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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067784
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】警告音発生装置
(51)【国際特許分類】
   E06C 5/44 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
E06C5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176576
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】西 章治
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA05
2E044CA01
2E044CB03
2E044EE09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】梯子体の最下位の踏桟や作業台の天板の妻側端部を使用者が誤って踏み外すリスクを確実に解消する装置を提供する。
【解決手段】警告音発生装置5Aは、作業台の脚の最下位の踏桟32Xの一部分を構成する踏桟本体33と、踏桟本体の上部に上下移動自在に組み付けられた可動踏板34と、踏桟本体内に設けられた装置本体6とを備えている。装置本体は、受圧部材8と、第1の付勢部材9と、ハンマー部材10と、第2の付勢部材11とを有している。踏圧を受けた可動踏板が下方に移動することにより、受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられると、受圧部材の第1の係合部12とハンマー部材の第2の係合部13との係合が外れて、ハンマー部材が第2の付勢部材の付勢力で上向きに移動させられ、ハンマー部材の打ち付け部100が踏桟本体の上壁33aを打ち付けて警告音を発生させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱および両支柱に長さ方向に間隔をおいて渡し止められた複数の踏桟を有している梯子体における最下位の踏桟に設置され、使用者による踏圧を受けた際に警告音を発生させる装置であって、
上壁および前後側壁を少なくとも有している左右に長い中空体よりなり、梯子体における最下位の踏桟の一部分を構成しているフレーム部材と、
使用者による踏圧を受けられるようにフレーム部材の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板と、
フレーム部材内に設けられている少なくとも1つの装置本体とを備えており、
装置本体は、フレーム部材内に上下移動自在に設けられかつフレーム部材の上壁に形成された孔を通して可動踏板の下面に当接しうる受圧部を上部に有している受圧部材と、受圧部材および可動踏板を上向きに付勢する第1の付勢部材と、フレーム部材内に受圧部材に隣接して上下移動自在に設けられかつ上部に打ち付け部を有しているハンマー部材と、ハンマー部材を上向きに付勢する第2の付勢部材とを有しており、
受圧部材に第1の係合部が設けられているとともに、ハンマー部材に、第1の係合部に下方から係り合わせられる第2の係合部が設けられており、
可動踏板が踏圧を受けて下方に移動し、これに伴い装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられると、第1の係合部および第2の係合部の係合が外れて、ハンマー部材が第2の付勢部材の付勢力で上向きに移動させられることにより、ハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けて警告音を発生させるようになっている、警告音発生装置。
【請求項2】
前後に長い天板および天板の前後の妻側端部に取り付けられた前後2つの脚を有している作業台における天板の前後少なくとも一方の妻側端部に設置され、使用者による踏圧を受けた際に警告音を発生させる装置であって、
上壁および前後側壁を少なくとも有している左右に長い中空体よりなり、作業台における天板の前後少なくとも一方の妻側端部の一部分を構成しているフレーム部材と、
使用者による踏圧を受けられるようにフレーム部材の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板と、
フレーム部材内に設けられている少なくとも1つの装置本体とを備えており、
装置本体は、フレーム部材内に上下移動自在に設けられかつフレーム部材の上壁に形成された孔を通して可動踏板の下面に当接しうる受圧部を上部に有している受圧部材と、受圧部材および可動踏板を上向きに付勢する第1の付勢部材と、フレーム部材内に受圧部材に隣接して上下移動自在に設けられかつ上部に打ち付け部を有しているハンマー部材と、ハンマー部材を上向きに付勢する第2の付勢部材とを有しており、
受圧部材に第1の係合部が設けられているとともに、ハンマー部材に、第1の係合部に下方から係り合わせられる第2の係合部が設けられており、
可動踏板が踏圧を受けて下方に移動し、これに伴い装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられると、第1の係合部および第2の係合部の係合が外れて、ハンマー部材が第2の付勢部材の付勢力で上向きに移動させられることにより、ハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けて警告音を発生させるようになっている、警告音発生装置。
【請求項3】
装置本体が、上方開口箱形のハウジングをさらに有しており、
このハウジング内に、受圧部材、第1の付勢部材、ハンマー部材、および第2の付勢部材が組み込まれて、フレーム部材の一端開口または他端開口からフレーム部材内に収容可能な装置本体ユニットが構成されている、請求項1または2記載の警告音発生装置。
【請求項4】
装置本体の受圧部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第1の昇降体よりなり、第1の昇降体の上端部によって受圧部が構成されているとともに、第1の昇降体の左右いずれか一側部に第1の係合部が設けられており、
装置本体のハンマー部材が、フレーム部材内に左右いずれか一端部を中心として上下揺動自在に設けられた揺動体よりなり、揺動体の左右いずれか他端部に第2の係合部が設けられている、請求項1~3のいずれか1つに記載の警告音発生装置。
【請求項5】
装置本体の受圧部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第1の昇降体よりなり、第1の昇降体の上端部によって受圧部が構成されているとともに、第1の昇降体の左右いずれか一側部に第1の係合部が設けられており、
装置本体のハンマー部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第2の昇降体よりなり、第2の昇降体の左右いずれか他側部に第2の係合部が設けられている、請求項1~3のいずれか1つに記載の警告音発生装置。
【請求項6】
第1の係合部および第2の係合部のうち少なくともいずれか一方は、両係合部の係合が可能な通常位置と、両係合部の係合が外れる係合解除位置との間で変位可能となされているとともに、第3の付勢部材により通常位置に向かって付勢されている、請求項4または5記載の警告音発生装置。
【請求項7】
受圧部材を構成している第1の昇降体が、左右いずれか一側部に側方開口を有する中空状のものであって、第1の昇降体の内部に第1の係合部材が収容されており、
第1の係合部材は、上端部に側方開口に臨んだ第1の係合爪部を有しかつ下端部または長さ中間部において前後にのびる回動軸を中心として回動自在となされている主体部と、主体部から側方開口と反対側にのびる板バネ部とを備えており、第1の係合部が第1の係合爪部によって構成され、第3の付勢部材が板バネ部によって構成されており、
