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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006782
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109254
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕泰
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC01
(57)【要約】
【課題】ハウジングからばね受の脱落を確実に阻止でき液体の漏洩の心配がないだけでなく、第二弁孔内のバルブ調整を可能とするバルブ装置の提供である。
【解決手段】本発明のバルブ装置Vは、外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔1および第二弁孔8を有するハウジングHと、第一弁孔1内に挿入されるとともにソレノイドSolによって駆動される第一バルブV1と、第二弁孔8内に挿入される第二バルブV2と、ハウジングHに締結されるプレート6とを備え、プレート6が工具の第二バルブV2のばね受17の調整部17dへの接続を許容しつつばね受17の端部に第二弁孔8の軸方向で対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔および第二弁孔を有するハウジングと、
前記第一弁孔内に挿入されるとともにソレノイドによって駆動される第一弁体を有する第一バルブと
前記第二弁孔内に挿入される第二バルブと、
前記ソレノイドに連結されるとともに前記ハウジングに締結されて前記第一弁孔および前記第二弁孔の一部を閉塞するプレートとを備え、
前記第二バルブは、
前記第二弁孔内に前記第二弁孔の軸方向へ移動可能に挿入される第二弁体と、
前記第二弁孔の開口端側に螺着されて前記第二弁孔を閉塞するとともに端部に外部からの工具による回転操作を可能とする調整部を有するばね受と、
前記第二弁体と前記ばね受との間に介装されるばねとを具備し、
前記プレートは、前記工具の前記調整部への接続を許容しつつ前記ばね受の端部に前記第二弁孔の軸方向で対向する
ことを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記プレートは、前記第二弁孔の軸方向で、前記ばね受の中心部分を避けた位置に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記プレートは、半円状の切欠を有して、前記切欠の周囲を前記ばね受に対向させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブ装置としては、たとえば、外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔および第二弁孔を有するハウジングと、第一弁孔内に挿入される筒状の弁座体と、弁座体内に摺動自在に挿入される弁体と切換弁と、弁体を弁座体側へ附勢するスプリングと、ハウジングに取り付けられて弁体と切換弁に推力を与える比例ソレノイドと、第二弁孔内に挿入されるリリーフバルブとを備えて、アクチュエータやダンパに取り付けられて利用されるものがある。
【0003】
切換弁は、流路を開閉するようになっており、比例ソレノイドで切換弁を開状態と閉状態とに切換でき、切換弁を介して弁体に比例ソレノイドの推力を作用させて弁体が弁座から着座する開弁圧を調節できるようになっている。
【0004】
また、リリーフバルブは、第二弁孔内に第二弁孔の軸方向へ移動可能に挿入されるリリーフ弁体と、第二弁孔の開口端側に螺着されるばね受と、弁体と前記ばね受との間に介装されるばねとを備えて構成されている。このように構成されたバルブ装置では、第二弁孔がばね受によって閉塞されるとともに、ばね受の位置の調整によってばねが弁体を押し付ける初期荷重の設定がなされる(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
このようにばね受は、リリーフバルブの開弁圧を設定するばねの初期荷重の調整に使用されるが、外部から受ける振動によって緩んでハウジングから脱落してしまうと、バルブ装置が適用されたアクチュエータ等から作動油が漏洩してしまう。そこで、バルブ装置では、ばね受をハウジングに螺着した後にばね受の周囲であってばね受とハウジングとの境をポンチで打って加締めてばね受のハウジングに対する回転を規制してばね受のハウジングからの脱落を防止している(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-074154号公報
【特許文献2】特開2000-046088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなポンチによる加締めによってばね受の脱落を防止できるのであるが、加締めが不十分であると、ばね受のハウジングに対する回転を規制できず、ばね受がハウジングから脱落してしまう可能性がある。
【0008】
