(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067755
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】作品固定用コーナーシール
(51)【国際特許分類】
A47G 1/14 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
A47G1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176527
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】519441235
【氏名又は名称】株式会社ボウルド
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】宇都 光孝
【テーマコード(参考)】
3B111
【Fターム(参考)】
3B111BC02
3B111BC03
3B111CA02
(57)【要約】
【課題】作品が気温や湿度の変化により伸縮した場合にその伸縮を吸収することができて、作品の伸縮に伴って作品が歪んだり波打ったりすることを回避できる作品固定用コーナーシールを提供することを課題とする。
【解決手段】直角三角形状の本体2と前記本体2の2つの側辺3,4に延設される固定片5,6とから成り、前記本体2の2つの側辺3,4のなす直角角部に、作品20のコーナー21を露出させるための窓部7が形成される。側辺3,4には、筋押し線3a,4aが形成され、その内側に、それと平行に筋押し線9が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角三角形状の本体と前記本体の2つの側辺に延設される固定片とから成り、前記本体の2つの側辺のなす直角角部に、作品のコーナーを露出させるための窓部が形成されていることを特徴とする写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項2】
前記窓部は、前記直角角部が五角形、三角形又は円形その他任意の形状に切除されて形成される、請求項1に記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項3】
前記窓部は、前記本体の斜辺と平行なスリット状に形成される、請求項1に記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項4】
前記本体の2つの側辺には、筋押し線又はミシン目が形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項5】
前記本体の2つの側辺の内側に、それと平行に筋押し線が形成される、請求項4に記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項6】
前記本体の斜辺の両端部に切除部が設けられる、請求項1乃至5のいずれかに記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項7】
前記固定片の裏面に接着剤が塗布される、請求項1乃至6のいずれかに記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項8】
前記本体の斜辺側が部分的に切り取り可能にされる、請求項1乃至7のいずれかに記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【請求項9】
前記本体及び固定片は、プラスチックフィルムにアルミニウム蒸着した資材製である、請求項1乃至8のいずれかに記載の写真等の作品固定用コーナーシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作品固定用コーナーシールに関するものであり、より詳細には、写真等の作品を額装する際に、作品をマットに固定保持するために用いる作品固定用コーナーシールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真、絵画、ポスター等(以下「作品」とする)の作品は、壁に掛けて展示するような場合に額装される。作品を額装する場合は、通例、作品20を、裏打ちシート(PPやPET等の樹脂シートに、予め接着剤が塗布されたもの)25に貼り合わせてから、額装用の窓抜きされた厚紙(マット)22に、テープあるいは写真貼り付け用のコーナーシールで固定し、カバー23を被せて額縁24に装填する(
図8参照)。
【0003】
従来のコーナーシールは一般に、作品のコーナーを差し込む扇型又は直角三角形の袋状のもので、裏面に接着剤が塗布されたものである。一般に市販されているコーナーシールは、主にキャビネ版以下の比較的小サイズの写真をアルバムに固定するためのもので、写真を簡単に整然と固定することができて便利であるところから、広く用いられている。また、一部業務用のコーナーシールとして、額装専門の額装屋が用いる、より大きなサイズの額装用コーナーシールがあるが、この額装用コーナーシールも一般のコーナーシールと同様に、表面が不透明であって、作品のコーナーを差し込む際、作品のコーナーが隠れてしまうために作品のコーナーを目視することができない。
【0004】
また、例えば、写真の場合、厚みが0.5~1mmと厚手のものがあり、それに更に、0.5~0.6mm、場合によっては1~2mmの厚みの写真用裏打ちシートが貼り付けられるため、厚み及び重量が嵩むが、その厚み及び重量に対応し得るコーナーシールは存在しない。そこで、上記額装に際しては、四隅をガムテープ止めしているのが現状であるが、その場合、作品の位置決めが難しく、また、作品のコーナーを傷付けるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3198390号公報
