(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067825
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】吸引装置
(51)【国際特許分類】
B08B 5/04 20060101AFI20220426BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20220426BHJP
A47L 5/16 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B08B5/04
A47L9/10 D
A47L5/16
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176644
(22)【出願日】2020-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】599099294
【氏名又は名称】株式会社フジル
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】増田 秀行
【テーマコード(参考)】
3B062
3B116
【Fターム(参考)】
3B062AG12
3B062AG17
3B116AA46
3B116AB52
3B116BB72
3B116BB78
(57)【要約】
【課題】吸引力の低下を抑止することができる吸引装置を提供する。
【解決手段】吸引装置501は、エアによって異物を吸引する吸引部2と、この吸引部2の下流側である後部に接続されてエアと異物とを分離する分離部507と、この分離部507の下部に連結されて異物が収容される紙パック等の収容部527とを有している。分離部507の分離ケース508と本体部3とは、配管部を介して接続され、配管部は、本体部3から後方に向けて伸びると共に、後部が手前側に向けてほぼ直角に折れ曲がっている。分離ケース508内では、異物がエアと共に旋回してエアから分離されると共に、エアは排気管515及び収容部527を介して上下に排気され、異物はエアに加えて自重で収容部527に向かう。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアによって異物を吸引する吸引部と、この吸引部の下流側に接続されてエアと異物とを分離する分離部と、この分離部に接続されて異物が収容される収容部と、を有し、
前記吸引部が、
下流である後方にエアを流す本体部と、この本体部の前方に伸びてエアによって負圧となるノズル部と、前記本体部から下方に伸びた把持部と、を有し、
前記分離部が、
前記本体部の後方に連結されて内側でエアが旋回する分離ケースと、
この分離ケースの上部を貫通した排気管と、を有し、
前記収容部が、通気性素材から形成されて前記分離ケースの下部に連結された、
ことを特徴とする吸引装置。
【請求項2】
前記排気管が、
前記分離ケースの内側に配置されて下面に通気孔が形成された内側管部と、
通気孔が形成されて前記内側管部の上端を前記分離ケースの上部に固定する着脱可能な蓋部と、
前記内側管部と前記蓋部との間に挟まれたフィルター部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載された吸引装置。
【請求項3】
前記本体部と前記分離ケースとを接続する配管部を有し、この配管部が、後方に向けて伸びると共に折れ曲がり、前記分離ケースの後部に連接された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された吸引装置。
【請求項4】
前記把持部が使用者に把持された状態において、
前記配管部が、前記使用者の手首の上方に配置され、前記使用者側に向けて折れ曲がっており、
前記分離部が、前記使用者の手首の内側に配置された、
ことを特徴とする請求項3に記載された吸引装置。
【請求項5】
前記収容部の底部が開放され、この底部に、当該底部を閉じるクランプ部材が備えられ、
前記底部が、前記クランプ部材によって開閉自在である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアによって粉塵等を吸引する吸引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアを利用したハンディタイプの掃除機として、例えば下記特許文献1に記載された清掃工具(以下、「公知文献1発明」と記す。)がある。この公知文献1発明は、利用者が把持するグリップ部と、エアの力によって吸引された粉塵等の異物が通る筒部と、この筒部に接続されて異物が収容される収納箱と、筒部と収納箱との間に取り付けられた逆止弁とを有している。異物が収納箱に蓄積されて一杯になると、吸引力が低下するため、異物は捨てられる。
【0003】
一方で、近年では、吸引した異物をエアから分離することで吸引力の低下を抑制することができるサイクロン式掃除機がある。下記特許文献2に記載されたサイクロン式ユニット(以下、「公知文献2発明」と記す。)は、サイクロンユニット本体とダストボックスとから構成され、家庭用の掃除機において、パイプと掃除器本体との間に取り付けることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-321988号公報