また、ポンチによる加締めによってばね受を固定してしまうと、ばね受の回転操作が不能となって第二弁孔内の第二バルブの調整ができなくなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、ハウジングからばね受の脱落を確実に阻止でき液体の漏洩の心配がないだけでなく、第二弁孔内のバルブ調整を可能とするバルブ装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明におけるバルブ装置は、外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔および第二弁孔を有するハウジングと、第一弁孔内に挿入されるとともにソレノイドによって駆動される第一弁体を有する第一バルブと、第二弁孔内に挿入される第二バルブと、ソレノイドに連結されるとともにハウジングに締結されて第一弁孔および第二弁孔の一部を閉塞するプレートとを備え、第二バルブは、第二弁孔内に第二弁孔の軸方向へ移動可能に挿入される第二弁体と、第二弁孔の開口端側に螺着されて第二弁孔を閉塞するとともに端部に外部からの工具による回転操作を可能とする調整部を有するばね受と、第二弁体とばね受との間に介装されるばねとを具備し、プレートは、工具の調整部への接続を許容しつつばね受の端部に第二弁孔の軸方向で対向している。このように構成されたバルブ装置では、第一弁孔に収容される第一バルブの抜けを防止するプレートが第一弁孔に並列に配置される第二弁孔内に収容される第二バルブにおけるばね受の一部に対向して第二バルブの第二弁孔内からの脱落が防止できるだけでなく、工具の利用によるばね受の回転操作も可能となる。
【0011】
また、バルブ装置におけるプレートは、第二弁孔の軸方向で、ばね受の中心部分を避けた位置に対向してもよい。このように構成されたバルブ装置によれば、工具を調整部に接続した際にばね受の中心部分に工具を接続できるのでばね受の回転操作が容易となる。
【0012】
なお、バルブ装置は、プレートが半円状の切欠を有して、切欠の周囲をばね受に対向させるよう構成されてもよい。このように構成されたバルブ装置によれば、切欠がばね受の調整部への工具の接続を許容する逃げとなって、プレートで第二弁孔の一部を塞ぎつつも工具の調整部への容易な接続を妨げない。また、切欠の形状が半円形であるので、ばね受の調整部の露出を大きくとることができ、工具の調整部の接続とばね受の回転操作が容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバルブ装置によれば、ハウジングからばね受の脱落を確実に阻止でき液体の漏洩の心配がないだけでなく、第二弁孔内のバルブ調整も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態におけるバルブ装置の断面図である。
図2】一実施の形態におけるバルブ装置が適用されたダンパの回路図である。
図3】一実施の形態におけるバルブ装置の側面図である。
図4】一実施の形態の第一変形例におけるバルブ装置の側面図である。
図5】一実施の形態の第二変形例におけるバルブ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図示した一実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態におけるバルブ装置Vは、図1に示すように、外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔1および第二弁孔8とを有するハウジングHと、第一弁孔1内に挿入されるとともにソレノイドSolによって駆動される第一弁体としての第一スプール4および第二スプール5を有する第一バルブV1と、第二弁孔8内に挿入される第二バルブV2と、ソレノイドSolに連結されるとともにハウジングHに締結されるプレート6とを備えて構成されている。
【0016】
そして、このバルブ装置Vは、たとえば、図2に示すように、ダンパDに適用される。具体的には、バルブ装置Vは、ダンパDの伸縮に伴って液体が流れる減衰流路CPの途中に設けられ、減衰流路CPを通過する液体の流れに対して抵抗を与え、ダンパDが減衰力を発生できるようになっている。
【0017】
以下、バルブ装置Vの各部について詳細に説明する。まず、ハウジングHは、本例では、筒状の第一ハウジングH1と、第一ハウジングH1の外周に装着される筒状の第二ハウジングH2とを備えている。そして、第一弁孔1は、第一ハウジングH1に設けられており、第一ハウジングH1の外部から開口して、この場合、第一ハウジングH1の軸方向両端から外部へ通じている。この第一弁孔1は、本例では、第一ハウジングH1の図1中左右に貫通しているが、左端側から開口しる袋孔とされてもよい。
【0018】
また、第一ハウジングH1に設けた第一弁孔1は、図1中右端側から順に、ばね受7が装着されるばね受装着部1aと、第一スリーブ2および第二スリーブ3が収容されるスリーブ収容部1bと、プレート6が装着されるプレート挿入部1cとを備えている。
【0019】
ばね受装着部1aは、図1中、第一ハウジングH1の右端に形成されており、図1中左方に螺子部1dを備えている。また、ばね受装着部1aにおける螺子部1dよりも図1中右方の内径は、螺子部1dよりも大径となっている。
【0020】
