いることができる。
【0032】
この喫煙カートリッジ10は、筒状のカバー11と、カバー11の先端側に収容された芳香発生基材12と、カバー11の基端側に収容されたフィルタ13と、カバー11に収容され、かつ芳香発生基材12及びフィルタ13の間に配された支持部材14と、を備える。
【0033】
カバー11は、本実施形態においては円筒状に形成されている。カバー11は、筒状であれば特に形状は限定されない。カバー11は、例えば、多角柱状、直方体状等に形成されていてもよい。
【0034】
本実施例においては、芳香発生基材12、支持部材14及びフィルタ13は、カバー11の先端側から基端側に向かって軸方向に沿って配設されている。
【0035】
芳香発生基材12は、例えば、棒状、短冊状、粉体状、顆粒状、ペレット状、小片状、シート状、繊維状、多孔質状、ブロック状、ペースト状の構成要素の集合体である。本実施形態においては、芳香発生基材12は、短冊状の構成要素によって全体として円筒状に形成されている。
【0036】
芳香発生基材12は、加熱式喫煙具の電気的加熱手段によって加熱されることにより、エアロゾルを発生させることが可能である。芳香発生基材12は、加熱されることによって芳香を発生する芳香源材と、加熱されることによってエアロゾルを発生するエアロゾルフォーマとを少なくとも含有する。また、加熱されることによって溶融する熱融解性物質を含有することが更に好ましい。以下、それぞれの原料について更に詳しく説明する。
【0037】
(芳香源材)
加熱されることによって芳香を発生する芳香源材としては、例えば、タバコの葉、茎の他、非タバコ植物、すなわちタバコ以外の植物を含みうる。植物の使用部位としては、例えば、根(鱗根(鱗茎)、塊根(イモ類)、球根等を含む)、茎、皮(茎皮、樹皮等を含む)、葉、花(花弁、雌蕊、雄蕊等を含む)、樹木の幹や枝等、様々な部位を含む。
【0038】
使用されうる植物は、例えば、ハーブやスパイスとして使用されている植物としては、くちなしの実、こぶみかんの葉、みょうが、よもぎ、わさび、アジョワンシード、アニス、アルファルファ、エキナセア、エシャロット、エストラゴン、エバーラスティングフラワー、エルダー、オールスパイス、オリスルート、オレガノ、オレンジピール、オレンジフラワー、オレンジリーフ、カイエンチリペッパー(カイエンヌチリペッパー)、カモミールジャーマン、カモミールローマン、カルダモン、カレーリーフ、ガーリック(にんにく)、キャニトップ、キャラウェイ、キャラウェイシード、キンモクセイ、クミン、クミンシード、クローブ、グリーンカルダモン、グリーンペッパー、コーンフラワー、サフラン、シダー、シナモン、ジャスミン、ジュニパーベリー、ジョロキア、ジンジャー(しょうが)、スターアニス、スペアミント、スマック、セイジ、セボリ(セイボリー)、セロリ、セロリシード、ターメリック(ウコン)、タイム、タマリンド、タラゴン、チャービル(セルフィーユ)、チャイブ、ディル、ディルシード、トマト(ドライトマト)、トンカ豆、ドライパクチー、ナツメグ、ハイビスカス、ハバネロ、ハラペーニョ、バーズアイ、バジル、バニラ、パクチー(コリアンダー)、パセリ、パプリカ、ヒソップ、ピメンツデスペレット、ピンクペッパー、フェヌグリークシード、フェンネル、ブラウンマスタード、ブラックカルダモン、ブラッククミン、ブラックペッパー、ベチバー、ペニーロイヤル、ペパーミント(ハッカ)、ホースラディッシュ、ホワイトペッパー、ホワイトマスタード、ポピーシード、ポルチーニ、マジョラム、マスタードシード、マニゲット、マリーゴールド、マルバフラワー、メース、ヤローフラワー、ユーカリ、ラベンダー、リコリス、リンデン、レッドクローバー、レッドペッパー、レモングラス、レモンバーベナ、レモンバーム、レモンピール、ローズ(バラ)、ローズバッズ(パープル)、ローズヒップ、ローズペタル、ローズマリー、ローズレッド、ローレル(ローリエ)、ロングペッパー、胡麻(生胡麻、煎り胡麻)、黄金唐辛子、花椒(ホアジャオ)、三鷹、山椒、唐辛子、柚子等を使用できる。また、ミックススパイス(例えば、五香粉、ガラムマサラ、ラスエルハヌート、バリグール、チキンカレーマサラ、タンドリーマサラ、カトルエピス、エルブ・ド・プロバンス)や、ポプリ等として使用されている様々な植物の混合物が挙げられる。
【0039】
特に、よもぎ、レモン、白檀、ペパーミント、バジル等は、葉を好適に使用できる。桃、ブルーベリー、レモン、オレンジ、リンゴ、バナナ、パイナップル、マンゴー、葡萄、梅、アーモンド、カカオ、コーヒー豆、ピーナッツ、ひまわり、オリーブ、クルミ、その他ナッツ類等は、果実(種子を含む)を好適に使用することができる。
【0040】
また、キンモクセイ、ジャスミン、ハイビスカス、バラ、ラベンダー、ローズヒップ等は、花を好適に使用することができる。また、白檀、しょうが、ベチバー等は、根を好適に使用することができる。また、さとうきび、松、杉、ヒバ、椿、白檀、檜、シナモン等は、幹又は皮を好適に使用することができる。
【0041】