【特許文献2】特開2019-97872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、公知文献2発明は、吸引力の低下を抑制することができるものの、ダストボックスに蓄積された異物は、エアによって常にダストボックス内を周回しているため、異物が蓄積し過ぎると、サイクロンユニット本体の排気側に向かうようになり、サイクロンユニット本体に異物が付着すると、吸引力が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、吸引力の低下を抑止することができる吸引装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る吸引装置は、エアによって異物を吸引する吸引部と、この吸引部の下流側に接続されてエアと異物とを分離する分離部と、この分離部に接続されて異物が収容される収容部と、を有し、前記吸引部が、下流である後方にエアを流す本体部と、この本体部の前方に伸びてエアによって負圧となるノズル部と、前記本体部から下方に伸びた把持部と、を有し、前記分離部が、前記本体部の後方に連結されて内側でエアが旋回する分離ケースと、この分離ケースの上部を貫通した排気管と、を有し、前記収容部が、通気性素材から形成されて前記分離ケースの下部に連結された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る吸引装置は、前記排気管が、前記分離ケースの内側に配置されて下面に通気孔が形成された内側管部と、通気孔が形成されて前記内側管部の上端を前記分離ケースの上部に固定する着脱可能な蓋部と、前記内側管部と前記蓋部との間に挟まれたフィルター部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る吸引装置は、前記本体部と前記分離ケースとを接続する配管部を有し、この配管部が、後方に向けて伸びると共に折れ曲がり、前記分離ケースの後部に連接された、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る吸引装置は、前記把持部が使用者に把持された状態において、前記配管部が、前記使用者の手首の上方に配置され、前記使用者側に向けて折れ曲がっており、前記分離部が、前記使用者の手首の内側に配置された、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る吸引装置は、前記収容部の底部が開放され、この底部に、当該底部を閉じるクランプ部材が備えられ、前記底部が、前記クランプ部材によって開閉自在である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吸引装置は、エアによって異物を吸引する吸引部と、この吸引部の下流側に接続されてエアと異物とを分離する分離部と、この分離部に接続されて異物が収容される収容部とを有し、吸引部が、下流である後方にエアを流す本体部と、この本体部の前方に伸びてエアによって負圧となるノズル部と、本体部から下方に伸びた把持部とを有し、分離部が、本体部の後方に連結されて内側でエアが旋回する分離ケースと、この分離ケースの上部を貫通した排気管とを有し、収容部が、通気性素材から形成されて分離ケースの下部に連結されている。すなわち、分離部と収容部とが別個の部材であるため、分離ケースでエアと分離された異物は、分離ケースに滞留せず、自重によって収容部に落下して蓄積される。異物が分離ケースに蓄積しないことから、吸引力の低下が抑止される。また、分離ケースでエアと異物とが分離する際、エアは、排気管に加えて通気性素材の収容部からも排気されるため、異物はエアによって収容部に向かうし、上下に排気されることで高い吸引力が実現する。さらに、収容部が、交換可能な使い捨ての素材であれば、収容部の清掃が不要であり、簡便である。
【0013】
本発明に係る吸引装置は、排気管が、分離ケースの内側に配置されて下面に通気孔が形成された内側管部と、通気孔が形成されて内側管部の上端を分離ケースの上部に固定する着脱可能な蓋部と、内側管部と蓋部との間に挟まれたフィルター部とを有している。この構成により、分離ケースにおいて異物と分離されたエアは、内側管部の下面から通気孔を通って内側に流入し、蓋部から通気孔を通って排気される。その際、細かな異物がエアに混入していた場合であっても、エアがフィルター部を通ることで、異物はフィルター部に遮られて排出されない。蓋部が外されてフィルター部が取り外され、フィルター部の清掃又は交換も可能である。
【0014】
