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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067855
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】生鳥移送篭
(51)【国際特許分類】
   A01K 31/07 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
A01K31/07
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176694
(22)【出願日】2020-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】504225356
【氏名又は名称】プライフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 賢二
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA07
2B101EC09
2B101GA01
2B101GA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能な生鳥移送篭を提供する。
【解決手段】生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭1であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉5とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉5を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、排出扉5の外方への揺動を規制する2種以上のロック機構を選択的に脱着するための2種以上の取付部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、排出扉の外方への揺動を規制する2種以上のロック機構を選択的に脱着するための2種以上の取付部を備えることを特徴とする生鳥移送篭。
【請求項2】
2種以上のロック機構の何れか一つが選択的に対応する取付部に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の生鳥移送篭。
【請求項3】
2種以上のロック機構の内の一つは、排出扉に係合離脱可能な剛体の爪を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の生鳥移送篭。
【請求項4】
剛体の爪は往復直動可能に本体に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の生鳥移送篭。
【請求項5】
剛体の爪は往復揺動可能に本体に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の生鳥移送篭。
【請求項6】
排出扉の外方への揺動を規制するロック機構に加えて、排出扉の内方への揺動を規制する揺動規制部材を備えることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の生鳥移送篭。
【請求項7】
2種以上のロック機構の内の一つは、排出扉に係合離脱可能な柔軟体の爪を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の生鳥移送篭。
【請求項8】
排出扉の内方への揺動を規制する第2の柔軟体の爪を備えることを特徴とする請求項7に記載の生鳥移送篭。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかの生鳥移送篭が上下左右に複数配設されて一体化されたことを特徴とする生鳥移送篭モジュール。
【請求項10】
隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有することを特徴とする生請求項9に記載の鳥移送篭モジュール。
【請求項11】
鋼製網で形成された生鳥移送篭側壁を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項12】
合成樹脂の格子構造体又は合成樹脂の有孔板で形成された生鳥移送篭側壁を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項13】
生鳥移送篭の排出扉に正対する側壁が内方へ揺動可能な生鳥搬入扉であることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項14】