また、茶類を使用することができる。茶類は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工方法によって異なるお茶になる。茶類としては、紅茶、緑茶の他に、例えば、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、桑の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、昆布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶及びルイボスティ等を含む。これらお茶については、飲用後の茶殻を使用してもよい。茶殻等を使用すれば、高価なお茶等を再利用して有効活用することができる。
【0042】
この他にも、例えば日本酒、ワイン等の発酵酒を製造する際の副産物や絞りかす(酒粕、葡萄の絞りかす(葡萄の皮や種子、果軸等からなる))、さとうきびの糖蜜の搾りかす等を使用することができる。さらに、上述した様々な植物を混合して使用してもよい。もちろん、ここに挙げた以外の植物を使用することもできる。
【0043】
(エアロゾルフォーマ)
エアロゾルフォーマとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが使用できるが、特に、グリセリン、プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0044】
(熱融解物質)
熱融解物質は、融点が50~100℃の範囲にあり、好ましくは、50~80℃の範囲にあり、より好ましくは60~67℃の範囲にある。熱融性解物質の融点が50℃未満であると、夏場などの気温の高い時期に熱溶融性物質が溶解して、べた付きが生じる恐れがある。また、熱融性解物質の融点が100℃を超えると、被加熱芳香発生基材の昇温過程の初期の段階で熱融性解物質が十分に融解されず、加熱式喫煙具による昇温過程終了直後のエアロゾルの芳香が不足する傾向がある。
【0045】
尚、熱融解物質の融点は、例えば、JIS K2235に規定されるパラフィンワックスの融点測定方法に準拠して測定することができる。すなわち、所定の融点試験器を用い、融かした試料を試験官に入れ、15秒ごとに融点測定用温度計の示度を読みとり、温度降下が一定範囲内(0.1℃以内の差が5回続いた時)にあるときの温度を融点として測定することができる。
【0046】
熱融解物質は、粉末状であることが好ましい。熱融解物質の平均粒径は、125~355μmであることが好ましく、150~300μmであることがより好ましく、180~250μmであることがより更に好ましい。尚、平均粒径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置などによって測定することができる。本発明における平均粒径とは、メディアン径を意味するものとする。
【0047】
熱融解物質としては、好ましい融点を有する点や、風味付与の点から、植物系天然蝋や動物系天然蝋が好ましく使用される。植物系天然蝋としては、例えば、ハゼ蝋、ウルシ蝋、カルナウバ蝋、サトウキビ蝋、パーム蝋、カンデリラ蝋などを用いることができる。また、動物系天然蝋としては、蜜蝋、鯨蝋、イボタ蝋、羊毛蝋、シェラックなどを用いることができる。これらは、本発明で規定する融点が50~100℃の範囲のものを得やすく、また、それ自体好ましい風味を有しているので、エアロゾルの芳香を高めることができる。これらの天然蝋の中でも、カルナウバ蝋、蜜蝋、ワセリン、パラフィンワックスが特に好ましく、融点が62~65℃で芳香成分を豊富に含有する蜜蝋が最も好ましい。
【0048】
芳香発生基材12は、上記の他に、例えば、メントール、メントール誘導体、メントン、メントン誘導体、メンタンカルボン酸アミド、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸誘導体、メンタン、メンタン誘導体、L-カルボン、キシリトール、ユーカリ精油、ハッカ油、スペアミント精油、スピラントール等の芳香剤を含有していてもよい。また、セルロース繊維、微結晶セルロースなどの成形材や、例えば、多糖類系高分子、セルロース系高分子などの結合剤を含有していてもよい。
【0049】
芳香発生基材12は、例えば上述の材料を混合し、例えば棒状、シート状などの適宜形状に成形して乾燥させ、必要により切断、粉砕したり、あるいはシート状に成形したものを巻付けたり、折り畳んだりして、製造することができる。或いは、乾燥させずに水分を含むペースト状のものをそのまま所定形状に成形することにより製造することもできる。
【0050】
フィルタ13は、芳香発生基材12から発生する主流煙又は、エアロゾルに対して一定の通気性を有し、かつ主流煙又はエアロゾルに含まれている固形粒子を捕捉し、有害成分などを吸着する機能を有するものが好ましく用いられる。フィルタ13の形状は、特に限定されず、カバー11で包むことができる形状であればよい。
【0051】
フィルタ13としては、例えば、アセテート繊維を用いたアセテートフィルタ、アセテートフィルタに活性炭を含有するチャコールフィルタ、フィルタ13の外周面からカバー11の軸方向に亘って凹んで形成されている複数の溝を有するAFT(Advanced Filter Technology)などを用いることができる。本実施形態においては、フィルタ13は、カバー11の基材12の内周面に接着、溶着などの固定手段によって固定されている。
【0052】
支持部材14は、芳香発生基材12とフィルタ13との間に位置し、それぞれに隣接して配されている。支持部材14は、カバー11の内周面の形状に応じた外周面を有する形状であり得る。本実施形態においては、支持部材14は、全体として円筒状に形成されている。支持部材14は、カバー11に接着、溶着などの固定手段で固定され、本実施形態においては、12の内周面に固定されている。