第2の係合部が、第1の係合爪部に下方から係り合わせられるようにハンマー部材を構成している揺動体の左右いずれか他端部または第2の昇降体の左右いずれか他側部に形成された第2の係合爪部によって構成されており、
第1の係合部材は、踏圧を受けた可動踏板ならびに装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられる際、主体部が第1の係合爪部を係合解除位置に変位させるように回動させられるとともに、板バネ部が弾性変形させられ、第1の係合爪部が係合解除位置に達して第2の係合爪部との係合が外れた後、板バネ部の弾性復元力によって、主体部が第1の係合爪部を通常位置に変位させる方向に回動させられ、
また、第1の係合部材は、踏圧が除かれて第1の付勢部材の付勢力により受圧部材とともに上昇させられる際、第1の係合爪部が第2の係合爪部に下方から圧接させられることにより、主体部が第1の係合爪部を係合解除位置に変位させる方向に回動させられるとともに、板バネ部が弾性変形させられ、第1の係合爪部が係合解除位置に達して第2の係合爪部を乗り越えた後、板バネ部の弾性復元力によって、主体部が第1の係合爪部を通常位置まで変位させるように回動させられる、請求項6記載の警告音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梯子、脚立、作業台の脚などを構成している梯子体や、作業台の天板において、使用者が所定箇所を踏んだ際に警告音を発生させて、使用者に足の位置を知らせるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば梯子の使用者は、通常、足元を目視で確認しながら踏桟を一段ずつ降りる。
しかしながら、例えば片手で工具や資材等の物品を抱えながら梯子を降りる場合や、梯子の勾配が急な場合には、足元を視認し難く、周囲の景色等によって足元の位置を判断することもある。そのような場合、未だ最下位の踏桟まで降りて来ていないにもかかわらず、誤認により同踏桟を踏み外してしまい、足等に怪我を負ったり、持っていた物品を破損させたりする可能性があった。
【0003】
そこで、上記の問題点を解決する手段として、下記の特許文献1記載の梯子が提案されている。
この梯子は、(a)最下位の踏桟の上面にマークや着色よりなる表示を設ける、(b)最下位の踏桟の上面を、他の踏桟の上面と異なる形状(突起の形成や幅の変更を含む)とする、(c)最下位の踏桟の上面に、踏んだ際に音を発生させる定荷重バネを設置する、(d)最下位の踏桟に、踏んだ際に音が発生するようにセンサーおよびブザーを設置する、または、(e)梯子の下端から1.5~2.3mの高さ位置(例えば中間の踏桟の正面)に目安となる表示を設けてなるものである。
【0004】
また、前後に長い天板と、梯子体よりなり天板の前後の妻側端部に取り付けられた前後2つの脚とを備えている作業台にあっては、使用者が天板の上で作業する際の安全性を考慮して、天板の左右側縁部に沿って手摺りが設置されるのが一般的である。しかしながら、天板の前後の妻側端部は、脚への移動のために開放されたままとなっていることが多い。そのため、作業中の使用者が天板の妻側端部から誤って足を踏み外し、落下する可能性があった。
【0005】
このような作業台の天板からの足の踏み外しを防止する手段として、作業台の天板の妻側端部に、足裏によって感知可能な凸条部やボタン状突起を設けることが提案されている(例えば下記の特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6-4299号公報
【特許文献2】特許第3883909号公報
【特許文献3】特許第4095995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の梯子にあっては、まず上記(a)や(e)のような表示による場合、そもそも使用者が視認し難い状況下では機能し得ないものである。上記(b)のような最下位の踏桟上面の形状の変更の場合、例えば使用者の靴底が厚いものであったりすると感知し難くなる一方、感知の度合いを上げようとすれば足裏に不快な刺激を与えたり、梯子の外観を損ねたりするおそれがある。上記(c)のように最下位の踏桟上面に定荷重バネを設置した場合、定荷重バネによって外観が損なわれたり、定荷重バネが使用者の足や衣服等に引っ掛かって昇降の妨げになったりするおそれがある。また、上記(d)のように最下位の踏桟にセンサーおよびブザーを設置する場合、設置箇所の確保が難しい上、電源の確保やメンテナンスの点でも問題がある。
【0008】
また、天板の妻側端部に凸条部やボタン状突起を設けた作業台の場合も、例えば使用者の靴底が厚いものであったりすると感知し難くなる一方、感知の度合いを上げようとすれば足裏に不快な刺激を与えたり、作業台の外観を損ねたりするおそれがある。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、梯子体の最下位の踏桟や作業台の天板の妻側端部を使用者が誤って踏み外すリスクを確実に解消することができる上、外観や使用感を損なうおそれがなく、メンテナンスも容易である手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0011】
1)左右1対の支柱および両支柱に長さ方向に間隔をおいて渡し止められた複数の踏桟を有している梯子体における最下位の踏桟に設置され、使用者による踏圧を受けた際に警告音を発生させる装置であって、
上壁および前後側壁を少なくとも有している左右に長い中空体よりなり、梯子体における最下位の踏桟の一部分を構成しているフレーム部材と、
使用者による踏圧を受けられるようにフレーム部材の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板と、
フレーム部材内に設けられている少なくとも1つの装置本体とを備えており、
装置本体は、フレーム部材内に上下移動自在に設けられかつフレーム部材の上壁に形成された孔を通して可動踏板の下面に当接しうる受圧部を上部に有している受圧部材と、受圧部材および可動踏板を上向きに付勢する第1の付勢部材と、フレーム部材内に受圧部材に隣接して上下移動自在に設けられかつ上部に打ち付け部を有しているハンマー部材と、ハンマー部材を上向きに付勢する第2の付勢部材とを有しており、
受圧部材に第1の係合部が設けられているとともに、ハンマー部材に、第1の係合部に下方から係り合わせられる第2の係合部が設けられており、
可動踏板が踏圧を受けて下方に移動し、これに伴い装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられると、第1の係合部および第2の係合部の係合が外れて、ハンマー部材が第2の付勢部材の付勢力で上向きに移動させられることにより、ハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けて警告音を発生させるようになっている、警告音発生装置。
【0012】
2)前後に長い天板および天板の前後の妻側端部に取り付けられた前後2つの脚を有している作業台における天板の前後少なくとも一方の妻側端部に設置され、使用者による踏圧を受けた際に警告音を発生させる装置であって、
上壁および前後側壁を少なくとも有している左右に長い中空体よりなり、作業台における天板の前後少なくとも一方の妻側端部の一部分を構成しているフレーム部材と、
使用者による踏圧を受けられるようにフレーム部材の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板と、
フレーム部材内に設けられている少なくとも1つの装置本体とを備えており、
装置本体は、フレーム部材内に上下移動自在に設けられかつフレーム部材の上壁に形成された孔を通して可動踏板の下面に当接しうる受圧部を上部に有している受圧部材と、受圧部材および可動踏板を上向きに付勢する第1の付勢部材と、フレーム部材内に受圧部材に隣接して上下移動自在に設けられかつ上部に打ち付け部を有しているハンマー部材と、ハンマー部材を上向きに付勢する第2の付勢部材とを有しており、
受圧部材に第1の係合部が設けられているとともに、ハンマー部材に、第1の係合部に下方から係り合わせられる第2の係合部が設けられており、