本発明に係る吸引装置は、本体部と分離ケースとを接続する配管部を有し、この配管部が、後方に向けて伸びると共に折れ曲がり、分離ケースの後部に連接されている。この構成により、吸引された異物は、配管部を通って分離ケースの後部から分離ケースに入るため、異物の逆流が妨げられる。すなわち、配管部が分離ケースの前部に通じている構成ではないため、ノズル部が下に向けられ、異物が前方に偏った場合であっても、異物が配管部を通って逆流することが無い。なお、仮に、配管部が分離ケースの前部に連接されていた場合、ノズル部と分離ケースとが直線上に配置されるため、ノズル部が下に向けられると、異物が分離ケースからノズル部を通って逆流する可能性がある。
【0015】
本発明に係る吸引装置は、把持部が使用者に把持された状態において、配管部が、使用者の手首の上方に配置され、使用者側に向けて折れ曲がっており、分離部が、使用者の手首の内側に配置されている。この構成により、使用者が吸引装置を操作するうえで、分離部が妨げとならない。なお、仮に、分離部が、配管部の直線上にある場合、分離部が使用者の腕の上方に配置され、操作し辛い場合がある。分離部と収容部とが腕に沿った直線上に並べられていた場合、異物が逆流して分離ケースに滞留する場合がある。配管が上方に向けて折れ曲がっていた場合、分離部が腕から上方に離れたことで分離部にモーメント力が作用し、操作し辛い場合がある。本発明は、使用者が、片手で把持して様々な向きで操作するうえで、好適となるような設計である。
【0016】
本発明に係る吸引装置は、収容部の底部が開放され、この底部に、当該底部を閉じるクランプ部材が備えられ、底部が、クランプ部材によって開閉自在である。クランプ部材によって、収容部が開放された状態で、エアが収容部から排気されると、収容部に蓄積されていた異物は、開放された底部から、エアの勢いによって排出される。したがって、異物の廃棄が簡便である。また、収容部が空になるうえ、エアによって清掃されるため、収容部の再利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置の外観図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置の上面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置の後面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置の収容部の上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置の収容部の外観図である。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施形態に係る吸引装置の外観図である。
【
図7】
図7は、本発明の第二実施形態に係る吸引装置の上面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第二実施形態に係る吸引装置の前面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態に係る吸引装置の後面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第二実施形態に係る吸引装置における排気管の分解図である。
【
図11】
図11は、本発明の第三実施形態に係る吸引装置の外観図である。
【
図12】
図12は、本発明の第四実施形態に係る吸引装置の外観図である。
【
図13】
図13は、本発明の第四実施形態に係る吸引装置における排気管の一部が示され、(a)は前面図、(b)は上面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第四実施形態に係る吸引装置における排気管の一部が示され、(a)は上面図、(b)は前面図、(c)は下面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第五実施形態に係る吸引装置の外観図である。
【
図16】
図16は、本発明の第五実施形態に係る吸引装置の上面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第五実施形態に係る吸引装置の前面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第五実施形態に係る吸引装置の後面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第五実施形態に係る吸引装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る吸引装置を図面に基づいて説明する。
図1ないし
図3は、本発明の第一実施形態に係る吸引装置1が示されている。
図4及び
図5は、吸引装置1における収容部7が示されている。なお、以下の説明では、吸引される異物の流路において、上流側を前方(Forward)とし、下流側を後方(Backward)とする。また、重力の方向を下方(Up)として、反対側(Down)を上方とする。また、上方から視して前後方向と交差する方向を手前側(Front Side)及び奥側(Back Side)とする(例えば、
図1及び
図2参照。)。
【0019】
吸引装置1は、清掃等に用いられ、例えば、切り屑や埃等の様々な異物を吸引して収容する。
図1ないし