スリーブ収容部1bは、螺子部1dの図1中左隣に内径を螺子部1dよりも大径にして形成される先端部1eと、先端部1eの図1中左隣に内径を先端部1eよりも大径にして形成される中間部1fと、中間部1fの図1中左隣に内径を中間部1fよりも大径にして形成される後端部1gとで構成され、第一弁孔1の一部をなしている。したがって、スリーブ収容部1bの先端とばね受装着部1aの後端との間には、段部1hが形成されている。
【0021】
プレート挿入部1cは、図1中、第一ハウジングH1の左端に形成されており、後端部1gの図1中左隣に内径を後端部1gよりも大径にして形成されていて、第一弁孔1の一部をなしている。
【0022】
また、第一ハウジングH1は、本例では、外周側から径方向に開口して先端部1eに連通する第一ポート1iと、外周側から径方向に開口して中間部1fに連通する第二ポート1jと、外周側から径方向に開口して後端部1gに連通する第三ポート1kとを備える。
【0023】
さらに、第一ハウジングH1の側方には、第二ハウジングH2が装着されている。第二ハウジングH2は、第一ハウジングH1に一体化されて第一ハウジングH1とともにハウジングHを構成している。第二ハウジングH2は、図1中左端の外方から第一弁孔1と同一方向に並列に開口する第二弁孔8と、図1中上端から下端へ貫通して途中で第二弁孔8に連通する第四ポート10と、図1中上端から開口して第二弁孔8へ連通する第五ポート11とを備えている。このように、第一弁孔1と第二弁孔8は、ハウジングHの端部から開口して並列に設けられている。
【0024】
そして、第二ハウジングH2を第一ハウジングH1に装着すると、第四ポート10と第二ポート1jが対向してこれらが連通され、第五ポート11と第三ポート1kが対向してこれらが連通される。なお、第一ハウジングH1と第二ハウジングH2とは別体ではなく一部品とされてもよい。
【0025】
第二弁孔8の開口側となる基端側の内径は、第四ポート10に接続される先端側の内径よりも大径とされており、第二弁孔8内には、基端側と先端側との境の段部で第二バルブV2における弁座14が形成されるとともに、この弁座14に離着座する第二弁体としてのリリーフ弁体15が収容されている。さらに、第二弁孔8内には、リリーフ弁体15を弁座14側へ向けて附勢するばね16が収容されるとともに、第二弁孔8の左端側にはばね受17が螺着されている。そして、第二バルブV2は、これら弁座14、リリーフ弁体15、ばね16およびばね受17によりパッシブなリリーフバルブとして構成されて、第二ハウジングH2の第二弁孔8内に収容されている。したがって、第四ポート10を通じて外方から液体が導入され、第四ポート10内の圧力が第二バルブV2の開弁圧を上回ると、第二バルブV2は、リリーフ弁体15が弁座14から後退して開弁し、第四ポート10を第五ポート11へ連通させる。
【0026】
ばね受17は、螺子部17bを備えて第二弁孔8の開口端の内周に設けられた螺子部8aに螺着されて第二弁孔8の開口部を閉塞する円柱状の本体部17aと、本体部17aの図1中右端からリリーフ弁体15側へ突出してコイルばねであるばね16の内周に挿入される本体部17aより外径が小径のガイド部17cとを備えている。ばね16は、本実施の形態のバルブ装置Vにあっては、前述した通りコイルばねとされており、ばね受17の本体部17aとリリーフ弁体15との間に圧縮状態で挟持されている。よって、ばね16は、予め押し縮められていてリリーフ弁体15を弁座14へ向けて初期荷重を与えて付勢している。また、ばね16は、コイルばねの以外のばねで構成されてもよい。
【0027】
また、ばね受17の端部となる左端には、図示しないマイナスドライバを工具として、工具の先端の差し込み可能な直線状の凹部として形成される調整部17dを備えている。よって、工具の先端を調整部17dに差し込んで接続しつつ工具を操作してばね受17を周方向へ回転操作すると、ばね受17は、第二弁孔8の軸線方向に沿って移動し、第二弁孔8に対する装着位置を変える。このようにばね受17の第二弁孔8に対する装着位置を変更するとばね16の圧縮量が変化して、リリーフ弁体15に与える初期荷重が変化する。リリーフ弁体15は、第四ポート10側から受ける圧力の作用によってばね受17側へ押す力がばね16の初期荷重を上回ると、弁座14から離間して前記力とばね16の付勢力とが釣り合うまで第二弁孔8内をばね受17側へ後退する。つまり、第二バルブV2は、第四ポート10側から受ける圧力の作用によって開弁する。このように、ばね16がリリーフ弁体15へ与える初期荷重によって、リリーフバルブとしての第二バルブV2が開弁する際の開弁圧が設定されている。したがって、調整部17dに工具を接続してばね受17を操作すると、ばね受17の第二弁孔8への装着位置が変化するので、工具によるばね受17の操作によって第二バルブV2の開弁圧の調整が可能である。なお、本実施の形態では、工具をマイナスドライバとしているので、ばね受17の調整部17dをマイナスドライバの接続を可能とする直線状の溝としているが、工具を六角レンチとする場合、ばね受17の端部に設けられる調整部17dを六角孔とし、工具をプラスドライバとする場合、調整部17dを十字溝とすればよい。このようにばね受17の端部に設けられる調整部17dは、対応する工具の接続を可能とするとともに工具の操作によってばね受17の回転操作を可能とするよう工具の形状と符合する溝或いは凹部とすればよい。
【0028】