可動踏板が踏圧を受けて下方に移動し、これに伴い装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられると、第1の係合部および第2の係合部の係合が外れて、ハンマー部材が第2の付勢部材の付勢力で上向きに移動させられることにより、ハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けて警告音を発生させるようになっている、警告音発生装置。
【0013】
3)装置本体が、上方開口箱形のハウジングをさらに有しており、
このハウジング内に、受圧部材、第1の付勢部材、ハンマー部材、および第2の付勢部材が組み込まれて、フレーム部材の一端開口または他端開口からフレーム部材内に収容可能な装置本体ユニットが構成されている、上記1)または2)の警告音発生装置。
【0014】
4)装置本体の受圧部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第1の昇降体よりなり、第1の昇降体の上端部によって受圧部が構成されているとともに、第1の昇降体の左右いずれか一側部に第1の係合部が設けられており、
装置本体のハンマー部材が、フレーム部材内に左右いずれか一端部を中心として上下揺動自在に設けられた揺動体よりなり、揺動体の左右いずれか他端部に第2の係合部が設けられている、上記1)~3)のいずれか1つの警告音発生装置。
【0015】
5)装置本体の受圧部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第1の昇降体よりなり、第1の昇降体の上端部によって受圧部が構成されているとともに、第1の昇降体の左右いずれか一側部に第1の係合部が設けられており、
装置本体のハンマー部材が、フレーム部材内に垂直昇降自在に設けられた第2の昇降体よりなり、第2の昇降体の左右いずれか他側部に第2の係合部が設けられている、上記1)~3)のいずれか1つの警告音発生装置。
【0016】
6)第1の係合部および第2の係合部のうち少なくともいずれか一方は、両係合部の係合が可能な通常位置と、両係合部の係合が外れる係合解除位置との間で変位可能となされているとともに、第3の付勢部材により通常位置に向かって付勢されている、上記4)または5)の警告音発生装置。
【0017】
7)受圧部材を構成している第1の昇降体が、左右いずれか一側部に側方開口を有する中空状のものであって、第1の昇降体の内部に第1の係合部材が収容されており、
第1の係合部材は、上端部に側方開口に臨んだ第1の係合爪部を有しかつ下端部または長さ中間部において前後にのびる回動軸を中心として回動自在となされている主体部と、主体部から側方開口と反対側にのびる板バネ部とを備えており、第1の係合部が第1の係合爪部によって構成され、第3の付勢部材が板バネ部によって構成されており、
第2の係合部が、第1の係合爪部に下方から係り合わせられるようにハンマー部材を構成している揺動体の左右いずれか他端部または第2の昇降体の左右いずれか他側部に形成された第2の係合爪部によって構成されており、
第1の係合部材は、踏圧を受けた可動踏板ならびに装置本体の受圧部材およびハンマー部材が下方に移動させられる際、主体部が第1の係合爪部を係合解除位置に変位させるように回動させられるとともに、板バネ部が弾性変形させられ、第1の係合爪部が係合解除位置に達して第2の係合爪部との係合が外れた後、板バネ部の弾性復元力によって、主体部が第1の係合爪部を通常位置に変位させる方向に回動させられ、
また、第1の係合部材は、踏圧が除かれて第1の付勢部材の付勢力により受圧部材とともに上昇させられる際、第1の係合爪部が第2の係合爪部に下方から圧接させられることにより、主体部が第1の係合爪部を係合解除位置に変位させる方向に回動させられるとともに、板バネ部が弾性変形させられ、第1の係合爪部が係合解除位置に達して第2の係合爪部を乗り越えた後、板バネ部の弾性復元力によって、主体部が第1の係合爪部を通常位置まで変位させるように回動させられる、上記6)の警告音発生装置。
【発明の効果】
【0018】
上記1)の警告音発生装置によれば、使用者が梯子体から降りる際に最下位の踏桟を踏むと、その踏圧を受けた可動踏板が下方に移動して、装置本体のハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けることにより警告音が発生する。使用者は、その警告音を聞くことで、最下位の踏桟まで降りて来ていることが分かる。
従って、同装置によれば、使用者が梯子体を降りる際に誤って最下位の踏桟を踏み外すリスクが確実に解消され、梯子体の安全性が高められる。
また、同装置によれば、梯子体の外観や使用感を損なうおそれがなく、メンテナンスも容易である。
【0019】
上記2)の警告音発生装置によれば、使用者が作業台の天板の前後いずれかの妻側端部を踏むと、その踏圧を受けた可動踏板が下方に移動して、装置本体のハンマー部材の打ち付け部がフレーム部材の上壁を打ち付けることにより警告音が発生する。使用者は、その警告音を聞くことで、天板の妻側端部に位置していることが分かる。
従って、同装置によれば、使用者が作業台の天板の妻側端部を踏み外すリスクが確実に解消され、作業台の安全性が高められる。
また、同装置によれば、作業台の天板の外観や使用感を損なうおそれがなく、メンテナンスも容易である。
【0020】
上記3)の警告音発生装置によれば、ハウジング内に受圧部材、第1の付勢部材、ハンマー部材、および第2の付勢部材を組み込んでなる装置本体ユニットを、フレーム部材の一端開口または他端開口からフレーム部材内に収容することで、装置の組立を簡単に行うことができるので、組立作業性が向上する。また、同装置によれば、部品交換等が必要となった場合にもユニット装置本体のみ交換すればよいので、メンテナンス性が向上する。
【0021】
上記4)の警告音発生装置によれば、第1の昇降体よりなる受圧部材と、揺動体よりなるハンマー部材とを、フレーム部材内に左右に隣接するように配置し、これらの部材に設けた第1の係合部と第2の係合部との係合および係合解除によって、警告音の発生に必要な動作が行われるようになっている。したがって、装置本体の上下方向のサイズがコンパクトとなるので、フレーム部材を上下方向にコンパクトで軽量なものとする事ができる。
特に、梯子体の最下位の踏桟に上記装置を設置した場合、最下位の踏桟の上下方向の高さを抑えることができるので、踏桟のピッチをほぼ同一に保持してスムーズに昇降することが可能となり、また、踏桟の軽量性も保持できる。
【0022】
上記5)の警告音発生装置によれば、第1の昇降体よりなる受圧部材と、第2の昇降体よりなるハンマー部材とを、フレーム部材内に左右に隣接するように配置し、これらの部材に設けた第1の係合部と第2の係合部との係合および係合解除によって、警告音の発生に必要な動作が行われるようになっている。したがって、装置本体の上下方向のサイズがコンパクトとなり、ひいてはフレーム部材を上下方向にコンパクトで軽量なものとする事ができる。
特に、梯子体の最下位の踏桟に上記装置を設置した場合、最下位の踏桟の上下方向の高さを抑えることができるので、踏桟のピッチをほぼ同一に保持してスムーズに昇降することが可能となり、また、踏桟の軽量性も保持できる。
【0023】
上記6)の警告音発生装置によれば、第1の係合部および/または第2の係合部が、通常位置と係合解除位置との間で変位可能となされているとともに、第3の付勢部材により通常位置に向かって付勢されているので、装置本体の構成を単純化できる上、警告音の発生に必要な動作が確実に行われる。
【0024】
上記7)の警告音発生装置によれば、受圧部材を構成している中空状の第1の昇降体内に、主体部と板バネ部とを有する第1の係合部材が回動自在に収容され、主体部の上端部に形成された第1の係合爪部に、ハンマー部材を構成している揺動体の他端部または第2の昇降体の他側部に形成された第2の係合爪部が下方から係り合わせられるようになっているので、可動踏板が踏圧を受けた際の警告音発生のための動作および踏圧が解除されて初期状態に戻るための動作がスムーズにかつ確実に行われる。また、同装置によれば、装置本体を構成している上記部材がコンパクトに組み合わせられるので、装置本体の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の第1の実施形態を示すものであって、脚の最下位の踏桟に警告音発生装置を備えている作業台の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う垂直横断面図である。
