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特開2022-67761エレベータ案内システム、エレベータ案内方法
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  • 特開-エレベータ案内システム、エレベータ案内方法 図1
  • 特開-エレベータ案内システム、エレベータ案内方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067761
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】エレベータ案内システム、エレベータ案内方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
B66B3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176533
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】白石 理人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮太郎
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CB23
3F303CB31
3F303DA07
3F303DB11
3F303DC22
(57)【要約】
【課題】エレベータに乗車するユーザに対して個別の情報を動的に表示することができるエレベータ案内システムを提供する。
【解決手段】エレベータの出入口近傍の領域にいるユーザの位置を検出する位置検出部と、前記検出されたユーザを識別するユーザ識別部と、エレベータの運行状況を示す運行情報と前記識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、前記ユーザの位置に応じた床面の位置に表示する表示部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの出入口近傍の領域にいるユーザの位置を検出する位置検出部と、
前記検出されたユーザを識別するユーザ識別部と、
エレベータの運行状況を示す運行情報と前記識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、前記ユーザの位置に応じた床面の位置に表示する表示部と、
を有するエレベータ案内システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記ユーザが移動することに応じて前記案内情報の表示位置を変更する
請求項1に記載のエレベータ案内システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記ユーザに対して乗車するエレベータが割り当てられている場合には、当該割り当てられたエレベータの整列位置に案内する案内情報を前記ユーザに対して表示し、前記ユーザに対して乗車するエレベータの割り当てが決まる前である場合には、前記整列位置とは異なる場所である待機位置へ案内する案内情報を前記ユーザに対して表示する
請求項1または請求項2に記載のエレベータ案内システム。
【請求項4】
前記案内情報は、案内する方向に応じた向きを表す矢印の図形を含む
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のエレベータ案内システム。
【請求項5】
位置検出部が、エレベータの出入口近傍の領域にいるユーザの位置を検出し、
ユーザ識別部が、前記検出されたユーザを識別し、
表示部が、エレベータの運行状況を示す運行情報と前記識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、前記ユーザの位置に応じた床面の位置に表示する
エレベータ案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ案内システム、エレベータ案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの運行効率の向上や、利便さの向上を目的として様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、複数のエレベータが発着するエレベータホールにおいて、ユーザをいずれかのエレベータに誘導するシステムが開示されている。この特許文献1のシステムでは、複数のエレベータのうち最初に到着するエレベータへ利用者を誘導するものであるため、いずれの階を利用するユーザであっても1つのエレベータへ誘導される。