第一バルブV1は、第一弁孔1内に直列に挿入される筒状の第一スリーブ2および筒状の第二スリーブ3と、第一スリーブ2内に収容される第一スプール4と、第二スリーブ3内に収容される第二スプール5とを備えて構成されている。
【0029】
第一スリーブ2は、外周の図1中右端側である先端側の外径を図1中左端側である後端側の外径よりも小径として段付き筒状とされている。また、第一スリーブ2は、先端側内周に設けた内周大径部2aと、後端側内周に設けた内周大径部2aより小径の内周小径部2bと、外周から開口して内周大径部2aに通じる通孔2cと、外周から開口して内周小径部2bに通じる通孔2dと、後端から開口して内周大径部2aと内周小径部2bの間に形成される段部2eに開口する通孔2fを備える。
【0030】
このように構成された第一スリーブ2は、外周が小径な先端側から第一ハウジングH1の第一弁孔1内に挿入され、小径部分が先端部1e内に嵌合され、大径部分が第一ハウジングH1における中間部1f内に嵌合されて、第一弁孔1におけるスリーブ収容部1b内に収容される。また、通孔2cは、第一ハウジングH1に設けた第一ポート1iに対向してこれに連通され、通孔2dは、第一ハウジングH1に設けた第二ポート1jに対向し、第二ポート1jを介して第四ポート10に連通される。
【0031】
第二スリーブ3は、図1中右端側である先端側の外径を図1中左端側である後端側の外径よりも小径として段付き筒状とされている。また、第二スリーブ3の内周は、途中に内周を大径とした内周大径部3aが設けられている。さらに、第二スリーブ3は、外周から開口して内周大径部3aに通じる通孔3bを備えている。
【0032】
このように構成された第二スリーブ3は、外周が小径の先端側から第一ハウジングH1の第一弁孔1内に挿入され、小径部分が第一ハウジングH1における中間部1f内に嵌合され、大径部分が第一ハウジングH1における後端部1g内に嵌合されて、第一弁孔1におけるスリーブ収容部1b内に収容される。また、通孔3bは、第一ハウジングH1に設けた第三ポート1kに対向して、第三ポート1kを介して第五ポート11に連通される。
【0033】
また、第二スリーブ3の図1中右端側に設けた凹部3cは、第一スリーブ2の図1中左端である後端に開口する通孔2fに対向し、通孔2fを介して第一スリーブ2内の内周大径部2aに通じている。
【0034】
プレート6は、図1および図3に示すように、内周に螺子部を備えた円環状の嵌合部6aと、嵌合部6aの図1中左端である後端の外周に設けたフランジ状の凸型のプレート部6bとを備えている。プレート6は、第一ハウジングH1に取付けられると、第一弁孔1の開口および第二弁孔8の開口の一部を閉塞する。
【0035】
具体的には、プレート6は、第一ハウジングH1におけるプレート挿入部1c内に嵌合部6aを嵌合させ、プレート部6bを第一ハウジングH1の図1中左端面に当接させた状態で、図3に示すように、プレート部6bに挿通されるボルトBによって第一ハウジングH1に締結される。
【0036】
すると、プレート6は、プレート部6bの第一ハウジングH1の図1中左端面である後端面への当接によって軸方向に位置決めされて、ハウジングHの第一弁孔1の開口端に装着される。プレート6の嵌合部6aの図1中右端の端面は、第二スリーブ3の後端面に対向しており、プレート6は、ハウジングHに装着されると、第一弁孔1内に収容された第一バルブV1を構成する第一スリーブ2および第二スリーブ3の抜け止めとして機能する。
【0037】
さらに、プレート部6bは、凸部を第二弁孔8の図1中左端の開口端側に突出させており、当該凸部の先端側で第二弁孔8の一部を塞ぐようになっている。具体的には、プレート6は、プレート部6bの第二弁孔8に対応する箇所(凸部の先端)に半円形の切欠6cを備えており、図3に示すように、ハウジングHのボルトBで固定されると第二弁孔8の開口の一部を塞ぐとともにプレート部6bの切欠6cの周囲をばね受17に対向させる。このように、プレート6がばね受17に第二弁孔8の軸方向で対向すると、切欠6cがばね受17の調整部17dへの工具の接続を許容する逃げとなって、プレート6で第二弁孔8の一部を塞ぎつつも工具の調整部17dへの容易な接続を妨げない。よって、プレート6は、第二弁孔8からのばね受17の抜けを防止できるとともに、工具によるばね受17の調整部17dへの接続を妨げず、工具を用いたばね受17の回転操作も許容される。なお、切欠6cの形状は、ばね受17の第二弁孔8からの脱落を防止でき、工具の調整部17dへの接続を許容できる形状であれば半円形に限られないが、半円形であるとばね受17の調整部17dの露出を大きくとることができ、工具の調整部17dの接続とばね受17の回転操作が容易となる。
【0038】
なお、プレート6は、第二弁孔8からのばね受17の抜けを防止するため、第二弁孔8の軸方向にてばね受17の一部に対向しつつ、ばね受17の調整部17dの工具の接続を許容できればよい。よって、図4に示すように、プレート6のプレート6に第二弁孔8の内径よりも小径であって工具の挿入を可能とする孔6dを設けて、プレート部6bの孔6dの周囲をばね受17に対向させてもよいし、図5に示すように、プレート6の端をばね受17の中心部分を避けた部位に第二弁孔8の軸方向で対向させてばね受17の脱落を防止しつつ工具による調整部17dへの接続を許容するようにしてもよい。プレート6がばね受17の中心部分を避けた位置に対向していると、工具を調整部17dに接続した際にばね受17の中心部分に工具を接続できるのでばね受17の回転操作が容易となる。また、前述したところでは、プレート部6bの全体形状は、凸型とされているが、第二弁孔8の一部を塞ぐことができる形状であればよいので、その限りにおいて任意に変更できる。