図3】同踏桟の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図4】同警告音発生装置の装置本体を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(c)のd-d線に沿う垂直断面図である。
図5】同装置本体の受圧部材(第1の昇降体)を示すものであって、(a)は側面図、(b)は(a)のb-b線に沿う垂直断面図、(c)は(a)のc-c線に沿う水平断面図である。
図6】同装置本体の第1の係合部材を示すものであって、(a)は側面図、(b)は(a)のb-b線に沿う垂直断面図である。
図7】同装置本体のハンマー部材(揺動体)を示すものであって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は(a)のc-c線に沿う垂直断面図である。
図8】同警告音発生装置が踏圧を受けた際の動作を順次示す垂直断面図である。
図9】この発明の第2の実施形態に係る警告音発生装置を示すものであって、図8に相当する図である。
図10】この発明の第3の実施形態を示すものであって、天板の前後妻側端部に警告音発生装置を備えている作業台の斜視図である。
図11図10のXI-XI線に沿う垂直断面図である。
図12図11のXII-XII線に沿う垂直断面図である。
図13】この発明の第4の実施形態を示すものであって、天板の前後妻側端部に警告音発生装置を備えている作業台の斜視図である。
図14図13のXIV-XIV線に沿う垂直断面図である。
図15図14のXV-XV線に沿う垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図1ないし図15を参照して、この発明の実施形態を説明する。
なお、以下の説明において、図2,11,14の各左を「前」、同左を「後」と言い、また、「左右」は前から見た場合の左右を言うものとし、具体的には、例えば図8,15の各右を「左」、同左を「右」と言い、図9,15の各左右を「左右」と言う。
【0027】
[第1の実施形態]
図1ないし図8は、この発明の第1の実施形態に係る作業台を示したものである。
この実施形態に係る作業台(1A)は、前後に長い長方形をした天板(2)と、天板(2)の前後の妻側端部に取り付けられた前後2つの脚(3)とを備えてなる。
前後の脚(3)は、それぞれ、左右1対の支柱(31)と、両支柱(31)に長さ方向に間隔をおいて渡し止められた複数(ここでは4つ)の踏桟(32)(32X)とを備えた梯子体よりなり、天板(2)への昇降にも使用されるものである。
前後各脚(3)における左右の支柱(31)の上端部は、天板(2)の左右側縁部の前後各端に、ヒンジによって回動自在に取り付けられており、それによって各脚(3)が天板(2)の下面に沿うように折り畳み自在となされている。
【0028】
前後各脚(3)における最下位の踏桟(32X)には、この発明による警告音発生装置(5A)が設けられている。
なお、前後各脚(3)の最下位の踏桟(32X)に設けられている警告音発生装置(5A)は、位置関係が前後逆である点を除いて、同一のものである。そこで、以下では、図2ないし図8に基づき、前脚(3)の最下位の踏桟(32X)に設けられた警告音発生装置(5A)について、詳細に説明する。
【0029】
警告音発生装置(5A)は、左右に長い中空体よりなりかつ最下位の踏桟(32X)の一部分を構成している踏桟本体(フレーム部材)(33)と、使用者による踏圧を受けられるように踏桟本体(33)の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板(34)と、踏桟本体(33)内に設けられている装置本体(6)とを備えている。
【0030】
踏桟本体(33)は、上壁(33a)、前側壁(33b)、後側壁(33c)および下壁(33d)を有する横断面略四角形の中空体よりなる。なお、踏桟本体(33)は、下壁(33d)を有しない横断面略逆U形のものとすることも可能であるが、踏桟(32X)としての強度を確保する上では、図示のように下壁を(33d)を備えたものとするのが好ましい。踏桟本体(33)の材料は特に限定されないが、好適には、軽量であって強度や耐候性に優れたアルミニウム合金押出形材が用いられる。
上壁(33a)は、ほぼ水平状のものであって、その幅中間部には、踏桟本体(33)内に向かって凹んだ凹所(331)が全長にわたって形成されている。凹所(331)の底部の幅中間部分には、水平台状部(332)が形成されており、その前後両側が横断面U形の溝状部(333)となされている。凹所(331)の前後開口縁部には、前後方向内方に向かって水平状に短く突出した内方突出縁部(334)が形成されている。
【0031】
可動踏板(34)は、水平壁(34a)、水平壁(34a)の前後縁から下方にのびる垂下壁(34b)、および前後各垂下壁(34b)の下端縁から前後方向外方にのびるフランジ部(34c)を有する横断面略逆U形のものである。この可動踏板(34)は、前後の垂下壁(34b)およびフランジ部(34c)が前後溝状部(333)内に昇降自在に配置されるように、踏桟本体(33)に組み付けられている。また、可動踏板(34)は、上昇時に前後のフランジ部(34c)が踏桟本体(33)の前後の内方突出縁部(334)に当接させられて、踏桟本体(33)から分離しないようになされている。さらに、可動踏板(34)は、後述する装置本体(6)の第1の付勢部材(9)により、上向きに付勢されている。
以上の構成により、可動踏板(34)は、使用者が最下位の踏桟(32X)を踏んだ際にその踏圧を受け、それによって初期位置から下方に所定距離だけ移動させられ、また、踏圧が解除されると初期位置まで戻るようになされている(図8参照)。
可動踏板(34)の材料も特に限定されないが、踏桟本体(33)と同様に、アルミニウム合金押出形材が用いられる他、樹脂製とすることも可能である。特に、可動踏板(34)を樹脂製とすれば、最下位の踏桟(32X)の軽量化が図れる点で有利である。
【0032】
なお、可動踏板(34)は、図示のように、その全体が上下昇降自在となるように踏桟本体(33)の上部に組み付けられる他、例えば、前後いずれか一方の縁部を中心として上下揺動自在となるように踏桟本体(33)の上部に組み付けられても構わない。
【0033】
この実施形態では、装置本体(6)は、最下位の踏桟(32X)の踏桟本体(33)内の左右両側にそれぞれ1個ずつ、計2個設けられている。ここで、踏桟本体(33)内に設ける装置本体(6)の数は、1個または3個以上であってもよいが、警告音発生装置(5A)の動作の確実性やコスト等を考慮すると、図示のように2個とするのが好ましい。
なお、図2,3,8では、前脚(3)の最下位の踏桟(32X)に設けられた2つの警告音発生装置(5A)のうち踏桟本体(33)内の右側に設けられた装置本体(6)を示しており、装置本体(6)の詳細に関する以下の説明では、特に断らない場合、同右側の装置本体(6)について言及している。
【0034】
各装置本体(6)は、上方開口箱形のハウジング(7)内に、受圧部材(8)、第1の付勢部材(9)、ハンマー部材(10)、および第2の付勢部材(11)が組み込まれた装置本体ユニット(60)として構成されている。装置本体ユニット(60)は、踏桟本体(33)の左右いずれか一端開口(図2等では右端開口)から踏桟本体(33)内に収容可能となされている。
なお、ハウジング(7)を使用せずに、受圧部材(8)、第1の付勢部材(9)、ハンマー部材(10)、および第2の付勢部材(11)を踏桟本体(33)内に直接組み込むことも可能ではあるが、装置本体(6)の取扱性、組立性、メンテナンス性等を考慮すると、図示のようにハウジング(7)を使用して装置本体ユニット(60)とするのが好適である。
【0035】
ハウジング(7)は、上方に開口した左右に長い方形箱形のものである。