近年では、複数のエレベータのうち最初に到着するエレベータにユーザを案内する技術とは別に、例えば、エレベータホールに直結した入館ゲートにおいて、入館者の登録情報とエレベータの混雑度合に応じて、乗るべきエレベータを当該入館ゲートの表示パネルに表示することで指定する技術が提案されている。また、ユーザを案内するにあたり、床にアニメーションをプロジェクションすることで、到着するエレベータの現在位置や混雑状況等の運行状況を知らせる技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-157215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗るべきエレベータを入館ゲートの表示パネルで指示する方法では、入館ゲートにおいて乗るべきエレベータを指示したとしても、表示パネルが入館ゲートに固定設置されているため、入館ゲートを通過した後は、案内された内容を確認することができない。
また、床にアニメーションをプロジェクションする方法では、アニメーションは場所に固定されて表示され、エレベータの運行情報などを動的に示すことができるが、いずれのユーザに対しても共通の情報が提示されるため、各ユーザに対してパーソナライズされた情報は示すことはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エレベータに乗車するユーザに対して個別の情報を動的に表示することができるエレベータ案内システム、エレベータ案内方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、エレベータの出入口近傍の領域にいるユーザの位置を検出する位置検出部と、前記検出されたユーザを識別するユーザ識別部と、エレベータの運行状況を示す運行情報と前記識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、前記ユーザの位置に応じた床面の位置に表示する表示部と、を有するエレベータ案内システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、位置検出部が、エレベータの出入口近傍の領域にいるユーザの位置を検出し、ユーザ識別部が、前記検出されたユーザを識別し、表示部が、エレベータの運行状況を示す運行情報と前記識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、前記ユーザの位置に応じた床面の位置に表示するエレベータ案内方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、エレベータに乗車するユーザに対して個別の情報を動的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態によるエレベータ案内システム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】エレベータ案内システム1の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるエレベータ案内システム1について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるエレベータ案内システム1の構成を示す概略ブロック図である。
エレベータ案内システム1は、カメラ10、通信装置20、個人端末30、ユーザ記憶部40、運行管理部50、制御部60、表示部70を含む。
エレベータホールHには、複数のエレベータが乗降可能な位置に設けられている。ここでは、エレベータがエレベータELV1、エレベータELV2、エレベータELV3の3機である場合が図示されている。エレベータホールHは、廊下やエントランス等と兼用となっている領域を含む場合がある。
【0011】
カメラ10は、建物内の天井や壁に設置され、ユーザ記憶部40と制御部60とに通信可能に接続される。カメラ10は、検出対象領域内を撮像し、撮像結果に基づいて、検出対象領域にいるユーザの位置を検出する位置検出部として機能する。検出対象領域は、例えば、エレベータの出入口近傍の領域である。より具体的に、検出対象領域は、エレベータホールH内の空間である。カメラ10は、撮像結果から、ユーザの実体の位置を解析することで、ユーザのエレベータホールHにおける空間の位置を認識することができる。カメラ10は、例えば、三次元空間上の位置を表す座標データを、認識した位置を表すデータとして制御部60に出力する。また、カメラ10は、撮像結果(例えば画像データ)を制御部60に出力する。
【0012】
また、カメラ10は、ユーザの認証処理を行う機能も有する。