図3に示されているとおり、吸引装置1は、エアによって異物を吸引する吸引部2と、この吸引部2の下流側である後部に接続されてエアと異物とを分離する分離部7と、この分離部7の下部に連結されて異物が収容される収容部27とを有している。
【0020】
吸引部2は、下流である後方にエアを流す本体部3と、この本体部3の前方に伸びたノズル部6と、本体部3から下方に伸びた把持部4とを有している。ノズル部6は、長手の円筒であり、前端が斜めにカットされている。すなわち、ノズル部6の前部は、下方から上方に渡って、前方に向けて傾斜している。本体部3は、円筒状であり、ノズル部6と通じている。把持部4は、エアの供給又は停止を選択するための操作部5を有している。操作部5は、ボタンであり、把持部4の前部に配置されている。把持部4は、下端部に被接続部30を有している。被接続部30は、エアの供給源である供給部(図示省略。)が接続管(図示省略。)を介して接続される。供給部は、例えばエアコンプレッサー等である。
【0021】
分離部7は、本体部3の後方に連結されたる分離ケース8と、この分離ケース8の上部を貫通した排気管15とを有している。分離ケース8は、中空の円筒状であり、配管部26を介して本体部3と接続されている。配管部26は、本体部3から後方に向けて伸びると共に、後部が手前側に向けてほぼ直角に折れ曲がっている。配管部26の後部は、分離ケース8の奥側から後部の上寄りに連接されている。
【0022】
排気管15は、円筒状であって、分離ケース8の上部の中心を貫通している。排気管15は、分離ケース8の内側と外側とに跨って分離ケース8に固定された排気管本体部16と、この排気管本体部16の内側に配置されたフィルター部(図示省略。)と、排気管本体部16の上端に着脱される円板状の蓋部25とを有している。排気管本体部16は、分離ケース8の内側に配置された内側管部17と分離ケース8の外側に配置された外側管部18とが上下に連なり、各部17,18の境界にフランジ部19が形成されている。内側管部17は、下面に複数の内側通気孔20が形成され、側面には孔が形成されていない。外側管部18は、側面に複数の外側通気孔21が形成されている。各孔20,21の大きさや形状は任意である。
【0023】
フィルター部は、例えば、紙、不織布、スポンジ等である。簡便なフィルター部として、トイレットペーパーやティッシュペーパー等であってもよい。蓋部25が着脱されることで、フィルター部の清掃や交換が可能である。
【0024】
図4及び
図5に示されているとおり、収容部27は、例えば、厚紙等の板状部材28に孔が形成され、この板状部材28に、通気性素材の袋29が取り付けられたものである。通気性素材は、紙、不織布、繊維等である。
【0025】
図1ないし
図3に示されているとおり、分離ケース8の内側には、分離空間9が形成されている。分離空間9の下方であって、分離ケース8の下部は、漏斗状であり、下端に、分離空間9よりも狭い開口部10が形成されている。開口部10は、収容部27が着脱される着脱手段11に形成され、この着脱手段11は、当該着脱手段11を開放し又はロックするロック手段14を有している。着脱手段11は、収容部27の板状部材28が側方から挿入される溝12が形成され、この溝12が、開口部10の周囲(前後、奥側及び手前側)に配置されている。各溝12のうち、少なくとも一つは、ロック手段14によって開閉が可能である。すなわち、ロック手段14は、溝12が形成された溝部材13を、軸で支持することで回転可能とし、溝部材13を外側に向けて開くものである(
図3参照。)。又は、ロック手段14は、ビス等(図示省略。)で溝部材13を着脱手段11に着脱するものである。したがって、ロック手段14によって溝部材13が閉じれば(又はビス等で固定されれば)、着脱手段11が閉塞して収容部27の板状部材28が留められる。一方で、ロック手段14によって溝部材13が開けば(又は取り外されれば)、溝12から板状部材28が取り外されると共に収容部27が側方に向けて取り外される。なお、ロック手段14は、バネ等の弾性力によって溝部材13が閉じられ、バネの弾性力に抗した外力が作用したときにのみ溝部材13が開く構成であってもよい。また、ロック手段14は、着脱手段において、前後又は奥側のいずれかに備わっていてもよい。
【0026】
以上のとおり、吸引装置1が構成されている。次に、吸引装置1の動作及び使い方を、効果と共に、
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0027】
使用者Hが、把持部4を把持すると、配管部26は、使用者Hの手首の上方に配置される。配管部26の後部が使用者H側である手前側に向けて折れ曲がっており、分離部7は、使用者Hの手首の内側に配置される。すなわち、吸引装置1は、使用者Hが片手で把持して様々な向きで操作するうえで、好適となるような設計であり、使用者Hが吸引装置1を操作するうえで、分離部7が妨げとならない。また、吸引装置1は、使用者Hが片手で把持できるため、持ち運びが簡便であり、さらに、エアによる吸引であるため、直接の電源コードを要せず、様々な場所で用いられる。
【0028】