【0053】
支持部材14は、その先端側から基端側に通気可能な構造を有し、かつ芳香発生基材12の基端側への移動を規制する機能があれば、その形状は限定されない。
【0054】
支持部材14は、本実施形態においては、その軸方向に貫通する1又は複数の通気路15を有する。通気路15は、本実施形態においては、支持部材20の外周面において、周方向に等間隔、かつ軸方向に沿って形成された4つの凹状の溝及びカバー11の内周面によって画定されている。
【0055】
また、通気路15は、例えば、支持部材14の先端面から基端面にかけて、軸方向に貫通するように形成された1又は複数の貫通孔で構成されていてもよい。通気路15は、例えば、支持部材14の軸心に沿って形成された中央の通気路と、この中央の通気路を囲むように、周方向に並んで配置され、同じく軸方向に貫通するように形成された複数の通気路とで構成されていてもよい。
【0056】
また、支持部材14は、隔壁の端面形状が六角形で軸方向に貫通する通気路を複数有するハニカム構造体などで構成されていてもよい。更に、支持部材14は、例えば、連続気泡が形成されている多孔質体で構成されていてもよい。
【0057】
支持部材14は、カバー11の軸方向の一方又は、両方の端面、好ましくは芳香発生基材12側に配される端面において、吸引器具の電気的加熱手段を挿入された際に、芳香発生基材12のカバー11の軸方向への移動を規制可能な形状をなしていることが好ましい。ここで、芳香発生基材12のカバー11の軸方向への移動を規制可能な形状とは、例えば、芳香発生基材12の材料の移動が実用上の支障がない程度に規制できる形状であればよい。
【0058】
支持部材14がこのように形成されていることにより、加熱式喫煙具の芳香発生基材12を加熱する電気的加熱手段が喫煙カートリッジ10の先端側から挿入された際に、支持部材14が芳香発生基材12の基端側への移動を規制する。言い換えれば、支持部材14は、芳香発生基材12を支持することができる。
【0059】
また、支持部材14は、芳香発生基材12から発生された芳香成分を含有するエアロゾルが通過する際に、高温のエアロゾルを冷却することができる。このため、支持部材14は、喫煙カートリッジ10の燃焼温度又は、加熱温度に応じた耐熱性を有する部材によって形成されている。例えば、喫煙カートリッジ10が加熱式喫煙具のカートリッジである場合、支持部材は、200~350℃程度の耐熱性を有する部材で形成されているとよい。
【0060】
喫煙カートリッジ10の芳香発生基材12は、吸引器具(図示せず)の電気的加熱手段によって、室温又は外気温から200℃以上の加熱目標温度に加熱される。したがって、芳香発生基材12は、室温又は外気温から加熱目標温度までの昇温過程を経ることになる。ユーザは、昇温過程の終了直後から喫煙カートリッジ10から発せられたエアロゾルを吸引することが可能となる。
【0061】
[実施形態1]
[喫煙カートリッジ用加熱具の構成]
図2は、実施形態1に係る喫煙カートリッジ用加熱具を示している。
図3及び4は、実施形態4に係る喫煙カートリッジ用加熱具の動作態様を示す説明図である。
【0062】
図2乃至4に示すように、喫煙カートリッジ用加熱器100は、喫煙カートリッジ10の芳香発生基材12が設けられた部分が挿入される収容部21を有する本体20と、芳香発生基材12に挿通可能に収容部21の底部21a側から突出可能に設けられている第1の加熱手段23と、収容部21において、筒状のカバー11の芳香発生基材12が設けられた部分の外周を加熱可能に設けられている第2の加熱手段24と、第1の加熱手段23の収容部21の底部21aからの突出量を調整可能な調整手段40と、を有する。
【0063】
本体20は、その形状は特には限定されないが、例えば、円筒状、角柱状等に形成されている筐体である。本体20は、本実施形態においては、略直方体状に形成されている。本体20の正面には、喫煙カートリッジ用加熱器100の電源のON又はOFFを操作することが可能な電源ボタンPBが設けられている。
【0064】
本体20の一方の端面には、喫煙カートリッジ10を挿通可能な挿通孔22が形成されている。収容部21は、この挿通孔22と接続可能な本体20の内部に設けられている。
【0065】
収容部21は、底部21a及び底部21aを囲み、かつ底部21aから立設された側壁部21bを有する。収容部21は、本実施形態においては、底部21a及び側壁部21bによって有底の円筒状に形成されている。
【0066】
本体20は、収容部21を収容するハウジング25を有する。ハウジング25は、収容部21の外形に沿った内部構造を有する。本実施形態において、ハウジング25は、円筒状に形成されている。ハウジング25は、収容部21の軸方向において、その長さが収容部21よりも長く形成されている。したがって、収容部21は、ハウジング25内においてその軸方向にスライド可能に収容されている。
【0067】
収容部21は、その側壁部21bから本体20の側面に向かって突出して形成された突出部26を有する。したがって、ユーザは、突出部26を把持してハウジング25内において収容部21をスライドさせることができる。
【0068】