生鳥搬入扉の外方への揺動を規制する揺動規制部材を備えることを特徴とする請求項13に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項15】
生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭あって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭を用いて生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送する方法において、排出扉の外方への揺動を規制する2種以上のロック機構を選択的に生鳥移送篭に脱着して、食鳥処理工場が備えるロック解除機構に生鳥移送篭が備えるロック機構を適合させることを特徴とする生鳥移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鳥移送篭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-198923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の生鳥移送篭には、図示はされていないが、公報第2ページ右上欄20行乃至左下欄1行に記載されているように、移送中に排出扉が外方へ開放されるのを阻止するロック機構が設けられている。
食鳥処理工場にはロック解除機構が配設されているが、当該ロック解除機構は特定一種類のロック機構のみに対応しており、他種類のロック機構によるロックを解除できない。
近年、鳥インフルエンザの流行で、食鳥の移動が制限される事態が多発している。この結果、養鶏場が従来生鳥を移送していた食鳥処理工場が移動制限区域内に含まれることになり、従来生鳥を移送していなかった移動制限区域外の食鳥処理工場へ食鳥の移送先を急遽変更する事態が発生するようになった。急遽移送先となった食鳥処理工場のロック解除機構が、従来の移送先の食鳥処理工場のロック解除機構と異なっていた場合、移送した食鳥処理工場でロックが解除できず、排出扉の開放が不可能になる。近隣に従来の移送先の食鳥処理工場と同じロック解除機構を備える食鳥処理工場がない場合、従来の移送先の食鳥処理工場と同じロック解除機構を備える遠方の食鳥処理工場まで多くの移送エネルギーを費やして食鳥を移送する必用を生じ、或いは生鳥の食鳥処理工場への移送が不可能になるという問題が発生する。生鳥の移送が不可能になると、養鶏場での飼育期間が延長されることになり、飼育に要するエネルギーが増加する。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、また移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能な生鳥移送篭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体に揺動可能に取り付けられた排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、排出扉の外方へ揺動を阻止する2種以上のロック機構を選択的に脱着するための2種以上の取付部を備えることを特徴とする生鳥移送篭を提供する。
2種以上のロック機構を選択的に脱着することにより、それぞれのロック機構に対応したロック解除機構を備える2以上の食鳥処理工場への選択的な移送が可能になる。移送先の食鳥処理工場の選択肢が増えることにより、鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、また移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能になる。
本発明の好ましい態様においては、2種以上のロック機構の何れか一つが選択的に対応する取付部に脱着可能に取り付けられている。
生鳥移送篭には、平時に生鳥を移送する食鳥処理工場のロック解除機構に対応するロック機構を取り付けておけば良い。他種のロック機構は養鶏場の備品としておけば、有事の際に直ちにロック機構を取り替えることができる。
本発明の好ましい態様においては、2種以上のロック機構の内の一つは、排出扉に係合離脱可能な剛体の爪を備える。
剛体の爪を排出扉に係合離脱させることにより、排出扉のロックとロック解除とが可能になる。
本発明の好ましい態様においては、剛体の爪は往復直動可能に本体に取り付けられている。
本発明の好ましい態様においては、剛体の爪は往復揺動可能に本体に取り付けられている。
剛体の爪を往復直動させ又は往復揺動させて、排出扉に係合離脱させることができる。