圧縮されたエアが供給部から供給された状態で、操作部5が押されると、エアは、把持部4を通って本体部3に流れる。エアは、本体部3においてノズル部6から吸気する方向(
図1及び
図2において後方)に流れが転換され、中空の内側及びノズル部6が負圧となる。ノズル部6では、エアによって異物が吸引され、異物はエアと共に配管部26を通り、分離部7の分離ケース8に、後部側から入る。すなわち、配管部26が分離ケース8の前部に通じている構成ではないため、ノズル部6が下に向けられ、異物が前方に偏った場合であっても、異物が配管部26を通って逆流することが無い。
【0029】
分離ケース8では、異物がエアと共に排気管15の内側管部17の周囲を旋回し、異物がエアから分離され、異物は、自重によって収容部27に落下して蓄積される。すなわち、分離部7と収容部27とが別個の部材であるため、分離ケース8でエアと分離された異物は、分離ケース8に滞留しない。異物が分離ケース8に蓄積しないことから、吸引力の低下が抑止される。また、分離ケース8でエアと異物が分離する際、エアは、排気管15に加えて通気性素材の袋29からも排気されるため、異物はエアによって収容部27に向かうし、上下に排気されることで高い吸引力が実現する。異物は、分離ケース内で減速して収容部27に落下するため、エアの勢いで異物が収容部27の袋29を突き破ることもない。開口部10は、分離ケース8の分離空間9よりも狭いため、収容部27に収容された異物が逆流することが妨げられる。
【0030】
排気管15では、エアは、内側管部17の内側通気孔20を通って排気管15の内側に流入し、フィルター部を介して、外側管部18の側面から外側通気孔21を通って排気される。その際、細かな異物がエアに混入していた場合であっても、エアがフィルター部を通ることで、異物はフィルター部に遮られて排出されない。また、蓋部25が取り外されてフィルター部が取り外され、フィルター部の清掃又は交換も可能である。また、収容部27が異物で一杯になったとしても、エアは排気管15から排気されるため、吸引力が低下しない。
【0031】
収容部27に蓄積された異物が廃棄される際、ロック手段14によって一つの溝部材13が開くことで(又は取り外されることで)、着脱手段11の一箇所が開放されるため、溝12から板状部材28が手前側に向けて取り外される。したがって、収容部27の交換が可能である。
【0032】
収容部27は、清掃されることで再利用も可能であるが、収容部27が、交換可能な使い捨ての素材であれば、収容部27の清掃が不要であり、簡便である。収容部27は、板状部材28と袋29とが分離可能であるため、ゴミの分別が容易である。
【0033】
収容部27の袋29やフィルター部が、目の細かい素材であれば、細かい異物を外部に漏らさず収容できるため、排気されるエアも無害で、衛生を要する食品や医療の現場においても利用される。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態に係る吸引装置を図面に基づいて説明する。なお、以下では、主に第一実施形態に係る吸引装置1と異なる構成のみが説明され、吸引装置1と同様の構成は、同様の符号で図示することをもって適宜説明が省略されている。
【0035】
本発明の第二実施形態に係る吸引装置を図面に基づいて説明する。
図6ないし
図9は、第二実施形態に係る吸引装置201が示されている。
図10は、吸引装置201における排気管215が分解されて示されている。吸引装置201は、排気管215の構成が第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。
【0036】
図6及び
図10に示されているとおり、排気管215は、排気管本体部216と、この排気管本体部216のうち、分離ケース8の外側に配置された側面を覆うフィルター部222と、このフィルター部222を覆うカバー部224と、このカバー部224に被せられる蓋部225とを有している。
【0037】
排気管本体部216の内側管部217は、側面に複数の内側通気孔220が形成され、底には孔が形成されていない。フィルター部222は、外側管部18の側面に巻き付けられる。カバー部224は、円筒状であり、側面にカバー通気孔223が形成されている。カバー通気孔223は、例えば、内側管部217の内側通気孔220と同形であるが、大きさや形状は任意である。カバー部224は、フィルター部222で覆われた外側管部218に被せられ、カバー部224と外側管部218とでフィルター部222が挟まれる。蓋部225は、カバー部224の上端に固定される。蓋部225が着脱されることで、フィルター部222の交換が可能である。
【0038】
本実施形態の排気管215では、エアは、内側管部217の内側通気孔220を通って排気管215の内側に流入し、外側管部218の側面から外側通気孔221、フィルター部222、カバー部224のカバー通気孔223を通って排気される。その際、細かな異物がエアに混入していた場合であっても、エアがフィルター部222を通ることで、異物はフィルター部222に遮られて排出されない。また、蓋部225及びカバー部224が取り外されてフィルター部222が取り外され、フィルター部222の清掃又は交換も可能である。