第1の加熱手段23は、収容部21の底部21a側に設けられている。第1の加熱手段23は、収容部21の軸方向に沿って延びるピン形又はブレード形とすることができる。本実施形態において、第1の加熱手段23は、板状に形成され、一の面から見た場合に挿入口側の先端が鋭角に形成されたブレード状に形成されている。したがって、第1の加熱手段23は、カバー11の先端側から芳香発生基材12に挿通可能に収容部21の底部21a側から突出可能に設けられている。
【0069】
第2の加熱手段24は、収容部21の側壁部21bに設けられている。具体的には、第2の加熱手段24は、収容部21の側壁部21bの内周面に沿って配されている。本実施形態において、第2の加熱手段24は、収容部21の側壁部21bに固定されている。
【0070】
第2の加熱手段24は、例えば、ポリイミドなどの誘電体基材上の1つ又はそれ以上の可撓性加熱ホイルの形態とすることができる。可撓性加熱ホイルは、収容部21の内周と一致する形状とすることができる。
【0071】
第2の加熱手段24は、喫煙カートリッジ10の周囲を加熱することが可能であれば、このような態様に限られず、例えば、環状に形成した電熱線によって構成してもよい。また、第2の加熱手段24は、周方向に分割された複数の加熱部材(図示せず)によって構成されていてもよい。さらに、第2の加熱手段24は、収容部21の軸方向において、積層された複数の加熱部材(図示せず)によって構成されていてもよい。さらにまた、第2の加熱手段24は、周方向に分割された複数の加熱部材及び収容部21の軸方向において積層された複数の加熱部材を組み合わせて構成されていてもよい。
【0072】
第2の加熱手段24は、1つ又はそれ以上の金属グリッド、可撓性プリント回路基板、成形回路部品(MID)、セラミック加熱器、可撓性炭素繊維加熱器の形態とすること、又は適切な形状の基材上にプラズマ蒸着などのコーティング技術を用いて形成することができる。したがって、第2の加熱手段24は、喫煙カートリッジ10の芳香発生基材12が設けられている部位を覆うことが可能に形成されている。言い換えれば、第2の加熱手段24は、収容部21において、カバー11の芳香発生基材12が設けられた部分の外周を加熱可能に設けられている。
【0073】
第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24は、給電されることによって加熱することが可能である。第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24は、例えば、電気抵抗材料を含み、給電されることによって、150~350℃に加熱することが可能である。電気抵抗材料としては、限定されるものではないが、ドープセラミックスのような半導体、「導電性」セラミックス(例えば、二珪化モリブデン)、炭素、グラファイト、金属、金属合金、及びセラミック材料及び金属材料から作られる複合材料を挙げることができる。
【0074】
電気抵抗材料は、複合材料において、絶縁材料に埋め込むこと、封入すること、又はそれでコーティングすること、又はその逆とすることができる。代替的に、電気加熱器は、赤外線加熱要素、光学的ソース、又は誘導加熱要素を含むことができる。
【0075】
喫煙カートリッジ用加熱器100は、第1の加熱手段23の収容部21の底部21aからの突出量に応じて、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24の温度を調節する加熱調整手段50を有する。本実施形態においては、加熱調整手段50は、第1の加熱手段23の位置に応じて加熱させる加熱手段を選択する。加熱調整手段50は、例えば、第1の加熱手段23の位置に応じて、回路接続を切り替えることにより、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24のいずれか一方を加熱させることができる。
【0076】
尚、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を加熱させる態様は、手動によって行われてもよい。第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24は、例えば、喫煙カートリッジ用加熱器100の電源ボタンPBの押下の態様に応じて選択的に加熱させるようにしてもよい。
【0077】
例えば、加熱調整手段50は、電源ボタンPBを1秒以内に2回連続して押下された場合に第1の加熱手段23を加熱させ、電源ボタンPBを2秒以上長押しされた場合に第2の加熱手段24を加熱させるようにしてもよい。
【0078】
加熱調整手段50は、このような態様に限られず、電源ボタンPBとは別のボタンを1又は複数設けて、そのボタンの押下の態様によって第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24の加熱を切り替えてもよい。また、ボタンは、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24の加熱を選択可能であればよく、例えば、静電容量式のタッチパネルであってもよい。尚、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24のうち、いずれか一方を加熱する態様を説明したが、これには限られず、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24両方を加熱してもよい。すなわち、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24は、一方が加熱されている場合に他方も加熱可能である。