カメラ10は、撮像結果から、ユーザの顔画像を抽出し、この顔画像と、ユーザ記憶部40に記憶された顔画像と照合することで、いずれのユーザであるかを識別する。ここで、ユーザ記憶部40には、ユーザを特定することが可能な情報(例えば、ユーザ識別情報)と、顔画像と、ユーザの行き先階とが対応付けられてユーザデータとして記憶している。ここで、エレベータを利用することで行くことができるエリアの1つとして、例えば、オフィスがある。この場合、オフィスに入ることができるユーザは、オフィスに勤務しているユーザや、オフィスを訪問する来場者である。オフィスに勤務しているユーザは、例えば社員として顔画像とともにユーザデータとして登録される。来場者は、オフィスを訪問する際に、入館予定日時、訪問先のオフィス、訪問先の担当者氏名、入館者の氏名や企業名等とともに、入館者の顔画像をユーザデータとして、入館予約を行う際に登録しておく。
カメラ10は、抽出された顔画像に対応するユーザを、ユーザ記憶部40に記憶されたユーザデータを参照することで、識別することができる。また、カメラ10は、ユーザ記憶部40に記憶されたユーザであると判定できた場合には、エレベータを利用するユーザであることを認証することができ、ユーザ記憶部40に記憶されていない場合には、エレベータを利用しないユーザであることを認証結果として得ることができる。
【0013】
カメラ10は、ユーザの位置を検出するとともに、いずれのユーザであるかを識別することで、どのユーザがどの場所にいるかを特定することができる。
カメラ10は、このようなユーザ識別の処理またはユーザ認証の処理を一定時間毎に行うことで、ユーザの位置を追尾することができる。
【0014】
カメラ10は、この図においてエレベータホールHに1台のみ設けられている場合について図示されているが、カメラ10を複数設け、エレベータホールH内の領域を複数に分割し、分割された各領域をそれぞれ異なるカメラ10によって撮像するようにしてもよい。この場合、あるカメラ10が撮像する分割領域の一部が、他のカメラが撮像する分割領域の一部と重複してもよい。
【0015】
通信装置20は、ユーザが携帯する個人端末30と無線信号により近距離通信を行う。当該近距離通信は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)通信である。ここでは、ユーザUaとユーザUbのうち、ユーザUbが個人端末30を携帯しており、通信装置20がユーザUbの個人端末30とUWB通信を行う場合について説明する。
このUWB通信は、超広帯域の無線信号を用いた近距離高速通信であり、位置測定やレーダーの機能を有している。これにより、個人端末30を携帯しているユーザUbの位置を検出できる。個人端末30と通信装置20とをリンクさせる際には、ペアリングが行われる。なお、ここでは、1台の通信装置20のみ図示しているが、通信装置20は複数台あっても良い。例えば、UWB信号の到達時間差を用いて位置検出を行う場合、互いに異なる位置に3台の通信装置を設け、個人端末30からのUWB信号を3台の各通信装置で受信し、その時間差から個人端末30の位置を検出することができる。個人端末30の位置検出の方法は、近距離通信によりユーザUbの個人端末30の位置が検出できれば、どのような検出方法を用いても良い。
通信装置20は、例えば、三次元空間上の位置を表す座標データを、認識した位置を表すデータとして制御部60に出力する。
【0016】
また、通信装置20は、ユーザの認証処理を行う機能も有する。
通信装置20は、個人端末30と無線通信を行うことで、個人端末30から端末識別情報を取得する。端末識別情報は、個人端末30を個別に識別する情報である。通信装置20は、得られた端末識別情報がユーザ記憶部40に記憶された端末識別情報と照合することで、個人端末30を携帯するユーザが誰であるかを識別する。ここで、個人端末30を用いてユーザ認証を行う場合には、ユーザ記憶部40には、ユーザデータとして、端末識別情報と、ユーザ識別情報と、ユーザの行き先階とが対応づけられてユーザデータとして記憶されている。
通信装置20は、ユーザ記憶部40に記憶された端末識別情報を参照することで、端末識別情報に対応する個人端末30を携帯するユーザが誰であるかを識別することができる。また、通信装置20は、ユーザ記憶部40に記憶された端末識別情報であると判定できた場合には、この端末識別情報に対応する個人端末30を携帯するユーザについて、エレベータを利用するユーザであることを認証することができ、ユーザ記憶部40に記憶されていない場合には、エレベータを利用しないユーザであることを認証結果として得ることができる。
【0017】
通信装置20は、ユーザの位置を検出するとともに、いずれのユーザであるかを識別することで、どのユーザがどの場所にいるかを特定することができる。
通信装置20は、このようなユーザ識別の処理またはユーザ認証の処理を一定時間毎に行うことで、ユーザの位置を追尾することができる。
【0018】
この実施形態において、エレベータホールH内におけるユーザの位置検出は、カメラ10または通信装置20のうち少なくともいずれか一方を用いることができればよい。例えば、カメラ10を設置することができない場合には、通信装置20を用いた位置検出を行う等、エレベータホールHにおける環境に応じた位置検出の方式を適用すればよい。また、ユーザの位置検出は、カメラ10または通信装置20を用いるのではなく、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、測域センサ、静電容量センサ、圧力センサ等を用いるようにしてもよい。