【0039】
次に、本発明の第三実施形態に係る吸引装置を図面に基づいて説明する。
図11は、第三実施形態に係る吸引装置301が示されている。吸引装置301は、分離部と収容部の外観、及び、収容部の構成が、第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。
【0040】
図11に示されているとおり、吸引装置301では、分離部307及び収容部327の全体の形態が、富士山に倣っている。すなわち、排気管315の蓋部325は、上面が山頂のように隆起し、また、フランジ部319は、山の稜線のように排気管315から外側に向って下方に傾斜している。例えば、排気管315の外側管部318、蓋部325及びフランジ部319が、白色であり、収容部327の袋329が、青色であれば、富士山に倣った色彩となる。
【0041】
袋329の底部は、開放されており、この底部が、クランプ部材によって閉じられている。底部は、クランプ部材によって、開閉自在である。すなわち、クランプ部材31によって、袋329が開放された状態で、エアが袋329から排気されると、袋329に蓄積されていた異物は、開放された底部から、エアの勢いによって排出される。したがって、異物の廃棄が簡便である。また、袋329が空になるうえ、エアによって清掃されるため、袋329の再利用が可能となる。袋329が紙製であれば、丈夫であるため、何度も再利用が可能となる。
【0042】
次に、本発明の第四実施形態に係る吸引装置を説明する。
図12は、第四実施形態に係る吸引装置401が示され、
図13及び
図14は、吸引装置401における排気管415が分解されて示されている。吸引装置401は、排気管415及び収容部427の構成が、第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。なお、収容部427の構成は、吸引装置301と同じである。
【0043】
図12に示されているとおり、第四実施形態に係る吸引装置401では、排気管415は、分離ケース408の内側に配置されて分離ケース408の上部に固定された内側管部417と、この内側管部417の上端を分離ケース408の上部に固定する着脱可能な蓋部425と、内側管部417と蓋部425との間に挟まれたフィルター部422とを有している。
図13に示されているとおり、蓋部425は、複数の外側通気孔421が形成され、下面にフィルター部422が収容される窪み部432が形成されている。
図14に示されているとおり、内側管部417は、上端部が開放され、上端部の外側にフランジ部419が形成されている。
図12に示されているとおり、内側管部417は、上方から分離ケース408に挿入され、分離ケース408の上部にフランジ部419が当てられる。蓋部425の窪み部432に、フィルター部422が収容された状態で、蓋部425がフランジ部419の上に載せられる。フィルター部422が、蓋部425と内側管部417との間に挟まれた状態で、蓋部425、フランジ部419及び分離ケース408がネジ等で留められる。したがって、本実施形態は、構成が簡便である。
【0044】
次に、本発明の第五実施形態に係る吸引装置を説明する。
図15ないし
図19は、第五実施形態に係る吸引装置501が示されている。吸引装置501は、全体の外観、分離ケース508、排気管515、収容部527、着脱手段511及びロック手段514の構成が、第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。なお、排気管515の構成は、吸引装置401と同様であり、収容部527の構成は、吸引装置301と同じである。
【0045】
図15ないし
図19に示されているとおり、第五実施形態に係る吸引装置501では、分離ケース508は、ケース本体部533と、このケース本体部533の上部に、パッキン(図示省略。)を介して取り付けられるケース上部534と、ケース本体部533の下部に取り付けられるケース下部535とを有している。ケース上部534は、中心に排気管本体部(図示省略。
図12の排気管本体部416参照。)が形成されている。ケース上部534の上部は、排気管本体部に通じて開口され、蓋部525がネジ構造によって留められる。すなわち、蓋部525の内側に、ネジ溝が形成されている。蓋部525とケース上部534との間には、フィルター下敷(図示省略。)を介して、フィルター部(図示省略。)が挟まれる。ケース下部535は、パッキン(図示省略。)を介して、着脱手段511が着脱される。着脱手段511は、板状であると共に中心に孔が形成され、開口部の周囲(前、奥側及び手前側)に、溝(図示省略。)が形成されている。着脱手段511の後部には、棒状のロック手段514が着脱される。溝には、収容部527の板状部材(図示省略。)が留められる。したがって、ロック手段514が取り外された状態で、収容部527の板状部材が溝に挿入され、ロック手段514で留められる。
【0046】
次に、本発明の第六実施形態(図示省略。)に係る吸引装置を説明する。第六実施形態に係る吸引装置は、ロック手段の構成が第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。