【0079】
調整手段40は、
図3及び4にも示すように、第1の加熱手段23において、収容部21の軸方向に沿って形成されている第1のラック41と、第1のラック41と歯合する歯車42と、突出部26に設けられている第2のラック43と、第2のラック43及び歯車42に歯合されている歯車47と、を有する。
【0080】
調整手段40は、第1の加熱手段23の底部21aからの突出量を調整可能であり、例えば、第1の加熱手段23が芳香発生基材12に挿通可能な第1の位置及び第1の加熱手段23が芳香発生基材12に挿通不能な第2の位置を、第1の加熱手段23に対して設定可能である。尚、調整手段40は、第1の位置及び第2の位置に限られず、第1の位置及び第2の位置の間の位置においても適宜実施の態様に応じて第1の加熱手段23の突出量を調整可能である。
【0081】
第1のラック41は、歯車42の回転に伴って収容部21の軸方向に沿って移動可能である。本実施形態においては、歯車42が反時計回りに回転すると、第1のラック41は、挿通孔22側に移動する。また、歯車42が時計回りに回転すると、第1のラック41は、本体20の底面側に移動する。
【0082】
尚、第1のラック41は、本体20の収容部21の軸方向に沿って設けられているガイド溝(図示せず)に収容されている。したがって、第1のラック41は、ガイド溝に沿って収容部21の軸方向に移動可能である。
【0083】
歯車42、47は、本体20に固定されている回転軸の軸周りに回転可能に設けられている。歯車42、47は、第2のラック43の移動に連動して回転することが可能である。
【0084】
したがって、
図3に示すように、突出部26が押し下げられた状態から上方に押し上げられると、収容部21がハウジング25において、支持部としての挿入口22側に上昇移動する。
【0085】
これに伴って、第2のラック43が歯車47を時計回りに回転させ、歯車42が反時計回りに回転する。その結果、第1のラック41が挿入口22側に移動して押し上げられる。
【0086】
これに伴って、第1の加熱手段23が、収容部21の底面21aから突出する。すなわち、第1の加熱手段23が芳香発生基材12に挿通可能な第1の位置に移動する。第1の加熱手段23が第1の位置に移動すると、加熱調整手段50は、第1の加熱手段23に通電されるように第2の加熱手段24から回路の接続を切り替える。
【0087】
また、
図4に示すように、突出部26が押し上げられた状態から押し下げられると、収容部21がハウジング25の底部21a側に移動して下降する。これに伴って、第2のラック43が歯車47を反時計回りに回転し、歯車42が時計回りに回転し、第1のラック41が本体20の底部側に移動して押し下げられる。
【0088】
これに伴って、第1の加熱手段23が収容部21の底面21aから退避される。すなわち、第1の加熱手段23が芳香発生基材12に挿通不能な第2の位置に移動する。第1の加熱手段23が第2の位置に移動すると、加熱調整手段50は、第2の加熱手段24に通電がなされるように回路の接続を切り替える。
【0089】
このように、第1の加熱手段23を用いるときは、突出部26を押し上げるように収容部21スライドさせて、第1の加熱手段23を収容部21の底部21aから突出させるとよい。また、第2の加熱手段24を用いるときは、突出部26を押し下げるように収容部21スライドさせて、第1の加熱手段23を収容部21の底部21aから退避させるとよい。したがって、喫煙カートリッジ10に応じて、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を選択的に使用することが可能となる。
【0090】
また、例えば、収容部21のハウジング25内の移動量を、芳香カートリッジ100の長さに応じて調整することにより、本体20から突出している芳香カートリッジ100の長さを常に一定にすることができる。これにより、ユーザは、芳香カートリッジ100が本体20から突出している長さの違いにより感じる違和感を、減少させながら使用することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態の喫煙カートリッジ用加熱器100によれば、喫煙カートリッジ10を加熱する態様に応じて、第1の加熱手段23を第1の位置又は、第2の位置に移動させることによって、所望の加熱手段23,24を用いることができる。
【0092】
言い換えれば、喫煙カートリッジ用加熱器100は、第1の加熱手段23と、第2の加熱手段24とを有しているので、第1の加熱手段23に対応した喫煙カートリッジ10でも、第2の加熱手段24に対応した喫煙カートリッジ10でも使用可能となる。
【0093】
また、上記加熱手段のタイプに応じて喫煙カートリッジ10の長さが異なる場合でも、収容部21を移動させることにより、適切な位置で喫煙カートリッジ10を支持することができる。
【0094】