【0039】
また、本例では、プレート6がハウジングHに軸方向に位置決めされて装着された状態において、第一スリーブ2と第二スリーブ3の軸方向の合計長さは、プレート6の図1中右端の端面と第一弁孔1内において第一スリーブ2の先端面に対向する段部1hまでの軸方向長さよりも短くなるように設定されている。よって、プレート6をハウジングHに装着しても、第一スリーブ2および第二スリーブ3がプレート6と段部1hとで圧縮状態で挟持されず、第一スリーブ2および第二スリーブ3がプレート6から軸力を受けないようになっている。なお、第一スリーブ2と第二スリーブ3の軸方向の合計長さを、プレート6の図1中右端の端面と第一弁孔1内において第一スリーブ2の先端面に対向する段部1hまでの軸方向長さと等しくなるように設定されてもよい。このようにしても、第一スリーブ2および第二スリーブ3がプレート6から軸力を受けない。
【0040】
また、プレート6は、ハウジングHに軸方向に位置決めして装着できればよいので、たとえば、嵌合部6aとプレート挿入部1cに螺子溝を設けて両者を螺子締結してもよい。また、本例では、プレート挿入部1cとスリーブ収容部1bとの間には段部1mが設けられるので、嵌合部6aの図1中右端を段部1mに当接させて、プレート6をハウジングHに対して軸方向に位置決めしてもよい。プレート挿入部1cに螺子溝を形成してプレート6をハウジングHに螺子締結すると、呼び径が大きくなるためにハウジングHの外形(外部形状)が大径化する場合がある。これに対して、プレート部6bを設けてプレート6をハウジングHにボルト締結するのでハウジングHの外形寸法の大径化を回避できる。
【0041】
第一スプール4は、第一スリーブ2内に軸方向へ移動自在に収容されて第一スリーブ2に前記移動が案内される。詳細には、第一スプール4は、第一スリーブ2の内周小径部2bに摺動自在に挿入される摺動軸部4aと、摺動軸部4aの図1中右端から右方へ延びる小径軸部4bと、小径軸部4bの図1中右端に設けた円錐台状の弁部4cとを備えている。
【0042】
摺動軸部4aは、外径が小径軸部4bよりも大径とされていて、第一スリーブ2の内周小径部2bに摺接しており、第一スリーブ2によって第一スプール4の軸方向の移動が軸ぶれなく案内される。小径軸部4bは、外径が内周小径部2bの内径よりも小径であり、第一スリーブ2に設けた通孔2dに対向している。また、第一スプール4は、第一スリーブ2に対して軸方向に移動するが、摺動軸部4aが通孔2dの開口を完全に閉塞しないようになっている。
【0043】
弁部4cは、外径が内周小径部2bの内径よりも大径とされており、段部2eにおける内周縁を弁座2gとして、第一スプール4の軸方向の移動によって当該弁座2gに離着座できるようになっている。
【0044】
また、第一ハウジングH1の第一弁孔1におけるばね受装着部1aには、有底筒状のばね受7が装着されている。ばね受7は、有底筒状であって外周には、螺子部7aが設けられており、この螺子部7aを第一ハウジングH1の第一弁孔1に設けた螺子部1dに螺合してハウジングHに装着できるようになっている。なお、第一ハウジングH1の図1中右端に螺子締結される止輪19によって、ばね受7の第一弁孔1内からの脱落が防止されている。
【0045】
このばね受7と第一スプール4の弁部4cの図1中右端との間には、ばねSが介装されており、このばねSの附勢力により第一スプール4は弁部4cが弁座2gに着座する方向へ附勢されている。このように、弁部4cを備える第一スプール4、弁座2gを有する第一スリーブ2およびばねSによって可変リリーフバルブVvが構成されている。そして、ばねS以外に第一スプール4に外力が作用しない状態では、弁部4cが弁座2gに押し付けられて閉弁して、可変リリーフバルブVvの開弁圧が最大となり、ばねSの附勢力に対抗して反対方向に第一スプール4を押す推力が与え、この推力を調節すると弁部4cの弁座2gへの押付力が調節され、可変リリーフバルブVvの開弁圧を調節できる。
【0046】
可変リリーフバルブVvが開弁すると、第四ポート10、第二ポート1j、通孔2d、内周大径部2a内、通孔2cおよび第一ポート1iで構成される減衰力調整用流路が連通状態となる。他方、弁部4cが弁座2gに着座して可変リリーフバルブVvが閉弁すると、通孔2dと内周大径部2aとの接続が絶たれて、減衰力調整用流路が遮断状態となる。
【0047】
なお、ばねSと第一スプール4との間には、弁体側ばね受24が介装されている。本例では、ばねSがコイルばねとされていて、弁体側ばね受24の図1中右端がばねSの内周に遊嵌されていて、ばねSと第一スプール4の軸芯のずれを弁体側ばね受24で吸収できるようになっている。これにより、ばねSの附勢力が径方向で偏りなく第一スプール4に作用するので、第一スプール4の開弁圧がばらつきなく安定する。
【0048】
第二スプール5は、第二スリーブ3内に軸方向へ移動自在に収容されて第二スリーブ3に前記移動が案内され、また、図1中右端が第一スプール4の図1中左端へ当接できるようになっている。詳細には、第二スプール5は、第二スリーブ3内に摺動自在に挿入される摺動軸部5aと、摺動軸部5aの図1中右端から右方へ延びる円柱状の弁部5bと、弁部5bの図1中右端に設けられて軸方向へ突出する凸部5cとを備えている。