LIDARセンサや測域センサを用いる場合、ユーザの実体を検出して、ユーザの検出対象領域内での位置を認識できる。
静電容量センサや圧力センサを用いる場合、エレベータホールHの床面のうち少なくともエレベータの出入口近傍の領域に静電容量センサや圧力センサを配置し、その検出座標を解析することで、ユーザの検出対象領域内での位置を認識できる。
この実施形態では、カメラ10、通信装置20、カメラ、LIDARセンサ、測域センサ、静電容量センサ、圧力センサ等については、単独種類のセンサを用いてもよいし、これらの種類のうち2つ以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
また、ユーザ認証は、カメラ10または通信装置20のうち少なくともいずれか一方を用いることができればよい。例えば、カメラ10を設置することができない場合には、通信装置20を用いたユーザ認証を行う等、エレベータホールHにおける環境に応じたユーザ認証の方式を適用すればよい。また、ユーザ認証は、カメラ10または通信装置20を用いるのではなく、例えば、ユーザにIC(integrated circuit)カードを携帯してもらい、エレベータホールの入口近傍に設けられた読取装置において、ICカードを読み取ってもらうことで、ユーザを認証するようにしてもよい。また、スマートフォン等の端末装置のアプリ機能(アプリケーションソフトウェアの機能)を用いて、ユーザに対してワンタイムの二次元バーコードを発行しておく。そして、事前に発行された二次元バーコードをスマートフォンの画面に表示させた状態で、エレベータホールの入口付近に設けられた読み取り装置において読み取らせることで、ユーザを認証するようにしてもよい。
【0020】
個人端末30は、ユーザUbが携帯している端末装置である。個人端末30は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等のうちいずれかであり、無線通信のネットワークを介して、制御部60と接続可能である。また、個人端末30は、通信装置20と無線によって接続可能であり、通信装置20と通信を行うための通信機能を備えている。
【0021】
ユーザ記憶部40は、エレベータを利用するユーザに関する情報を記憶する。
ユーザ記憶部40は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。このユーザ記憶部40は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0022】
運行管理部50は、エレベータの運行状況を管理する。
例えば、運行管理部50は、エレベータホールHにいるユーザのそれぞれに行き先階、エレベータが現在いるフロア、昇降動作の状況、扉の開閉状況、各エレベータのカゴに乗車しているユーザの混雑状況等を元に、運行を管理する。この実施形態において、エレベータ案内システム1は、運行管理部50を含む場合について説明したが、運行管理部50は、エレベータ案内システム1の外部の装置として設けられ、エレベータ案内システム1と通信可能に接続されるようになっていてもよい。
【0023】
制御部60は、運行管理部50とユーザ記憶部40とカメラ10と通信装置20とに通信可能に接続されており、運行管理部50から各エレベータの運行状況を取得するとともに、カメラ10または通信装置20からユーザの位置情報や認証結果を取得し、エレベータホールHの床面に表示する映像信号を生成する。
制御部60は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置、または専用の電子回路で構成されてもよい。
【0024】
表示部70は、制御部60に接続されており、制御部60から供給される映像信号を表示する表示装置である。具体的に、表示部70は、エレベータの運行状況を示す運行情報と識別されたユーザに応じた行き先階に基づいて定まる当該ユーザが乗車するエレベータの整列箇所へ案内する案内情報を、ユーザの位置に応じた床面の位置に表示する。表示部70は、ユーザが移動することに応じて、案内情報の表示位置を変更する。これにより、表示部70は、ユーザの位置に追尾するようにして案内情報を表示することができる。
【0025】
また、表示部70は、ユーザに対して乗車するエレベータが割り当てられている場合には、当該割り当てられたエレベータの整列位置に案内する案内情報をユーザに対して表示し、ユーザに対して乗車するエレベータの割り当てが決まる前である場合には、整列位置とは異なる場所である待機位置へ案内する案内情報をユーザに対して表示する。
【0026】