尚、加熱調節手段50は、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を同時に加熱するように構成してもよい。加熱調節手段50は、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を同時に加熱する場合、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を互いに異なる温度で加熱するようにするとよい。
【0095】
例えば、加熱調節手段50は、第1の加熱手段23を第2の加熱手段24よりも高い温度で加熱するようにするとよい。第1の加熱手段23が第2の加熱手段24よりも高い温度で加熱されることによって、芳香発生基材12に温度分布を意図的に設けることが可能となる。すなわち、芳香発生基材12において、熱源までの距離に応じた温度勾配が形成される。このように、温度の偏りが形成されることにより、エアロゾルの発生に適した環境を実現することが可能となる。
【0096】
また、加熱調節手段50は、第1の加熱手段23の位置に応じて温度を調整するとよい。例えば、加熱調節手段50は、第1の加熱手段23が芳香発生基材に対して挿通不能な位置にある場合、第1の加熱手段23の温度よりも第2の加熱手段24の温度が高くなるように温度を調整するとよい。
【0097】
さらに、加熱調節手段50は、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24を収容部21の底部21aからの距離に応じた温度分布を有して加熱するようにしてもよい。このような態様で、第1の加熱手段23及び第2の加熱手段24が加熱されることにより、芳香発生基材12における温度分布を形成することができる。また、このような芳香発生基材12の温度の偏りが形成されることにより、エアロゾルの発生に適した環境を実現することが可能となる。
【0098】
[実施形態2]
実施形態1においては、収容部21がハウジング25内をスライドする構成を説明した。本体20には、収容部21の入口側で喫煙カートリッジ10を支持する支持部を設けてもよい。尚、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0099】
図5乃至7は、実施形態2に係る喫煙カートリッジ用加熱器100を示している。
図5乃至7に示すように、喫煙カートリッジ用加熱器100は、収容部21の入口側で喫煙カートリッジ10を支持する支持部30を有する。
【0100】
支持部30は、支持具32の本体20の挿通孔22が配されている側の一端に設けられている。本実施形態においては、支持部30は、L字となるように支持具32に設けられている。
【0101】
支持部30は、本実施形態においては、板状に形成されている。尚、支持部30の形態は、喫煙カートリッジ10を支持可能な厚さ及び形態を有するものであれば、板状には限られず、例えば、棒状、筒状等であってもよい。支持部30は、一の面が本体20の挿通孔22に対向して配されている。支持部30は、喫煙カートリッジ10の形状に応じた支持孔31を有する。支持孔31は、本実施形態においては、上面視が円状又は、U字状に切り欠いて形成されている。支持孔31は、収容部21の中心軸線上に配されている。
【0102】
支持部30は、本体20の側面にスライド可能に取付けられた支持具32の一端に設けられている。支持具32は、本実施形態においては、矩形の板状に形成されている。支持具32は、例えば、その側面において、本体20の側面の形状に沿って形成されている凹状のガイド溝(図示せず)を有する。また、本体20の側面には、このガイド溝(図示せず)に係合可能な係合突起(図示せず)が収容部21の軸方向に沿って形成されている。尚、支持具32が本体20の側面においてスライド可能な構成であればよく、支持具32はこのような構成に限定されない。例えば、支持具32は、ガイド溝が支持具32に形成され、本体20の側面においてガイド溝に係合する係合突起が形成されているようにしてもよい。このように、本体20の側面に支持具32が設けられていることにより、ユーザは容易に支持具32の位置を調整することが可能となる。
【0103】
支持具32は、収容部21の軸方向に沿ってスライド可能であればよく、例えば、本体20に内蔵されるように収容され、かつ本体20の上面からの突出量を調整可能に設けられているようにしてもよい。
【0104】
調整手段40は、
図5乃至7に示すように、第1の加熱手段23から収容部21の軸方向に沿って延びる第1のラック41と、第1ラック41と歯合可能な歯車42と、支持具32から収容部21の軸方向に沿って延びる第2のラック43と、歯車42に歯合可能な歯車45を有するアクチュエータ44と、を有する。
【0105】
尚、歯車45は、第1のラック41及び第2のラック43とはオフセットした位置にあり、歯車42には歯合するが、第1のラック41及び第2のラック43とは歯合しないようになっている。
【0106】
第1のラック41は、歯車42の回転に伴って収容部21の軸方向に沿って移動可能である。本実施形態においては、歯車42が反時計回りに回転すると、第1のラック41は、挿通孔22側に移動する。また、歯車42が時計回りに回転すると、第1のラック41は、本体20の底面側に移動する。
【0107】
尚、第1のラック41は、本体20の収容部21の軸方向に沿って設けられているガイド溝(図示せず)に収容されている。したがって、第1のラック41は、ガイド溝に沿って収容部21の軸方向に移動可能である。