【0049】
摺動軸部5aは、内周大径部3aを除き第二スリーブ3の内周に摺接しており、第二スリーブ3によって第二スプール5の軸方向の移動が軸ぶれなく案内される。
【0050】
弁部5bは、外径が第二スリーブ3の内周に摺接する径に設定されており、内周大径部3aより右方に配置されると、第二スリーブ3に設けた通孔3bと第二スリーブ3内とでなる流路の連通を絶つようになっている。
【0051】
また、摺動軸部5aの図1中左端である後端には、フランジ5dが設けられていて、フランジ5dの図1中右端と第二スリーブ3の図1中左端との間には、コイルばね25が介装されている。このコイルばね25によって第二スプール5は図1中左方へ向けて附勢されている。コイルばね25の附勢力以外に外力が作用しない状態では、第二スプール5は、図1に示すように、弁部5bが内周大径部3aに配置されると、通孔3bと第二スリーブ3内とでなる流路を連通するようになっている。
【0052】
さらに、プレート6の図1中左方には、ソレノイドSolが装着されており、ソレノイドSolへの通電によって、ソレノイドSolのプランジャPに当接する第二スプール5に図1中右方向の推力を与えられるようになっている。ソレノイドSolは、詳しくは図示しないが、筒状の固定鉄心26と、固定鉄心26内を軸方向移動自在に挿入されるプランジャPと、固定鉄心26と軸方向で対向してプランジャPの外周に配置される筒部を備えた図外の第二固定鉄心と、固定鉄心26と第二固定鉄心の外周に設けられる図外のコイルとを備えており、コイルへの通電によってプランジャPを図1中右方へ向けて付勢する推力を発生する。また、固定鉄心26の図1中右端外周には、プレート6の嵌合部6aの内周に設けた螺子部に螺着される螺子部26aを備えている。よって、ソレノイドSolは、固定鉄心26をプレート6に螺着することでハウジングHに固定される。このようにソレノイドSolが第一ハウジングH1に固定されると、プランジャPが第二スプール5の図1中左端に当接するので、ソレノイドSolは、コイルへの通電によって固定鉄心26に吸引されるプランジャPを介して第二スプール5に推力を与え得る。
【0053】
また、ソレノイドSolの通電量の調節により、第二スプール5に与える推力の調節が可能である。この推力は、コイルばね25に対抗する向きの力を第二スプール5に与えるので、第二スプール5をコイルばね25の附勢力に抗して弁部5bを内周大径部3aに侵入する位置へ移動させ得る。よって、ソレノイドSolの通電の有無によって、第二スプール5を軸方向へ移動せしめて、前記流路を連通および遮断できるようになっている。このように、第二スリーブ3、第二スプール5は、前記流路を開閉する開閉バルブOvを構成しており、この開閉バルブOvは、ソレノイドSolへの通電によって前記流路を開閉する電磁開閉弁とされている。
【0054】
開閉バルブOvが開弁すると、第四ポート10、第二弁孔8、第五ポート11、第三ポート1k、通孔3b、凹部3c、通孔2f、内周大径部2a、通孔2cおよび第一ポート1iで構成されるバイパス流路を連通状態とする。バイパス流路が連通状態におかれると、第二弁孔8内に設けた第二バルブV2も開弁可能な状態におかれ、第四ポート10から導入される圧力が第二バルブV2の開弁圧に達すると第二バルブV2が開弁して、バイパス流路を介して圧力を逃がせるようになる。また、開閉バルブOvが閉弁する状態では、通孔3bと第二スリーブ3内とでなる流路の接続が絶たれて、バイパス流路が遮断状態となる。
【0055】
また、ソレノイドSolの通電量によって第二スプール5へ与える推力を調整でき、第二スプール5で前記流路を閉弁してさらに第二スプール5を第一スプール4に当接させると、第二スプール5を介してソレノイドSolの推力を第一スプール4にも伝達できる。
【0056】
このように、第一スプール4にばねSと対抗する方向のソレノイドSolの推力を作用させられるので、ソレノイドSolへの通電量の調節によって第一スプール4へ作用させる推力を調節して、可変リリーフバルブVvの開弁圧を調節できる。
【0057】
つづいて、このように構成されたバルブ装置Vを適用するダンパDは、図2に示すように、シリンダ31と、シリンダ31内に移動自在に挿入されるともにシリンダ31内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン32と、シリンダ31内に挿入されてピストン32に連結されるロッド33と、タンクTと、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する第一通路34の途中に設けた第一開閉弁35と、ピストン側室R2とタンクTとを連通する第二通路36の途中に設けた第二開閉弁37と、ロッド側室R1とタンクTとを連通する減衰流路CPと、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する整流通路38と、タンクTからピストン側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する吸込通路39とを備えて構成されている。