本発明の好ましい態様においては、生鳥移送篭は、排出扉の外方への揺動を規制するロック機構に加えて、排出扉の内方への揺動を規制する揺動規制部材を備える。
排出扉の内方への揺動を規制する揺動規制部材を備えることにより、移送中に排出扉が内方へ揺動して篭内の生鳥に接触し生鳥を傷つける事態の発生が防止される。
本発明の好ましい態様においては、2種以上のロック機構の内の一つは、排出扉に係合離脱可能な柔軟体の爪を備える。
柔軟体の爪の寸法や素材強度を適正化して、移送中の慣性力や衝撃による排出扉の外方への開放を阻止することができる。食鳥処理工場においてはロック解除機構を用いて排出扉を強制開放すれば良い。
本発明の好ましい態様においては、生鳥移送篭は、排出扉の外方への揺動を阻止する柔軟体の爪に加えて、排出扉の内方への揺動を規制する第2の柔軟体の爪を備える。
排出扉の内方への揺動を規制する第2の柔軟体の爪を備えることにより、移送中に排出扉が内方へ揺動して篭内の生鳥に接触し生鳥を傷つける事態の発生が防止される。
本発明においては、上記何れかの生鳥移送篭が上下左右に複数配設されて一体化されたことを特徴とする生鳥移送篭モジュールを提供する。
生鳥移送篭を上下左右に複数配設し一体化してモジュール化することにより、生鳥の移送効率が向上する。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールにおいては、隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有する。
隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有することにより、生鳥移送篭モジュールが軽量化される。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールは、鋼製網で形成された生鳥移送篭側壁を備える。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールは、合成樹脂の格子構造体又は剛性樹脂の有孔板で形成された生鳥移送篭側壁を備える。
生鳥移送篭側壁は鋼製網で形成しても良く、或いは合成樹脂の格子構造体又は剛性樹脂の有孔板で形成しても良い。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールにおいては、生鳥移送篭の排出扉に正対する側壁が内方へ揺動可能な生鳥搬入扉である。
生鳥搬入扉が生鳥排出扉に正対することにより、生鳥の動線が直線になり、生鳥移送篭からの生鳥の排出が容易になる。生鳥搬入扉を内方へ揺動可能な揺動扉とすることにより、生鳥移送篭への生鳥の搬入が容易になる。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールは、生鳥搬入扉の外方への揺動を規制する揺動規制部材を備える
生鳥搬入扉の外方への揺動を規制する揺動規制部材を備えることにより、移送中に排出扉が外方へ揺動して篭内の生鳥が篭外へ放出される事態の発生が防止される。
本発明においては、生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭あって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭を用いて生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送する方法において、排出扉の外方への揺動を規制する2種以上のロック機構を選択的に生鳥移送篭に脱着して、食鳥処理工場が備えるロック解除機構に生鳥移送篭が備えるロック機構を適合させることを特徴とする生鳥移送方法を提供する。
2種以上のロック機構を選択的に生鳥移送篭に脱着することにより、それぞれのロック機構に対応したロック解除機構を備える2以上の食鳥処理工場への選択的な移送が可能になる。移送先の食鳥処理工場の選択肢が増えることにより、鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、また移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施例に係る生鳥移送篭モジュールの正面図である。
図2】本発明の実施例に係る生鳥移送篭モジュールの右側面図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4図3のa-a矢視図である。
図5】本発明の実施例に係る生鳥移送篭モジュールの上面図である。
図6図1のb-b矢視図である。
図7図1のc-c矢視図である。
図8】第1ロック機構の取り外し手順を示す第1ロック機構の断面図である。
図9】排出扉開放時の図1のb-b矢視図である。