【0108】
歯車42は、本体20に固定されている回転軸の軸周りに回転可能に設けられている。歯車42は、第1のラック41及び第2のラック43と歯合可能である。
【0109】
第2のラック43は、支持具32の本体20に対向する面に設けられている。第2のラック43は、収容部21の軸方向に沿って設けられ、当該軸方向にスライドして移動可能である。第2のラック43が収容部21の軸方向の上側、すなわち、本体20の挿通孔22側に向かって移動すると、歯車42は、時計回りに回転させられる。第2のラック43が収容部21の軸方向の下側、すなわち、本体20の底面側に向かって移動すると、歯車42は、反時計回りに回転させられる。
【0110】
アクチュエータ44は、モータの回転軸に設けられている歯車45を有する。歯車45は、第1のラック41、第2のラック43とはオフセットされていて歯合せず、歯車42に歯合する。
【0111】
アクチュエータ44は、電源(図示せず)に接続されている。したがって、アクチュエータ44は、電源ボタンPBの操作により喫煙カートリッジ用加熱器100の電源がONにされると、
図5に示されている第1の態様となる。
【0112】
第1の態様では、第1の加熱手段23に対して加熱し、第2の加熱手段24に対しては加熱されないように回路が接続されている。また、第1の態様においては、第1の加熱手段23に対して喫煙カートリッジ10を挿通することが可能である。すなわち、第1の加熱手段23は、第1の位置に位置している。
【0113】
第2の加熱手段24を用いる喫煙カートリッジ10は、第1の加熱手段23が突き刺さりにくい傾向がある。したがって、喫煙カートリッジ10を差し込むと、第1の加熱手段23には所定以上の力が加わり、歯車42が時計回りに回転する。これに伴って、歯車42に歯合する歯車45を介してアクチュエータ44の駆動軸が回転する。これにより、アクチュエータ44のモータが回転し微弱な電流が生じる。
【0114】
喫煙カートリッジ10が
図5に示したものよりも長い場合、支持部30から収容部21の底部21aまでの距離を延ばすようにするとよい。具体的には、喫煙カートリッジ10が収容部21に差し込まれ、所定以上の力が加えられると、アクチュエータ44の歯車45は、時計回りに回転させられる。これにより、アクチュエータのモータが回転し微弱な電流が生じる。
【0115】
アクチュエータ44は、この電流を検知すると、歯車45を反時計回りに回転させることにより、歯車42を時計回りに回転させて、第1のラック41を本体20の底面側に移動させる。したがって、
図6に示す第2の態様となる。第1のラック41が本体20の底面側に移動すると、第1の加熱手段23が収容部21から退避する。すなわち、第1の加熱手段23は、第2の位置に移動する。第1の加熱手段23が収容部21から退避すると、第2の加熱手段24を加熱可能に回路が切り替わる。
【0116】
尚、手動で支持具32を本体20の上面側にスライドさせた場合も、アクチュエータのモータが回転し微弱な電流が生じる。すなわち、第1のラック41が押下される力及び支持具32を押し上げる力に基づいて、第1のラック41を移動させることが可能である。
【0117】
このように、第1のラック41が本体20の底面側に移動して第1の加熱手段23が収容部21から退避すると、これに伴って第2のラック43が本体20の底面から離れる方向に移動して支持具30が上昇する。したがって、収容部21の底面21aと支持部30との距離を長くすることができる。これにより、長い喫煙カートリッジ10であっても支持部30によって支持すること可能となる。
【0118】
喫煙カートリッジ10が
図6に示したものよりもさらに長い場合、支持部30から収容部21の底部21aまでの距離をさらに延ばすようにするとよい。具体的には、支持具32は、伸縮自在な構造を有する。したがって、
図6に示した状態から、さらに手動によって支持具32を引き上げると、支持具32が所定距離だけ伸ばされ、
図7に示す第3の態様となる。すなわち、支持具32の本体に対するスライド量を変えることにより、喫煙カートリッジ10の長さに応じて支持位置を変化させることができる。
【0119】
このように調整手段40は、支持部30と収容部21の底部21aとの距離を喫煙カートリッジ10の長さに応じて変更可能な可変機構として機能することが可能である。
【0120】
以上のように、本実施形態の喫煙カートリッジ用加熱器100によれば、第1の加熱手段23と、第2の加熱手段24とを有しているので、調整手段40によって第1の加熱手段23の位置を移動させることにより、第1の加熱手段23に対応した喫煙カートリッジ10でも、第2の加熱手段24に対応した喫煙カートリッジ10でも使用することが可能となる。
【0121】
また、上記加熱手段のタイプに応じて喫煙カートリッジ10の長さが異なる場合でも、適切な位置で喫煙カートリッジ10を支持することができる。すなわち、喫煙カートリッジ10の長さに応じて、支持部30と収容部21の底部21aとの距離を変えることにより、喫煙カートリッジ10を適切に支持することができ、種類の異なる喫煙カートリッジ10に対応することができる。
【0122】
[実施形態3]