表示部70は、例えば、プロジェクタ、ディスプレイパネル等を用いることができる。表示部70がプロジェクタである場合、表示部70は、プロジェクションなどにより、映像信号を投写する。ユーザは、床面に投写された映像信号を視認することができる。この映像信号のコンテンツとしては、エレベータホールHにおいて案内をする情報が含まれている。そのため、ユーザは、床面に投写された案内の情報をもとに、エレベータホールHにおいて行動することができる。
この実施形態において、表示部70は、プロジェクタである場合について説明するが、表示部70は、ディスプレイパネルであってもよい。このようなディスプレイパネルは、床面に設置される。この場合、ディスプレイパネルは、床面と一体的に構成されてもよい。ディスプレイパネルを用いた場合であっても、映像信号を床面に表示することができるため、エレベータホールHにおいて案内する情報をユーザの足元に表示し、ユーザを案内することができる。
【0027】
エレベータホールHの床面には、上述した表示部70によって各種案内情報が表示される。表示領域100は、エレベータホールHの床面において、各エレベータの乗降口の近傍に案内情報が表示される領域である。この表示領域100において、エレベータELV1の乗降口近傍に、整列箇所を示す整列位置ガイド101が表示される。整列位置ガイド101は、エレベータELV1に乗車するユーザに整列したもらう先頭の位置を示す。エレベータELV1に乗るユーザは、この整列位置ガイド101を基準に整列することで、円滑にエレベータELV1に乗車することができる。
【0028】
また、表示領域100において、エレベータELV2の乗降口近傍に、整列箇所を示す整列位置ガイド101が表示される。整列位置ガイド102は、エレベータELV2に乗車するユーザに整列したもらう先頭の位置を示す。エレベータELV2に乗るユーザは、この整列位置ガイド102を基準に整列することで、円滑にエレベータELV2に乗車することができる。
また、表示領域100において、エレベータELV3の乗降口近傍に、整列箇所を示す整列位置ガイド103が表示される。整列位置ガイド103は、エレベータELV3に乗車するユーザに整列したもらう先頭の位置を示す。エレベータELV3に乗るユーザは、この整列位置ガイド103を基準に整列することで、円滑にエレベータELV3に乗車することができる。
【0029】
また、表示領域100において、整列位置ガイド101、整列位置ガイド102、整列位置ガイド103が並ぶ位置を基準に、各エレベータが設けられた場所とは異なる位置には、待機箇所を示す待機位置ガイド104が表示される。待機位置ガイド104は、複数のエレベータのうち、乗るべきエレベータがまだ確定していないユーザに整列してもらう先頭の位置を示す。各ユーザの行き先階と各エレベータの運行状況に応じて、運行管理部50から、ユーザがいずいれのエレベータに乗れば良いかの指示を制御部60が受け取ることができるが、運行状況によっては、乗るべきエレベータがすぐに決まらない場合もある。このような場合、乗るべきエレベータが決まっていないユーザには、一旦、待機位置ガイド104に沿って並んでもらう。そして、乗るべきエレベータが決まった段階で、各ユーザに対して、乗るべきエレベータに応じた整列位置を案内する。
【0030】
表示部70によって表示される案内には、上述した整列位置ガイドや待機位置ガイドの他に、ユーザの足元の位置に案内情報が表示される。
案内情報200aは、ユーザUaの足下の位置に表示され、ユーザUaの足下を取り囲むような図形である。案内情報200aが表示されることで、後述する案内情報201aが、どのユーザに対して表示されているかを識別しやすくなっている。
【0031】
案内情報201aは、案内情報200aの外周の一部から連なる図系であって、ユーザUaを案内(誘導)する方向を示す図形である。案内情報201aが表示されることで、このユーザUaに対し、複数のエレベータが設置されている場所、乗るべきエレベータがある方向、乗るべきエレベータに対応した整列位置ガイドが表示された位置がある方向、待機位置ガイド104が表示された位置がある方向等、その時の状況に応じて進む経路を案内することができる。ここでは、案内情報201aは、矢印の図形である場合について説明するが、案内情報201aは、矢印、文字、画像、記号等のうちすくなくともいずれか1つが表示されてもよく、あるいは、矢印、文字、画像、記号等のうち2つ以上を組み合わせて表示されてもよい。
【0032】
案内情報200aは、ユーザUbの足下の位置に表示され、ユーザUbの足下を取り囲むような図形である。案内情報200bが表示されることで、後述する案内情報201bが、どのユーザに対して表示されているかを識別しやすくなっている。