図10】排出扉開放時の図1のc-c矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施例に係る生鳥移送篭を説明する。
図1図7に示すように、上下4段に且つ正面から見て左右2列に配設された8個の直方体の生鳥移送篭1が一体となって生鳥移送篭モジュールAを構成している。
上下左右に隣接する生鳥移送篭1は境界壁を共有している。
生鳥移送篭1の左右側面は図2に示すように目の粗い鋼製網から成る固定壁2で構成され、背面は図6に示すように目の粗い鋼製網から成る上縁回りに揺動可能な搬入扉3で構成され、最上段の生鳥移送篭1の天井面と生鳥移送篭1の床面は図5、6に示すように微細穴が多数形成された合成樹脂製の固定床4で構成され、前面は図1、6に示すように鋼板から成る下縁回りに揺動可能な排出扉5で構成されている。最上段の生鳥移送篭1の床面が上から2段目の生鳥移送篭1の天井面を形成し、以下順次上段の生鳥移送篭1の床面が直下段の生鳥移送篭1の天井面を形成している。
生鳥移送篭1の直方体の各面が交差する稜線は形鋼で構成され、それらの形鋼が相互に連結固定されて、上記の壁、床、扉が取り付けられる枠体を形成している。
最上段の生鳥移送篭1から最下段の生鳥移送篭1まで上下に全通して延在する6本の形鋼中、生鳥移送篭モジュールAの前面側の左右両側の形鋼6aと背面側の左右両側の形鋼6bは図5に示すように等辺L形鋼の脚先端部を更に内側へ折り曲げた断面形状を有しており、生鳥移送篭モジュールAの前面側の左右中央の形鋼7aと背面側の左右中央の形鋼7bとは図5に示すように溝形鋼である。前記6本の形鋼6a、6b、7a、7bを除く他の水平に延在する形鋼は、形鋼6a、6b、7a、7bよりも小断面の形鋼である。
【0008】
図2~4に示すように、生鳥移送篭モジュールAの前面側の左右両側の形鋼6aに、上下に所定間隔を隔てて4個の上下に延在する長穴6aが形成されている。
形鋼6aに溝形鋼8が挿通され、形鋼6aによって上下移動可能に案内されている。溝形鋼8の上端部に開口8aが形成されると共に、上下に所定間隔を隔てて4個の穴8bが形成されている。
上下に所定間隔を隔ててV字に折り曲げられた帯板鋼の4個のロック爪9が溝形鋼8に脱着可能にボルト固定されている。ロック爪9は対峙する溝形鋼8の開口8bと形鋼6aの長穴6aに挿通されている。4個のロック爪9は、それぞれ長穴6a1の下端部に係合しており、図1に示すように対峙する排出扉5の上縁一端部に係合して、排出扉5の外方への揺動開放を阻止している。
図6に示すように、生鳥移送篭モジュールAの前面側の左右中央の溝形鋼7aの両脚部に、上下に所定間隔を隔てて4個の上下に延在する長穴7aが形成されている。図1、5に示すように、溝形鋼7aに帯板鋼10が挿通され、形鋼7aによって上下移動可能に案内されている。帯板鋼10の上端部に開口10aが形成されると共に、上下に所定間隔を隔てて4個の帯板鋼のロック爪11が脱着可能にボルト固定されている。図6に示すように、ロック爪11は対峙する形鋼7aの長穴7aに挿通されている。4個のロック爪11はそれぞれ長孔7aの下端部に係合しており、図1に示すように左右両端部はそれぞれ対峙する排出扉5の上縁他端部に係合して、排出扉5の外方への揺動開放を阻止している。
溝形鋼8と剛体のロック爪9とが協働して、又帯板鋼10と剛体のロック爪11とが協働して、排出扉5の外方への揺動を規制する第1ロック機構を形成している。
図6に示すように、生鳥移送篭1の前面上下縁枠を形成する溝形鋼12aに取り付けた止金具4aにより、排出扉5の内方への揺動開放が阻止されている。この結果、第1ロック機構と止金具4aにより、排出扉5は外方、内方の何れの方向へも閉じている。
等辺L形鋼6aと開口6並びに溝形鋼7aと開口7aは第1ロック機構の取付部を形成している
【0009】
図1、7に示すように、生鳥移送篭1の前面上下縁枠を形成する溝形鋼12aの長手方向中央部に溝形断面金具12aが固定されている。溝形断面金具13と、爪14a、14bを有し溝形断面金具13に収容された溝形断面ゴム14とが、溝形断面金具12aに形成した図示しないボルト挿通用貫通穴と固定ナットとを介して脱着可能に溝形断面金具12aにボルト固定されている。排出扉5の上縁部が爪14aと14bの間に進入している。爪14aが排出扉5の幅方向中央部の上縁部に係合して排出扉5の外方への揺動を阻止している。
溝形断面金具13と柔軟体の爪14aとが協働して、排出扉5の外方への揺動を規制する第2ロック機構を形成している。
柔軟体の爪14bにより、排出扉5の内方への揺動が阻止されている。この結果、第2ロック機構と爪14bとにより、排出扉5は外方、内方何れの方向へも閉じている。