実施形態2においては、支持具32に支持部30が設けられている態様を説明した。支持部30は、枠状に形成されている枠状カバーに設けられているようにしてもよい。尚、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0123】
図8及び9は、実施形態3に係る喫煙カートリッジ用加熱具の動作態様を示す説明図である。
図8及び9に示すように、枠状カバー33は、例えば、本体20の右側面、左側面及び上面を覆うようにU字状に形成されている枠状部材である。尚、枠状カバー33は、本体20の右側面、左側面、正面、背面及び上面を覆い、かつ本体20の底面側の一端が開口して形成されている箱状部材であってもよい。
【0124】
枠状カバー33は、本体20の外周にスライド可能に取付けられている。本実施形態においては、枠状カバー33は、本体20の右側面及び左側面に取り付けられている。枠状カバー33は、実施形態1で説明した支持具32と同様に、ガイド溝(図示せず)に係合可能な係合突起(図示せず)によって本体20の外周にスライド可能に取付けられている。
【0125】
支持部30は、枠状カバー33の端面、すなわち、本体20の挿通孔22に対向する位置に設けられている。
【0126】
調整手段40の構成は、実施形態1と同一である。すなわち、
図8は、喫煙カートリッジ用加熱器100の第1の態様を示しており、第1の態様では、第1の加熱手段23に対応した喫煙カートリッジ10を使用することが可能である。したがって、第1の加熱手段23は、第1の位置に位置している。
【0127】
図9は、喫煙カートリッジ用加熱器100の第2の態様を示している。第2の態様では、第2の加熱手段24に対応した喫煙カートリッジ10を使用することが可能である。すなわち、第2の態様では、第1の態様よりも長い喫煙カートリッジ10を使用することができる。また、第1の加熱手段23は、第2の位置に位置している。
【0128】
このように喫煙カートリッジ用加熱器100を構成しても、調整手段40によって第1の加熱手段23の位置を移動させることにより、第1の加熱手段23に対応した喫煙カートリッジ10でも、第2の加熱手段24に対応した喫煙カートリッジ10でも使用することが可能となる。
【0129】
また、枠状カバー33の本体に対するスライド量を変えることにより、喫煙カートリッジ10の長さに応じて支持位置を変化させることができる。喫煙カートリッジ10の長さに応じて、支持部30と収容部21の底部21aとの距離を変えることにより、喫煙カートリッジ10を適切に支持することができ、種類の異なる喫煙カートリッジ10に対応することができる。
【0130】
[実施形態4]
上述の実施形態2においては、支持具32は、本体20にスライド可能に設けられている例を説明した。支持具32は、本体20に回動可能に取り付けられているようにしてもよい。
【0131】
図10は、実施形態3に係る喫煙カートリッジ用加熱具100の斜視図である。
図11及び12は、実施形態4に係る喫煙カートリッジ用加熱具の動作態様を示す説明図である。
【0132】
図10乃至12に示すように、支持具34は、本体20の正面、上面及び背面に対向する面を有するU字状に形成されている枠状部材である。支持部30は、本体20の上面に対向する面において、収容部21の軸線上に設けられている。すなわち、支持部30は、支持具34の一端に設けられている。
【0133】
支持具34は、本体20の正面及び背面に設けられている回動軸AXに取り付けられている。したがって、支持具34は、回動軸AXの軸周りに回動することが可能である。
【0134】
調整手段40は、回動軸AXに取り付けられている歯車46を有する。
図11及び12に示すように、支持具34の回動に伴って、歯車46が時計回りに回転すると、第1のラック41が上面側に移動する。すなわち、第1の加熱手段23が押し上げられ、第1の位置に移動する。第1の加熱手段23が第1の位置に移動すると、第1の加熱手段23に通電されるように回路が切り替えられる。
【0135】
また支持具34の回動に伴って、歯車46が反時計回りに回転すると、第1のラック41が底面側に移動する。すなわち、第1の加熱手段23が押し下げられ第2の位置に移動する。第1の加熱手段23が第2の位置に移動すると、第2の加熱手段24に通電されるように回路が切り替えられる。
【0136】
このように喫煙カートリッジ用加熱器100を構成しても、調整手段40によって第1の加熱手段23の位置を移動させることにより、第1の加熱手段23に対応した喫煙カートリッジ10でも、第2の加熱手段24に対応した喫煙カートリッジ10でも使用することが可能となる。
【0137】
また喫煙カートリッジ10が短いときは、収容部21で支持し、喫煙カートリッジ10が長いときは、支持具34を回動させて、その一端に設けた支持部30で支持させることができる。したがって、喫煙カートリッジ10の長さに応じて、支持部30と収容部21の底部21aとの距離を変えることにより、喫煙カートリッジ10を適切に支持することができ、種類の異なる喫煙カートリッジ10に対応することができる。
【符号の説明】
【0138】
100 喫煙カートリッジ用加熱器
10 喫煙カートリッジ
11 カバー
12 芳香発生基材
13 フィルタ
20 本体
21 収容部
21a 底部
22 挿通孔
23 第1の加熱手段
24 第2の加熱手段
30 支持部
32、34 支持具
33 枠状カバー
40 調整手段
50 加熱調整手段