このハウジング(7)は、その底壁(7a)の前後縁部および前後側壁(7b)の下縁部によって構成される下側の前後出隅部が、踏桟本体(33)の下壁(33d)上面に形成された横断面略L形の前後2つのリブ(335)によって保持されているとともに、その前後側壁(7b)および左右端壁(7c)の上縁部が、踏桟本体(33)の上壁(33a)の凹所(331)内における水平台状部(332)下面に僅かな隙間をあけた状態で近接させられている。以上の構成によれば、踏桟本体(33)内におけるハウジング(7)の位置決めを容易に行うことができ、また、別途保持手段を用いることなく、ハウジング(7)を適正な姿勢に保持することができる。
ハウジング(7)の左右端壁(7c)のうち踏桟本体(33)の右端開口に近い右端壁(7c)には、先端上向きのL形フック部(71)が形成されている。このL形フック部(71)を例えば手指や工具で摘みながら、ハウジング(7)を含む装置本体ユニット(60)を踏桟本体(33)内に挿入し、また、踏桟本体(33)から取り出すことができるので、装置(5A)の組立作業やメンテナンス作業が容易となる。
ハウジング(7)の底壁(7a)には、その中央部から左右端縁に向かってのびる2本のスリット(75)が形成されている(図4等参照)。ハウジング(7)内に水や砂等が侵入した場合、これらのスリット(75)を通じて排出させることができるので、装置本体ユニット(60)の機能が損なわれない。
【0036】
受圧部材(8)は、踏桟本体(33)内に上下移動自在に設けられており、その上部に、踏桟本体(33)の上壁(33a)に形成された孔(336)を通して可動踏板(34)の下面に当接しうる受圧部(80)を有している。受圧部材(8)には、第1の係合部(12)が設けられている。受圧部材(8)および可動踏板(34)は、第1の付勢部材(9)によって上向きに付勢されている。
ハンマー部材(10)は、踏桟本体(33)内に受圧部材(8)に隣接して上下移動自在に設けられており、その上部に打ち付け部(100)を有している。ハンマー部材(10)には、第1の係合部(12)に下方から係り合わせられる第2の係合部(13)が設けられている。ハンマー部材(10)は、第2の付勢部材(11)によって上向きに付勢されている。
第1の係合部(12)は、第2の係合部(13)との係合が可能な通常位置と、第2の係合部(13)との係合が外れる係合解除位置との間で変位可能となされているとともに、第3の付勢部材(14)により通常位置に向かって付勢されている。
可動踏板(34)が踏圧を受けて下方に移動し、これに伴い装置本体(6)の受圧部材(8)およびハンマー部材(10)が下方に移動させられると、第1の係合部(12)および第2の係合部(13)の係合が外れて、ハンマー部材(10)が第2の付勢部材(11)の付勢力で上向きに移動させられる。これにより、ハンマー部材(10)の打ち付け部(100)が、踏桟本体(33)の上壁(33a)を打ち付けて、機械的に警告音を発生させるようになっている。
【0037】
図2ないし図4および図5に詳しく示すように、この実施形態の受圧部材(8)は、踏桟本体(33)内(より詳細には、踏桟本体(33)に収容されたハウジング(7)内の右側部)に垂直昇降自在に設けられた第1の昇降体(8)よりなる。この第1の昇降体(8)の上端部によって、受圧部(80)が構成されている。また、第1の昇降体(8)の左側部に、第1の係合部(12)が設けられている。
第1の昇降体(8)は、左側部に側方開口(81)を有する中空状のものであって、その内部に第1の係合部材(120)が収容されている。また、図示の第1の昇降体(8)は、下方開口(82)を有している。
図5等に示すように、第1の昇降体(8)の上部(8a)は横断面円形の筒状となされ、同下部(8b)は横断面略四角形の筒状となされている。従って、踏桟本体(33)の上壁(33a)の左右2箇所に形成される孔(336)も、第1の昇降体(8)の上部(8a)が挿通可能となるように、同昇降体(8)の上部(8a)の外径よりやや大きい孔径を有する円形の孔となされている。
ハウジング(7)の前後側壁(7b)内面には、第1の昇降体(8)の下部(8a)における側方開口(81)の前後縁部と隣接するように垂直凸条部(76)が形成されている。これらの垂直凸条部(76)と、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の右側部と、ハウジング(7)の右端壁(7c)とによって、第1の昇降体(8)の水平方向の移動が規制され、第1の昇降体(8)がハウジング(7)内の所定位置で垂直昇降可能となされている。
第1の昇降体(8)の上端部、すなわち、受圧部(80)は、緩やかな傾斜を有する略ドーム状となされている。第1の昇降体(8)の下端部には、その前後両側部分に略逆V形の切欠部(83)が形成されている。
【0038】
第1の係合部材(120)は、上端部に側方開口(81)に臨んだ第1の係合爪部(121a)を有しかつ下端部において前後にのびる回動軸(121b)を中心として回動自在となされている主体部(121)と、主体部(121)から側方開口(81)と反対側(右側)にのびる板バネ部(122)とを備えている。そして、第1の係合部(12)が第1の係合爪部(121a)によって構成され、第3の付勢部材(14)が板バネ部(122)によって構成されている。
主体部(121)は、やや縦長の板片状のものである。
第1の係合爪部(121a)は、第1の係合部材(120)の上端部から左方に折れ曲がるように形成された横断面略三角形のものである。第1の係合爪部(121a)は、その上面側が先端に向かって斜め下方に傾斜した傾斜面となされ、その下面側が略水平面となされている。
回動軸(121b)は、第1の係合部材(120)の下端部から前後方向両側に向かって突出するように形成されており、略三角形の横断面を有している。回動軸(121b)の前後各端部は、第1の昇降体(8)の下端部の前後各切欠部(83)に回動可能に係り合わせられるようになっている。なお、回動軸(121b)は、図示のように第1の係合部材(120)の下端部に形成される他、第1の係合部材(120)の長さ中間部に形成されていてもよい。後者の場合、例えば、第1の係合部材(120)の高さ中間部に、回動軸(121b)の前後端部と係り合わせられる孔、凹部または溝を形成すればよい。
図示の板バネ部(122)は、主体部(121)の長さ中間部から側方開口(81)と反対側(右側)に向かって斜め上向きにのび、その先端が第1の昇降体(8)の上部(8a)内面に圧接させられている。板バネ部(122)の先端部分は上向きにカールさせられている。なお、板バネ部(122)の位置や向きは、図示の態様には限定されず、第1の係合爪部(121a)を通常位置に向かって付勢しうるものであれば適宜変更可能である。
第1の係合部材(120)は、通常、図示のように一体品として形成されるが、主体部(121)と板バネ部(122)とを別体に形成して、これらを適宜の連結手段により連結一体化する構成であっても構わない。
【0039】
第1の付勢部材は、圧縮コイルバネ(9)よりなり、ハウジング(7)の底壁(7a)と受圧部材(第1の昇降体)(8)との間に介在されて、受圧部材(8)および可動踏板(34)を上向きに付勢するものである。圧縮コイルバネ(9)の上端部は、第1の係合部材(120)の回動軸(121b)にも接しており、回動軸(121b)を切欠部(83)に保持する機能も有している。
なお、第1の付勢部材は、圧縮コイルバネ(9)以外の弾性材料、例えば、板バネ、エラストマー、空気バネ等によって構成されていても構わない。
【0040】
ハンマー部材(10)は、踏桟本体(33)内(より詳細には、踏桟本体(33)に収容されたハウジング(7)内の左側部)に左端部を中心として上下揺動自在に設けられた揺動体(10)よりなる。
図示の揺動体(10)は、左右に長い略板片状のものであって、その上面の右端(先端)寄り部分に、揺動体(10)の前後幅方向にのびる畝状の打ち付け部(100)が設けられている。なお、打ち付け部の位置および形状は、図示の態様には限定されず、適宜変更可能である。