【特許文献2】実用新案登録第3199951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作品やプラスチック製の写真裏打ちシート、あるいは、紙製のインクジェットプリント用紙等は、気温や湿度の影響を受けて伸縮することがある。しかし、写真を固定するために用いられている従来の写真固定用コーナーシールは、不透明であるため、作品のコーナーを差し込む際、そのコーナーを目視することができない。そのため、上述したような作品の伸縮を吸収し得る態様で作品を固定することができない。
【0007】
即ち、従来のコーナーシールを用いた場合は、作品のコーナーを目視することができないため、作品のコーナーを、遊びを設けることなくコーナーシールの奥まで差し込むことになる。このように作品のコーナーを、遊びを設けることなくコーナーシールの奥まで差し込んだ場合は、作品が気温や湿度の変化により伸縮した際に、作品が歪んだり波打ったりするという問題が起こる。
【0008】
また、従来は、厚み及び重量の嵩む作品に対応し得るコーナーシールは存在しなかったため、四辺をガムテープ止めする方法が採られていたが、この方法の場合は、作品を安定的に所望位置に固定することが難しく、ずれたり傾いたりしてしまうことが少なくなく、作品のコーナーを傷付けるおそれがあるという問題がある。また、この場合も、作品が気温や湿度の変化により伸縮した場合に対応することができない。
【0009】
本発明は、このような従来技術における問題を解決するためになされたもので、作品の額装時に作品をマットに固定する際に、作品のコーナーを視認可能にすることで、作品を、遊びをもって保持することができ、以て、作品が気温や湿度の変化により伸縮した場合にその伸縮を吸収することができて、作品の伸縮に伴って作品が歪んだり波打ったりすることを回避でき、また、厚み及び重量の嵩む作品に対しても利用可能な写真等の作品固定用コーナーシールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、直角三角形状の本体と前記本体の2つの側辺に延設される固定片とから成り、前記本体の2つの側辺のなす直角角部に、作品のコーナーを露出させるための窓部が形成されていることを特徴とする写真等の作品固定用コーナーシールである。
【0011】
一実施形態においては、前記窓部は、前記直角角部が五角形、三角形又は円形その他任意の形状に切除されて形成される。他の実施形態においては、前記窓部は、前記本体の斜辺と平行なスリット状に形成される。
【0012】
前記本体の2つの側辺には、筋押し線又はミシン目が形成され、また、前記本体の2つの側辺の内側に、それと平行に筋押し線が形成される。
【0013】
一実施形態においては、前記本体の斜辺の両端部に切除部が設けられる。また、一実施形態においては、前記本体の斜辺側が部分的に切り取り可能にされる。
【0014】
一実施形態においては、前記固定片の裏面に接着剤が塗布される。
【0015】
一実施形態においては、前記本体及び固定片は、プラスチックフィルムにアルミニウム蒸着した資材製である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のとおりであって、作品の額装時に作品をマットに固定する際に作品のコーナーを窓部から露出させて視認可能となるので、作品を、遊びをもって固定保持することができ、以て、作品が気温や湿度の変化により伸縮した場合にその伸縮を吸収することが可能となって、作品の伸縮に伴って作品が歪んだり波打ったりすることを防止でき、また、厚み及び重量の嵩む作品に対しても対応可能で、固定時に作品のコーナーを傷付けるおそれがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る作品固定用コーナーシールの第1の実施形態の種々の形状例を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る作品固定用コーナーシールの製品態様例を示す図である。
【
図3】本発明に係る作品固定用コーナーシールの使用方法を示す図である。
【
図5】本発明に係る作品固定用コーナーシールで作品を固定した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る作品固定用コーナーシールの他の使用方法を示す図である。
【
図7】本発明に係る作品固定用コーナーシールの変形例を示す図である。
【
図8】本発明に係る作品固定用コーナーシールの第2の実施形態を示す正面図である。
【
図9】本発明に係る作品固定用コーナーシールの第2の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る作品固定用コーナーシールの使用方法を示す図である。
【
図11】一般的な額装方法を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る写真等の作品20を固定するためのコーナーシール1は、直角三角形状の本体2と本体2の2つの側辺3,4に延設される固定片5,6とから成り、本体2の2つの側辺3,4のなす直角角部が小さく切除されて窓部7が形成されていることを特徴とするものである。固定片5,6の裏面には接着剤が塗布される。本体2及び固定片5,6は、プラスチックフィルムにアルミニウム蒸着した資材製とされることがある。
【0019】
窓部7は、差し込まれる作品20のコーナー21を露出させて視認可能にするための開口で、
図1~7に示される第1の実施形態における窓部7は、側辺3,4のなす直角角部を五角形(
図1(A))、三角形(
図1(B))あるいは円形(
図1(C))に切り取って形成される。その形状は任意で、上記以外の形状であっても差し支えない。好ましくは更に、本体2の斜辺の両端部に切除部8が設けられる。この切除部8は、後述するように、窓部7と相俟って、作品20の位置決めをしやすくするために形成されるものである。