溝形断面金具12aと溝形断面金具12aに形成した図示しないボルト挿通用貫通穴と固定ナットとが第2ロック機構の取付部を形成している。
【0010】
第1ロック機構と第2ロック機構の何れか一方が取り付けられ、他方が取り外された状態で、生鳥移送篭モジュールAは養鶏場に配備されている。取り外されたロック機構は、備蓄機材として前記養鶏場に配備されている。
第1ロック機構の取り外しは、溝形鋼8の開口8aに所定の治具を挿通して溝形鋼8の落下を防止し、次いで図8(a)、(b)に示すように、ロック爪9の溝形鋼8に対するボルト固定を解除し、次いで図8(c)、(d)に示すように、穴8b、6aと形鋼6aの両脚部端部間の隙間とを介して、ロック爪9を溝形鋼8と形鋼6aから引き抜き、次いで溝形鋼8を形鋼6aから上方へ引き抜くことにより行う。また、帯板鋼10の開口10aに所定の治具を挿通して帯板鋼10の落下を防止し、次いでロック爪11の帯板鋼10に対するボルト固定を解除し、次いで長穴7aを介してロック爪11を溝形鋼7aから引き抜き、次いで帯板鋼10を溝形鋼7aから上方へ引き抜くことにより行う。
第2ロック機構の取り外しは、溝形金具12aに対する溝形断面金具13と溝形断面ゴム14のボルト固定を解除することにより行われる。
【0011】
生鳥移送篭モジュールAの作動を説明する。
養鶏場で、図6において一点鎖線で示すように、搬入扉3を閉鎖位置から内側へ揺動させて開き、生鳥移送篭1に生鳥を搬入する。搬入終了後、図6において実線で示すように、搬入扉3は自重で閉鎖位置へ戻る。搬入扉3の閉鎖位置から外側への揺動は、生鳥移送篭1の背面上下縁枠を形成する溝形鋼12bに取り付けた止金具4bにより阻止される。生鳥移送篭モジュールAを構成する全ての生鳥移送篭1に生鳥を搬入する。
生鳥を満載した生鳥移送篭モジュールAを養鶏場から食鳥処理工場へ移送する。
【0012】
生鳥移送篭モジュールAが第1ロック機構を備えており、食鳥処理工場が傾斜機構に付設された第1ロック機構の解除機構を備えている場合は、食鳥処理工場が備える傾斜機構を用いて、排出扉5が斜め下方へ差し向けられるように生鳥移送篭モジュールAを傾斜させる。
次いで食鳥処理工場のロック解除機構を第1ロック機構の溝形鋼8の開口8a、帯板鋼10の開口10aに係合させて、溝形鋼8、帯板鋼10を上方へ引き上げてロック爪9、11を開口6a、7aの上端部へ移動させ、ロック爪9、11と排出扉5上縁部との係合を解除し、排出扉5のロックを解除する。
この結果、生鳥から加重を受けている排出扉5が、図9に示すように外方へ揺動して開放される。生鳥が傾斜した生鳥移送篭1から排出される。生鳥が生鳥移送篭1から排出された後、ロック解除機構と開口8a、10aとの係合が解除され、溝形鋼8、帯板鋼10は自重で下降しロック爪9、11は開口6a、7aの下端へ移動する。次いで傾斜機構を用いて生鳥移送篭モジュールAが水平状態に戻され、ロック解除機構が開口8a、10aに係合し溝形鋼8、帯板鋼10を上方へ引き上げてロック爪9、11を開口6a、7aの上端部へ移動させ、排出扉復帰機構が排出扉5を内方へ揺動させ止金具4aに当接させて閉じ、ロック解除機構と開口8a、10aとの係合が解除され、溝形鋼8、帯板鋼10が自重で下降しロック爪9、11が開口6a、7aの下端へ移動して排出扉5と係合し、排出扉5の外方への揺動を規制する。ロック爪9、11が形成する第1ロック機構と止金具4aとにより、排出扉5は外方、内方の何れの方向へも閉じる。
【0013】
生鳥移送篭モジュールAが第2ロック機構を備えており、食鳥処理工場が傾斜機構に付設された第2ロック機構の解除機構を備えている場合は、食鳥処理工場のロック解除機構を溝形鋼12aと排出扉5の上縁との間の隙間から生鳥移送篭1内へ差し入れて排出扉5の上縁部に係合させ、当該上縁部を外方へ引き、溝形断面ゴム14の爪14aを外方へ弾性変形させ、排出扉5の上縁部を溝形断面ゴム14から離脱させる。この結果排出扉5が、図10に示すように揺動して開放される。
次いで鳥処理工場が備える傾斜機構を用いて、排出扉5が斜め下方へ差し向けられるように生鳥移送篭モジュールAを傾斜させる。
生鳥が傾斜した生鳥移送篭1から排出される。生鳥が生鳥移送篭1から排出された後、傾斜機構を用いて生鳥移送篭モジュールAが水平状態に戻され、排出扉復帰機構が排出扉5を内方へ揺動させて爪14aに当接させ、爪14aを押して弾性変形させ、排出扉5の上縁部を爪14aと爪14bの間に進入させて、排出扉5を閉じる。爪14aが排出扉5の外方への揺動を規制し、爪14bが排出扉5の内方への揺動を規制する。この結果、排出扉5は外方、内方の何れの方向へも閉じる。
【0014】