揺動体(10)の右端部(先端部)には、第1の係合爪部(121a)に下方から係り合わせられる第2の係合爪部(103)が設けられている。この第2の係合爪部(103)によって、第2の係合部(13)が構成されている。第2の係合爪部(103)は、揺動体(10)と一体的に形成されており、その基端側部分が下方に短くのびているとともに、その先端側部分が第1の係合爪部(121a)に向かって右方に折れ曲がった横断面略三角形状のものである。図7(b)等に示すように、第2の係合爪部(103)は、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の垂直凸条部(76)間に配置されるため、揺動体(10)のその他の部分よりも幅狭となされている。第2の係合爪部(103)の先端側部分は、その上面側が略水平面となされ、その下面側が先端に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面となされている。
揺動体(10)の左端部(基端部)は、前後に開口した水平筒部(101)よりなり、その内部に挿通させられた連結ピン(15)によって、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の上部に回動自在に取り付けられている(図4等参照)。図示の連結ピン(15)は、スプリングピンよりなるものであって、ハウジング(7)の前後側壁(7b)にあけられた貫通孔の内面に弾性的に結合されているが、揺動体(10)の水平筒部(101)には緩く挿通させられるようになっている。但し、連結ピン(15)としてスプリングピン以外の通常のピンを使用し、これを揺動体(10)の水平筒部(101)およびハウジング(7)の前後側壁(7b)の貫通孔に緩く挿通させる構成としてもよい。また、上記態様に代えて、例えば、揺動体(10)の基端部に前後両側に突出した回動軸(図示略)を一体的に形成するとともに、この回動軸が回動自在に係り合わせられる凹部、孔、切欠部または溝よりなる係合部(図示略)をハウジング(7)の前後側壁(7b)上部に形成してもよい。または、揺動体(10)の基端部上面に前後方向にのびる凹溝(図示略)を形成するとともに、この凹溝に係り合わせられる内方突出部(図示略)をハウジング(7)の前後側壁(7b)の上部に形成してもよい。
揺動体(10)の下面には、打ち付け部(100)に対応する箇所に、凹部(102)が形成されている。揺動体(10)の打ち付け部(100)が踏桟本体(33)の上壁(33a)を打ち付けることにより発生した警告音が、この凹部(102)で反響させられて大きくなるので、使用者に警告音が聞こえやすくなる。なお、凹部(102)は設けられない場合もある。
また、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の上部には、揺動体(10)の打ち付け部(100)に対応する箇所付近に、切欠部(72)が形成されている。これらの切欠部(72)の存在により、揺動体(10)の打ち付け部(100)の前後両側が開放されているため、打ち付け部(100)が踏桟本体(33)の上壁(33a)を打ち付けることにより発生した警告音がこもりにくくなり、従って、使用者に警告音が聞こえやすくなる。なお、上記のような切欠部(72)に代えて、水平貫通状の孔(図示略)を、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の上部における打ち付け部(100)に対応する箇所付近に形成してもよい。
ハウジング(7)の底壁(7c)には、揺動体(10)の長さ中間部に対応する箇所(図では中央部)に、揺動体(10)の揺動ストロークの下限位置を規制する垂直上向きの柱状体よりなるストローク規制部(73)が形成されている。可動踏板(34)が踏圧を受けて下降すると、第1の昇降体(8)が下降するととともに揺動体(10)が下向きに揺動させられるが、揺動体(10)が所定の揺動位置に来た時点で、ストローク規制部(73)の上端が揺動体(10)の長さ中間部下面に当接することで、揺動体(10)はそれ以上揺動しないようになっている。これにより、揺動体(10)の揺動ストロークが常に一定となり、警告音発生のための動作が安定的に行われる。具体的には、例えば、踏圧を受けて下降した可動踏板(34)のフランジ部(34c)が踏桟本体(33)の溝状部(333)の底に当接する手前1mm程度の位置に到達した時点で両係合部(12)(13)の係合が外れるように、可動踏板(34)のフランジ部(34c)がその1~数mm程度上方位置に到達した時点で揺動体(10)の長さ中間部下面がストローク規制部(73)の上端に当接するように、ストローク規制部(73)の高さを設定することができる。なお、ストローク規制部は、図示のような柱状体には限定されず、その他、例えば、第2の付勢部材(11)と干渉しないように、ハウジング(7)の前後側壁(7b)の所要位置から前後方向内向きに突出した内方凸部(図示略)や、前後側壁(7b)に水平に架設した水平ピン(図示略)によって構成されていてもよい。また、ストローク規制部は、設けられない場合もある。
【0041】
第2の付勢部材は、圧縮コイルバネ(11)よりなり、ハウジング(7)の底壁(7a)とハンマー部材(揺動体)(10)の長さ中間部との間に介在されて、ハンマー部材(10)を上向きに付勢するものである。
この圧縮コイルバネ(11)は、ハウジング(7)の底壁(7a)から立ち上がったストローク規制部(73)の周囲に配置されているとともに、底壁(7a)におけるストローク規制部(73)の左右両側部分に形成された平面より見て円弧状の2つの保持壁(74)によって、ハウジング(7)内の所定位置に保持されている。
なお、第2の付勢部材(11)も、第1の付勢部材(9)と同様に、圧縮コイルバネ以外の弾性材料、例えば、板バネ、エラストマー、空気バネ等によって構成されていても構わない。
【0042】
上記の装置本体ユニット(60)を構成する部品のうち、第1の付勢部材(圧縮コイルバネ)(9)および第2の付勢部材(圧縮コイルバネ)(11)については、通常、適宜の金属材料が用いられる。一方、それら以外の部品、すなわち、ハウジング(7)、受圧部材(第1の昇降体)(8)、ハンマー部材(揺動体)(10)、および第1の係合部材(120)については、金属製としてもよいが、それ程高い寸法精度が要求されないため、樹脂製とすることも可能である。特に、これらの部材(7)(8)(10)(12)を全て樹脂製とすれば、金属製とする場合に比べて、装置本体ユニット(60)全体の軽量化が可能となる上、錆の発生による劣化や動作不良を回避できる点でも有利である。
【0043】
次に、図8等を参照しながら、上記実施形態の警告音発生装置(5A)の動作について、順次工程を追って説明する。
まず、図8(a)に示すように、最下位の踏桟(32X)が使用者に踏まれていない状態では、可動踏板(34)および受圧部材(8)は、昇降ストロークの上限位置(初期位置)にあり、ハンマー部材(10)も、揺動ストロークの上限位置(初期位置)にある。また、第1の係合部材(120)も、第1の係合部(12)が第2の係合部(13)と係り合わせられる通常位置にある。
そして、使用者が作業台(1A)の脚(3)を最下位の踏桟(32X)まで降りて来て、可動踏板(34)に踏圧が加えられると、図8(b)に示すように、可動踏板(34)および受圧部材(8)が、第1の付勢部材(9)の付勢力に抗して(すなわち、圧縮コイルバネ(9)を圧縮させて)下降を開始する。また、ハンマー部材(10)にも、係合状態の第1の係合部(12)および第2の係合部(13)を介して踏圧が作用するので、ハンマー部材(10)が、第2の付勢部材(11)の付勢力に抗して(すなわち、圧縮コイルバネ(11)を圧縮させて)下方への揺動を開始する。
図8(c)に示すように、ハンマー部材(10)が所定の揺動位置まで達すると、ハンマー部材(10)の長さ中間部下面がストローク規制部(73)の上端に当接し、同位置でハンマー部材(10)の下方への揺動が停止させられる。一方、可動踏板(34)および受圧部材(8)は、踏圧によって更に下降させられるが、それに伴って、第1の係合部(12)および第2の係合部(13)に作用する係合圧力が増大する。そのため、第1の係合部材(120)の主体部(121)が、第1の係合爪部(121a)を受圧部材(8)の側方開口(81)と反対側に向かわせる方向(図8では反時計回り方向)に回動させられるとともに、板バネ部(122)が弾性変形させられる。