【0047】
第六実施形態に係る吸引装置では、着脱手段の各溝のうち、開口部の周囲において隣り合う二つは、ロック手段によって開閉が可能である。すなわち、着脱手段は、開口部の周囲において隣り合う二箇所が開放されるため、溝から板状部材が取り外されると共に収容部が下方に向けて取り外される。なお、ロック手段は、着脱手段において、前後、奥側及び手前側のすべてに備わっていてもよい。
【0048】
本実施形態では、ロック手段によって、二つの溝部材が開くことで(又は取り外されることで)、着脱手段は、開口部の周囲において隣り合う二箇所が開放されるため、溝から板状部材が取り外されると共に収容部が下方に向けて取り外される。したがって、仮に、収容部に収容された異物が、開口部を通って分離ケースに至る大きさであった場合等において、収容部が下方に向けて取り外されることで、異物が取り除かれる。
【0049】
本発明の第七実施形態(図示省略。)に係る吸引装置は、着脱手段の構成が第一実施形態に係る吸引装置1と異なる。本実施形態の着脱手段は、収容部の板状部材を、分離ケースの下部に下方から着脱させる。したがって、本実施形態は、構成が簡便である。
【0050】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1,201,301,401,501 吸引装置
2 吸引部
3 本体部
4 把持部
5 操作部
6 ノズル部
7,307,407,507 分離部
8,408,508 分離ケース
9 分離空間
10 開口部
11,511 着脱手段
12 溝
13 溝部材
14,514 ロック手段
15,215,315,415,515 排気管
16,216,316,416 排気管本体部
17,217,317,417 内側管部
18,218,318 外側管部
19,219,319,419 フランジ部
20,220,320,420 内側通気孔
21,221,321,421,521 外側通気孔
222,422 フィルター部
23,223 カバー通気孔
25,225,325,425,525 蓋部
26 配管部
27,327,427,527 収容部
28,328,428 板状部材
29,329,429,529 袋
30 被接続部
31 クランプ部材
224 カバー部
432 窪み部
533 ケース本体部
534 ケース上部
535 ケース下部
H 使用者
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアによって異物を吸引する吸引部と、この吸引部の下流側に接続されてエアと異物とを分離する分離部と、この分離部に接続されて異物が収容される収容部と、を有し、
前記吸引部が、
下流である後方にエアを流す本体部と、この本体部の前方に伸びてエアによって負圧となるノズル部と、前記本体部から下方に伸びた把持部と、を有し、
前記分離部が、
前記本体部の後方に連結されて内側でエアが旋回する分離ケースと、
この分離ケースの上部を貫通した排気管と、を有し、
前記収容部が、通気性素材から形成されて前記分離ケースの下部に連結され、
前記分離ケースの上下方向と直交する姿勢で前記本体部と前記分離ケースとを接続する配管部を有し、
前記配管部が、後方に向けて直線状に伸びると共に手前側に向けて折れ曲がり、前記分離ケースの後部に手前側と反対側である奥側から連接されたことで、前記把持部が使用者に把持された状態において、前記配管部が、前記使用者の手首の上方に配置され、前記分離部が前記使用者の手首の手前に配置される、
ことを特徴とする吸引装置。
【請求項2】
前記排気管が、
前記分離ケースの内側に配置されて下面に通気孔が形成された内側管部と、
通気孔が形成されて前記内側管部の上端を前記分離ケースの上部に固定する着脱可能な蓋部と、
前記内側管部と前記蓋部との間に挟まれたフィルター部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載された吸引装置。
【請求項3】
前記収容部の底部が開放され、この底部に、当該底部を閉じるクランプ部材が備えられ、
前記底部が、前記クランプ部材によって開閉自在である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された吸引装置。
【請求項4】
前記分離ケースが、
前記配管部が接続されたケース本体部と、
前記ケース本体部の上部にパッキンを介して取り付けられたケース上部と、
前記ケース本体部の下部に取り付けられて前記収容部が連結されたケース下部と、を有し、
前記排気管が、
前記ケース上部に形成された開口部を通じて、前記分離ケースの内側と外側とに跨って形成された排気管本体部と、
前記排気管本体部のうち、前記ケース上部の外側に配置された外側管部にネジ構造で留められた蓋部と、を有し、
前記排気管本体部のうち、前記ケース上部の内側に配置された内側管部の下面に複数の内側通気孔が形成され、
前記蓋部の上面に複数の外側通気孔が形成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された吸引装置。