生鳥移送篭モジュールAが第1ロック機構を備えており、搬送先の食鳥処理工場が傾斜機構に付設された第2ロック機構の解除機構を備えている場合は、養鶏場において、第1ロック機構を生鳥移送篭モジュールAから取り外し、第2ロック機構を生鳥移送篭モジュールAに取り付けた後、生鳥移送篭モジュールAに生鳥を搬入し、食鳥処理工場へ移送する。食鳥処理工場においてロック解除機構を用いて排出扉5のロックを解除し、次いで傾斜機構を用いて生鳥移送篭モジュールAを傾斜させ、生鳥移送篭1から生鳥を排出する。
生鳥移送篭モジュールAが第2ロック機構を備えており、搬送先の食鳥処理工場が傾斜機構に付設された第1ロック機構の解除機構を備えている場合は、養鶏場において、第2ロック機構を生鳥移送篭モジュールAから取り外し、第1ロック機構を生鳥移送篭モジュールAに取り付ける。第1ロック機構の取り付け手順は、取り外し手順の逆手順である。第1ロック機構を生鳥移送篭モジュールAに取り付けた後、生鳥移送篭モジュールAに生鳥を搬入し、食鳥処理工場へ移送する。食鳥処理工場において傾斜機構を用いて生鳥移送篭モジュールAを傾斜させ、次いでロック解除機構を用いて排出扉5のロックを解除し、生鳥移送篭1から生鳥を排出する。
【0015】
上記説明から分かるように、生鳥移送篭1にロック機構1、2を選択的に取り付けることにより、それぞれのロック機構に対応したロック解除機構を備える2以上の食鳥処理工場への移送が可能になる。移送先の食鳥処理工場の選択肢が増えることにより、鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能になる。
生鳥移送篭1には、平時に生鳥を移送する食鳥処理工場のロック解除機構に対応するロック機構を取り付けておけば良い。他種のロック機構は養鶏場の備品としておけば、有事の際に直ちにロック機構を取り替えることができる。
剛体の爪9、11を排出扉5に係合離脱させることにより、排出扉5のロックとロック解除とが可能になる。
剛体の爪9、11を往復直動させて、排出扉5に係合離脱させることができる。
排出扉5の内方への揺動を規制する止金具4a、爪14bを設けたので、移送中に排出扉5が内方へ揺動して篭内の生鳥に接触し生鳥を傷つける事態の発生が防止される。
溝形断面ゴム14の爪14a、14bの寸法や素材強度を適正化して、移送中の慣性力や衝撃による排出扉5の外方への開放を阻止することができる。食鳥処理工場においてはロック解除機構を用いて排出扉を強制開放すれば良い。
生鳥移送篭1が上下左右に複数配設されて一体化し生鳥移送篭モジュールAとなることにより、生鳥の移送効率が向上する。
生鳥移送篭モジュールAにおいて、隣接する生鳥移送篭1が境界壁を共有することにより、生鳥移送篭モジュールAが軽量化される。
生鳥搬入扉3が生鳥排出扉5に正対することにより、生鳥の動線が直線になり、生鳥移送篭1からの生鳥の排出が容易になる。生鳥搬入扉3を内方へ揺動可能な揺動扉とすることにより、生鳥移送篭1への生鳥の搬入が容易になる。
生鳥搬入扉3の外方への揺動を規制する止金具4bを備えることにより、移送中に生鳥搬入扉3が外方へ揺動して篭内の生鳥が篭外へ放出される事態の発生が防止される。
【0016】
排出扉のロック機構は、上記実施例のものに限定されない。ロック解除機構が食鳥処理工場に配設されているロック機構であれば良い。例えば、対応するロック解除機構が食鳥処理工場に配設されているのであれば、第1ロック機構を、往復直動する帯板鋼の爪9、11に代えて、形鋼6a、7aにヒンジ連結された上下4個の帯板鋼の爪と4個の爪の先端にヒンジ連結された全通の棒材で構成し、棒材を上下させて爪を揺動させ、爪の先端を排出扉と係合離脱させても良い。
上記実施例では、生鳥移送篭1の側壁を鋼製網としたが、これらを合成樹脂の格子構造体又は合成樹脂の有孔板で形成しても良い。
上記実施例では、ロック機構を2種類とし、それぞれの取付部を生鳥移送篭1に配設したが、ロック機構を3種類以上とし、それぞれの取付部を生鳥移送篭1に配設しても良い。鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に更に柔軟に対応し、移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、生鳥移送篭に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 生鳥移送篭
A 生鳥移送篭モジュール
2 固定壁
3 搬入扉
4 固定床
4a、4b 止金具
5 排出扉
6a、6b 形鋼
7a、7b 溝形鋼
8 溝形鋼
9、11 ロック爪
10 帯板鋼
12a、12b 溝形鋼
12a、13 溝形断面金具
14 溝形断面ゴム