そして、第1の係合部材(120)の主体部(121)が所定の回動位置(係合解除位置)まで回動させられると、第1の係合爪部(121a)と第2の係合爪部(103)との係合が外れる。すると、図8(d)に示すように、ハンマー部材(10)が、第2の付勢部材(11)の付勢力(圧縮されていた圧縮コイルバネ(11)のバネ弾性力)によって上向きに揺動させられ、ハンマー部材(10)の打ち付け部(100)が踏桟本体(33)の上壁(33a)(詳細には、凹所(331)内の水平台状部(332)下面)に強く打ち付けられるので、それによって打撃音が発生する。使用者は、その打撃音を聞くことで、最下位の踏桟(32X)まで降りて来ていることが分かる。つまり、上記装置(5A)の機械的動作により発生した打撃音が、使用者に対する警告音として機能する。また、ハンマー部材(10)の打ち付け部(100)が踏桟本体(33)の上壁(33a)を打ち付けることにより最下位の踏桟(32X)に振動が発生すれば、使用者は、その振動を足裏で感知することによっても、最下位の踏桟(32X)まで降りて来ていることが分かる場合もありうる。
従って、上記の警告音発生装置(5A)によれば、使用者が作業台(1A)の脚(3)を降りる際に誤って最下位の踏桟(32X)を踏み外すリスクが確実に解消され、作業台(1A)の安全性が高められる。
【0044】
使用者の足が最下位の踏桟(32X)から離れて踏圧が解除されると、可動踏板(34)および受圧部材(8)が、第1の付勢部材(9)の付勢力(圧縮されていた圧縮コイルバネ(9)のバネ弾性力)によって上昇させられ、図8(a)に示す初期位置まで戻る。
ここで、第1の係合部材(120)は、図8(d)に示すように第1の係合爪部(121a)と第2の係合爪部(103)との係合が外れてハンマー部材(10)が上向きに揺動させられた直後に、板バネ部(122)の弾性復元力によって、主体部(121)が通常位置に向かって回動させられることになる。この状態で、上記のように踏圧が除かれて可動踏板(34)および受圧部材(8)が上昇すると、第1の係合部材(120)も受圧部材(8)とともに上昇させられるが、この際、第1の係合爪部(121a)が第2の係合爪部(103)に下方から圧接させられることによって、主体部(121)が第1の係合爪部(121a)を係合解除位置に変位させる方向に回動させられるとともに、板バネ部(122)が弾性変形させられ、第1の係合爪部(121a)が第2の係合爪部(103)を乗り越えた後、板バネ部(122)の弾性復元力によって、主体部(121)が第1の係合爪部(121a)を第2の係合爪部(103)と係合可能な通常位置まで変位させるように回動させられる。
【0045】
[第2の実施形態]
図9は、この発明の第2の実施形態に係る警告音発生装置を示したものである。
この実施形態の警告音発生装置(5B)は、以下の点を除いて、図1ないし図8に示す第1の実施形態の警告音発生装置(5A)と実質的に同一の構成を有している。
すなわち、図9の警告音発生装置(5B)の場合、装置本体(6)のハンマー部材(10X)が、踏桟本体(33)内、より詳細には、踏桟本体(33)に収容されたハウジング(7)内に垂直昇降自在に設けられた第2の昇降体(10X)よりなる。この第2の昇降体(10X)の上端部によって、打ち付け部(100)が構成されている。また、第2の昇降体(10X)における受圧部材(8)側の側部(図9では右側部)に、第2の係合部(13)が設けられている。
第2の昇降体(10X)は、中心部に垂直貫通孔を有する主体部(105)と、主体部(105)における受圧部材(8)側の側部に連なって設けられた第2の係合爪部(103)とを有している。
この実施形態では、ハウジング(7)の底壁(7a)に立設された垂直柱状のストローク規制部(73)の上端部に連なって小径の案内軸部(731)が形成されている。第2の昇降体(10X)の主体部(105)は、この案内軸部(731)に緩く嵌められており、案内軸部(731)に沿って垂直昇降自在となされている。ストローク規制部(73)と案内軸部(731)との間には、上向きの環状段差(732)が形成されており、この環状段差(732)に主体部(105)下面の内周部分が当接させられることにより、第2の昇降体(10X)の昇降ストロークの下限位置が規制されている。また、主体部(105)下面の外周部分によって、第2の付勢部材を構成する圧縮コイルバネ(11)の上端部が受けられている。
この実施形態の警告音発生装置(5B)も、第1の実施形態の警告音発生装置(5A)と実質的に同様に動作して警告音を発生させることができるので、最下位の踏桟(32X)を踏み外すリスクが確実に解消され、作業台(1A)の安全性が高められる。
また、図9に示すハウジング(7)は、図1ないし図8に示す第1の実施形態のハウジング(7)と比べて、ハンマー部材(10X)のサイズが小さくなった分だけ左右方向のサイズが小さくなっており、それによって装置本体ユニット(60)が更にコンパクトで軽量なものとなっている。
【0046】
[第3の実施形態]
図10ないし図12は、この発明の第3の実施形態に係る作業台を示したものである。
この実施形態の作業台(1B)は、以下の点を除いて、図1ないし図8に示す第1の実施形態に係る作業台(1A)と実質的に同じである。
すなわち、第3の実施形態の作業台(1B)では、前後各脚(3)の最下位の踏桟(32X)に警告音発生装置(5A)が設けられているのに加えて、天板(2)の前後の妻側端部にも、この発明による警告音発生装置(5C)が設けられている。
なお、天板(2)の前後の妻側端部に設けられている警告音発生装置(5C)は、位置関係が前後逆である点を除いて、同一のものである。そのため、図11および図12に、天板(2)の前の妻側端部に設けられた警告音発生装置(5C)を示し、同後の妻側端部に設けられた警告音発生装置(5C)については、詳細な図示を省略する。
【0047】
前後各脚(3)における左右支柱(31)の上端部間には、最上位の踏桟(32Y)が渡し止められている。最上位の踏桟(32Y)は、天板(2)の前後各妻側端部と隣接するように設けられており、同踏桟(32Y)の上面は、天板(2)の上面とほぼ面一となされている。つまり、最上位の踏桟(32Y)は、天板(2)の前後各妻側端部の一部分を構成する補助天板部材(2Y)として機能するものである。
警告音発生装置(5C)は、左右に長い中空体よりなりかつ最上位の踏桟(32Y)(補助天板部材(2Y))の一部分を構成している踏桟本体(フレーム部材)(33)と、使用者による踏圧を受けられるように踏桟本体(33)の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板(34)と、踏桟本体(33)内に設けられている装置本体(6)とを備えている。
踏桟本体(33)、可動踏板(34)および装置本体(6)の構成は、図1ないし図8に示す第1の実施形態のそれらと実質的に同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0048】
この実施形態の警告音発生装置(5C)によれば、使用者が作業台(1B)の天板(2)の前後妻側端部の一部分を構成している最上位の踏桟(32Y)、すなわち補助天板部材(2Y)を踏むと、その踏圧を受けた可動踏板(34)が下方に移動して、装置本体(6)のハンマー部材(10)の打ち付け部(100)が踏桟本体(33)の上壁(3a)(詳細には、凹所(331)内の水平台状部(332)下面)を打ち付けることにより警告音(打撃音)が発生する。使用者は、その警告音を聞くことで、天板(2)の前または後の妻側端部に位置していることが分かる。
従って、上記の警告音発生装置(5C)によれば、使用者が作業台(1B)の天板(2)の妻側端部を踏み外すリスクが確実に解消され、作業台(1B)の安全性が高められる。
また、上記の警告音発生装置(5C)によれば、作業台(1B)の天板(2)に特別な加工を施すことなく、前後各脚(3)に、警告音発生装置(5A)を有する最下位の踏桟(32X)と実質的に同一の部品構成よりなる最上位の踏桟(32Y)を付設するだけでよいので、その製造や組立が容易であり、コストも抑えられる。