案内情報201bは、案内情報200bの外周の一部から連なる図系であって、ユーザUbを案内(誘導)する方向を示す図形である。案内情報201bが表示されることで、このユーザUbに対し、複数のエレベータが設置されている場所、乗るべきエレベータがある方向、乗るべきエレベータに対応した整列位置ガイドが表示された位置がある方向、待機位置ガイド104が表示された位置がある方向等、その時の状況に応じて進む経路を案内することができる。ここでは、案内情報201bは、矢印の図形である場合について説明するが、案内情報201bは、矢印、文字、画像、記号等のうちすくなくともいずれか1つが表示されてもよく、あるいは、矢印、文字、画像、記号等のうち2つ以上を組み合わせて表示されてもよい。
【0033】
図2は、エレベータ案内システム1の動作を説明するフローチャートである。
制御部60は、ユーザに認証結果を取得する(ステップS101)。例えば、制御部60は、カメラ10と通信装置20とのそれぞれから、ユーザの位置を示す座標データと、認証結果を得る。カメラ10から座標データと認証結果が得られる場合には、個人端末30を携帯していないユーザについて、座標データと認証結果を得ることができる。通信装置20から座標データと認証結果が得られる場合には、顔画像を登録しなくても、個人端末30を携帯しているユーザについて、座標データと認証結果を得ることができる。
【0034】
次に、制御部60は、エレベータを利用するユーザとして認証されたユーザについて、ユーザ記憶部40を参照することで、当該ユーザの行き先階とユーザ識別情報とを読み出す(ステップS102)。制御部60は、読み出した行き先階とユーザ識別情報とを運行管理部50に送信する(ステップS103)。
運行管理部50は、現在のエレベータの運行状況や混雑状況と、制御部60から得られたユーザ識別情報と行き先階とに基づいて、各ユーザに対して乗るべきエレベータを割振る計算を行う。
制御部60は、認証されたユーザが複数である場合には、それぞれのユーザの行き先階を読み出して、運行管理部50にユーザ識別情報とともに送信する。また、制御部60は、一度認証され、行き先階を運行管理部50に通知してあるユーザについては、ステップS102、ステップS103の処理をスキップしてもよい。
【0035】
制御部60は、運行管理部50から運行情報を受信する(ステップS104)。この運行情報には、ユーザ識別情報と、乗るべきエレベータの割り当てに関する割り当て情報とが含まれる。割り当て情報は、乗るべきエレベータの割り当てが決まった場合には、いずれのエレベータに乗るべきかを示すエレベータの識別情報が示されており、乗るべきエレベータの割り当てが決まっていない場合には、保留を表すデータが示されている。ここでは、運行管理部50から受信する運行情報には、エレベータ内の混雑状況等の、現在のエレベータのかごに乗っている人数を示す情報が含まれていてもよい。
【0036】
制御部60は、受信した運行情報に基づいて、認証されたユーザに対してエレベータが割り当てられているか否かを判定する(ステップS105)。制御部60は、運行情報に基づいて、乗るべきエレベータを示す識別情報が対応付けられたユーザ識別情報のユーザについては、エレベータが割り当てられていると判定し、保留を示すデータが対応付けられたユーザ識別情報のユーザについては、エレベータの割り当てがされていない(保留されている)と判定する。
【0037】
制御部60は、ステップS105において、エレベータが割り当てられている場合(ステップS105-YES)には、エレベータが割り当てられたユーザに対して、乗るべきエレベータの整列箇所に案内する案内情報を生成し(ステップS106)、映像信号として表示部70に出力することで、案内情報を表示させる(ステップS107)。ここでは、制御部60は、カメラ10または通信装置20によって、認証された各ユーザの位置(座標データ)を認識することができるため、このユーザの位置に応じて、案内情報を表示させる位置を決定し、決定された位置に案内情報を表示させる。
制御部60は、このユーザがエレベータに乗るまで案内情報を表示する。この場合、ユーザが移動したとしても、カメラ10または通信装置20によって検出されるユーザの位置に基づいて、案内情報の表示位置を変更する。これにより、制御部60は、そのユーザに追尾するようにユーザの足元に案内情報を表示させることができる。
【0038】
これにより、表示部70は、制御部60から得られる映像信号に基づいて、ユーザの足元に案内情報を投写する。例えば、ユーザUaが認証されており、エレベータELV2が乗るべきエレベータとして割り当てられている場合には、エレベータELV2の整列位置ガイド102に誘導する向きの矢印の図形が案内情報として生成され、ユーザUaの足元に表示される。これにより、ユーザUaは、矢印の方向に沿って移動することで、整列位置ガイド102の位置まで移動し、整列することができる。ここでは、案内情報として、矢印の図形を表示するだけでなく、割り当てられたエレベータの番号を表示するようにしてもよい。
【0039】