14a、14b 爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、排出扉を取り囲む枠体の左右部位は、排出扉の側縁上部に係合離脱可能な爪と爪が脱着可能に取り付けられた鉛直部材とを有する第1ロック機構の鉛直部材の上下移動のための案内部材であり且つ第1ロック機構の爪が上下移動可能に挿通される長穴が形成されており、排出扉を取り囲む枠体の上部位には排出扉の上縁に係合離脱可能な溝形断面ゴムを有する第2ロック機構を脱着可能に取り付け可能な金具が取り付けられており、枠体の左右部位が第1ロック機構の取付部を形成し、枠体の上部位に取り付けられた金具が第2ロック機構の取付部を形成し、第1ロック機構又は第2ロック機構の何れか一つが選択的に対応する取付部に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする生鳥移送篭。
【請求項2】
請求項1に記載の生鳥移送篭が上下左右に複数配設されて一体化されたことを特徴とする生鳥移送篭モジュール。
【請求項3】
隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有することを特徴とする請求項2に記載の鳥移送篭モジュール。
【請求項4】
鋼製網で形成された生鳥移送篭側壁を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項5】
合成樹脂の格子構造体又は合成樹脂の有孔板で形成された生鳥移送篭側壁を備えることを特徴とする請求項2又3に記載の生鳥移送篭モジュール。
【請求項6】
生鳥移送篭の排出扉に正対する側壁が内方へ揺動可能な生鳥搬入扉であることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の生鳥移送篭モジュール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、生鳥を養鶏場から食鳥処理工場へ移送するための生鳥移送篭であって、生鳥を収容する本体と本体側壁の一部を形成する揺動可能な排出扉とを備え、排出扉が斜め下方へ差し向けられるように本体を傾斜させ、排出扉を外方へ揺動させて開放し、本体から生鳥を排出する生鳥移送篭において、排出扉を取り囲む枠体の左右部位は、排出扉の側縁上部に係合離脱可能な爪と爪が脱着可能に取り付けられた鉛直部材とを有する第1ロック機構の鉛直部材の上下移動のための案内部材であり且つ第1ロック機構の爪が上下移動可能に挿通される長穴が形成されており、排出扉を取り囲む枠体の上部位には排出扉の上縁に係合離脱可能な溝形断面ゴムを有する第2ロック機構を脱着可能に取り付け可能な金具が取り付けられており、枠体の左右部位が第1ロック機構の取付部を形成し、枠体の上部位に取り付けられた金具が第2ロック機構の取付部を形成し、第1ロック機構又は第2ロック機構の何れか一つが選択的に対応する取付部に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする生鳥移送篭を提供する。
2種以上のロック機構を選択的に脱着することにより、それぞれのロック機構に対応したロック解除機構を備える2以上の食鳥処理工場への選択的な移送が可能になる。移送先の食鳥処理工場の選択肢が増えることにより、鳥インフルエンザ流行時の生鳥移動制限に柔軟に対応し、また移送エネルギーや飼育エネルギーの増加を防止することが可能になる。
本発明においては、上記何れかの生鳥移送篭が上下左右に複数配設されて一体化されたことを特徴とする生鳥移送篭モジュールを提供する。
生鳥移送篭を上下左右に複数配設し一体化してモジュール化することにより、生鳥の移送効率が向上する。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールにおいては、隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有する。
隣接する生鳥移送篭が境界壁を共有することにより、生鳥移送篭モジュールが軽量化される。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールは、鋼製網で形成された生鳥移送篭側壁を備える。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールは、合成樹脂の格子構造体又は剛性樹脂の有孔板で形成された生鳥移送篭側壁を備える。
生鳥移送篭側壁は鋼製網で形成しても良く、或いは合成樹脂の格子構造体又は剛性樹脂の有孔板で形成しても良い。
本発明の好ましい態様に係る生鳥移送篭モジュールにおいては、生鳥移送篭の排出扉に正対する側壁が内方へ揺動可能な生鳥搬入扉である。
生鳥搬入扉が生鳥排出扉に正対することにより、生鳥の動線が直線になり、生鳥移送篭からの生鳥の排出が容易になる。生鳥搬入扉を内方へ揺動可能な揺動扉とすることにより、生鳥移送篭への生鳥の搬入が容易になる。