【0049】
[第4の実施形態]
図13ないし図15は、この発明の第4の実施形態に係る作業台を示したものである。
この実施形態の作業台(1C)は、以下の点を除いて、図1ないし図8に示す第1の実施形態に係る作業台(1A)と実質的に同じである。
すなわち、第4の実施形態の作業台(1C)では、第3の実施形態の作業台(1B)と同様に、前後各脚(3)の最下位の踏桟(32X)に警告音発生装置(5A)が設けられているのに加えて、天板(2)の前後各妻側端部にも、この発明による警告音発生装置(5D)が設けられている。
なお、天板(2)の前後の妻側端部に設けられている警告音発生装置(5D)は、位置関係が前後逆である点を除いて、同一のものである。そのため、図14および図15に、天板(2)の後の妻側端部に設けられた警告音発生装置(5D)を示し、同前の妻側端部に設けられた警告音発生装置(5D)については、詳細な図示を省略する。
【0050】
作業台(1C)の天板(2)は、前後に長い3つの板状体(2a)を互いに接するように左右並列状に配置してなる天板本体(20)と、左右方向にのびかつ前後方向内方に開口した略コ字形の横断面を有する形材よりなりかつ天板本体(20)の前後端部に取り付けられて3つの板状体(2a)を連結一体化している前後2つのエンドフレーム(2b)とを備えている。
各板状体(2a)は、水平壁(21)と、水平壁(21)の左右側縁から下方にのびる左右2つの垂下壁(22)とを有している横断面略逆U形のものである。
天板本体(20)の前後端部には、天板本体(20)の幅全長近くにわたって左右方向にのびる長方形状の開口(23)が形成されている。また、3つの板状体(2a)の左右垂下壁(22)のうち天板本体(20)の左右外側面を構成しているものを除いた中間位置の計4つの垂下壁(22)には、上記開口(23)の前後縁に連なるように略方形状の切欠部(24)が形成されている。これらの開口(23)および切欠部(24)により、天板本体(20)の前後端部に、上方に開口した収容空間(S1)が形成されている。
【0051】
警告音発生装置(5D)は、左右に長い中空体よりなりかつ天板本体(20)の収容空間(S1)に収容されて開口(23)の縁部に取り付けられることにより天板(2)の前後端部の一部分を構成しているフレーム部材(16)と、使用者による踏圧を受けられるようにフレーム部材(16)の上部に上下移動自在に組み付けられている可動踏板(34)と、フレーム部材(16)内に設けられている装置本体(6)とを備えている。
【0052】
フレーム部材(16)は、上壁(16a)、前後側壁(16b)および下壁(16c)を有する横断面多角形の中空体よりなる。なお、フレーム部材(16)は、下壁(16c)を有しないものとすることも可能であるが、踏圧を受けた際の耐荷重強度を考慮すると、図示のように下壁(16c)を有するものとするのが好ましい。フレーム部材(16)の材料は特に限定されないが、好適には、軽量であって強度や耐候性に優れたアルミニウム合金押出形材が用いられる。
上壁(16a)は、ほぼ水平状のものであって、その幅中間部には、フレーム部材(16)内に向かって凹んだ凹所(161)が全長にわたって形成されている。凹所(161)の底部の幅中間部分には、水平台状部(162)が形成されており、その前後両側が横断面U形の溝状部(163)となされている。凹所(161)の前後開口縁部には、前後方向内方に向かって水平状に短く突出した内方突出縁部(164)が形成されている。上壁(16a)における凹所(161)の水平台状部(162)には、受圧部材を構成する第1の昇降体(8)の上部(8a)を挿通させうる孔(166)が左右2箇所に形成されている。
前後各側壁(16b)の下部は、下方に向かって前後方向内方に傾斜させられており、その下縁部に、装置本体ユニット(60)におけるハウジング(7)の下側の前後各出隅部を保持する横断面略L形のリブ(165)が形成されている。ハウジング(7)の前後側壁(7b)および左右端壁(7c)の上縁部は、水平台状部(162)下面にわずかな隙間をあけて近接させられている。
また、フレーム部材(16)は、上壁(16a)の前後縁部から前後方向外方に向かってのびる前後2つの水平張出壁(16d)を有している。これらの水平張出壁(16d)が、天板本体(20)上面における前後各開口(23)の前後縁部に載置されて、例えばリベットやビス等の固定手段により同前後縁部に固定されることにより、フレーム部材(16)が天板本体(20)の前後端部に取付固定されている。
【0053】
可動踏板(34)および装置本体(6)の構成は、図1ないし図8に示す第1の実施形態のそれらと実質的に同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0054】
この実施形態の警告音発生装置(5D)によれば、使用者が作業台(1B)の天板(2)の前後妻側端部を踏むと、その踏圧を受けた可動踏板(34)が下方に移動して、装置本体(6)のハンマー部材(10)の打ち付け部(100)がフレーム部材(16)の上壁(16a)(詳細には、凹所(161)内の水平台状部(162)下面)を打ち付けることにより警告音(打撃音)が発生する。使用者は、その警告音を聞くことで、天板(2)の前または後の妻側端部に位置していることが分かる。
従って、上記の警告音発生装置(5D)によれば、使用者が作業台(1C)の天板(2)の妻側端部を踏み外すリスクが確実に解消され、作業台(1C)の安全性が高められる。
また、上記装置(5D)によれば、フレーム部材(16)を天板本体(20)から取り外した後、同
部材(16)の一端開口から装置本体ユニット(60)を取り出して部品の交換や修理等を行うことができるので、メンテナンス性にも優れている。
【0055】
なお、この発明による警告音発生装置は、上記各実施形態に示した態様には限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲内で適宜に変更を加えた上で実施することも勿論可能である。
例えば、上記各実施形態において、受圧部材は、第1の昇降体(8)によって構成されているが、これに代えて、踏桟本体(33)内やフレーム部材(16)内(あるいは、これらの内部に収容されたハウジング(7)内)に左右いずれか一端部を中心として上下揺動自在に設けられかつ同他端部に第1の係合部を有する揺動体によって構成されていてもよい。
また、上記各実施形態では、受圧部材(8)の第1の係合部(12)が通常位置と係合解除位置との間で変位可能となされているが、これに代えて又はこれに加えて、ハンマー部材(10)の第2の係合部(13)が通常位置と係合解除位置との間で変位可能となされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明は、梯子、脚立、作業台の脚などを構成している梯子体や、作業台の天板において、使用者が所定箇所を踏んだ際に警告音を発生させて、使用者に足の位置を知らせるための安全装置として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0057】
(1A)(1B)(1C):作業台
(2):天板
(2Y):補助天板部材
(3):脚(梯子体)
(31):支柱
(32):踏桟
(32X):最下位の踏桟
(32Y):最上位の踏桟
(33):踏桟本体(フレーム部材)
(33a):上壁
(336):孔
(34):可動踏板
(5A)(5B)(5C)(5D):警告音発生装置
(6):装置本体
(60):装置本体ユニット
(7):ハウジング
(8):受圧部材(第1の昇降体)
(80):受圧部
(81):側方開口
(9):第1の付勢部材(圧縮コイルバネ)
(10):ハンマー部材(揺動体)
(100):打ち付け部
(103):第2の係合爪部
(11):第2の付勢部材(圧縮コイルバネ)
(12):第1の係合部
(120):第1の係合部材
(121):主体部
(121a):第1の係合爪部
(121b):回動軸
(122):板バネ部
(13):第2の係合部
(14):第3の付勢部材
(16):フレーム部材
(16a):上壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15