【0058】
また、バルブ装置Vは、減衰流路CPの途中に設けられており、具体的には、第四ポート10をロッド側室R1側に、第一ポート1iをタンクT側に接続して減衰流路CPに設けられる。
【0059】
そして、このように構成されたダンパDは、第一開閉弁35で第一通路34を連通状態とするとともに第二開閉弁37を閉じた状態として収縮すると、ロッド33がシリンダ31内に侵入し押しのける体積分の液体がシリンダ31内から減衰流路CPに押し出される。この状況下、ソレノイドSolへ通電可能な状況であって開閉バルブOvを閉弁させ、可変リリーフバルブVvの開弁圧を調節すると、シリンダ31内の圧力が可変リリーフバルブVvの開弁圧となるように制御され、ダンパDは収縮を妨げる減衰力を発揮する。そして、可変リリーフバルブVvの開弁圧の調節によりダンパDの収縮を妨げる減衰力を大小調節できる。
【0060】
なお、ダンパDは、第一開閉弁35で第一通路34を連通状態とするとともに第二開閉弁37を閉じた状態として伸長する場合、ロッド33がシリンダ31内から退出する体積分の液体が吸込通路39を介してタンクTから供給される。この場合、シリンダ31内の圧力はタンク圧にほぼ等しくなるので、ほとんど抵抗なくダンパDは伸長作動を呈する。よって、ダンパDは、第一開閉弁35を開弁させるとともに第二開閉弁37を閉弁させると、収縮作動時にのみ減衰力を発揮する片効きのダンパとして機能する。
【0061】
他方、ダンパDは、第一開閉弁35を閉じた状態とするとともに第二開閉弁37で第二通路36を連通状態として伸長すると、シリンダ31内からロッド33が退出する体積分の液体がロッド側室R1から減衰流路CPに押し出される。拡大するピストン側室R2には、タンクTから液体が供給される。この状況下、ソレノイドSolへ通電可能な状況であって開閉バルブOvを閉弁させ、可変リリーフバルブVvの開弁圧を調節すると、ロッド側室R1内の圧力が可変リリーフバルブVvの開弁圧となるように制御され、ダンパDは伸長を妨げる減衰力を発揮する。そして、可変リリーフバルブVvの開弁圧の調節によりダンパDの伸長を妨げる減衰力を大小調節できる。
【0062】
なお、ダンパDは、第一開閉弁35を閉じた状態とするとともに第二開閉弁37で第二通路36を連通状態として収縮すると、ロッド33がシリンダ31内へ侵入する体積分の液体がシリンダ31から第二通路36を介してタンクTへ排出される。この場合、シリンダ31内の圧力はタンク圧にほぼ等しくなるので、ほとんど抵抗なくダンパDは収縮作動を呈する。よって、ダンパDは、第一開閉弁35を閉弁させるとともに第二開閉弁37を開弁させると、伸長作動時にのみ減衰力を発揮する片効きのダンパとして機能する。
【0063】
そして、このように構成されたダンパDは、第一開閉弁35と第二開閉弁37がともに閉弁すると、整流通路38および吸込通路39と減衰流路CPで、ロッド側室R1、ピストン側室R2およびタンクTが数珠繋ぎに連通される。この状態で、ソレノイドSolへ通電可能である場合、ダンパDが外力により伸縮させられると、ロッド側室R1内の圧力を可変リリーフバルブVvで制御でき、ダンパDにソレノイドSolの通電量に応じた減衰力を発揮させ得る。つまり、この場合、ダンパDの減衰力制御が可能である。また、ソレノイドSolへの通電が不能あるいは非通電の場合には、開閉バルブOvが開弁するのでバイパス流路が有効となる。この場合にあってダンパDが外力により伸縮させられると、ロッド側室R1内の圧力がリリーフバルブとしての第二バルブV2の開弁圧となるように制御され、ダンパDは、第二バルブV2の設定に応じた減衰力を発揮する。よって、この場合、ダンパDは、パッシブなダンパとして機能する。
【0064】
このように、バルブ装置Vは、ダンパDへの適用により減衰力発生減として機能できる。また、図示はしないが、前記ダンパDおよびバルブ装置Vの構成に加えてロッド側室R1へ液体を供給するポンプを設けてアクチュエータを構成する場合、可変リリーフバルブVvによる開弁圧の調節によってアクチュエータの推力の調節もできる。
【0065】
そして、本実施の形態のバルブ装置Vは、外方から同一方向に並列に開口する第一弁孔1および第二弁孔8を有するハウジングHと、第一弁孔1内に挿入されるとともにソレノイドSolによって駆動される第一および第二のスプール(第一弁体)4,5を有する第一バルブV1と、第二弁孔8内に挿入される第二バルブV2と、ソレノイドSolに連結されるとともにハウジングHに締結されて第一弁孔1および第二弁孔8の一部を閉塞するプレート6とを備え、第二バルブV2は、第二弁孔8内に第二弁孔8の軸方向へ移動可能に挿入されるリリーフ弁体(第二弁体)15と、第二弁孔8の開口端側に螺着されて第二弁孔8を閉塞するとともに端部に外部からの工具による回転操作を可能とする調整部17dを有するばね受17と、リリーフ弁体(第二弁体)15とばね受17との間に介装されるばね16とを具備し、プレート6は、工具の調整部17dへの接続を許容しつつばね受17の端部に第二弁孔8の軸方向で対向している。このように構成されたバルブ装置Vでは、第一弁孔1に収容される第一バルブV1の抜けを防止するプレート6が第一弁孔1に並列に配置される第二弁孔8内に収容される第二バルブV2におけるばね受17の一部に対向して第二バルブV2の第二弁孔8内からの脱落が防止できるだけでなく、工具の利用によるばね受17の回転操作も可能となる。よって、本実施の形態のバルブ装置Vによれば、ハウジングHからばね受17の脱落を確実に阻止でき液体の漏洩の心配がないだけでなく、第二弁孔8内のバルブ調整も可能となる。