一方、制御部60は、ステップS105において、エレベータが割り当てられていない場合(ステップS105-NO)には、エレベータが割り当てられていないユーザに対して、待機位置に案内する案内情報を生成し(ステップS108)、映像信号として表示部70に出力することで、案内情報を表示させる(ステップS107)。ここでは、制御部60は、カメラ10または通信装置20によって、認証された各ユーザの位置(座標データ)を認識することができるため、このユーザの位置に応じて、案内情報を表示させる位置を決定し、決定された位置に案内情報を表示させる。
これにより、表示部70は、制御部60から得られる映像信号に基づいて、ユーザの足元に案内情報を投写する。例えば、エレベータが割り当てられていないユーザの足元には、待機位置ガイド104に誘導する向きの矢印の図形が案内情報として表示される。これにより、エレベータが割り当てられていないユーザは、待機位置ガイド104の位置まで移動し、整列することができる。
制御部60は、ステップS107の後、処理をステップS101に移行する。
【0040】
なお、ステップS105において、エレベータが割り当てられていないと判定されたユーザについては、時間の経過に応じてエレベータの運行状況が変わるため、これに応じて乗るべきエレベータが割り当てられる。そして、乗るべきエレベータが割り当てられた運行情報をステップS104において受信することで、制御部60は、乗るべきエレベータの整列位置ガイドに案内するアニメーションの案内情報を生成し、ユーザの足元に案内情報を表示させる。これにより、ユーザは、待機位置から、整列位置に移動することができ、乗るべきエレベータが到着すると、エレベータに乗ることができる。
【0041】
以上説明した実施形態によれば、ユーザの現在位置を検出し、その位置に応じて、乗るべきエレベータに案内する案内情報を表示することができる。これにより、エレベータホール内において、乗るべきエレベータについてサインを用いて、ユーザに対して動的にフィードバックすることができる。
【0042】
また、表示部70は、エレベータに乗車可能な人数に応じて整列箇所に並ぶ行列を区切るようにした案内情報を表示することもできる。例えば、制御部60は、運行管理部50から受信する運行情報に基づいて、既にエレベータに乗っている人数、これから乗る人数、降りる予定の人数に基づいて、今回到着するエレベータに乗ることができる乗車可能人数を求め、整列するユーザのうち、乗車可能人数までのユーザと、それ以降に並ぶユーザとの間を区切るような案内情報を生成し、表示部70によって表示させるようにしてもよい。
また、ユーザに対して案内情報を生成して提示したにもかかわらず、エレベータホールで立ち話しが始まりエレベータに乗ることを見送る、急用が生じたためエレベータに乗るのをやめて案内とは異なる行動をする、といった場合も考えられる。このような場合、案内情報を提示してから一定時間を経過しても、エレベータに乗らなかったと判定され、エレベータへの乗車予定をキャンセルして、案内すること一旦保留し、一定時間経過後にユーザの位置や移動方向に応じて案内の再計算を行い、案内を再開するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態によれば、エレベータの運行状況に応じて案内すべき内容に変更が生じたとしても、変更後の案内情報を、現在のユーザの足元に表示することができる。
例えば、運行管理部50から、乗るべきエレベータを変更する指示を受けた場合に、制御部60が、変更内容に応じた案内情報を生成し、表示部70によって表示させる。これにより、エレベータの運行状況が変わり、乗るべきエレベータを変更した方がよい場合であっても、案内するエレベータを変えて、ユーザに対して表示することができる。これにより、エレベータの運行状況に応じて乗るべきエレベータを柔軟に変更することができる。
例えば、乗るべきエレベータを入館ゲートの表示パネルで指示するようなシステムでは、入館ゲートにおいて乗るべきエレベータを指示した後、エレベータの運行状況が変わり、乗るべきエレベータを変更したほうが良い場合が生じたとしても、表示パネルが入館ゲートに固定設置されているため、入館ゲートを通過した後は、案内をし直すことが難しい。
これに対し、本実施形態では、ユーザが移動したとしても移動に応じて追従するように案内情報を表示することができるので、運行状況が変わったとしても、その変更に応じてダイナミックに案内を変更して表示することができる。
【0044】
上述した実施形態におけるカメラ10、通信装置20、制御部60、表示部70の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0045】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…エレベータ案内システム、10…カメラ、20…通信装置、30…個人端末、40…ユーザ記憶部、50…運行管理部、60…制御部、70…表示部、100…表示領域、101…整列位置ガイド、102…整列位置ガイド、103…整列位置ガイド、104…待機位置ガイド、200a…案内情報、200b…案内情報、201a…案内情報、201b…案内情報
図1
図2