【0020】
本体2の2つの側辺3,4には、筋押し線3a,4a又はミシン目が形成される。この側辺3,4に沿って形成される筋押し線3a,4a又はミシン目は、固定片5,6を、作品20の側辺に沿って容易且つきれいに折曲するために設けられるものである。また、本体2の筋押し線3a,4aの内側に、それと平行に筋押し線9が形成されることがある。この筋押し線9は、厚みのある作品20(例えば、0.5~1mm)を固定する場合において、その筋押し線9当接部分を容易且つきれいに折曲することにより、作品20の側面との間に隙間ができないようにするためのものであり、厚みのある作品20(例えば、0.5~1mm)の厚みに対応する間隔を置いて、筋押し線3a,4aと平行に形成される。
【0021】
通例、固定片5,6はそれぞれ長方形であるが(
図1(A)、(B))、固定片5,6をL字形に設け、角部に切れ目5aを入れた形状とすることもある(
図1(C)、
図8~10)。この切れ目5aは、筋押し線3a,4aに沿って筋押しした際に、ふくらみができることを防止する役目を果たす。
【0022】
コーナーシール1は、1枚の剥離紙上に多数粘着した状態で製品化され、使用に際して1つずつ剥取して使用する(
図2参照)。
図2においては、1枚の剥離紙上に8枚のコーナーシール1が粘着されている。
【0023】
本発明に係るコーナーシール1を用いて作品20を額装する場合、必要に応じて作品20を裏打ちシート25に貼り合わせた後、裏向きにして額装用のマット22上に載せて仮に位置決めする(
図11参照)。その状態で、作品20の四隅にコーナーシール1を、その側辺3,4を作品20の側辺に合わせるようにして配置する。切除部8は、その際に利用するが、その点については、第2の実施形態の説明と共に詳述する。
【0024】
その状態は、作品20のコーナー21をコーナーシール1の一番奥に差し込んだ状態であるので、作品20のコーナー21が窓部7に露出することになる。この位置においてコーナーシール1を固定してしまうと、従来のコーナーシールの場合と同様に、作品20が気温や湿度の変化により伸縮した場合にその伸縮を吸収することができない状態となり、作品20の歪みや波打ちを抑えることができない。そこで、このコーナーシール1を用いる場合は、作品20のコーナー21が窓部7の縁辺りにくるように位置調整し、遊びを持たせるようにして固定片5,6をマット22に接着する。
【0025】
厚みのある作品20の場合は、コーナーシール1を、その筋押し線9を作品20の側面の上辺に合わせるようにして配置する。そして、筋押し線9を指先でなぞることにより、固定片5,6を筋押し線9に沿って折曲し、作品20の側面との間に隙間を空けずに固定片5,6をマット22に接着する(
図4参照)。このように、作品20の厚みに対応して筋押し線9を入れることで、筋押し線3a,4aにかかる負担が軽減されることで、筋押し線3a,4aが切れにくくなる。なお、筋押し線3a,4aの穴間隔を広げれば、更に切れにくいものとなる。
【0026】
なお、コーナーシール1の粘着を補強するために、その上にテープ12を貼ることもある(
図6参照)。その場合、作品20のコーナー21が窓部7から露出したとしても、ごく僅かな面積であるため、作品20のコーナー21を傷めるおそれはない。また、額装後、作品20を透過して、コーナーシール1が浮き出て見えることがあり得る。そのような場合を考慮して、本体2の斜辺側が部分的に切り取り可能にされる。即ち、本体2の斜辺から三角形状のミシン目11が入れられ、使用者がミシン目11に沿って切り取り可能にされる(
図7参照)。
【0027】
図8~10に示される第2の実施形態は、窓部7aを、本体2の斜辺10と平行なスリット状に形成し、固定辺5,6の裏面に粘着層を設けず、テープで固定するようにしたもので、他の構成は第1の実施形態の構成に準じる。
【0028】
この実施形態の場合は、マット22の裏面に仮に位置決めした作品20の四隅にコーナーシール1を配置するが、その場合、作品20のコーナー21を本体1の裏側から窓部7aに通して露出させて位置決めする(
図9、
図10(A)、(B)参照)。
【0029】
即ち、作品20のコーナー21を窓部7aに差し入れ、作品20の側面と側辺3の延長である切除部8の内側辺8aとの間隔g1と、窓部7aから出る作品20のコーナー21の側面と側辺3との間隔g2とが一致するようにすると共に、作品20の底面と側辺4の延長である切除部8の内側辺8aとの間隔g3と、窓部7aから出る作品20のコーナー21の底面と側辺4との間隔g4とが一致するようにして位置決めする(
図9、
図10(B)参照)。この間隔g1~g4の調整により、作品20の可動範囲を決定することができる。
【0030】
このようにして位置決めした後、本体2から固定片5,6にかけてテープ12で止める(
図10(C))。なお、短期間展示のような場合は、テープ12として弱粘着性のものを用いれば、展示後マット22を傷めずにテープ12を除去することができ、マット22の再使用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は上記のとおりであって、作品の額装時に作品をマットに固定する際に作品のコーナーの視認が可能であるので、作品を、遊びをもって固定保持することができ、以て、作品が気温や湿度の変化により伸縮した場合にその伸縮を吸収することが可能となって、作品の伸縮に伴って作品が歪んだり波打ったりすることを防止でき、また、厚み及び重量の嵩む作品に対しても対応可能で、固定時に作品のコーナーを傷付けるおそれがないという効果のあるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0032】
1 コーナーシール
2 本体
3,4 側辺
3a,4a ミシン目
5,6 固定片
5a 切れ目
7,7a 窓部
8 切除部
8a 内側辺
9 筋押し線
12 テープ
20 作品
21 作品のコーナー