【0066】
また、バルブ装置Vにおけるプレート6は、第二弁孔8の軸方向で、ばね受17の中心部分を避けた位置に対向するとよく、このように構成されたバルブ装置Vによれば、工具を調整部17dに接続した際にばね受17の中心部分に工具を接続できるのでばね受17の回転操作が容易となる。
【0067】
なお、本実施の形態のバルブ装置Vは、プレート6が半円状の切欠6cを有して、切欠6cの周囲をばね受17に対向させるよう構成されている。このように構成されたバルブ装置Vによれば、切欠6cがばね受17の調整部17dへの工具の接続を許容する逃げとなって、プレート6で第二弁孔8の一部を塞ぎつつも工具の調整部17dへの容易な接続を妨げない。また、切欠6cの形状が半円形であるので、ばね受17の調整部17dの露出を大きくとることができ、工具の調整部17dの接続とばね受17の回転操作が容易となる。
【0068】
また、本実施の形態におけるバルブ装置Vでは、第一弁孔1を有するハウジングHと、第一弁孔1に直列に挿入される第一スリーブ2および第二スリーブ3と、第一スリーブ2内に収容される第一スプール4と、第二スリーブ3内に収容される第二スプール5と、ハウジングHの開口端に装着されるプレート6とを備えている。このようにバルブ装置Vを構成すると、プレート6がハウジングHによって軸方向に位置決めされるので、第一弁孔1内に収容される第一スリーブ2および第二スリーブ3に軸方向の引張荷重や圧縮荷重を負荷させずにこれらを抜け止めできる。また、第二スリーブ3がハウジングHに螺着されていないので、第一スリーブ2および第二スリーブ3にトルクを作用させずに済む。よって、第一スリーブ2および第二スリーブ3の第一スプール4および第二スプール5が収容される内周形状に歪みが生じない。これにより、第一スリーブ2、第二スリーブ3、プレート6およびハウジングHの寸法の高精度な管理が不要となり、第一スリーブ2および第二スリーブ3の内周を整形する加工を施さずとも、第一スプール4および第二スプール5の円滑な軸方向への移動が保障される。以上より、本発明のバルブ装置Vによれば、加工が容易でかつ第一スプール4および第二スプール5の円滑な作動が実現可能となる。
【0069】
また、本例のバルブ装置Vでは、第一スリーブ2と第二スリーブ3の軸方向の合計長さは、ハウジングHの段部1hからプレート6の端面までの軸方向長さよりも短くなっている。よって、プレート6をハウジングHに装着しても、第一スリーブ2および第二スリーブ3がプレート6と段部1hとで圧縮状態で挟持されず、第一スリーブ2および第二スリーブ3への軸力が何ら作用しない状態を確実に実現できる。また、第一スリーブ2、第二スリーブ3、プレート6およびハウジングHに対する寸法管理もより容易となる。
【0070】
さらに、本例のバルブ装置Vでは、プレート6が外周にプレート部6bを備え、プレート部6bをハウジングHの端面に当接して位置決められる。このようにすると、簡単な構造でプレート6がハウジングHによって位置決めされ、第一スリーブ2および第二スリーブ3への軸力の負荷も確実に防止される。
【0071】
また、本例におけるバルブ装置Vでは、プレート6のプレート部6bをハウジングHにボルト締結してプレート6がハウジングHに固定される。よって、プレート6のハウジングHへの取付時においてプレート6を回転させる必要がないので、プレート6と第二スリーブ3とが接触しても、第一スリーブ2および第二スリーブ3に対してトルクを作用させる心配が皆無となる。よって、トルクの負荷による第一スリーブ2および第二スリーブ3の内周形状の歪みを確実に阻止できる。
【0072】
さらに、本例のバルブ装置Vでは、第一バルブV1は、第二スプール5と第二スリーブ3とで構成される開閉バルブOvと、第一スプール4と第一スリーブ2とで構成される可変リリーフバルブVvとを備え、第二スプール5を介して第一スプール4に推力を与えるソレノイドSolを備えている。このようにバルブ装置Vを構成することで、開閉バルブOvの開閉と可変リリーフバルブVvの開弁圧の調節を一つのソレノイドSolで行える。なお、第一バルブV1は、前述した構成以外のバルブとされてもよい。
【0073】
また、ソレノイドSolへ非通電時に開閉バルブOvが開弁し、ソレノイドSolへ通電時に開閉バルブOvを閉弁させるとともに可変リリーフバルブVvの開弁圧の調節を行えるようにし、開閉バルブOvに直列にして第二バルブV2を設けるようにしてもよい。この場合、バルブ装置VをダンパD或いはアクチュエータへ適用すれば、フェール時にもダンパD或いはアクチュエータがダンパとして減衰力の発揮を期待できる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・第一弁孔、4・・・第一スプール(第一弁体)、5・・・第二スプール(第一弁体)、6・・・プレート、6c・・・切欠、8・・・第二弁孔、15・・・リリーフ弁体(第二弁体)、16・・・ばね、17・・・ばね受、17d・・・調整部、H・・・ハウジング、Sol・・・ソレノイド、V・・・バルブ装置、V1・・・第一バルブ、V2・・・第二バルブ
図1
図2
図3
図4
図5